説明

炎症の治療に有用なピラゾール化合物

、R、X、X及びnが記載した意味を有する式(I)の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩を提供するものであり、該化合物は、リポキシゲナーゼ(例えば15-リポキシゲナーゼ)の活性阻害が所望される及び/又は必要とされる疾患の治療、特に炎症を治療するのに有用である。-


【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の分野)
本発明は化合物の薬学的な使用に関係するものであり、該化合物のいくつかは新規であり、いくつかは知られている。本発明は更に、15-リポキシゲナーゼのようなリポキシゲナーゼの活性の抑制に、したがって炎症性疾患及び広く炎症の治療における該化合物の使用に関する。本発明はまた、その抑制に有用な新化合物に、該化合物を含んでなる医薬品組成物に、及びそれらの製造のための合成ルートに関する。
【0002】
(発明の背景)
その性質が炎症性である多くの疾患/障害がある。炎症症状の現存する治療に伴う主要な問題の一つは効能の欠落及び/又は副作用(実際の又はそのように感じられるもの)の発生である。
喘息は、先進工業国の成人人口の6%〜8%で発症している慢性炎症性疾患である。子供において、発生率はさらに高く、ほとんどの国では10%に近い。喘息は、15才未満の子供の入院原因の最も一般的なものである。
喘息の治療法は症状の重篤度に基づく。軽度の症例では治療しないか、又はβ-アゴニストの吸入によって治療されるだけである。さらに重症の喘息を患っている患者は、通常は定期的に抗炎症性化合物で治療される。
【0003】
現在の維持療法(主としてコルチコステロイド類の吸入)には、少なくともある程度のリスクがあると思われるため、治療不十分な喘息がかなりある。これらには、子供の成長遅延及び骨塩量の損失という危険性が含まれ、結果として不要な罹患及び死亡に帰する。ステロイド類の代替として、ロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(LTRas)が開発されている。これらの薬剤は経口的に投与され得るが、吸入されるステロイド類に比べてかなり効果が少なく、通常、気道炎症を満足にコントロールできない。
この要因の組合せにより、全ての喘息患者の少なくとも50%が不十分な治療しか受けられない事態に至っている。
【0004】
同様のパターンの治療不十分がアレルギー疾患に関して存在し、多くの一般的症状を治療する薬剤は利用できるが、明らかな副作用のために十分には使用されていない。鼻炎、結膜炎及び皮膚炎はアレルギー要素を有し得るが、根本のアレルギーがない場合でも生じるおそれがある。実際、このクラスの非アレルギー症状は、多くの場合、治療がより困難である。
【0005】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界の人口の6%〜8%が罹患しているありふれた疾患である。該疾患は致死的となり得るおそれがあり、この病気の罹患率及び死亡率はかなりのものである。現在、COPDの経過を変えることができる薬物治療法は知られていない。
【0006】
挙げることのできる他の炎症性疾患には:
(a)肺線維症(これはCOPDほど一般的ではないが、非常に悪い予後を伴う重篤な疾患である。治療法は存在しない)、
(b)炎症性大腸炎(高罹患率を有する疾患の群。今日、このような疾患には、対症療法だけが利用できる)、及び
(c)関節リウマチ及び骨関節炎(関節のありふれた無能化炎症性疾患。現在、このような症状の管理に利用できる治癒的処置法はなく、中程度に効果的な対症療法だけが利用できる)、
が含まれる。
【0007】
また、炎症は痛みの一般的な原因である。炎症性疼痛は多くの理由、例えば感染、手術又は他の外傷により生じるおそれがある。さらに、いくつかの悪性腫瘍は、患者の総体的症状に加えて炎症要素を有することが知られている。
よって、新規及び/又は代替となる抗炎症治療法が、上述した患者群の全てにおいて有益となる。特に、実際の又は知覚される副作用を有さない、喘息等の炎症性疾患を治療できる有効な抗炎症剤に対して、真のかつ実質的に満たされていない臨床的必要性がある。
【0008】
哺乳類のリポキシゲナーゼは、とりわけアラキドン酸の酸素化を触媒する構造的に関連した酵素のファミリーである。3種類のヒトリポキシゲナーゼが知られており、これらは炭素位置5、12及び15での、アラキドン酸への分子酸素の挿入を触媒する。よって、その酵素は、それぞれ5-、12-及び15-リポキシゲナーゼと命名されている。
リポキシゲナーゼの作用後に形成されるアラキドン酸代謝産物は、炎症誘発効果を含む顕著な病態生理学的活性を有することが知られている。
例えば、アラキドン酸に対する5-リポキシゲナーゼ作用の主要産物は、多様な生理学的及び病態生理学的に重要な代謝産物に多数の酵素によりさらに転換される。これらの最も重要なものであるロイコトリエン類は強力な気管支収縮剤である。これらの代謝産物の作用、並びにそれらを形成する生物学的プロセスを阻害する薬剤を開発するために、多大な努力がなされている。このために開発された薬剤には、5-リポキシゲナーゼインヒビター、FLAP(5つのリポキシゲナーゼ活性化タンパク質)のインヒビター、及び上述したようなロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(LTRas)が含まれる。
【0009】
アラキドン酸を代謝する他のクラスの酵素はシクロオキシゲナーゼ類である。このプロセスにより生成されるアラキドン酸代謝産物には、プロスタグランジン類、トロンボキサン類、及びプロスタサイクリンが含まれ、それらの全ては生理学的又は病態生理学的活性を有する。特に、プロスタグランジンPGEは、熱及び痛みを誘発する強力な炎症誘発媒介物である。従って、「NSAIDs」(非ステロイド性抗炎症剤)及び「コキシブ(coxibs)」(選択的シクロオキシゲナーゼ-2インヒビター)を含む、PGEの形成を阻害する多くの薬剤が開発されている。これらのクラスの化合物は、主として一又は複数のシクロオキシゲナーゼの阻害を介して作用する。
よって、一般的に、アラキドン酸代謝産物の形成をブロック可能な薬剤は、炎症の治療に有効であると思われる。
【0010】
(従来技術)
ここに記載されているものに構造的に関連するある種のピラゾール化合物は、商業的に入手可能である。しかしながら、出願人の知る限りでは、これらの化合物は何れの印刷出版物にも開示されておらず、それらに帰する有用性も明らかではない。
特開平2-129171号は、さまざまなNー未置換5-トリフルオロメチルピラゾールを主成分とする農薬を開示する。医薬としてのこれらの化合物の使用は、言及も提案もされてない。
ピラゾールを主成分とする化合物はいくつかの刊行物において開示されている。例えば、国際公開第01/57024号は、電位依存的なナトリウムチャネルの封鎖に有用なさまざまなピラゾール類を開示する;国際公開第03/020217号及び国際公開第01/58869号及び米国特許第2004/0192667号は、ピラゾール類を含むさまざまな窒素を含有するヘテロ環を開示し、それらはカンナビノイド受容体のモジュレータとして有用である;国際公開第99/20294号は、嚢胞性線維症の治療に有用なピラゾール類を開示する;国際公開第 2005/007625号は、ピラゾール類を含む抗結核化合物を開示する;米国特許第2003/0091116号及び国際公開第01/19798号、国際公開第99/32454号及び国際公開第2004/055815号は、なかでも、Xa因子阻害剤として有用であり得るピラゾール類を開示する;及び国際公開第01/21160号は、ピラゾール類を含む抗ウイルス性化合物を開示する。1(N)未置換-3-アミドピラゾールの炎症治療のため及び/又はリポキシゲナーゼの阻害剤としての使用はこれらの書類の何れにも開示されていない。
【0011】
国際公開第97/19062号は、皮膚関連疾患の治療のためのさまざまなピラゾール類を開示し、更にさまざまな炎症性疾患の治療における該化合物の使用に言及する。しかしながら、この公報は、ハロ又はトリフルオロメチル基を有するピラゾール環の4-及び/又は5-位が置換された3-アミドピラゾールについて言及又は示唆していない。
国際公開第2004/096795号は、タンパク質チロシンキナーゼの阻害剤として、ピラゾールを含むさまざまなヘテロ環を開示し、国際公開第01/55115号はカスパーゼのアクティベーター及びアポトーシスのインデューサーとして有用であり得るさまざまな芳香族アミドを開示する。したがって、これらの公報において開示される化合物は、なかでも、癌の治療に有効であり得る。これらの公報のどちらにもリポキシゲナーゼの阻害剤として該化合物の使用の開示又は示唆がない。
国際公開第2005/016877号は、11β-水酸化ステロイド脱水素酵素-1の抑制に有用であり得る(したがって、なかでも糖尿病の治療に有用であり)ピラゾール類を開示する。この公報には、芳香族アミド基で3-位を置換されたピラゾール類の具体的な開示がない。
【0012】
ここに記載の化合物と構造的に関連していないいくらかのピラゾールカルボン酸ヒドラジド類が、Tihanyiら, Eur. J. Med. Chem. - Chim. Ther., 1984, 19, 433,及びGoelら, J. Chem. Inf. Comput. Sci. 1995, 35, 510に、抗炎症剤として開示されている。
Vertuaniら, Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol.74, No.9 (1985)には、抗炎症及びアレルギー活性を有する種々のピラゾール類が開示されている。ピラゾール環自体がクロロ、フルオロ又はトリフルオロメチル基で置換されたピラゾール類については記載も示唆もない。
国際公開第03/037274号には、ナトリウムチャンネルをブロックすることによりその機序が機能する、炎症性疼痛を治療するのに有用であり得る種々のピラゾール類が開示されている。この公報は第一に1(N)-置換ピラゾール類に、また4-位でアミノ基によって置換されたピラゾール類に関係する。
国際公開第03/068767号も、カリウムイオンチャネルを開くことによって炎症性疼痛を治療することに有用であり得る、とりわけピラゾール含有化合物に関する。しかしながら、この公報は特にピリミジニルアミド化合物に関する。
国際公開第 2004/080999号及び国際公開第2006/032852号は共に、炎症の治療に使用するためのさまざまな3-アミドピラゾールを開示する。しかしながら、これらの公報の何れにも、該治療に使用するためのN-未置換3-アミドピラゾールの開示又は示唆がない。
国際公開第2006/032851号は、アミド基が二環式の複素環基によって置換される炎症の治療に使用するための、さまざまな3-アミドピラゾールを開示する。しかしながら、アミド基が単環式の芳香族基によって置換される、対応する3-アミドピラゾールの開示又は示唆がない。
【0013】
(発明の開示)
本発明は、医薬として使用するための、次の式I:


