説明

無停電電源装置及び電源装置

【課題】蓄電池の過放電保護が可能でありながら、停電時の電力供給の信頼性を高くすることができる無停電電源装置を提供すること。
【解決手段】UPS10は、交流電力を直流電力に変換する整流器14と、整流器14からの直流電力により充電される電池ユニット36と、停電時に電池ユニット36からの直流電力を交流電力に変換するインバータユニット18とを備える。UPS10には、整流器14から電池ユニット36への充電経路に電磁開閉器40を配置するとともに、電池ユニット36からインバータユニット18への放電経路には回路遮断器34を配置し、電池状態検出回路46により単電池のセル電圧が充電終了閾値を上回ったときには電磁開閉器40を開き、単電池の異常を検出したときには回路遮断器34にトリップ信号を出力して回路遮断器34に遮断動作を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無停電電源装置及び電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
停電等が発生した場合に、商用電源に代わって電力を供給する無停電電源装置などの電源装置が知られている。例えば、無停電電源装置は、通常時において商用電源から供給される電力を蓄電池に蓄えておき、停電時に蓄電池から電力を供給する(例えば、特許文献1)。これによって、無停電電源装置によって電力を供給される外部装置では、停電時においても電力の供給が突然停止してしまうことが防止される。
【0003】
ところで、近年、大電力を供給する産業用途の電源装置においても、鉛蓄電池に代えてリチウムイオン電池等の高性能蓄電池を利用して設備の省スペース化を図ることが試みられている。ところが、この種の蓄電池は過放電・過充電に弱いため、その保護を十分に図らねばならない。このため、蓄電池に電力を蓄える充電経路と、蓄電池に蓄えた電力を放電するための放電経路とを別々に設けてそれぞれの回路に電磁開閉器を設けるとともに、蓄電池の電圧検出回路を設け、電圧検出回路によって蓄電池の電圧異常を検出したときには、それらの電磁開閉器を開く構成とすることが考えられる。
一方、電源装置に限らず一般に大容量の電気機器では、過負荷や回路短絡によって大電流が流れたときに装置や電路を保護するために、出力経路に回路遮断器を設けねばならないという事情がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−252547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、無停電電源装置では、停電時に確実に電力供給を継続できるというように、電源装置では高い信頼性が求められる。しかるに、一般的な電気機器に求められる出力経路の回路遮断器と、蓄電池からの放電経路の電磁開閉器とを併せて設ける構成では、蓄電池から負荷に至る電力経路に2種の機械接点が直列に介在することになる。機械接点は、故障する可能性は無視できないから、それが直列に介在することは、その分、電源装置としての信頼性を低下させることになる。このように、無停電電源装置を含む電源装置では、電力供給の信頼性の向上が望まれている。
【0006】
本発明は、蓄電池の過放電保護が可能でありながら、電力供給の信頼性を高くすることができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される無停電電源装置は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと、前記コンバータからの直流電力により充電される蓄電池と、停電時に前記蓄電池からの直流電力を交流電力に変換するインバータとを備えた無停電電源装置において、前記コンバータから前記蓄電池への充電経路に制御開閉器を配置するとともに、前記蓄電池から前記インバータへの前記充電経路とは異なる放電経路には回路遮断器を配置し、前記蓄電池の状態を検出する電池状態検出回路を設け、前記電池状態検出回路により前記蓄電池の電圧値が所定値を上回ったときには前記制御開閉器を開き、前記蓄電池の異常を検出したときには前記回路遮断器にトリップ信号を出力して前記回路遮断器に遮断動作を行わせることを特徴とする。
【0008】
