説明

無機酸化物の製造方法、オレフィン重合用触媒の製造方法およびオレフィン重合体の製造方法

【課題】微粉の少ない無機酸化物の製造方法、該無機酸化物を用いたオレフィン重合用触媒の製造方法および該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】微小な無機酸化物粒子を通過させる分別用多孔体が備えられた分級装置を用い、該微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物を、該分別用多孔体を通過させることによって、該微小な無機酸化物粒子を除去する工程、を有する無機酸化物の製造方法、上記の製造方法によって得られた無機酸化物を用いて、オレフィン重合用触媒を製造する、オレフィン重合用触媒の製造方法、および上記の製造方法によって得られたオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合させる、オレフィン重合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微粉の少ない無機酸化物の製造方法、該無機酸化物を用いたオレフィン重合用触媒の製造方法および該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無機酸化物は、種々の用途に用いられており、細孔を有するものはオレフィン重合用触媒の担体として好適に利用されている。一般に、無機酸化物中には、微小な無機酸化物粒子が含まれており、オレフィン重合用触媒の製造に用いる無機酸化物中に微小な無機酸化物粒子が多く含まれていると、粒径の小さい触媒粒子が多く生成し、該粒径の小さい触媒粒子から重合されたオレフィン重合体は、粒径が小さいオレフィン重合体のパウダーとなり、該パウダーは、重合反応器壁面や、重合反応器の拡大部壁面に静電気付着しやすく、ファウリングの原因となっていた。また、該パウダーは、拡大部に飛散し易く、飛散したパウダーは、拡大部に設けられた循環ガスラインを通じて、サイクロンの閉塞や、熱交換器のファウリングの原因となっていた。これにより、オレフィン重合体を継続して製造することが困難であった。
オレフィン重合用触媒から微小な触媒粒子を取り除く方法として、例えば、特許文献1には、溶媒に対する沈降速度の差を利用して微粉成分および/または不定形成分を取り除く方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−105013号公報(2003年4月9日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された方法においても、さらなるファウリングの防止が求められており、触媒成分から微粉成分を除去する方法が求められていた。
本発明の課題は、微粉の少ない無機酸化物の製造方法、該無機酸化物を用いたオレフィン重合用触媒の製造方法および該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、微小な無機酸化物粒子を通過させる分別用多孔体が備えられた分級装置を用い、該微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物を、該分別用多孔体を通過させることによって、該微小な無機酸化物粒子を除去する工程、を有する無機酸化物の製造方法にかかるものである。
また、本発明は、上記の製造方法によって得られた無機酸化物を用いて、オレフィン重合用触媒を製造する、オレフィン重合用触媒の製造方法にかかるものである。
また、本発明は、上記の製造方法によって得られたオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合させる、オレフィン重合体の製造方法にかかるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、微粉の少ない無機酸化物を製造することができ、該無機酸化物を用いて得られたオレフィン重合用触媒を用いれば、安定して継続的にオレフィン重合体を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明に係る無機酸化物の製造方法の一実施形態を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0009】
〔無機酸化物の製造方法〕
本発明の無機酸化物の製造方法は、微小な無機酸化物粒子を通過させる分別用多孔体が備えられた分級装置を用い、該微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物を、該分別用多孔体を通過させることによって、該微小な無機酸化物粒子を除去する工程、を有する。
【0010】
無機酸化物としては、例えば、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、およびThO2、ならびにこれらの混合物、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、およびSiO2−TiO2−MgOが挙げられる。無機酸化物として好ましくは、SiO2および/またはAl23であり、より好ましくは、SiO2(即ちシリカ)である。
【0011】
本発明において、微小な無機酸化物粒子とは、粒径の微小な無機酸化物粒子のことであり、好ましくは、30μm以下の粒径を有する無機酸化物粒子である。
【0012】