[上式中、
及びRは独立にH、Cl、F、CHF又はCFを表し、但し少なくとも一つのR及びRはHを表さない、
はハロ、-R3a、-OR3q又は-S(O)N(R4j)R5jを表す、
はハロ、-R3a、-CN、-C(O)R3b、 -C(O)OR3c、 -C(O)N(R4a)R5a、 -N(R4b)R5b、 -N(R3d)C(O)R4c、 -N(R3e)C(O)N(R4d)R5d、-N(R3f)C(O)OR4e、-N、-NO、-N(R3g)S(O)N(R4f)R5f、-OR3h、-OC(O)N(R4g)R5g、-OS(O)3i、-S(O)3j、-S(O)N(R4h)R5h、-S(O)OH、-N(R3k)S(O)3m、-OC(O)R3n、-OC(O)OR3p又は-P(O)(OR4i)(OR5i)を表す、
nは、0、1、2、3又は4を表す、
mは、0、1又は2を表す、
3aは、ここで使用される場合その度ごとに、F、Cl、-N(R4b)R5b、 -N、=O及び-OR3hから選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されるC1-6アルキルを表す、
3bからR3h(R3hの場合は、ここで使用される場合その度ごとに)、R3k、R3n、R3q、R4aからR4j(R4bの場合は、ここで使用される場合その度ごとに)、R5a、R5b(ここで使用される場合その度ごとに)、R5d及びR5fからR5jは独立に水素又はF、Cl、-OCH、-OCHCH、-OCHF及び-OCFから選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されたC1-6アルキルを表す、又は、
4aとR5a、R4bとR5b、R4dとR5d、R4fとR5f、R4gとR5g、R4hとR5h、及びR4jとR5jの対の何れかは、互いに結合して3-から6-員環を形成し得て、この環はこれらの置換基に必然的に結合した窒素原子に加えて任意に更なるヘテロ原子(例えば窒素又は酸素)を含み、及び環は任意に=O及び/又はC1-6アルキルであってアルキル基が一つ以上のF原子によって任意に置換されるものによって任意に置換される、
3i、R3j、R3m及びR3pは、F、Cl、-OCH、-OCHCH、-OCHF、及び-OCFから選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されたC1-6アルキルを独立に表す]
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を提供するものである。
式Iの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩は、単離された(すなわちエクスビボ)形態であってもよい。
【0014】
薬学的に許容可能な塩には、酸付加塩及び塩基付加塩が含まれる。そのような塩は従来からの手段、例えば、場合によっては溶媒、又は塩が不溶性である媒体中において、式Iの化合物の遊離酸又は遊離塩基形態のものを、適切な酸又は塩基の一又は複数の等価物と反応させ、続いて標準的な技術(例えば真空中、凍結乾燥又は濾過)を使用して、前記溶媒又は前記媒体を除去することによって生成され得る。また塩は、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを、例えば適切なイオン交換樹脂を使用して、他の対イオンと交換することによって調製することができる。
【0015】
式Iの化合物は二重結合を含んでいてもよく、よって各個々の二重結合についてE(entgegen 反対側)及びZ(zusammen 同じ側)幾何異性体として存在しうる。全てのそのような異性体とその混合物が本発明の範囲に含まれる。
また式Iの化合物はまた互変異性を示しうる。全ての互変異性形態とその混合物が本発明の範囲に含まれる。
【0016】
式Iの化合物はまた一又は複数の不斉炭素原子を含んでいてもよく、従って光学的及び/又はジアステレオ異性を示しうる。ジアステレオ異性体は、従来からの技術、例えばクロマトグラフィー又は分別晶出を使用して分離することができる。様々な立体異性体は、例えば分別晶出又はHPLCのような従来からの技術を使用して化合物のラセミ又は他の混合物の分離によって単離することができる。あるいは、所望の光学異性体は、ラセミ化又はエピマー化を引き起こさない条件で適切な光学的に活性な出発材料を反応させ(すなわち「キラルプール」法)、続いて適切な段階で除去可能な「キラル補助基」と適切な出発材料とを反応させ、例えばホモキラル酸で誘導体化させ(すなわち、動力学的分割を含む分割)、その後に従来からの手段、例えばクロマトグラフィーにより、もしくは当業者に知られている全ての条件下で、適切なキラル試薬又はキラル触媒と反応させることによりジアステレオ異性誘導体を分離させることにより作製され得る。全ての立体異性体とその混合物が本発明の範囲に含まれる。
【0017】
他に特定されない限り、ここで定義されるC1-qアルキル(ここで、qは範囲の上限である)は直鎖状鎖であり得、あるいは炭素原子の数が十分な場合(すなわち、最小3)は分枝状鎖、及び/又は環状(そのようにして、アルキルの場合、C3-qシクロアルキル基を形成)であり得る。さらに、十分な数(すなわち、最小4)の炭素原子が存在する場合、このような基は部分的に環状/非環状であってよい。さらに、他の状態に特定しない限り、このようなアルキル基は飽和であるか、又は十分な数の炭素原子(すなわち、最小2)の炭素原子が存在する場合は他の状態に特定しない限り、不飽和(例えば、C2-qアルケニル、又はC2-qアルキニル基を形成)であってよい。
「ハロ」という用語は、ここで使用される場合は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含む。
【0018】
式Iの化合物において、当業者は(nが0を表すと与えると)-(X)は1から4の任意の置換基を表すことを理解する。nが2、3又は4を表すなら、すなわち2つ、3つ又は4つの別々の置換基がある場合において、これらの置換基が決して相互依存していない場合には、すなわちnが2を表すときに、2つのX置換基は同じ又は異なる基を表す。
疑念を避けるために、「R3bからR3h」のようなフレーズがここで使用されるときに、これはすべてこみでR3b、R3c、R3d、R3e、R3f、R3g及びR3hを意味することを当業者は理解する。
【0019】
疑念を避けるために、式Iの化合物における2以上の置換基の同一性が同じでありうる場合には、各置換基の実際の同一性は、何らの方法においても互いに依存しない。例えば、XとXが共にR3aであって、R3aがC1-6アルキル基である状況で、それぞれのアルキル基は、同じでも異なってもよい。同様に、基がここで定義されるように複数の置換基によって置換されるときに、それらの個々の置換基の同一性は相互依存していると見なされるものではない。例えば、Xが-OR3hによって置換されるC1-6アルキルを表し、Xが-OR3hを表すとき、2つの-OR3h基の同一性は相互依存していると見なされるものではない。
【0020】
挙げることができる本発明の化合物には、
は-OR3q、又は、好ましくは、ハロ又は-R3aを表すもの、及び/又は、
及びRは独立にH、Cl、F又はCFを表すものが含まれる。
挙げることができる本発明の更なる化合物には、
上に記載したように、R4bとR5bは結合しないもの、
nが1、2、3又は4を表し、少なくとも1つのX置換基が(式Iの化合物の-N(H)C(O)- 基にフェニル環の結合する位置に対する)オルト位に位置する時、Xはハロ、-R3a、-CN、-C(O)R3b、-C(O)OR3c、-C(O)N(R4a)R5a、-N、-NO、-OR3h、-OC(O)N(R4g)R5g、-OS(O)3i、-S(O)3j、-S(O)N(R4h)R5h、-S(O)OH、-OC(O)R3n、-OC(O)OR3p又は-P(O)(OR4i)(OR5i)を表すもの、
がオルト置換基を表し、及び/又は(nが1、2、3又は4の時)(式Iの化合物の-N(H)C(O)- 基にフェニル環の結合する位置に対する)オルト位に位置するX置換基がある時に、X1は-S(O)N(R4j)R5j又は、好ましくはハロを表し、及び/又はXは、ハロ、-CN、 -C(O)R3b、-C(O)OR3c、-C(O)N(R4a)R5a、-N(R4b)R5b、-N(R3d)C(O)R4c、-N(R3e)C(O)N(R4d)R5d、-N(R3f)C(O)OR4e、-N、-NO、-N(R3g)S(O)N(R4f)R5f、-OC(O)N(R4g)R5g、-OS(O)3i、-S(O)N(R4h)R5h、-S(O)OH、 -N(R3k)S(O)3m、-OC(O)R3n、-OC(O)OR3p 又は-P(O)(OR4i)(OR5i)を表すものを含む。
【0021】
式Iの好ましい化合物には、RとRが独立にH、F又はClを表すものを含む。
式Iのより好ましい化合物には、
nは2又は3(例えば2)又は、より好ましくは0又は1(例えば1)であるもの、
4aとR5a、R4bとR5b、R4dとR5d、R4fとR5f、R4gとR5g、R4hとR5h、及びR4jとR5jの対の何れかが結合するとき、それらが5-から6員環を形成し、その環が任意に更なるヘテロ原子(例えば窒素又は酸素)を含み、メチル、-CHF又はCFによって任意に置換される(それによって、例えばピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル又はピペラジニル(例えば4-メチルピペラジニル)環を形成する)もの、
3aは、F及び-OR3hから選ばれる1以上の置換基によって任意に置換されるC1-6アルキルを表すものを含む。
式Iの更により好ましい化合物には、
はCF又は、より好ましくはH、Cl又はFを表すもの、
はCHF又は、より好ましくはH、Cl又はCFを表すもの、
がClを表す場合に、RはCHF、CF又は、より好ましくは、H又はClを表すもの、
がHを表す場合に、RはCl又はCFを表すもの、
がFを表す場合に、RはHを表すもの、
がCFを表す場合に、RはH又はCFを表すもの、
がHを表す場合に、RはCF又は、より好ましくは、Cl又はFを表すもの、
がClを表す場合に、RはH又はClを表すもの、
がCFを表す場合に、RはCl、CF又は、より好ましくは、Hを表すもの、
がCHFを表す場合に、RはClを表すもの、
が、-S(O)N(R4j)R5j、好ましくは-OR3q又はより好ましくはF、Cl又はR3a(例えば、1以上のフルオロ原子によって任意に置換されるC1-3 (例えば、C1-2) アルキル (例えば、メチル) (それによって、例えば-CHF又はCF基を形成する)を表すもの、
は、F、Cl、Br、-R3a、-CN、-C(O)R3b、-C(O)OR3c、-C(O)N(R4a)R5a、-N(R4b)R5b、-N(R3d)C(O)R4c、-N(R3e)C(O)N(R4d)R5d、-N(R3f)C(O)OR4e、-N、-NO、-N(R3g)S(O)N(R4f)R5f、-OR3h、-OC(O)N(R4g)R5g、-OS(O)3i、-S(O)3j又は-S(O)N(R4h)R5hを表すもの、
3aは、1以上のF原子によって任意に置換されるC1-4アルキル(例えばエチル、イソプロピル、t-ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル又は、特に、メチル)(それによって例えば、-CHF又はCF基を形成する)を表すもの、
3b、R3c、R3h、R4aからR4h、R4j、R5a、R5b、R5d、R5fからR5h及びR5jは独立に水素又はC1-4アルキル(例えばメチル)、又は上に記載したように互いに結合し得る適切な対(例えば、R4jとR5j及び、好ましくはR4aとR5a、R4bとR5b、R4dとR5d、R4fとR5f、R4gとR4g及びR4hとR5h)を表すもの、
3dからR3gは、独立にC1-2アルキル(例えばメチル)又は、より具体的には水素を表すもの、
3i及びR3jは独立に1以上のF原子によって任意に置換されるC1-4(例えばC1-2)アルキル(例えばメチル)(それによって、例えばCF基を形成する)を表すもの、
3qは、アルキル基が未置換又は、より好ましくは1以上のフルオロ原子によって置換される(それによって、例えば、CHF又は-CF基を形成する)C1-4(例えばC1-2)アルキル(例えばメチル)を表すものを含む。
【0022】
式Iの中でより好ましい化合物には、
は、-OCF、-OCHF、-S(O)N(H)CH、-S(O)N(CH)、又はより好ましくは、F、Cl、CH又はCFを表すもの、
は、-CN、-C(O)N(R4a)R5a、-N(R4b)R5b、-N(H)C(O)R4c、-S(O)CH、-S(O)CF、-S(O)N(R4h)R5h又は、より好ましくはF、Cl、-R3a又は-OR3hを表すもの、
3aは、イソプロピル(該基が、好ましくは非置換)又はメチル(該基が上に記載したように任意に置換される)を表すもの、
3hは、1以上のフルオロ原子で任意に置換される(それによって、例えば、-CHF 又はCFを形成する)水素又は又はC1-4アルキル(例えば、エチル、イソプロピル、t-ブチル、シクロプリピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、又は、より好ましくはメチル)を表すもの、
4a、R4b、R4c、R4h、R5a、R5b及びR5hは独立に水素、メチル又はエチルを表し、又は適切な対(すなわちR4aとR5a、R4bとR5b及びR4hとR5h)はピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル又は4-メチルピペラジニル環を形成するために結合するもの、
4j及びR5jは、上に記載するように互い結合してもよく(例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル又は4-メチルピペラジニル環を形成する)又は、独立にエチル又は、より好ましくは水素又はメチルを表すものを含む。
【0023】
式Iでさらに好ましい化合物には、Xは-OCF、-OCHF、-S(O)N(H)CH、-S(O)N(CH)及び、より好ましくはF、Cl及びCFから選択され、(X)は存在しない(すなわち、nが0を表す)か、又は、より好ましくはイソプロピル又は、より詳しくは、F、Cl、CF、メチル及びメトキシから選択される単一の置換基を表すものを含む。
式Iでさらにより好ましい化合物には、
は、式Iの化合物の残りにフェニル環が結合する位置に対して、2-又は、より好ましくは3-又は、特に4-位であり、及び/又は好ましくは、-OCF、-OCHF、-S(O)N(H)CH、-S(O)N(CH)又は、より好ましくは、F又はClを表すもの、
は存在しないか、又は特にイソプロピル又は、好ましくは、F又はClを表し、及び/又は4-又は、好ましくは、2-位にあるものを含む。
特に式Iの好ましい化合物は、以下に記載されている実施例のそれらを含む。
式Iの特に好ましい化合物には、以下に記載する実施例のものが含まれる。
また式Iの化合物は、例えば以下に記載されているような、当業者によく知られている技術に従い製造され得る。
【0024】
本発明のさらなる態様では、以下のような式Iの化合物の調製方法が提供される:その方法は、
(i)RがCHF、Cl、F又はCFを表す式Iの化合物に対しては、Rが水素を表す式Iの化合物の対応する化合物と、適切な塩基(又は塩基の混合物)、例えばカリウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、水素化ナトリウム、カリウム-tert-ブトキシド、又は有機リチウム塩基、例えばn-BuLi、s-BuLi、t-BuLi、リチウムジイソプロピルアミド、又はリチウム-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(有機リチウム塩基は、添加剤(例えばリチウム配位剤(co-ordinating agent)、例えばエーテル(特にジメトキシエタン)又はアミン(例えばテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、(-)スパルテイン又は1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)等)の存在下にあってもよい)とを反応させ、続いて適切な求電子試薬、例えば:
(a)RがCHF又はCFを表す式Iの化合物に対しては、次の式II:

[上式中、RはCHF又はCFを表し、L1aは適切な脱離基、例えばハロ(例えばヨード又はブロモ)又はスルホナート基(例えば-OSOCF、OSOCH及び-OSO2−アリール(例えば-O-トシル))を表す]
の化合物を用いて反応停止させる。式IIの化合物がトリフルオロメチル化剤である時、それはテトラフルオロホウ酸ジベンゾチオフェニウム(例えばテトラフルオロホウ酸5-(トリフルオロメチル)-ジベンゾチオフェニウム)であってもよい。
又は
(b)RがCl又はFを表す式Iの化合物に対しては、これら原子の供給源を提供する求電子試薬を用いて反応停止させる。例えば塩素原子用試薬にはN-クロロスクシンイミド、塩素、一塩化ヨウ素及びヘキサクロロエタンが含まれ、フッ素原子用試薬には二フッ化キセノン、SELECTFLUOR(登録商標)([1-(クロロメチル)-4-フルオロ-1,4-ジアゾニア-ビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボラート)])、CFOF、フッ化ペルクロリル、F及びアセチルハイポフルオライドが含まれる。
【0025】
当業者はRが水素を表す式Iの対応する化合物(それに上記の反応が実行される)がピラゾール環構造の窒素原子において、好ましくは配向性メタル化基(directing metallation group)でもある保護基によって保護されることを必要とし得ることを理解する。反応は、不活性雰囲気下、常温以下(例えば、0℃から−78℃)で、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル)の存在下で実行されてよく、(適切であるならば)標準的条件下で、(例えば、ベンゼンスルホニル基が使用される場合には加水分解によって、又はSEM基が使用される場合には、EtOH中HClのでの反応によって)N-保護基の脱保護を続けて行える。
【0026】
(ii) RがCFを表す式Iの化合物に対しては、式Iの化合物であるがRがブロモ又は好ましくはヨードを表す対応する化合物を、好ましくはCuCF(又はCuCF供給源)と、例えばHMPA及びDMFの存在下で反応させる。当業者は、試薬CuCFがこのように単離されることができなくて、Burton D.G.; Wiemers D.M.; J. Am. Chem. Soc., 1985, 107, 5014-5015 and Mawson S.D.; Weavers R.T.; Tetrahedron Letters., 1993, Vol. 34, No. 19, 3139-3140に記載されている手順 (例えば, DMF中で亜鉛と例えばCFBrを反応させることによって、ZnCF (その供給源)が形成され、続いてHMPA中でCuBrで処理する)に従って準備されることを理解する。
【0027】
(iii) 式III:

[上式中、R及びRは先に記載した通りである]
の化合物又はそのN-保護及び/又はO-保護された(例えばエステル)誘導体を、式IV:

[上式中、X、X及びnは先に記載した通りである]
の化合物と、カップリング状況下で、例えば室温周辺かそれより上で(例えば、最高40〜180℃)、任意に適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ピロリジノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ-7-エン、水酸化ナトリウム、N-エチルジイソプロピルアミン、N-(メチルポリスチレン)-4-(メチルアミノ)ピリジン、ブチルリチウム(例えば、n-、s-又はt-ブチルリチウム)又は、それらの混合物)、適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ピリジン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水又はトリエチルアミン)、及び適切なカップリング剤(例えば、1,1'-カルボニルジイミダゾール、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(又はその塩酸塩)、炭酸N,N'-ジスクシニミジル、ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム、ヘクサフルオロリン酸2-(1H-ベンゾトリアゾ-ル-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム、ヘクサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリスピロリジノフォスフォニウム(yloxytrispyrrolidinophosphonium)、ヘキサフルオロリン酸ブロモトリスピロリジノフォスフォニウム、テトラフルオロ炭酸2-(1H-ベンゾトリアゾ-ル-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム、1-シクロヘキシルカるボジイミド-3-プロピルオキシメチルポリスチレン、ヘキサフルオロリン酸O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N´,N´-テトラメチルウロニウム又はテトラフルオロホウ酸O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N´,N´-テトラメチルウロニウムの存在下で反応させる。あるいは、式IIIの化合物は、任意に適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン、THF、トルエン又はベンゼン)及び適切な触媒(例えばDMF)の存在下で、はじめに適切な試薬(例えば塩化オキサリル、塩化チオニル等)で処理することによって活性化しても良い。この活性化中間体は、その後上に記載したような標準的条件下で、式IVの化合物で再反応させてもよい。
この工程を実行する代替方式は、例えば不活性雰囲気で及び適切な溶媒(例えばジクロロメタン)の存在下で、式IIIの化合物のO-保護誘導体(例えばエチルエステル)を式IVの化合物と反応させることを含み、後者の化合物はまず適切な試薬(例えば、トリメチルアルミニウム)で処理されてもよい。
【0028】
(iv) 式V:

