説明

炭化水素吸着燃焼触媒

【課題】 高いコールドHC浄化性能を発揮するとともに、定常運転時のHC、COおよびNOxの三成分に対する浄化性能を高める炭化水素吸着燃焼触媒を提供する。
【解決手段】内燃機関の排気系に設置の三元触媒の下流に配置され、機関の始動時に排出される炭化水素を吸着燃焼浄化する触媒であって、触媒基材に担持された、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)を所定の割合でゼオライトに担持した炭化水素吸着層を第1層、その上に形成された、触媒担体としてセリア・アルミナ複合酸化物単独系、またはこれとセリア・ジルコニア複合酸化物に触媒成分としてPdおよび白金(Pt)を担持した炭化水素浄化層を第2層、さらに前記触媒担体に触媒成分としてロジウム(Rh)およびPtを担持した三元触媒層を第3層として被覆した三層型構造を有する炭化水素吸着燃焼触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素吸着燃焼触媒に関し、特に自動車用エンジン等の内燃機関の排ガス中に含まれる炭化水素類を吸着、燃焼、浄化するためのエンジン排気ガス浄化触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の排ガス中には、炭化水素(HC)類として、メタン、エタン、プロパンなどのパラフィン系炭化水素、エチレン、プロピレン、ブテンなどのオレフィン系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが含まれている。従来、このような自動車排ガスを浄化する触媒として、一般に活性アルミナにパラジウム(Pd)、白金(Pt)、およびロジウム(Rh)等の貴金属(PM)成分を担持したものが用いられている。このものは、HC類だけでなく、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)を同時に除去できることから、三元触媒と呼ばれている。この種の三元触媒は、所定温度以上の温度において良好な触媒浄化性能を示す。
【0003】
通常、自動車エンジンから排出されるHCは、エンジン始動直後から1〜2分の間に特に多量に排出される。ところがこの期間、三元触媒の温度は充分な浄化を実現するほど暖まっていないために、HC類を効率的に浄化できないという欠点があった。そこで、三元触媒のこのような欠点を補うため、三元触媒の下流に、吸着剤および燃焼触媒成分を有する吸着燃焼触媒を設置して、三元触媒低温時に排出されるHCを一時的に吸着しておき、この吸着燃焼触媒が高温となった後にHCを脱離すると同時に、燃焼触媒成分によって燃焼分解して除去するHC吸着燃焼触媒が提案されている。
【0004】
このようなHC吸着触媒としては、例えば特許文献1には、ハニカム基材にゼオライト系のHC吸着剤を担持し、それにPd、Pt、Rhなどの貴金属燃焼触媒成分を含浸担持した触媒が、また特許文献2には、下層(ハニカム担体側)にHC吸着能を有するゼオライトを主成分とする吸着層を、および上層(排ガス接触側)にHCを燃焼分解する三元触媒層を設けた積層構造を有する触媒が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、HC吸着層と三元触媒層の間に、主に低温域で作用するPd触媒成分から成る脱離HC燃焼浄化層を設け、CO酸化とNOx還元を受け持つPtおよびRhで構成された、三元触媒層の働きと完全に機能を分離し、これにより、Pd自身の熱劣化を抑制するとともに、Pt、RhがPdに覆われ、活性が低下する不具合をなくした触媒が記載されている。この際のHC吸着層に関しては、ゼオライト種の規定のほか、低分子量のHC吸着性の向上を理由に、ゼオライトにPdやAgなどの貴金属を担持することが好ましいが、必須の成分としては記載されていない。
【特許文献1】特開平2−135126号公報
【特許文献2】特開平2−56247号公報
