Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
炎症性疾患状態の処理のための併用治療療法としてのカルシトニンの使用
説明

炎症性疾患状態の処理のための併用治療療法としてのカルシトニンの使用

【課題】炎症性病変および関節炎の治療において使用されるプレドニゾロン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、ブデソニド、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、およびフルドロコルチゾンプレドニゾロンなどのグルココルチコイド(GC)の副作用を軽減するための方法および組成物の提供。
【解決手段】グルココルチコイドとともにカルシトニンの併用および組成物。さらに抗リウマチ薬、または抗体の併用および組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、炎症性病変および関節炎の処理のための併用療法としてのカルシトニンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
グルココルチコイド薬(GC)は、複数の炎症性病変の治療に使用されている強力な免疫抑制薬かつ抗炎症薬である。GCを使用する長期療法は、関節リウマチおよび他のリウマチ性疾患の症状を管理するためにしばしば必要とされる。最近の証拠からは、GCが、よく知られた抗炎症作用に加えて疾患修飾作用を有する可能性があることがわかっている。しかしながら、GCによる長期病変の治療処理は、視床下部-下垂体-副腎系、心血管系、ならびに脂肪および骨の代謝を含む、一連の望ましくない副作用に関連することがしばしばある。特に、続発性骨粗鬆症は、関節リウマチ患者を対象とした長期GC療法と関連する主要な問題の1つである。骨組織細胞に対する直接的な作用、ならびにサイトカインおよび成長因子の産生の調節を含む複数の機構は、GC誘発性骨量減少と関連づけられている。
【0003】
カルシトニン(CTまたはCt)は、その抗破骨活性が最もよく知られたペプチドホルモンであり、かつ今日まで研究された大半の種において同定された相同体を有するタンパク質ファミリーの成員である。カルシトニン(Ct)は、そのカルシウム低下作用、および骨吸収阻害が主に知られている32アミノ酸残基のペプチドホルモンである。カルシトニンは、骨粗鬆症および他の骨障害関連疾患の治療において治療的に使用されている。サケCt(sCt)は、ヒト疾患状態の治療に最大の薬学的活性を有することが報告されている一方で、ヒトのホルモン(hCt)は治療的状況での投与時に極めて効力が弱い。結果としてサケカルシトニン(sCt)が、今日の治療に応用される主なCtである。しかしながら、sCtとhCtの間には50%の配列相同性しかなく、これがsCt投与時のヒトに見られる免疫原性反応の要因となっている。
【0004】
関節リウマチの療法の現状は、ステロイド剤および非ステロイド剤への依存を低減させる、より新しい生物学的療法の使用によって劇的に改善されている。このような療法に最も広く使用されているものは、例えば、TNF-α受容体が免疫グロブリンに結合されたコンストラクトであるEnbrel(商標)である。かなり有効ではあるが、この新しい生物学的治療は、症状を完全に抑制できず、有意に修飾するのみである。さらに、このような新しい薬剤は非常に高価である。
【0005】
以上の理由からグルココルチコイド(GC)が、関節リウマチを含むあらゆる型の慢性炎症に対する強力な免疫抑制薬および抗炎症薬として現在でも広く使用されている。しかしながら上述したように、GCによる長期療法は続発性骨粗鬆症と関連するので、GCの有する有益な抗炎症作用は、骨侵食に対する有害作用によって損なわれる恐れがある。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明の第1の局面では、炎症性の疾患または状態の治療用の薬物の調製におけるカルシトニンの使用が提供される。
【0007】
カルシトニンは、単離された天然のホルモン、または例えば組換え体供給源に由来する合成物の両方を含む、任意の都合のよい供給源に由来する場合がある。カルシトニンペプチドは、ヒト、サケ、ブタ、ウシ、ウナギ、もしくはニワトリのカルシトニン、またはそれらの活性断片もしくは誘導体からなる群より選択され得る。カルシトニンペプチドは、以下の供給源に由来するペプチドを含むが、それらに限定されない:

【0008】
本発明で使用されるカルシトニンは、カルシトニンペプチドの変種、断片、および/または誘導体も含む。
【0009】
