説明

炎症の治療のためのCCR2モジュレーターとしての縮合ヘテロアリールピリジルおよびフェニルベンゼンスルホンアミド

CCR2受容体の強力なアンタゴニストとして作用する化合物を提供する。当該化合物は一般にアリールスルホンアミド誘導体であり、CCR2を介した疾患の治療のための医薬的組成物、方法において、そしてCCR2アンタゴニストの同定に関するアッセイにおけるコントロールとして有用である。式(I)の化合物:またはその塩であって、式中:RおよびRは各々独立して、水素、ハロゲン、C1−8アルキル、−CN、またはC1−8ハロアルキルであるが、ただしRまたはRの少なくとも1つは水素以外であり;各Rは独立して水素であり;Rは水素であり;RはハロゲンまたはC1−8アルキルであり;Rは水素であり;XはCR、N、またはNOであり;XおよびXは、NまたはNOであり;XはCRであり;XおよびXは各々独立して、CR、N、およびNOより選択され;各Rは独立して、水素、ハロゲン、置換されたまたは置換されていないC2−8アルキル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルケニル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルキニル、−CN、=O、−NO、−OR、−OC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)NR、−OC(O)NR、−NR10C(O)R、−NR10C(O)NR、−NR、−NR10CO、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−NR10S(O)、置換されたまたは置換されていないC6−10アリール、置換されたまたは置換されていない5から10員ヘテロアリール、および置換されたまたは置換されていない3から10員ヘテロシクリルから成る群より選択される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]「関連する出願」
[0002]本出願文書は、2007年7月12日に提出された米国仮特許出願第60/949,328号の35 U.S.C. § 119(e)下での提出日の利益を主張し、同文献を本明細書により参照として援用する。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発
[0003]本明細書に開示した本発明は、少なくとも部分的にNIH(U19−AI056690−01)により資金提供を受けた。政府は本発明におけるある種の権利を有する。
【0003】
[0004]本発明は、ケモカイン受容体に対する多様なケモカインの結合または機能を阻害する上で有効である化合物、1つもしくはそれより多くのそれら化合物 またはそれらの医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物を提供する。ケモカイン受容体のアンタゴニストまたはモジュレーターとして、当該化合物および組成物は、多様な免疫障害の状態および疾患を治療する上での有用性を有する。
【背景技術】
【0004】
[0005]走化性サイトカインとしても知られているケモカインは、広範な多様な細胞により放出され、そして様々な生物学的活性を有する、一群の低分子量タンパク質である。ケモカインは免疫系の多様なタイプの細胞、例えばマクロファージ、T細胞、好酸球、好塩基球、および好中球を誘引し、血液から多様なリンパ組織および非リンパ組織へのそれらの遊走を引き起こす。ケモカインは炎症細胞の炎症部位への浸潤を仲介し、多くの炎症性疾患の惹起および永続化の原因となる(Schall, Cytokine, 3:165-183 (1991), Schall et al., Curr. Opin. Immunol., 6:865 873 (1994)にまとめられている)。
【0005】
[0006]走化性の刺激に加えて、ケモカインは、細胞の形の変化、顆粒のエキソサイトーシス、インテグリンのアップレギュレーション、生理活性脂質(例えばロイコトリエン)の形成、白血球の活性化に関連する呼吸性バースト、細胞の増殖、アポトーシスの誘導に対する抵抗性、および血管新生を含む、応答細胞におけるその他の変化を誘導することができる。このようにケモカインは炎症応答の早期の引き金であり、感染または炎症部位への炎症メディエーターの放出、走化性および血管外遊走を引き起こす。サイトカインはまた、重要な生理学的機能、および病理学的結果を有する、多数の細胞プロセスの刺激物質でもある。
【0006】
[0007]ケモカインは、応答細胞により発現されるケモカイン受容体を活性化することにより、それらの効果を及ぼす。ケモカイン受容体は、7回膜貫通型受容体としても知られているGタンパク質共役受容体の1つのクラスであり、広範な様々な細胞タイプ、例えば白血球、血管内皮細胞、平滑筋細胞および腫瘍細胞の表面上に見出される。
【0007】
[0008]ケモカインおよびケモカイン受容体は、腎炎症の間、内因性の腎細胞および浸潤細胞によって発現される(Segerer et al., J. Am. Soc. Nephrol., 11:152-76 (2000); Morii et al., J. Diabetes Complications, 17:11-5 (2003); Lloyd et al. J. Exp. Med., 185:1371-80 (1997); Gonzalez-Cuadrado et al. Clin. Exp. Immunol., 106:518-22 (1996); Eddy & Giachelli, Kidney Int., 47:1546-57 (1995); Diamond et al., Am. J. Physiol., 266:F926-33 (1994))。ヒトにおいて、CCR2およびリガンドMCP−1は、腎線維症において発現されるタンパク質の中の1つであり、間質内へのマクロファージの浸潤の程度に相関する(Yang et al., Zhonghua Yi Xue Za Zhi, 81:73-7 (2001); Stephan et al., J. Urol., 167:1497-502 (2002); Amann et al., Diabetes Care, 26:2421-5 (2003); Dai et al., Chin. Med. J. (Engl), 114:864-8 (2001))。腎線維症の動物モデルにおいて、CCR2またはMCP−1の遮断は、腎炎症の重症度の著明な低減をもたらす(Kitagawa et al., Am. J. Pathol., 165:237-46 (2004); Wada et al., Am. J. Pathol., 165:237-46 (2004); Shimizu et al., J. Am. Soc. Nephrol., 14:1496-505 (2003))。
【0008】
[0009]関節リウマチは、軟骨および骨の破壊をもたらす滑膜の炎症を特徴とする、関節の慢性疾患である。この疾患の基底にある原因は分かっていないが、マクロファージおよびTh−1型T細胞が、慢性炎症プロセスの惹起および永続化の鍵となる役割を担うと考えられている(Vervoordeldonk et al., Curr. Rheumatol. Rep., 4:208-17 (2002))。
【0009】
[0010]MCP−1は、リウマチの滑液中に同定されるMIP−1αおよびIL−8を含む数種のケモカインの中の1つである(Villiger et al., J. Immunol. 149:722-7 (1992); Scaife et al., Rheumatology (Oxford) 43:1346-52 (2004); Shadidi et al., Scand. J. Immunol. 57:192-8 (2003); Taylor et al., Arthritis Rheum. 43:38-47 (2000); Tucci et al., Biomed. Sci. Instrum. 34:169-74 (1997))。ケモカイン受容体であるCCR1、CCR2、CCR3およびCCR5は、関節炎のマウス由来の関節中でアップレギュレートされる(Plater-Zyberk et al., Immunol. Lett. 57:117-20 (1997)。CCR2アンタゴニストまたはMCP−1に対する抗体を使用してのMCP−1活性の遮断は、関節リウマチの実験モデルにおける関節の炎症を低減する上で効果的であることが示された(Gong et al., J. Exp. Med. 186:131-7 (1997); Ogata et al., J. Pathol. 182:106-14 (1997))。
【0010】
[0011]脂肪組織におけるケモカイン受容体を介したマクロファージの浸潤もまた、体内の脂肪の過剰な蓄積に起因する状態である、肥満から生じる合併症に寄与すると思われる。肥満は、肥満になった個体に多くの障害、例えばインスリン非依存型糖尿病、高血圧、脳卒中、および冠動脈疾患への素因を作る。肥満において脂肪組織は、脂肪酸、ホルモン、および炎症誘発性分子の増加した放出をもたらす、変化した代謝機能および内分泌機能を有する。脂肪組織のマクロファージは、TNF−アルファ、iNOSおよびIL−6を含む炎症誘発性サイトカインの鍵となる源であると考えられている(Weisberg et al., J. Clin. Invest. 112:1796-808 (2003))。マクロファージの脂肪組織への動員は、脂肪細胞により産生されるMCP−1により仲介されるようである(Christiansen T, et al., Int J Obes (Lond). 2005 Jan;29(1):146-50; Sartipy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100:7265-70 (2003))。
【0011】
[0012]増加したMCP−1は、脂肪細胞の分化およびインスリン抵抗性を誘導し、そして高インスリン血症および肥満に関連する病理に寄与すると思われる。MCP-1は、痩せたコントロールマウスと比較して、肥満のマウスにおいて血漿中に過剰発現されており、白脂質が主要な源である。MCP−1はまた創傷の治癒を加速することが示されており、上皮細胞における直接的な血管新生効果を有し、そして肥満においては脂肪組織のリモデリングに直接的な役割を担うと思われる(Sartipy P, Loskutoff DJ., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,100:7265 (2003))。
【0012】
[0013]MCP−1の血漿レベルは、食餌に誘発される肥満(Diet Induce Obesity、DIO)のマウスにおいて実質的に増加しており、血漿MCP−1レベルと体重との間の強い相関が同定された。さらに高脂肪食により誘発されるMCP−1の上昇は、DIOマウスにおけるCD11b陽性単球ポピュレーションの変化を引き起こす(Takahashi K, et al., J. Biol. Chem., 46654 (2003))。
【0013】
[0014]さらに脂肪における慢性的炎症は、肥満に関連するインスリン抵抗性の発症に重大な役割を担うと考えられている(Xu H, et al., J Clin Invest. 2003 Dec; 112(12): 1821-30)。肥満に関連するインスリン抵抗性は、少なくとも部分的には、脂肪組織において惹起される慢性炎症性疾患であると提案された。多くの炎症およびマクロファージに特異的な遺伝子が、遺伝的肥満および高脂肪食に誘発される肥満(DIO)のマウスモデルの白脂質組織において劇的にアップレギュレートされ、このアップレギュレーションが血中インスリンの劇的な増加に先行する。
【0014】
[0015]糖尿病の患者における、単球のCCR2および単球の化学誘引物質プロテイン−1の上昇した発現レベル(Biochemical and Biophysical Research Communications, 344(3): 780-5 (2006))が、糖尿病患者に関与する研究において発見された。糖尿病患者における血清MCP−1濃度および単球表面上のCCR2の発現は、非糖尿病者より有意に高く、血清MCP−1レベルは、HbA1c、トリグリセリド、BM1、hs−CRPに相関していた。単球表面上のCD36およびCD68の発現レベルは、糖尿病患者では有意に増加しており、そして糖尿病ではMCP−1によりさらに制御されなくなり(unregulate)、ox−LDLの取り込みを増強させ、そしてそれ故に泡沫細胞への形質転換を潜在的に増強させることになった。上昇した血清MCP−1、および増大した単球のCCR2、CD36、CD68の発現は、血中グルコースのコントロールにはそれほど相関せず、血管壁への単球の増大した動員に潜在的に相関する。
【0015】
[0016]MCP−1は、脂肪組織および骨格筋との間の負のクロストークにおいて潜在的役割を持つ(Bianco JJ, et al., Endocrinology, 2458 (2006))。MCP−1は、インスリンにより刺激されるグルコースの取り込みを有意に低減することができ、ヒト骨格筋細胞におけるインスリン抵抗性の著明な誘導因子である。脂肪組織は、エネルギー代謝およびインスリン感受性を制御する生理活性タンパク質を産生する、主要な分泌活性および内分泌活性のある臓器である。
【0016】
[0017]CCR2は、炎症、および高脂肪食の代謝の効果を調節する(Weisberg SP, et al., J. Clin. Invest., 115 (2006))。CCR2の遺伝子欠損は、食物摂取を低減させ、高脂肪食負荷したマウスの肥満の発症を減弱させる。脂肪症にマッチさせた肥満マウスにおいて、CCR2欠損は、脂肪組織のマクロファージ含有量および炎症プロフィールを低減し、アディポネクチンの発現を増大し、そしてグルコースの恒常性およびインスリン感受性を改善した。痩せた動物では、代謝形質におけるCCR2の遺伝子型の効果は見いだされなかった。高脂肪食マウスにおいては、CCR2の遺伝子型は、摂食、肥満の発症、および脂肪組織の炎症を調節した。一度確かめられたことから、短い用語で言えば拮抗作用が、脂肪組織におけるマクロファージの蓄積およびインスリン抵抗性を減弱することが示された。
【0017】
[0018]ケモカインおよびケモカイン受容体は、免疫細胞の輸送の鍵となる制御因子である。MCP−1は、単球およびT細胞の強力な化学誘引物質である;その発現は、炎症誘発性サイトカインの刺激および低酸素を含む炎症性の状態の下で誘発される。MCP−1およびCCR2間の相互作用が、単球、マクロファージ、同様に活性化T細胞の遊走を仲介し、多くの炎症性疾患の病変形成において鍵となる役割を担う。本発明に記載する低分子アンタゴニストを使用してのCCR2機能の阻害は、炎症性障害の治療のための新たなアプローチを提示する。
【0018】
[0019]乾癬は、ケラチノサイトの過剰増殖および著明な白血球の浸潤を特徴とする、慢性炎症性疾患である。乾癬病変由来のケラチノサイトは、特に炎症誘発性サイトカイン、例えばTNF−αにより刺激される時に、CCR2リガンドであるMCP−1を大量に発現することが知られている(Vestergaard et al., Acta. Derm. Venereol. 84(5):353-8 (2004); Gillitzer et al., J. Invest. Dermatol. 101(2): 127-31 (1993); Deleuran et al., J. Dermatol. Sci. 13(3):228-36 (1996))。MCP−1は、CCR2を発現するマクロファージおよび樹状細胞の双方の皮膚への遊走を誘引することができるため、この受容体およびリガンドのペアは、乾癬の発症の間の増殖するケラチノサイトおよび皮膚のマクロファージ間の相互作用を制御する上で、重要であると考えらている。したがって低分子アンタゴニストは、乾癬の治療において有用であると思われる。
【0019】
[0020]炎症性疾患に加えてケモカインおよびケモカイン受容体はまた、癌においても関係づけられた(Broek et al., Br J Cancer. 88(6):855-62 (2003))。腫瘍細胞は、増殖因子、サイトカイン、およびプロテアーゼを含む腫瘍の増殖に中心的な多様なメディエーターを分泌する間質の形成を刺激する。MCP−1のレベルは、腫瘍に関連するマクロファージの蓄積に有意に関連することが知られており、そして予後の分析は、MCP−1の高発現が乳癌の早期再発の有意な指標であることを明らかにしている(Ueno et al., Clin. Cancer Res. 6(8):3282-9 (2001))。したがってケモカインの低分子アンタゴニストは、腫瘍形成部位でのマクロファージの蓄積を遮断することにより、増殖を刺激するサイトカインの放出を低減することができるものと思われる。
【0020】
[0021]米国特許6,939,885号(ChemoCentryx, Inc.)は、以下の式
【0021】
【化1】

【0022】
の、CCR9ケモカイン活性を調節する上で有用な化合物を開示している。
[0022]PCT公開出願WO 2003/099773(Millennium Pharmaceuticals, Inc.)は、以下の式
【0023】
【化2】

【0024】
の、CCR9受容体に結合することのできる化合物を開示している。
[0023]PCT公開出願WO 2005/004810(Merck & Co., Inc.)は、以下の式
【0025】
【化3】

【0026】
の、ブラジキニンB1アンタゴニストまたはインバースアゴニストを開示している。
[0024]米国公開特許出願2007/0037794 A1(ChemoCentryx, Inc.)は、以下の化合物
【0027】
【化4】

【0028】
を含むCCR2モジュレーターを開示している。
[0025]残念ながら上の化合物はin vivoで急速に排泄される。そのような薬剤はしばしば、有意な期間にわたり治療上有効な血中レベルに達するように、薬剤の複数回投与を必要とする。徐放性の製剤およびデバイスを含むその他の方法もまた利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】米国公開特許出願2007/0037794 A1
【発明の概要】
【0030】
[0026]本発明は、ケモカインの活性を調節する上で有用な化合物および医薬的に許容可能なその塩、組成物、ならびに方法に向けられる。本明細書に記載する化合物およびその塩、組成物、ならびに方法は、ある種の炎症性および免疫調節性の障害および疾患を含む、ケモカインを介した状態または疾患を治療または予防する上で有用である。
【0031】
[0027]本発明の化合物は、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CXCR3、CXCR4、CXCR5、およびCX3CR1の1つまたはそれより多くを調節することが示された。特に本発明の多様な化合物は、実施例に示すようにCCR2を調節する。
【0032】
[0028]1つの態様において本発明は、式(I)の化合物:
【0033】
【化5】

【0034】
またはその塩に関し、
[0029]式中:
およびRは各々独立して、水素、ハロゲン、C1−8アルキル、−CN、またはC1−8ハロアルキルであるが、ただしRまたはRの少なくとも1つは水素以外であり;
[0030]各Rは独立して水素であり;
[0031]Rは水素であり;
[0032]RはハロゲンまたはC1−8アルキルであり;
[0033]Rは水素であり;
[0034]XはCR、N、またはNOであり;
[0035]XおよびXは、NまたはNOであり;
[0036]XはCRであり;
[0037]XおよびXは各々独立して、CR、N、およびNOより選択され;
[0038]各Rは独立して、水素、ハロゲン、置換されたまたは置換されていないC1−8アルキル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルケニル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルキニル、−CN、=O、−NO、−OR、−OC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)NR、−OC(O)NR、−NR10C(O)R、−NR10C(O)NR、−NR、−NR10CO、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−NR10S(O)、置換されたまたは置換されていないC6−10アリール、置換されたまたは置換されていない5から10員ヘテロアリール、および置換されたまたは置換されていない3から10員ヘテロシクリルから成る群より選択され;
[0039]R、R、およびR10は各々存在する場合は独立して、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、アリールもしくはヘテロアリールから成る群より選択されるか;またはRおよびR、もしくはR10およびRは、それらの結合する原子(1つもしくは複数)と共に、置換されたもしくは置換されていない5、6もしくは7員環を形成し;
[0040]R11は、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、置換されたまたは置換されていないC6−10アリール、置換されたまたは置換されていない5から10員ヘテロアリール、および置換されたまたは置換されていない3から10員ヘテロシクリルから成る群より選択される。
【0035】
[0041]式Iの化合物または塩の特定の態様において、式(II):
【0036】
【化6】

【0037】
の化合物またはその塩がある。
[0042]ある種の態様において、式Iの化合物に関して、各RおよびRおよびRは水素である。
【0038】
[0043]ある種の態様において、式Iの化合物に関して、XはNである。
[0044]ある種の態様において、式Iの化合物に関して、XおよびXはNであり、そしてXおよびXはCRである。
【0039】
[0045]ある種の態様において、式Iの化合物に関して、RはClである。
[0046]ある種の態様において、式Iの化合物に関して、Rは−CFである。
[0047]ある種の態様において、式Iの化合物に関して、RはHである。
【0040】
[0048]ある種の態様において、式Iの化合物に関して、RはClまたはメチルである。
[0049]ある種の態様において、式Iの化合物に関して、Rはメチルである。
【0041】
[0050]ある種の態様において、式Iの化合物に関して、RはClであり、RはCFであり、各RはHであり、RはClであり、そしてRはHである。
[0051]1つの特定の側面において、本発明は以下から成る群:
【0042】
【化7】

【0043】
より選択される化合物に関する。
[0052]もう1つの特定の側面において、本発明は以下から成る群:
【0044】
【化8】

【0045】
より選択される化合物、または医薬的に許容可能なその塩に関する。
[0053]1つの態様において、本化合物は式(I)もしくは(III):
【0046】
【化9】

