説明

無枠式水平割鋳型のずれ検知方法およびその装置

【課題】無枠式水平割鋳型における上・下型の相互のずれを検知するのに好適な方法を提供する。
【解決手段】 前記第1距離測定手段によりこれと前記上・下型の一側面との間の距離をそれぞれ測定し、これらの測定結果に基づき前記第1距離測定手段と前記上・下型の一側面との間の相互の距離差を演算し、前記第2距離測定手段によりこれと前記上・下型の他側面との間の距離をそれぞれ測定し、これらの測定結果に基づき前記第2距離測定手段と前記上・下型の他側面との間の相互の距離差を演算する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無枠式水平割鋳型における上・下型の相互のずれを検知するのに好適な方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋳造用鋳型の一つとして無枠の上・下型を重ね合わせたいわゆる無枠式水平割鋳型があり、この無枠式水平割鋳型は、例えば、特公昭60-21810号によって開示される鋳型造型機によって造型される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように構成された無枠式水平割鋳型においては、鋳型の造型後に鋳型を型枠から抜き出す時あるいは鋳型の移送中にその上・下型が相互にずれたりしても検知することができず、その結果、欠陥鋳物を誘発するなどの問題があった。
【0004】本発明は、上記の事情に鑑みて成されたもので、その目的は、無枠式水平割鋳型における上・下型の相互のずれを検知するのに好適な方法およびその装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明における無枠式水平割鋳型のずれ検知方法は、無枠式水平割鋳型における上・下型の相互のずれを検知する方法であって、前記上・下型の一側面との距離をそれぞれ測定する非接触式の第1距離測定手段と、前記上・下型の一側面と直交する上・下型の他側面との距離をそれぞれ測定する非接触式の第2距離測定手段とを用い;前記第1距離測定手段によりこれと前記上・下型の一側面との距離をそれぞれ測定し;これらの測定結果に基づき前記第1距離測定手段と前記上型の一側面との距離と、前記第1距離測定手段と前記下型の一側面との距離の差を演算し;前記第2距離測定手段によりこれと前記上・下型の他側面との距離をそれぞれ測定し;これらの測定結果に基づき前記第2距離測定手段と前記上型の他側面との距離と、前記第2距離測定手段と前記下型の他側面との距離の差を演算し;この演算結果により、上・下型の相互のずれが許容範囲にあるか否かを判別することが可能になる。
【0006】なお、本発明において用いる非接触式の第1・第2距離測定手段としては、光学式であって、レーザービームを無枠式水平割鋳型における上・下型の側面に向けてそれぞれ照射する投光素子と、上・下型の側面で反射したレーザービームを受光する受光素子と、前記投光素子と前記受光素子とを制御作動する制御手段によって構成したものがある。そして、投光素子としては例えばレーザービームを照射するレーザービーム素子あるいは可視光LED等があり、また、受光素子としては例えばPSD(位置検出素子)がある。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の無枠式水平割鋳型のずれ検知装置を適用した設備の一実施例について図1に基づき詳細に説明する。図示するように、無枠式水平割鋳型造型機(図示せず)によって造型された無枠式水平割鋳型1が、台車2上に載置されて前後方へ間欠的に移送され、さらに、この移送途中で、本無枠式水平割鋳型のずれ検知装置3により、無枠式水平割鋳型1における上・下型4・5の相互のずれを検知され、検知の結果、ずれの大きさが許容範囲を越えている場合には、押し出し装置6により前記無枠式水平割鋳型1は前記台車2上から右方へ押し出されるようになっている。
【0008】そして、前記無枠式水平割鋳型のずれ検知装置3は、前記台車2上の上・下型4・5の一側面である左側面との距離をそれぞれ測定する非接触式の第1距離測定手段7と、前記上・下型4・5の一側面と直交する上・下型4・5の他側面である後面との距離をそれぞれ測定する非接触式の第2距離測定手段8と、前記第1距離測定手段7の測定結果に基づく、前記第1距離測定手段7と前記上型4の一側面との距離と、前記第1距離測定手段7と前記下型5の一側面との距離の差、および、前記第2距離測定手段8の測定結果に基づく、前記第2距離測定手段8と前記上型4の他側面との距離と、前記第2距離測定手段と前記下型の他側面との距離の差をそれぞれ演算する演算手段としてのコンピュータと、で構成してある。
【0009】また、前記第1・第2距離測定手段7・8の制御手段と前記コンピュータは制御盤9に収納してある。また、前記第1距離測定手段7の投光素子と受光素子は前記上・下型4・5の左側に配設してあり、また前記第2距離測定手段8の投光素子と受光素子は適宜前記上・下型4・5の後面側に入出可能に配設してある。
【0010】このように構成したものは、第1距離測定手段6により、第1距離測定手段6の投光素子・受光素子と、台車2上の上・下型4・5の左側面との距離をそれぞれ距離を測定し、続いて、これらの測定結果に基づき第1距離測定手段6の投光素子・受光素子と上型4の左側面との距離と、第1距離測定手段6の投光素子・受光素子と下型5の左側面との距離との差を、コンピュータによって演算する。