本発明の変種の例は、1つもしくは複数のアミノ酸の、他の1つもしくは複数のアミノ酸との置換は別として、上記のカルシトニンペプチドを含む融合タンパク質である。当業者であれば、さまざまなアミノ酸が類似の特性を有することを承知している。物質の、このような1つもしくは複数のアミノ酸はしばしば、対象物質の所望の活性が除去されることなく、他の1つもしくは複数のアミノ酸と置換される場合がある。
【0010】
したがって、アミノ酸であるグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンは、相互にしばしば置換され得る(脂肪族側鎖を有するアミノ酸)。このような可能な置換のなかでもグリシンおよびアラニンが、(比較的短い側鎖を有するために)相互の置換に使用されることが好ましく、ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシンが、(疎水性である、より大きな脂肪族側鎖を有するために)相互の置換に使用される。しばしば相互に置換される他のアミノ酸は以下を含む:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン(芳香族側鎖を有するアミノ酸);リジン、アルギニン、およびヒスチジン(塩基性側鎖を有するアミノ酸);アスパラギン酸およびグルタミン酸(酸性側鎖を有するアミノ酸);アスパラギンおよびグルタミン(アミド側鎖を有するアミノ酸);ならびにシステインおよびメチオニン(硫黄含有側鎖を有するアミノ酸)。
【0011】
この性質の置換はしばしば、「保存的な」アミノ酸置換、または「半保存的な」アミノ酸置換と呼ばれる。
【0012】
アミノ酸の欠失または挿入も、上述の融合タンパク質のアミノ酸配列に対して可能である。したがって例えば、ポリペプチドの活性に実質的な作用を有さないか、または少なくともこのような活性を除去しないアミノ酸を欠失させることが可能である。このような欠失は、ポリペプチドの全体の長さおよび分子量が、活性を保持しながら減じる場合があるために有利な場合がある。これは、特定の目的に必要とされるポリペプチド量の減少、例えば用量レベルの低減を可能とする。
【0013】
上記の融合タンパク質の配列に対するアミノ酸の挿入も可能である。これは、本発明の物質の特性を変化させるため(例えば、融合タンパク質に関して既に説明したように同定、精製、または発現を支援するため)になされる場合がある。
【0014】
上記の配列に対するアミノ酸の変化は任意の適切な手法を用いることで、例えば部位特異的変異導入、または固相合成法を用いることで可能である。
【0015】
本発明の範囲に含まれるアミノ酸の置換または挿入が、天然または非天然のアミノ酸を使用して可能なことを理解されたい。使用されるアミノ酸が天然のアミノ酸か合成のアミノ酸かにかかわらず、L-アミノ酸のみが存在することが好ましい。
【0016】
いくつかの好ましい置換は、塩基性および/または酸性のアミノ酸残基の、中性のアミノ酸残基での置換である場合がある。他の置換は、C末端残基の、ホモセリン(Hse)との置換の場合がある。
【0017】
誘導体の例は、ペプチド内におけるシステイン残基間の分子内ジスルフィド結合の形成、または環状すなわちリング状の構造を形成させるための他の修飾を含むが、それらに限定されない。リン酸化、グリコシル化、N末端のアミド化などの他の翻訳後修飾も可能である。グリコシル化は、N-アセチル-D-グルコサミン部分などの糖残基の付加の場合がある。
【0018】
カルシトニンペプチドの断片は、アミノ酸残基1〜9の欠失によって短縮されたカルシトニンペプチドを含む。しかしながら、少なくとも残基17〜21がカルシトニン断片中に存在することが好ましい場合がある。
【0019】
残基1〜9の欠失によって切断された断片の配列を以下に示す:

【0020】
本発明の使用に好ましいペプチドは、天然の供給源もしくは組換え供給源のいずれかに由来するサケカルシトニン(sCt)、ウナギカルシトニン(eCt)、およびヒトカルシトニン(hCt)、またはそれらの活性断片、例えば上述した(1〜9)断片である。
【0021】
炎症性の疾患または状態の治療は、疾患の予防ならびに治療を含む場合がある。治療は、ヒトまたは非ヒトを対象とする場合がある。
【0022】
炎症性の疾患または状態は、関節リウマチ(RA)、若年性関節リウマチ(JRA)、変形性関節症、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎(AS)、エリテマトーデス、多発性硬化症(MS)、喘息、免疫抑制療法(例えば移植手術後)を含む場合がある。
【0023】