【特許文献3】特開2002−45702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の触媒は、貴金属成分Pd、PtおよびRhが同じ触媒層内に共存し、PdとRhが耐久処理により反応しやすく、一部が合金化や凝集などを起こすため、RhによるNOx還元性能やPdのHC浄化能が損なわれ、結果的に始動時に排出されるHCの浄化性能だけでなく、定常運転時の三元性能も低下する。そのため、例えば特許文献3では、PdとRhが分離担持できるように、吸着層の上の触媒層を二層に分離し、Pd担持のHC浄化層と、Rh、Pt担持の三元触媒層を設けているが、触媒が活性化する温度が高く、HCの燃焼浄化性能が低いという問題があった。また、触媒1個あたりの貴金属使用量が10g以上と高く、低コスト化のために貴金属量の低減が課題であった。また吸着層においては、HCの吸着保持性能をさらに向上させるため、ゼオライト吸着層を改良する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、本願で特許請求される発明は下記のとおりである。
(1) 内燃機関の排気系に設置される三元触媒の下流に配置され、内燃機関の始動時に排出される炭化水素を吸着燃焼浄化する触媒であって、触媒基材に担持された、銀(Ag)、パラジウム(Pd)およびチタン(Ti)を所定の割合でゼオライトに担持した炭化水素吸着層を第1層とし、その上に形成された、触媒担体としてセリア・アルミナ複合酸化物単独系、またはこれとセリア・ジルコニア複合酸化物に触媒成分としてPdおよび白金(Pt)を担持した炭化水素浄化層を第2層とし、さらに前記触媒担体に触媒成分としてロジウム(Rh)およびPtを担持した三元触媒層を第3層として被覆した三層型構造を有することを特徴とする炭化水素吸着燃焼触媒。
(2)前記吸着層のAgとPdの合計担持量が1〜5重量%であって、AgとPdのモル比率がAg/Pd=2〜10の範囲にあることを特徴とする(1)記載の触媒。
【0008】
(3)前記吸着層のTiの、Agに対するモル比率が0.2〜0.5の範囲であることを特徴とする(1)または(2)記載の触媒。
(4)前記吸着層の主成分であるゼオライトが、Si/Al比10以上のベータ型またはモルデナイト型ゼオライトであることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の触媒。
(5)前記第2層および第3層の触媒担体であるセリア・アルミナ複合酸化物(CeO2・Al2O3)中のCe/Alモル比が0.1〜0.5であることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載の触媒。
【0009】
(6)前記第2層および第3層の触媒担体であるセリア・ジルコニア複合酸化物(CeO2・ZrO2)のCe/Zrモル比が0.16〜1.1であることを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記載の触媒。
(7)前記第2層および第3層の触媒担体であるセリア・アルミナ複合酸化物とセリア・ジルコニア複合酸化物の重量比が10:0〜5:5であることを特徴とする(1)ないし(6)のいずれかに記載の触媒。
(8)前記第1層の吸着層の被覆量は50〜200g/Lであることを特徴とする(1)ないし(7)のいずれかに記載の触媒。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば貴金属担持量を半減しても、なお高いコールドHC浄化性能を発揮するとともに、定常運転時のHC、COおよびNOxの三成分に対する浄化性能を高め、触媒の劣化抑制が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、自動車排ガスの処理系統に本発明の炭化水素吸着燃焼触媒を適用した実施例を示す図である。エンジン1の排ガス処理用として設置された三元触媒2の下流に、本発明になるHC吸着燃焼触媒3が配設されている。
【0012】
本発明のHC吸着燃焼触媒3は、図2に示すようにハニカム基材4上に形成されたAg-PdおよびTiを一定の割合でゼオライトに担持した吸着層5(第1層)と、第2層として触媒担体としてセリア・アルミナ複合酸化物単独系、またはセリア・アルミナ複合酸化物とセリア・ジルコニア複合酸化物の混合系に触媒成分PdおよびPtを担持した炭化水素(HC)浄化層6と、さらに第3層として前記触媒担体に触媒成分RhおよびPtを担持した三元触媒層7とを被覆した三層型構造を有する。
【0013】
本発明に用いるHC吸着層のゼオライト種としては、自動車排ガス中の各種HC種に対して吸着能が高いベータ型ゼオライトまたはモルデナイト型ゼオライトが特に適している。また、ゼオライト本来の耐熱性から、どちらのタイプにおいてもSi/2Al比が10以上のハイシリカゼオライトが適切である。HC吸着層中の吸着材の量としてはハニカム基材の容積当たり50〜200g/lが適正であり、それ以上多くてもHC吸着性能に対してはあまり影響しない。
【0014】
