説明

炊飯器

【課題】炊飯終了までの目安時間の表示を行う場合、過熱蒸気発生で使用する水の水量に応じた炊飯シーケンスを切り換えて炊飯を行うときに、炊飯終了までの目安時間と実際の炊飯に要した時間との間の不整合を解消する炊飯器を提供すること。
【解決手段】蒸気を加熱する蒸気経路16と、水タンク11aの水量を検知するサーミスタ23と、炊飯終了までの目安時間を表示する残時間表示手段である制御回路30と、蒸気の供給を行うメニューと蒸気の供給を行わないメニューとを備え、蒸気供給を行うメニューの場合は炊飯開始から所定時間以後にサーミスタ23によって水量検知し、この水量により決定されるシーケンスで炊飯を行い、蒸気供給を行わないメニューの場合には、サーミスタ23を動作させないようにし、制御回路30は蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合、サーミスタ23によって検知した水量により炊飯終了までの目安時間を変更して表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯性能を向上させるために、水の沸点以上の蒸気を利用する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のジャー炊飯器は、鍋内上層の加熱不足を解消のため、水タンクから100℃を超える過熱蒸気を発生させ鍋内に供給することで、炊飯性能を向上するようにしたものがある。このとき、水タンク内の水量不足により過熱蒸気の供給不足が生じる場合、炊飯シーケンスを切り換えて炊飯を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された従来の炊飯器を示すものである。図5に示すように、本体10と、本体10内に着脱自在に収納する鍋1と水タンク11aと、鍋1を加熱する加熱手段である加熱コイル13と、鍋の開口部を覆う蓋12と、水タンク11aを加熱する水タンク加熱手段11bと、水タンク11aを水タンク加熱手段11bで加熱することにより発生する蒸気を鍋1内に供給する内部にヒータを備えた蒸気経路16と、鍋1の温度を検知する鍋温度検知手段14と、水タンク11a内を水量を圧力により検知する水量検知手段24と、鍋温度検知手段14からの鍋温度情報と水量検知手段24からの水タンク温度情報を受け加熱コイル13、水タンク加熱手段11bを制御する制御回路30とにより構成されている。
【0004】
上記構成により、炊飯開始後に水量検知手段24により水タンク11a内の水量を判定し、この水量に応じて最適な炊飯シーケンスで炊飯するようにしている。例えば、水タンク11a内の水量が不足している場合、通常の過熱蒸気を供給する炊飯シーケンスで動作させると炊飯途中で過熱蒸気の供給ができなくなり、結果過熱蒸気の供給不足で食味の低下が発生してしまうが、上記従来の構成の炊飯器では水量検知手段24が水量不足を判定したときは、例えば過熱蒸気の供給不足を補うため、浸漬工程の時間を延長させ米への吸水率を高めて炊飯することで食味低下を抑制した炊飯シーケンスに切り換えて炊飯するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4127165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来の構成の炊飯器では、炊飯開始当初から炊飯終了までの目安時間を表示し1分ごとに減算表示していく機能を有する場合において、水タンクの水量によって炊飯シーケンスを切り換えて炊飯するため、炊飯シーケンスごとに炊飯に要する時間が異なるので表示の時間と実際の炊飯に要した時間との間に不整合が生じるという課題を有していた。例えば、水タンクの水量が適正のときの炊飯シーケンスで炊飯するときの炊飯に要する時間が約45分、水量不足で浸漬工程の時間を延長させた炊飯シーケンスで炊飯するときの炊飯に要する時間が約55分であるとき、水量適正のときの炊飯シーケンスに合わせて「45分」から炊飯終了までの目安時間を表示させた後に水量不足の炊飯シーケンスに切り換えて炊飯した場合、目安時間の表示が0分になった時点で炊飯は残り約10分の時点であるという不整合が発生する。つまりこのときは、表示が「0分」となっているのに炊けていないということになる。また、目安時間を水量不足の「55分」から