本発明のこの局面で使用されるカルシトニンは、任意の都合良い経路による使用のために製剤化可能である。薬物は一般に、通常は薬学的に許容される担体を含む無菌性の薬学的組成物の一部として供給される。この薬学的組成物は、(患者への所望の投与法に依存して)任意の適切な形状をとりうる。
【0024】
それは単位投与剤形で提供されてもよく、一般に密封容器に収納された状態で提供され、およびキットのパーツとして提供されてもよい。このようなキットは通常は、使用のための指示書を含む(が必ずしも常に含むわけではない)。キットは、複数の単位投与剤形を含む場合がある。
【0025】
薬学的組成物は、任意の適切な経路による投与、例えば経口(口腔もしくは舌下を含む)経路、直腸内経路、鼻内経路、局所(口腔、舌下、もしくは経皮を含む)経路、膣内経路、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、もしくは皮内を含む)経路による投与に適合させることができる。このような組成物は、薬学分野で既知の任意の方法で、例えば活性成分を担体または賦形剤と無菌条件下で混合することで調製可能である。
【0026】
経口投与に適合する薬学的組成物は、カプセルや錠剤などの個別の単位として;粉末剤または顆粒剤として;溶液、シロップ、または懸濁液として(水性もしくは非水性の液体中;または食用可能な泡もしくはホイップとして;または乳濁液として)存在する場合がある。
【0027】
錠剤または硬ゼラチンカプセルに適切な賦形剤は、乳糖、トウモロコシデンプンまたはその誘導体、ステアリン酸またはその塩を含む。
【0028】
軟ゼラチンカプセルに使用される適切な賦形剤は、例えば植物油、ワックス、脂肪、半固体、または液体ポリオールなどを含む。
【0029】
溶液およびシロップの調製では、使用可能な賦形剤は、例えば水、ポリオール、および糖を含む。懸濁物の調製時は、水中油型または油中水型の懸濁物を提供するためにオイル(例えば植物油)を使用することができる。
【0030】
経皮投与に適合する薬学的組成物は、レシピエントの表皮と長期間にわたって密接な接触状態が維持されることが意図された個別のパッチとして提供され得る。例えば活性成分は、Pharmaceutical Research, 3(6): 318 (1986)に一般的に記載されているように、パッチからイオン浸透によって送達されてもよい。
【0031】
局所投与に適合する薬学的組成物は、軟膏、クリーム、懸濁物、ローション、粉末剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、またはオイルとして製剤化され得る。眼または他の外部組織、例えば口や皮膚の感染の場合は、組成物は好ましくは、外用の軟膏またはクリームとして塗布される。軟膏中に製剤化された活性成分は、パラフィン性または水混和性のいずれかの軟膏基剤とともに使用することができる。または、活性成分を水中油型のクリーム基剤、または油中水型の基剤とともにクリーム中に製剤化することができる。眼への局所投与に適合する薬学的組成物は、活性成分が適切な担体、特に水性溶媒中に溶解されているか、または懸濁されている点眼液を含む。口への局所投与に適合する薬学的組成物は、ロゼンジ、香錠、および洗口液を含む。
【0032】
直腸内投与に適合する薬学的組成物は、坐剤または浣腸剤として提供され得る。
【0033】
担体が固体である、経鼻投与に適合する薬学的組成物は、かぎタバコを吸う様式で、すなわち鼻を密着させた粉末収納容器から鼻道を通して速やかに吸い込むことで投与される、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗い粉末を含む。鼻内スプレーとして、または点鼻薬として投与される、担体が液体である適切な組成物は、活性成分の水性または油性の溶液を含む。
【0034】
吸入による投与に適合する薬学的組成物は、定量吸入式の加圧エアロゾル、ネブライザー、または吸入器のさまざまなタイプの手段によって製作可能な微細粒子のダストまたはミストを含む。
【0035】
膣内投与に適合する薬学的組成物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー剤として提供され得る。
【0036】
非経口的投与に適合する薬学的組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を、対象レシピエントの血液と実質的に等張とする溶質;ならびに懸濁剤および濃化剤を含む場合のある水性および非水性の無菌性の懸濁液を含む場合のある、水性および非水性の無菌性の注射液を含む。注射液に使用可能な賦形剤は、例えば水、アルコール、ポリオール、グリセリン、および植物油を含む。組成物は、単位用量または複数回投与用の容器、例えば密封型のアンプルおよびバイアルとして提供可能であり、ならびに無菌性の液体担体、例えば注射用水の、使用直前における添加のみを必要とする凍結乾燥条件で保存可能である。即時調製用の注射液および懸濁液は、無菌性の粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。