HC吸着層のゼオライト中のAgとPdの合計担持量は1〜5重量%であって、AgとPdのモル比率がAg/Pd=2〜10の範囲にあり、またHC吸着材層のゼオライト中のTiは、Agに対するモル比率が0.2〜0.5の範囲であることが望ましい。
本発明による触媒の機能を発揮させるために必要な触媒製造法について以下に説明する。
【0015】
まず、ハニカム基材にゼオライト吸着材をW.C法(ウォッシュコート法)により所定量担持する。その後、AgとPdを所定量含有する溶液(例えば硝酸Pd溶液に硝酸銀を溶解した溶液)を用いて、含浸担持する。溶液でのAgとPdの原子レベルでの接触により、より均一で容易にAgとPdが合金化しやすくなり、高いHC保持能力を発揮することになる。上記Ag-Pd系ゼオライトに対し、さらにTiを所定量含有する溶液(例えばTiO2ゾルを含有する溶液)を含浸担持させる。
【0016】
実験により、このように同時担持した吸着材と、AgとPdを別々に担持した吸着材(最初にAgを担持して後でPdを担持、逆も有り)の保持力を比較すると、前者の同時担持した吸着材のHC保持力が格段に優れていることが判った。
【0017】
上述の製造例では、ハニカムにゼオライト吸着材を担持して、Ag-Pd、Tiを含浸法により同時担持する方法を示したが、予めゼオライト吸着粉末にAg、Pd、Tiを同時担持したものを調製しておき、それをスラリー化してハニカムに担持する方法でもよい。このようにして製造したAg-Pd含有ゼオライト吸着材は、さらに800℃以上で焼成してAg-Pdをゼオライトに添着することが性能安定化の上で好ましい。
【0018】
第2層のHC浄化層および第3層の三元触媒層に用いられる触媒担体は、セリア・アルミナ複合酸化物単独系、またはセリア・アルミナ複合酸化物とセリア・ジルコニア複合酸化物の混合系が用いられる。Ce/Alモル比を0.1〜0.5、特にCe:Alを1:9モル比割合で調製したセリア・アルミナ複合酸化物は、ナノオーダレベルの粒子であるため、比表面積が大きく触媒成分の分散性を高めるには非常に有効で、貴金属担持量を低減することができる。これを単独で担体として用いることはあるが、例えば、エンジン始動時の酸素不足時に脱離HCを燃焼浄化するためには酸素を補ってやる必要があり、その場合にはCeZrOx複合酸化物を混合して用いることも有効である。その場合のCe/Zrモル比は0.16〜1.1が好ましい。また、三元触媒層においても、混合系の担体を用いることができるが、酸素吸蔵放出によりNOx浄化に悪影響を与えることもあるため、その混合系の担体は、セリア・アルミナ複合酸化物の割合を重量比で10:0 〜5:5と高くして用いることが望ましい。
【0019】
本発明では触媒層を敢えて上記第2層と第3層とに分離しているが、このように触媒成分を分離することにより、耐久処理後もPdとRhのシンタリングや合金化を抑制し、それぞれの機能を十分発揮させることができる。
【0020】
さらに、HC浄化層のPdおよびPtは、Pd:Pt重量比=5:1で使用することにより、酸化・還元の雰囲気変化に対し凝集劣化が起こる形態(Pdでは金属、Ptでは酸化物)が異なるため、触媒の劣化が緩和され、HC浄化性能を維持するのに有効である。また、Pd単独では着火温度が高くなりコールドHC浄化には不利となるため、Ptをさらに添加して早期着火を可能にすることができる。
以下、本発明の触媒の調製方法を具体的に説明する。
【実施例】
【0021】
[実施例1]
本発明の触媒の調製には、400cpsi(セル数:300/in2)のコージェライト製ハニカム担体を使用した。まず、シリカ/アルミナ比が480であるベータ(BEA)型ゼオライトの粉末および無機バインダ(日産化学社製アルミナゾル−200)を固形分重量比100:10の割合で混合する。これに、BEA型ゼオライトが全体の35重量%になるように精製水を加えて混練後、磁性ボールミルで粉砕して整粒した。その後、必要に応じて有機バインダ(ポリビニルアルコール)および精製水を添加して粘度を調節し、ウォッシュコート用スラリを調製した。このスラリを、ウォッシュコート法によってハニカム担体の容積に対し180g/Lとなるように塗布して乾燥し、600℃空気中で1時間の焼成処理を施し、第一層のHC吸着材を塗布したハニカムを得た。
【0022】