本発明において、微小な無機酸化物粒子を除去するとは、微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物から、微小な無機酸化物粒子を完全に取り除くことのみを意図するものではなく、微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物中の微小な無機酸化物粒子の含有量を低下させることを意図しており、好ましくは、微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物中の微小な無機酸化物の含有量を6.0重量%以下(ただし、無機酸化物の全重量を100重量%とする。)にすることであり、より好ましくは、微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物中の微小な無機酸化物の含有量を5.5重量%以下(ただし、無機酸化物の全重量を100重量%とする。)にすることであり、更に好ましくは、微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物中の微小な無機酸化物の含有量を5.0重量%以下(ただし、無機酸化物の全重量を100重量%とする。)にすることであり、特に好ましくは、微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物中の微小な無機酸化物の含有量を4.5重量%以下(ただし、無機酸化物の全重量を100重量%とする。)にすることであり。
【0013】
また、本発明の無機酸化物の製造方法によって得られた無機酸化物の平均粒径として、好ましくは、40〜100μmである。
【0014】
微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物は、乾燥された状態であることが好ましく、このような乾燥は、従来公知の乾燥器を用いて行うことができる。
【0015】
また、本発明の無機酸化物の製造方法においては、微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物を、窒素または空気により、上記分級装置に投入することが好ましい。
【0016】
微小な無機酸化物粒子を除去する方法として、サイクロン等を用いた方法を用いる方法が知られているが、このような分離操作を行うと、無機酸化物同士が激しく衝突する可能性が高く、かつ無機酸化物は脆性破壊を発生しやすいために、新たに微小な無機酸化物粒子を発生させてしまうことがある。
【0017】
本発明においては、微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物から、除去の対象である微小な無機酸化物粒子を通過させる孔(細孔)を有する分別用支持体を通過させることによって、微小な無機酸化物粒子を除去する。このような微小な無機酸化物粒子を除去する工程について、図1を用いて以下により詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る無機酸化物の製造方法の、一実施形態を説明する説明図である。図1に示すように、本実施形態において使用する分級装置1は、微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物を吸引口2、分級装置1内の気体を流通させるファン3、微小な無機酸化物粒子を分別するための分別用スクリーン(分別用支持体)4、分別した微小な無機酸化物粒子を吐出するための吐出口5、及び微小な無機酸化物粒子が除去された無機酸化物を取り出すための取出口6を備えている。分別用スクリーン4は、吸引口2と吐出口5との間の分級装置1内に固定されており、取出口6は分別用スクリーン4よりも吸引口2側に設けられている。本実施形態において、分級装置1内には窒素が充填されている。分別用スクリーン4は、一定の目開きの網目構造(細孔)を有する網などであることができ、網目を吸引口2側に向けて設けられている。
【0019】
吸引口2から吸引された、微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物は、ファン3を回転させることによって分級装置1内を循環する窒素によって、分級装置1内を循環する。そして、分別用スクリーン4に到達した無機酸化物のうち、分別用スクリーン4の目開きを通過する微小な無機酸化物粒子を、吐出口5から分級装置1の外に吐き出し、分別用スクリーン4の目開きを通過しない無機酸化物を、取出口6から取り出す。
【0020】
このように、分別用スクリーン4を通過する粒子と通過しない粒子とを分別してこれらを分離させることによって、微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物から、微小な無機酸化物粒子を除去する。すなわち、分別用スクリーン4の目開きを、除去したい無機酸化物粒子の粒径に併せて適宜選択することによって、所望の粒度分布を有する無機酸化物を取り出すことができる。
【0021】
上述したように、本発明の無機酸化物の製造方法によれば、微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物から、微小な無機酸化物粒子を除去する工程を有しているので、微粉の含有量の少ない無機酸化物を製造することができる。また、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記微粉の含有量の少ない無機酸化物を用いて製造することにより、製造できるオレフィン重合用触媒中には、粒径の小さな触媒粒子が少なく、そのオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィン重合を行った際に、重合反応器中での粒径が小さいオレフィン重合体パウダーの重合反応器壁面や、重合反応器の拡大部壁面に静電気付着によって生じるファウリングの問題や、粒径が小さいオレフィン重合体パウダーの飛散によって生じるサイクロンの閉塞や熱交換器のファウリングの問題を生じされることなく、安定して継続的にオレフィンを重合することが可能である。
【0022】
〔オレフィン重合用触媒の製造方法〕