この無停電電源装置では、電池状態検出回路が蓄電池の過放電異常を検出したときに、回路遮断器に遮断動作を行わせ、放電経路を遮断する。そのため、回路遮断器を用いて蓄電池の過放電保護が可能であり、放電経路に過放電保護のための制御開閉器を必要としない。つまり、放電経路に制御開閉器と回路遮断器とを直列に介在させる必要がない。この無停電電源装置によれば、放電経路に制御開閉器と回路遮断器とが直列に介在する場合に比べて、放電経路において接点故障が発生し、電力供給ができない事象の発生確率を低下させることができ、停電時の電力供給の信頼性を高くすることができる。
【0009】
また、上記の無停電電源装置では、前記回路遮断器は、前記制御開閉器よりも前記蓄電池側において前記充電経路と前記放電経路とを共用する経路に設けられ、前記電池状態検出回路は前記蓄電池の充電異常時にも前記トリップ信号を出力する構成とすることが好ましい。これにより、充電経路に制御開閉器と回路遮断器とが直列に介在し、蓄電池の過充電異常時において制御開閉器に故障が発生した場合でも、回路遮断器を用いて蓄電池の過充電保護が可能であり、装置の安全性を向上させることができる。
【0010】
また、上記の無停電電源装置では、前記電池状態検出回路は、前記蓄電池の電圧値を監視しており、前記電圧値が第1電圧値まで上昇した場合に、前記制御開閉器を開き、前記電圧値が前記第1電圧値よりも高い電圧値に設定されている第2電圧値まで上昇した場合に、前記トリップ信号を出力する構成とすることが好ましい。この無停電電源装置では、回路遮断器に遮断動作を行わせる電圧値が、制御開閉器を開く電圧値よりも高い電圧値に設定されている。そのため、制御開閉器の故障により蓄電池の電圧値が制御開閉器の基準電圧である第1電圧を超えて異常上昇した場合に、回路遮断器を用いて充電経路を遮断することができ、装置の安全性を向上させることができる。
【0011】
この無停電電源装置では、前記インバータを制御するインバータ制御部は前記回路遮断器にトリップ信号を出力する機能を有し、前記電池状態検出回路は前記インバータ制御部に信号を与えて前記トリップ信号を前記回路遮断器に出力させる構成とすることが好ましい。これにより、インバータ制御部が有する回路遮断器のトリップ機能を利用して蓄電池異常時の遮断動作を実行させることができる。
【0012】
この無停電電源装置では、前記電池状態検出回路の異常を検出する回路異常検出機能を更に備え、その回路異常検出機能により前記電池状態検出回路の異常を検出したときには前記回路遮断器の遮断動作を行わせる構成とすることが好ましい。この無停電電源装置では、回路異常検出装置が電池状態検出回路の異常を検出し、異常が検出されたときには、放電経路を遮断する。そのため、電池状態検出回路に異常が発生した場合でも、蓄電池を過放電異常から確実に保護することができる。
【0013】
この無停電電源装置では、前記蓄電池はリチウムイオン二次電池であることが好ましい。上述したように、リチウムイオン二次電池は過放電に弱いため、その保護を十分に図る必要がある。この無停電電源装置では、回路遮断器を用いて蓄電池の過放電保護が可能であり、蓄電池にリチウムイオン二次電池を用いた場合でも、そのリチウムイオン二次電池を過放電異常から確実に保護することができる。また、リチウムイオン二次電池を用いることで、無停電電源装置を小型化することができる。
【0014】
また、本明細書によって開示される電源装置は、コンバータと、前記コンバータからの直流電力により充電される蓄電池と、前記蓄電池からの直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記コンバータから前記蓄電池への充電経路に配置された制御開閉器と、前記蓄電池から前記インバータへの前記充電経路とは異なる放電経路に配置された回路遮断器と、前記蓄電池を監視する電池状態検出回路とを有し、前記電池状態検出回路が、前記蓄電池の電圧値が所定値を上回ったとき前記制御開閉器を開き、前記蓄電池の異常を検出したときには前記回路遮断器に信号を出力して前記回路遮断器に遮断させることを特徴とする。
【0015】