[上式中、R及びRは先に記載した通りである]
の化合物を、上の製造工程(i)に記載したもののような適切な塩基と反応させて、続いて式VI:

[上式中、X、X及びnは先に記載した通りである]
の化合物と反応させ、続いて適切なプロトンの供給源(例えば、水、又はNHCl溶液のsat., aq.)で反応停止させる。この反応は製造工程(i)に関して上に記載したものと類似条件下で行ってもよい。そのため当業者はピラゾール窒素が保護される必要があり得ることを理解する。
【0029】
(v)Rが水素を表しRが先に記載した通りである式Iの化合物に対して、式VII:

[上式中、Jは-Si(R) 又は-Sn(R) (ここでどのRも独立に C1-6アルキル(例えば、メチル又はイソプロピル) 基又はアリール(例えば、フェニル) 基を表し、どのRも独立にC1-6アルキル(例えば、メチル又はブチル)を表す)を表し、R、X、X及びnは先に記載した通りである]
の化合物からJ基を除去する。Jが-Si(R)を表す場合は、反応はシリル基を除去するために、例えば、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下、室温で、ハロゲン化合物アニオン(例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化水素又はフッ化カリ)のような適切な試薬の存在下で実行され得る。
Jが-Sn(R)を表す場合は、反応は標準的な加水分解であり得て、例えば反応は適切な溶媒(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、MeOH又はEtOH(又はそれらの混合物))の存在下で水又は酸性水溶液(例えば、塩酸)と反応させる。
【0030】
(vi) 式VIII:

[上式中、R及びRは先に記載した通りである]
の化合物は、先に記載した式IVの化合物と、例えば、上の製造工程(iii)に関して先に記載したようなカップリング条件下で反応させる。好ましい条件には、カップリング試薬なしで、塩基、溶媒の存在下での反応が含まれる。この場合、式IVの化合物は過度に使用してもよい。
(vii) R又はRの1つがCHF、CF、Cl又はFを表し、他方がHを表す式Iに対し、任意に(製造工程(i)に関して先に記載したもののような)添加剤の存在下で、R又はRがブロモ又はヨードを表し他方がHを表す式Iの対応する化合物を、(適切であるならば)適切な有機リチウム塩基(例えば、t-BuLi、s-BuLi又はn-BuLi)と反応させ、続いて先に記載したような式IIの化合物又は、上の製造工程(i)に関して記載したもののような塩素の供給源又はフッ素原子で反応停止させる。
この反応は、製造工程(i)に関して先に記載されているような適切な溶媒の存在下、不活性雰囲気下、低温度(例えば、−78℃から−120℃)で行ってもよい。
【0031】
(viii) 式VIIIA:

[上式中、R及びRが先に記載した通りである]
の化合物又はそのN-保護(例えば、ピラゾール窒素において)誘導体を、式VIIIB:

[上式中、Lはハロ(例えば、クロロ、ブロモ及びヨード)のような適切な脱離基、-OSOCF、 -B(OH)、-Sn(R) (ここで、Rは先に記載した通りである)、-Pb(OC(O)CH)、-Bi(W)、-Bi(W)(OC(O)CH)、-Bi(W)(OC(O)CF)又は-I(W)(BF)(Wはアリール又はヘテロアリール基を表し、それらは共に任意に先に記載した通りのXから選択される1以上の基と置換される(例えば、Wは先に記載した通りの式Iの化合物のフェニル環を表す))を表し、X、X及びnは先に記載した通りである]
の化合物と、好ましくはPd又はCuを含む触媒の存在下で、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、カリウムtert-ブトキシド及びリチウムN,N-ジイソプロピルアミドのような塩基の存在下で反応させる。挙げることのできる触媒は Pd(dba)トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を含み、挙げることのできる塩基は炭酸セシウムを含み、挙げることの出来るリガンドは2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチルを含み、及び挙げることのできる溶媒はトルエンを含む。このような反応は不活性(例えばアルゴン)雰囲気下、高い温度(例えば、約90℃で)実施してもよい。
【0032】
がH又はCFを表す式III(又はその誘導体)の化合物は、式IX:

[上式中、RはH又はCFを表し、Rは先に記載した通りである]
の化合物又はエノールエーテル等価物(例えば、メチルエノールエーテル又はシリル(例えばトリメチルシリル)エノールエーテル)、又はそのO-保護(例えばカルボキシル酸で)誘導体を、ヒドラジン(又はその水和物又は誘導体(例えばベンジルヒドラジン))と高い温度(例えば、還流で)でアルコール溶媒(例えばEtOH)の存在下で反応させることによって調製してもよい。
又はRの一つがCl又はFを表し他方がCHF、H又はCFを表すか、又はR及びRが共にCl又はFを表す式IIIの化合物は、R及びRが共にHを表すか又はR又はRの一つがHを表し他方がCHF又はCFを表す式IIIの対応する化合物を、式Iの化合物(上の製造工程(i)(b))の調整に関して先に記載したもののような窒素の供給源又はフッ素原子を供給する求電子試薬と、当業者が知っている反応条件下、例えば適切な溶媒(例えば、水)の存在下で反応させることによって調整してよい。このように、適切な4-ハロ、5-ハロ又は4,5-ジハロ置換されたピラゾール類は、このような方式により調製され得る。
又はRの一つがフルオロを表し他方がHを表す式IIIの化合物は、(適切であるならば)当業者が知っている条件下、ニトロ基をフルオロ基(例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化テトラメチルアンモニウム又はフッ化テトラブチルアンモニウム)に転換するために適切な試薬を使用して、4-ニトロピラゾール-3-カルボキシル酸又は5-ニトロピラゾール-3-カルボキシル酸から調製してもよい。
【0033】
又はRの一つがCl又はFを表し他方がHを表す式IIIの化合物は、式IIIであるがR又はRの一つがアミノを表し他方がHを表す対応する化合物(適切であるならば;例えば4-又は5-アミノピラゾール-3-カルボキシ酸)の反応によって、続いてアミノ基をジアゾニウム塩に(当業者が知っている試薬及び条件を使用して、例えば、NaNO及びHCl、5℃で)転換し、その後Cl又はFに転換するために適切な求核試薬を加えることによって調製してもよい。適切な求核試薬は、カリウム、ナトリウム、塩化銅又はフッ化銅を含む。あるいは、フルオロ基を導入するために、適切なジアゾニウム塩はフルオロホウ酸(例えば、テトラフルオロホウ酸)の供給源を提供する化合物で、例えばNaBF、HBF又はNH4BFの冷却溶液の導入によって処理してもよく、それによって適切なジアゾニウムフルオロホウ酸(例えばテトラフルオロホウ酸塩)は形成され、その後過熱されてもよい。
が CHF、F、Cl又はCFを表す式IIIの化合物は、R1がHを表す対応する化合物から、例えばR. Storerら, Nucleosides & Nucleotides 18, 203 (1999)に記載されている方法に従って調整されてもよい。CHF、F、Cl又はCFの導入のために使用できる適切な試薬は、式Iの化合物の調整(上の製造工程(i))に関して記載した通りである。
【0034】
式IIIの化合物は、変わりに式X:

[上式中、R又はRは先に記載した通りである]
の化合物を、当業者は知っている酸化条件下、例えば適切であるならば、穏やかな又は(例えば、熱した還流下の過マンガン酸カリウム水溶液を使用した)強い酸化条件下で酸化によって調製してもよい。
が先に記載されている通りである(例えば、H、Cl又はF)式IIIの化合物は式XI:

[上式中、R1は先に記載した通りである]
の化合物、又はそのN-保護及び/又はO-保護(例えば、エステル)誘導体の反応によって調節してもよい。
はCl又はFを表す式IIIの化合物に対して、フルオキシ硫酸セシウムのような適切なハロゲン化試薬(例えば、塩素化又はフッ素化)又は製造工程(i)(b)に関して先に記載したものとを反応させることにより、任意で適切な溶媒(例えば、へキサン、ジエチルテトラヒドロフラン、又は1,4-ジオキサン又はそれらの混合物)の存在下、当業者の知っている条件で調製されてもよい。RがHを表す式IIIの化合物に対して、式I(製造工程(v))の調製に関して先に記載したものの通りの試薬に及び条件下で反応させてよい。
【0035】
及びRは先に記載した通りである式IIIの化合物は、式XIA:

[上式中、R及びRは先に記載した通りである]
の化合物の酸化によって、当業者は知っている酸化条件下で(例えば、式Xの化合物から)上の式IIIの化合物の調整に関して先に記載した通り調製されてよい。

はHを表しRが先に記載さえた通りである(及び好ましくはCl又はF)式IIIの化合物(又はその保護された誘導体)は式XIB:

[上式中、Rは先に記載した通りである(及び好ましくはCl又はFを表す)]
の化合物又はその保護された誘導体(例えばC1-6(例えばエチル)エステルのようなエステル)を、ジアゾメタン又はその保護された誘導体(例えば、トリメチルシリルジアゾメタン)と、例えば当業者が知っている条件で(例えば、適切な溶媒(例えば、ジエチルエステル)の存在下で、及び/又は低温(例えば、0℃から室温)で)反応させることによって調製されてよい。
【0036】
式III又はXの化合物は、式Vの対応する化合物を、例えば製造工程(i)式Iの化合物の調製に関して記載したものの(特にオルガノリチウム)ような適切な塩基と反応させ、続けて求電子試薬と反応させることによって調製されてよい。例えば、式IIIの化合物に関して、カルボン酸基(又は、その保護された誘導体)導入のために、求電子試薬はCOの供給源(例えば、COガス)であってその添加の後に適切なプロトン供給源(例えば、HCl)の添加が続くもの、又は下に記載した通りの式XVの化合物、又は式Xの化合物の場合は下に記載した通りの式XVIの化合物(例えば、ヨウ化メチル)かその類であってよい。
【0037】
が-SON(R4j)R5jを表し、X、n、R4j及びR5jが先に記載した通りの式IVの化合物は、式XIC:

[上式中、X及びnは先に記載した通りである]
の化合物を、式XID:

[上式中、R4j及びR5jは先に記載した通りである]
の化合物と、例えば当業者は知っている条件下で(例えば、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)及び適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で)反応させ、続いて、例えば業者であれば知っている条件下(例えば、適切な触媒(例えば、Pd担持炭素 (10%))及び適切な溶媒(例えば、MeOH)の存在下)で、単離されたニトロ中間体の水素化させることによって調製されてよい。
【0038】
式Vの化合物は式XIE:

[上式中、J及びRは先に記載した通りである]
の化合物又はそのN-保護誘導体から、例えば式Iの化合物の調製(製造工程(v))に関して又は式IIIの化合物の調製(式XIの化合物と反応させることを含む方法)に関して先に記載したような当業者が知っている試薬及び手順によって調製されてよい。
式VIIの化合物は先に記載した通りの式IVの化合物を、
(I)式XII:

[上式中、R及びJは先に記載した通りである]
の化合物又は、
(II)先に記載した式XIの化合物(又はそのN-保護された及び/又O-保護された(例えば、エステル)誘導体)の化合物のどちらかと、例えば式Iの化合物の調製(上の製造工程(iii)又は(vi))に関して先に記載したものと同様のカップリング条件下で、反応させることによって調製してもよい。
【0039】
式VIII及びXIIの化合物は、式IIIの化合物及び式XIの化合物からそれぞれ、二量化条件下、例えば塩化チオニル又は塩化オキサリルの存在下(任意に、製造工程(iii)に関して先に記載したような、適切な溶媒及び触媒の存在下)で調製されてよい。他の二量化試薬には、任意に適切な塩基(例えば、任意に4-ジメチルアミノピリジン)の存在下で、カルボジイミド類、例えば1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド又は1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDCI、又はその塩酸塩)が含まれる。
【0040】
はCHF、Cl、F又はCFを表す式Xの化合物はRがHを表す式Xの対応する化合物(又はその誘導体)から、例えば、式Iの化合物の調製(上の製造工程(i))に関して先に記載した条件下及び試薬を使用して調製されてよい。
あるいは、式Xの化合物はN-保護された式XIIA:

[上式中、Tは任意にC1-6アルキル(例えば、メチル)を表し、R及びRは先に記載した通りである]
の化合物によって、当業者は知っている脱アルキル化条件下、例えば高温(例えば、150℃から220℃)において適切な試薬(例えば、塩酸ピリジン)による反応によって調製されてよい。このような反応は適切な溶媒の存在下で実施されてよいが、好ましくは更なる溶媒は存在しない。
あるいは、式Xの化合物は式XIIB:

[上式中、J及びRは先に記載した通りである]
の化合物又はそのN-保護された誘導体から、式Iの化合物の調製(製造ルート(v))、又は式IIIの化合物の調製(式XIの化合物による反応を含む方法)に関して先に記載したは当業者が知っている試薬と方法を使用して、調製されてよい。
【0041】
は先に記載した通りであり、好ましくはH又はCFを表すの式XIの化合物(又はそのN-保護された及び/又はO-保護された(例えば、エステル)誘導体)は、式XIII:

[上式中、Rは先に記載した通りのRを表し、好ましくはH又はCFを表し、Jは先に記載した通りである]
の化合物を式XIV:

の化合物又はその0-保護された(例えば、エステル)誘導体と、例えば高い温度(例えば、80℃と120℃の間)で1から3日間、任意に不活性ガスの存在下で、好ましくは溶媒の存在なし、反応させることによって調整されてよい。
【0042】
及びJは先に記載した通りである式XIの化合物(又はN-保護された及びO-保護された(例えば、エステル)誘導体))は先に記載した通りの式XIIBの化合物の酸化によって、例えば式IIIの化合物の調製(式Xの化合物による反応を含む方法)に関して先に記載した通りの、当業者は知っている酸化条件下で、調整されてよい。
あるいは、R及びJは先に記載した通りである式XI及びXIIBの化合物(又は、該当する場合はそのN-保護された及び/又は0-保護された誘導体))は、先に記載した通りの式XIEの化合物を、上の工程(i)に挙げた通りの適切な塩基(又は、塩基の混合物)と反応させ、続いて
(a)式XIの化合物に対して、COの供給源(例えば、COガス;その添加に続いて適切なプロトン供給源が添加される(例えば、HCl))又は式XV:

[上式中、RはC1-6アルキルを表し、L1cはハロ(例えば、ヨード、ブロモ又はクロロ)のような適切な脱離基を表す]
の化合物、又は
(b)式XIIBに対して、式XVI:

[上式中、L1dはハロ(例えば、ヨード又はブロモ)のような適切な脱離基を表し、又はスルホン酸基(例えば、-OSOCF、OSOCH及び-OSO2-アリール(例えば、-O-トシル))を表す]
の化合物又はその類
のような適切な求電子試薬で反応停止させることによって調製されてよい。
【0043】
式XIAの化合物は、1-ヨウ化アミノピリジニウムを式XVII:

[上式中、R及びRは先に記載した通りであり、二重結合の幾何構造はシス又はトランスであってよい]
の化合物と、例えば(適切な塩基の存在下(例えば、炭酸カリウム)及び適切な溶媒(例えば、THF))当業者が知っている条件下で反応させることによって、調製されてよい。当業者は二重構造周辺の幾何構造は反応の位置選択性に影響を及ぼし得ることを理解する。
式XIEの化合物は式XVIII:

[上式中、R及びJは先に記載した通りである]
の化合物を、ジアゾメタンと、当業者が知っている条件下、例えばT. Hanamoto 等, Chem. Commun., 2041 (2005)に記載されている方法に従って、適切な溶媒(例えば、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラハイドロフラン又は1,4-ジオキサン又はそれらの混合物)の存在下で、任意に不活性ガスの存在下で反応させることによって調製されてよい。
【0044】
式I、IV、V、VI、VIIIA、VIIIB、IX、XIB、XIC、XID、XIIA、XIII、XIV、XV、XVI、XVII及びXVIIIの化合物は商業的に入手可能であり、文献においても公知で、又は適切な試薬と反応条件を使用し、入手可能な出発物質から標準的な技術に従い、従来からの合成手順により、もしくはここに記載した方法に類似したようにして得てもよい。この点において、当業者は、とりわけ「Comprehensive Organic Synthesis」, B. M.Trost及びI. Fleming, Pergamon Press, 1991を参照してよい。
【0045】
先に記載した置換基X及び(存在するなら)Xは、当業者によく知られている方法により、式Iの化合物の調製のために上述した方法後又はその間に、一回以上修飾されてもよい。このような方法の具体例には、置換、還元、酸化、アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、及びエーテル化が含まれる。前駆体基は、異なるこのような基に、又は式Iに記載した基に、反応列の間の任意の時間で変化させることができる。R又はRがCl又はF基を表す場合において、このような基は、式Iの化合物の調製のために先に記載した方法後又はその間に、一回以上相互転換(又は、他のハロ基から転換)されてもよい。適切な試薬には、NiCl(クロロ基への転換用)が含まれる。当業者は、「Comprehensive Organic Functional Group Transformations」, A. R. Katritzky, O. Meth-Cohn及びC. W. Rees, Pergamon Press, 1995を参照してもよい。
挙げてもよい他の変換反応は、ハロ基(好ましくは、ヨード又はブロモ)のシアノ又は1-アルキニル基(例えば、シアノアニオン類(例えばナトリウム、カリウム、銅(I)又は亜鉛のシアン化物)の供給源である化合物と、又は適切であるならば1-アルキンと反応させることによって)への転換を含む。後者の反応は、適切なカップリング触媒(例えばパラジウム及び/又は銅をベースにした触媒)及び適切な塩基(例えばトリ-(C1-6アルキル)アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン又はエチルジイソプロピルアミン)の存在下で実施してもよい。さらに、アミノ基及び水酸基を当業者が知っている試薬を使用して標準条件に従って導入されてよい。
本発明の化合物は従来からの技術を使用して、それらの反応混合物から単離されてよい。
【0046】
当業者であれば、上述及び以下に記載するプロセスにおいて、中間化合物の官能基が、保護基により保護される必要があり得ると理解しているであろう。例えばピラゾール窒素は、保護される必要があり得る。適切な窒素保護基には:
(i)カルバマート基(例えば、アルコキシ-又はアリールオキシ-カルボニル基)、
(ii)アミド基(例えばアセチル基)、
(iii)N-アルキル基(例えば、ベンジル又はSEM基)、
(iv)N-スルホニル基(例えば、N-アリールスルホニル基)、
(v)N-ホスフィニル及びN-ホスホリル基(例えば、ジアリールホスフィニル及びジアリールホスホリル基)、又は
(vi)N-シリル基(例えばN-トリメチルシリル基)、
を形成するものが含まれる。
さらに、当業者は、2つの保護された官能基がある場合(例えば、式IIIの化合物のカルボン酸基がエステルであり、ピラゾール窒素がベンゼンスルフォニル基で保護されている場合)、そして両基が一工程(例えば、当業者が知っている加水分解工程)で脱保護され得ることを理解する。
【0047】
ピラゾール窒素のためのさらなる保護基にはメチル基が含まれ、メチル基は、例えば高温でピリジン塩酸塩を使用する、例えば200℃の密封容器にマイクロ波照射を使用する等の、標準的な条件下で脱保護されてよい。
官能基の保護及び脱保護は、上述したスキームにおいて、反応の前後に実施してよい。
保護基は当業者によく知られた以下に記載するような技術に従って取り除くことができる。例えば、ここで記載した保護化合物/中間体は標準的な脱保護技術を使用して非保護化合物に化学的に転換されてよい。
関連する化学のタイプにより、保護基の必要性、種類並びに合成を達成するためのシーケンスが決定されるであろう。
保護基の使用は、「Protective Groups in Organic Chemistry」, J W F McOmie編, Plenum Press(1973)、及び「Protective Groups in Organic Synthesis」, 3版, T.W. Greene及びP.G.M. Wutz, Wiley-Interscience(1999)に十分に記載されている。
式Iの化合物とその塩は、薬理活性を有するので有用である。そのため、当該化合物/塩は医薬として有効である。
式Iのいくらかの化合物は本質的に新規である。
【0048】
先に記載した式Iの化合物のX及びXを有するフェニル基は以下のように表されてよい:

[上式中、結合を切り離している波線は、フェニル基が式Iの化合物の残りに結合する場所を表し、X、X、X、X及びX7の一つは先に記載したXを表し、他方はH又は先に記載した通りのXを表す]
本発明の更なる態様に関して、上に記載した通りの式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩が提供され、但し、
(A)RはClを表す時、RはHを表し、及び、
(1)X、X、X及びX全てがHを表す場合、XはBr、I又は-C(O)CHを表さない、
(2)X、X、X及びX全てがHを表す場合、Xは-C(O)CHを表さない、
(3)X、X及びX全てがHを表す場合、Xがメチル又はメトキシを表す時XはClを表さない、
(4)X、X及びX全てがHを表す場合、X及びXが共に-C(O)OCH又は-C(O)O-イソプロピルを表さない、
(5)X、X及びX全てがHを表す場合、Xがメチルを表す時XはFを表さない、
(6)X、X及びX全てがHを表す場合、Xが-NOを表す時XはFを表さない、
(7)X、X及びX全てがHを表す場合、Xがメチルを表す時Xはイソプロピルを表さない、
(8)X、X及びXはHを表す場合、X及びXは共にメトキシを表さない、
(9)X、X、X及びX全てHを表す場合、Xはメトキシを表さない、又は
(B)RがHを表す時、RがCFを表し、X、X及びX全てがHを表す場合、Xが-NOを表す時Xがクロロ又はCFを表さない化合物。
【0049】
本発明のまた更なる態様に関して、更なる条件を有する、上に記載した通りの式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩が提供され、RはCFを表す時、
(I)RはH又はClを表し、XはHを表し、及び、
(a)X、X及びX全てはHを表す場合、XはCFを表さない、
(b)X及びXは共にHを表す場合、Xが-NOを表す時Xはブロモを表さない
(c)X及びXは共にHを表す場合、XがCFを表す時Xはクロロを表さない、
(d)XはHを表す場合、Xが-NOを表しXがクロロを表す時Xはクロロを表さない、
(II)RはH又はClを表す場合、X、X、X、X及びXは全てFを表さない、
(III)RはClを表し、X、X及びX全てがHを表す場合、Xが-NOを表す時Xはクロロ又はCFを表さない、
(IV)RはHを表しXはClを表す場合、
(i)X、X、X及びXは全てHを表さない、
(ii)X及びXがH又はClを表しXがHを表す時XはClを表さない、
(iii)X、X及びX全てがHを表す時、XはCl又はBrを表さない、
(iv)XがH、Cl又は-NOを表しX及びXが共にHを表す時、XはClを表さない、
(v)XがClを表しX及びXが共にHを表す時、XはClを表さない、
(v)RはHを表しXはBrを表す場合、X、X及びX全てがHを表す時Xは-OCFを表さない、
(VI)RはHを表し及びXはF又はIを表す場合、X、X及びX全てがHを表す時Xは-NOを表さない。)
(VII)RはHを表しXは-NOを表す場合、X、X及びX全てがHを表す時XはCl又はCFを表さない、
(VIII)RはHを表しXはCFを表す場合、X及びXが共にHを表しXがClを表す時Xは-NOを表さない、
(IX)RはHを表しXはCFを表す場合、X、X及びX全てHを表す時XはClを表さない。
【0050】
式Iの化合物及びその塩は薬学的活性を有しているけれども、このような活性を有していないが、非経口的に又は経口的に投与された後、体内で代謝されて本発明の化合物を形成し得る、本発明の化合物のある種の薬学的に許容可能な(例えば「保護された」)誘導体も存在し得、又は調製され得る。(このような活性が、代謝された「活性」化合物の活性よりもかなり低いという条件で、ある薬学的活性を持ちうる)そのような化合物は、従って本発明の化合物の「プロドラッグ」として記述されうる。本発明の化合物の全てのプロドラッグは、本発明の範疇に含まれる。
「式Iの化合物のプロドラッグ」に、我々は、経口又は非経口投与後に、予め定めた時間(例えば、約1時間)内に実験的に検出可能な量で本発明の化合物を形成する化合物を含める。
【0051】
式I及びその塩の化合物は、それらが、例えば以下に記載の試験に示されるように、リポキシゲナーゼ(特に15-リポキシゲナーゼ)の活性を阻害し得る、すなわち、それらが、15-リポキシゲナーゼ、又は15-リポキシゲナーゼ酵素が一部を形成する複合体の作用を防止するか、及び/又は15-リポキシゲナーゼ調節効果を引き出すために有用である。よって、本発明の化合物は、リポキシゲナーゼ、特に15-リポキシゲナーゼの阻害が必要とされる症状の治療に有用である。
しかして、式Iの化合物は、炎症の治療に有用であることが予期される。
【0052】
「炎症」という用語は、先に記載したような身体外傷、感染、慢性疾患によって誘発されうる局所的又は全身性保護反応、及び/又は外部刺激に対する化学的及び/又は生理学的反応(例えばアレルギー反応の一部として)によって特徴付けられる任意の症状を含むと当業者に理解される。有害な薬剤と傷ついた組織の双方を破壊、希釈又は隔離する作用をするあらゆるそのような応答は、例えば発熱、腫れ、痛み、発赤、血管拡張及び/又は血流増加、白血球の罹患領域への侵入、機能喪失及び/又は炎症症状に伴うことが知られている任意の他の徴候に顕れうる。
【0053】
よって、「炎症」という用語は、任意の炎症性疾患、障害又は症状自体、それを伴う炎症要素を持つ任意の症状、及び/又はとりわけ急性、慢性、潰瘍、特異性、アレルギー性及び壊死性炎症、及び当業者に知られている炎症の他の形態を含む、徴候として炎症を特徴とする任意の症状を含むものとまた理解される。よって、その用語はまた本発明の目的に対して炎症性疼痛及び/又は発熱を含む。
従って、式I及びその塩の化合物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、アレルギー性疾患、鼻炎、炎症性腸疾患、潰瘍、炎症性疼痛、発熱、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、血管炎、膵炎、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、結膜炎、虹彩炎、強膜炎、ブドウ膜炎、創傷、皮膚炎、湿疹、乾癬、脳卒中、糖尿病、自己免疫疾患、アルツハイマー病、多発性硬化症、サルコイドーシス、ホジキン病、及び他の悪性腫瘍、及び炎症要素を伴う任意の他の疾患の治療に有用であり得る。
【0054】
また式I及びその塩の化合物は、主題における骨減少の低減等、炎症メカニズムに関連していない効果も有している。この関連において挙げることができる症状には、骨粗鬆症、骨関節炎、パジェット病及び/又は歯周病が含まれる。よって、式1の化合物及びその薬学的に許容可能な塩は、主題における骨塩量の増加、並びに発症率の減少、及び/又は骨折の治癒にも有用であり得る。
式I及びその塩の化合物は、上述した症状の治癒的及び/又は予防的治療の双方の効果を有する。
【0055】
本発明のさらなる態様においては、リポキシゲナーゼ(例えば15-リポキシゲナーゼ)の阻害に関連した及び/又は調節可能な疾患の治療方法、及び/又はリポキシゲナーゼ、特に15-リポキシゲナーゼの活性阻害が所望される及び/又は必要とされる疾患(例えば炎症)の治療方法を提供するものであり、該方法は、先に記載した式I及びその塩の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の治療的有効量をこのような症状を患っている又は影響を受けやすい患者に投与することを含む。
【0056】
「患者」は哺乳動物(ヒトを含む)の患者を含む。
「有効量」という用語は、治療された患者に治療効果を付与する化合物の量を意味する。効果は客観的(すなわち、ある試験又はマーカーで測定可能)であり得るか、又は主観的(すなわち、主体が効果の顕れを示すか又は効果を感じる)であり得る。
式I及びその塩の化合物は通常、経口的、静脈内、皮下的、口腔的、経直腸的、経皮的、経鼻的、経気管的、経気管支的、舌下的に、任意の他の非経口経路によって又は吸入によって、薬学的に許容可能な投薬形態で投与される。
【0057】
式I及びその塩の化合物は単独で投与してもよいが、好ましくは、経口投与のための錠剤、カプセル剤又はエリキシル剤、直腸投与のための坐薬、非経口又は筋肉内投与のための滅菌液又は懸濁液等々を含む既知の薬学的製剤によって投与される。
そのような製剤は標準的な、及び/又は認められている薬学的実務に従って調製することができる。
【0058】
よって、本発明のさらなる態様においては、先に記載した通りの式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤が提供される。
この発明はさらに、上述したような薬学的製剤の製造方法を提供するものであり、該方法は、ここで特定される式Iの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈液又は担体とを組合せることを含む。
また式I及びその塩の化合物は、ここで定められる炎症の治療に有用な他の治療剤(例えば、NSAIDs、コキシブ、コルチコステロイド類、鎮痛剤、5-リポキシゲナーゼのインヒビター、FLAP(5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質)のインヒビター、及びロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(LTRas)、及び/又は炎症の治療に有用な他の治療剤)と組合せてもよい。
【0059】
本発明のさらなる態様では、
(A)先に記載した式Iの化合物、及び
(B)炎症の治療に有用な他の治療剤、
を含む組合せ品であって、成分(A)及び(B)の各々が薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合されて製剤化されている組合せ品が提供される。
そのような組合せ品は他の治療剤との併用での本発明の化合物の投与をもたらし、よって、その製剤の少なくとも一つが本発明の化合物を含み、少なくとも一つが他の治療剤を含む別個の製剤として提供でき、あるいは組合せ調製品(すなわち、本発明の化合物と他の治療剤を含む単一製剤)として提供(製剤化)され得る。
【0060】
よって、さらに次のものが提供される:
(1)先に記載した式Iの化合物、炎症の治療に有用な他の治療剤、及び薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体を含む薬学的製剤、及び
(2)(a)先に記載した本発明の化合物を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤、及び
(b)炎症の治療に有用な他の治療剤を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤、
の成分を含むパーツのキットであって、成分(a)及び(b)がそれぞれ他方と併用して投与するのに適した形態で提供されるキット。
【0061】
本発明は、上述したような組合せ品の製造方法を提供するものであり、該方法は、先に記載した式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、炎症の治療に有用な他の治療剤、及び少なくとも一つの薬学的に許容可能なアジュバント、希釈液又は担体とを組合せることを含む。
「組合せる」とは、2つの成分が、互いに併用投与に適していることを意味する。
例えば、2つの成分を互いに「組合せ」ることにより、上述したキットのパーツを調製する方法に関して、キットのパーツの2つの成分は:
(i)併用療法において、互いに併用して使用されるために、ついで一緒にされる、別個の製剤(すならち互いに独立している)として提供されてもよく、又は
(ii)併用療法において、互いに併用して使用されるために、「組合せ包装品」の別個の成分として包装され、共に提供されてもよい、
ことを含む。
【0062】
式I及びその薬学的に許容可能な塩の化合物は様々な用量で投与されてよい。経口用量は、約0.01mg/kg体重/日(mg/kg/日)から約100mg/kg/日、好ましくは約0.01から約10mg/kg/日、より好ましくは約0.1から約5.0mg/kg/日の範囲であり得る。例えば経口投与では、組成物は典型的には約0.01mgから約500mg、好ましくは約1mgから約100mgの活性成分を含む。経静脈的には、最も好ましい用量は一定速度の注入の間、約0.1から約10mg/kg/時間の範囲である。有利には、化合物は単一の毎日の用量で投与することができ、又は毎日の全用量を、毎日2回、3回又は4回の分割量で投与してもよい。
とにかく、医師又は当業者であれば、個々の患者に最も適し、投与経路、治療される症状のタイプと重症度、並びに治療される特定の患者の種、年齢、体重、性別、腎機能、肝機能及び応答によって変わり得る実際の用量を決定することができるであろう。上記の用量は平均的な場合の例であり、より高い又は低い用量範囲が有利となる個々の場合ももちろん有り得、それも本発明の範囲内である。
【0063】
本発明の化合物は、リポキシゲナーゼ、特に15-リポキシゲナーゼの効果的及び/又は選択的なインヒビターであるという利点を有する。
また式Iの化合物は、それらが、述べた兆候に用いられるかどうかにかかわらず、従来技術で知られている化合物よりも、より効能があり、毒性が少なく、より長く作用し、より強力で、副作用が少なく、より吸収されやすく、及び/又はより良好な薬物動態学的特性を有し(例えばより高い経口バイオアベイラビリティ及び/又はより低いクリアランス)を持ち、及び/又は他の有用な薬理学的、物理的、又は化学的性質を有しうるという利点を持っている。
【0064】
生物学的試験
使用するアッセイでは、1,4-シス-ペンタジエン立体配置を有する多価不飽和脂肪酸を、対応するヒドロペルオキシ又はヒドロキシル誘導体に酸化させる、リポキシゲナーゼの能力を利用する。この特定のアッセイにおいて、リポキシゲナーゼは精製されたヒト15-リポキシゲナーゼであり、脂肪酸はアラキドン酸である。アッセイは室温(20-22℃)で実施され、続いて、次のものが96-ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに添加される:
a)35μLのリン酸緩衝食塩水(PBS)(pH7.4);
b)インヒビター(すなわち化合物)又はビヒクル(0.5μlのDMSO);
c)10μLの、PBSに15-リポキシゲナーゼが入った10倍濃縮液;プレートを室温で5分間インキュベート;
d)5μlの、PBSに0.125mMのアラキドン酸が入ったもの;ついで、プレートを室温で10分間インキュベート;
e)100μlのメタノールを添加することにより、酵素反応を停止;及び
f)15-ヒドロペルオキシ-エイコサテトラエン酸又は15-ヒドロキシ-エイコサテトラエン酸の量を逆相HPLCにより測定。
【0065】
本発明を次の実施例によって例証するが、そこでは次の省略を用いてよい:
aq. 水溶液
BuLi n-ブチルリチウム
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
MeOH メタノール
MS 質量スペクトル
NMR 核磁気共鳴
rt 室温
sat. 飽和
TBTU テトラフルオロホウ酸O-ベンゾトリアゾール-1-N,N,N',N'−テトラメチルウロニウム
THF テトラヒドロフラン
以下に記載する合成において特定される出発材料と化学試薬は、例えばシグマ-アルドリッチファインケミカルズ社から商業的に入手可能である。
特に明記しない限り、以下に記載されている実施例の化合物の一つ以上の互変異性形態は、インサイツ及び/又は単離して調製されてよい。以下に記載されている実施例の化合物の全ての互変異性形態は、開示されたと考えられなければならない。
【0066】
(中間体の合成)
1-ベンゼンスルフォニル-3-メチルピラゾール(I)
アセトニトリル中の 3-メチルピラゾール (5g,60.9mmol)と塩化ベンゼンスルフォニル(8.55mL,67mmol) とトリエチルアミン (9.3mL,67mmol)の混合物は二時間還流下で熱し、冷却させて濃縮した。EtOAc(300mL)を加え、その溶液を濾過し濃縮して固体の残留物を得て、それはEtOAcから結晶化してオフホワイト色粉末として標記化合物を得た(収量:7.92g,58%)。
1H-NMR(DMSO-d6): δ 8.35 (d, 1H), 7.97-7.94 (m, 2H), 7.78 (tt, 1H), 7.66 (t, 2H), 6.43 (d, 1H), 2.17 (s, 3H).
【0067】
5-クロロ-1-(2-クロロベンゼンスルフォニル)-3-メチルピラゾール (II)
BuLi (1.6M,5.9mL,9.45mmol)はアルゴン下で、−78℃の1-ベンゼンスルフォニル-3-メチルピラゾール (940mg,4.5mmol;上の中間体(I)を参照)のTHF溶液に加えた。その混合物は、ヘクサクロロエタン(3.7g,15.8mmol)を加える前に、30分間撹拌した。−78℃で18時間撹拌後、NHCl(aq,sat,50mL)を加えて、その混合物は室温になるようにした。水(50mL)を加えて、層を分離し、水相をEtOAc(2×100mL)で抽出した。1つに合わせた有機相を乾燥し濃縮した。クロマトグラフィー(1:4 EtOAc/ヘプタン)で精製し、続いてEtOAc/ヘプタンから再結晶化し、白色結晶として標記化合物を得た(収量:1.1g,84%)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 8.17 (dd, 1H), 7.87-7.67 (m, 4H), 2.15 (s, 3H).
【0068】
5-クロロ-3-メチルピラゾール (III)
ナトリウムエトキシド(2.5M,16.1mL,40.3mmol) を、EtOH (50mL)に溶解した5-クロロ-1-(2-クロロベンゼンスルフォニル)-3-メチルピラゾール (6.9g, 27mmol; 上の中間体 (II) を参照) の溶液に加えた。その溶液は室温で30分間撹拌し、 水(100mL)を加え、その混合物はHCl(aqqueous, 2M) を用いて中性化してEtOAc (3×100 mL)で抽出した。1つにまとめた有機相の濃縮は、完全な溶媒分離前に沈殿が認められた。沈殿は濾別し、その濾過液は濃縮して、褐色油状物質として標記化合物を得て、静置により結晶化した (収量: 1.0g, 33%)、それは更なる精製なしに使用した。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 12.66 (br s,1H),6.03 (d,1H), 2.20 (s,3H).
【0069】
5-クロロ-3-メチルピラゾール (III) (代替合成)
5-クロロ-1,3-ジメチルピラゾール (7.00g, 54mmol) とピリジン 塩酸塩 (37.0g, 320 mmol) の混合物を18時間200℃で熱した。塩酸 (aq., 2M, 200 mL) を60℃以下に冷却した後に加えて、その混合物はEtOAc (3×100mL)で抽出した。1つにまとめた有機抽出物はNaCl (sat., aq., 150mL)で洗浄し, 減圧下で乾燥し (NaSO) 濃縮して、白色結晶として生成物を得た (収量4.03 g, 64 %).
MS (M++H) m/z 117.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 12.66 (s, 1H), 6.02 (s, 1H), 2.20 (s, 3H).
【0070】
5-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (IV)
水(120mL)中の KMnO (3.5 g, 22 mmol)を、水 (50 mL) とtert-ブタノール (1 mL)中の5-クロロ-3-メチルピラゾール (1.0 g, 8.8 mmol;上の中間体 (III) を参照)に、70℃で5時間にわたって少量づつ加えた。その混合物は70℃で一晩撹拌し、セライト(登録商標)で濾過した。無色の濾過液を濃縮し、HCl (aq., 2M)で酸性化した。濾過により、白色粉末として標記化合物を得て、更なる精製なしで使用した (収量: 913 mg, 80%).
1H-NMR (DMSO-d6): δ 6.80 (s, 1H), 4.40 (br s, 1H).
【0071】
1-ベンゼンスルフォニルピラゾール (V)
ピラゾール (5g, 73mmol)と塩化ベンゼンスルフォニル (8.5mL, 67mmol)とリエチルアミン (6.8 mL,67 mmol) のアセトニトリル (250mL)溶液は還流下で30分間攪拌した。その混合物は冷却し濾過した。その濾過液は黄色残留物に濃縮され、クロマトグラフィー(1:4 EtOAc/ヘプタン)で精製した。EtOAc/ヘプタンから再結晶化し、無色板状粉として標記化合物を得た (収量: 11.99 g, 86 %)。
1H-NMR(DMSO-d6): δ 8.48 (d, 1H), 7.97 (d, 2H), 7.90 (d,1H), 7.79 (t, 1H), 7.67 (t,2H), 7.61-7.60 (m, 1H).
【0072】
5-クロロピラゾール (VI)
BuLi (1.6M, 3.4 mL, 5.4 mmol) はアルゴン下で、−78℃の1-ベンゼンスルフォニルピラゾール (750 mg, 3.6 mmol; 上の中間体 (V) を参照)のTHF (50 mL) 溶液に加えた。その混合物は、ヘクサクロロエタンを一度に加える前に45分間攪拌した。−78℃で10分間攪拌後、その混合液は75分にわたって暖めて10℃-15℃にした。混合物はHO/NHCl (1:1, aq, sat, 50 mL)に注ぎいれた。層を分離し、水相はEtOAc (2×50 mL)で抽出した。1つにまとめた有機相を乾燥し (NaSO)、濃縮した。半固体の残留物をMeOH (30 mL) に溶解し、続いてナトリウムメトキシド (MeOH中30%, 1.6 mL, 7.2mmol)を加えた。室温で45分間攪拌し、NaHCO (sat., aq., 1mL)を加えて、続いて抽出し、その抽出物の濃縮 とクロマトグラフィー(1:1 EtOAc/ ヘプタン)による残留物の精製により、白色固体として標記化合物を得た (収量: 78mg, 21%)。
【0073】
1-ベンゼンスルフォニル-3-クロロピラゾール (VII)
アセトニトリル (250mL) 中の5-クロロピラゾール (35mg, 0.34mmol; 上の中間体(VI) を参照)と、塩化ベンゼンスルフォニル(0.044mL, 0.34mmol),とトリエチルアミン (0.047mL, 0.34mmol) の溶液を60℃で4時間攪拌した。その混合物は冷却し濃縮した。クロマトグラフィー (1:4 EtOAc/ヘプタン)により精製で、無色針状晶として標記化合物を得た (収量: 42mg, 51%)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 8.61 (d, 1H), 8.01 (d, 2H), 7.84 (t, 1H), 7.71 (t, 2H), 7.79 (d, 1H).
【0074】
4,5-ジクロロピラゾール-3-カルボン酸 (VIII)
塩素ガスは室温で3時間にわたって、攪拌した水 (2.0 L)中の5-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (3.00g, 20.5mmol; 上の中間体(IV)を 参照) 溶液を通してゆっくりと泡立たせた。 その溶液は18時間、開口フラスコ中で攪拌し、その後減圧下で濃縮した。得られたスラリーはEtOAc (3×100 mL)で抽出し、1つにまとめた有機相はNaCl (sat., aq., 100 mL)で洗浄し、減圧下で乾燥し(NaSO) 濃縮して白色粉末として生成物を得た(収量3.20 g, 86 %)。
MS (M--H) m/z 179.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 14.44 (s, 1H), 14.09 (s, 1H).
【0075】
4,5-ビス(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-カルボン酸 (IX)
(a) 2,3-ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン
ヨウ化1-アミノピリジニウム (3.00g, 13.51mmol)と、KCO (3.73g, 27.02mmol)と、2,3-ジクロロ-1,1,1,4,4,4-ヘクサフルオロ-ブト-2-エネ (シス-とトランス異性体の混合物, 9.18 g, 39.41 mmol) の混合物は、THF (100mL) 中で室温で24時間攪拌した。混合物をEtOAc (100mL)と水 (100mL)と塩酸 (2M, 5mL)の間で分配し、層を分離し、有機相はNaCl (50mL)で洗浄し、減圧下で乾燥し(NaSO) 濃縮した。残留物はMeOH (25mL)に溶解し、セライト(登録商標)で濾過した。濾過液を濃縮して、わずかに黄色の針状晶として標記化合物を得た(収量: 2.95g, 86%)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.45 (ddd, 1H), 7.75 (dd, 1H), 7.39 (ddd, 1H), 7.02 (ddd, 1H).

