説明

無停電電源装置

【課題】蓄電手段の電圧低下を高速判定し、電圧低下時に電源電圧が十分高いときには強制的に復電動作を実行することで出力を維持することが可能な無停電電源装置を提供する。
【解決手段】蓄電手段6の蓄電電圧Vbの低下を高速検出する第2の蓄電電圧検出手段9と、交流電源1の電源電圧Vinを高速計測する入力電圧検出手段10と、制御手段13とを備え、制御手段13は、交流電源1が健全でないと判断してバックアップ運転に移行した状態で、蓄電手段6の蓄電電圧Vbが所定値以下に低下したことを高速検出した際に、入力電圧検出手段10が検出した電源電圧Vinが十分な大きさに復電しておれば、バックアップ運転を停止して交流電源1から負荷5への電力供給を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交流電源からの交流電力を負荷に供給すると共に、交流電源の低下時には、蓄電手段に蓄えられた直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給する無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無停電電源装置は、交流電源の電圧が設定値を下回るような電圧変動を検出したり、電力変換回路の動作電力を保有するコンデンサの電圧が所定値を下回る状況を検出すると、交流電源に異常が発生したと判定し、蓄電手段(例えばバッテリ)から電力変換回路を介して負荷へ交流電力を供給する(例えば、下記の特許文献1参照)。以下、蓄電手段から負荷へ交流電力を供給する運転状態をバックアップ運転と称する。
【0003】
このバックアップ運転中は、バッテリ等の蓄電手段のエネルギーを使って電力変換回路により交流電圧を発生して負荷に電力供給するが、その際、蓄電手段の過放電を防止するため、従来技術では、蓄電電圧を所定秒毎に定期的に計測し、蓄電手段が枯渇した電圧(以下、放電終止電圧Vbcrという)に達すると放電を停止させるようにした無停電電源装置が開示されている(例えば、下記の特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−312332号公報
【特許文献2】特開平6−98471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来の無停電電源装置においては、電源電圧の一時的な低下が発生するとバックアップ運転に移行するが、その際、バッテリ等の蓄電手段が経年劣化して放電電力容量の枯渇したものが使用されていた場合、蓄電手段から電力の放電を開始した途端に、蓄電電圧が急速に低下して短時間の内に放電終止電圧Vbcrを下回ってしまい、その結果、放電が停止され、これに伴って無停電電源装置の出力も停止するという問題点があった。
【0006】
以下、この問題点の理解をさらに促すため、図8および図9のタイミグチャートを参照して詳細に説明する。
【0007】
図8、図9は共に交流電源の電源電圧Vin(ここでは実効値)がサージやリップル等により一時的に低下した場合の従来動作を示すもので、特に図8は蓄電手段には経年劣化が発生していない場合、図9は蓄電手段に経年劣化が発生している場合をそれぞれ示している。
【0008】
まず、図8において、時刻t1で電源電圧Vinがサージやリップル等により一時的に低下して異常となり、極短時間(例えば25msec程度)経過後の時刻t3で電源電圧Vinが正常復帰したとする。その場合、時刻t2までの間は電力変換回路の入力側に設けられた電圧安定化用のコンデンサの保有するエネルギーで負荷への電力供給を維持している。時刻t2で交流電源に異常が発生したと判定されてリレー回路Ryがオフになり、蓄電手段(バッテリ)から電力変換回路を介して負荷に電力が供給されるバックアップ運転に移行する。
【0009】
バックアップ運転に移行後、時刻t3で電源電圧Vinが実際には正常復帰しているが、電源電圧Vinが正常に戻ったことを安定的に検出するためには、復帰した電源電圧Vinの周波数を計測し、電源電圧Vinの電圧位相と同期を取り、電源電圧の電圧値を計測し、計測した周波数と電圧値を確認するという一連の手順(以下、電源電圧安定化検出処理という)が必要なため、その検出時間Td1として、例えば1秒程度の時間を要する。したがって、電源電圧Vinが時刻t3で実際には正常復帰していても、バックアップ運転からリレー回路Ryをオンして交流電源から電力変換回路を介して負荷に交流電圧(ここでは実効値)Voutが出力される通常運転に戻るタイミングは、時刻t3から時間Td1が経過した後の時刻t9となる。そして、時刻t2から時刻t9までのバックアップ運転期間中は、蓄電手段から電力変換回路を介して負荷へ交流電力の供給が継続される。
【0010】
次に、図9において、図8の場合と同様に、時刻t1で電源電圧Vinがサージやリップル等により一時的に低下して異常となり、極短時間(例えば25msec程度)経過後の時刻t3で電源電圧Vinが正常復帰したとする。その場合、時刻t2までの間は電力変換回路の入力側に設けられた電圧安定化用のコンデンサの保有するエネルギーで負荷への電力供給を維持している。時刻t2で交流電源に異常が発生したと判定されてリレー回路Ryがオフになり、蓄電手段から電力変換回路を介して負荷に電力が供給されるバックアップ運転に移行する。