【0047】
またはその塩により表されてよく、
[0054]式中R、R、R、R、R、R、R11、X、X、X、X、XおよびXは、以下に定義する通りである。
【0048】
[0055]ある種の態様において、本発明は式(III)の化合物:
【0049】
【化10】

【0050】
またはその塩に関し、
[0056]式中:
[0057]RおよびRは各々独立して、水素、ハロゲン、C1−8アルキル、−CN、またはC1−8ハロアルキルであるが、ただしRまたはRの少なくとも1つは水素以外であり;
[0058]各Rは独立して、水素、ハロゲン、またはC1−4アルキルであり;
[0059]Rは、水素またはC1−8アルキルであり;
[0060]Rは、ハロゲンまたはC1−8アルキルであり;
[0061]Rは、水素またはC1−4アルキルであり;
[0062]XはCR、N、またはNOであり;
[0063]Xは、NまたはNOであり;
[0064]X、X、XおよびXは各々独立してCRであり、ここで各Rは独立して、水素、ハロゲン、置換されたまたは置換されていないC1−8アルキル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルケニル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルキニル、−CN、=O、−NO、−OR、−OC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)NR、−OC(O)NR、−NR10C(O)R、−NR10C(O)NR、−NR、−NR10CO、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−NR10S(O)、置換されたまたは置換されていないC6−10アリール、置換されたまたは置換されていない5から10員ヘテロアリール、および置換されたまたは置換されていない3から10員ヘテロシクリルから成る群より選択され;
[0065] R、R、およびR10は各々存在する場合は独立して、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、アリールもしくはヘテロアリールから成る群より選択されるか;またはRおよびR、もしくはR10およびRは、それらの結合する原子(1つもしくは複数)と共に、置換されたもしくは置換されていない5、6もしくは7員環を形成し;
[0066]XはO、S、またはNR11であり、
[0067]ここでR11は、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、置換されたまたは置換されていないC6−10アリール、置換されたまたは置換されていない5から10員ヘテロアリール、および置換されたまたは置換されていない3から10員ヘテロシクリルから成る群より選択される。
【0051】
[0068]1つの特定の態様において、式IIIの化合物は式(IV):
【0052】
【化11】

【0053】
を有する。
[0069]もう1つの側面において、本発明はケモカイン活性を調節する上で有用な組成物を提供する。1つの態様において本発明による組成物は、本発明による化合物、および医薬的に許容可能な担体または賦形剤を含んでなる。
【0054】
[0070]なおもう1つの側面において本発明は、治療有効量の本発明による化合物または組成物と、細胞を接触させることを含んでなる、細胞におけるケモカインの機能を調節する方法を提供する。
【0055】
[0071]まだもう1つの側面において本発明は、治療有効量の本発明による化合物または組成物と、ケモカイン受容体を接触させることを含んでなる、ケモカインの機能を調節するための方法を提供する。
【0056】
[0072]まだもう1つの側面において本発明は、安全なそして有効な量の本発明による化合物または組成物を、対象に投与することを含んでなる、ケモカインを介した状態または疾患を治療するための方法を提供する。
【0057】
[0073]1つの特定の側面において本発明は、治療有効量の式Iの化合物、または式Iの化合物の医薬的に許容可能な塩を、対象に投与することを含んでなる、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法に関する。ある種の態様においてCCR2を介した状態または疾患は、アテローム硬化症である。ある種の態様においてCCR2を介した状態または疾患は、再狭窄である。ある種の態様においてCCR2を介した状態または疾患は、多発性硬化症である。ある種の態様においてCCR2を介した状態または疾患は、炎症性腸疾患、腎線維症、関節リウマチ、肥満、および非インスリン型糖尿病から成る群より選択される。ある種の態様においてCCR2を介した状態または疾患は、2型糖尿病である。ある種の態様においてCCR2を介した状態または疾患は、慢性閉塞性肺疾患、特発性肺線維症、および特発性肺炎症候群から成る群より選択される。
【0058】
[0074]本明細書において提供した化合物に加えて、本発明はさらに、1つまたはそれより多くのこれら化合物を含有する医薬組成物、ならびに主にケモカインシグナリング活性に関連する疾患を治療するための治療法における、これら化合物の使用に関する方法を提供する。
【0059】
[0075]もう1つの側面において、本発明は、4−クロロ−N−[5−メチル−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミドナトリウム塩の結晶形を提供する。ある種の態様において、4−クロロ−N−[5−メチル−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミドナトリウム塩の結晶形は、CuKα線を使用して測定した以下の2θ値±0.2:すなわち6.9, 7.7, 20.0, 24.3, 24.7, および25.1、を含んでなるX線粉末回折を有する。他の態様において請求項23の結晶形を提供する。前記結晶形は、CuKα線を使用して測定した以下の2θ値±0.2:すなわち6.9, 7.7, 10.6, 11.3, 11.8, 12.5, 13.7, 15.1, 15.3, 16.1, 16.9, 17.3, 18.2, 18.5, 19.5, 20.0, 21.6, 21.8, 22.6, 24.3, 24.7, 25.1, 25.6, 26.3, 27.5, 28.5, 28.8, 29.3, 31.4, および32.4、を含んでなるX線粉末回折を有する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
[0076]
【図1】図1は、実施例14に記載したような、4−クロロ−N−[5−メチル−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミドナトリウム塩の、XPRD(X線粉末回折)スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
[0077](概略)
[0078]本発明は、ケモカイン受容体の機能、特にCCR2の機能の調節において有用な化合物およびその塩、組成物、ならびに方法に向けられる。ケモカイン受容体の活性の調節は、本明細書においてその多様な形で使用するように、特定のケモカイン受容体、好ましくはCCR2受容体に関連する活性の、アンタゴニズム、アゴニズム、部分アンタゴニズム、インバースアゴニズム、および/または部分アゴニズムを含んでなることを意図する。したがって本発明の化合物は、哺乳類のCCR2、例えばヒトCCR2タンパク質の、少なくとも1つの機能または特徴を調節する化合物である。CCR2の機能を調節する化合物の能力は、結合アッセイ(例えばリガンドの結合もしくはアゴニストの結合)、遊走アッセイ、シグナリングアッセイ(例えば哺乳類のGタンパク質の活性化、細胞質ゾルの遊離カルシウムの濃度の急激なそして一時的な増加の誘発)、および/または細胞の応答アッセイ(例えば走化性、エキソサイトーシスまたは白血球による炎症メディエーターの放出の刺激)において、実証することができる。
【0062】
[0079](略語および定義)
[0080]本発明の化合物、組成物、方法、および製法を記載する場合、以下の用語は他に指摘していなければ以下の意味を有する。
【0063】
[0081]“アルキル”は、それ自体によりまたは別の置換基の一部として、示した炭素の数を有する、直鎖、環式、もしくは分枝鎖、またはそれらの組み合わせであってよい炭化水素基をいう(すなわちC1−8は、1から8の炭素原子を意味する)。アルキル基の例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]オクタン、等を含む。アルキル基は他に指摘していなければ、置換されていることも置換されていないこともできる。置換されたアルキルの例として、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、等を含む。
【0064】
[0082]“アルコキシ”は、−O−アルキルをいう。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ等を含む。
[0083]“アルケニル”は、直鎖、環式、もしくは分枝鎖、またはそれらの組み合わせであってよい不飽和炭化水素基をいう。2−8の炭素原子を有するアルケニル基が好ましい。アルケニル基は、1、2または3の炭素−炭素二重結合を含有してよい。アルケニル基の例として、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブト−2−エニル、n−ヘキシ−3−エニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、等を含む。アルケニル基は、他に指摘していなければ、置換されていることも置換されていないこともできる。
【0065】
[0084]“アルキニル”は、直鎖、環式、もしくは分枝鎖、またはそれらの組み合わせであってよい不飽和炭化水素基をいう。2−8の炭素原子を有するアルキニル基が好ましい。アルキニル基は、1、2または3の炭素−炭素三重結合を含有してよい。アルキニル基の例として、エチニル、n−プロピニル、n−ブト−2−イニル、n−ヘキシ−3−イニル、等を含む。アルキニル基は、他に指摘していなければ、置換されていることも置換されていないこともできる。
【0066】
[0085]“アリール”は、共に融合したり、または共有結合で連結することのできる、単環(単環式)または複数の環(二環式)を有するポリ不飽和、芳香族炭化水素基をいう。6−10の炭素原子を有するアリール基が好ましく、この場合この炭素原子の数は、例えばC6−10により示すことができる。アリール基の例として、フェニル、およびナフタレン−1−イル、ナフタレン−2−イル、ビフェニル等を含む。アリール基は他に指摘していなければ、置換されていることも置換されていないこともできる。
【0067】
[0086]“ハロ”または“ハロゲン”は、それ自体によりまたは置換基の一部として、塩素、臭素、ヨウ素、またはフッ素の原子をいう。
[0087]“ハロアルキル”は置換されたアルキル基として、最も典型的には1−3のハロゲン原子で置換された、モノハロアルキル基またはポリハロアルキル基をいう。例として、1−クロロエチル、3−ブロモプロピル、トリフルオロメチル、等を含む。
【0068】
[0088]“ヘテロシクリル”は、窒素、酸素またはイオウより選択される少なくとも1つのヘテロ原子(典型的には1から5のヘテロ原子)を含有する、飽和または不飽和の非芳香環をいう。ヘテロシクリル環は単環式であっても、または二環式であってもよい。好ましくはこれらの基は、0−5の窒素原子、0−2のイオウ原子、および0−2の酸素原子を含有する。より好ましくはこれらの基は、0−3の窒素原子、0−1のイオウ原子、および0−1の酸素原子を含有する。ヘテロシクリル基の例として、ピロリジン、ピペリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン−S−オキシド、チオモルホリン−S,S−ジオキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3−ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジン、等を含む。好ましいヘテロシクリル基は単環式である、しかしながらそれらはアリール環系またはヘテロアリール環系と、融合または共有結合により連結してよい。
【0069】
[0089]1つの好ましい態様においてヘテロシクリル基は、以下の式(AA):
【0070】
【化12】

【0071】
により表してよく、
[0090]ここで式(AA)は、M上またはM上のどちらかの遊離の結合価を介して結合する; M は、O、NR、またはS(O)を表す; MはCR、O、S(O)、またはNRを表す; lは0、1または2である;jは1、2または3であり、そしてkは1、2または3であるが、ただしj+kは3、4、または5である;そしてR、R、R、R、R、R、およびRは独立して、水素、ハロゲン、置換されていないまたは置換されたC1−8アルキル、置換されていないまたは置換されたC2−8アルケニル、置換されていないまたは置換されたC2−8アルキニル、−COR、−CO、−CONR、−NRCOR、−SO、−SONR、−NSO、−NR、−OR、−QCOR、−QCO、−QCONR、−QNRCOR、−QSO28、−QSONR、−QNSO、−QNR、−QORから成る群より選択され、ここでQはC1−4アルキレン、C2−4アルケニレン、C2−4アルキニレンからなる群より選択されるメンバーであり、そしてRおよびRは独立して、水素およびC1−8アルキルからなる群より選択され、そしてここでR、R、R、R、R、R、R、RおよびRの各置換基の脂肪族部分は所望により、ハロゲン、−OH、−OR、−OC(O)NHR、−OC(O)NR、−SH、−SR、−S(O)R、−S(O)、−SONH、−S(O)NHR、−S(O)NR、−NHS(O)、−NRS(O)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NR、−C(O)R、−NHC(O)R、−NRC(O)R、−NHC(O)NH、−NRC(O)NH、−NRC(O)NHR、−NHC(O)NHR、−NRC(O)NR、−NHC(O)NR、−COH、−CO、−NHCO、−NRCO、−CN、−NO、−NH、−NHR、−NR、−NRS(O)NH、および−NRS(O)NHRから成る群より選択される1から3のメンバーで置換されており、ここでR、RおよびRは独立して、置換されていないC1−8アルキルである。加えてR、R、R、R、R、R、およびRのいずれか2つが合同して、架橋されたまたはスピロ環式の環系を形成してもよい。
【0072】
[0091]1つの好ましい態様において、水素以外であるR + R+ R + R基の数は、0、1または2である。より好ましい態様において、R、R、R、R、R、R、およびRは独立して、水素、ハロゲン、置換されていないまたは置換されたC1−8アルキル、−COR、−CO、−CONR、−NRCOR、−SO、−SONR、−NSO、−NR、および−ORから成る群より選択され、ここでRおよびRは独立して、水素、および置換されていないC1−8アルキルから成る群より選択され、そしてここでR、R、R、R、R、R、およびRの各置換基の脂肪族部分は所望により、ハロゲン、−OH、−OR、−OC(O)NHR、−OC(O)NR、−SH、−SR、−S(O)R、−S(O)、−SONH、−S(O)NHR、−S(O)NR、−NHS(O)、−NRS(O)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NR、−C(O)R、−NHC(O)R、−NRC(O)R、−NHC(O)NH、−NRC(O)NH、−NRC(O)NHR、−NHC(O)NHR、−NRC(O)NR、−NHC(O)NR、−COH、−CO、−NHCO、−NRCO、−CN、−NO、−NH、−NHR、−NR、−NRS(O)NH、および−NRS(O)NHRから成る群より選択される1から3のメンバーで置換されており、ここでR、RおよびRは独立して、置換されていないC1−8アルキルである。
【0073】
[0092]より好ましい態様において、R、R、R、R、R、R、およびRは独立して、水素またはC1−4アルキルである。もう1つの好ましい態様において、R、R、R、R、R、R、およびRの少なくとも3つは水素である。
【0074】
[0093]“ヘテロアリール”は、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する芳香族基をいい、ここでヘテロアリール基は、単環式でも二環式でもよい。例として、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾトリアジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリミジン類、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、アザインドリル、アザインダゾリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、またはチエニルを含む。好ましいヘテロアリール基は、少なくとも1つのアリール環の窒素原子を有するもの、例えばキノリニル、キノキサリニル、プリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、キノリル、イソキノリル、等である。好ましい6員環ヘテロアリール系は、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、等を含む。好ましい5員環ヘテロアリール系は、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、フリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、等を含む。
【0075】
[0094]ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、あらゆる利用可能な環上の炭素またはヘテロ原子で結合することができる。各々のヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、1つまたはそれより多くの環を有してよい。複数の環が存在する場合、それらは共に融合したり、共有結合により連結したりすることができる。各々のヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、窒素、酸素またはイオウより選択される少なくとも1つのヘテロ原子(典型的には1から5のヘテロ原子)を含有しなければならない。好ましくはこれらの基は、0−5の窒素原子、0−2のイオウ原子、および0−2の酸素原子を含有する。より好ましくは、これらの基は、0−3の窒素原子、0−1のイオウ原子、および0−1の酸素原子を含有する。ヘテロシクリル基およびヘテロアリール基は、他に記載していなければ置換されていることも置換されていないこともできる。置換された基に関して、置換は炭素上でもヘテロ原子上でもよい。例えば置換がオキソ(=Oまたは−O)である場合、得られる基は、カルボニル(−C(O)−)またはN−オキシド(−N−O)のどちらかを有してよい。
【0076】
[0095]置換されたアルキル、置換されたアルケニル、および置換されたアルキニルに関する適切な置換基は、ハロゲン、−CN、−COR’、−C(O)R’、−C(O)NR’R”、オキソ(=Oまたは−O)、−OR’、−OC(O)R’、−OC(O)NR’R”、−NO、−NR’C(O)R”、−NR’”C(O)NR’R”、−NR’R”、−NR’COR”、−NR’S(O)R”、−NR’S(O)R’”、−NR”’S(O)NR’R”、−NR”’S(O)NR’R”、−SR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NR’−C(NHR”)=NR”’、−SiR’R”R”’、−N、置換されたまたは置換されていないC6−10アリール、置換されたまたは置換されていない5から10員ヘテロアリール、および置換されたまたは置換されていない3から10員ヘテロシクリルを含む。可能な置換基の数は0から(2m’+1)までの範囲であり、ここでm’は、そのようなラジカルの炭素原子の総数である。
【0077】
[0096]置換されたアリール、置換されたヘテロアリール、および置換されたヘテロシクリルに関する適切な置換基は、ハロゲン、−CN、−COR’、−C(O)R’、−C(O)NR’R”、オキソ(=Oまたは−O)、−OR’、−OC(O)R’、−OC(O)NR’R”、−NO、−NR’C(O)R”、−NR’”C(O)NR’R”、−NR’R”、−NR’COR”、−NR’S(O)R”、−NR’S(O)R”、−NR”’S(O)NR’R”、−NR”’S(O)NR’R”、−SR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NR’−C(NHR”)=NR”’、−SiR’R”R”’、−N、置換されたまたは置換されていないC1−8アルキル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルケニル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルキニル、置換されたまたは置換されていないC6−10アリール、置換されたまたは置換されていない5から10員ヘテロアリール、および置換されたまたは置換されていない3から10員ヘテロシクリルを含む。可能な置換基の数は、0から芳香族環系上のオープンな結合価の総数までの範囲である。
【0078】
[0097]上で使用する場合、R’、R”およびR’”は各々独立して、水素、置換されたまたは置換されていないC1−8アルキル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルケニル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルキニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていないヘテロアリール、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていないアリールオキシアルキルを含む様々な基をいう。R’およびR”が同じ窒素原子に結合する場合、それらは窒素原子と合同して、3、4、5、6、または7員環を形成することができる(例えば−NR’R”は、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含む)。さらにR’およびR”、R”およびR”’、またはR’およびR”’は、それらの結合する原子(1つまたは複数)と共に、置換されたまたは置換されていない5、6、または7員環を形成してもよい。
【0079】
[0098]アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の2つの置換基は、所望により式−T−C(O)−(CH−U−の置換基で置き換えられてもよく、ここでTおよびUは独立して−NR””−、−O−、−CH−、または単結合であり、そしてqは0から2の整数である。あるいはアリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の2つの置換基は、所望により式−A’−(CH−B’−の置換基でおきかえられてもよく、ここでA’およびB’は独立して、−CH−、−O−、−NR””−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR””−、または単結合であり、そしてrは1から3の整数である。そのように形成された新しい環の単結合の1つは、所望により二重結合に置き換えられてもよい。あるいはアリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の2つの置換基は、所望により式−(CH−X−(CH−の置換基で置き換えられてもよく、ここでsおよびtは独立して0から3の整数であり、そしてXは、−O−、−NR””−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)NR’−である。R””は水素、または置換されていないC1−8アルキルより選択される。
【0080】
[0099]“ヘテロ原子”は、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)およびケイ素(Si)を含むことを意味する。
[00100]“医薬的に許容可能な”担体、希釈剤、または賦形剤は、製剤のその他の成分と適合する、そしてそのレシピエントに有害でない担体、希釈剤、または賦形剤である。
【0081】
[00101]“医薬的に許容可能な塩”は、患者、例えば哺乳動物への投与に許容可能である塩(例えば所定の投与計画に関して許容可能な哺乳類の安全性を有する塩)をいう。そのような塩は、本明細書に記載した化合物に見出される特定の置換基に依存して、医薬的に許容可能な無機または有機の塩基、および医薬的に許容可能な無機または有機の酸から誘導することができる。本発明の化合物が相対的に酸性の官能基を含有する場合、そのような化合物の中性の形を、ニートのまたは適切な不活性溶媒中のどちらかの、十分量の所望の塩基と接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。医薬的に許容可能な無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、三価マンガン、二価マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛、等の塩を含む。医薬的に許容可能な有機塩基から誘導される塩は、置換されたアミン、環式アミン、天然に生成されるアミン等を含む、第一級、第二級、第三級、第四級のアミン、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミンレジン類、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、等の塩を含む。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を含有する場合、そのような化合物の中性の形を、ニートのまたは適切な不活性溶媒中のどちらかの、十分量の所望の酸と接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。医薬的に許容可能な酸から誘導される塩は、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンホスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、等の塩を含む。
【0082】
[00102]また、アミノ酸の塩 例えばアルギネート等、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸等のような有機酸の塩を含む(例えばBerge, S.M. et al, “Pharmaceutical Salts”, J. Pharmaceutical Science, 1977, 66:1-19を参照のこと)。本発明のある種の特定の化合物は、化合物を、塩基付加塩または酸付加塩のどちらかに変換することを可能にする、塩基性および酸性双方の官能基を含有する。
【0083】
[00103]化合物の中性の形は、従来の様式でその塩を塩基または酸と接触させて、親化合物を単離することにより再度生成してよい。親化合物の形は、ある種の生理学的特性、例えば極性溶媒中の溶解度において多様な塩の形とは異なるが、それ以外には本発明の目的に関してこれらの塩は親化合物の形と同等である。
【0084】
[00104]“その塩”は、酸の水素がカチオン、例えば金属カチオンまたは有機カチオン等により置き換えられる時に形成される化合物をいう。好ましくは塩は、医薬的に許容可能な塩であるが、このことは、患者に投与する意図のない中間体化合物の塩に関しては必要ではない。
【0085】
[00105]塩の形に加えて、本発明はプロドラッグの形にある化合物を提供する。本明細書に記載する化合物のプロドラッグは、生理学的状態下で容易に化学変化を起こして、本発明の化合物を提供する化合物である。加えてプロドラッグは、ex vivoの環境において化学的または生化学的方法により、本発明の化合物に変換することができる。例えばプロドラッグは、経皮パッチの貯蔵部分に適切な酵素または化学試薬と共に置かれた時に、本発明の化合物に緩やかに変換することができる。
【0086】
[00106]プロドラッグは、ルーチンの操作またはin vivo のどちらかで修飾が開裂されて、親化合物になるというような方式で、化合物中に存在する官能基を修飾することにより調製してよい。プロドラッグは、ヒドロキシル基、アミノ基、スルフヒドリル基、またはカルボキシル基がいずれかの基に結合していて、哺乳類の対象に投与された時に開裂して、遊離のヒドロキシル基、アミノ基、スルフヒドリル基、またはカルボキシル基を各々形成する、という化合物を含む。プロドラッグの例として、本発明の化合物中のアルコールおよびアミンの官能基の、アセテート、ホルメート、およびベンゾエートの誘導体を含むが、これに限定されない。プロドラッグの調製、選択、および使用は、T. Higuchi and V. Stella, “Pro-drugs as Novel Delivery Systems,” the A.C.S. Symposium Seriesの第14巻; “Design of Prodrugs”, H. Bundgaard編, Elsevier, 1985; およびBioreversible Carriers in Drug Design, Edward B. Roche編, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987、に考察されており、これらの各文献を本明細書によりそれらの全内容において参照として援用する。
【0087】
[00107]本発明の化合物は、医薬的に許容可能なその代謝物の形で存在してよい。“代謝物”という用語は、本発明の化合物(またはその塩)の代謝誘導体の医薬的に許容可能な形を意味する。いくつかの側面において代謝物は、in vivo で活性な化合物に容易に変換され得る、化合物の官能基の誘導体であってよい。他の側面において、代謝物は活性な化合物であってよい。
【0088】
[00108]“治療有効量”は、治療を必要とする患者に投与された時に、治療を達成するための十分な量をいう。
[00109]“治療すること”または“治療”は、本明細書で使用する場合、患者、例えば哺乳類(特にヒトまたは愛玩動物)における疾患または医学的状態(例えばウイルス、細菌もしくは真菌の感染、またはその他の感染性疾患、ならびに自己免疫または炎症性の状態)を治療することまたはそれらの治療をいい、これには、疾患もしくは医学的状態を寛解させること、すなわち患者の疾患もしくは医学的状態を排除するもしくは後退を引き起こすこと;疾患もしくは医学的状態を抑制すること、すなわち患者の疾患もしくは医学的状態の発症を遅延もしくは抑止すること;または患者の疾患もしくは医学的状態の症状を軽減すること、を含む。
【0089】
[00110]本発明のある種の化合物は、溶媒和していない形、並びに水和した形を含む溶媒和した形で存在することができる。一般に、溶媒和した形および溶媒和していない形の双方とも、本発明の範囲内に包含されることを意図する。本発明のある種の化合物は、多重結晶またはアモルファスの形で(すなわち多形として)存在してよい。一般にすべての物理的形は、本発明によって意図された使用に関しては同等であり、本発明の範囲内であることを意図する。
【0090】
[00111]本発明のある種の化合物は互変異性の形で存在してよく、その化合物のそのようなすべての互変異性の形は本発明の範囲内であることは、当業者には明らかであろう。本発明のある種の化合物は非対称の炭素原子(光学中心)または二重結合を保有する;ラセミ化合物、ジアステレオマー、幾何異性体、および個々の異性体(例えば分離したエナンチオマー)はすべて、本発明の範囲内に包含されることを意図する。本発明の化合物はまた、そのような化合物を構成する1つまたはそれより多くの原子に、天然には存在しない比率の原子の同位元素を含有してもよい。例えば当該化合物は、放射性同位元素、例えばトリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)、または炭素−14(14C)で放射性標識してよい。本発明の化合物のすべての同位体のバリエーションは、放射性であるかどうかにかかわらず、本発明の範囲内に包含されることを意図する。
【0091】
[00112]本発明の化合物は、検出可能な標識を含んでよい。検出可能な標識は、低濃度で、通常マイクロモル未満、可能であればナノモル未満で検出可能であり、そして分子の特性(例えば分子量、質量 対 電荷比、放射活性、酸化還元能、発光、蛍光、電磁気学的特性、結合特性、等)の差異によって、他の分子から容易に識別することができる群である。検出可能な標識は、分光学、光化学、生化学、免疫化学、電気、磁気、電磁気、光学、または化学的な手段、等により検出してよい。
【0092】
[00113]広く多様な検出可能な標識は本発明の範囲内であり、これらには、ハプテン標識(例えばビオチン、または検出可能な抗体、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ抗体と結合させて使用する標識);質量によるタグの標識(例えば安定な同位体の標識);放射性同位体の標識(H、125I、35S、14C、または32Pを含む);金属キレート標識;発光標識(蛍光標識(例えばフルオレセイン、イソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、等)、リン光標識、および化学発光標識を含み、典型的には0.1より高い量子収量を有する);電子活性および電子伝達の標識;酵素モジュレーターの標識(補酵素、有機金属触媒、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAにおいて通常使用されるその他の標識を含む);光感受性の標識;磁気ビーズの標識(ダイナビーズを含む);比色分析による標識、例えばコロイド金、銀、セレン、もしくはその他の金属、および金属ゾルの標識(米国特許第5,120,643号を参照のこと。同文献をすべての目的に関するその全内容において本明細書にて参照として援用する)、または着色したガラスもしくはプラスチック(例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス、等)のビーズの標識;ならびにカーボンブラックの標識、を含む。そのような検出可能な標識の使用を教示する特許として、米国特許第3,817,837号;3,850,752号;3,939,350号;3,996,345号;4,277,437号;4,275,149号;4,366,241号;6,312,914号;5,990,479号;6,207,392号;6,423,551号;6,251,303号;6,306,610号;6,322,901号;6,319,426号;6,326,144号;および6,444,143号を含み、これら文献を、すべての目的に関するそれらの全内容において本明細書にて参照として援用する。
【0093】
[00114]検出可能な標識は、市販により入手可能であり、あるいは当業者に公知のように調製してもよい。検出可能な標識は、反応性の官能基を使用して化合物に共有結合により結合させてよく、あらゆる適当な位置に置くことができる。検出可能な標識を結合させるための方法は、当業者に公知である。反応基を、アルキル鎖、またはアリールの核につながれた置換されたアルキル鎖に結合させる場合、反応基はアルキル鎖の末端に置いてよい。
【0094】
[00115](化合物)
[00116]ある種の態様において本発明の化合物は、式(I):
【0095】
【化13】