この電源装置では、電池状態検出回路が蓄電池の過放電異常を検出したときに、回路遮断器に遮断させ、放電経路を遮断する。そのため、回路遮断器を用いて蓄電池の過放電保護が可能であり、放電経路に過放電保護のための制御開閉器を必要としない。つまり、放電経路に制御開閉器と回路遮断器とを直列に介在させる必要がない。この電源装置によれば、放電経路に制御開閉器と回路遮断器とが直列に介在する場合に比べて、放電経路において接点故障が発生し、電力供給ができない事象の発生確率を低下させることができ、電力供給の信頼性を高くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蓄電池の過放電保護が可能でありながら、電力供給の信頼性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の無停電電源装置のブロック図
【図2】閾値Kの関係を示す図
【図3】充電処理を示すフローチャート
【図4】過放電異常処理を示すフローチャート
【図5】他の実施形態の無停電電源装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図1ないし図4を用いて説明する。
1.無停電電源装置の構成
図1は、本実施形態における無停電電源装置(以下、UPS)10の構成を示す図である。UPS10は、商用電源に接続される入力端子12と、外部装置に接続される出力端子24を備えており、通常時は商用電源から供給される電力の一部を電池ユニット36に蓄えつつ外部装置に交流電力を供給し、商用電源の停電時には電池ユニット36に蓄えた電力によって外部装置に交流電力を供給する。
【0019】
UPS10では、入力端子12と出力端子24との間において配線16を介して整流器14とインバータユニット18とが直列に接続されている。整流器14は、インバータユニット18よりも入力端子12側に配置されており、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する。インバータユニット18は、インバータ20と表示パネル21とインバータ制御ユニット22を含む。インバータ20は、整流器14又は電池ユニット36から供給される直流電力を交流電力に変換する。表示パネル21は、各種警告を表示する。インバータ制御ユニット22は、インバータ20及び表示パネル21を制御する。インバータ制御ユニット22は、また、後述する回路遮断器34及び電池の充電制御機能及び自身の異常を検出する回路異常検出機能を有する電池状態検出回路46に接続されており、電池状態検出回路46から入力される異常信号に基づいて回路遮断器34の遮断動作を行わせるためのトリップ信号を出力する。また、配線16と並列して、入力端子12と出力端子24の間に、バイパス配線28が接続されている。バイパス配線28には、回路遮断器26及びAC−SW29が設けられている。
【0020】
整流器14とインバータユニット18の間の配線16には、配線32を介して電池ユニット36が接続されている。配線32には、ダイオード30と回路遮断器34が直列に接続されている。ダイオード30は、回路遮断器34よりも配線16側に配置されており、配線32において電池ユニット36から配線16に向かう電流を流し、配線16から電池ユニット36に向かう電流を阻止する向きに配置されている。つまり、配線16、32によって、電池ユニット36からインバータ20への放電経路が構成されている。回路遮断器34は、インバータ制御ユニット22から出力されるトリップ信号に基づいて遮断動作を行う。
【0021】
また、整流器14とインバータユニット18との間の配線16は、制御開閉器としての電磁開閉器40とダイオード44とを直列に介して配線32に接続されている。ダイオード30は、電磁開閉器40よりも配線32側に配置されており、配線16から電池ユニット36に向かう電流を流し、電池ユニット36から配線16向かう電流を阻止する向きに配置されている。これにより、配線16から、電磁開閉器40、ダイオード44を順に介した電池ユニット36への充電経路が構成されている。回路遮断器34は、前記放電経路と前記充電経路とを共用する部分に位置することになる。
【0022】
電池ユニット36には、リチウムイオン二次電池からなる複数の単電池の集合体であり、各単電池のセル電圧および電池温度は電池状態検出回路46に与えられる。電池状態検出回路46は各単電池のセル電圧及び電池温度を監視して充電制御を実行するほか、後述する電池異常及び監視異常を検出してインバータユニット18に信号を出力する。
【0023】