【0011】
時刻t2でバックアップ運転に移行すると、蓄電手段からのエネルギーを使用し始めるが、この場合、蓄電手段が経年劣化しているので、電力放出と共に時刻t2以降、蓄電電圧Vbは図中実線で示すように急速に低下して時刻t5で放電終止電圧Vbcrに達し、その直後、放電電力が枯渇し出力Voutは低下する。
【0012】
このように、蓄電電圧Vbは、時刻t5で実際に放電終止電圧Vbcrに達しているが、放電終止電圧Vbcrに達したことを安定的に検出するためには、蓄電電圧Vbを平均化して計測するなどの一連の手順(以下、蓄電電圧安定化検出処理という)が必要となる。これは、蓄電電圧Vbを変動させる要因である、出力電圧周波数に依存したリップル電圧(周波数50Hzの場合は100Hzのリプル)やパワー回路動作が発するノイズに依存したサージ電圧の影響を低減させるためである。したがって、蓄電電圧Vbが低下し始めてから放電終止電圧Vbcrに達したことを検出するまでにはある程度の時間Td2(例えばTd2≒100msec程度)を要する。
【0013】
したがって、蓄電電圧Vbが放電終止電圧Vbcrに達したことが検出されるのは、図中一点鎖線で示すように、バックアップ運転の開始時刻t2から時間Td2が経過した後の時刻t8である。そして、時刻t8で放電終止電圧Vbcrに達したことが検出されると、蓄電手段が過放電されるのを防止するため、無停電電源装置の出力が停止される。
【0014】
このように、電源電圧Vinが正常に戻ったことを判定したり、蓄電電圧Vbが放電終止電圧Vbcrに達したことを判定したりするためには、それぞれ所定の時間Td1,Td2が必要である。したがって、従来は、電源電圧Vinの一時的な電圧低下または電圧歪みなどにより、バックアップ運転へ移行した後(時刻t2)、瞬時に(例えば25msec程度後)電源電圧Vinが正常に戻ったとしても(時刻t3)、劣化したバッテリを使用している場合には、電源電圧Vinが正常に復帰したことを判定するのに要する時間Td1よりも、蓄電電圧Vdが放電終止電圧Vbcrに達したと判定するのに要する時間Td2の方が短くなることがある。
【0015】
そのため、電源電圧Vinが正常復帰したと判定されるタイミング(時刻t9)よりも、放電終止電圧Vbcrに達したことが判定されるタイミング(時刻t8)の方が早くなり、その結果、電源電圧Vinが正常に戻っているにもかかわらず、無停電電源装置の出力停止状態が継続されてしまい、無停電電源装置本来の機能が発揮されないという不具合を生じていた。
【0016】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、電源電圧がサージやリップル等により一時的に低下して異常となってバックアップ運転に移行した場合に、蓄電電圧安定化検出処理によって蓄電電圧が放電終止電圧以下になったと判定される時点よりも早い時点で電源電圧が元の状態に戻っておれば、速やかにバックアップ運転から通常運転に復帰して交流電源から負荷に電力を供給できるようにして、蓄電手段が劣化していても、負荷への電力供給を確実に維持することができる無停電電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明による無停電電源装置は、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換する第1の電力変換部と、上記交流電源が健全時には上記第1の電力変換部により電力供給されるコンデンサと、上記コンデンサの直流電力を交流電力に変換して負荷に電力供給する第2の電力変換部と、上記交流電源が健全な場合には充電される蓄電手段と、上記交流電源が健全でない場合には上記蓄電手段から上記コンデンサに電力供給する放電部と、上記蓄電手段の電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、上記交流電源の電圧の実効値または平均値を交流電源健全時の電圧周期の1周期以下の周期で計測する電源電圧計測手段と、上記蓄電電圧検出手段と上記電源電圧計測手段の検出出力に基づいて上記第1、第2の電力変換部および上記放電部の動作を制御する制御手段と、を有し、上記制御手段は、上記電源電圧計測手段の検出出力に基づいて上記交流電源が健全でないと判断した場合、上記第1の電力変換部から上記コンデンサへの電力供給を停止して上記放電部により上記蓄電手段から上記コンデンサに電力を供給するバックアップ運転を実行するとともに、上記蓄電電圧検出手段の検出出力に基づいて上記バックアップ運転中に上記蓄電手段の電圧が所定値以下になったことを検出した際に、上記電源電圧計測手段の計測値が所定値以上であるならば、上記第1の電力変換部による上記コンデンサへの電力供給を再開して通常運転に復帰する制御を行う。
【0018】