【0037】
薬学的組成物は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着臭剤、塩類(本発明の物質自身が薬学的に許容される塩の状態で提供され得る)、緩衝剤、コーティング剤、または抗酸化剤を含む場合がある。これらは、本発明の物質に加えて治療的活性剤を含む場合もある。
【0038】
本発明の物質の投与量は、治療対象となる疾患または障害、治療対象となる個体の年齢および状態などに依存して、広い範囲を変動する場合があり、ならびに最終的には医師が、使用される適切な投与量を決定する。
【0039】
投与は、適切であれば何回でも反復可能である。副作用が生じる場合は、投与量および/または投与頻度を一般的な臨床的手法に従って減じることができる。
【0040】
したがって、本発明のこの局面の態様は、対象への治療的有効量のカルシトニンの、それを必要とする対象への投与を含む、炎症性の疾患または状態の治療法に拡張される。
【0041】
本発明の第2の局面では、炎症性の疾患または状態の治療用の薬物の調製時におけるカルシトニン、グルココルチコイドの使用が提供される。
【0042】
グルココルチコイドは、プレドニゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、ブデソニド、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、またはフルドロコルチゾンの場合がある。好ましいグルココルチコイドは、プレドニゾロンの場合がある。
【0043】
本発明のこの局面の利点は、グルココルチコイド用量の低減(したがって続発性骨粗鬆症の作用の軽減)が可能となることである。カルシトニンは、グルココルチコイド誘発性骨量減少の機能性アンタゴニストとして有効に作用する場合がある。炎症性の疾患または状態の治療においてカルシトニンとグルココルチコイドを併用すると、グルココルチコイドのみを使用する従来の治療を上回る相乗効果が得られる。
【0044】
したがって、本発明のこの局面の態様は、対象への治療的有効量のカルシトニンおよびグルココルチコイドの、それを必要とする対象への投与を含む、炎症性の疾患または状態の治療法に拡張される。
【0045】
したがって、本発明のこの局面は、それを必要とする対象への、個別投与、同時投与、または連続投与用のカルシトニンおよびグルココルチコイドを含む、使用のための指示書を任意で含むパーツのキットにも拡大される。
【0046】
本発明の第3の局面では、薬物が抗リウマチ薬をさらに含む、本発明の第1の局面または第2の局面に従う使用が提供される。
【0047】
抗リウマチ薬は、メトトレキセートまたはスルファサラジンの場合がある。
【0048】
したがって、本発明のこの局面の態様は、対象への治療的有効量のカルシトニン、グルココルチコイド、および抗リウマチ薬の、それを必要とする対象への投与を含む、炎症性の疾患または状態の治療法に拡張される。
【0049】
したがって、本発明のこの局面は、それを必要とする対象への、個別投与、同時投与、または連続投与用のカルシトニン、グルココルチコイド、および抗リウマチ薬を含む、使用のための指示書を任意で含むパーツのキットにも拡張される。
【0050】
本発明の第4の局面では、薬物が抗体をさらに含む、本発明の第1の局面または第2の局面に従う使用が提供される。
【0051】
抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルの場合がある。抗体はヒトの抗体か、または非ヒト供給源に由来する抗体の場合がある。ヒト化抗体または完全ヒト抗体が、治療対象がヒトである本発明の態様では好ましい。
【0052】
ポリクローナル抗体は、適切なハプテンを動物に注入時に、適切な動物宿主(例えばマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、またはサル)におけるその産生を刺激することで作製できる。必要であれば、本発明の物質とともにアジュバントを投与することができる。次いで、抗体を、本発明の物質に対する結合によって精製することができる。
【0053】
適切にはハプテンは、例えばTNF受容体(TNF-R)などの、炎症性の疾患または状態の発症または進行と関連する物質である。
【0054】
