説明

炭素繊維の触媒エッチング

本発明は、炭素繊維、特にカーボンナノファイバーをエッチングするための方法、並びに、この方法により得ることができるカーボンナノファイバーおよびそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維、特にカーボンナノファイバーをエッチングするための方法、並びに、この方法により得ることができるカーボンナノファイバーおよびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維、例えばカーボンナノファイバーは、多くの可能性のある用途、例えば伝導性および非常に強い複合体、エネルギー貯蔵体およびコンバーター、センサー、電界放出ディスプレーおよび放射線源、並びにナノサイズ半導体素子および試験点のための有望な材料である(Baughman, R.H.ら、Science 297:787-792 (2002))。別の有望な用途は、カーボンナノファイバーを、触媒として、または不均一触媒用支持体として(de Jong, K.P.およびGeus, J.W.、Catal. Rev.-Sci. Eng. 42:481-510 (2000))、または触媒合成用のナノサイズ反応器として(Nhut, J.M.ら、Appl. Catal. A. 254:345-363 (2003))、使用する触媒反応である。上記用途のために、その表面を化学的または物理的に変性することがしばしば必要になる。例えば、ポリマーマトリックス中のナノファイバーの完全分散および繊維とマトリックスとの間の得られる強い相互作用は、複合体における利点である(Calvert, P.、Nature 399:210-21 (1999))。触媒支持体として使用する場合、外来の原子をナノファイバー上に堆積させなければならない。アンカーポイント、例えば官能基または欠陥が、この目的のために必要になる。これを達成するため、未処理(「as-grown」)ナノファイバーの不活性表面を、変性しなければならない(Xia, W.ら、Chem. Mater. 17:5737-5742 (2005))。センサー分野における使用のために、ナノファイバーに/上に、化学基を結合させること、または特異的認識中心を有するタンパク質を固体化することが必要である。これは、通常、表面官能基または表面欠陥を製造することにより実現される(Dai, H.、Acc. Chem. Res. 35:1035-5742 (2002))。
【0003】
有望な可能性のある用途によって動機付けられ、この10年の間に、カーボンナノファイバーの表面変性および官能化に関する多くの研究が行われてきている。これらの全ての方法の中でも、最も徹底的な研究は、強酸化剤、例えば硝酸、酸素プラズマ、超臨界流体、オゾンなどに通常基づく共有結合表面官能化、および例えば、その後の側鎖延長に関して行われてきた(Banerjee, S.ら、Adv. Mater. 17:17-29 (2005))。これらの酸化法は、通常、表面の酸素含量を高め、これとともに、目に見える物理的変性も、適切なパラメータの選択によって達成することができる。これらの物理的変化は、未知の位置における予測不可能な構造を有する二次元または三次元表面欠陥に限定される。極端な条件、例えば濃硫酸と濃硝酸との混合物のもと、ナノファイバーは、より小さい繊維単位に分割される(Liu, J.ら、Science 280:1253-1256 (1998))。表面欠陥の同定は、カーボンナノファイバーの小さな寸法および曲面のために難問のままである(Ishigami, M.ら、Phys. Rev. Lett. 93:196803/4 (2001))。ここで、走査トンネル顕微鏡(STM)は、非常に有効なツールである(Osvaeth, Z.ら、Phys. Rev. B. 72:045429/1-045429/6 (2005))。Fanおよびその共同研究者らは、H2Seを用いる欠陥感受性酸化を使用して、原子間力顕微鏡(AFM)によって化学的表面欠陥を同定している(Fan, Y.ら、Adv. Mater. 14:130-133 (2002))。Xia, W.ら、Chem. Mater. 17:5737-5742 (2005)において、カーボンナノファイバーの表面の変性は、鉄担持(laden)カーボンナノファイバー上へのシクロヘキサンの堆積によって行われている。しかしながら、これらの二次カーボンナノファイバー(幹および枝から構成される樹状構造)は、官能化されず、および得られる表面変性は、官能性分子を担持させる(loading)ために使用することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題は、現代的な高性能複合体における連続繊維として用いられる、カーボンマイクロファイバー、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)から製造され、およびミリメーターの範囲までの繊維束から構成される炭素繊維に対しても同様に適用される。