また、この発明による無停電電源装置は、交流電力と直流電力とを双方向に変換する第3の電力変換部と、交流電力と直流電力を双方向に変換する第4の電力変換部とを備え、上記第3の電力変換部は、その交流側端子が交流電源に、交流電源を切り離す入力スイッチを介して接続され、上記第4の電力変換部は、その交流側端子が上記第3の電力変換部の交流側端子の一端と負荷との間に直列接続される一方、上記交流電源が健全な場合には上記第3の電力変換部により電力供給されるコンデンサと、上記交流電源が健全な場合には充電される蓄電手段と、上記交流電源が健全でない場合には上記蓄電手段から上記コンデンサに電力供給する放電部と、上記蓄電手段の電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、上記交流電源の電圧の実効値または平均値を交流電源健全時の電圧周期の1周期以下の短周期で計測する電源電圧計測手段と、上記蓄電電圧検出手段と上記電源電圧計測手段の検出出力に基づいて第3、第4の電力変換部および上記放電部の動作を制御する制御手段と、を有し、上記制御手段は、上記電源電圧計測手段の検出出力に基づいて上記交流電源が健全でないと判断した場合、上記入力スイッチをオフにして交流電源を切り離して上記コンデンサの保有する電力により、上記第3の電力変換部と上記第4の電力変換部とで上記負荷に交流電流を供給し、かつ上記放電部により上記蓄電手段から上記コンデンサに電力を供給するバックアップ運転を実行するとともに、上記蓄電電圧検出手段の検出出力に基づいて上記バックアップ運転中に上記蓄電手段の電圧が所定値以下になったことを検出した際に、上記電源電圧計測手段の計測値が所定値以上であるならば、上記第3の電力変換部の出力をオフし、かつ上記第4の電力変換部の出力を短絡状態にした後、上記入力スイッチをオンして通常運転に復帰する制御を行う。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、電源電圧がサージやリップル等により一時的に低下して異常となってバックアップ運転に移行した場合に、蓄電電圧安定検出処理によって蓄電電圧が放電終止電圧以下になった判定される時点よりも早い時点で電源電圧が元の状態に戻っておれば、速やかにバックアップ運転から通常運転に復帰して交流電源から負荷に電力を供給できるようにするので、蓄電手段が経年劣化して放電電力容量が低下して蓄電電圧が急速に低下するような場合でも、負荷への電力供給を確実に維持することができる無停電電源装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1における無停電電源装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】同装置の第1の電力変換部の構成を示す回路図である。
【図3】同装置の第2の電力変換部の構成を示す回路図である。
【図4】同装置の制御動作の説明に供するフローチャートである。
【図5】同装置において、電源電圧の瞬時電圧低下(短時間)が発生した場合の制御動作に対応したタイミグチャートである。
【図6】同装置において、電源電圧の瞬時電圧低下(図5の場合よりも長時間)が発生した場合の制御動作に対応したタイミグチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2における無停電電源装置の全体構成を示すブロック図である。
【図8】蓄電手段に経年劣化が発生していない場合に、交流電源の電源電圧がサージやリップル等により一時的に低下した場合の従来動作を示すタイミグチャートである。
【図9】蓄電手段に経年劣化が発生している場合に、交流電源の電源電圧がサージやリップル等により一時的に低下した場合の従来動作を示すタイミグチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における無停電電源装置の全体構成を示すブロック図、図2は同装置の第1の電力変換部の構成を示す回路図、図3は同装置の第2の電力変換部の構成を示す回路図である。
【0022】
この実施の形態1の無停電電源装置UPSは、交流電源1と負荷5との間に設けられており、第1の電力変換部2と、コンデンサ3と、第2の電力変換部4と、蓄電手段6と、充放電部7と、第1の蓄電電圧検出手段8と、第2の蓄電電圧検出手段9と、入力電圧検出手段10と、母線電圧検出手段11と、リレー回路12と、制御手段13とを有している。
【0023】
第1の電力変換部2は、交流電源1に接続されて交流電圧を直流電圧に変換するものである。第1の電力変換部2は、図2に示すように、ブリッジ整流回路2aと、コイル、スイッチ素子、およびダイオードからなる昇圧回路2bとを有しており、ブリッジ整流回路2aにより交流電源1の交流電力を直流電力に整流し、この直流電圧を昇圧回路2bにより昇圧してコンデンサ3を所定値(例えば200V)に充電する。
【0024】
第2の電力変換部4は、コンデンサ3に接続されて直流電圧を交流電圧(例えばAC100V)に変換して負荷5に電力を供給するものである。第2の電力変換部4は、図3に示すように、ダイオードを逆並列に接続した複数個のMOSFET等の自己消弧型半導体スイッチング素子4a、4b、4c、4dからなる単相フルブリッジインバータと、コイル及びコンデンサからなるフィルタ回路4eを有している。なお、このようなフルブリッジインバータに代えて、ハーフブリッジインバータを使用してもよい。また、自己消弧型半導体スイッチング素子4a、4b、4c、4dは、MOSFET以外にも、IGBT、GCT、GTO、トランジスタ等でも、また自己消弧機能がないサイリスタ等でも強制転流動作が可能であればよい。
【0025】