モノクローナル抗体はハイブリドーマから産生され得る。モノクローナル抗体は、骨髄腫細胞と、所望の抗体を産生する脾臓細胞を融合させて、不死化細胞株を作ることで形成可能である。これは、KohlerおよびMilsteinによる周知の手法である(Nature 256 52-55 (1975))。特定のタンパク質と結合するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を作製する手法は現在、当技術分野で十分に開発されている。作製法については、免疫学の標準的な教科書で、例えばRoitt et al, Immunology、第2版(1989), Churchill Livingstone, Londonで論じられている。または、ファージディスプレイ法を使用することもできる(McCafferty et al., Nature 348: 552-554 (1990);およびWO 92/01047に記載の通り)。
【0055】
抗体全体に加えて、抗体という表現は、ハプテンに結合可能な抗体の一部分にも拡張される。したがって本発明は、抗体断片および合成コンストラクトを含む。抗体断片および合成コンストラクトの例は、Dougall et al Tibtech 12 372-379 (1994)に記載されている。
【0056】
抗体断片は例えば、Fab、F(ab')2、およびFv断片(Roitt et al[前記]を参照)を含む。Fv断片は、1本鎖Fv(scFv)分子、1本鎖抗体断片(scAb)、または二価性もしくは二重特異性の場合がある、軽(VL)鎖可変領域と連結された重(VH)鎖可変領域を含む二重特異性抗体(diabody)として知られる合成コンストラクトを産生するように修飾可能である。したがって、このような断片は、分子の安定性に寄与する、VH領域とVL領域を共有結合で連結するペプチドリンカーを含む場合がある。VHドメインおよびVLドメインの、より小型のペプチド断片を使用することもできる。
【0057】
他の合成コンストラクトにはCDRペプチドがある。CDRペプチドは、抗原結合決定基を含む合成ペプチドである。ペプチド模倣物を使用することもできる。これらの分子は通常は立体配置的に、CDRループの構造を模倣し、および抗原相互作用性の側鎖を含む有機環に制限される。
【0058】
合成コンストラクトにはキメラ分子も含まれる。したがって例えば、ヒト化(もしくは霊長類化)抗体、またはその誘導体は本発明の範囲に含まれる。ヒト化抗体の例は、齧歯類の超可変領域を除いてヒトのフレームワーク領域を有する抗体である。合成コンストラクトは、抗原結合のほかにいくつかの望ましい性質を有する分子を提供する、共有結合で連結された部分を含む分子も含む。例えば、このような部分は、標識(例えば蛍光標識もしくは放射性標識)、または薬学的に活性のある薬剤の場合がある。
【0059】
好ましい態様では、抗体はエタネルセプトである。エタネルセプト(ENBREL(登録商標))は、ヒトIgG1のFc部分に連結されたヒト75 キロダルトン(p75)腫瘍壊死因子受容体(TNFR)の細胞外リガンド-結合部分からなる二量体の融合タンパク質である。エタネルセプトのFc成分は、CH2ドメイン、CH3ドメイン、およびヒンジ領域を含むが、IgG1のCH1ドメインは含まない。エタネルセプトは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)哺乳動物細胞発現系を使用する組換えDNA法で作製される。これは934アミノ酸からなり、約150キロダルトンの見かけの分子量を有する。
【0060】
エタネルセプトについては、EP 939121、EP 418014、EP 471701、EP 464533、EP 1132471、EP 417563、EP 620739、EP 670730、EP 1239043、WO 91/03553、WO 94/06476、WO 93/19777、およびUS 5605690に記載されている。
【0061】
したがって、本発明のこの局面における態様は、対象への治療的有効量のカルシトニン、グルココルチコイド、および抗体の、それを必要とする対象への投与を含む、炎症性の疾患または状態の治療法に拡張される。
【0062】
したがって、本発明のこの局面は、それを必要とする対象への、個別投与、同時投与、または連続投与用の抗体のカルシトニン、グルココルチコイドを含む、使用のための指示書を任意で含むパーツのキットにも拡張される。
【0063】
本発明の好ましい態様では、カルシトニンがサケカルシトニンまたはウナギカルシトニンであり、および薬物が、関節リウマチの治療用のグルココルチコイド、適切にはプレドニゾロンをさらに含む、炎症性の疾患または状態の治療用の薬剤の調製におけるカルシトニンの上述の使用が提供される。