【0011】次いで、同様にして、第2距離測定手段8により、第1距離測定手段6の投光素子・受光素子と、台車2上の上・下型4・5の後面との距離をそれぞれ距離を測定し、続いて、これらの測定結果に基づき第2距離測定手段7の投光素子・受光素子と上型4の後面との距離と、第2距離測定手段7の投光素子・受光素子と下型5の後面との距離との差を、コンピュータによって演算する。この演算の結果に基づいて上・下型4・5の相互のずれが許容範囲にあるか否かを判別し、許容範囲を越えている場合には上・下型4・5は押し出し装置3によって台車2上から右方へ押し出される。
【0012】なお、上記の制御盤9を遠隔操作方式にすることにより、本装置を遠隔操作することも可能である。またなお、上記の実施例では本装置を注湯ラインに配設したが、鋳型造型機内に配設しても同様の作用効果が得られる。
【0013】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明は、無枠式水平割鋳型における上・下型の相互のずれを検知する方法であって、前記上・下型の一側面との距離をそれぞれ測定する非接触式の第1距離測定手段と、前記上・下型の一側面と直交する上・下型の他側面との距離をそれぞれ測定する非接触式の第2距離測定手段とを用い;前記第1距離測定手段によりこれと前記上・下型の一側面との距離をそれぞれ測定し;これらの測定結果に基づき前記第1距離測定手段と前記上型の一側面との距離と、前記第1距離測定手段と前記下型の一側面との距離の差を演算し;前記第2距離測定手段によりこれと前記上・下型の他側面との距離をそれぞれ測定し;これらの測定結果に基づき前記第2距離測定手段と前記上型の他側面との距離と、前記第2距離測定手段と前記下型の他側面との距離の差を演算するから、上・下型の相互のずれを確実かつ容易に検知することができるなどの優れた実用的効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略正面図である。
【符号の説明】
4 上型
5 下型
7 第1距離測定手段
8 第2距離測定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】無枠式水平割鋳型における上・下型の相互のずれを検知する方法であって、前記上・下型の一側面との距離をそれぞれ測定する非接触式の第1距離測定手段と、前記上・下型の一側面と直交する上・下型の他側面との距離をそれぞれ測定する非接触式の第2距離測定手段とを用い;前記第1距離測定手段によりこれと前記上・下型の一側面との距離をそれぞれ測定し;これらの測定結果に基づき前記第1距離測定手段と前記上型の一側面との距離と、前記第1距離測定手段と前記下型の一側面との距離の差を演算し;前記第2距離測定手段によりこれと前記上・下型の他側面との距離をそれぞれ測定し;これらの測定結果に基づき前記第2距離測定手段と前記上型の他側面との距離と、前記第2距離測定手段と前記下型の他側面との距離の差を演算する;ことを特徴とする無枠式水平割鋳型のずれ検知方法。
【請求項2】請求項1に記載の無枠式水平割鋳型のずれ検知方法において、前記第1距離測定手段と前記上・下型との距離の測定、前記第2距離測定手段と前記上・下型との距離の測定、前記第1距離測定手段と前記上型との距離と前記第1距離測定手段と前記下型との距離の差の演算、および、前記第2距離測定手段と前記上型との距離と前記第2距離測定手段と前記下型との距離の差の演算を遠隔方式により行うことを特徴とする無枠式水平割鋳型のずれ検知方法。
【請求項3】無枠式水平割鋳型における上・下型の相互のずれを検知する装置であって、前記上・下型の一側面との距離をそれぞれ測定する非接触式の第1距離測定手段と、前記上・下型の一側面と直交する上・下型の他側面との距離をそれぞれ測定する非接触式の第2距離測定手段と、前記第1距離測定手段の測定結果に基づく、前記第1距離測定手段と前記上型の一側面との距離と、前記第1距離測定手段と前記下型の一側面との距離の差、および、前記第2距離測定手段の測定結果に基づく、前記第2距離測定手段と前記上型の他側面との距離と、前記第2距離測定手段と前記下型の他側面との距離の差をそれぞれ演算する演算手段と、を具備したことを特徴とする無枠式水平割鋳型のずれ検知装置。
【請求項4】請求項3に記載の無枠式水平割鋳型のずれ検知装置において、前記第1距離測定手段、前記第2距離測定手段および前記演算手段は、遠隔方式であることを特徴とする無枠式水平割鋳型のずれ検知方法。

【図1】
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【公開番号】特開2002−336934(P2002−336934A)
【公開日】平成14年11月26日(2002.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−142494(P2001−142494)
【出願日】平成13年5月14日(2001.5.14)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】