蓄電手段6は、交流電源1の異常時にコンデンサ3に電力を供給するものである。本例では、蓄電手段6は、鉛蓄電池からなるバッテリが適用されるが、これに限らず、例えばニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素蓄電池など、エネルギーを蓄えることが可能なものであればよい。
【0026】
充放電部7は、交流電源1が健全時に交流電源1からの電力で蓄電手段6を所定電圧(例えばDC60V)に充電し、交流電源1の異常時には蓄電手段6の電力を放電してコンデンサ3へ電力を供給するものである。なお、図1では充放電部7をコンデンサ3に接続しているが、充電部と放電部に分け、充電部は交流電源1に接続し、放電部はコンデンサ3に接続した構成としてもよい。
【0027】
第1の蓄電電圧検出手段8は、バックアップ運転時、従来と同程度の時間Td2(例えば100msec)でもって蓄電手段6の蓄電電圧Vbを平均化して計測する処理、すなわち前述の蓄電電圧安定化検出処理を行うものである。したがって、この第1の蓄電電圧検出手段8は、蓄電手段6の電圧検出時に重畳したリップルやサージ電圧を平均化して安定した電圧計測が可能である。なお、以下において、この第1の蓄電電圧検出手段8が蓄電手段6の蓄電電圧Vbを蓄電電圧安定化検出処理によって検出する動作を低速検出と称する。
【0028】
第2の蓄電電圧検出手段9は、バックアップ運転時、短時間(例えば1msec)の内に蓄電手段6の電圧を検出するものである。すなわち、この第2の蓄電電圧検出手段9は、第1の蓄電電圧検出手段8のような蓄電電圧安定化検出処理は行わずに、蓄電手段6の蓄電電圧Vbを高速に検出する。したがって、この第2の蓄電電圧検出手段9は、電圧検出時に重畳したリップルやサージ電圧の影響を受ける可能性がある。なお、以下において、第2の蓄電電圧検出手段9が蓄電手段6の蓄電電圧Vbを検出する動作を高速検出と称する。
【0029】
入力電圧検出手段10は、特許請求の範囲における電源電圧計測手段に相当するもので、交流電源1の短時間周期の入力電圧値(例えば、電源電圧健全時の電源周波数1/2周期である約10msecの実効値または平均値)Vinを計測するものである。
【0030】
母線電圧検出手段11は、コンデンサ3の充電電圧Vcを短時間周期(約5msec)で計測するものである。また、リレー回路12は、交流電源1が健全でないと判断された場合に交流電源1と第1の電力変換部2との間を切り離すものである。
【0031】
制御手段13は、例えばマイクロコンピュータ等で構成されるもので、上記の第1の蓄電電圧検出手段8、第2の蓄電電圧検出手段9、入力電圧検出手段10、および母線電圧検出手段11の各検出出力に基づいて各種判定処理を行い、第1、第2の電力変換部2,4、充放電部7、およびリレー回路12の各部の動作を制御するものである。
【0032】
次に、上記構成を備えた無停電電源装置UPSの動作について、図4に示すフローチャート、ならびに、図5および図6に示すタイミグチャートを参照して説明する。なお、符号Sは各処理ステップを意味する。
【0033】
制御手段13は、入力電圧検出手段10により検出される交流電源1の電源電圧Vinを監視し(S11)、電源電圧Vinが所定範囲(例えば85V)以上あれば(S12)、交流電源1は健全であると判断する。このときには、第1の電力変換部2のブリッジ整流回路2aは、交流電源1の交流電圧Vinを直流電圧に変換し、この直流電圧を昇圧回路2bが昇圧してコンデンサ3を所定電圧(例えばDC200V)に充電する。そして、第2の電力変換部4は、コンデンサ3の直流電圧を所定の交流電圧(例えばAC100V)に変換して負荷5に電力を供給する(S15)。以下、この一連の動作を通常運転という。
【0034】
一方、制御手段13は、S12において、入力電圧検出手段10により計測される交流電源1の電源電圧Vinが所定範囲よりも低下したと判断した場合、交流電源1が瞬時電圧低下や停電などの異常状態になったと判定し、次に、母線電圧検出手段11により検出されるコンデンサ3の電圧Vcを取り込み(S13)、このコンデンサ3の電圧Vcが所定値(例えば160V)を逸脱して低下したか否かを判断する(S14)。
【0035】
このとき、コンデンサ3の電圧Vcが所定値を逸脱していなければ、コンデンサ3の保有するエネルギーでもって負荷5への電力供給を維持している期間中に交流電源1が正常に戻ったものと判断して、通常運転に復帰する(S15)。
【0036】
一方、S14において、母線電圧検出手段11により検出されるコンデンサ3の電圧Vcが所定値(例えば160V)を逸脱して低下した場合には、制御手段3は、リレー回路12を開とし(S21)、バックアップ運転に移行する(S22)。これにより、蓄電手段6の電力が充放電部7を経由してコンデンサ3に供給されるので、制御手段3は、コンデンサ3が所定電圧(例えばDC200V)になるように制御する。また、第2の電力変換部4により直流電圧が交流電圧(例えば実効値で100V)Voutに変換されて負荷5に出力される。
【0037】
制御手段13は、バックアップ運転開始直後から、第1の蓄電電圧検出手段8の検出出力を取り込んで蓄電手段6の電圧Vbを監視する(S23)とともに、第2の蓄電電圧検出手段9の検出出力を取り込んで蓄電手段6の電圧Vbを監視する(S24)。さらに、制御手段13は、入力電圧検出手段10からの検出出力を取り込んで、電源電圧Vinを監視する(S25)。