表示させて水量適正の炊飯シーケンスで炊飯した場合、炊飯は完了しても目安時間の表示は約10分を表示しているという不整合が発生する。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、炊飯終了までの目安時間の表示を行う場合、過熱蒸気発生で使用する水の水量に応じた炊飯シーケンスを切り換えて炊飯を行うときに、炊飯終了までの目安時間と実際の炊飯に要した時間との間の不整合を解消する炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、給水される蒸気発生部を有し鍋へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段が発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段と、前記蒸気発生部内の水量を検知する水量検知手段と、炊飯終了までの目安時間を表示する残時間表示手段と、蒸気の供給を行うメニューと蒸気の供給を行わないメニューとを備え、前記蒸気供給を行うメニューの場合は炊飯開始から所定時間以後に前記水量検知手段によって水量検知し、この水量により決定されるシーケンスで炊飯を行い、前記蒸気供給を行わないメニューの場合には、前記水量検知手段を動作させないようにし、前記残時間表示手段は前記蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合、前記水量検知手段によって検知した水量により炊飯終了までの目安時間を変更して表示するようにしたものである。
【0009】
これによって、蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合、水量検知手段によって検知した水量により決定されるシーケンスで炊飯を行うとともに、残時間表示手段は炊飯終了までの目安時間を該シーケンスの炊飯時間と整合するように変更して表示することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の炊飯器は、蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合、水量検知手段によって検知した水量により決定されるシーケンスで炊飯を行うとともに、残時間表示手段は炊飯終了までの目安時間を該シーケンスの炊飯時間と整合するように変更して表示することができ、炊飯終了までの目安時間と実際の炊飯に要した時間との間の不整合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1、2、3における炊飯器の断面図
【図2】本発明の実施の形態1,2,3における水量検知手段の動作フローチャート
【図3】本発明の実施の形態1,2,3における炊飯シーケンスの切替動作フローチャート
【図4】本発明の実施の形態1における残時間表示手段の動作フローチャート
【図5】従来の炊飯器の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、給水される蒸気発生部を有し前記鍋へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段が発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段と、前記蒸気発生部内の水量を検知する水量検知手段と、炊飯終了までの目安時間を表示する残時間表示手段と、蒸気の供給を行うメニューと蒸気の供給を行わないメニューとを備え、前記蒸気供給を行うメニューの場合は炊飯開始から所定時間以後に前記水量検知手段によって水量検知し、この水量により決定されるシーケンスで炊飯を行い、前記蒸気供給を行わないメニューの場合には、前記水量検知手段を動作させないようにし、前記残時間表示手段は前記蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合、前記水量検知手段によって検知した水量により炊飯終了までの目安時間を変更して表示することにより、蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合、水量検知手段によ
って検知した水量により決定されるシーケンスで炊飯を行うとともに、残時間表示手段は炊飯終了までの目安時間を該シーケンスの炊飯時間と整合するように変更して表示することができ、炊飯終了までの目安時間と実際の炊飯に要した時間との間の不整合を解消することができる。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明の残時間表示手段を蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合は水量検知手段による水量検知が決定するまで、炊飯終了までの目安時間を表示しないようにすることにより、水量検知が決定し炊飯シーケンスが決まるまで、残時間表示手段は炊飯終了までの目安時間の表示を止めることができ、使用者は表示がされていないことを確認したとき、まだ炊飯シーケンスが決定していないことを認識できる。
【0014】