【0005】
炭素繊維、例えばカーボンナノファイバーの表面を変性するための数多くの努力に関わらず、表面官能基または表面欠陥は、現在まで、上記方法のいずれかによって、標的様式で導入することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、この局所的エッチング技術によって、表面欠陥を、炭素繊維、例えば多壁カーボンナノファイバー(多壁カーボンナノチューブとして既知、以下、略して「MWNT」または「ナノファイバー」と称する。)上の所定の場所に製造することができる。この場合、エッチングは、水蒸気によるカーボンのガス化に基づく。
【0007】
【数1】

【0008】
ここで、ナノファイバー上に存在するナノサイズ鉄粒子は、ガス化を触媒する。エッチングは、界面で起こり、および鉄粒子が存在する炭素繊維上の場所に限定される。エッチングは、予備処理(鉄の担持、加熱時間、など)のためのパラメータおよび方法パラメータ(反応時間、温度、水の分圧、など)の適切な選択によって容易に制御することができる。このように、球状のエッチングピットを有する炭素繊維を、安価な原料(水および鉄)を使用して、環境に優しい方法で合成することができる。
また、該方法は、水素および一酸化炭素を製造する。これらは、合成ガスの主構成成分である。したがって、本発明は、以下のものを提供する。
(1)炭素繊維表面をエッチングするための方法であって、
(a)酸化による炭素繊維表面の官能化工程と、
(b)官能化表面上への金属粒子の堆積工程と、
(c)水蒸気を用いる処理による表面のエッチング工程と、
(d)酸処理による金属粒子の除去工程と
を含む、方法。
(2)上記(1)に記載の方法により得ることができる、エッチングされた炭素繊維。
(3)複合体、エネルギー貯蔵体における、センサーとしての、吸着材としての、不均一触媒用支持体としての、およびさらなる酸素官能化後の触媒活性材料としての、上記(2)に記載のエッチングされた炭素繊維の使用。
【0009】
本発明の炭素繊維は、カーボンナノファイバーおよびカーボンマイクロファイバーを包含するが、これらに限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の炭素繊維は、不飽和炭化水素化合物の重合により得ることができる構造物である。
方法(1)の第一の好ましい実施態様において、炭素繊維は、カーボンナノファイバーである。これらは、炭素を含んでなり、および例えば、触媒的熱分解によって、炭化水素から製造することができ、並びに、例えばApplied Sciences Inc.(Cedarville、オハイオ、米国)またはBayer MaterialScienceから入手可能である。
このようなカーボンナノファイバーは、通常、50〜500 nm、好ましくは約100 nmの外径、10〜100 nm、好ましくは約50 nmの内径、および10〜60 m2/g、好ましくは20〜40 m2/gの表面積を有する。本発明のエッチング方法の結果として、カーボンナノファイバーの比表面積は、90〜100 m2/gに増大する。
【0011】
方法(1)の第二の好ましい実施態様において、炭素繊維は、マイクロファイバーである。このようなマイクロファイバーは、例えば、炭素を含んでなり、および、例えばポリアクリロニトリルファイバーの熱分解によって製造され、および例えば、Zoltek Companies Inc.(セントルイス、米国)またはToho Tenax Europe GmbHから得ることもできる。これらのマイクロファイバーは、3〜10 μm、好ましくは約6 μmの外径、および1 m2/g未満の表面積を有する。本発明のエッチング方法の結果として、マイクロファイバーの比表面積は、5〜50 m2/gに増大する。
【0012】
本発明の方法の工程(a)において、炭素繊維の表面は、繊維の酸化処理により官能化される。これは、好ましくは、酸化性酸とともに加熱することによって、または酸素プラズマ処理によって、直ちに行うことができる。特に好ましくは、硝酸とともに加熱すること、例えば濃硝酸とともに加熱することが挙げられる。
【0013】
本発明の方法の工程(b)において、金属粒子を、工程(a)で処理された繊維に適用または堆積する。これらの金属粒子は、好ましくは鉄(Fe)、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)の中から選択され、Fe粒子が特に好ましい。また、担持(laden)カーボンナノファイバーの総重量に基づいて、1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%の金属を、この担持(loading)工程に適用することが好ましい。金属粒子の適用/堆積は、好ましくは、特に100〜600℃の温度にて、繊維と、溶解した金属塩またはメタロセン(好ましくはフェロセン)とを接触させ、その後、300〜800℃、好ましくは約500℃の温度にて、水素によって還元することにより行う。