【0038】
ここで、制御手段13は、第2の蓄電電圧検出手段9が高速検出している蓄電手段6の蓄電電圧Vbが放電終止電圧Vbcr(例えばDC50V)よりも低下したと判断した場合(S26)、続いて、入力電圧検出手段10により検出される電源電圧Vinが所定値(例えば実効値で90V)以上あるか否かを判断する(S27)。
【0039】
このとき、電源電圧Vinが所定値(例えば実効値で90V)以上ある場合には、制御手段13は、電源電圧Vinが正常値に戻っているものと判断し、充放電部7による蓄電手段6からの放電を停止するとともに、第2の電力変換部4で交流電源1に対する電圧位相を調整する等の処理は行わずに、単純にリレー回路12を閉じる高速復帰処理を実行し(S28)、直ちに通常運転に移行する(S15)。この場合の処理については、後で図5および図6のタイミグチャートを用いてさらに詳述する。
【0040】
一方、制御手段13は、S26で第2の蓄電電圧検出手段9が高速検出している蓄電手段6の蓄電電圧Vbが放電終止電圧Vbcrに達していないと判断した場合には、蓄電手段6から負荷5への電力供給が可能と判断してバックアップ運転を継続する(S29)。
【0041】
また、制御手段13は、S26で蓄電電圧Vbが放電終止電圧Vbcrに達しており、かつS27で電源電圧Vinが所定値(例えばAC90V)未満であると判断した場合にも、バックアップ運転を継続する(S29)。
【0042】
その理由は、蓄電手段6の蓄電電圧Vbが実際には放電終止電圧Vbcrに達していないにもかかわらず、電圧計測系に重畳したリップルやサージ電圧等の影響で、第2の蓄電電圧検出手段9が高速検出した蓄電電圧Vbが一時的に低下するなどして放電終止電圧Vbcrに達したものと誤って判断する可能性があるため、交流電源1の電源電圧Vinが所定値よりも低下している限り、高速復帰処理(S28)には移行せずに、バックアップ運転を継続して不用意に負荷5への電力供給が停止されないようにしたものである。
【0043】
そして、バックアップ運転中、制御手段13は、入力電圧検出手段10の検出出力を取り込んで交流電源1の電圧Vinと周波数とを計測する(S30)。その場合の電源電圧Vinがどうかの判定には、例えば交流電源1の周波数を20周期平均化計測し、周波数が健全であることを判定し、その周期で、交流電源1の電圧を20周期平均化計測し、電圧が健全であることを判定する処理を行う。そして、交流電源1の電源電圧Vinが健全な状態に戻っていると判断した場合は、バックアップ運転を停止するため、第2の電力変換部4で交流電源1に対する電圧位相の同期を取った後にリレー回路12を閉じる通常復帰処理を行う(S32)。このように、通常復帰処理を経由して通常運転に移行する場合には、電源電圧の判定に長周期にわたる周波数と電圧の計測を実施しているので、電源電圧が不安定な状態で通常運転に移行するなどの不具合発生を無くすことができる。
【0044】
また、制御手段13は、S31で交流電源1の電源電圧Vinが未だ健全な状態に戻っていないと判断した場合には、次に、第1の蓄電電圧検出手段8により低速検出されている蓄電手段6の蓄電電圧Vbが放電終止電圧Vbcr(例えばDC50V)よりも低下したか否かを判断する(S33)。
【0045】
そして、蓄電電圧Vbが放電終止電圧Vbcr(例えばDC50V)以下になっている場合は、制御手段13は、蓄電手段6の蓄積エネルギーが枯渇したものと判断して、充放電部7および第2の電力変換部4の各動作を停止して、充放電部7から第2の電力変換部4を経由した負荷5への電力供給を停止する(S34)。
【0046】
一方、バックアップ運転中のS33で第1の蓄電電圧検出手段8で低速検出された蓄電電圧Vbが放電終止電圧Vbcr(例えばDC50V)に達していなければ、S24に戻り処理を継続する。
【0047】
次に、図4のフローチャートにおいて、S22のバックアップ運転開始から、S23〜S27を経由して、S28で高速復帰処理を行う場合の具体的な処理動作について、図5および図6に示すタイミングチャートを参照して説明する。なお、ここで、蓄電手段6は経年劣化が進んでいる場合を前提として説明する。
【0048】
図5は、交流電源の電源電圧Vin(ここでは実効値)がサージやリップル等により瞬時低下が短時間(例えば、約25msec程度)発生した場合の制御動作を、また、図6は電源電圧の瞬時低下が図5の場合よりも幾分長い時間(例えば、約100msec程度)にわたって発生した場合の制御動作を、それぞれ示している。
【0049】
まず、図5において、時刻t1で電源電圧Vinがサージやリップル等により一時的に低下して異常となり、時刻t3で電源電圧Vinが正常復帰したとする。その場合、時刻t2までの間はコンデンサ3の保有するエネルギーで負荷5への電力供給を維持している。時刻t2で交流電源1に異常が発生したと判定されてリレー回路12がオフになると、蓄電手段6から第2の電力変換回路4を介して負荷5に電力が供給されるバックアップ運転に移行する。
【0050】
蓄電手段6は経年劣化が進んでいるので、バックアップ運転に移行した直後から蓄電電圧Vbは低下し始める。そして、同図実線に示すように、時刻t5で蓄電手段6の蓄電電圧Vbが実際に放電終止電圧Vbcrに達したとする。