(b) 4,5-ビス(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-カルボン酸
KMnO (7.74g, 49.0mmol) は一部づつ、2,3-ビス(トリフルオロメチル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン (2.49 g, 9.80mmol)と、t-BuOH (30mL) と 水 (120mL)の混合物に加えた。室温で24時間攪拌した後、その混合物はセライト(登録商標)で濾過した。濾過液はCHCl (2×50mL)で洗浄し、その後濃縮した塩酸(aq)でそのpHを1にあわせた。混合物は減圧下で濃縮し、固体を得て、それはアセトン(3×20mL)で抽出した。1つにまとめた抽出物は濃縮し、残留物は塩酸(aq., 0.1M; 2.5 mL)から結晶化した。固体を回収し、水(2×0.5mL)で洗浄し、減圧下で乾燥し、白色固体として標記化合物を得た (収量: 1.63g, 67%).
13C NMR (CD3OD, 100 MHz) δ 159.2 (s), 141.3 (q), 137.7 (s), 122.4 (q), 121.6 (q), 112.4 (q).
【0076】
4-トリフルオロメチルピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル(X)
ジエチルエステル (2.0 M, 1.8mL, 3.6mmol)中のトリメチルシリルジアゾメタン溶液をアルゴン下でO℃でゆっくりと、攪拌されているジエチルエステル (10 mL)に加えた。混合物は0℃で5分間攪拌し、氷浴をはずし、溶液は周囲温度で2時間攪拌した。混合物は濃縮し、残留物はフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)で精製され、白色粉末として生成物を得た(収量: 465mg, 75%)。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 14.1 (br. s, 1H), 8.49 (s, 1H), 4.30 (q, 2H), 1.28 (t, 3H).
【0077】
4-クロロ-5-トリフルオロメチルピラゾール-3-カルボン酸 (XI)
KMnO (10.7g, 67.7mmol)を5-トリフルオロメチル-4-クロロ-3-メチルピラゾール (5.0g, 27.1mmol)と t-BuOH (50mL) と水(250mL)の混合物に少しずつ加えた。混合物は、75℃で3日間攪拌した。室温に冷却後、沈殿物を濾別し、濾過液を減圧下で濃縮した。濃縮した塩酸 (aq., 10mL) を加え、混合物はEtOAc (5×30 mL)で抽出した。1つにまとめた抽出物はNaCl (sat., aq.; 50 mL)で洗浄され、減圧下で乾燥 (NaSO) 及び濃縮され、白色固体として生成物を得た(収量 4.90g, 84%).
MS (M--H) m/z = 213.
【0078】
2-アミノ-N-メチルベンゼンスルホンアミド (XII)
(a) N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド
塩化2-ニトロベンゼンスルフォニル (2.22g, 10mmol) は、0℃のCHCl (100mL)中メチルアミン塩酸塩(810mg, 12mmol) とトリエチルアミン (3.34mL, 24mmol) の混合物に一部づつ加えた。この混合物は室温になるように1時間攪拌し、MeOH (20mL) を加えた。混合物は、室温でさらなる1.5時間攪拌し、その後CHCl (50mL) を加えた。混合液は塩酸 (aq., 1M, 100 mL) と NaCl (sat., aq., 50 mL)で洗浄し、減圧下で乾燥(NaSO)し濃縮し、黄色針状晶 を得た。CHCl/MeOH から再結晶化し、副標記の化合物をわずかに黄色の針状晶として得た(収量1.41g, 65%)。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 8.00-7.95 (m, 2H), 7.95-7.86 (m, 3H), 2.54 (d, 3H).

(b) 2-アミノ-N-メチルベンゼンスルホンアミド
MeOH (30 mL) 中のN-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (1.40 g, 6.47 mmol)は 常温常圧で2.5時間 Pd担持炭素(10%, 300 mg) 上で水素化した。混合物はセライト(登録商標)で濾過し、濾過液は減圧下で濃縮した。残留物はカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)によって精製し無色油状物質として標記化合物を得た (1.10 g, 91%) 。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 7.46 (dd, 1H), 7.33 (q, 1H), 7.26 (ddd, 1H), 6.81 (dd, 1H), 6.62 (ddd, 1H), 5.90 (s, 2H), 2.36 (d, 3H).
【0079】
2-アミノ-N,N-ジメチルベンゼンスルホンアミド (XIII)
(a) N,N-ジメチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド
N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミドを、上に記載の方法と同様の方法によってメチルアミン塩酸塩の代わりにジメチルアミン塩酸塩 (978 mg, 12 mmol)を使用して調整した。収量: 1.15 g (51%) の白色針状晶
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 8.00-7.83 (m, 4H), 2.82 (s, 6H).

(b) 2-アミノ-N,N-ジメチルベンゼンスルホンアミド
2-アミノ-N-メチルベンゼンスルホンアミドを上に記載の方法と同様の方法によってN-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミドの代わりにN,N-ジメチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (1.15g, 5.0mmol)から調整した。 収量: 889mg (89%) のほとんど無色の固体。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 7.39 (dd, 1H), 7.31 (ddd, 1H), 6.87 (dd, 1H), 6.65 (ddd, 1H), 6.05 (s, 2H), 2.64 (s, 6H).
【0080】
5-ジフルオロメチル-4-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (XIV)
(a) 5-ジフルオロメチルピラゾール-3-カルボン酸
KMnO (2.74g, 9.45mmol) は、5-ジフルオロメチル-3-メチルピラゾール (500mg, 3.78mmol)とt-BuOH (10mL)と水 (100mL)の混合物に少しづつ加えた。混合物は75℃で18時間攪拌した。室温まで冷却した後、沈殿物 (MnO) は濾別し、濾過液を濃縮した。HCl (aq., conc.; 2.0 mL) を加えた混合物はEtOAc (5×20mL)で抽出した。1つにまとめた抽出物はNaCl (sat., aq.; 25mL)で洗浄し、乾燥し (NaSO) 濃縮した。その物質は溶離液として逆相カラム及びCHCN/水 (1:2)を使って精製した(収量: 250mg, 41 %)。
MS (M--H) m/z = 161.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 14.27 (s, 1H), 13.60 (br. s, 1H), 7.03 (t, 1H), 6.97 (s, 1H).

(b) 5-ジフルオロメチル-4-クロロピラゾール-3-カルボン酸
塩素ガスは、攪拌した水(100mL)中の5-ジフルオロメチルピラゾール-3-カルボン酸 (100mg, 0.62mmol) を通して、室温で3時間ゆっくりと泡立たせた。 その溶液は開口フラスコで18時間攪拌し、濃縮した。スラリーはEtOAc (3×20 mL)で抽出し、1つにまとめた有機相はNaCl (sat., aq., 25 mL)で洗浄し、減圧下で乾燥(NaSO) し濃縮して、白色粉末として生成物を得た (収量106mg, 87 %)。
MS (M--H) m/z = 195, 197.
【実施例】
【0081】
実施例1
4-クロロ-N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ピラゾール-3-カルボキサミド

(a) 4-クロロ-3-メチルピラゾール塩酸塩
四塩化炭素 (50mL)中の 3-メチルピラゾール (50mmol, 4.10g)の攪拌された溶液を、−78℃で塩化ガスで飽和させた。 温度を室温まで上昇させ、その混合物は一晩攪拌した。スラリーをペンタン (50mL)で希釈し、更に30分間攪拌した。白色の結晶固体を濾別し、 ペンタン(2×50mL) で洗浄し、乾燥して、標記化合物を得た (収量7.50g (98%))。
MS (M+H) m/z = 117.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 13.38 (s, 2H), 7.68 (s, 1H), 2.16 (s, 3H).
13C NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ 139.1, 132.2, 106.8, 9.3.

(b) 4-クロロピラゾール-3-カルボン酸
よく攪拌された水(500mL)中の4-クロロ-3-メチルピラゾール塩酸塩 (20mmol, 3.06 g; 工程 (a)を参照) と過マンガン酸カリウム(50mmol, 11.4 g) の混合物は室温で3日間、その後70℃で5時間攪拌した。混合物は濾過し濃縮した。塩酸 (aq., 1M; 50mL) を加え、混合物はEtOAc (5×50mL)で抽出した。1つにまとめた抽出物はNaCl (sat., aq.)で洗浄し、乾燥し (NaSO) 濃縮して、白色固体として640 mg (22%)の副題の化合物を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 13.47 (br s, 2H), 7.92 (br s, 1H).

(c) 3,8-ジクロロジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン
塩化チオニル (25 mL) 中の 4-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (2.0 mmol, 300 mg; 上の工程(b) を参照)の混合物は還流下で3時間加熱した。過剰な塩化チオニルは減圧下で除去し、粗生成物は次の工程で精製なしに使用した。

(d) 4-クロロ-N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ピラゾール-3-カルボキサミド
3,8-ジクロロジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン (0.20 mmol, 51 mg) と2-クロロ-4-フルオロアニリン (1.0 mmol, 146 mg) の混合物は120℃で1時間加熱し、常温まで冷却し、ペンタン(5 mL)で希釈した。沈殿物は濾別し、ペンタン(30 mL)で洗浄した。EtOH:水 (4:1, 20 mL) から結晶化し、白色固体として84 mg (77 %) の標記化合物を得た。
MS (M++H) m/z = 274.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) d 13.8 (br s, 1H), 9.65 (s, 1H), 8.20 (s, 1H), 7.96 (dd, 1H), 7.57 (dd, 1H), 7.28 (ddd, 1H).
【0082】
実施例2
5-クロロ-N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ピラゾール-3-カルボキサミド

(a) 5-クロロ-3-メチルピラゾールと5-クロロ-1,3-ジメチルピラゾール (2.6 mmol) とピリジン塩酸塩 (13.1 mmol) の混合物はシールした5mlの処理バイアル中で、マイクロ波照射を使用して200℃で2時間過熱した。室温まで冷却した後、EtOAc (15 mL) を加え、混合物はHCl (aq., 2M; 10mL)、NaCl (sat., aq.)で洗浄し、乾燥 (MgSO) し濃縮して、白色固体として副題の化合物を得た(収量: 210 mg (67%))。
MS (M++H) m/z = 117.
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz), δ 12.66 (br s, 1H), 6.03 (m, 1H), 2.19 (s, 3H).

(b) 5-クロロピラゾール-3-カルボン酸
5-クロロ-3-メチルピラゾール (3.6 mmol; 上の工程 (a) を参照), 水(6 mL) とtert-フ゛タノール (1.2 mL) の混合物は75℃まで加熱し、その後KMnO (1.42 g, 9 mmol) を加えた。その混合物は75℃で一晩攪拌し、暖かいまま濾過した。1つにまとめた冷却した濾過液はEtOAcで抽出し、1つにまとめた抽出物はNaCl (sat., aq.)で洗浄し、 乾燥 (MgSO) し濃縮した。粗固体はEtOAc/ヘキサン/ペンタンから再結晶化し、白色結晶として副題の化合物を得た (収量: 350 mg (67%))。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz), δ 13.65 (br s, 1H), 6.80 (s, 1H)

(c) 5-クロロ-N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ピラゾール-3-カルボキサミド
5-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (1 mmol; 上の工程 (b) ) とSOCl (1 mL) の混合物は、還流下で18時間加熱し、冷却し濃縮した。得られた白色個体の一部 (70mg) を、CHCl (10mL) 中のDMAP (0.27mmol) と2-クロロ-4-フルオロアニリン (0.27mmol) に混合し、60℃で20時間攪拌した。室温まで冷却した後、固体を濾別し、CHClで洗浄した。その固体は EtOAc (15 mL) に溶解し、HCl (aq., 1M) と NaCl (sat., aq.)で洗浄した。有機相を乾燥 (MgSO)し濃縮した。結晶化(EtOH/水)により 白色粉末として標記化合物を得た (収量: 28.9 mg (39%))。
MS (M++H) m/z = 274.
1H-NMR(DMSO-d6, 400 MHz), δ 10.21 (br s, 1H), 7.58 (dd, 2H), 7.27-7.32 (m, 1H), 7.09 (br s, 1H).
【0083】
実施例3
5-クロロ-N-(2,4-ジクロロフェニル)ピラゾール-3-カルボキサミド

BuLi (1.6M, 0.116mL, 0.19mmol) を、アルゴン下で−78°Cの1-ベンゼンスルフォニル-3-クロロピラゾール (30mg, 0.12mmol;上の中間体 (VII) 参照) のTHF (2mL) 溶液に加えた。 その混合物は、イソシアン酸2,4-ジクロロフェニル(46mg, 0.25mmol) を加える前に30分間攪拌させた。その混合物は−78℃で更に18時間攪拌し、その後、NHCl (aq, sat; 2mL) と EtOAc (20mL) を加えた。層を分離し、水相をEtOAc (10mL)で抽出した。1つにまとめた有機相は乾燥 (NaSO) し濃縮した。クロマトグラフィー (1:4 EtOAc/ヘプタン) で精製し、白色残留物を得て、それをMeOH (10mL)に溶解した。ナトリウムメトキシド (30% MeOH中, 0.024mL, 0.1mmol) を加え、その混合物は室温で3日間攪拌し、その後NHCl (sat., aq.; 20mL) を加えた。その混合物は水(30mL) で希釈し、減圧下でEtOHを除去した。 その水性残留物はEtOAc (3×50mL) で抽出し、1つにまとめた抽出物は乾燥 (NaSO) し濃縮した。クロマトグラフィー (1:4 EtOAc/ヘプタン)で白色固体として標記化合物を得た(収量: 7mg (35%)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 13.4 (br s,1H), 10.2 (s,1H), 7.76 (s, 1H), 7.57 (s,1H), 7.48 (dd,1H), 7.10 (s, 1H).
【0084】
実施例4
3-クロロ-N-(2,3-ジクロロフェニル)ピラゾール-5-カルボキサミド

(a) 2-ベンゼンスルフォニル-5-クロロ-ピラゾール-3-カルボン酸 (2,3-ジクロロフェニル)-アミド
1-ベンゼンスルフォニル-3-クロロピラゾール (0.41mmol; 中間体 (VII)参照) をアルゴン下−78℃で無水THF (10mL) に溶解した。BuLi (0.38 mL, 1.6Mヘキサン中, 0.62mmol) を加え、その混合物は45分間攪拌し、その後2,3-ジクロロフェニルイソシアン酸 (116mg, 0.62mmol) を加えた。その混合物は−78°Cで18時間攪拌した。 NHCl(sat., aq., 10 mL) を加え、その混合物はEtOAc (3×30 mL)で抽出した。1つにまとめた抽出物は 乾燥 (NaSO) し濃縮した。クロマトグラフィーにより精製し、白色粉末として副題の化合物を得た (115 mg, 65%)。
1H-NMR (DMSO-d6): 10.97 (s, 1H), 8.08 (d, 2H), 7.85 (t, 1H), 7.75-7.70 (m, 3H), 7.60 (d, 1H), 7.46 (t, 1H), 7.13 (s, 1H).