【0096】
により表される化合物またはその塩であり、
[00117]式中:RおよびRは各々独立して、水素、ハロゲン、C1−8アルキル、−CN、またはC1−8ハロアルキルであるが、ただしRまたはRの少なくとも1つは水素以外であり;
[00118]各Rは独立して水素、ハロゲン、またはC1−4アルキルであり;
[00119]Rは水素、またはC1−8アルキルであり;
[00120]RはハロゲンまたはC1−8アルキルであり;
[00121]Rは水素またはC1−4アルキルであり;
[00122]R11は、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、置換されたまたは置換されていないC6−10アリール、置換されたまたは置換されていない5から10員ヘテロアリール、および置換されたまたは置換されていない3から10員ヘテロシクリルから成る群より選択され;
[00123]XはCR、N、またはNOであり;
[00124]XおよびXは、各々独立してNまたはNOであり;
[00125]XはCRであり;
[00126]XおよびXは各々独立して、CR、N、およびNOより選択され;
[00127]各Rは独立して、水素、ハロゲン、置換されたまたは置換されていないC1−8アルキル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルケニル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルキニル、−CN、−NO、−OR、−OC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)NR、−OC(O)NR、−NR10C(O)R、−NR10C(O)NR、−NR、−NR10CO、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−NR10S(O)、置換されたまたは置換されていないC6−10アリール、置換されたまたは置換されていない5から10員ヘテロアリール、および置換されたまたは置換されていない3から10員ヘテロシクリルから成る群より選択され;
[00128]R、R、およびR10は各々存在する場合は独立して、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、アリールもしくはヘテロアリールから成る群より選択されるか;またはRおよびR、もしくはRおよびR10は、それらの結合する原子(1つは複数)と共に、置換されたもしくは置換されていない5、6もしくは7員環を形成する。
【0097】
[00129]好ましくは各R、R、およびRは各々水素である。
[00130]もう1つの態様において、本発明の化合物は式(II):
【0098】
【化14】

【0099】
またはその塩により表され、
[00131]式中、R、R、R、RおよびR11は、式(I)について上に定義したとおりである。
【0100】
[00132]もう1つの態様において、本発明の化合物は式(III):
【0101】
【化15】

【0102】
またはその塩により表され、
[00133]式中、R、R、R、R、RおよびR11は、式(I)について上に定義したとおりであり;そして
[00134]XはCR、N、またはNOであり;
[00135]Xは、NまたはNOであり;
[00136]X、X、XおよびXは各々独立して、CRであり、ここで各Rは独立して、水素、ハロゲン、置換されたまたは置換されていないC1−8アルキル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルケニル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルキニル、−CN、=O、−NO、−OR、−OC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)NR、−OC(O)NR、−NR10C(O)R、−NR10C(O)NR、−NR、−NR10CO、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−NR10S(O)、置換されたまたは置換されていないC6−10アリール、置換されたまたは置換されていない5から10員ヘテロアリール、および置換されたまたは置換されていない3から10員ヘテロシクリルから成る群より選択され;
[00137]R、R、およびR10は各々存在する場合は独立して、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、アリールもしくはヘテロアリールから成る群より選択されるか;またはRおよびR、もしくはR10およびRは、それらの結合する原子(1つもしくは複数)と共に、置換されたもしくは置換されていない5、6もしくは7員環を形成する。
【0103】
[00138]もう1つの態様において、本発明の化合物は式(IV):
【0104】
【化16】