【0051】
この場合、第1の蓄電電圧検出手段8は、蓄電電圧Vbを平均化するなどして低速検出するので、この低速検出される蓄電電圧Vbの変化は、同図一点鎖線で示すように推移し、放電終止電圧Vbcrに達したことが検出されるのは、バックアップ運転の開始時刻t2から所定時間Td2が経過した後の時刻t8である。これは、先の図9に示した場合と同じである。
【0052】
一方、第2の蓄電電圧検出手段9は、短時間(例えば1msec)の内に蓄電手段6の蓄電電圧Vbを高速検出するので、この高速検出される蓄電電圧Vbの変化は、同図実線に示した実際の蓄電電圧Vbの変化と略同様に推移し、時刻t5で蓄電手段6の蓄電電圧Vbが放電終止電圧Vbcrに達したことが検出される(図4のS26)。
【0053】
この時刻t5に到達する前の時刻t3の直後(例えばt3の10msec後)に、入力電圧検出手段10で検出される電源電圧Vinは、既に正常復帰していることが検出されているので(図4のS25,S27)、制御手段13は、前述のように交流電源1の電源電圧や周波数の健全性をチェックすることなく、直ちにリレー回路12を閉じ高速復帰処理を行う(図4のS28)。これにより、短時間の内に通常運転に移行する(図4のS15)。
【0054】
このように、S23、S24〜S27を経由した後のS28の高速復帰処理では、交流電源1の電源電圧や周波数の健全性をチェックするなどの処理が行わずに直ちにリレー回路を閉じるので、復帰時に電圧変動や周波数変動が若干生じるものの、図9に示した従来のように、実際には電源電圧Vinが時刻t3で既に正常に戻っているにもかかわらず、電源電圧安定化検出処理による検出タイミング(時刻t9)よりも蓄電電圧安定化検出処理によって放電終止電圧Vbcrに達したことが検出されるタイミング(時刻t8)の方が早くなって、無停電電源装置の出力停止状態が継続されてしまうといった不具合発生を確実に防止することができる。
【0055】
一方、図6において、時刻t1で電源電圧Vinがサージやリップル等により一時的に低下して異常となり、時刻t6で電源電圧Vinが正常復帰したとする。その場合、時刻t2までの間はコンデンサ3の保有するエネルギーで負荷5への電力供給を維持している。時刻t2で交流電源1に異常が発生したと判定されてリレー回路12がオフになると、蓄電手段6から第2の電力変換回路4を介して負荷5に電力が供給されるバックアップ運転に移行する。
【0056】
蓄電手段6は経年劣化が進んでいるので、バックアップ運転に移行した直後から蓄電電圧Vbは低下し始める。そして、同図実線に示すように、時刻t5で蓄電手段6の蓄電電圧Vbが実際に放電終止電圧Vbcrに達したとする。
【0057】
この場合、第1の蓄電電圧検出手段8は、蓄電電圧Vbを平均化するなどして低速検出するので、この低速検出される蓄電電圧Vbの変化は、同図一点鎖線で示すように推移し、放電終止電圧Vbcrに達したことが検出されるのは、バックアップ運転の開始時刻t2から所定時間Td2が経過した後の時刻t8である。これは、先の図5、図9に示した場合と同じである。
【0058】
一方、第2の蓄電電圧検出手段9は、短時間(例えば1msec)の内に蓄電手段6の蓄電電圧Vbを高速検出するので、この高速検出される蓄電電圧Vbの変化は、同図実線に示した実際の蓄電電圧Vbの変化と略同様に推移し、時刻t5で蓄電手段6の蓄電電圧Vbが放電終止電圧Vbcrに達したことを検出する(図4のS26)。
【0059】
この時刻t5に到達した時点では、入力電圧検出手段10で検出される電源電圧Vinは、未だ正常復帰していないと判定されるため、バックアップ運転が継続される(S24〜S33の繰り返し)。ただし、時刻t5の直後、放電電力が枯渇し出力電圧Voutは低下する。時刻t6の直後の時刻t7になると、電源電圧Vinが正常復帰したことが入力電圧検出手段10で検出され(図4のS25,S27)、かつ、既に時刻t5で蓄電手段6の蓄電電圧Vbが放電終止電圧Vbcrに達したことが検出されているので(図4のS26)、制御手段13は、前述のように交流電源1の電源電圧や周波数の健全性をチェックすることなく、直ちにリレー回路12を閉じ高速復帰処理を行う(図4のS28)。これにより、通常運転に移行する(図4のS15)。
【0060】
以上のように、この実施の形態1によれば、蓄電手段6が経年劣化している場合に、電源電圧Vinが正常復帰したことが電源電圧安定化検出処理によって判定されるタイミング(時刻t9)よりも、第1蓄電電圧検出手段8による低速検出によって放電終止電圧Vbcrに達したことが判定されるタイミング(時刻t8)の方が早い場合であっても、第2の蓄電電圧検出手段9で蓄電手段6の蓄電電圧Vbを高速検出することで、第1蓄電電圧検出手段8による低速検出によって放電終止電圧Vbcrに達したことが検出される前に電源電圧Vinが正常に戻っておれば、即座にリレー回路12を閉じてバックアップ運転から通常運転に復帰することができる。したがって、従来のように蓄電手段6が経年劣化している場合に、無停電電源装置の出力が不用意に停止されるといったことはなく、交流電源1から負荷5への電力供給を維持することが可能となる。
【0061】
実施の形態2.