【0014】
本発明の方法の工程(c)において、金属粒子をドープした繊維をエッチングする。これは、本発明にしたがって、ヘリウム雰囲気中の水蒸気で処理することにより行う。ここで、ヘリウム雰囲気の水蒸気含量は、好ましくは0.1〜10体積%、特に好ましくは約1体積%である。ここで、ヘリウム雰囲気は、金属触媒を活性に維持するために、1〜20体積%、好ましくは約10体積%のH2を含有することが好ましい。エッチングは、好ましくは500〜800℃、特に好ましくは600℃を超える温度にて行う。
【0015】
本発明の方法の工程(d)において、金属粒子を除去する。これは、好ましくは酸、特に水性塩酸またはHNO3/H2SO4混合物によって処理することにより達成される。
このようにして得られる炭素繊維は、その後の工程(e)において、所望の使用の官能基として、エッチングされた場所に官能性リガンドを担持することができる。したがって、例えば、触媒としての使用は、この目的に必要とされる金属原子/粒子の担持を必要とする。
【0016】
以下、本発明をカーボンナノファイバーについて説明する。しかしながら、これは、特許の保護範囲を限定しない。
【0017】
典型的なエッチング方法を図1に示す。最初に、MWNT(内径:数十 nm;外径:約100 nm;Applied Sciences Inc.、オハイオ、米国)を、還流下、濃硝酸中で2時間処理し、次いで、フェロセンから鉄を堆積させた。鉄ナノ粒子の堆積および焼結は、Xia, W.ら、Chem. Mater. 17:5737-5742 (2005)中に詳細に記載されている。本発明における鉄担持は、5〜10重量%の範囲を変動し、およびフェロセン前駆体の量を変化させることによって変化させることができる。鉄担持ナノファイバーを還元し、そして水素中で1時間、500℃にて加熱処理した。ヘリウムを、水を充填した飽和器を通過させ(室温)、および、このようにして水蒸気(1体積%)を、反応器(図2)中に導入する。水素(10体積%)を、鉄触媒を活性に維持するために使用した。CO(m/e = 28)の形成およびH2O(m/e = 18)の消費を、オンライン質量分光分析により、600℃を超える試料温度にて観察した。反応温度は、堆積した鉄粒子のサイズと相関する。大きな触媒粒子について、より高い初期温度が必要である。小さい粒子について、不活性化は非常に迅速であり、反応停止をもたらす。主に粒度および反応温度に応じて、鉄触媒を2時間まで活性化することができることが分かった。
【0018】
カーボンナノファイバーの表面からの鉄粒子の除去は、Wue, P.ら、Surf. Interface Anal. 36:497-500(2004)に記載されているように、水性塩酸またはHNO3とH2SO4との混合物によって行うことができる。
【0019】
ナノファイバーの形態を、SEMによって検査した。図4aは、未処理状態のナノファイバーを示す。エッチングされた試料中のナノファイバーの表面に埋め込まれたナノサイズ酸化鉄粒子の存在を観察することができる(図4b)。球状のエッチングピットは、鉄粒子を酸による洗浄によって除去した後、明確に見ることができる(図4c)。図5aに示す透過型電子顕微鏡写真は、エッチング方法に起因する鉄ナノ粒子の埋め込みを示す。表面粗さは、鉄ナノ粒子の洗浄除去後の透過型電子顕微鏡写真が示すように、エッチングにより顕著に増大した(図5b-c)。また、ナノファイバーの壁に対する損傷は、図5dに示す高解像度TEMにおいて見ることができる。球状の穴は、ナノファイバー中へとエッチングされていた。明らかに、外壁が逐次除去されている。
【0020】
短時間にわたるエッチングは、観察される材料特性における感知可能な変化を伴わずに、主に表面欠陥をもたらす。一方、材料特性は、エッチング時間を長くすることにより、顕著に変化し得る。図6は、1時間よりも長くエッチングされたナノファイバーについてのX線回折 (XRD)の結果を示す。未処理ナノファイバーと比較して、シグナル強度は、エッチング後に顕著に低減される。強度を結晶化度と直接的に相関させることは適切ではないが、エッチング後の不規則性の顕著な増大は、高度に再現可能なXRD結果から疑いなく導き出され得る。窒素物理吸着測定法により示すことができるように(図7)、比較的小さなメソ細孔がエッチングにより製造された。エッチングされたナノファイバーの場合、等温線の吸着ブランチと脱着ブランチとの間のヒステリシスが観察され、および数ナノメーターの孔径が推定された(図7)。このような小孔は、実質的に完全な平行壁を有する未処理MWNTにおいて検出できない。結果として、ナノファイバーの比表面積は、約20〜40 m2/gから90〜110 m2/gまで増大する。