【0105】
またはその塩により表され、
[00139]式中、R、R、R、RおよびR11は、式(III)について上に定義したとおりである。
【0106】
[00140](好ましい態様)
[00141]式I、II、III、またはIVのいずれかの式において、Rは水素である。
【0107】
[00142]式I、II、III、またはIVのいずれかの式において、RはC1−8ハロアルキルである。
[00143]式I、II、III、またはIVの一部の態様において、RはClであり、RはCFである。
【0108】
[00144]式I、II、III、またはIVの一部の態様において、Rはメチルであり、RはCFである。
[00145]式IまたはIIIのいずれかの式において、Rは水素である。
【0109】
[00146]式I、II、III、またはIVのいずれかの式において、Rはハロゲンである。
[00147]式I、II、III、またはIVのいずれかの式において、Rは塩素である。
【0110】
[00148]式I、II、III、またはIVのいずれかの式において、RはC1−8アルキルである。
[00149]式I、II、III、またはIVのいずれかの式において、Rはメチルである。
【0111】
[00150]式IまたはIIIのいずれかの式において、Rはハロゲンである。
[00151]式IまたはIIIのいずれかの式において、XはNである。
[00152]式IまたはIIIのいずれかの式において、XはNOである。
【0112】
[00153]式IまたはIIIのいずれかの式において、XはCRである。
[00154]式IまたはIIIの一部の態様において、XがCRであるとき、RはHである。
【0113】
[00155]式Iの一部の態様において、XはNである。
[00156]式Iの一部の態様において、XはNOである。
[00157]式Iの一部の態様において、XはCRであり、ここでRはHまたはC1−4アルキルである。
【0114】
[00158]式Iの一部の態様において、XはNである。
[00159]式Iの一部の態様において、XはNOである。
[00160]式IIIの一部の態様において、XはCRであり、ここでRはHまたはC1−4アルコキシである。
【0115】
[00161]式IIIの一部の態様において、XはNである。
[00162]式IIIの一部の態様において、XはNOである。
[00163]式Iの一部の態様において、XはCRであり、ここでRはHまたはC1−4アルキルである。
【0116】
[00164]式I、II、III、またはIVの一部の態様において、R11はHまたはC1−4アルキル、最も好ましくはHである。
[00165]式IまたはIIIの一部の態様において、XはCRである。
【0117】
[00166]式IまたはIIIの一部の態様において、XはCRであり、ここでRはHまたはC1−4アルキル、最も好ましくはHである。
[00167]式IまたはIIIの一部の態様において、XはNである。
【0118】
[00168]式IまたはIIIの一部の態様において、XはNOである。
[00169]式IまたはIIIの一部の態様において、XはCRである。
[00170]式IまたはIIIの一部の態様において、XはCRであり、ここでRはHまたはC1−4アルキル、最も好ましくはHである。
【0119】
[00171]式IまたはIIIの一部の態様において、XはNである。
[00172]式IまたはIIIの一部の態様において、XはNOである。
[00173](CCR2の活性を調節する化合物)
[00174]本発明は、CCR2の活性の少なくとも1つを調節する化合物を提供する。ケモカイン受容体は、細胞外のリガンド、例えばケモカインと相互作用し、そしてリガンドに対する細胞応答、例えば走化性、増加される細胞内カルシウムイオン濃度、等を仲介する内在性膜タンパク質である。それ故ケモカイン受容体の機能の調節、例えばケモカイン受容体とリガンドの相互作用の妨害は、ケモカイン受容体を介した応答を調節し、そしてケモカイン受容体を介した状態または疾患を治療または予防することになる。ケモカイン受容体の機能の調節は、その機能の誘導および阻害の双方を含む。達成される調節のタイプは、化合物の特徴、すなわちアンタゴニスト、または完全アゴニスト、部分アゴニスト、もしくはインバースアゴニストに依存することになる。
【0120】
[00175]いかなる特定の理論により拘束されることも意図しないが、本明細書に提供した化合物は、ケモカイン受容体、および1つまたはそれより多くの同族のリガンド間の相互作用を妨げると考えられる。特に、当該化合物はCCR2およびCCR2リガンド、例えばMCP−1間の相互作用を妨げると考えられる。本発明により意図する化合物は、本明細書に提供した例示的化合物およびその塩を含むが、これに限定されない。
【0121】
[00176]例えば本発明の化合物は、強力なCCR2アンタゴニストとして作用し、この拮抗的活性を、CCR2に関する特徴的疾患の1つの状態である炎症に関して、動物試験でさらに確証した。よって本明細書に提供した化合物は、CCR2を介した疾患の治療のための医薬的組成物、方法において、そして競合的CCR2アンタゴニストの同定に関するアッセイにおけるコントロールとして有用である。
【0122】
[00177](ケモカインの活性を調節する組成物)
[00178]もう1つの側面において、本発明はケモカインの活性、具体的にはCCR2の活性を調節する組成物を提供する。一般にヒトおよび動物におけるケモカイン受容体の活性を調節するための組成物は、医薬的に許容可能な賦形剤または希釈剤、および式(I)として上に提供した式を有する化合物を含んでなるものとする。
【0123】
[00179]“組成物”という用語は本明細書で使用する場合、特定の量の特定の成分を含んでなる製品、並びに特定の量の特定の成分の組み合わせから、直接的または間接的に得られるあらゆる製品を、包含することを意図する。“医薬的に許容可能な”により、担体、希釈剤、または賦形剤は、製剤の他の成分と適合しなければならず、そしてそのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0124】
[00180]本発明の化合物の投与のための医薬組成物は、便利なようにユニット投与量の形で提示してよく、そして薬学の領域で周知のあらゆる方法により調製してもよい。すべての方法は、活性成分を、1つまたはそれより多くの付属的成分から構成される担体と会合させるステップを含む。一般に医薬組成物は、液体の担体または微細に分割した固体の担体、または双方と、活性成分を一様にそしてしっかりと会合させた後、必要であれば製品を所望の製剤に形作ることにより、調製する。医薬組成物中に、活性な目的の化合物は、疾患の経過または状態に所望の効果をもたらすために十分な量で含まれる。
【0125】
[00181]活性成分を含有する医薬組成物は、経口使用に適する形で、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水溶性もしくは油性の懸濁液、分散可能な粉末もしくは顆粒、エマルジョン、および米国特許第6,451,339号に記載されているような自己乳化剤(self emulsifications)、ハードもしくはソフトカプセル、またはシロップもしくはエリキシルとしてよい。経口使用として意図した組成物は、医薬組成物の製造に関する技術領域に公知のあらゆる方法に従って調製してよい。そのような組成物は、医薬的に上品で味のよい調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤より選択される1つまたはそれより多くの物質を含有してよい。錠剤は、錠剤の製造に適するその他の非毒性の医薬的に許容可能な賦形剤と混合して、活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば不活性の希釈剤、例えばセルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム;顆粒化剤および崩壊剤、例えばコーンスターチ、またはアルギン酸;結合剤、例えばPVP、セルロース、PEG、スターチ、ゼラチンまたはアカシア、および滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであってよい。錠剤はコーティグしていなくてもよいし、または腸溶的(enterically)に、さもなければ胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、それにより長期間にわたる持続的な作用を提供する公知の技術によりコーティグしてもよい。例えば時間を遅延させる材料、例えばモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルを使用してよい。それらはまた米国特許第4,256,108号;4,166,452号;および4,265,874号に記載された技術によりコーティングし、コントロール放出のための浸透圧性治療用錠剤を形成してもよい。
【0126】
[00182]経口使用のための製剤はまた、ハードゼラチンカプセルとして(その場合活性成分は、不活性な固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合させる)またはソフトゼラチンカプセルとして(その場合活性成分は、水または油性の媒質、例えばピーナッツオイル、流動パラフィン、またはオリーブオイルと混合させる)提示してよい。加えてエマルジョンは、水混和性でない成分 例えばオイルを用いて調製し、界面活性剤 例えばモノ−ジグリセリド、PEGエステル、等を用いて安定化させることができる。
【0127】
[00183]水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する賦形剤との混合物中に、活性成分を含有する。そのような賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アカシアゴムである;分散剤または湿潤剤は天然に生成されるリン脂質、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであってよい。水性懸濁液はまた、1つまたはそれより多くの保存剤、例えばエチルベンゾエート、n−プロピルベンゾエート、p−ヒドロキシベンゾエート、1つまたはそれより多くの着色剤、1つまたはそれより多くの香味剤、および1つまたはそれより多くの甘味剤、例えばスクロースまたはサッカリンを含有してもよい。
【0128】
[00184]油性懸濁液は、ベジタブル油 例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはココナッツ油、または鉱物油 例えば流動パラフィン中に、活性成分を懸濁することにより製剤化してよい。油性懸濁液は、増粘剤 例えばビーズワックス、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有してよい。甘味剤 例えば上に記載したもの、および香味剤を加えて味のよい経口調製剤を提供してよい。これらの組成物は、抗酸化剤 例えばアスコルビン酸の添加により保存してよい。
【0129】
[00185]水の添加による水性懸濁液の調製に適する、分散可能な粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、および1つまたはそれより多くの保存剤との混合物中に、活性成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、既に上に述べたものにより例示される。付加的な賦形剤、例えば甘味剤、香味剤および着色剤もまた存在してよい。
【0130】
[00186]本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形であってよい。油相は、ベジタブル油 例えばオリーブ油もしくはラッカセイ油、または鉱物油 例えば流動パラフィン、またはこれらの混合物であってよい。適切な乳化剤は、天然に生成されるゴム 例えばアカシアゴムまたはトラガカントゴム、天然に生成されるリン脂質 例えば大豆、レシチン、ならびに脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル 例えばモノオレイン酸ソルビタン、ならびに前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物 例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであってよい。エマルジョンはまた、甘味剤および香味剤を含有してよい。
【0131】
[00187]シロップおよびエリキシルは、甘味剤 例えばグリセロール、ポリエチレングリコール、ソルビトールまたはスクロースと共に製剤化してよい。そのような製剤はまた、粘滑剤、保存剤、ならびに香味剤および着色剤を含有してよい。経口用溶液は、例えばシクロデキストリン、PEGおよび界面活性剤と組み合わせて調製することができる。
【0132】
[00188]医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液の形であってよい。この懸濁液は、上に述べた適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤を用いて、公知の技術に従って製剤化してよい。無菌の注射可能な調製剤はまた、毒性のない非経口に許容可能な希釈剤または溶媒中の、無菌の注射可能な溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液としてよい。使用してよい許容可能なビヒクルおよび溶媒の中に、水、リンガー溶液、および等張の塩化ナトリウム溶液がある。加えて無菌のaxed油が、溶媒または懸濁用媒質として従来より使用されている。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含むあらゆるブランドの固定油を使用してよい。加えて、脂肪酸 例えばオレイン酸は、注射可能な調製剤中での使用が認められる。
【0133】
[00189]本発明の化合物はまた、薬剤の直腸投与用の座剤の形で投与してよい。これらの組成物は、通常の温度では固体であるが直腸温度では液体であり、それ故直腸内で溶けて薬剤を放出する、適切な非刺激性賦形剤と共に薬剤を混合することにより調製することができる。そのような材料はココアバターおよびポリエチレングリコールである。加えて当該化合物は、溶液または軟膏という手段により目からの送達にて投与することができる。まださらに主題の化合物の経皮送達は、イオントフォレーシスパッチ(iontophoretic patches)等の手段により達成することができる。
【0134】
[00190]局所的使用のため、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ジェル、溶液または懸濁液を使用する。本明細書において使用する場合、局所投与はまた、口腔洗浄液およびうがい薬の使用を含むことを意味する。
【0135】
[00191]本発明の医薬組成物および方法は、本明細書に示したような治療的に活性なその他の化合物、例えば上述の病理学的状態の治療に適用されるものをさらに含んでよい。
[00192]1つの態様において本発明は、医薬的に許容可能な担体、および本発明の化合物から成る組成物を提供する。
【0136】
[00193](ケモカインモジュレーターの有効性の測定)
[00194]「in vitroアッセイ」
[00195]シグナリングアッセイ、遊走アッセイ、リガンド結合アッセイ、および細胞応答のその他のアッセイを含む様々なアッセイを使用して、本明細書において提供した化合物を評価することができる。ケモカイン受容体シグナリングアッセイを使用して、化合物の能力、例えばCCR2リガンド(例えばMCP−1)に誘導されるシグナリングを遮断する潜在的なCCR2アンタゴニストの能力を測定することができる。遊走アッセイを使用して、in vitroにおけるケモカインを介した細胞の遊走を遮断する、興味ある化合物の能力、例えば可能性あるケモカインアンタゴニストの能力を測定することができる。後者は、in vivoにおけるケモカインに誘発される細胞の遊走に類似すると考えられている。リガンド結合アッセイを使用して、MCP−1とその受容体との相互作用を遮断する、化合物の能力、例えば潜在的なCCR2アンタゴニストの能力を測定することができる。
【0137】
[00196]適切なアッセイにおいて、哺乳類のケモカインタンパク質の少なくとも1つの特性、活性、または機能的特徴を有する、ケモカインタンパク質(単離されたものまたはリコンビナントのいずれにしても)を使用する。特性は、結合特性(例えばリガンドまたは阻害剤に対する)、シグナリング活性(例えば哺乳類のGタンパク質の活性化、細胞質ゾルの遊離カルシウムイオンの濃度の急速なおよび一時的な増加の誘発)、細胞応答の機能(例えば走化性の刺激、または白血球による炎症メディエーターの放出)等、であることができる。
【0138】
[00197]アッセイは、ケモカイン受容体をコードする核酸配列を有するベクターまたは発現カセットを用いて、安定的にまたは一時的にトランスフェクトされた細胞を利用する、細胞に基づいたアッセイであることができる。天然にケモカインを発現する細胞株もまた使用することができる。細胞は、受容体の発現に適当な条件下に維持され、そして結合が起こるための適当な条件下で推定上の物質と接触させる。結合は標準的な技術を使用して検出することができる。例えば結合の程度は、適切なコントロールと比較して(例えば推定上の物質の不在時のバックグラウンドと比較して、または公知のリガンドと比較して)決定することができる。所望により、受容体を含有する細胞の画分、例えば膜画分を、全細胞の代わりに使用することができる。
【0139】
[00198]結合または複合体の形成の検出は、直接的または間接的に検出することができる。例えば推定上の物質を適切な標識(例えば蛍光標識、化学発光標識、同位体標識、酵素標識、等)を用いて標識することができ、そして標識の検出により結合を決定することができる。特異的および/または競合的な結合は、競合物質として未標識の物質またはリガンド(例えばMCP-1)を使用しての、競合または置き換えの試験により評価することができる。
【0140】
[00199]結合阻害アッセイを使用して、本化合物を評価することができる。これらのアッセイにおいて化合物は、例えばMCP-1を使用して、リガンドの結合の阻害物質として評価する。1つの態様において、CCR2受容体をリガンド、例えばMCP−1と接触させて、リガンドの結合の測定を行う。次に受容体を、リガンド(例えばMCP−1)の存在下で検査物質と接触させ、第2の結合の測定を行う。リガンドの結合の程度の減少が、検査物質による結合の阻害を示す。結合阻害アッセイは、ケモカインを発現する全細胞、またはケモカインを発現する細胞由来の膜画分を使用して行うことができる。
【0141】
[00200]Gタンパク質共役受容体の、例えばアゴニストによる結合は、受容体によるシグナリングイベントを結果として生ずることができる。したがってシグナリングアッセイを使用してもまた、本発明の化合物を評価することができ、ある物質によるシグナリング機能の誘導をあらゆる適切な方法を使用してモニタリングすることができる。例えばGタンパク質の活性、例えばGTPからGDPへの加水分解、または受容体の結合が引き金となる下流のシグナリングイベントを、公知の方法によりアッセイすることができる(例えばPCT/US97/15915; Neote et al., Cell, 72:415425 (1993); Van Riper et al., J. Exp. Med., 177:851-856 (1993) およびDahinden et al., J. Exp. Med., 179:751-756 (1994)を参照のこと)。
【0142】
[00201]走化性アッセイを使用してもまた、受容体の機能を査定し、本明細書に提供した化合物を評価することができる。これらのアッセイは、ある物質により誘導されるin vitro またはin vivoにおける細胞の機能的遊走に基づいており、これらのアッセイを使用して、リガンド、阻害物質、またはアゴニストの結合および/または走化性への効果を評価することができる。様々な走化性アッセイが当該技術領域において知られており、いずれかの適切なアッセイを使用して、本発明の化合物を評価することができる。適切なアッセイの例として、PCT/US97/15915; Springer et al., WO 94/20142; Berman et al., Immunol. Invest., 17:625-677 (1988);および Kavanaugh et al., J. Immunol., 146:4149-4156 (1991)に記載されているものを含む。
【0143】
[00202]カルシウムシグナリングアッセイは、一定時間にわたる、好ましくは受容体結合の前後のカルシウム濃度を測定する。これらのアッセイを使用して、受容体−シグナリングメディエーターであるCa++の産生、続いての受容体の結合(またはその不在)を定量することができる。これらのアッセイは、興味ある受容体への結合による受容体シグナリングメディエーターを産生する、化合物、例えば本発明の化合物の能力を決定する上で有用である。またこれらのアッセイは、興味ある受容体およびリガンド間の結合を妨げることにより、受容体のシグナリングメディエーターの産生を阻害する、化合物、例えば本発明の化合物の能力を決定する上で有用である。
【0144】
[00203]ケモカイン受容体および公知のケモカインリガンド間の結合を妨げる化合物の能力を決定するために使用するカルシウムシグナリングアッセイにおいて、ケモカイン受容体発現細胞(CCR2発現細胞、例えばTHP−1細胞)を最初に、興味ある化合物、例えば潜在的なケモカインアンタゴニストと共に、段階的(increasing)濃度でインキュベートする。細胞数は96ウェルマイクロ滴定プレートの1ウェル当たり10から5×10細胞であることができる。検査する化合物の濃度は、0から100μMの範囲であってよい。一定時間のインキュベーション(5から60分の範囲であることができる)後、処理した細胞をFluorometric Imaging Plate Reader (FLIPR(登録商標)) (Molecular Devices Corp., Sunnyvale, CAより入手可能)内に、製造元の使用説明書に従ってセットする。FLIPR(登録商標)システムは、アッセイを行うための標準的な方法として、当業者に周知されている。次に、5−100nMの最終濃度での適当な量のケモカインリガンド(CCR2に関してはMCP−1)で細胞を刺激し、細胞内のカルシウムの増加のシグナル(カルシウム流束とも呼ばれる)を記録する。ケモカインおよびリガンド間の結合の阻害物質としての化合物の有効性を、IC50(シグナリングにおける50%の阻害を起こすために必要な濃度)またはIC90(90%の阻害)として算出することができる。
【0145】
[00204]in vitro の細胞遊走アッセイは、96ウェルマイクロチャンバー(ChemoTX(登録商標)と呼ばれる)を使用して行うことができる(が、この型式に限定されない)。ChemoTX(登録商標)システムは、典型的な走化性/細胞の遊走の装置として当業者に周知されている。このアッセイにおいて、CCR−2発現細胞(例えばTHP−1)を最初に、各々、興味ある化合物、例えば可能性あるCCR2のアンタゴニストと共に、段階的濃度でインキュベートする。典型的には1ウェル当たり50,000細胞を使用するが、この量は1ウェル当たり10−10細胞の範囲であることができる。ケモカインリガンド(例えばCCR2リガンドのMCP−1は典型的には0.1nM(しかし5−100nMの範囲であることができる))を、下のチャンバーに置き、遊走器具を組み立てる。次に20マイクロリットルの検査化合物処理した細胞をメンブレン上に置く。一定時間、典型的にはCCR2に関しては1.5時間、37℃で遊走を行わせる。インキュベーションの最後に、メンブレンを超えて下のチャンバー内に遊走した細胞の数を次に定量する。ケモカインを介した細胞の遊走の阻害物質としての化合物の有効性は、IC50(細胞の遊走を50%までに低減するために必要な濃度)、またはIC90(90%の阻害に関する)として算出する。
【0146】
「BiRAMアッセイ」
[00205]ケモカインアンタゴニストを同定するための1次スクリーニングの例として、BiRAMアッセイ(WO 02101350、US2004023286)を含む。このアッセイは、阻害性ケモカイン(inhibitory chemokine)濃度下で細胞の遊走を活性化させるそれらの能力により潜在的なヒットを検出する。そのようなアッセイに着手するため、ケモカイン発現細胞(例えばCCR2アッセイに関してはTHP−1細胞)を、GS−6R Beckman遠心機で1000RPMでの細胞懸濁液の遠心により集める。細胞ペレットを走化性バッファー(HBSS/0.1%BSA)中に、CCR2アッセイに関しては10×10細胞/mLで再懸濁する。25マイクロリットルの細胞を、同じバッファーで20μMに希釈した等容量の検査化合物と混合する。20マイクロリットルの混合液を、上の走化性チャンバーのフィルター上に移し、ケモカインリガンド(CCR2アッセイに関しては100nM ケモカインMCP−1およびMCP−1αタンパク質)を含有する29μLのケモカイン溶液を、下のチャンバーに置く。37℃でのインキュベーション(CCR2に関しては90分)後、細胞の液滴をフィルターの頂上から取り除くことにより、アッセイを終了させる。メンブレンを越えて遊走した細胞を定量するため、5μLの7XCyQUANT(登録商標)溶液を、下部チャンバーの各ウェルに加え、蛍光シグナルをSpectrafluor Plus蛍光プレートリーダー(TECAN, Durham, NC)にて測定した。
【0147】
[00206]潜在的なヒットを選択するため、遊走活性化のレベルをRAM指数、すなわち特定のウェルのシグナルと、プレート全体のシグナルの中央値との間の比率、として算出した。CCR2アッセイに関しては1.5より高いRAM指数の化合物をRAMポジティブとみなし、従来の機能アッセイにおけるIC50による決定として選択した。
【0148】
「カルシウム流束アッセイ」
[00207]カルシウム流束アッセイは、リガンドに誘導される受容体の活性化に続く、細胞内のカルシウムの増加を測定し、1次スクリーニングに続いての2次アッセイとして利用してよい。そのようなアッセイは、例えばFLIPR(登録商標)機械(Molecular Devices, Mountain View, CA)で行ってよい。アッセイに着手するため、ケモカイン発現細胞(例えばCCR2アッセイに関してはTHP−1細胞)を、細胞懸濁液の遠心により集め、1.5×10細胞/mLでHBSS(1%ウシ胎児血清を含む)に再懸濁する。次に細胞を、カルシウムインジケーター色素のFluo−4 AMにて、45分間37℃で緩やかに振盪して標識する。インキュベーション後細胞をペレットとし、HBSSで1回洗浄し、同じバッファー中に1.6×10細胞/mLの密度で再懸濁する。100マイクロリットルの標識細胞を、10μLの適当な濃度の検査化合物と、アッセイプレート上で混合する。ケモカインタンパク質(CCR2アッセイに関しては最終濃度0.1nMのMCP−1)を加えて、受容体を活性化させる。阻害の程度は、化合物で処理した細胞および未処理細胞間のカルシウムシグナルを比較することにより決定する。IC50の算出を、Graphpad Prism (Graphpad Software, San Diego, CA).を用いて、非線形重回帰分析によりさらに行う。
【0149】
「リガンド結合アッセイ」
[00208]リガンド結合アッセイは、CCR2、およびそのリガンドであるMCP−1間の相互作用を遮断する、潜在的なCCR2アンタゴニストの能力を決定するために使用することができる。CCR2発現THP−1細胞を遠心し、アッセイバッファー(20mM HEPES pH7.1、140mM NaCl、1mM CaCl、5mM MgCl、および0.2%ウシ血清アルブミンを含む)中に、2.2×10細胞/mLの濃度に再懸濁する。結合アッセイは以下のように設定する。最初に、スクリーニング(または化合物のIC50決定のための用量応答の一部)のため、各化合物の最終濃度が〜2−10μMとなるようにした化合物を含有するアッセイプレートに、0.09mLの細胞(1×10THP−1細胞/ウェル)を加えた。次に各ウェル当たり〜30.000cpmとなるように、〜50pMの最終濃度にアッセイバッファー中に希釈した125I標識MCP−1(Amersham; Piscataway, NJより入手)の0.09mLを加え、プレートを密封し、およそ3時間4℃で振盪機のプラットフォーム上でインキュベートする。真空細胞ハーベスター(Packard Instruments; Meriden, CT)上の、0.3%ポリエチレンイミン(PEI)溶液に予め浸しておいたGF/Bガラスフィルター上に、反応液を吸引する。シンチレーション液(50μL; Microscint 20, Packard Instruments)を各ウェルに加え、プレートを密封し、Top Count シンチレーションカウンター(Packard Instruments)で放射能測定する。希釈液のみ(総カウントとして)または過剰なMCP−1(1μg/mL、非特異的結合として)のどちらかを含有するコントロールウェルを使用して、化合物の総阻害パーセントを算出する。GraphPad, Inc. (San Diego, Ca) からのコンピュータープログラムPrismを使用して、IC50値を算出する。IC50値は、標識MCP−1の受容体への結合を50%までに低減するために必要な濃度である。
【0150】
(治療法)
[00209]治療する疾患、および対象の状態に依存して、本発明の化合物および組成物は、経口、非経口(例えば筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内への注射もしくは注入、皮下注射、または植込み錠)、吸入、経鼻、経膣、経直腸、舌下、または局所の投与経路により投与してよく、そして各投与経路に適当な、従来の非毒性の医薬的に許容可能な担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する、適切な投与量ユニット製剤中に、単独でまたは合わせて製剤化してよい。本発明はまた、デポ製剤における本発明の化合物および組成物の投与を意図する。
【0151】
[00210]ケモカイン受容体の調節を必要とする状態の治療または予防において、適当な投与量レベルは一般に、患者の体重1kg当たり1日当たり約0.001から100mgとし、この用量は1回または複数回の投与で投与することができる。好ましくは投与量レベルは、1日当たり約0.01から約25mg/kg;より好ましくは1日当たり約0.05から約10mg/kgとする。適切な投与量レベルは、1日当たり約0.01から25mg/kg、1日当たり約0.05から10mg/kg、または1日当たり約0.1から5mg/kgであってよい。この範囲内で投与量は、1日当たり0.005から0.05、0.05から0.5、0.5から5.0、または5.0から50mg/kgであってよい。経口投与用に組成物は好ましくは、治療する患者への投与量の症候に応じた調整として、1.0から1000ミリグラムの活性成分、特に1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、および1000.0ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形で提供する。当該化合物は、1日当たり1から4回、好ましくは1日当たり1から2回の投与計画で投与してよい。
【0152】
[00211]しかしながらあらゆる特定の患者に対する具体的な用量レベルおよび投与量の頻度は変化させてよく、使用する具体的な化合物の活性、その化合物の代謝的安定性および作用の長さ、年齢、体重、遺伝的特徴、全身の健康状態、性別、食事、投与の様式および時間、排泄速度、薬剤の組み合わせ、特定の状態の重症度、およびホストに行っている治療を含む、様々な因子に依存することになることは、理解されるものとする。
【0153】
(CCR2化合物と組み合わせて使用するための薬理学(pharmacologics))
[00212]本発明のCCR2アンタゴニストと組み合わせて使用することのできる薬理学的物質は、アテローム硬化症、再狭窄、多発性硬化症、肺線維症、炎症性腸疾患、関節リウマチ、移植片対宿主病、腎線維症、乾癬、移植拒絶、肥満、糖尿病、高コレステロール血症、および癌の治療用に使用されるものを含む。
【0154】
[00213]まだその他の態様において、本方法はアレルギー性疾患の治療に向けられ、その場合本発明の化合物または組成物は、単独で、または第二の治療薬と組み合わせてのどちらかで投与し、その場合第二の治療薬は抗ヒスタミン薬である。組み合わせて使用する場合、医師は本発明の化合物または組成物、および第二の治療薬を組み合わせたものを投与することができる。また、当該化合物または組成物、および第二の治療薬は、逐次的にあらゆる順序で投与することもできる。
【0155】
[00214]本発明の化合物および組成物は、興味ある状態または疾患、例えば炎症性腸疾患、アレルギー性皮膚炎、乾癬、アトピー性皮膚炎および喘息を含む炎症性の状態および疾患、ならびに上記の病態を予防および治療するための、関連する有用性を有するその他の化合物および組成物と組み合わせることができる。併用療法に使用するための適当な薬剤の選択は、当業者が行うことができる。治療薬を組み合わせることで相乗的に作用させ、多様な障害の治療または予防を達成してもよい。このアプローチを用いて、各薬剤のより低い投与量で治療の有効性を達成することができ、したがって有害な副作用の可能性を低減する。
【0156】
[00215]炎症のリスクを治療、予防、緩和、コントロール、または低減する上で、本発明の化合物は、抗炎症薬または鎮痛薬 例えばオピエートアゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害薬 例えば5−リポキシゲナーゼの阻害薬、シクロオキシゲナーゼ阻害薬 例えばシクロオキシゲナーゼ−2阻害薬、インターロイキン阻害薬 例えばインターロイキン−1阻害薬、NMDAアンタゴニスト、一酸化窒素の阻害薬もしくは一酸化窒素の合成の阻害薬、非ステロイド抗炎症薬、またはサイトカインを抑制する抗炎症薬 例えばアセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、生物学的なTNFの捕捉薬、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、ステロイド鎮痛薬、スフェンタニル、スリンダク、テニダップ、等と協同して使用してよい。
【0157】
[00216]同様に本発明の化合物は、痛み止め;増強薬 例えばカフェイン、H2アンタゴニスト、シメチコン(simethicone)ジン、水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウム;うっ血除去薬 例えばプソイドエフェドリン;鎮咳薬 例えばコデイン;利尿薬;鎮静作用のあるまたは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬;最晩期抗原(VLA−4)アンタゴニスト;免疫抑制薬 例えばシクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、EDG受容体アゴニスト、またはその他のFK−506タイプの免疫抑制薬;ステロイド;非ステロイド抗喘息薬 例えばβ2アゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、またはロイコトリエン生合成阻害薬;IV型ホスホジエステラーゼ(PDE−IV)の阻害薬;コレステロール降下薬 例えばHMG−CoA還元酵素の阻害薬、捕捉薬、またはコレステロールの吸収阻害薬、および抗糖尿病薬 例えばインスリン、α−グルコシダーゼ阻害薬、またはグリタゾン系、と共に投与してよい。
【0158】
[00217]本発明の化合物の、第二の活性成分に対する重量比は変化させてもよく、各成分の有効な用量に依存するものとする。一般には各々の有効な用量を使用する。したがって例えば本発明の化合物をNSAIDと組み合わせる場合、本発明の化合物の、NSAIDに対する重量比は一般に、約1000:1から約1:1000の範囲、好ましくは約200:1から約1:200の範囲とする。本発明の化合物および他の活性成分の組み合わせはまた一般に上述の範囲内とするが、ケース毎に各活性成分の有効な用量を使用しなければならない。
【0159】
(CCR−2を介した状態または疾患を治療または予防する方法)
[00218]なおもう1つの側面において、本発明は、CCR2を介した状態または疾患を有する対象に、治療有効量の上の式(I)のいずれかの化合物を投与することにより、そのような状態または疾患を治療または予防する方法を提供する。本方法において使用するための化合物は、式(I)による化合物、態様として上に提供した化合物、以下の実施例に具体的に例示した化合物、そして本明細書において具体的な構造で提供した化合物を含む。“対象”は本明細書において、動物、例えば、霊長類(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、等を含むがこれに限定されない哺乳動物を含むことと定義する。好ましい態様において、対象はヒトである。
【0160】
[00219]本明細書において使用する場合、“CCR2を介した状態または疾患”という語句、および関連する語句および用語は、不適当な、すなわち正常より低いまたは高いCCR2機能の活性を特徴とする状態または疾患をいう。不適当なCCR2機能の活性は、正常にはCCR2を発現しない細胞におけるCCR2の発現、増加したCCR2の発現(例えば炎症性および免疫調節性の障害および疾患をもたらす)、または減少したCCR2の発現の結果として起こるかもしれない。不適当なCCR2機能の活性はまた、正常にはMCP−1を分泌しない細胞によるMCP−1の分泌、増加したMCP−1の発現(例えば炎症性および免疫調節性の障害および疾患をもたらす)、または減少したMCP−1の発現の結果として起こるかもしれない。CCR2を介した状態または疾患は、不適当なCCR2機能の活性により完全にまたは部分的に仲介されると思われる。しかし、CCR2を介した状態または疾患は、CCR2を調節することで、根底にある状態または疾患における何らかの効果を結果として得られるものであるといえる(例えばCCR2アンタゴニストは、少なくとも一部の患者において患者の安寧に何らかの改善を結果としてもたらす)。さらにMCP−2、3および4もまたCCR2のリガンドである。
【0161】
[00220]1つの態様において、本発明は、安全なそして有効な量の本発明の化合物または組成物を対象に投与することを伴う、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法を提供する。
【0162】
[00221]1つの態様において、本発明は、安全なそして有効な量の本発明の化合物または組成物を対象に投与することを伴う、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法を提供し、その場合CCR2を介した状態または疾患はアテローム硬化症である。
【0163】
[00222]1つの態様において、本発明は、安全なそして有効な量の本発明の化合物または組成物を対象に投与することを伴う、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法を提供し、その場合CCR2を介した状態または疾患は再狭窄である。
【0164】
[00223]1つの態様において、本発明は、安全なそして有効な量の本発明の化合物または組成物を対象に投与することを伴う、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法を提供し、その場合CCR2を介した状態または疾患は多発性硬化症である。
【0165】
[00224]1つの態様において、本発明は、安全なそして有効な量の本発明の化合物または組成物を対象に投与することを伴う、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法を提供し、その場合CCR2を介した状態または疾患は、炎症性腸疾患、腎線維症、関節リウマチ、肥満、および非インスリン型糖尿病から成る群より選択される。
【0166】
[00225]1つの態様において、本発明は、安全なそして有効な量の本発明の化合物または組成物を対象に投与することを伴う、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法を提供し、その場合CCR2を介した状態または疾患は2型糖尿病である。
【0167】
[00226]1つの態様において、本発明は、安全なそして有効な量の本発明の化合物または組成物を対象に投与することを伴う、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法を提供し、その場合CCR2を介した状態または疾患は、慢性閉塞性肺疾患、特発性肺線維症、および特発性肺炎症候群から成る群より選択される。
【0168】
[00227]1つの態様において、本発明は、安全なそして有効な量の本発明の化合物または組成物を対象に投与することを伴う、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法を提供し、その場合投与は、経口、非経口、経直腸、経皮、舌下、経鼻、または局所による。
【0169】
[00228]1つの態様において、本発明は、安全なそして有効な量の本発明の化合物または組成物を対象に投与することを伴う、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法を提供し、その場合当該化合物は抗炎症薬または鎮痛薬と組み合わせて投与する。
【0170】
[00229]1つの態様において、本発明は、安全なそして有効な量の本発明の化合物または組成物を対象に投与することを伴う、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法を提供し、その場合抗炎症薬または鎮痛薬もまた投与する。
【0171】
[00230]1つの態様において、本発明は、細胞におけるCCR2機能を調節する方法を提供し、その場合細胞におけるCCR2機能は、CCR2を調節する量の本発明の化合物と細胞を接触させることにより調節する。
【0172】
[00231]1つの態様において、安全なそして有効な量の本発明の化合物または組成物を対象に投与することを伴う、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法を提供し、その場合疾患は、肺線維症、移植拒絶、移植片対宿主病、および癌から成る群より選択される。
【0173】
[00232]なおその他の態様において、本方法は乾癬の治療に向けられ、その場合本発明の化合物または組成物は単独で、または第2の治療薬、例えばコルチコステロイド、潤滑剤、角質溶解薬、ビタミンD誘導体、PUVA、およびアントラリンと組み合わせて使用する。
【0174】
[00233]その他の態様において、本方法は、本発明の化合物または組成物を単独で、または第2の治療薬、例えば潤滑剤およびコルチコステロイドと組み合わせてのどちらかで使用する、アトピー性皮膚炎の治療に向けられる。
【0175】
[00234]さらなる態様において、本方法は、本発明の化合物または組成物を単独で、または第2の治療薬、例えばβ2−アゴニストおよびコルチコステロイドと組み合わせてのどちらかで使用する、喘息の治療に向けられる。
【0176】
(モジュレーターの調製)
[00235]以下の実施例は主張した発明を説明するために提供しており、限定するものではない。
【0177】
[00236]加えて当業者は、本特許において主張した分子は、様々な標準的有機化学の変換反応を使用して合成してよいことを認識するだろう。
[00237]本発明の目的の化合物を合成するために広範囲に利用したある種の一般的な反応のタイプを、実施例にまとめる。具体的には、スルホンアミドの形成、ピリジンNオキシドの形成、およびフリーデル・クラフツのタイプのアプローチによる2−アミノフェニル−アリールメタノンの合成に関する一般的製法を示すが、多数のその他の標準的な化学もその中で記載しており、ルーチンに利用した。
【0178】
[00238]網羅的であることを意図してはいないが、本発明の化合物を調製するために使用することのできる代表的な合成の有機化学の変換反応として以下を含む。
[00239]これらの代表的変換反応には;標準的な官能基の操作;還元、例えばニトロからアミノへ;アルコールおよびピリジンを含む官能基の酸化;ニトリル、メチルおよびハロゲンを含む様々な基の導入のための、IPSOまたはその他のメカニズムによるアリールの置換;保護基の導入および除去;グリニャール形成および求電子試薬を用いての反応;Buckwald, Suzukiおよび Sonigashiraの反応を含むがこれに限定されない金属を介したクロスカップリング;ハロゲン化およびその他の求電子試薬の芳香族置換反応;ジアゾニウム塩の形成およびこれらの種の反応;エーテル化;ヘテロアリール基を導く環状構造(cyclative)の縮合、脱水、酸化および還元;アリールのメタル化およびトランスメタル化、およびそれに続くアリール−金属種の求電子試薬 例えば酸塩化物またはワインレブアミドを用いての反応;アミド化;エステル化;求核置換反応;アルキル化;アシル化;スルホンアミド形成;クロロスルホニル化;エステルおよび関連の加水分解、等を含む。
【0179】
[00240]本特許に主張したある種の分子は、異なるエナンチオマーおよびジアステレオマーの形で存在することができ、これらの化合物のそのようなバリアントはすべて、本発明の範囲内である。
【0180】
[00241]以下に示す合成の記載において、いくつかの前駆物質は市販元より入手した。これらの市販元として、Aldrich Chemical Co.、Acros Organics, Ryan Scientific Incorporated、Oakwood Products Incorporated、Lancaster Chemicals、Sigma Chemical Co.、Lancaster Chemical Co.、TCI-America、Alfa Aesar、Davos Chemicals、および GFS Chemicalsを含む。
【0181】
[00242]活性の表に列記したものを含む本発明の化合物は、以下の実施例の項に記載した方法およびアプローチにより、そして当業者に周知されている標準的な有機化学の変換反応の使用により製造することができる。
【0182】
[00243]〔実施例〕
[00244]以下の化合物は本発明の範囲内である:
[00245]表1.以下の式:
【0183】
【表1−1】