本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法は、上記の無機酸化物の製造方法によって得られた無機酸化物を用いて、オレフィン重合用触媒を製造する。
【0023】
本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法として、好ましくは、上記の無機酸化物の製造方法によって得られた無機酸化物と、有機亜鉛化合物と、ハロゲン化フェノールまたはハロゲン化アルコールと、水とを接触させて形成される助触媒成分(以下、「成分(A−1)」と記載することがある。)、上記無機酸化物の製造方法によって得られた無機酸化物と、有機アルミニウムオキシ化合物とを接触させて形成される助触媒成分(以下、「成分(A−2)」と記載することがある。)、および上記無機酸化物の製造方法によって得られた無機酸化物と、ホウ素化合物とを接触させて形成される助触媒成分(以下、「成分(A−3)」と記載することがある。)からなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、「成分(A)」と記載することがある。)、メタロセン系化合物(以下、「成分(B)」と記載することがある。)、並びに有機アルミニウム化合物(以下、「成分(C)」と記載することがある。)を接触させることによって、オレフィン重合用触媒を製造する、オレフィン重合用触媒の製造方法である。成分(A)として、好ましくは、有機亜鉛化合物と、ハロゲン化フェノールまたはハロゲン化アルコールと、水とを接触させて形成される助触媒成分である。
【0024】
上記の有機亜鉛化合物、上記のハロゲン化フェノール、上記のハロゲン化アルコール、上記のメタロセン系化合物および上記の有機アルミニウム化合物としては、例えば、特開2003−105013号公報に記載された化合物を挙げることができ、上記の有機アルミニウムオキシ化合物および上記のホウ素化合物としては、特開平9−87313号公報に記載された化合物を挙げることができる。
【0025】
成分(A−1)における有機亜鉛化合物として、好ましくは、ジアルキル亜鉛であり、より好ましくは、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛またはジ−t−ブチル亜鉛である。
【0026】
成分(A−1)におけるハロゲン化フェノールとして、好ましくは、フッ素化フェノールであり、より好ましくは、ペンタフルオロフェノールまたは3,4,5−トリフルオロフェノールであり、成分(A−1)におけるハロゲン化アルコールとして、好ましくは、フッ素化アルコールである。
【0027】
成分(B)のメタロセン系化合物として、好ましくは、シクロペンタジエン型アニオン骨格を少なくとも1つ有する第4族遷移金属化合物であり、より好ましくは、シクロペンタジエン型アニオン骨格を2つ有する第4族遷移金属化合物である。
【0028】
成分(C)の有機アルミニウム化合物として、好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムであり、更に好ましくは、トリイソブチルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムである。
【0029】
本発明のオレフィン重合用触媒は、後述するオレフィン重合体の製造方法に用いることができる。また、オレフィン重合体の製造方法を行う前に、本発明のオレフィン重合用触媒は、予備重合を行ってもよい。
【0030】
予備重合に用いられるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等が挙げられ、これらは1種または2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、エチレン単独、またはエチレンと、α−オレフィンとの組み合わせであり、より好ましくは、エチレン単独、または1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンと、エチレンとの組み合わせである。
【0031】
オレフィンが予備重合されたオレフィン重合用触媒(以下、「予備重合済みオレフィン重合用触媒」と記載することがある。)中の予備重合された重合体の含有量は、通常、上記成分(A)1g当たり、好ましくは、0.01〜1000gであり、より好ましくは、0.05〜500gであり、さらに好ましくは、0.1〜200gである。
オレフィン重合用触媒を予備重合する方法としては、連続重合法でもバッチ重合法でもよく、例えば、バッチ式スラリー重合法、連続式スラリー重合法、連続気相重合法が挙げられる。予備重合を行う重合反応槽に、オレフィン重合用触媒を投入する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で投入する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で投入する方法が用いられる。
【0032】
予備重合をスラリー重合法で行う場合、溶媒としては、例えば、飽和脂肪族炭化水素化合物、飽和脂環式炭化水素化合物等が挙げられ、飽和脂肪族炭化水素化合物、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられ、飽和脂環式炭化水素化合物としては、例えば、シクロヘキサン等が挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いられる。溶媒として、好ましくは、常圧における沸点が100℃以下のものであり、より好ましくは、常圧における沸点が90℃以下のものであり、更に好ましくは、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンである。
【0033】