【0064】
したがって本発明は、抗炎症作用が現在まで認識されていなかったカルシトニンの投与および活用を提供する。カルシトニンは、単剤としては抗炎症性を有するが、グルココルチコイドなどの他の抗炎症薬を併用すると、さらにより劇的に有効性を発揮する。カルシトニンはプレドニゾロンと相乗的に作用する。後者の作用は、プレドニゾロンの必要用量を少なくとも5倍低減させるのに十分に強いことから、高用量ステロイドの有害な副作用(例えばグルココルチコイド(GC)誘発性骨粗鬆症)が潜在的に避けられる。
【0065】
以下の手順で、カルシトニンを関節リウマチの動物モデルを対象に、本モデルにおける標準的な治療である、プレドニゾロンを併用投与する試験を行った。カルシトニンに注目したのは、重度の関節リウマチと関連する、関節周囲骨における破骨性吸収の増加を低減させるためである。しかしながら意外なことに、カルシトニンは本モデルでプレドニゾロンと同時投与時に、特にカルシトニンが低用量プレドニゾロンによる抗炎症作用を増強する著明な抗炎症作用を有することがわかった。
【0066】
本発明の第2の局面およびその後の局面に好ましい特徴は、必要な変更を加えた第1の局面と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】CIAと足の腫脹(関節の損傷と関連する身体症状)の関係を示す。
【図2】体重が治療に及ぼす作用を示す。
【図3】臨床スコアを示す。
【図4】さまざまな群における疾患発症率の程度を示す。
【図5】図1と同じデータであり、CT群およびPred+CT群のみを示す。
【図6】図3と同じデータであり、CT群およびPred+CT群のみを示す。
【図7】カルシトニン単独時の抗炎症活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
実施例
本発明を、本発明を制限することが制限されない以下の実施例を参照することのみで例示することで詳しく説明する。実施例では、以下のいくつかの図面を参照する:
図1は、CIAと足の腫脹(関節の損傷と関連する身体症状)の関係を示す。
図2は、体重が治療に及ぼす作用を示す。
図3は、臨床スコアを示す。
図4は、さまざまな群における疾患発症率の程度を示す。
図5および図6は、図1および図3と同じデータであり、CT群およびPred+CT群のみを示す。
図7は、カルシトニン単独時の抗炎症活性を示す。
【0069】
実験1:治療プロトコルが、実験的に誘発された関節炎に及ぼす影響を調べる試験
コラーゲンII誘発性関節炎(CIA)。雌のルイスラット(体重150±20 g;Harlan UK Ltd Bicester, Oxfordshire, England)に、標準的な固形飼料ペレットを与え、水を自由に飲ませ、12時間の明暗周期で飼育した。動物の扱いは、Animals (Scientific Procedures) Act、1986年の付則に準じて内務省の許可を得て実施した。ウシ鼻コラーゲンII(4 mg/ml;Sigma-Aldrich Ltd, Poole, UK)を酢酸(0.01 M)に溶解後に、同容量の氷冷フロインド不完全アジュバント(Sigma-Aldrich)とともに乳化した。0日目にラットをハロタンで麻酔し、尾の基部の毛を剃って、コラーゲンII/アジュバント懸濁物を皮内に注射した(ラット1匹につき400 μgのコラーゲンII)。関節炎の最初の徴候は11日目と13日目の間に認められ、最大の炎症は18〜21日目に観察された。
【0070】
CIA誘発性炎症は、後肢の足根関節および足蹠に限局的であった(重症例では指にも確認)。後肢の足首を臨床的に、0(炎症なし)〜3(足首、足蹠、および指における重度の炎症)の任意の尺度で評価した。加えて0〜18日目の間に、後肢の容積を足容積測定装置(plethysmometer)(Ugo Basile, Milan, Italy)で測定し、値を平均化して各個体の炎症の尺度を得た。
【0071】
サケCTを、0.1% BSAを含むPBSに溶解し、ラット1匹につき2μg/kgの用量で毎日与えた。プレドニゾロン(プレドニゾロン21-ヘミコハク酸、ナトリウム塩)を、0.1% BSAを含むPBSに溶解し、これを腹腔内に0.6 mg/kgおよび3 mg/kg(1.2 μmol/kgおよび6.2 μmol/kgに対応)の用量で単独で、またはCTとともに投与した。対照投与では、0.1% BSAを含むPBSを使用した。
【0072】