(b) 5-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (2,3-ジクロロフェニル)アミド
2-ベンゼンスルフォニル-5-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (2,3-ジクロロフェニル)-アミド (88 mg, 0.20mmol) をEtOH (5mL)に溶解し、その後水酸化ナトリウム (aq., 4M, 0.3mmol; 77mL) を加えた。その混合物は70℃で2時間加熱し、濃縮した。NaCl(sat., aq.; 10 mL) を加え、その混合物をEtOAc (3×10 mL)で抽出した。1つにまとめた有機抽出物は乾燥(NaSO)し、セライト(登録商標)で濾過し、濃縮した。クロマトグラフィーによる精製で、白色粉末として標記化合物を得た(18 mg, 30 %) 。
1H-NMR (DMSO-d6): 14.12 (s, 1H), 10.29 (s, 1H), 7.59 (d, 2H), 7.42 (t, 1H), 7.07 (s, 1H).
【0085】
実施例5
5-クロロ-N-(2,4-ジフルオロフェニル)ピラゾール-3-カルボキサミド

(a) 2-ベンゼンスルフォニル-5-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (2,4-ジフルオロフェニル)-アミド
副題の化合物を実施例 4(a) に記載した手順に従って、1-ベンゼンスルフォニル-3-クロロピラゾール (0.41 mmol; 中間体 (VII)を参照), BuLi (0.38 mL, 1.6M ヘキサン中, 0.62 mmol) 及びイソシアン酸2,4-ジフルオロフェニル (96mg, 0.62mmol)から調整した。収量: 91 mg, (55%)。
1H-NMR (DMSO-d6): 10.93 (s, 1H), 8.07 (d, 2H), 7.89-7.82 (m, 2H), 7.75-7.70 (m, 2H), 7.42 (dt, 1H), 7.21-7.13 (m, 2H).

(b) 5-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (2,4-ジフルオロフェニル)アミド
標記化合物は実施例 4(b) に記載した手順に従って、2-ベンゼンスルフォニル-5-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (2,4-ジフルオロフェニル)アミド (98 mg, 0.25 mmol)から調整した。 収量: 36 mg, (56%)。
1H-NMR (DMSO-d6): 8.61 (s, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.53 (dd, 1H), 7.39 (d, 1H), 7.25 (s, 1H), 6.80 (s, 1 H).
【0086】
実施例6
N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-4-フルオロピラゾール-3-カルボキサミド

(a) 4-フルオロピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル
副題の化合物は、文献記載の方法 (R. Storer, et al., Nucleosides & Nucleotides 18, 203 (1999))に従って、ピラゾール-3-カルボン酸エチルエステルから調整した。副題の化合物と未反応出発物質の混合物 (〜2:1) を得て、更なる精製なしに使用した。

(b) 4-フルオロピラゾール-3-カルボン酸
水酸化ナトリウム (aq., 2M, 18mmol; 9mL) を、室温の4-フルオロピラゾール-3-カルボン酸エチルエステルとピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル (1.2g, 〜8mmol; 上の工程 (a) を参照) の混合物(〜2:1)のジオキサン(9mL)溶液に加え、16時間攪拌した。第2の割り当ての水酸化ナトリウム水溶液の(2M, 18mmol, 9mL) を加え、その混合物を別の4時間攪拌した。その混合物はHCl (aq., 2M, 20mL)で酸性化し、濃縮し、MeOH (30mL)で攪拌して濾過した。濾過液は濃縮し、残留物はHCl (aq., 0.01M) から再結晶化し白色固体として、副題の化合物とピラゾール-3-カルボン酸の混合物(〜3:1) を得た(収量: 267mg (〜2mmol, 〜25%))。この混合物は更なる精製なしに使用した。
1H-NMR (DMSO-d6): d 13.7-13.1 (br s, 1.3H), 7.9-7.7 (m, 1H), 7.73 (d, 0.3H), 6.70 (d, 0.3H).

(c) N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-4-フルオロピラゾール-3-カルボキサミド
DMF (2.5mL) 中の4-フルオロピラゾール-3-カルボン酸 とピラゾール-3-カルボン酸の混合物(〜3:1) (85mg, 0.69mmol)、TBTU (242mg, 0.75 mmol)、2-クロロ-4-フルオロフェニルアミン (130mg, 0.89mmol) 及びDIPEA (239μL, 1.37mmol)は室温で3日間と85℃で16時間攪拌した。TBTU (36 mg, 0.10mmol) を加え、その混合物は85℃で1時間攪拌した。その混合物は冷却し、水 (10mL) と NaCl (sat., aq.; 10mL) を加えた。その混合物はEtOAc (5×20mL)で抽出した。1つにまとめた抽出物は乾燥 (NaSO)し、濃縮して、クロマトグラフィー で精製して、標記化合物をピラゾール-3-カルボン酸 (2-クロロ-4-フルオロフェニル)アミドと混合物(〜10:1)として得た。
1H-NMR (DMSO-d6): δ13.47 (s, 1H), 9.56 (s, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.99-7.86 (m, 1H), 7.55 (dd, 1H), 7.27 (ddd, 1H).
【0087】
実施例7
5-クロロ-N-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-3-カルボキサミド

BuLi (1.6M, 0.38mL, 0.62mmol)は、アルゴン下で−78℃の1-ベンゼンスルフォニル-3-クロロピラゾール (100 mg, 0.41mmol; 中間体 (VII)参照)の THF (10mL) 溶液に加えた。その混合物はイソシアン酸4-フルオロフェニル(0.071mL, 0.62mmol) を加える前に10分間攪拌した。攪拌は−78℃で18時間続け、その後NHCl (sat., aq.; 6mL)、水、最後にEtOAcを加えた。 層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。1つにまとめた抽出物を濃縮して褐色油状物質を得て、静置により結晶化した。その固体はEtOH (10mL) で抽出し、水酸化ナトリウム (aq., 4M, 0.62mmol; 0.15mL)を加えた。 その混合物はNHCl (sat., aq.; 6mL) を加える前に室温で20分間攪拌した。その混合物は水 (15mL) で希釈し、減圧下でEtOHを除去した。水相を EtOAc (3×50mL) で抽出し、1つにまとめた有機相を乾燥 (NaSO) し濃縮した。クロマトグラフィー (1:4 EtOAc/ヘプタン) による精製で、白色固体として標記化合物を得た(収量: 49mg (50%))。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 13.99 (br s, 1H), 10.26 (s, 1H), 7.73-7.69 (m, 2H), 7.20 (t, 2H), 7.07 (br s, 1H).
【0088】
実施例8
5-クロロ-N-(4-クロロフェニル)ピラゾール-3-カルボキサミド

(a) 2-ベンゼンスルフォニル-5-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (4-クロロフェニル)-アミド
副題の化合物を1-ベンゼンスルフォニル-3-クロロピラゾール (100 mg, 0.41 mmol; 中間体 (VII)参照)、BuLi (0.38 mL, 1.6M ヘキサン中, 0.62 mmol) 及びイソシアン酸4-クロロフェニル (105 mg, 0.62 mmol)から、実施例4(a) に記載の方法に従って調整した。
1H-NMR (DMSO-d6): 12.7 (s, 1H), 8.01-7.94 (m, 4H), 7.83 (t, 1H), 7.70 (t, 2H), 7.56 (d, 2H), 6.98 (s, 1H).

(b) 5-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (4-クロロフェニル)アミド
標記化合物を2-ベンゼンスルフォニル-5-クロロピラゾール-3-カルボン酸 (4-クロロフェニル)アミド (123mg, 0.30mmol)から、実施例4(b) に記載の方法に従って調整した。収量: 12mg (15%)
1H-NMR (DMSO-d6): δ 13.68 (s, 1H), 11.67 (s, 1H), 7.77 (d, 2H), 7.50 (d, 2H), 7.00 (s, 1H).
【0089】
実施例9
N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-カルボキサミド

(a) 1,1,1-トリフルオロ-4-メトキシペント-3-エン-2-ワンe
2-メトキシプロペン (7.7g, 132mmol) とピリジン (9.7mL, 120mmol) の混合物をトリフルオロ無水酢酸(25.2g, 120mmol) に、−30℃に冷却しながら滴下で加えた。ジエチルエステル (50mL) を加え、その混合物は室温で18時間そのまま置いておいた。濾過と濃縮により、CHCl中に溶解した黄色油状物質を得た。その混合物はHCl (aq., 0.1M; 50mL)と水(50mL) で洗浄し、乾燥し (NaSO) 濃縮し、23gのオレンジ色油状物質を得て、それは更なる精製なしに以下の工程に使用した。
1H NMR (CDCl3) δ 5.68 (s, 1H), 3.80 (s, 3H), 2.41 (s, 3H).

(b) 3-メチル-5-トリフルオロメチルピラゾール
ヒドラジン水和物 (4.0g, 79mmol) を、 1,1,1-トリフルオロ-4-メトキシペント-3-エン-2-ワン (10g, 59mmol; 上の工程 (a) 参照) のEtOH (30 mL)溶液に、滴下で加えた。その混合物は還流下で2時間加熱し、冷却し濃縮した。残留物はジイソプロピルエーテル中で得られ、乾燥 (NaSO)した。濃縮により副題の化合物を得て、以下の工程に更なる精製なしに使用した。収量: 7.0 g (79%)。
1H-NMR (CDCl3) δ 6.15 (s, 1H), 2.29 (s, 3H).

(c) 5-トリフルオロメチルピラゾール-3-カルボン酸
水 (80 mL) 中の3-メチル-5-トリフルオロメチルピラゾール (3.0g, 20mmol; 上の工程 (b) を参照) とKMnO (3.0g) の混合物を80℃で18時間加熱した。 混合物はセライト(登録商標)で濾過した。濾過液はHCl (2M水溶液) で酸性化し、ジエチルエステル (3×50 mL)で抽出した。1つにまとめた抽出物は乾燥し(NaSO)濃縮した。 得られた化合物(黄色結晶)は更なる精製なしに使用した。収量: 1.6 g (44%)。

(d) N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-カルボキサミド
5-トリフルオロメチルピラゾール-3-カルボン酸 (200mg, 1.1mmol; 上の工程(c) 参照)と2-クロロ-4-フルオロアニリン (189mg, 1.3mmol) とDIPEA (285mg, 2.2mmol)のDMF (10mL) 溶液をTBTU (417mg, 1.3 mmol)に加えた。その混合物は19時間室温に置いて、続いて水(50mL)を加え、EtOAc (3×30 mL)で抽出した。1つにまとめた混合物は水(50mL)で洗浄し、乾燥し (NaSO) 濃縮した。クロマトグラフィー (EtOAc/Hept 1:10 から 1:1)によって精製し、無色固体として標記化合物を得た。収量: 12 mg (4%).
1H-NMR (DMSO-d6) δ 14.69 (s, 1H), 10.33 (s, 1H), 7.60 (dd, 2H), 7.50 (br s, 1H), 7.31 (dt, 2H).
【0090】
実施例10−29
一般的手順
方法A
適切に置換されたピラゾール-3-カルボン酸 (中間体VIII, 1.2mmol) とSOCl (10mL) の混合物は80度で18時間攪拌した。室温まで冷却した後、その混合物は濃縮し残留物を乾燥した。適切なアリールアミン(3.6mmol) とCHCl (10mL) の混合物を残留物に加えた。混合物は60℃で18時間攪拌した。室温まで冷却した後、その混合物を濃縮し、その残留物はHCl (aq., 1M; 10mL)で酸性化した。その混合物はEtOAc (4×10mL)で抽出し、1つにまとめた有機相はその後NaCl (sat., aq.; 20mL)で洗浄し、乾燥 (NaSO)し減圧下で濃縮した。残留物はEtOH/水 (1:1)と EtOAc/ヘキサン (2:1)から再結晶化した。
【0091】
方法B
適切に置換されたピラゾール-3-カルボン酸 (中間体XI又はXIV, 1.2mmol) 及びSOCl (10mL) の混合物は80度で18時間攪拌した。室温まで冷却した後、その混合物は濃縮し残留物を減圧下で乾燥した。適切なアリールアミン(2.4mmol)とDMAP (1.6mmol)とCHCl (10mL)の混合物は残留物に加えた。その混合物は60℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、その混合物は濃縮され、その残留物はHCl (aq., 1M; 10mL)で酸性化された。その混合物はEtOAc (4×10 mL)で抽出され、1つにまとめた有機相はNaCl (sat., aq.;20mL)で洗浄され、乾燥(NaSO)し濃縮した。残留物はEtOH/水 (1:1)とEtOAc/ヘキサン (2:1)から再結晶化された。
【0092】
方法C
無水DMF (5mL)中、TBTU (642mg, 2.0mmol)と適切に置換されたピラゾール-3-カルボン酸 (中間体IV, 1.0mmol)と適切なアリールアミン(1.0mmol)DIPEA (348μL, 2.0mmol) とDMAP (12mg, 0.1 mmol)の混合物は80℃で3日間攪拌した。室温に冷却後、その混合物は濃縮され、残留物はHCl (aq., 1M; 10mL)で酸性化した。その混合物はEtOAc (4×10mL)で抽出され、1つにまとめた有機相はNaCl (sat., aq.; 20 mL)で洗浄され、乾燥(NaSO)し濃縮した。残留物はカラムクロマトグラフィー (EtOAc/ヘプタン)で精製した。
【0093】
方法D
トリメチルアルミニウム (0.63mL, ヘキサン中2.0M, 1.25mmol)は、適切なアリールアミン(0.50 mmol)のCHCl (2mL)溶液に0℃、アルゴン下で加えた。 適切に置換されたピラゾール-3-カルボン酸エステル(中間体X, 0.25 mmol) のCHCl (2mL)溶液を加え、その混合物は室温まで暖めた。その混合物は室温で24時間攪拌され、HCl (aq., 0.01M; 10 mL)に注がれた。HCl (aq., 2M)を滴下で加えることで、pHを〜3 に調節した。その混合物はEtOAc (3×25mL)で洗浄し、1つにまとめた有機相はNaCl (sat., aq.; 30 mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し濃縮した。残留物はクロマトグラフィー (EtOAc/ヘプタン)によって精製され、酢酸メチル/ヘプタンから再結晶化された。
【0094】
方法E
水素化ナトリウム(鉱物油中60%,60 mg, 1.5mmol)を、室温で適切なアリールアミン(1mmol)のDMF (2mL)溶液に加えた。その混合物は5分間攪拌され、適切に置換されたピラゾール-3-カルボン酸エステル(中間体X,0.5 mmol)のDMF (2mL)溶液を添加され、その混合物は室温で15時間攪拌した。その混合物は、NaHCO (sat., aq.; 15 mL)に注がれ、EtOAc (3×20 mL)で抽出された。1つにまとめた抽出物はNaCl (sat.,aq.; 20 mL)で洗浄され、乾燥(NaSO)し濃縮した。粗生成物はクロマトグラフィー (EtOAc/ヘプタン)で精製された。
【0095】
方法F
適切に置換されたピラゾール-3-カルボン酸 (中間体IV又はIX, 1.0mmol)とSOCl (10mL) の混合物は80℃で18時間攪拌された。室温で冷却後、その混合物は濃縮され、その残留物は減圧下で乾燥した。適切なアリールアミン(1.0mmol)とDMAP (12mg, 0.10mmol)とDMF (0.5mL)とピリジン (1mL)の混合物を加えた。その混合物は80℃で21時間攪拌され、減圧下で濃縮祝された。その残留物はクロマトグラフィー (EtOAc/ヘプタン)で精製された。
【0096】
表1−実施例(Ex)10から29
【0097】