また、予備重合をスラリー重合法で行う場合、スラリー濃度は、溶媒1リットル当たりのオレフィン重合用触媒の量が、通常0.1〜600gであり、好ましくは0.5〜300gである。予備重合温度は、通常−20〜100℃であり、好ましくは0〜80℃である。予備重合中、重合温度は適宜変更してもよい。また、予備重合中の気相部でのオレフィン類の分圧は、通常0.001〜2MPaであり、好ましくは0.01〜1MPaである。予備重合時間は、通常2分間〜15時間である。
【0034】
〔オレフィン重合体の製造方法〕
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上記の本発明のオレフィン重合用重合触媒の製造方法によって製造されたオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行う。
本発明において、重合は、単独重合のみならず共重合をも意図したものであり、重合体は、単独重合体のみならず共重合体をも意図したものである。
【0035】
本発明において、オレフィンを重合する方法としては、例えば、気相重合法、スラリー重合法、バルク重合法等が挙げられる。好ましくは、気相重合法であり、より好ましくは連続気相重合法である。該重合法に用いられる気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に撹拌翼が設置されていてもよい。
【0036】
オレフィン重合用触媒、他の触媒成分を重合反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。
【0037】
オレフィンを気相重合する場合、重合温度としては、通常、オレフィン重合体が溶融する温度未満であり、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。重合反応槽には、不活性ガスを導入してもよく、分子量調節剤として水素を導入してもよい。また、電子供与性化合物を導入してもよい。
【0038】
重合圧力は、流動床反応器内でオレフィンが気相として存在し得る範囲内であればよく、通常0.1〜5.0MPa、好ましくは1.5〜3.0MPaである。また、反応器内のガス流速は、通常10〜100cm/秒であり、好ましくは20〜70cm/秒である。
重合に用いるオレフィンとしては、例えば、炭素数2〜20のオレフィンが挙げられ、炭素数2〜20のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくは、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンまたは1−オクテンである。
【0039】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合に好適であり、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの組み合せとしては、例えば、エチレンと1−ブテンとの組み合わせ、エチレンと1−ヘキセンとの組み合わせ、エチレンと4−メチル−1−ペンテンとの組み合わせ、エチレンと1−オクテンとの組み合わせ、エチレンと1−ブテン/1−ヘキセンとの組み合わせ、エチレンと1−ブテンと4−メチル−1−ペンテンとの組み合わせ、エチレンと1−ブテンと1−オクテンとの組み合わせ、エチレンと1−ヘキセンと1−オクテンとの組み合わせ等が挙げられ、好ましくは、エチレンと1−ヘキセンとの組み合わせ、エチレンと4−メチル−1−ペンテンとの組み合わせ、エチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの組み合わせ、エチレンと1−ブテンと1−オクテンとの組み合わせまたはエチレンと1−ヘキセンと1−オクテンとの組み合わせである。
【0040】
また、オレフィンの重合においては、必要に応じて、他の単量体を重合反応槽に導入し、本発明の効果を損なわない範囲において、該他の単量体を共重合させてもよい。該他の単量体としては、ジオレフィン、環状オレフィン、アルケニル芳香族炭化水素、α,β−不飽和カルボン酸、α,β−不飽和カルボン酸の金属塩、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル、不飽和ジカルボン酸、ビニルエステル、不飽和カルボン酸グリシジルエステル等が挙げられる。
【0041】
ジオレフィンとしては、例えば、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等が挙げられる。
【0042】
環状オレフィンとしては、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、5−アセチルノルボルネン、5−アセチルオキシノルボルネン、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−シアノノルボルネン、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−テトラシクロドデセン、8−シアノテトラシクロドデセン等が挙げられる。
【0043】
アルケニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、2−フェニルプロピレン、2−フェニルブテン、3−フェニルプロピレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、p−第3級ブチルスチレン、p−第2級ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、1−ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0044】
α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸が挙げられる。
【0045】