電池状態検出回路46におけるセル電圧の監視閾値は、図2に示す通りで、充電終了閾値Kz、その充電終了閾値Kzよりも高い電圧の異常上昇閾値Ku、充電終了閾値Kzよりも低い放電終了閾値Khおよびさらに低い異常低下閾値Kdとがある。これらのうち、充電終了閾値Kzは電池の充電制御に使用され、放電終了閾値Khは電池の放電制御に使用され、残りの異常上昇閾値Kuおよび異常低下閾値Kdは電池異常に係わる制御に使用される。なお、本実施形態において、電池異常としては、監視した電池温度の少なくとも一つが上限温度Tuを上回ったこと、監視した電池温度の少なくとも一つが下限温度Tdを下回ったことが含まれる。
【0024】
電池状態検出回路46は、さらに、監視異常を検出したときに、インバータユニット18に監視異常信号が出力されるように構成されている。監視異常には、電池状態検出回路46の故障や検出回路用電源52および操作用電源54の故障の他、電池状態検出回路46と電池ユニット36との間の通信異常が含まれる。タッチパネル48は、電池状態検出回路46の表示機器として機能する。
【0025】
電源50は整流器14及びインバータユニット18用、電源52は電池状態検出回路46用の電源である。これらの電源50、52は、配線16及びバイパス配線28に接続されており、配線16を介して供給される直流電力又はバイパス配線28を介して供給される交流電力を整流器14、インバータユニット18、及び電池状態検出回路46に供給する。なお、電磁開閉器40のための操作用電源54が設けられている。
【0026】
2.無停電電源装置の制御
次に、図3または図4を参照して、UPS10の各処理について説明する。
2−1.充電制御
起動処理後、外部装置にインバータ20から交流電力が供給される一方、電池ユニット36には充電経路を介して直流電力が供給され、電池ユニット36がフロート充電される(図3参照)。
【0027】
2−2.放電制御
商用電源からの電力供給が停止(停電)すると、電池ユニット36に蓄えられた直流電力によってインバータ20から外部装置に電力が供給され、停電にも関わらず外部装置の運転を継続することができる。停電から復帰して商用電源からの電力供給が再開されると、整流器14からの直流電力によってインバータ20の運転が継続されると共に、再び電池ユニット36の充電が再開される。
しかし、停電が長時間に及ぶと、電池ユニット36の各単電池のセル電圧が低下して過放電状態に至るおそれがあるが、電池状態検出回路46は、監視したセル電圧の少なくとも一つが放電終了閾値Khを下回ったときに、インバータユニット18に放電終止信号を出力してインバータ20を停止させる。このため、電池ユニット36からの放電を停止することができて電池ユニット36を保護することができる。
【0028】
2−3.電池異常制御
上記の放電制御により、単電池のセル電圧は、最低でも充電終了閾値Kzに保たれるはずである。しかし、例えば停電が極めて長時間に及んで電池状態検出回路46やインバータユニット18における電力消費によって電池ユニット36からの放電が継続したり、インバータユニット18の故障によってインバータ20が停止できずに電池ユニット36からの放電が継続したりすると、単電池のセル電圧が更に低下することも懸念される。そこで、電池状態検出回路46は、監視したセル電圧の少なくとも一つが異常低下閾値Kdを下回ったとき(S12:YES)に、インバータユニット18に電池異常信号を出力する(S14)。すると、インバータ制御ユニット22は回路遮断器34にトリップ信号を出力(S16)し、回路遮断器34の遮断動作を行わせる(S18)。これによって、電池状態検出回路46やインバータユニット18への電力供給が停止され、電池ユニット36が確実に保護される。
【0029】
なお、電池状態検出回路46は、過放電によりセル電圧の異常低下を検出したときだけでなく、過充電によりセル電圧の異常上昇を検出したとき等、単電池の電池異常を検出したときに、インバータユニット18に電池異常信号を出力する。インバータ制御ユニット22は、電池異常信号を受け取ると、回路遮断器34にトリップ信号を出力し、回路遮断器34を遮断して電池ユニット36を保護する。また、電池状態検出回路46は、タッチパネル48に電池異常の要因に応じた警報を表示する。
【0030】
2−4.監視異常制御