【0184】
に従っての化合物
【0185】
【表1−2】

【0186】
[00246]化合物1−10は、CCR2走化性アッセイにおいて1000nMより小さいIC50を有する。
[00247]表2.以下の式:
【0187】
【表2−1】

【0188】
に従っての化合物
【0189】
【表2−2】

【0190】
[00248]化合物11および12は、CCR2走化性アッセイにおいて1000nMより小さいIC50を有する。
[00249]上の化合物および本発明の範囲内のその他の化合物を作成し、以下の手順を使用して活性なCCR2アンタゴニストであることを発見した。
【0191】
[00250]以下に使用する試薬および溶媒は、市販元、例えばAldrich Chemical Co. (Milwaukee, Wisconsin, USA)より入手することができる。H−NMRは、Varian Mercury 400 MHz NMR分光計にて記録した。有意なピークは以下の順:多重度(br、ブロード;s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項)およびプロトン数、で表す。マススペクトル法の結果は、質量/チャージの比率、続いて各イオンの相対量(括弧内)として報告する。データ表において、1つのm/e値は、最も一般的な原子同位体を含有するM+H(またはM−Hと記す)イオンに関して報告している。同位体のパターンは、すべてのケースにおいて期待される式に対応する。エレクトロスプレーイオン化(ESI)マススペクトル分析は、サンプルの送達のためのHP1100 HPLCを用いて、ヒューレットパッカード MSDエレクトロスプレーマススペクトロメーターにて行った。通常、分析物はメタノール中に0.1mg/mLで溶解し、1マイクロリットルを送達溶媒と共にマススペクトロメーター内に注入し、これを100から1500ダルトンでスキャンした。すべての化合物は、ESIポジティブモードで、送達溶媒として1%ギ酸を含むアセトニトリル/水を用いて分析することができた。下に提供した化合物はまた、ESIネガティブモードで、送達溶媒としてアセトニトリル/水中の2mM NHOAcを用いて分析することができた。
【0192】
[00251](中間体の調製)
[00252]中間体1:4−クロロ−2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸
【0193】
【化17】

【0194】
[00253]60℃の水(50mL)および1,4−ジオキサン(50mL)中のNaCO(11.7g、110.7mmol)の溶液に、2−アミノ−4−クロロ−安息香酸(5.0g、29.14mmol)を加え、続いて4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルクロリド(20.15g、72.48mmol)を3回に分けて加え、得られた反応混合物を80℃で4時間加熱した。2N HClを、反応混合物が酸性(pH=〜2)になるまで加え、得られた白色固体を濾過し、水で洗浄し、高真空下で乾燥させて、表題の化合物(7.8g)を65%の収率で得た。MS(ES)M+Na 期待値 436.0、実測値 435.8。
【0195】
[00254]中間体2:4−クロロ−2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−N−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド
【0196】
【化18】

【0197】
[00255]THF(20mL)中の4−クロロ−2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸(5.0g、12.1mmol)の溶液に、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI、2.45g、15.13mmol)を少しずつ加えた(注意!CO↑)。次に得られた反応混合物を還流加熱した。4時間後、反応混合物を室温に冷却し、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(1.3g、13.31mmol)を充填し、1時間還流加熱した。撹拌しながら水(100mL)を加え、続いてEtOAc(100mL)を加えた。EtOAc層を分離し、水層からさらにEtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせたEtOAc層を、2N HCl水溶液(50mL)、飽和NaHCO溶液(50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)および蒸発させた。得られた粗生成物を自動順相クロマトグラフィー(ヘキサン中50%EtOAc)により精製して、表題の化合物(4.0g)を73%の収率で得た。MS(ES)M+H 期待値 457.0、実測値 456.9。
【0198】
[00256]中間体3:2−ブロモ−5−メチル−3−ニトロピリジン:
【0199】
【化19】

【0200】
[00257]POBr(222.8g、0.78mol)を、0−10℃で撹拌しているDNF(500mL)中の2−ヒドロキシ−5−メチル−3−ニトロピリジン(100g、0.65mol)に少しずつ加えた後、反応混合物を80℃、窒素下で12時間撹拌した。反応混合物を冷却し、砕いた氷(1kg)の中に注ぎ、得られた固体を濾過し、氷冷水(2×500mL)で完全に洗浄し、高真空下デシケーター中で1日乾燥させて、2−ブロモ−5−メチル−3−ニトロピリジンを、黄色固体(121g)として86%の収率で得た。(M+H) 期待値:217;実測値:216.9。
【0201】
[00258]中間体4:2−シアノ−5−メチル−3−ニトロピリジン:
【0202】
【化20】

【0203】
[00259]丸底フラスコに、2−ブロモ−5−メチル−3−ニトロピリジン(60.53g、278.9mmol)およびCuCN(27.52g、307.3mmol)を充填した。フラスコを脱気し、窒素で満たした。DMF(150mL)をカニューレを介して加えた。溶液を70℃に1.5時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物をEtOAc(500mL)および水(250mL)の中に注いだ。双方の相を1cmのセライトベッドを通して濾過した。層分離し、有機相を水(2×100nL)で、次に1:1の飽和NHCl水溶液/NHOH(2×100mL)で洗浄した。合わせた水層からEtOAc(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、表題の化合物を得た(36.10g、収率79%)。
【0204】
[00260]中間体5:3−アミノ−2−シアノ−5−メチルピリジン:
【0205】
【化21】

【0206】
[00261]メカニカルスターラーおよび温度計をセットした3口の2L丸底フラスコ中の酢酸(300mL)に、鉄粉末(99.6g、1.78mol)を60℃で撹拌しながら加えた。2−シアノ−5−メチル−3−ニトロピリジン(97g、0.59mol)を、酢酸(400mL)中に緩やかに温めながら溶解させ、上の反応混合物に、3.5時間にわたり反応温度が80℃以下を維持するように効率的に撹拌しながら滴下させて加えた。反応混合物をさらに30分間撹拌し、冷却し、EtOAc(750mL)で希釈し、セライトを通して濾過し、EtOAc(1×500mL、3×250mL)で洗浄した。合わせたEtOAc層を乾燥するまで蒸発させて、暗褐色固体を得、これを飽和NaHCO溶液(850mL)で中和し、水(250mL)を加えて均質な溶液を得た後、この水層からEtOAc(1×750mL、2×500mL)で抽出した。合わせたEtOAc層をシリカゲルの小さなパッド(砂−SiO2−砂の焼結式漏斗)を通して濾過し、乾燥(NaSO)および蒸発させて、10%の対応するアミドを含む3−アミノ−2−シアノ−5−メチルピリジン(60g)を、黄色固体として76%の収率で得た。
【0207】
[00262]粗3−アミノ−2−シアノ−5−メチルピリジン(〜10%カルボキサミドを含有)(49g)に、EtOAc(441mL、アニリンに対する容量比9:1)を加え、得られた懸濁液を加熱還流して、透明な溶液を形成した。室温に冷却後、得られた結晶を濾過により集め、少量の冷却EtOAc(44mL(最初の容量の1/10)×2)で洗浄し、真空中で乾燥させて、純粋な3−アミノ−2−シアノ−5−メチルピリジン(35g)を淡黄色針状結晶として得た。母液を減圧下で濃縮し、得られた黄色固体にEtOAc(136mL)を加え、上の処置を繰り返して、別に4gの純粋な3−アミノ−2−シアノ−5−メチルピリジンを得た;合計回収率 79.5%
【0208】
【化22】