図7は本発明の実施の形態2における無停電電源装置の全体構成を示すブロック図であり、図1に示した実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。
【0062】
この実施の形態2の無停電電源装置UPSは、交流電源1と負荷5との間に設けられており、入力スイッチ15と、第3の電力変換部16と、コンデンサ3と、第4の電力変換部17と、蓄電手段(例えばバッテリ)6と、充放電部7と、第1の蓄電電圧検出手段8と、第2の蓄電電圧検出手段9と、入力電圧検出手段10と、母線電圧検出手段11と、リレー回路12と、制御手段13とを有している。
【0063】
第3の電力変換部16は、図3に示したのと同様の単相フルブリッジインバータで構成されており、交流電源1からの交流電力を負荷5に供給するとともに、交流電源1の交流電圧を直流電圧に変換してコンデンサ3を所定値(例えばDC100V)に充電し、また、必要に応じてコンデンサ3のエネルギーを交流電圧に変換して交流電源1側に出力するものである。すなわち、この第3の電力変換部16は、交流電源1が健全な時には、交流電源1とコンデンサ3との間で双方向で電力変換を行う。
【0064】
第4の電力変換部17は、図3に示したのと同様の単相フルブリッジインバータで構成されており、交流電源1と負荷5との間に直列接続されている。そして、交流電源1が健全な時には交流電源1の電圧を調整する一方、交流電源1が異常時には第3の電力変換部16と協働して負荷5に交流電力を供給するものである。すなわち、第4の電力変換部17は、交流電源1が健全な時には、交流電源1の電圧変動分を補正する電圧を出力して、負荷5に安定した電圧(例えばAC100V)を供給し、コンデンサ3との間で絶縁トランス(図示せず)を介して双方向に電力変換を行うものである。
【0065】
なお、充放電部7、第1の蓄電電圧検出手段8、第2の蓄電電圧検出手段9、母線電圧検出手段11、およびリレー回路12の各構成は、図1に示した実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。入力スイッチ15はリレー回路12と交流電源1との間に直列に接続されている。
【0066】
また、制御手段13は、例えばマイクロコンピュータ等で構成されるもので、上記の第1の蓄電電圧検出手段8、第2の蓄電電圧検出手段9、入力電圧検出手段10、および母線電圧検出手段11の各検出出力に基づいて各種の判定処理を行い、入力スイッチ15、第3、第4の電力変換部16,17、充放電部7、およびリレー回路12の各部の動作を制御するものである。
【0067】
次に、上記構成を備えた無停電電源装置の動作について説明する。
【0068】
交流電源1が健全な時は、第3の電力変換部16により、コンデンサ3が所定電圧(例えばDC100V)になるように、交流電源1とコンデンサ24との間で双方向に電力変換を行う。また、第4の電力変換部17は、交流電源1の電源電圧の変動分の電圧を出力して負荷5に安定した交流電圧(例えば実効値で100V)を出力する。その際、第4の電力変換部17は、絶縁トランス(図示せず)を介して、コンデンサ3との間で双方向に電力変換を行う。充放電部7は、蓄電手段6を所定電圧(例えばDC60V)に充電する通常運転を実行する。
【0069】
一方、入力電圧検出手段10により検出される電源電圧Vinが所定範囲(例えばAC85V)を逸脱して低下すると、入力スイッチ15を一時的にオフし、コンデンサ3の電力を第3の電力変換部16と第4の電力変換部17により交流電力に変換して、負荷5に交流電圧(例えばAC100V)を出力する。その後、母線電圧検出手段11により検出されるコンデンサ3の電圧Vcが所定値(例えばDC80V)を逸脱し低下した場合には、交流電源1が瞬時電圧低下や停電などの異常状態になったと判定し、リレー回路12を開とし、蓄電手段6の電力を充放電部7によりコンデンサ3へ供給し、コンデンサ3が所定電圧(例えばDC100V)になるよう制御する。そして、コンデンサ3の電力を第3の電力変換部16と第4の電力変換部17により交流電力に変換して、負荷5に交流電圧(例えばAC100V)を出力するバックアップ運転を行う。
【0070】
このバックアップ運転中の処理動作は、図4に示したフローチャートの場合と基本的には略同様であるが、S28における高速復帰処理の内容が実施の形態1の場合と異なっている。
【0071】
すなわち、この実施の形態2では、第4の電力変換部17は交流電源1と負荷5の間に直列接続されており、かつ、入力電圧検出手段10により短時間周期で検出される交流電源1の電源電圧Vinの値が所定値(例えばAC90V)以上に復電した場合、その際の交流電源1の位相や周波数が不明であることから、第3の電力変換部16の動作を停止してその出力をオフにするとともに、第4の電力変換部17の出力を短絡(双方向オン)した後、リレー回路12を閉じ、入力スイッチ15をオンして、リレー回路12、入力スイッチ15および第4の電力変換部17を介して負荷5に電力を供給する。その後、入力電圧検出手段10によって電源電圧Vinの周波数を計測し、電源電圧Vinの電圧位相と同期を取った後に通常運転に戻る。
【0072】