第3の発明は、特に、第1の発明の残時間表示手段を蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合は水量検知手段による水量検知が決定するまで、炊飯終了までの目安時間を点滅表示するようにすることにより、水量検知が決定し炊飯シーケンスが決まるまで、残時間表示手段は炊飯終了までの目安時間の表示を点滅表示するので、使用者は該表示の点滅を確認したとき、まだ炊飯シーケンスが決定していないことを認識できる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の断面図を示すものである。
【0017】
図1において、炊飯器本体10は、米や水を入れる磁性体製の鍋1を着脱自在に収納するとともに、蒸気発生手段11の一部である磁性体製の水タンク11aを着脱自在に収納している。
【0018】
炊飯器本体10には、その上面を覆う蓋12を開閉自在に設置している。また、炊飯器本体10には、鍋1を誘導加熱する加熱コイル13、鍋1の温度を検知する鍋温度検知サーミスタ14、蒸気発生手段11の一部である水タンク誘導加熱コイル11b、水タンク11aの着脱を検知する着脱検知スイッチ22、水タンク11aの温度を検知するサーミスタ23などを設けている。蓋12は、タイマ機能内蔵のマイクロコンピュータやLCD素子などを実装した制御回路30と、磁性体製の加熱板18と、この加熱版18を加熱する鍋開口部誘導加熱コイル19と、加熱板18の温度を検知する加熱板サーミスタ20とを有している。加熱板サーミスタ20は加熱板18に当設して設けている。
【0019】
加熱コイル13は、インバータ回路(図示せず)により高周波電流を供給することで、火力自在に鍋1を加熱する鍋加熱手段を構成している。
【0020】
蒸気発生手段11は、水タンク11aと、水タンク誘導加熱コイル11bとにより構成され、水タンク誘導加熱コイル11bにインバータ回路(図示せず)によって高周波電流を供給することで水タンク11aは誘導加熱され、水タンク11a内の水が沸騰し蒸気を発生するようにしている。さらに、水タンク11aと鍋1の上面の一部は、蓋12内に設けた蒸気経路16によって接続されている。蒸気経路16の鍋1上面の開口部を蒸気孔17とする。
【0021】
水タンク11a内で発生した蒸気は蒸気経路16を通って、蒸気孔17より鍋1内へと送られる。図示していないが、蒸気経路16にはヒータを設けており、この蒸気経路16を通過する蒸気は、このヒータにより、120℃を超える温度に過熱されている(以下、過熱蒸気と呼ぶ)。このように、蒸気経路16は蒸気加熱手段である。
【0022】
着脱検知スイッチ22は、マイクロスイッチであり、水タンク11aと当接するよう配置しており、水タンク11aが炊飯器本体10内に装着されているときはオン信号を出力し、取り外されているときは、オフ信号を出力するようにしている。着脱検知スイッチ22の信号は、制御回路30上のマイクロコンピュータ(以下、マイクロコンピュータと単に呼ぶ)に入力するようにしている。
【0023】
鍋温度検知サーミスタ14は鍋1の温度を検知(以下、鍋温度と呼ぶ)するものである。具体的には、鍋1の温度変化により鍋温度検知サーミスタ14の抵抗値が変化するので、その抵抗変化分を抵抗分圧により電圧値に置き換え、制御回路30上のAD変換器に入力し、このAD変換器の変換結果をマイクロコンピュータが判定することで、鍋温度の検知を行っている。加熱板サーミスタ20による加熱板温度検知、サーミスタ23によるタンク温度検知(以下、タンク温度と呼ぶ)も同様に行っている。
【0024】
制御回路30には、メニュー選択スイッチと炊飯開始スイッチを備えており、メニュー選択スイッチで所望のメニューを選択後、炊飯開始スイッチを操作することで所望のメニューでの炊飯開始し、鍋温度検知サーミスタ14による鍋温度を入力し、鍋加熱手段である加熱コイル13と蒸気発生手段11と蒸気経路16のヒータを制御している。
【0025】
具体的には制御回路30に実装したROM内蔵のマイクロコンピュータが、メニュー選択スイッチと炊飯開始スイッチからの信号を受け、ROM上に記録しているメニューごとに予め定めている炊飯シーケンスのプログラムに従い、鍋温度検知サーミスタ14が検知する鍋温度が所定の温度カーブを描くよう、加熱コイル13(鍋加熱手段)と蒸気発生手段11と蒸気経路16のヒータの制御をしている。
【0026】
マイクロコンピュータのROMに記録している炊飯シーケンスには、米に水を吸水させる浸漬工程、強い火力で炊上げる炊上げ工程、鍋温度検知サーミスタ14による鍋1のドライアップ検知後に弱い火力で蒸らす蒸らし工程の3工程のほか、浸漬工程と炊上げ工程との間に水タンク11a内の水温を上昇させる予熱工程により構成されている。蒸らし工程では、蒸気発生手段11と蒸気経路16のヒータとにより、鍋1の上方に過熱蒸気を投入し、鍋1上部の米の火力不足を補うよう制御している。さらに蒸らし工程が終わると炊飯終了し、自動でご飯の温度を約72℃に保つ保温の動作をするようにしている。