【0209】
[00263]中間体6:3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−メチル−ピリジン−2カルボン酸:
【0210】
【化23】

【0211】
[00264]ピリジン(63mL)中の3−アミノ−5−メチルピコリノニトリル(9.6g、72mmol)に、4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル−クロリド(19.6g、80mmol)を一度に加え、得られた反応混合物を60℃で一晩撹拌した。ピリジンを真空中で除去し、2N HCl(100mL)を加え、EtOAc(3×300mL;注意:アミドの存在により、EtOAc中の溶解度は低い)で抽出した。合わせたEtOAc層を乾燥(NaSO)、蒸発させて、26.3gの粗生成物を得たが、少量のビス−スルホンアミドを含有しているため、これをTHF(200mL)中で2N NaOH(100mL)を用いて室温で2時間加水分解した。2N HCl(100mL)を加え、EtOAc(1×700mL、1×250mL)で抽出し、合わせたEtOAc層を飽和NaHCO溶液(2×250mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)および蒸発させて、22gのモノスルホンアミドを得た。これにジオキサン(350mL)、水(450mL)(注意:速い反応のため高希釈を必要とする)を加え、続いてNaOH(30g、0.75mol)を加え、還流下で24時間撹拌した。真空中でジオキサンを除去し、濃HCl(75mL)を冷却しながらゆっくり加えた。得られた固体を濾過し、水で洗浄し、真空中で乾燥させて、表題の化合物(2回のステップで22g、88%)を淡黄色固体として得た。(M+H) 期待値:395.0;実測値 394.9。
【0212】
[00265]中間体7:5−クロロ−3−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル−スルホンアミド)ピコリン酸
【0213】
【化24】

【0214】
[00266]ステップ1:乾燥した250mLフラスコに、2−ブロモ−5−クロロ−3−ニトロピリジン(24g、101mmol)、CuCN(19g、212mmol)およびDMF(100mL)を充填した。得られた混合物を110℃で2時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。水(100mL)を加え、EtOAc(3×250mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過した。溶媒を真空中で蒸発させて、淡黄色固体(15g)を得、これを直接次のステップに使用した。
【0215】
[00267]ステップ2:マグネティックスターラーを入れた250mL丸底フラスコに、酢酸(80mL)中の鉄粉末(15.6g、0.3mol)を充填し、N下で80℃(油浴)に加熱した。この混合物に、酢酸(80mL)中の上のニトロシアノピリジン(10g、55mmol)を、15分間にわたり滴下漏斗からゆっくり加えた。添加後混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。冷却後、反応混合物をEtOAcで希釈し、セライトを通して濾過し、真空中で溶媒を蒸発させた。残渣をEtOAcに溶解させ、3N NaOH、食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、3−アミノ−2−シアノ−5−クロロピリジン(主生成物)および2−アミドの4:1の混合物(7.7g)を得た。この混合物を次のステップに直接使用した:MS(ES)(M+H) 期待値:154.0;実測値 154.0。
【0216】
[00268]ステップ3:100mL丸底フラスコに、上の3−アミノ−2−シアノ−5−クロロピリジン混合物(7.7g、50mmol)、4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド(28g、100mmol)、およびピリジン(50mL)を充填した。得られた溶液を70℃に加熱し、5時間撹拌した。ピリジンを真空中で除去し、80%EtOH(260mL)水溶液を加え、続いてNaOH(30g、0.75mol)を加えた。混合物を還流下で12時間撹拌した。その後溶媒を真空中で除去し、氷(100g)を加えた。濃HClでpH2−3に調整した。得られた水溶液からEtOAcで抽出し、食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。得られた淡黄色固体をEtOAc/ヘキサン(1:1)から再結晶させて、所望の酸を白色針状結晶として得た(10g、全体の収率44%):
【0217】
【化25】

【0218】
[00269]中間体8:5−クロロ−3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド
【0219】
【化26】

【0220】
[00270]5−クロロ−3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ピリジン−2−カルボン酸(15.8g、38mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(11.1g、114mmol)、DIEA(41mL、228mmol)、およびBOP(69g、156mmol)を、80mL DMF中に懸濁し、室温で一晩撹拌した。反応混合物を1(M)HCl(100mL)で希釈し、EtOAcで抽出し、有機部分を1(M)HCl水溶液、NaHCO、および食塩水で洗浄した。合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、5−クロロ−3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミノ)−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミドを得た:MS m/z:(N+H)458.0。
【0221】
[00271]中間体9:5−クロロ−3−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド
【0222】
【化27】

【0223】
[00272]中間体10:5−クロロ−3−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミドは、5−クロロ−3−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ピリジン−2−カルボン酸より、先の実施例に記載した製法に従って調製した。
【0224】
[00273]中間体11:5−クロロ−3−[メトキシメチル−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−アミノ]−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド
【0225】
【化28】

【0226】
[00274]5mLのTHF中の水素化ナトリウム(164mg、4.10mmol)の混合物に、5mLのTHF中の5−クロロ−3−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド(1.50g、3.42mmol)およびクロロメチルメチルエーテル(0.388mL、5.13mmol)の混合物を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をフラッシュカラム(ヘキサン中20%酢酸エチル)により精製して、1.50グラムの表題の化合物を白色固体として得た:(M+H)期待値 482.0、実測値 482.0。
【0227】
[00275]中間体12:5−クロロ−3−[メトキシメチル−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−アミノ]−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド
【0228】
【化29】

【0229】
[00276]8mLのTHF中の水素化ナトリウム(314mg、7.86mmol)の懸濁液に、8mLのTHF中の5−クロロ−3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド(3.0g、6.55mmol)およびクロロメチルメチルエーテル(0.741mL、9.825mmol)の混合物を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をフラッシュカラム(ヘキサン中20%酢酸エチル)により精製して、2.70グラムの表題の化合物を白色固体として得た:(M+H)期待値 502.0、実測値 502.0。
【0230】
[00277]中間体13:3−アミノ−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル
【0231】
【化30】

【0232】
[00278]400mg(2.9mmol)の3−アミノ−ピリジン−2−カルボン酸を、3mLのメタノールに溶解させた。この溶液に、1.6mLのジエチルエーテル中2M (トリメチルシリル)ジアゾメタン溶液を、0℃で滴下させながら加え、続いて混合物を2時間室温で撹拌した。溶液を酢酸エチルで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。フラッシュクロマトグラフィーによりエステル生成物を得た。LC−MSD、C [M+H]としてのm/z=153.0;HPLC保持時間:0.2分。
【0233】
[00279]中間体14:3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ピリジン−2−カルボン酸
【0234】
【化31】

【0235】
[00280]3mL ピリジン中の、0.60g(2.17mmol)の4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルクロリド、および0.30g(1.97mmol)の3−アミノ−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルより、中間体6の調製において4−クロロ−N−(2−シアノ−5−メチルピリジン−3−イル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドを調製するために使用した製法を使用して、調製した。溶媒をTHFに交換し、続いて1M LiOH水溶液を加え、混合物を1時間撹拌した。混合物のpHを中性に調整し、酢酸エチルで生成物を抽出した。LC−MSD、C13ClFS [M+H]としてのm/z=380.9、383.0;HPLC保持時間:1.8分。
【0236】
[00281]中間体15:3−[(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−メトキシメチル−アミノ]−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド
【0237】
【化32】

【0238】
[00282]7mL THF中の、1.05g(2.48mmol)の3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド、1.71gの炭酸カリウム、および566μLのメトキシメチルクロリドより、中間体12の調製において使用した製法を使用して調製した。収量:420mgの白色固体、LC−MSD、C1717ClFS [M+Na]としてのm/z=490.0、491.9;HPLC保持時間:2.5分。
【0239】
[00283]中間体16:4−クロロ−N−(2−(5−メトキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−カルボニル)−5−(メトキシメチル)ピリジン−3−イル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド
【0240】
【化33】

【0241】
[00284]ステップ1:四塩化炭素(4mL)中のブロモピリジン(132mg、0.28mmol)の溶液に、N−ブロモスクシンイミド(60mg、1.2等量)を加え、続いて2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、4.6mg、0.1等量)を加えた。反応混合物を60℃で一晩加熱した。室温に冷却後、過剰の四塩化炭素を除去し、残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(33%EtOAc/ヘキサン)により精製した。所望の生成物を、白色固体として得た(107mg、70%)。MS:(M+H)/z=551。
【0242】
[00285]ステップ2:上のステップ1より得られた生成物(51mg、0.093mmol)を3mLのメタノールに溶解させた。得られた溶液にナトリウムメトキシド(10mg、2.0等量)を加えた。反応混合物を50℃で一晩加熱した。室温に冷却後、飽和塩化アンモニウム溶液で反応を停止させ、そして混合物から酢酸エチルで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗材料をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(33%EtOAc/ヘキサン)により精製した。所望の生成物を白色固体として得た(42mg、90%)。MS:(M+H)/z=503。
【0243】
[00286]中間体17:3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド
【0244】
【化34】

【0245】
[00287]10.49g(26.6mmol)の3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−メチル−ピリジン−2−カルボン酸を、5.40g(33.2mmol)のN,N’−カルボニルジイミダゾールと、40mLの還流THF中で3時間反応させた。温度を50℃に下げ、2.86g(29.3mmol)のO,N−ジメチル−ヒドロキシルアミン塩酸塩を加え、反応液を一晩50℃で撹拌した。減圧下で溶媒の半量を除去し、反応混合物を200mLの冷却水で希釈した。固体を濾過して取り出し、100mLの水で洗浄し、乾燥させて、9.8g(84%)の生成物を黄褐色粉末として得た。
【0246】
[00288]中間体18:3−[(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−メトキシメチル−アミノ]−5−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド
【0247】
【化35】

【0248】
[00289]1mL THF中の、223mg(0.51mmol)の3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド、352mgの炭酸カリウム、および116μLのメトキシメチルクロリドより、中間体12の調製に使用した製法を使用して調製した。収量:200mgの白色固体、LC−MSD、C1819ClFS [M+H]としてのm/z=482.0、484.0;HPLC保持時間:2.5分。
【0249】
[00290]中間体19:7−クロロ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
【0250】
【化36】

【0251】
[00291]生成物は、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2004, 3165-3168の製法に従って調製した。
[00292]中間体20:6−ヨード−9H−プリン
【0252】
【化37】

【0253】
[00293]6−クロロ−9H−プリン(684mg、4.46mmol)および6mLの57%ヨウ化水素酸の混合物を、0℃で1.5時間撹拌した。この反応から840mgの生成物を白色粉末として得た。固体を濾過して取り出し、5mLの水に懸濁し、アンモニア水溶液でpH=8とした。懸濁液を0℃に冷却し、固体を濾過して取り出し、冷水で洗浄し、乾燥させて、生成物を得た。
【0254】
[00294]中間体21:4−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
【0255】
【化38】

【0256】
[00295]4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(673mg、4.41mmol)および7mLの57%ヨウ化水素酸の混合物を、室温で16時間撹拌した。固体を濾過して取り出し、5mLの水に懸濁し、アンモニア水溶液でpH=8とした。懸濁液を0℃に冷却し、固体を濾過して取り出し、冷水で洗浄し、生成物を得るため乾燥させて、970mgの生成物を白色粉末として得た。生成物は約10%の出発材料を含有していた。
【0257】
[00296]中間体22:7−ヨード−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
【0258】
【化39】

【0259】
[00297]7−クロロ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(1.47mg、9.64mmol)および15mLの57%ヨウ化水素酸の混合物を、80℃で4時間反応させた。固体を濾過して取り出した後、10mLの新たな57%ヨウ化水素酸と再度反応させた。この反応により1.3gの生成物を黒色粉末として、90%の純度で得た。
【0260】
(ヨウ化ヘテロ環のN基保護のための一般的製法)
[00298]1.65mmolのヨウ化ヘテロ環を、2mL DMF中に溶解させ、0℃に冷却した。この溶液に、1.81mmolの60%水素化ナトリウムを加え、続いて1.81mmolのトリメチルシリルエトキシメチルクロリドを、5分間にわたり滴下させながら加えた。溶液を0℃で0.5時間撹拌し、続いて室温で0.5時間撹拌した。この溶液に10mLの水を加え、混合物から10mLのジエチルエーテルで2回抽出した。有機層を10mLの水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させ、シリカ上でヘキサン中の酢酸エチルを使用して精製した。
【0261】
[00299]中間体23:6−ヨード−9−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−9H−プリン
【0262】
【化40】

【0263】
[00300]405mg(1.65mmol)の6−ヨード−9H−プリンを、2mL DMF中に溶解させた。72mg(1.81mmol)の60%水素化ナトリウムを加え、続いて320μL(1.81mmol)のトリメチルシリルエトキシメチルクロリドを加えた。収量:343mgの油状生成物。
【0264】
[00301]中間体24:4−ヨード−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
【0265】
【化41】

【0266】
[00302]610mg(2.49mmol)の4−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを、2.5mL DMF中に溶解させた。110mg(2.74mmol)の60%水素化ナトリウムを加え、続いて480μL(2.74mmol)のトリメチルシリルエトキシメチルクロリドを加えた。収量:750mgの油状生成物、純度90%。
【0267】
[00303]中間体25:4−ヨード−7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
【0268】
【化42】

【0269】
[00304]206mg(0.84mmol)の4−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジを1mL DMF中に溶解させた。37mg(0.92mmol)の60%水素化ナトリウムを加え、続いて58μL(0.92mmol)のヨードメタンを加えた。10mLの水を加えることにより反応を停止させ、固体を濾過して取り出し、10mLの水、その後10mLのヘキサンで洗浄し、乾燥させた。収量:142mgの黄褐色粉末、純度90%。
【0270】
[00305]中間体26:7−ヨード−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
【0271】
【化43】

【0272】
[00306]850mg(3.47mmol)の7−ヨード−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンを、3.5mL DMF中に溶解させた。153mg(3.82mmol)の60%水素化ナトリウムを加え、続いて670μL(3.82mmol)のトリメチルシリルエトキシメチルクロリドを加えた。収量:424mgの油状生成物、純度90%。
【0273】
[00307]一般的製法A:ワインレブアミドよりケトンの調製
【0274】
【化44】

【0275】
[00308]ステップ1:グリニャール試薬の添加
[00309]1mmolのヨウ化ヘテロ環を、窒素雰囲気下で4mL THFに溶解させ、−30℃に冷却した。0.50mLのTHF中イソプロピルマグネシウムクロリド溶液の2M溶液を滴下させながら加えた。混合物を−10℃まで温め、10分間撹拌し、この結果完全なヨウ素−マグネシウムの交換が得られた。次に溶液を−20℃に冷却し、1.0mmolの固体のワインレブアミドを加えた。5分後混合物を放置して室温まで温め、室温で1時間撹拌した。塩化アンモニウム水溶液を加え、混合物からDCMで抽出した。有機層を減圧下で蒸発させた。ヘキサン中酢酸エチルを使用してのシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより、生成物を得た。
【0276】
[00310]ステップ2:脱保護
[00311]1mmolの保護されたケトン中間体を、20mLのメタノールおよび20mLの6N 塩酸の混合物中に溶解させた。この溶液を封管中、95℃で8時間加熱した後、冷却し、蒸発させた。残渣をメタノール・アンモニア中に溶解させ、減圧下、シリカゲル上で蒸発させた。ヘキサン中酢酸エチルを使用してのシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより、生成物を黄色固体として得た。一部のケースでは、純粋な生成物を得るために付加的な逆相HPLCの精製ステップが必要であった。
【0277】
[00312]一般的製法B:ニトリルよりケトンを調製するための一般的製法
【0278】
【化45】

【0279】
[00313]1mmolの4−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを、窒素雰囲気下、2.8mL THFに溶解させ、−10℃に冷却した。THF中フェニルマグネシウムクロリド溶液の2M溶液0.50mL、続いてTHF中イソプロピルマグネシウムクロリド溶液の2M溶液0.50mLを滴下させながら加えた。混合物を室温まで温め、1時間撹拌し、この結果完全なヨウ素−マグネシウムの交換が得られた。1mL THF中0.77mmolの対応するニトリルの溶液を別に調製し、これに0.96mmolの60%水素化ナトリウムを加えた。これら溶液を合わせ、混合物を45℃で8時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、0.52mLの濃塩酸を加え、混合物を50℃で0.5時間撹拌した。固体を濾過して取り出し、10mLのTHFで3回、続いて10mLのジエチルエーテル、そして1N 塩酸で4回洗浄した。固体を、炭酸水素ナトリウム水溶液および酢酸エチルの混合物中に溶解させた。有機層をシリカゲルのパッドに通し、減圧下で蒸発させて、生成物を得た。
【0280】
[00314]実施例1:4−クロロ−N−[5−クロロ−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド
【0281】
【化46】

【0282】
[00315]iPrMgCl(3.84mL、7.56mmol;THF中1.97M溶液)を、THF(5mL)中のヨード−ピロロピリミジン(0.882mg、3.6mmol)に−78℃で加えた。15分後室温まで温め、2,6−ジメチルフェニルマグネシウムブロミド(2.4mL、2.4mmol;ジエチルエーテル中1.0M溶液)を加えた。この室温の反応混合物に、4−クロロ−2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−N−メトキシ−N−メチル−ベンズアミドのナトリウム塩のTHF溶液[THF(5mL)中60%NaH(0.144g、3.6mmol)を加えることにより別に調製]を加え、一晩撹拌した。飽和NHCl溶液(5mL)を加え、EtOAc(2×50mL)で抽出した。EtOAc層を食塩水(25mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)および蒸発させた。粗生成物を、カラム精製(シリカゲル、ヘキサン中60%EtOAc)により精製し、続いてCHCNから再結晶させて、表題の化合物(1g)を結晶状の黄色固体として67%の収率で得た。MS(ES) M+H 期待値515.0、実測値514.9。
【0283】
【化47】

【0284】
[00316]実施例2:4−クロロ−N−[2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド
【0285】
【化48】

【0286】
[00317]2mL THF中に溶解させた248mg(0.53mmol)の3−[(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−メトキシメチル−アミノ]−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド、239mg(0.58mmol)の90% 4−ヨード−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンに、0.32mLのTHF中2M イソプロピルマグネシウムクロリド溶液を添加して、調製した。得られた中間体のケトンすべてを、4mL メタノールおよび4mL 6N塩酸の混合物と共に、第二のステップで使用して、精製後、29mgの最終生成物を黄色固体として得た。
【0287】
[00318]実施例3:4−クロロ−N−[5−クロロ−2−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド
【0288】
【化49】

【0289】
[00319]2mL THF中に溶解させた227mg(0.45mmol)の5−クロロ−3−[(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−メトキシメチル−アミノ]−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド、129mg(0.45mmol)の90% 4−ヨード−7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンに、0.23mLのTHF中2M イソプロピルマグネシウムクロリド溶液を添加して、調製した。得られた中間体のケトン(80mg)すべてを、2mL エタノールおよび2mL 6N塩酸の混合物と共に、第二のステップで使用して、精製後、45mgの最終生成物を黄色固体として得た。
【0290】
[00320]実施例4:4−クロロ−N−(5−(メトキシメチル)−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)ピリジン−3−イル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの調製
【0291】
【化50】