以上のように、この実施の形態2によれば、第2の蓄電電圧検出手段9による蓄電手段6の電圧を高速(例えば1msec)に検出することで、蓄電手段6が経年劣化して電圧が急激に低下しても、コンデンサ3に蓄積された電力で負荷5へ電力供給を継続している間にリレー回路12を閉じ、入力スイッチ15をオンして、第4の電力変換部17を介して負荷5に電力供給することが可能となり、交流電源1の一時的な電圧変動でバックアップ運転に移行した場合に、負荷5への電力供給を維持することが可能となる。
その他の作用、効果は実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【符号の説明】
【0073】
UPS 無停電電源装置、2 第1の電力変換部、3 コンデンサ、
4 第2の電力変換部、5 負荷、6 蓄電手段、7 充放電部、
8 第1の蓄電電圧検出手段、9 第2の蓄電電圧検出手段、10 入力電圧検出手段、11 母線電圧検出手段、12 リレー回路、13 制御手段、
16 第3の電力変換部、17 第4の電力変換部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換する第1の電力変換部と、
上記交流電源が健全時には上記第1の電力変換部により電力供給されるコンデンサと、
上記コンデンサの直流電力を交流電力に変換して負荷に電力供給する第2の電力変換部と、
上記交流電源が健全な場合には充電される蓄電手段と、
上記交流電源が健全でない場合には上記蓄電手段から上記コンデンサに電力供給する放電部と、
上記蓄電手段の電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、
上記交流電源の電圧の実効値または平均値を交流電源健全時の電圧周期の1周期以下の周期で計測する電源電圧計測手段と、
上記蓄電電圧検出手段と上記電源電圧計測手段の検出出力に基づいて上記第1、第2の電力変換部および上記放電部の動作を制御する制御手段と、を有し、
上記制御手段は、上記電源電圧計測手段の検出出力に基づいて上記交流電源が健全でないと判断した場合、上記第1の電力変換部から上記コンデンサへの電力供給を停止して上記放電部により上記蓄電手段から上記コンデンサに電力を供給するバックアップ運転を実行するとともに、上記蓄電電圧検出手段の検出出力に基づいて上記バックアップ運転中に上記蓄電手段の電圧が所定値以下になったことを検出した際に、上記電源電圧計測手段の計測値が所定値以上であるならば、上記第1の電力変換部による上記コンデンサへの電力供給を再開して通常運転に復帰する制御を行う無停電電源装置。
【請求項2】
交流電力と直流電力とを双方向に変換する第3の電力変換部と、交流電力と直流電力を双方向に変換する第4の電力変換部とを備え、上記第3の電力変換部は、その交流側端子が交流電源に、交流電源を切り離す入力スイッチを介して接続され、上記第4の電力変換部は、その交流側端子が上記第3の電力変換部の交流側端子の一端と負荷との間に直列接続される一方、
上記交流電源が健全な場合には上記第3の電力変換部により電力供給されるコンデンサと、
上記交流電源が健全な場合には充電される蓄電手段と、
上記交流電源が健全でない場合には上記蓄電手段から上記コンデンサに電力供給する放電部と、
上記蓄電手段の電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、
上記交流電源の電圧の実効値または平均値を交流電源健全時の電圧周期の1周期以下の短周期で計測する電源電圧計測手段と、
上記蓄電電圧検出手段と上記電源電圧計測手段の検出出力に基づいて第3、第4の電力変換部および上記放電部の動作を制御する制御手段と、を有し、
上記制御手段は、上記電源電圧計測手段の検出出力に基づいて上記交流電源が健全でないと判断した場合、上記入力スイッチをオフにして交流電源を切り離して上記コンデンサの保有する電力により、上記第3の電力変換部と上記第4の電力変換部とで上記負荷に交流電流を供給し、かつ上記放電部により上記蓄電手段から上記コンデンサに電力を供給するバックアップ運転を実行するとともに、上記蓄電電圧検出手段の検出出力に基づいて上記バックアップ運転中に上記蓄電手段の電圧が所定値以下になったことを検出した際に、上記電源電圧計測手段の計測値が所定値以上であるならば、上記第3の電力変換部の出力をオフし、かつ上記第4の電力変換部の出力を短絡状態にした後、上記入力スイッチをオンして通常運転に復帰する制御を行う無停電電源装置。
【請求項3】
上記蓄電電圧検出手段は、交流電源健全時の電圧周期の1周期以上の長周期で計測する第1の蓄電電圧検出手段と、
交流電源健全時の電圧周期の1周期以下の短周期で計測する第2の蓄電電圧検出手段と、を備え、
上記制御手段は、上記バックアップ運転中に上記第1の蓄電電圧検出手段により上記蓄電手段の電圧が所定値以下になったことを検出した際には、上記バックアップ運転を停止する一方、上記バックアップ運転中に上記第2の蓄電電圧検出手段により上記蓄電手段の電圧が所定値以下になったことを検出した際に上記電源電圧計測手段の計測値が所定値以上であるならば上記通常運転に復帰する制御を行う請求項1または請求項2に記載の無停電電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−45153(P2011−45153A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189673(P2009−189673)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】