【0027】
ここで、メニュー選択スイッチで選択可能なメニューについて説明する。本実施の形態の炊飯器では、2種類のメニューを搭載しており、一方は通常のご飯を炊く「白米」メニュー、もう一方は「白米」メニューより短時間で炊き上げる「早炊き」メニューであり、「白米」メニューでは前述の蒸らし工程の際中に過熱蒸気を鍋1内に投入するが、「早炊き」メニューでは食味より炊飯時間を優先としているため蒸らし工程中の鍋1内への過熱蒸気の投入は行わない。これは、「早炊き」メニューでは炊飯時間を短時間化するため、蒸らし工程時間を短縮した結果、過熱蒸気投入の効果が得られないためである。
【0028】
次に、水量検知手段であるサーミスタ23による水タンク11a内の水量検知について図2のフローチャートを用いて説明する。図2は本発明の第1の実施の形態における水量検知手段の動作フローチャートである。サーミスタ23は前述の通り、タンク温度を検出するほか、水タンク11aの水量検知手段の機能も有している。
【0029】
図2において、ステップS1で炊飯が開始されると、まずステップS2でマイクロコンピュータ内蔵のRAM上に準備した水量検知情報に「水量未判定」を設定する。続くステップS3では、メニューが「白米」メニューであるか判定し、「白米」メニューであればステップS4へ進み、そうでなければ水量判定を終了する。
【0030】
ステップS4では、水タンク誘導加熱コイル11bへ高周波電流を供給し、水タンク11aの加熱を開始する。続くステップS5では、ステップS4後から2分経過するまで待機し、ステップS6へ進む。ステップS6では、サーミスタ23によるタンク温度が80℃以上かを判定する。80℃以上でなければステップS7へ進み水量検知情報に「水量正常」を設定し、80℃以上ならばステップS8へと進み水量検知情報に「水量不足」を設定する。ステップS7とステップS8の後は、ステップS9へ進み、水タンク誘導加熱コイル11bへ高周波電流の供給を停止し、水量検知を終了する。
【0031】
以上の動作において、水量検知の原理について詳しく説明する。ステップS4において水タンク誘導加熱コイル11bに高周波電流を供給しているが、これは水タンク11aに所定の水量以上であると2分でタンク温度が80℃に到達しない程度の火力で加熱している。水タンク11a内の水量が減少すればするほど、一定火力で一定時間加熱したときの水タンク11aの温度上昇は大きくなる。
【0032】
つまりは、2分経過して一定の火力で加熱したとき、80℃というしきい値で判定することで、所定の水量、すなわち炊飯中に過熱蒸気として必要な水量が水タンク11a内にあるかどうかを判定できるわけである。
【0033】
なお、ステップS3で「白米」メニューではないとき水量検知を終了しているが、これは本実施の形態において「白米」メニューではないときは「早炊き」メニューなので、該メニューのとき過熱蒸気は炊飯中投入しないため、水量検知も必要ないからである。
【0034】
次に、水量検知結果を受けて、炊飯シーケンスを切替する動作を、図3のフローチャートを用いて説明する。図3は本発明の第1の実施の形態における炊飯シーケンスの切替動作フローチャートである。
【0035】
本実施の形態の炊飯器は、メニュー選択に基づいて最適な炊飯シーケンスのプログラムを実施するように構成している。図3において、ステップS1で炊飯が開始されると、まずステップS10でメニューが「白米」メニューであるか判定し、「白米」メニューであればステップS11へ進み「白米(水量正常)」シーケンスを実施する設定をし、そうでなければステップS12に進み「早炊き」シーケンスを実施する設定を行う。ステップS12の次はそのまま終了するが、ステップS11の次はステップS13へ進み、水量検知情報が「水量未判定」状態かどうかを判定し、「水量未判定」状態であればステップS13を繰り返し、そうでなければステップS14へ進む。ステップS14では、さらに水量検知情報が「水量不足」状態かどうかを判定し、「水量不足」状態であるときのみステップS15へ進む。ステップS15では実施中の炊飯シーケンスを「白米(水量不足)」シーケンスに切替え終了する。
【0036】
以上の動作において、各炊飯シーケンスについて説明する。炊飯シーケンスは前述の通り、米に水を吸水させる浸漬工程、強い火力で炊上げる炊上げ工程、鍋温度検知サーミスタ14による鍋1のドライアップ検知後に弱い火力で蒸らす蒸らし工程の3工程のほか、浸漬工程と炊上げ工程との間に水タンク11a内の水温を上昇させる予熱工程により構成されている。実際には炊飯開始時、水量検知のための動作を行った後にこれらの工程を実施することになる。
【0037】