次に、硝酸Pdと硝酸銀を含む溶液をAg/Pdがモル比で4.5になるように混合し、前記吸着材に含浸担持させた時にゼオライトに対する(Ag+Pd)の担持量が1.88重量%(Ag1.5重量%、Pd 0.33重量%)になるように溶液濃度を調製した。この溶液を吸着材を担持したハニカムに含浸担持した。乾燥後に600℃空気中で1時間の焼成処理を施し、Ag-Pdを添着した後、さらにTi担持量0.33重量%になるようにTiO2ゾルに含浸し、600℃空気中で1時間の焼成処理を施し、HC吸着燃焼触媒の吸着コート層(第1層)を得た。
【0023】
一方、第1層の吸着層の上に積層するHC浄化層(第2層)および三元触媒層(第3層)用のスラリは以下のように調製した。第2層のHC浄化層では、PdおよびPtの触媒担体としてCeO2・Al2O3の複合酸化物(CeAlOxと表記)を用いるが、この担体は、硝酸セリウムおよび水酸化アルミニウムをCe:Al=1:9原子比の割合になるように混合し、自動乳鉢で混錬しながら10時間かけて蒸発乾固した後、乾燥し、500℃×2hで焼成し、60mesh以下に粉砕して得られた触媒担体粉末に、固形分換算(貴金属重量/担体重量×100)で2.14重量%および0.427重量%になるように、硝酸パラジウムとジニトロジアミン白金を所定量水分と合せて混合し、調製した溶液を加え、混練し、自動乳鉢で混ぜながら、蒸発乾固して乾燥し、600℃×1hで焼成して得られる。この担体を無機バインダおよび水とともに湿式粉砕してウォッシュコートスラリとし、第1層の吸着層の上にウォッシュコートし、乾燥、焼成の後、第2層のHC浄化層が得られる。また、三元触媒層(第3層)は、先に調製したCeO2・Al2O3複合酸化物からなる触媒担体に固形分換算で1重量%および0.75重量%になるようジニトロジアミン白金と硝酸ロジウムを所定量を混合して調製した溶液と合わせて混練し、乾燥後600℃×1hで焼成して得られた担体を無機バインダおよび水とともに混合し、湿式粉砕してスラリとし、これを既に第1層および第2層を形成した基材の最外層にウォッシュコートし、乾燥・焼成して得られる。得られた触媒の最終仕様は、吸着層:2.7Ag-0.6Pd-0.6Ti、180g/Lコート、HC浄化層:1.5Pd-0.3Pt/130(CeAlOx)、(単位:g/L)、三元触媒層:0.4Pt-0.3Rh/60(CeAlOx)、(単位:g/L)であった。
このようにして調製したHC吸着燃焼触媒を17mm角×21mmLのサイズに切断して評価サンプルとした。
【0024】
[実施例2]
HC浄化層(第2層)の触媒担体として、CeAlOxおよびCeO2・ZrO2(Ce:Zr=8:2、CeZrOxと表記)を重量比で7:3になるように混合し、PdおよびPtを担持して最終仕様として91g/L:39g/Lとなるように調製した以外は、すべて実施例1と同じ方法で触媒を調製した。これを用いて、HC浄化性能を評価した。
[実施例3]
HC浄化層(第2層)の触媒担体として、CeAlOxおよびCeZrOx(Ce:Zr=8:2)を重量比で9:1になるように混合し、PdおよびPtを担持し、最終仕様として117g/L:13g/Lとなるように調製した以外は、すべて実施例1と同じ方法で触媒を調製し、HC浄化性能を評価した。
【0025】
[比較例1]
HC浄化層の触媒担体として、CeZrOx(Ce:Zr=8:2)のみを用い最終仕様として130g/Lとなるように調製した以外は、すべて実施例1と同じ方法で触媒を調製し、HC浄化性能を評価した。
[比較例2]
HC浄化層の触媒担体として、CeZrOx+La・Al2O3 を用いたこと以外はすべて実施例1と同じ方法で触媒を調製し、HC浄化性能を評価した。
[比較例3]
Pd、Pt、Rhの3成分を同時にCeALOx触媒担体に担持し、単一の触媒層とする以外は実施例1と同様の方法で試料を調製し、HC浄化性能を評価した。
【0026】
[比較例4]
吸着層への金属修飾を単独Agで行うこと以外は、実施例1と同じ方法で試料を調製し、HC浄化性能を評価した。
[比較例5]
HC浄化層に担持する貴金属としてPdのみを選択した以外は、実施例1と同じ方法で試料を調製し、HC浄化性能を評価した。
[比較例6]
金属を担持しないゼオライト吸着材を用い、HC浄化層にはPdのみを担持し、さらにHC浄化層および三元触媒層の触媒担体としてAl2O3を用いること以外は、実施例1と同様の方法で試料を調製し、HC浄化性能を評価した。
【0027】
[試験および評価]
耐久試験方法
実車のエンジン始動時の性能を模擬できる以下の方法で本発明による触媒体の性能を評価した。評価は触媒調製後の初期の状態のもの、およびエンジン耐久後の性能の加速評価方法として、図3に示すように、雰囲気ガスを運転中のリーンとリッチ雰囲気に模擬した2種類のガスを3分交互に切り替え、それぞれ750℃で100時間、および850℃で6時間処理する方法により触媒性能を評価した。表1に耐久処理ガス条件を示す。