【0098】
表2−実施例10から29の化合物的特性


【0099】
実施例30
実施例の標記化合物を上に記載した生物学的テストで試験し、10μM以下のIC50を示すことが見出された。例えば、以下に示す実施例の代表的化合物は以下に示すIC50値を示した。
実施例1: 85nM
実施例5: 265nM
実施例6: 114nM
実施例7: 182nM
実施例8: 78nM
実施例19: 69nM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬として使用するための式I:

[上式中、
及びRは独立にH、Cl、F、CHF又はCFを表し、但し少なくとも一つのR及びRはHを表さない、
はハロ、-R3a、-OR3q又は-S(O)N(R4j)R5jを表す、
はハロ、-R3a、-CN、-C(O)R3b、 -C(O)OR3c、 -C(O)N(R4a)R5a、 -N(R4b)R5b、 -N(R3d)C(O)R4c、 -N(R3e)C(O)N(R4d)R5d、-N(R3f)C(O)OR4e、-N、-NO、-N(R3g)S(O)N(R4f)R5f、-OR3h、-OC(O)N(R4g)R5g、-OS(O)3i、-S(O)3j、-S(O)N(R4h)R5h、-S(O)OH、-N(R3k)S(O)3m、-OC(O)R3n、-OC(O)OR3p又は-P(O)(OR4i)(OR5i)を表す、
nは、0、1、2、3又は4を表す、
mは、0、1又は2を表す、
3aは、F、Cl、-N(R4b)R5b、 -N、=O及び-OR3hから選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されたC1-6アルキルを表す、
3bからR3h、R3k、R3n、R3q、R4aからR4j、R5a、R5b、R5d及びR5fからR5jは独立に水素又はF、Cl、-OCH、-OCHCH、-OCHF及び-OCFから選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されるC1-6アルキルを表す、又は、
4aとR5a、R4bとR5b、R4dとR5d、R4fとR5f、R4gとR5g、R4hとR5h、及びR4jとR5jの対の何れかは、互いに結合して3-から6-員環を形成し得て、該環はこれらの置換基に必然的に結合した窒素原子に加えて任意に更なるヘテロ原子を含み、該環は任意に=O及び/又はC1-6アルキルであってアルキル基が一つ以上のF原子によって任意に置換されるものによって任意に置換される、
3i、R3j、R3m及びR3pは、F、Cl、-OCH、-OCHCH、-OCHF、及び-OCFから選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されたC1-6アルキルを独立に表す]
の化合物又はその許容可能な塩。
【請求項2】
がハロ又は-R3aを表す請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びRが独立にH、F又はClを表す請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
nが0又は1である、請求項1から3の何れか一項に記載の化合物。
【請求項5】
nが1である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
4aとR5a、R4bとR5b、R4dとR5d、R4fとR5f、R4gとR5g、R4hとR5h、及びR4jとR5jの対の何れかが互いに結合する時、それらが5-から6-員環を形成し、該環が任意に更なるヘテロ原子を含み、メチル、-CHF又はCFによって任意に置換される、請求項1から5の何れか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が-OR3q、F、Cl又はR3aを表す、請求項1から6の何れか一項に記載の化合物。
【請求項8】
がF、Cl又は任意に1つ以上のフルオロ原子で置換されるC1−6アルキルを表す、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
はF、Cl、CH又はCFを表す、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
は、F、Cl、Br、-R3a、-CN、-C(O)R3b、-C(O)OR3c、-C(O)N(R4a)R5a、-N(R4b)R5b、-N(R3d)C(O)R4c、-N(R3e)C(O)N(R4d)R5d、-N(R3f)C(O)OR4e、-N、-NO、-N(R3g)S(O)N(R4f)R5f、-OR3h、-OC(O)N(R4g)R5g、-OS(O)3i、-S(O)3j又は-S(O)N(R4h)R5hを表す、請求項1から9の何れか一項に記載の化合物。
【請求項11】
は-CN、-C(O)N(R4a)R5a、-N(R4b)R5b、-N(H)C(O)R4c、-S(O)CH、-S(O)CF、-S(O)N(R4h)R5h、F、Cl、-R3a又は-OR3hを表す、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
3aはF及び-OR3hから選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されるC1-6アルキルを表す、請求項1から11の何れか一項に記載の化合物。
【請求項13】
3aは1つ以上のF原子によって任意に置換されたC1-4アルキルを表す、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
3b、R3c、R3h、R4aからR4h、R4j、R5a、R5b、R5d、R5fからR5h及びR5jは独立に水素又はC1-4アルキル又は互いに結合する適切な対を表す、請求項1から13の何れか一項に記載の化合物。
【請求項15】
3dからR3gは、独立にC1-2アルキル又は水素を表す、請求項1から10又は12から14の何れか一項に記載の化合物。
【請求項16】
3i及びR3jは独立に1つ以上のF原子によって任意に置換されるC1-4アルキルを表す、請求項1から10又は12から15の何れか一項に記載の化合物。
【請求項17】
3hは水素又は1つ以上のフルオロ原子で任意に置換されるC1-4アルキルを表す、請求項1から16に記載の化合物。
【請求項18】
4a、R4b、R4c、R4h、R5a、R5b及びR5hは独立に水素、メチル又はエチルを表すか、又は適切な対はピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル又は4-メチルピペラジニル環を形成するために互いに結合するものである、請求項1から17の何れか一項に記載の化合物。
【請求項19】
請求項1から18の何れか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤。
【請求項20】
リポキシゲナーゼの活性の阻害が所望及び/又は必要とされる疾患の治療のための医薬を製造するための、請求項1から18の何れか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項21】
リポキシゲナーゼが15-リポキシゲナーゼである請求項20に記載の使用。
【請求項22】
疾患が炎症であり及び/又は炎症要素を有する請求項20又は21に記載の使用。
【請求項23】
炎症性疾患が喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、アレルギー性疾患、鼻炎、炎症性腸疾患、潰瘍、炎症性疼痛、発熱、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、血管炎、膵炎、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、結膜炎、虹彩炎、強膜炎、ブドウ膜炎、創傷、皮膚炎、湿疹、乾癬、脳卒中、糖尿病、自己免疫疾患、アルツハイマー病、多発性硬化症、サルコイドーシス、ホジキン病、及び他の悪性腫瘍である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
請求項1から18の何れか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の治療的有効量をリポキシゲナーゼの活性阻害が所望及び/又は必要とされる疾患を患っている又は影響を受けやすい患者に投与することを含む、リポキシゲナーゼの活性阻害が所望及び/又は必要とされる疾患の治療方法。
【請求項25】
式Ia:

[上式中、X、X、X、X及びX7の一つはXを表し、他方はH又はXを表し、及びX、X、R及びRは請求項1から18の何れか一項に記載した通りである]
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、但し、
(A)RはClを表す時、RはHを表し、及び、
(1)X、X、X及びX全てがHを表す場合、XはBr、I又は-C(O)CHを表さない、
(2)X、X、X及びX全てがHを表す場合、Xは-C(O)CHを表さない、
(3)X、X及びX全てがHを表す場合、Xがメチル又はメトキシを表す時XはClを表さない、
(4)X、X及びX全てがHを表す場合、X及びXが共に-C(O)OCH又は-C(O)O-イソプロピルを表さない、
(5)X、X及びX全てがHを表す場合、Xがメチルを表す時XはFを表さない、
(6)X、X及びX全てがHを表す場合、Xが-NOを表す時XはFを表さない、
(7)X、X及びX全てがHを表す場合、Xがメチルを表す時Xはイソプロピルを表さない、
(8)X、X及びXはHを表す場合、X及びXは共にメトキシを表さない、
(9)X、X、X及びX全てHを表す場合、Xはメトキシを表さない、又は
(B)RがHを表す時、RがCFを表し、X、X及びX全てがHを表す場合、Xが-NOを表す時Xがクロロ又はCFを表さない化合物。
【請求項26】
更なる条件を有する請求項25に記載の化合物又は塩であって、RはCFを表す時、
(I)RはH又はClを表し、XはHを表し、及び、
(a)X、X及びX全てはHを表す場合、XはCFを表さない、
(b)X及びXは共にHを表す場合、Xが-NOを表す時Xはブロモを表さない
(c)X及びXは共にHを表す場合、XがCFを表す時Xはクロロを表さない、
(d)XはHを表す場合、Xが-NOを表しXがクロロを表す時Xはクロロを表さない、
(II)RはH又はClを表す場合、X、X、X、X及びXは全てFを表さない、
(III)RはClを表し、X、X及びX全てがHを表す場合、Xが-NOを表す時Xはクロロ又はCFを表さない、
(IV)RはHを表しXはClを表す場合、
(i)X、X、X及びXは全てHを表さない、
(ii)X及びXがH又はClを表しXがHを表す時XはClを表さない、
(iii)X、X及びX全てがHを表す時、XはCl又はBrを表さない、
(iv)XがH、Cl又は-NOを表しX及びXが共にHを表す時、XはClを表さない、
(v)XがClを表しX及びXが共にHを表す時、XはClを表さない、
(v)RはHを表しXはBrを表す場合、X、X及びX全てがHを表す時Xは-OCFを表さない、
(VI)RはHを表し及びXはF又はIを表す場合、X、X及びX全てがHを表す時Xは-NOを表さない。)
(VII)RはHを表しXは-NOを表す場合、X、X及びX全てがHを表す時XはCl又はCFを表さない、
(VIII)RはHを表しXはCFを表す場合、X及びXが共にHを表しXがClを表す時Xは-NOを表さない、
(IX)RはHを表しXはCFを表す場合、X、X及びX全てHを表す時XはClを表さない化合物。
【請求項27】
(A)請求項1から18の何れか一項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩、及び
(B)炎症の治療に有用な他の治療剤、
を含む組合せ品であって、成分(A)及び(B)の各々が薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合されて製剤化されている組合せ品。
【請求項28】
請求項1から18の何れか一項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩、炎症の治療に有用な他の治療剤、及び薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体を含む薬学的製剤を含有する請求項27に記載の組み合せ品。
【請求項29】
(a)請求項1から18の何れか一項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤、及び
(b)炎症の治療に有用な他の治療剤を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤、
の成分を含むパーツのキットであって、成分(a)及び(b)がそれぞれ他方と併用して投与するのに適した形態で提供されるキットを含む請求項27に記載の組み合せ品。
【請求項30】
(i)RがCHF、Cl、F又はCFを表す式Iの化合物に対しては、Rが水素を表す式Iの化合物の対応する化合物と、適切な塩基とを反応させ、続いて適切な求電子試薬で反応停止させ、
(ii) RがCFを表す式Iの化合物に対しては、式Iの化合物であるがRがブロモ又はヨードを表す対応する化合物を、CuCF(又はCuCF供給源)と反応させ、
(iii) 式III:

[上式中、R及びRは請求項1に記載した通りである]
の化合物又はそのN-保護及び/又はO-保護された誘導体を、式IV:

[上式中、X、X及びnは請求項1に記載した通りである]
の化合物と反応させ、
(iv) 式V:

[上式中、R及びRは請求項1に記載した通りである]
の化合物を、適切な塩基と反応させて、続いて式VI:

[上式中、X、X及びnは請求項1に記載した通りである]
の化合物と反応させ、続いて適切なプロトンの供給源で反応停止させ、
(v)Rが水素を表しRが請求項1に記載した通りである式Iの化合物に対しては、式VII:

[上式中、Jは-Si(R) 又は-Sn(R) (ここでどのRも独立に C1-6アルキル基又はアリール基を表し、どのRも独立にC1-6アルキルを表す)を表し、R、X、X及びnは請求項1に記載した通りである]
の化合物からJ基を除去し、
(vi) 式VIII:

[上式中、R及びRは請求項1に記載した通りである]
の化合物を、先に記載した式IVの化合物と反応させ、
(vii)R又はRの一つがCHF、CF、Cl又はFを表し、他方がHを表す式Iに対し、R又はRがブロモ又はヨードを表し他方がHを表す式Iの対応する化合物を、(適切であるならば)適切な添加剤の存在下で適切な有機リチウム塩基と反応させ、続いて適切な求電子試薬で反応停止させ、又は
(viii) 式VIIIA:

[上式中、R及びRが請求項1に記載した通りである]
の化合物又はそのN-保護誘導体を、式VIIIB:

[上式中、Lは適切な脱離基を表し、X、X及びnは請求項1に記載した通りである]
の化合物と反応させることを含む、請求項25又は請求項26に記載の式Iaの化合物の製造方法。
【請求項31】
請求項1から18の何れか一項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と組み合せることを含む請求項19に記載の薬学的製剤の製造方法。
【請求項32】
請求項1から18の何れか一項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、炎症の治療に有用な他の薬学的製剤、及び少なくとも一つの薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と組み合せることを含む請求項27から29の何れか一項に記載の組合せ品の製造方法。

【公表番号】特表2009−512670(P2009−512670A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536118(P2008−536118)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003876
【国際公開番号】WO2007/045868
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(505347558)バイオリポックス エービー (26)
【Fターム(参考)】