そして、本実施の形態の炊飯器では、「白米」と「早炊き」の2メニューを備え、「白米」メニューは炊飯中に過熱蒸気を投入するメニュー、「早炊き」メニューは過熱蒸気を炊飯中に投入しないメニューとしている。この「早炊き」メニュー選択時はROM上に記録されている「早炊き」シーケンスのプログラムで動作させるが、「白米」メニューのと
きは、まず「白米(水量正常)」シーケンスで動作させ、途中「水量不足」を検知したときは「白米(水量不足)」シーケンスに切り替えて動作させる。この「白米(水量正常)」シーケンスと「白米(水量不足)」シーケンスの違いは、「白米(水量不足)」シーケンスは水タンク11a内の水量不足、すなわち炊飯中の過熱蒸気供給不足が「白米(水量正常)」シーケンスの動作のままでは発生するため、「白米(水量正常)」シーケンスに対して、蒸らし工程中の鍋1内への過熱蒸気投入は中止し、代わりに過熱蒸気の供給不足を補うため、浸漬工程の時間を10分ほど延長させ米への吸水率を高めて炊飯することで炊き上がり後の食味の低下を抑制するようにしている。
【0038】
残時間表示手段であるLCD素子を実装した制御回路30によって、炊飯終了までの目安時間(以下、残時間と呼ぶ)をマイクロコンピュータが表示制御するように構成している。
【0039】
上記構成において残時間表示手段の制御回路の表示動作を図4のフローチャートを参照しながら説明する。図4は本発明の第1に実施の形態における残時間表示手段の動作フローチャートである。本実施の形態の炊飯器は、炊飯開始から制御回路30上のLCD素子に炊飯終了までの目安時間である残時間を表示し、さらに1分ごとに減算表示するように構成している。
【0040】
図4において、ステップS1で炊飯が開始されると、まずステップS20でメニューが「白米」メニューであるか判定し、「白米」メニューであればステップS21へ進み残時間として「45分」を設定し、そうでなければステップS22に進み残時間として「30分」を設定する。ステップS22の次はそのまま終了するが、ステップS21の次はステップS23へ進み、水量検知情報が「水量未判定」状態かどうかを判定し、「水量未判定」状態であればステップS23を繰り返し、そうでなければステップS24へ進む。
【0041】
ステップS24では、さらに水量検知情報が「水量不足」状態かどうかを判定し、「水量不足」状態であるときのみステップS25へ進む。ステップS25では減算表示中の残時間を「53分」に切替え、終了する。
【0042】
以上の動作において、残時間の設定について説明する。本実施の形態の炊飯器では、「白米」と「早炊き」の2メニューを備えており、炊飯開始時は「白米(水量正常)」シーケンスまたは「早炊き」シーケンスで動作する。
【0043】
このとき、それぞれ炊飯シーケンス動作をさせたときの炊飯終了までの平均的な所要時間を「白米(水量正常)」シーケンスでは「45分」、「早炊き」シーケンスでは「30分」であり、その時間を残時間初期値として表示している。「白米」メニューで開始した後に水タンク11a内の水量不足を検知したときは、「白米(水量不足)」シーケンスに切り替えるが、本実施の形態の炊飯器では同じタイミングで「53分」の表示に切り替えるようにしている。これは、「白米(水量不足)」シーケンスは「白米(水量正常)」シーケンスに比べ10分ほど炊飯に要する時間が必要であり、さらに炊飯開始から図2のステップS5にあるように水量検知は炊飯開始から2分ほど経過して水量検知が終了するので、結局、45 + 10 −2 = 53分と表示させるようにしている。
【0044】
以上のように、本実施の形態の炊飯器は、残時間表示手段が炊飯開始から残時間表示を開始するとともに、炊飯中に過熱蒸気を鍋1内に供給するメニューにおいては、水量検知手段の水量検知結果が「水量不足」のときは、炊飯シーケンスを切り替えるとともに残時間表示手段の残時間も切替え後の炊飯シーケンスの炊飯に要する時間に合わせて変更できるので、残時間を減算表示していき略0分となるタイミングで炊飯も終了するので、残時間表示と実際の炊飯に要した時間との間の不整合を解消することができる。
【0045】
ここで、「白米」メニューで炊飯開始した場合、「45分」から表示する理由を説明する。「白米」メニューは前述の通り、炊飯中に過熱蒸気を鍋1内へ供給するメニューであるため、水量検知手段の水量検知結果によっては炊飯シーケンスを切り替える。この炊飯シーケンスを切り替えるケースは使用者が水タンク11aに水補給を忘れて炊飯を開始した場合である。
【0046】
この炊飯器は、過熱蒸気を利用してご飯の食味を向上させるものであり、多くの使用者は水補給を行って炊飯を行い、稀に水補給を忘れて炊飯を行うことを想定している。よって、水タンク11aの水量正常側のシーケンス、すなわち本実施の形態の炊飯器では「白米(水量正常)」シーケンスで炊飯を開始し、該炊飯シーケンスに適した「45分」から表示するようにし、水補給を忘れて炊飯を行ってしまった場合のみ、途中で「白米(水量不足)」シーケンスでの時間である「53分」というように、延長方向に残時間を変更するようにしている。