α,β−不飽和カルボン酸の金属塩の金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。
【0046】
α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等が挙げられる。
【0047】
不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。
【0048】
ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等が挙げられる。
【0049】
不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等が挙げられる。
【0050】
本発明のオレフィン重合体の製造方法によれば、本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法により製造されたオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンを重合するので、重合反応器中での粒径が小さいオレフィン重合体パウダーの重合反応器壁面や、重合反応器の拡大部壁面に静電気付着によって生じるファウリングの問題や、粒径が小さいオレフィン重合体パウダーの飛散によって生じるサイクロンの閉塞や熱交換器のファウリングの問題を生じされることなく、安定して継続的にオレフィンを重合することが可能である。
【実施例】
【0051】
(1)無機酸化物の粒度分布
Sympatec Gmbh社製レーザー回折式粒子径分布測定装置(HELOS&RODOD(型番HELOS/KF−M RODOS/M)にて、レンズ0.5〜350μm用を用いて、噴出圧力(分散圧)1.5barにて粒度分布の測定を行った。
【0052】
〔実施例1〕
目開き34μmの網を備えた東洋ハイテック株式会社製ノンライナー型ハイボルター(NR−300S型)内に、大気下で、シリカ(デビソン社製Sylopo1948;平均粒径=51.3μm、30μm以下の微小粒子の含有量は11.4重量%、細孔容量=1.55ml/g;比表面積=303m/g)を投入することによって、分級処理した。その結果、分級済みのシリカの回収量は88.3重量%であった。粒度分布測定の結果、分級済みシリカの平均粒径61.4μm、30μm以下の微小粒子の含有量は2.7重量%であった。
【0053】
[実施例2]
目開き25μmの網を備えた東洋ハイテック株式会社製ノンライナー型ハイボルター(NR−300S型)内に、大気下で、シリカ(デビソン社製Sylopo1948;平均粒径=51.3μm、30μm以下の微小粒子の含有量は11.4重量%、細孔容量=1.55ml/g;比表面積=303m/g)を投入することによって、分級処理した。その結果、分級済みのシリカの回収量は92.1重量%であった。粒度分布測定の結果、分級済みシリカの平均粒径59.2μm、30μm以下の微小粒子の含有量は4.3重量%であった。
【0054】
[比較例1]
日清エンジニアリング社製精密気流遠心力式分級機(製品名;ターボクラッシュファイア、型式:TG−40)を用いて、回転数=1200回転数;風量=10m/min;供給速度=50kg/hrにて、シリカ(デビソン社製Sylopo1948;平均粒径=51.3μm、30μm以下の微小粒子の含有量は11.4重量%、細孔容量=1.55ml/g;比表面積=303m/g)を分級処理した。その結果、分級処理済みのシリカの回収率は76.9重量%であった。粒度分布測定の結果、分級処理済みシリカの平均粒形=58.0μm、30μm以下の微小粒子の含有量は6.3重量%であった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、微小な粒子の含有量の少ない無機酸化物を得ることができるので、当該無機酸化物を用いて微小な粒子のオレフィン重合用重合触媒を製造することができ、ポリオレフィンの製造に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 分級装置
2 吸引口
3 ファン
4 分別用スクリーン(分別用支持体)
5 吐出口
6 取出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小な無機酸化物粒子を通過させる分別用多孔体が備えられた分級装置を用い、該微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物を、該分別用多孔体を通過させることによって、該微小な無機酸化物粒子を除去する工程、を有する無機酸化物の製造方法。
【請求項2】
微小な無機酸化物粒子を含む無機酸化物を、窒素または空気により、該分級装置に投入する請求項1に記載の無機酸化物の製造方法。
【請求項3】
微小な無機酸化物粒子が、30μm以下の粒径を有する無機酸化物粒子である、請求項1または2に記載の無機酸化物の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって得られた無機酸化物を用いて、オレフィン重合用触媒を製造する、オレフィン重合用触媒の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の製造方法によって得られたオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合させる、オレフィン重合体の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−105527(P2011−105527A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259598(P2009−259598)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】