【0021】
要約すれば、球状のエッチングピットを有するメソ多孔性MWNTを、環境に優しく、かつ有利な原料(鉄および水)に基づく標的局所エッチング方法で製造することができる、といえる。本発明の方法において、エッチングは、ナノファイバーの表面で起こり、および鉄粒子とナノファイバーとの間の界面に限定される。鉄粒子を含有しないナノファイバー表面の全ての部分は、エッチング方法によって変化しない。方法パラメータの単純な制御および変動は、エッチング方法を極めて柔軟性にする。可能性のある使用は、ポリマー複合体、触媒反応およびバイオセンサーの分野におけるものである。我々は、エッチングピットが堆積したナノサイズ触媒粒子の表面移動性を効果的に低減し、したがって、触媒の不活性化を導く凝集(焼結)が回避されるのを可能にする、と推定する。また、増大した表面粗さが、バイオセンサーにおける機能性タンパク質の固定に有用であること、および顕著に改善された酸素官能化を導くこと、が期待される。
【0022】
本発明を以下の実施例によって説明する。しかしながら、これらの実施例は、請求された主題を決して限定しない。
【実施例】
【0023】
〔実施例1〕
鉄担持ナノファイバー(10重量%;Applied Sciences Inc.、Cedarville、オハイオ、米国から得ることができる)を還元し、そして水素とヘリウムとの混合物(1:1、100 ml min-1 STP)中で1時間、500℃にて熱処理した。10体積%の水素濃度および1体積%の水濃度を有する100 ml min-1 STPの総ガス流を、以下のように製造した:ヘリウム(32.3 ml min-1 STP)を、水(室温)を充填した飽和器を通過させた。水素(10 ml min-1 STP)およびさらなるヘリウム(57.7 ml min-1 STP)を、固定床の上流の反応器中で水含有ヘリウム流と組み合わせた。使用した水素(10体積%)は、鉄触媒を活性に維持するのに役立った。全てのガス流の制御は、オンライン質量分光分析(MS)で行った。水シグナル(m/e = 18)が約30分後に定常になったので、反応器を、20 K min-1の加熱速度で500℃から670℃まで加熱した。CO(m/e = 28)の形成およびH2O(m/e = 18)の消費により質量分光分析的に示されるように、反応は約600℃で始まった。約2時間のさらなる反応時間後、反応器を、ヘリウム下(100 ml min-1 STP)、10 K min-1にて450℃まで冷却した。約30分後に最小水素シグナル(m/e = 2)に到達した後、(50 ml min-1 STP)をヘリウム(50 ml min-1 STP)とともに導入し、酸化により炭素含有堆積物を除去した。酸素シグナル(m/e = 32)の質量分光分析的監視は、炭素堆積物の排除が約5分後に完了したことを示した。反応器を室温まで冷却した。エッチングされた試料(FeOx/CNF)を、攪拌しながら、1M HNO3 を用いて室温にて1時間洗浄した。その後、さらなる特徴付けのために、ろ過し、そして乾燥した。
【0024】
〔実施例2〕
第一工程における鉄担持を5重量%に低減し、および実施例1の全ての他のパラメータを変えない場合、反応時間は、1.5時間である。
【0025】
〔実施例3〕
実施例1の全ての他のパラメータを変えず、第三工程における最大温度を670℃から650℃に低減する場合、反応時間は、1時間である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】エッチング方法における4つの主工程の二次元の図示。ナノファイバーを、濃硝酸を用いて表面上で官能化して酸素原子の数を増大させた。次いで、前駆体としてのフェロセンからの鉄を、気相から堆積させた。その後、エッチングを、ヘリウム中の1体積%の水蒸気を使用して行った。最終的に、金属粒子を、1M 硝酸を用いて洗浄することにより室温にて除去した。
【図2】鉄堆積(a)およびカーボンナノファイバーの水蒸気エッチング(b)用装置の図示。
【図3】オンライン質量分光分析により記録された、水蒸気エッチングの間の水の消費および一酸化炭素の遊離。
【図4】エッチング後のナノファイバーの走査型電子顕微鏡写真:(a)鉄ナノ粒子を有する未処理;(b)1M 硝酸による鉄ナノ粒子の除去後。
【図5】水による670℃でのエッチング後のナノファイバーの透過型電子顕微鏡写真。(a)鉄ナノ粒子を有する未処理;(bおよびc)1M 硝酸を用いる洗浄による鉄ナノ粒子の除去;(d)エッチング方法により損傷したナノファイバーの壁のHR-TEM。