【0047】
(実施の形態2)
図1に示す残時間表示手段(LCD素子を実装した制御回路30)は、炊飯中に鍋1内へ過熱蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合は水量検知手段による水量検知が決定するまで、残時間を表示しないように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0048】
以上のように構成することで、「早炊き」メニューのような炊飯中に鍋1内へ過熱蒸気供給を行わないメニューの場合は炊飯開始から残時間表示を行うが、「白米」メニューのような過熱蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合は炊飯開始から水量を検知する、すなわち炊飯シーケンスが決定するまで残時間表示を行わないものである。これにより、使用者は残時間表示がされていないことを確認したとき、まだ炊飯シーケンスと炊飯の所要時間が決定していないことを認識できる。
【0049】
(実施の形態3)
図1に示す残時間表示手段(制御回路30のLCD素子)は、炊飯中に鍋1内へ過熱蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合は水量検知手段による水量検知が決定するまで、残時間を点滅表示するように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0050】
以上のように構成することで、「早炊き」メニューのような炊飯中に鍋1内へ過熱蒸気供給を行わないメニューの場合は炊飯開始から残時間表示を行うが、「白米」メニューのような過熱蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合は炊飯開始から水量を検知する、すなわち炊飯シーケンスが決定するまで残時間を点滅表示し、水量検知後、すなわち炊飯シーケンスが決定後は残時間表示を点灯表示するものである。これにより、使用者は残時間表示が点滅表示していることを確認したとき、まだ炊飯シーケンスと炊飯の所要時間が決定していないことを認識でき、このあと水量検知後に残時間表示の時間が変更される可能性を認知できる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、高温蒸気を発生し、飯の乾燥を伴わずに糊化を促進し炊飯性能の向上が可能となり、炊飯器の用途に有効である。
【符号の説明】
【0052】
1 鍋
11 蒸気発生手段
12 蓋
13 加熱コイル
16 蒸気経路
23 サーミスタ
30 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、給水される蒸気発生部を有し前記鍋へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段が発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段と、前記蒸気発生部内の水量を検知する水量検知手段と、炊飯終了までの目安時間を表示する残時間表示手段と、蒸気の供給を行うメニューと蒸気の供給を行わないメニューとを備え、前記蒸気供給を行うメニューの場合は炊飯開始から所定時間以後に前記水量検知手段によって水量検知し、この水量により決定されるシーケンスで炊飯を行い、前記蒸気供給を行わないメニューの場合には、前記水量検知手段を動作させないようにし、前記残時間表示手段は前記蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合、前記水量検知手段によって検知した水量により炊飯終了までの目安時間を変更して表示する炊飯器。
【請求項2】
残時間表示手段は、蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合は水量検知手段による水量検知が決定するまで、炊飯終了までの目安時間を表示しないようにした請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
残時間表示手段は、蒸気供給を行うメニューの炊飯の場合は水量検知手段による水量検知が決定するまで、炊飯終了までの目安時間を点滅表示するようにした請求項1に記載の炊飯器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−245298(P2012−245298A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121355(P2011−121355)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】