また、電池状態検出回路46は、電池ユニット36の状態を検出するだけでなく、前述した監視異常を検出してインバータユニット18に監視異常信号を出力して回路遮断器34の遮断動作を行わせる。これにより、監視システムの異常のために電池ユニット36の保護が不十分になる事態を防止することができる。
【0031】
なお、電池状態検出回路46は、同時に電源54の異常も監視している。電源54の異常に伴い、電磁開閉器40を駆動できないと、電磁開閉器40が閉じた状態に維持された場合には電池ユニット36が過充電となることを防止することができないし、電磁開閉器40が開いた状態に維持された場合には電池ユニット36の充電不足を来たし、停電時の電力を保証できなくなる。
【0032】
そこで、電池状態検出回路46は、電源54の異常を検出すると、インバータユニット18に監視異常信号を出力して回路遮断器34の遮断動作を行わせる。また、電池状態検出回路46は、タッチパネル48に電源54の異常を示す警報を表示する。
【0033】
2−5.通信異常制御
電池状態検出回路46は、電池ユニット36との通信状態も監視している。通信状態の監視には、例えば電池状態検出回路46から電池ユニット36に対して所定の信号を出力し、それに応じた応答信号が戻されることを確認するように構成できる。
【0034】
そして、電池状態検出回路46は、通信異常を検出すると、インバータユニット18に監視異常信号を出力して回路遮断器34の遮断動作を実行させ、タッチパネル48に通信異常を示す警報を表示させる。これにより、通信異常に起因して電池異常時にも関わらず、整流器14及びインバータ20を停止させることができず、電池ユニット36が過放電又は過充電となることを防止することができる。
【0035】
3.本実施形態の効果
本実施形態によれは、以下の効果を奏する。
(1)電池状態検出回路46が単電池の過放電異常によるセル電圧の異常低下を検出したときに、回路遮断器34を遮断して単電池の過放電保護が可能なので、放電経路に過放電保護のための電磁開閉器を必要としない。つまり、放電経路に回路遮断器34と電磁開閉器とを直列に介在させる必要がない。そのため、放電経路に回路遮断器34と電磁開閉器とを直列に介在させる必要がある場合に比べて、放電経路において接点故障が発生し、電力供給ができない事象の発生確率を低下させることができ、停電時の電力供給の信頼性を高くすることができる。
【0036】
(2)充電経路に電磁開閉器40と回路遮断器34とが直列に介在しているので、単電池の過充電異常時において電磁開閉器40に故障が発生した場合でも、回路遮断器34を用いて単電池の過充電保護が可能である。回路遮断器34に遮断動作を行わせる異常上昇閾値Kuを電磁開閉器40に制御信号を出力する充電終了閾値Kzよりも高い電圧値に設定しておくことで、監視した単電池の少なくとも一つが充電終了閾値Kzを超えて異常上昇閾値Kuまで上昇した場合に、回路遮断器34を用いて充電経路を遮断することができ、装置の安全性を向上させることができる。
【0037】
(3)電池状態検出回路46が、電池異常を検出したときだけでなく、監視異常を検出した場合にも放電経路を遮断するので、電池状態検出回路46等に故障が発生した場合でも、単電池を過放電異常から確実に保護することができる。
【0038】
(4)回路遮断器34を用いて単電池の過放電保護が実現されているので、単電池にリチウムイオン二次電池を用いることができる。リチウムイオン二次電池を用いることで、無停電電源装置を小型化することができる。
【0039】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、充電経路に電磁開閉器40と回路遮断器34が直列に接続されている例を用いて説明を行ったが、図5に示すように、充電経路には電磁開閉器40を配置し、放電経路には回路遮断器34を配置する構成としてもよい。この構成でも、回路遮断器34を用いて電池ユニット36の過放電保護を実現できる。
【0040】
(2)上記実施形態では、単電池がリチウムイオン蓄電池である例を用いて説明を行ったが、他の蓄電池であっても良い。
【0041】
(3)上記実施形態では、インバータユニット18が回路遮断器34にトリップ信号を出力する例を用いて説明を行ったが、電池状態検出回路46が回路遮断器34にトリップ信号を出力する構成としても良い。また、インバータユニット18と電池状態検出回路46の両方から回路遮断器34にトリップ信号を出力できる構成としても良い。