【0292】
[00321]ステップ1:0℃、THF(1mL)中の実施例13(ステップ2)より得られたブロモピリジン(74mg、0.15mmol)の溶液に、イソプロピルマグネシウムクロリド(147μL、THF中2.0M)を滴下させながら加えた。45分後、THF中の7−(トリイソプロピルシリル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルバルデヒド(67mg、0.22mmol)の溶液を加えた。反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液で反応を停止させ、混合物から酢酸エチルで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗材料を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(33%EtOAc/ヘキサン)により精製した。所望の生成物を泡状黄色固体として得た(45mg、42%)。MS:(M+H)/z=728。
【0293】
[00322]ステップ2:上のステップ1より得られた生成物(45mg、0.062mmol)を、3mLのジクロロメタン中に溶解させた。得られた溶液にデス・マーチン・ペルヨージナン(42mg、1.6等量)を加え、室温で一晩撹拌した。10%Naで反応を停止させ、混合物から酢酸エチルで抽出した。抽出物を飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗材料を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(33%EtOAc/ヘキサン)により精製した。所望の生成物を泡状黄色固体として得た(35mg、78%)。MS:(M+H)/z=726。
【0294】
[00323]ステップ3:上のステップ2より得られた生成物(35mg、0.048mmol)を4mLのHCl−ジオキサン(4.0M)および1mLの水に溶解させた。混合物を85℃で30分間加熱し、飽和NaHCOで反応を停止させた。混合物から酢酸エチルで抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗材料を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(10%メタノール/DCM)により精製した。所望の生成物を黄色固体として得た(15mg、60%)。MS:(M+H)/z=526。
【0295】
[00324]実施例5:4−クロロ−N−[5−メチル−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド
【0296】
【化51】

【0297】
[00325]2mL THF中に溶解させた200mg(0.42mmol)の3−[(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−メトキシメチル−アミノ]−5−メチル−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド、202mg(0.50mmol)の90% 4−ヨード−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンに、0.25mLのTHF中2M イソプロピルマグネシウムクロリド溶液を添加して、調製した。得られた中間体のケトンすべてを、2mL メタノールおよび2mL 6N塩酸の混合物と共に、第二のステップで使用して、精製後、29mgの最終生成物を黄色固体として得た。
【0298】
[00326]実施例6:4−メチル−N−[5−メチル−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド
【0299】
【化52】

【0300】
[00327]2mL THF中の、496mg(1.40mmol)のN−(2−シアノ−5−メチル−ピリジン−3−イル)−4−メチル−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド、および70mg(1.75mmol)の60%水素化ナトリウムより調製した。グリニャール溶液は、5mL THF中に溶解させた467mg(1.82mmol)の95%4−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンに、0.98mLのTHF中2M フェニルマグネシウムクロリド溶液、および0.98mLのTHF中2M イソプロピルマグネシウムクロリド溶液を添加して、調製した。この反応により340mgの最終生成物を黄色固体として得た。
【0301】
[00328]実施例7:3,4−ジクロロ−N−[5−メチル−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−ベンゼンスルホンアミド
【0302】
【化53】

【0303】
[00329]6mL THF中に溶解させた563mg(1.55mmol)の3,4−ジクロロ−N−(2−シアノ−5−メチル−ピリジン−3−イル)−ベンゼンスルホンアミドナトリウム塩、506mg(2.01mmol)の97%4−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンに、1.16mLのTHF中1.8M フェニルマグネシウムクロリド溶液、および1.06mLのTHF中2M イソプロピルマグネシウムクロリド溶液を添加して、調製した。この反応により471mgの最終生成物を黄色固体として得た。
【0304】
[00330]実施例8:4−クロロ−N−(5−メチル−2−(2−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)ピリジン−3−イル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド
【0305】
【化54】

【0306】
[00331]ステップ1:DMF(35mL)およびベンゼン(12mL)中のNaH(鉱物油中60%分散、1.62g、40.5mmol)の懸濁液に、シアン酢酸エチル(4.7mL、44.2mmol)を−10℃で滴下させながら加えた。室温で1時間撹拌後、2−ブロモ−1,1−ジエトキシエタン(5,6mL、0.82等量)を加え、反応混合物を100℃で2時間加熱した。次に反応混合物を室温まで冷却し、濾過した。濾液を凝縮させ、水を加えた。混合物からエーテルで抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗材料を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)により精製した。所望の生成物を無色油状物質として得た(5g、60%)。MS:(M+Na)/z=252。
【0307】
[00332]ステップ2:アセトアミジン塩酸塩(413mg、4.4mmol)を、エタノール(8mL)中ナトリウムエトキシド(594mg、2.0等量)の溶液に加えた。室温で30分間撹拌後、得られた塩化ナトリウムを濾過により除去した。濾液を、エチル2−シアノ−4,4−ジエトキシブタノエート(1.0g、4.4mmol)に加え、混合物を5時間還流した。溶媒のほとんどを除去し、残ったスラリーを氷水中に溶解させ、酢酸エチルで抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗材料を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(100%メタノール)により精製した。所望の生成物を赤色固体として得た(421mg、40%)。MS:(M+H)/z=242。
【0308】
[00333]ステップ3:上のピリミジン(2.0g、8.30mmol)を50mLのエタノール中の硫酸(0.9mL)の溶液に加え、2時間還流した。室温に冷却後、混合物を真空中で濃縮した。粗材料(水溶性)を次のステップに直接使用した。MS:(M+H)/z=150。
【0309】
[00334]ステップ4:2mLのオキシ塩化リン中の、90mg(0.60mmol)の上のヒドロキシピロロピリミジンの懸濁液を2時間還流した。過剰のオキシ塩化リンを除去し、残渣の反応を注意しながら氷で停止させた。混合物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗材料を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(10%メタノール/DCM)により精製した。所望の生成物を無色固体として得た(86mg、85%)。MS:(M+H)/z=168。
【0310】
[00335]ステップ5:上のクロロピロロピリミジン(40mg、0.24mmol)を、ヨウ化水素酸の水溶液(水中57重量%、1.5mL)に加え、混合物を35℃で一晩加熱した。室温に冷却後、ヒドロキシルアミンの溶液を加え、混合物から酢酸エチルで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。所望の生成物を褐色固体として得た(50mg、80%)。MS:(M+H)/z=260。
【0311】
[00336]ステップ6:0℃のTHF(1mL)中の、3−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド)−N−メトキシ−N,5−ジメチルピコリンアミド(56mg、0.13mmol)の溶液に、NaH(鉱物油中60%分散、6mg、1.2等量)を加えた。次に反応液を室温まで温め、0.5時間撹拌した。
【0312】
[00337]分離フラスコに、0.5mLのTHF中の、上のヨードピロロピリミジン(40mg、1.2等量)を充填した。溶液を−78℃に冷却し、THF中イソプロピルマグネシウムクロリドの溶液(2.0M、167μL)を滴下させながら加えた。次に反応混合物を室温まで温め、THF中2,6−ジメチルフェニルマグネシウムブロミドの溶液(1.0M、167μL、1.3等量)を加えた。30分間撹拌後、混合物を上のワインレブアミド溶液に加え、反応液をさらに1時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液で反応を停止させた。混合物から酢酸エチルで抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗材料を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(33%EtOAc/ヘキサン)により精製した。所望の生成物を黄色固体として得た(31mg、40%)。MS:(M+H)/z=510。
【0313】
[00338]実施例9:4−クロロ−N−[5−クロロ−2−(9H−プリン−6−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド
【0314】
【化55】

【0315】
[00339]2mL THF中に溶解させた256mg(0.51mmol)の5−クロロ−3−[(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−メトキシメチル−アミノ]−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド、191mg(0.51mmol)の6−ヨード−9−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−9H−プリンに、0.25mLのTHF中2M イソプロピルマグネシウムクロリド溶液を添加して、調製した。得られた中間体のケトンすべてを、1mL メタノールおよび1mL 6N塩酸の混合物と共に、第2のステップで使用して、精製後、2.05mgの最終生成物を黄色固体として得た。
【0316】
[00340]実施例10:4−クロロ−N−[5−クロロ−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド
【0317】
【化56】

【0318】
[00341]2mL THF中に溶解させた259mg(0.52mmol)の5−クロロ−3−[(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−メトキシメチル−アミノ]−ピリジン−2−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド、213mg(0.52mmol)の90%4−ヨード−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンに、0.26mLのTHF中2M イソプロピルマグネシウムクロリド溶液を添加して、調製した。得られた中間体のケトンすべてを、2mL メタノールおよび2mL 6N塩酸の混合物と共に、第2のステップで使用して、精製後、40mgの最終生成物を黄色固体として得た。
【0319】
[00342]実施例11:4−クロロ−N−[5−クロロ−2−(1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド
【0320】
【化57】

【0321】
[00343]2mL THF中に溶解させた494mg(1.00mmol)のN−(2−ブロモ−5−クロロ−ピリジン−3−イル)−4−クロロ−N−メトキシメチル−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド、1.05mLのTHF中2M イソプロピルマグネシウムクロリド溶液より調製した。146mg(1.00mmol)の1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−4−カルバルデヒドを1mL THFに溶解させ、その後室温で44mg(1.1mmol)の60%水素化ナトリウム、および177μL(1mmol)のトリメチルシリルエトキシメチルクロリドで処理し、グリニャール試薬の溶液を加えた。収量:40mgの中間体のアルコール。この中間体のすべてを、1mLのDCM中に溶解させた74mgのデス・マーチン・ペルヨージナンと共に、第2のステップで使用した。31mgの得られた保護されたケトンを、2mL メタノールおよび2mL 6N 塩酸の混合物中、100℃で第3のステップを行い、精製後、17mgの最終生成物を黄色固体として得た。LC−MSD、C2011ClS[M+H]としてのm/z=514.9、516.9;HPLC保持時間:2.3分。
【0322】
[00344]実施例12:3,4−ジクロロ−N−[5−メチル−2−(1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−ベンゼンスルホンアミド
【0323】
【化58】

【0324】
[00345]1mL THFに溶解させた204mg(0.464mmol)のN−(2−ブロモ−5−メチル−ピリジン−3−イル)−3,4−ジクロロ−N−メトキシメチル−ベンゼンスルホンアミド、0.49mLのTHF中2M イソプロピルマグネシウムクロリド溶液より調製した。75mg(0.510mmol)の1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−4−カルバルデヒドを1mL THFに溶解させ、室温で22mg(0.557mmol)の60%水素化ナトリウムで処理し、グリニャール試薬の溶液を加えた。中間体のアルコールすべてを、2mLのDCM中に溶解させた300mgのデス・マーチン・ペルヨージナンと共に、第2のステップで使用した。得られた保護されたケトンを、6mL メタノールおよび6mL 6N 塩酸の混合物中、90℃で第3のステップを行い、精製後に、22mgの最終生成物を黄色固体として得た。LC−MSD、C2014ClS[M+H]としてのm/z=460.9、462.9;HPLC保持時間:2.3分。
【0325】
[00346]実施例13:4−クロロ−N−[5−メチル−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミドナトリウム塩
(a)3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−メチル−ピリジン−2−カルボニトリルナトリウム塩
【0326】
【化59】

【0327】
[00347]ピリジン(625mL)中の3−アミノ−2−シアノ−5−メチルピリジン(83g、0.619mol)の溶液に、4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド(207g、0.742mol)を一度に加え、得られた反応混合物を60℃で一晩(13時間)撹拌した。ピリジンを真空中で除去した。THF(350mL)を加え、真空中で除去した。得られた暗褐色固体にTHF(650mL)、HO(550mL)を加え、続いてNaOH(75g、1.88mol)を0℃で20分にわたりゆっくり(5回に分けて)加えた。得られた溶液を0℃でさらに30分間撹拌した。真空中でTHFを除去(〜650mL)後、HO(50mL)を加え、懸濁液を加熱してすべての固形物を溶解させた。氷浴中で2時間冷却した後、得られた固体を濾過により集め、氷水(100mL×3)で洗浄し、110℃の真空オーブン内で24時間乾燥させて、表題の化合物(190g、77%)を白色針状結晶として得た:mp. 287.0−288.5℃。
【0328】
【化60】

【0329】
母液を真空中で濃縮(〜2/3容量)して、洗浄および乾燥後、別に30gの表題の化合物を得た、総収率89%。
[00348](b)4−クロロ−N−[5−メチル−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド
【0330】
【化61】

【0331】
[00349]窒素雰囲気下で、メカニカルスターラーおよび温度計をセットした3口の2L丸底フラスコ内で、4−ヨードピロロ[2,3−d]ピリミジン(2b、50.3g、純度95.5%、196mmol)を、0.64Lの無水THF中に溶解/懸濁させた。溶液をドライアイス−アセトン浴内で−15℃に冷却し、206mLの1.0M o−トリルマグネシウムクロリド THF溶液(1.05等量)を、内部の温度が−10℃を超えないようにゆっくり加えた。添加の間にすべての固形物が溶解した。冷却浴を外し、104mLの1.95M イソプロピルマグネシウムクロリド THF溶液(1.03等量)を3分間にわたり加えた。添加中に黄褐色の固体が沈殿した;凝集塊にならないように激しく撹拌しなければならない。得られた溶液を、温水浴を使用して直ちに室温まで温めた。この懸濁液に、120mL dryTHF中の59.9gのニトリルナトリウム塩(19、0.77等量)を加え、得られた混合物を45℃で16時間撹拌した。混合物を氷浴内で冷却し、101mLの36%HCl水溶液を、内部の温度が30℃を超えないように、激しく撹拌しながら滴下させて加えた。黄色固体が沈殿し、濃厚な懸濁液全体を30分間50℃で機械的に撹拌し(黄色の固体がオレンジ色になった)、室温に冷却した後、濾過した。固体を、700mLのTHF、続いて700mLのジエチルエーテルで洗浄し、続いて1Lの1M HCl水溶液で2回洗浄した。得られた湿ったオレンジ色固体を0.9L 酢酸エチル、0.5L 水、および50gの炭酸水素ナトリウムの混合物中に溶かし、完全に溶解するまで撹拌した。溶液をCELITE(登録商標)のパッドを通して濾過し、層分離した。水層から50mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を200gのシリカゲルのパッドを通して濾過し、続いてさらに0.8Lの酢酸エチルでシリカを洗浄した。溶液を真空中で濃縮して、56.5gの生成物を黄色固体として得た(2重量%の酢酸エチルを含有する、収率74%)。
【0332】
[00350](c)4−クロロ−N−[5−メチル−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミドナトリウム塩
[00351]4−クロロ−N−[5−メチル−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド(6.85g、13.8mmol)を、103mLのイソ−プロピルアルコール中に懸濁し、窒素雰囲気下で還流した。懸濁液を撹拌しながら、1.30mLの10.6N 水酸化ナトリウム水溶液(1等量)を滴下させて処理し、この間にすべての固体が溶解した。混合物を室温まで冷却させ、結晶の核を加えた後、さらに氷浴内で冷却した。固体を濾過して取り出し、35mLのイソ−プロピルアルコールで洗浄し、続いて真空中、80℃で一晩乾燥させた。収量:6.12g(86%)。IPA含有量は800ppmである(H NMRにより決定)。
【0333】
[00352]実施例14−実施例13の化合物のXPRD。
実施例13の材料のX線粉末回折(XRPD)の解析を行った。解析はCuKα線を用いたShimadzu XRD-6000 X線粉末回折計を使用して行った。本装置は長い微小焦点X線管が搭載されている。X線管の電圧および電流は各々40kVおよび40mAに設定した。発散スリットおよび散乱スリットは1°に設定し、検出スリットは0.15mmに設定した。回折光はNaIシンチレーション検出器により検出した。3°/分(0.4秒/0.02°ステップ)で2.5から40°のθ−2θ連続スキャンの2θ値を使用した。ケイ素標準試料を解析し、装置の校正を行った。データはXRD-6100/7000 v.5.0を使用して集め、解析した。XPRDスキャンを図1に示す。2θ値を表3に示す。実施例13の化合物の結晶形をA型と名付ける。
【0334】
[00353]実施例13の結晶化合物のXRPDにおいて観察されたピークのリスト(2θ°)および強度(CPS)。ピークの強度は、粒子のサイズおよび形態に依存して変化するものと思われる。
表3
【0335】
【表3】

【0336】
[00354]比較例1:4−クロロ−N−(5−メチル−2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−カルボニル)ピリジン−3−イル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド
【0337】
【化62】