【図6】未処理およびエッチングされたナノファイバーの粉末回折パターン。
【図7】未処理およびエッチングされたナノファイバーについての窒素物理吸着測定法の等温線。挿入グラフは、エッチングされたナノファイバーの細孔半径を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維表面をエッチングするための方法であって、
(a)酸化による炭素繊維表面の官能化工程と、
(b)官能化表面上への金属粒子の堆積工程と、
(c)水蒸気を用いる処理による表面のエッチング工程と、
(d)酸処理による金属粒子の除去工程と
を含む、方法。
【請求項2】
炭素繊維が、カーボンナノファイバーであり、特に、
(i)炭化水素から得ることができ、および/または
(ii)50〜500 nm、好ましくは約100 nmの外径を有し、および/または
(iii)10〜60 m2/g、好ましくは20〜40 m2/gの表面積を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
炭素繊維が、マイクロファイバーであり、特に、
(i)ポリアクリロニトリル(PAN)から、好ましくは熱分解により、得ることができ、および/または
(iv)3〜10 μm、好ましくは約6 μmの外径を有し、および/または
(ii)1 m2/g未満の表面積を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
表面の官能化を、酸化処理により、好ましくは酸化性酸とともに加熱することにより、または酸素プラズマ処理により、特に好ましくは硝酸とともに加熱することにより行う、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
(i)金属粒子が、Fe、CoおよびNiの中から選択され、および好ましくはFeであり、および/または
(ii)金属担持が、担持カーボンナノファイバーの総重量に基づいて、1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%であり、および/または
(iii)金属粒子の堆積を、特に100〜600℃の温度にて、繊維と、溶解した金属塩またはメタロセン、好ましくはフェロセンとを接触させ、その後、300〜800℃、好ましくは約500℃の温度にて、水素で還元することにより行う、
請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
エッチングを、ヘリウム雰囲気中の水蒸気で処理することにより行い、
ここで好ましくは、
(i)ヘリウム雰囲気の水蒸気含量が、0.1〜10体積%、特に好ましくは約1体積%であり、および/または
(ii)エッチングを、500〜800℃、特に好ましくは600℃を超える温度にて行い、および/または
(iii)ヘリウム雰囲気が、金属触媒を活性に維持するために、1〜20体積%、好ましくは約10体積%のH2を含有する、
請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
金属粒子の除去を、酸、特に水性塩酸またはHNO3/H2SO4の混合物によって処理することにより行う、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
エッチングされた炭素繊維が、90〜100 m2/gの比表面積を有するカーボンナノファイバーまたは5〜50 m2/gの比表面積を有するカーボンマイクロファイバーである、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の方法により得ることができる、エッチングされた炭素繊維。
【請求項10】
複合体、エネルギー貯蔵体、センサーにおける、吸着材、不均一触媒用支持体としての、およびさらなる酸素官能化後の触媒活性材料としての、請求項9に記載のエッチングされた炭素繊維の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−526923(P2009−526923A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554757(P2008−554757)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051364
【国際公開番号】WO2007/093582
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(504109610)バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Technology Services GmbH
【Fターム(参考)】