【0042】
(4)上記実施形態では、無停電電源装置を用いて説明を行ったが、無停電電源装置に限らず、蓄電池を備えた他の電源装置であっても良い。
【符号の説明】
【0043】
10:UPS、14:整流器、18:インバータユニット、20:インバータ、22:インバータ制御ユニット、34:回路遮断器、36:電池ユニット、40:電磁開閉器、46:電池状態検出回路、Kd:異常低下閾値、Kh:放電終了閾値、Ku:異常上昇閾値、Kz:充電終了閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を直流電力に変換するコンバータと、前記コンバータからの直流電力により充電される蓄電池と、停電時に前記蓄電池からの直流電力を交流電力に変換するインバータとを備えた無停電電源装置において、
前記コンバータから前記蓄電池への充電経路に制御開閉器を配置するとともに、前記蓄電池から前記インバータへの前記充電経路とは異なる放電経路には回路遮断器を配置し、前記蓄電池の状態を検出する電池状態検出回路を設け、前記電池状態検出回路により前記蓄電池の電圧値が所定値を上回ったときには前記制御開閉器を開き、前記蓄電池の異常を検出したときには前記回路遮断器にトリップ信号を出力して前記回路遮断器に遮断動作を行わせることを特徴とする無停電電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無停電電源装置であり、
前記回路遮断器は、前記制御開閉器よりも前記蓄電池側において前記充電経路と前記放電経路とを共用する経路に設けられ、前記電池状態検出回路は前記蓄電池の充電異常時にも前記トリップ信号を出力することを特徴とする無停電電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の無停電電源装置であり、
前記電池状態検出回路は、前記蓄電池の電圧値を監視しており、前記電圧値が第1電圧値まで上昇した場合に、前記制御開閉器を開き、前記電圧値が前記第1電圧値よりも高い電圧値に設定されている第2電圧値まで上昇した場合に、前記トリップ信号を出力することを特徴とする無停電電源装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の無停電電源装置であり、
前記インバータを制御するインバータ制御部は前記回路遮断器にトリップ信号を出力する機能を有し、前記電池状態検出回路は前記インバータ制御部に信号を与えて前記トリップ信号を前記回路遮断器に出力させることを特徴とする無停電電源装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の無停電電源装置であり、
前記電池状態検出回路の異常を検出する回路異常検出機能を更に備え、その回路異常検出機能により前記電池状態検出回路の異常を検出したときには前記回路遮断器の遮断動作を行わせることを特徴とする無停電電源装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の無停電電源装置であり、
前記蓄電池は、リチウムイオン二次電池であることを特徴とする無停電電源装置。
【請求項7】
コンバータと、
前記コンバータからの直流電力により充電される蓄電池と、
前記蓄電池からの直流電力を交流電力に変換するインバータと、
前記コンバータから前記蓄電池への充電経路に配置された制御開閉器と、
前記蓄電池から前記インバータへの前記充電経路とは異なる放電経路に配置された回路遮断器と、
前記蓄電池を監視する電池状態検出回路とを有し、
前記電池状態検出回路が、前記蓄電池の電圧値が所定値を上回ったとき前記制御開閉器を開き、前記蓄電池の異常を検出したときには前記回路遮断器に信号を出力して前記回路遮断器に遮断させることを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−48497(P2013−48497A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182287(P2011−182287)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】