【0338】
[00355]この化合物は、米国特許出願第2007−0037794A1号に記載されているように調製することができる。
[00356]実施例1−12の化合物は各々、以下のCCR2走化性アッセイにおいて1000nMより低いIC50を有する。化合物5は本アッセイにおいて、およそ5nMの平均IC50を有する。
【0339】
[00357](in vitroアッセイの実施例)
[00358]「試薬」
[00359]THP−1細胞は、American Type Culture Collection (Manassas, VA)より入手し、10%ウシ胎児血清(FCS)を補ったRPM1組織培地において、37℃の加湿した5%COインキュベーター内で培養した。リコンビナントヒトケモカインタンパク質のMCP−1は、R&D Systems (Minneapolis, MN)より入手した。125I標識MCP−1タンパク質は、Amersham (Piscataway, NJ)より入手した。ChemoTX(登録商標)走化性マイクロチャンバーは、Neuro Probe (Gaithersburg, MD)より購入した。CyQUANT(登録商標)細胞増殖キットは、Molecular Probes (Eugene, Oregon)より購入した。カルシウムインジケーター色素のFluo−4 AMは、Molecular Devices (Mountain View, CA)より購入した。
【0340】
[00360]「従来の遊走アッセイ」
[00361]従来の遊走アッセイを使用して、ケモカイン(例えばCCR2)を通して仲介される遊走の遮断における、潜在的な受容体アンタゴニストの有効性を決定した。このアッセイは、5μmポアサイズのポリカーボネートメンブレンを備えた、ChemoTX(登録商標)マイクロチャンバーシステムを使用して、ルーチン的に行った。そのようなアッセイに着手するため、ケモカイン発現細胞(例えばCCR2アッセイに関してはTHP−1細胞)を、GS−6R Beckman遠心機で1000RPMでの細胞懸濁液の遠心により集めた。細胞ペレットを走化性バッファー(HBSS 0.1%BSAを含む)中に、CCR2アッセイに関しては10×10細胞/mLで再懸濁した。所望の濃度の検査化合物は、10mMストック溶液から、走化性バッファー中での段階希釈により調製した。等容量の細胞および化合物を混合し、室温で15分間インキュベートした。その後、20μLの混合液を、遊走マイクロチャンバーの多孔性メンブレン上に移し、29μLのケモカインリガンド(CCR2アッセイに関しては0.1nM ケモカインMCP−1タンパク質)を、下のチャンバーに置いた。ケモカインの濃度勾配に対して細胞が遊走する37℃でのインキュベーション(CCR2に関しては90分)後、細胞の液滴をフィルターの頂上から取り除くことにより、アッセイを終了させた。メンブレンを越えて遊走した細胞を定量するため、5μLの7X CyQUANT(登録商標)溶液を、下部チャンバーの各ウェルに加え、蛍光シグナルをSpectrafluor Plus蛍光プレートリーダー(TECAN, Durham, NC)にて測定した。阻害の程度は、化合物で処理した細胞および未処理細胞間の遊走のシグナルを比較することにより決定した。IC50の算出を、Graphpad Prism (Graphpad Software, San Diego, CA).を用いて、非線形重回帰分析によりさらに行った。
【0341】
[00362](薬物動態)
[00363]実施例5の化合物の薬物動態(PK)および経口によるバイオアベイラビリティを、ビーグル犬において決定した。
【0342】
[00364]31.6%N,Nジメチルアセトアミド/36.8%水/31.6%プロピレングリコール中の、1mg/kgの化合物5(遊離塩基)を雄ビーグル犬(n=2)に静脈内ボーラス投与した後、以下の時間:投与前、投与後2、5、15、30分、1、2、4、8、12、および24時間に、血液サンプルを採取した。1% メトセル(methocel)中5mg/kgの実施例5の化合物を雄ビーグル犬(n=2)に経口投与した後には、以下の時間:投与前、5、15、30分、ならびに1、2、4、8、12、および24時間に、血液サンプルを採取した。
【0343】
[00365]未変化体の実施例5の化合物を、3%ギ酸/アセトニトリルを使用して血漿サンプルより抽出し、LC−MS/MS法を使用して測定した。PKパラメータは、非コンパートメント解析により決定した。動物は不健康および死亡の兆候について観察した。不健康または死亡という肉眼的兆候を示すビーグル犬はなく、実施例5の化合物の十分な耐容性が認められた。
【0344】
[00366]実施例5の化合物の静脈内投与後、未変化体の化合物5の血漿濃度は、4.7時間の平均消失半減期t1/2で単一指数関数的に低下した。実施例5の化合物は、非常にゆっくり0.2mL/分/kg(イヌ肝血流量の<1%)で血漿からクリアランスされ、0.1L/kgの非常に低い分布容積(Vss)を示した。平均滞留時間(MRTiv)は7.2時間と見積もられた。経口投与後、実施例5の化合物は急速に吸収され、1.5時間(Tmax)後に44.4μg/mL(約59.5μM)の平均ピーク血漿濃度(Cmax)に達した。化合物は十分に吸収され、経口のバイオアベイラビリティは約100%であった。
【0345】
[00367]実施例5の化合物は、非常に良好な静脈内および経口の薬物動態プロファイルを示した。静脈内投与後この化合物は、ビーグル犬における非常に低いクリアランス(肝血流量の1%未満)、および長い平均滞留時間(約7時間)を示した。化合物5はまた、経口により急速にそして十分に吸収され、バイオアベイラビリティは約100%であった。
(CYP2C9およびCYP3A4の阻害アッセイ)
[00368]検査化合物を、プールしたヒト肝ミクロソームと共に、37℃で、NADPH、ならびにCYP2C9および3A4に特異的な適当な濃度の基質の存在下でインキュベートした。ヒト肝ミクロソームおよび基質の最終アッセイ濃度、DMSO中の最初の基質ストック溶液濃度、および多様なアイソザイムのインキュベーションに使用した時間を、表4にまとめる。各アイソザイムアッセイにおけるポジティブインヒビターコントロールの最終アッセイ濃度を、表5に列記する。
【0346】
【表4】

【0347】
【表5】

【0348】
(インキュベーション)
[00369]50mM リン酸カリウム/5mM MgClバッファー中のヒト肝ミクロソーム(HLM)の混合物の120μLを、96ウェルプレートのA列のすべてのウェルに加えた。ミクロソームタンパク質の濃度は、表4に記した特定のアイソザイムアッセイに関する意図したタンパク質濃度の2倍とした。加えて、1%DMSOを添加したこのヒト肝ミクロソーム調製物の80μLを、B列からH列までのすべてのウェルに分注した。
【0349】
[00370]DMSO中の個々の検査化合物(10mM)の1.2μLを、A列の最初の10ウェルに加えた(5つの異なる検査化合物を各々デュープリケートとした)。加えて、本試験のアイソザイム用のコントロールインヒビターのDMSOストックの1.2μLを、上の最も高い最終濃度の約2倍の濃度となるように、A列の最後の2つのウェル内に加えた。(コントロールインヒビター最終濃度に関しては表5を参照のこと)
[00371]A列のウェル(ウェル1−12、化合物およびコントロールの双方)内の各溶液から40μLを取り、B列のウェル内で希釈することにより、3倍の段階希釈を行った。完全に混合した後、B列のウェル内の各溶液から40μLをマルチチャネルピペット(12チャネル)でC列のウェル内に分注し、これによりコントロールおよび検査化合物をさらに希釈した。この作業をD列からG列まで繰り返した。混合した後、G列のウェルから40μLを取り、捨てた。
【0350】
[00372]この手順の結果、AからHのすべての列のすべてのウェル内に80μLの溶液が存在し、タンパク質濃度は列のすべてのウェルにおいて意図した最終濃度の2倍であり、そして検査化合物およびコントロールの濃度は、AからGの列において最終的に意図した濃度の2倍となった。H列には、検査化合物またはポジティブコントロールは添加しなかった。
【0351】
[00373]プレートを覆い、37℃のインキュベーターで10分間プレ−インキュベートした。4mM NADPHを含む50mM リン酸カリウム/5mM MgClバッファー溶液中の、検討するアイソザイムに関する基質の溶液の80μLを、意図した最終基質濃度の2倍の基質濃度で、マルチチャネルピペットを使用して加えることにより、反応を開始した。基質溶液は、ウェル95および96(ミクロソームブランク)を除くA列からH列のすべてのウェルに加えた。基質溶液は、これもまた表4に記した濃度で調製した多様なDMSO基質ストック溶液より調製した。
【0352】
[00374]この手順により、表4に列記したタンパク質および基質の最終濃度、表5に列記したコントロールの最終濃度、そして個々の各検査化合物に関しては、50μM、16.7μM、5.6μM、1.9μM、618nM、206μM、および69nMという検査化合物の濃度を得た。
【0353】
[00375]プレートを覆い、検討するアイソフォームについて表4に列記した時間の間、37℃でインキュベートした。120μLのアセトニトリル中の内部標準(200ng/mL CCX915−6A)を、すべてのウェルに分注することにより、反応を停止させた。ウェル95および96内には反応停止後に、上に記載した80μLの特異的基質/NADPH溶液を加えて、ブランクとした。プレートを10分間ボルテックスにかけ、4,450rpm、4℃で10分間遠心した。セクションEおよびFに記載するように、LC−MS/MSの分析のため、マルチチャネルピペットで80μLの上清を、80μLの0.1%ギ酸/水を含有するサンプルプレートウェル内に移し、ウェルを十分に混合した。
【0354】
「分析法」
[00376]サンプルはLC−MS/MS法により分析した。CYP450の異なる各アイソフォームに関する特定の基質に由来する各代謝物(表6)をモニタリングした。
【0355】
「基質に関するHPLCの条件」
[00377]装置:Shimadzu、液体クロマトグラフィーシステムLC−10AD VPを搭載。
【0356】
CYP2C9およびCYP3A4(ミダゾラム)の阻害
[00378]カラム:Waters、Sunfire C18、3u、2.1x50mm
[00379]移動相:A:水中0.1%ギ酸、B:アセトニトリル中0.1%ギ酸
【0357】
【表6】

【0358】
[00380]流速:300μL/分
[00381]注入容積:10μL
[00382]通過時間:CYP2C9、3A4(ミダゾラム)に関しては3分。分析物の保持時間は、2C9(4’−ヒドロキシ−ジクロフェナク)に関しては1.03分、3A4(1’−ヒドロキシ−ミダゾラム)に関しては0.87分である
[00383]CYP3A4の阻害(テストステロン)
[00384]カラム:Waters、Sunfire C18、3u、2.1x50mm
[00385]移動相:A:水中0.1%ギ酸、
[00386] B:アセトニトリル中0.1%ギ酸
[00387]
【0359】
【表7】

【0360】
[00388]流速:300μL/分
[00389]注入容積:10μL
[00390]通過時間:CYP3A4(テストステロン)に関しては4.0分。分析物(6−β−ヒドロキシテストステロン)の保持時間は、3A4(テストステロン)に関しては1.35分である
「質量分析計の条件」
[00391]装置:Applied Biosystems (Foster City, CA) API3000および4000Q−TRAP質量分析計
[00392]インターフェース:エレクトロスプレイ(“Turbo Ion Spray”)、陽イオン化
[00393]モード:多重反応モニタリング(Multiple Reaction Monitoring、MRM)
【0361】
【表8】

【0362】
「IC50の計算値」
[00394]代謝物のピーク面積は、Analyst(登録商標)1.4.1ソフトウェア (Applied Biosystems, Foster City, CA)を使用しての、クロマトグラムの自動積分により得た。
阻害=100−((AUC検査化合物−AUCブランク)/(AUCコントロール−AUCブランク)×100) 方程式1
[00395]AUC検査物質、AUCコントロールおよびAUCブランクは各々、検査物質またはポジティブインヒビターの存在下でのコントロールの代謝物に関するピーク面積数値、検査物質を含まないコントロールの代謝物のピーク面積数値、およびミクロソームブランクにおいて観察されたピーク面積数値である。阻害のパーセントは、Excel (Microsoft)を使用して検査物質の濃度に対してプロットした。IC50値は、XLFit(商標)(IDBS Lid, Guildford, UK)の4パラメータフィットを使用して算出した。選択された化合物のIC50値を以下に示す。
【0363】
(スプラーグドーリーラットにおける選択された化合物の薬物動態評価)
[00396]選択された化合物を用いての静脈内/経口の薬物動態試験を、体重0.24−0.36kg間の雄スプラーグドーリーラットにおいて行った。血液サンプルは予め決定しておいた時間ポイントに採取し、動物由来の対応する血漿サンプルを、LC−MS/MS法を使用して検査化合物の濃度に関して分析した。薬物動態のパラメータは、血漿濃度 対 時間曲線より導いた。
【0364】
[00397]LC−MS/MS分析に関しては、アセトニトリル中の検査化合物の1mg/mLストック溶液を調製し、50%メタノール/水中に調製したワーキング(working)スットク溶液を使用して、分析用スタンダードおよびQCサンプルを調製した。
【0365】
[00398]抗凝固剤としてEDTAナトリウムを含む、乏血小板雄スプラーグドーリーラットの血漿をBioreclamation, Inc. (East Meadow, NY)より入手し、分析のスタンダードならびに選択されたサンプルの段階希釈の調製に使用した。
【0366】
「動物」
[00399]体重0.24および0.36kgの間の8頭の動物をこの試験に使用した。2頭の動物を静脈内投与に、残りの6頭を経口投与に使用した。
【0367】
「投与および血液採取」
[00400]静脈内投与用に、検査化合物の溶液製剤は、プロピレングリコール/N,N−ジメチルアセトアミド/EtOH(31.6/31.6/36.8)中に、1mg/mLで調製し、各動物に1mL/kg投与した。経口投与用には、検査化合物は、1%HPMC中に0.5mg/mLで懸濁し、各動物に10mL/kg投与した。
【0368】
[00401]動物は一晩絶食とし、投与前および試験終了時に調べた。静脈内投与に関して、血液(0.2mL)は投与前、ならびに投与後2、5、10、15、および30分、1、2、4、6、および8時間に採取した。経口投与に関しては、血液(0.2mL)は投与前、ならびに投与後5、15、および30分、1、1.5、2、4、6、8および24時間に採取した。血液は、カニューレ挿入した動物からサンプル採取した後、抗凝固剤としてEDTAナトリウムを含有する冷却したポリプロピレン試験管内に入れ、遠心まで氷上に保持した。12000rpm、4℃、6分間の遠心(Eppendorf Centriguge 5417R)により血漿を集め、分析まで−20℃で保存した。
【0369】
「分析法」
[00402]血漿サンプル(50μL)から、150μLの内部標準含有アセトニトリルで、往復式振盪機(linear shaker)上で10分間抽出した。サンプルを、4450RPM、10分間、4℃で遠心(Allegra X-15R遠心機、 Beckman Coulter, Inc., Fullerton, CA)した。得られた上清の80μLを、80μLの水中0.1%ギ酸を含有する新しいプレートのウェル内に移し、完全に混合した。
【0370】
[00403]上の手順を使用して調製した抽出サンプルを、高速液体クロマトグラフィーにより分離した。高速液体クロマトグラフィーには、LC−10 ADポンプおよびC−18カラム(Waters Sunfire, 2 x 30 mm, 3.5 μm; 10 μl注入)を搭載したShimadzu (Kyoto, Japan)のシステムを使用し、0.35mL/分の流速で、(A)水中0.1%ギ酸、および(B)アセトニトリル中0.1%ギ酸から成る移動相を使用した。濃度勾配は、0−1.5分 5%B、1.5−2.5分 5−95%B、2.5−2.7分 95%から5%B、そして2.7−4.0分 5%Bとした。HPLC溶出液は分析のため、ターボイオンスプレー陽イオン化MS/MSモードで作動する、Applied Biosystems (Foster City, CA) Sciex API 3000三連四重極型質量分析計内に送られた。データ取得およびピークの積分はApplied Biosystems-Sciex Analyst ソフトウェア(バージョン1.4.1)を用いて行った。検量線は、二次回帰(静脈内)または一次回帰(経口)により得、較正範囲は、静脈内および経口の試験について、各々4−5000ng/mLおよび2−5000ng/mLとした。
【0371】
「LC−MS/MS校正用スタンダードの調製」
[00404]ラット血漿サンプル中の検査化合物の濃度を決定するため、5000、1000、500、100、50、20、10、4、2および1ng/mLの化合物を含有するスタンダードを、Bioreclaimation Inc. (Lot #RATBREC.47491M)より入手したラット血漿を用いて調製した。血漿スタンダードは、同じ様式で血漿サンプルを用いて並行して調製した。3つのレベルのスタンダードストック溶液(1000、100および10ng/mL)を、雄スプラーグドーリーラット血漿に別々に添加し、QCサンプルとして使用した。
【0372】
[00405]「薬物動態分析」
[00406]11のタイムポイントのすべてで、各投与経路について採血時間の間にサンプルを得た。記述する薬物動態パラメータは、各動物および投与経路からの標準的な非コンパートメント分析(Wagner, 1993)による血漿濃度−時間曲線より決定した。
【0373】
・半減期(T1/2):消失半減期
・Cmax:最高血漿濃度
・AUC0−∞:無限大まで外挿した、投与時間からの血漿濃度−時間曲線下面積
・CL:全身クリアランス
・MRT0−∞:無限大まで外挿した、投与時間からの平均滞留時間
・Vdss:定常状態での分布容積
・F:バイオアベイラビリティ
[00407]薬物動態分析は、XLFit(登録商標)v.4.1 (ID Business Solutions Inc., Alameda, CA)を使用して行った。
【0374】
【表9−1】

【0375】
【表9−2】

【0376】
[00408]それ故、前述の詳細な記載は限定よりむしろ説明としてみなされること、そして本発明の精神および範囲を定義することを意図しているのは、すべての均等物を含む以下の請求項である、と理解されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
およびRは各々独立して、水素、ハロゲン、C1−8アルキル、−CN、またはC1−8ハロアルキルであるが、ただしRまたはRの少なくとも1つは水素以外であり;
各Rは独立して水素であり;
は水素であり;
はハロゲンまたはC1−8アルキルであり;
は水素であり;
はCR、N、またはNOであり;
およびXは、NまたはNOであり;
はCRであり;
およびXは各々独立して、CR、N、およびNOより選択され;
各Rは独立して、水素、ハロゲン、置換されたまたは置換されていないC1−8アルキル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルケニル、置換されたまたは置換されていないC2−8アルキニル、−CN、=O、−NO、−OR、−OC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)NR、−OC(O)NR、−NR10C(O)R、−NR10C(O)NR、−NR、−NR10CO、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−NR10S(O)、置換されたまたは置換されていないC6−10アリール、置換されたまたは置換されていない5から10員ヘテロアリール、および置換されたまたは置換されていない3から10員ヘテロシクリルから成る群より選択され;
、R、およびR10は各々存在する場合は独立して、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、アリールもしくはヘテロアリールから成る群より選択されるか;またはRおよびR、もしくはR10およびRは、それらの結合する原子(1つもしくは複数)と共に、置換されたもしくは置換されていない5、6もしくは7員環を形成し;
11は、水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、置換されたまたは置換されていないC6−10アリール、置換されたまたは置換されていない5から10員ヘテロアリール、および置換されたまたは置換されていない3から10員ヘテロシクリルから成る群より選択される]
の化合物またはその塩。
【請求項2】
式(II):
【化2】

である、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
がNである、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項4】
およびXがNであり、そしてXおよびXがCRである、請求項3に記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
がClである、請求項4に記載の化合物または塩。
【請求項6】
が−CFである、請求項5に記載の化合物または塩。
【請求項7】
がClまたはメチルである、請求項6に記載の化合物または塩。
【請求項8】
がメチルである、請求項7に記載の化合物または塩。
【請求項9】
がClであり、RがCFであり、RがClである、請求項4に記載の化合物または塩。
【請求項10】
以下から成る群:
【化3】

より選択される化合物。
【請求項11】
以下から成る群:
【化4】

より選択される化合物、または医薬的に許容可能なその塩。
【請求項12】
医薬的に許容可能な担体、および先の請求項のいずれかに記載の化合物または塩を含んでなる組成物。
【請求項13】
CCR2を調節する量の、請求項1−12のいずれか1項に記載の化合物または塩と、細胞を接触させることを含んでなる、細胞におけるCCR2の機能を調節する方法。
【請求項14】
治療有効量の、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容可能な塩を、対象に投与することを含んでなる、CCR2を介した状態または疾患を治療する方法。
【請求項15】
CCR2を介した状態または疾患がアテローム硬化症である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
CCR2を介した状態または疾患が再狭窄である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
CCR2を介した状態または疾患が多発性硬化症である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
CCR2を介した状態または疾患が、炎症性腸疾患、腎線維症、関節リウマチ、肥満、および非インスリン型糖尿病から成る群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
CCR2を介した状態または疾患が2型糖尿病である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
CCR2を介した状態または疾患が、慢性閉塞性肺疾患、特発性肺線維症、および特発性肺炎症候群から成る群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
4−クロロ−N−[5−メチル−2−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−カルボニル)−ピリジン−3−イル]−3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミドナトリウム塩の結晶形。
【請求項22】
前記結晶形が、CuKα線を使用して測定された以下の2θ値±0.2:6.9, 7.7, 20.0, 24.3, 24.7, および25.1、を含んでなるX線粉末回折を有する、請求項21に記載の結晶形。
【請求項23】
前記結晶形が、CuKα線を使用して測定された以下の2θ値±0.2:6.9, 7.7, 10.6, 11.3, 11.8, 12.5, 13.7, 15.1, 15.3, 16.1, 16.9, 17.3, 18.2, 18.5, 19.5, 20.0, 21.6, 21.8, 22.6, 24.3, 24.7, 25.1, 25.6, 26.3, 27.5, 28.5, 28.8, 29.3, 31.4, および32.4、を含んでなるX線粉末回折を有する、請求項22に記載の結晶形。

【図1】
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【公表番号】特表2010−533203(P2010−533203A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516274(P2010−516274)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/069813
【国際公開番号】WO2009/009740
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(502129656)ケモセントリックス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】