【0028】
【表1】

【0029】
触媒性能評価方法
触媒の評価方法は、図4に示すように自動車始動時の排ガスを模擬した表2の炭化水素混合ガスを流速6L/minで室温(約30℃)を保って1分間流通させ、ガス中の炭化水素(HC)を触媒に吸着させた。次いで窒素ガスを6L/minで流通させながら、30℃/minの割合で500℃まで昇温させ、触媒に吸着しているHCの脱離および燃焼量を測定した。
【0030】
【表2】

【0031】
実施例および比較例の触媒性能評価
実施例および比較例における触媒初期および850℃×15h耐久処理後のHC浄化率(投入したHC量に対する、燃焼HC量の比率)の結果を表3にまとめて示した。表3から明らかなように、エンジン耐久後のHC浄化率は、実施例の触媒の方が比較例よりも格段に優れている。
【0032】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の炭化水素吸着燃焼触媒を設けた排ガス浄化装置の一例を示す図。
【図2】本発明の炭化水素吸着燃焼触媒を模式的に示した断面図。
【図3】触媒の耐久処理条件を説明する説明図。
【図4】触媒の吸着脱離評価試験方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0034】
1…エンジン、2…三元触媒、3…HC吸着燃焼触媒、4…ハニカム基材、5…吸着層、6…HC浄化層、7…三元触媒層。















【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気系に設置される三元触媒の下流に配置され、内燃機関の始動時に排出される炭化水素を吸着燃焼浄化する触媒であって、触媒基材に担持された、銀(Ag)、パラジウム(Pd)およびチタン(Ti)を所定の割合でゼオライトに担持した炭化水素吸着層を第1層とし、その上に形成された、触媒担体としてセリア・アルミナ複合酸化物単独系、またはこれとセリア・ジルコニア複合酸化物に触媒成分としてPdおよび白金(Pt)を担持した炭化水素浄化層を第2層とし、さらに前記触媒担体に触媒成分としてロジウム(Rh)およびPtを担持した三元触媒層を第3層として被覆した三層型構造を有することを特徴とする炭化水素吸着燃焼触媒。
【請求項2】
前記吸着層のAgとPdの合計担持量が1〜5重量%であって、AgとPdのモル比率がAg/Pd=2〜10の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項3】
前記吸着層のTiの、Agに対するモル比率が0.2〜0.5の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の触媒。
【請求項4】
前記吸着層の主成分であるゼオライトが、Si/Al比10以上のベータ型またはモルデナイト型ゼオライトであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の触媒。
【請求項5】
前記第2層および第3層の触媒担体であるセリア・アルミナ複合酸化物(CeO2・Al2O3)中のCe/Alモル比が0.1〜0.5であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の触媒。
【請求項6】
前記第2層および第3層の触媒担体であるセリア・ジルコニア複合酸化物(CeO2・ZrO2)のCe/Zrモル比が0.16〜1.1であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の触媒。
【請求項7】
前記第2層および第3層の触媒担体であるセリア・アルミナ複合酸化物とセリア・ジルコニア複合酸化物の重量比が10:0〜5:5であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の触媒。
【請求項8】
前記第1層の吸着層の被覆量は50〜200g/Lであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−167540(P2006−167540A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361345(P2004−361345)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】