図1は、CIAが、足の腫脹(関節の損傷と関連する身体症状)の顕著な増加を特徴とすることを示す。CT(または低用量のプレドニゾロン(Pred)の併用)を投与しても、足の腫脹に変化は認められなかった。しかしながら、CT+低用量プレドニゾロンの組合わせでは、足の腫脹が顕著に減弱した(青のひし形)。この効果は、全抗炎症用量のGCの使用時には認められなかった。図1に示した効果は、個体の健康状態の変化に対して二次的ではなかった。というのは体重が、異なる投与時に変わらなかったからである(図2)。図3は、足の腫脹の変化が、臨床スコアの変化も反映していることを示す。最後に図4は、異なる群における疾患発症率の規模を示す。この場合も、CT+低用量プレドニゾロンの保護作用は顕著であった。これら全ての図において、値は、一群につきn=10匹のラットの平均±s.e.を意味する。0.05未満のP値に対する統計的な差は、高用量プレドニゾロン(CTありまたはなし)投与群と、CT+低用量プレドニゾロン投与群(青のひし形)の2群で得られた。図5および図6は、図1および図3と同じデータであり、CT群およびPred+CT群のみを示す。
【0073】
過去に実施された実験では、ラットへのカルシトニンの投与(0.5μg/匹)によって、それ単独で軽度の抗炎症作用が認められた(図7参照)。
【0074】
結論
これらの結果から、カルシトニンとGCの併用投与が、コラーゲン誘発性関節炎モデルにおいて抗炎症特性を有すること、および有効性を発揮するGC用量の低減が可能なことがわかる。この用量のCTによって生じる抗炎症作用が、関節炎反応の5〜20%を阻害することも重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性の疾患または状態の治療用の薬物の調製における、カルシトニンおよびグルココルチコイドの使用。
【請求項2】
グルココルチコイドが、プレドニゾロン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、ブデソニド、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、およびフルドロコルチゾンプレドニゾロンからなる群より選択される、請求項1記載の使用。
【請求項3】
対象への治療的有効量のカルシトニンおよびグルココルチコイドの、それを必要とする対象への投与を含む、炎症性の疾患または状態の治療法。
【請求項4】
それを必要とする対象への、個別投与、同時投与、または連続投与用のカルシトニンおよびグルココルチコイドを含むパーツのキット。
【請求項5】
薬物が抗リウマチ薬をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の使用。
【請求項6】
抗リウマチ薬がメトトレキセートである、請求項5記載の使用。
【請求項7】
対象への治療的有効量のカルシトニン、グルココルチコイド、および抗リウマチ薬の、それを必要とする対象への投与を含む、炎症性の疾患または状態の治療法。
【請求項8】
それを必要とする対象への、個別投与、同時投与、または連続投与用のカルシトニン、グルココルチコイド、および抗リウマチ薬を含むパーツのキット。
【請求項9】
薬物が、抗体、またはその断片もしくは誘導体をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の使用。
【請求項10】
抗体がTNF受容体(TNF-R)に対して作製される、請求項9記載の使用。
【請求項11】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項9または請求項10記載の使用。
【請求項12】
モノクローナル抗体がモノクローナル抗体融合タンパク質である、請求項11記載の使用。
【請求項13】
モノクローナル抗体融合タンパク質がエタネルセプトである、請求項12記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−32360(P2013−32360A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−201476(P2012−201476)
【出願日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【分割の表示】特願2008−503594(P2008−503594)の分割
【原出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(501008923)クイーン メアリー アンド ウェストフィールド カレッジ (14)
【氏名又は名称原語表記】Queen Mary and Westfield College
【住所又は居所原語表記】Mile End Road,London,U.K.
【Fターム(参考)】