説明

無段変速伝動機構

【課題】中心ボス部の可動歯を径方向外方へ附勢するバネ手段を、少ないストロークで大きなバネ力を発生するものにして、中心ボス部および可動歯間へ容易に収容可能にする。
【解決手段】可動歯17を中心ボス部16上の可動歯ホルダー18内で径方向外方へ附勢するバネ手段19を、可動歯17ごとのU字状エレメント21と、隣り合うU字状エレメント21の隣接脚部21a間を相互に結合する連結エレメント22との交互連続体により構成し、連結エレメント22を中心ボス部16上に着座させ、U字状エレメント21を可動歯17に向け延在させてその先端を可動歯17に着座させる。かくしてバネ手段19は、連結エレメント22の捩り反力で可動歯17を径方向外方へ附勢する捩りバネ型式のものとなり、小さなバネストロークで大きなバネ力を発生させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無終端チェーンリンクと、この無終端チェーンリンクを無段変速可能に巻き掛けしたプーリとから成り、該プーリの中心ボス部外周にバネ手段で径方向外方へ附勢して径方向進退可能に設けた可動歯と、無終端チェーンリンクに設けた可動歯噛合溝との噛み合いにより、該噛み合いが可能な伝動比でのスリップ防止を可能にした無段変速伝動機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の無段変速伝動機構としてはVベルト式無段変速機が良く知られており、無終端チェーンリンクをプーリのV溝に掛け渡して動力伝達可能となす一方、
この動力伝達中にプーリV溝の溝幅を変更することでプーリに対する無終端チェーンリンクの巻き掛け径を連続的に変化させることにより、無段変速が可能となるよう構成する。
【0003】
他方、無段変速伝動機構のスリップを抑制して伝動効率を高める技術として従来、例えば特許文献1に記載のごとく、プーリV溝の底面を画成するプーリの中心ボス部外周面に歯を突設し、
無終端チェーンリンクの内周に形成した歯溝がプーリ中心ボス部外周面の歯と噛み合う伝動比である間、プーリおよび無終端チェーンリンク間のスリップを防止して無段変速伝動機構の伝動効率を高める技術が提案されている。
【0004】
他方で特許文献1には、プーリ中心ボス部の外周面に設ける歯をバネ手段で径方向外方へ附勢して径方向進退可能に設けた可動歯となし、この可動歯が、無終端チェーンリンクに設けた可動歯噛合溝と噛み合った伝動比でのスリップ防止を実現可能にした技術も提案されている。
【0005】
この提案技術によれば、上記の可動歯が無終端チェーンリンクの内周歯溝と噛み合い損なった場合、無終端チェーンリンクの内周により径方向内方へ後退され得ることから、
プーリ中心ボス部外周の歯が無終端チェーンリンクとの干渉により、この無終端チェーンリンクを損傷させるようなことがなくて、耐久性の点で有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−014269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし上記した先の提案技術にあっては、プーリ中心ボス部の外周面に設ける可動歯を径方向外方へ附勢するバネ手段として、コイルスプリングや環状スプリングを用いるため、以下のような問題を生ずる。
【0008】
バネ手段としてコイルスプリングを用いる場合、可動歯が要求する径方向外方附勢力を発生させるのに必要なコイルスプリングのストロークが大きく、プーリ中心ボス部の外周面と可動歯との間にコイルスプリングを収納するのが困難である。
かといって、プーリ中心ボス部の外周面と可動歯との間に確保可能なスペース内に収まるようなコイルスプリングを用いる場合、要求されるバネ力を発生させることが困難で、可動歯を要求される力で径方向外方へ附勢することができない。
【0009】
なおコイルスプリングのストロークを稼ぐには、プーリ中心ボス部の軸径を細くする手法があるが、この手法だと、プーリ中心ボス部の軸強度が不足して、耐久性の点で問題がある。
【0010】
他方、バネ手段として環状スプリングを用いる場合、環状スプリングを逃がすための溝が可動歯に不可欠で、可動歯の構造が複雑になってコスト高になるほかに、
可動歯を先に組み込んだ後に、環状スプリングを可動歯に押し付けつつ組み付けて、可動歯に弾性力を付与する手順となり、環状スプリングの組み付け作業性が悪いという問題も生ずる。
【0011】
本発明は、プーリ中心ボス部外周の可動歯を径方向外方へ附勢するバネ手段として、従来のようなコイルスプリングや環状スプリングと異なり、上記のような問題を生ずることのない特異なバネ手段を用いて、上記問題解決を実現可能にした無段変速伝動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のため、本発明による無段変速伝動機構は、以下のごとくにこれを構成する。
先ず、本発明の要旨構成の基礎前提となる無段変速伝動機構を説明するに、これは、
無終端チェーンリンクと、この無終端チェーンリンクを無段変速可能に巻き掛けしたプーリとから成り、
該プーリの中心ボス部外周にバネ手段で径方向外方へ附勢して径方向進退可能に設けた可動歯と、前記無終端チェーンリンクに設けた可動歯噛合溝との噛み合いにより、該噛み合いが可能な伝動比でのスリップ防止を可能にしたものである。
【0013】
本発明は、かかる無段変速伝動機構における上記のバネ手段を特に以下のごときものとする。
即ちこのバネ手段は、前記中心ボス部外周と可動歯との間に、該中心ボス部外周の母線方向へ延在するよう介在させたU字状エレメントを具える。
そしてこれらU字状エレメントは、該U字状エレメントの対向脚部が相互非結合端において前記中心ボス部外周に着座し、該対向脚部が相互結合端において前記可動歯に着座するよう指向させる。
【0014】
また、隣り合う前記U字状エレメントの隣接脚部同士を、前記相互非結合端において連結エレメントにより結合し合うことにより、前記U字状エレメントを相互に一体化して、前記U字状エレメントの対向脚部が前記相互結合端で前記可動歯に前記径方向外方への附勢力を付与するよう構成したものである。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明の無段変速伝動機構にあっては、可動歯ごとの上記U字状エレメントを、隣り合うもの同士、上記のごとき連結エレメントにより相互に結合し合った、U字状エレメントの一体化ユニットを可動歯のバネ手段として用いるため、
このバネ手段が、U字状エレメントおよび連結エレメントの連続体であって捩りバネ型式のバネ手段となり、比較的小さなバネストロークで大きなバネ力を発生させることができる。
【0016】
従って本発明によれば、小さなバネストロークで、可動歯が要求する径方向外方附勢力を発生させることができ、プーリ中心ボス部外周と可動歯との間における制限されたスペースでも、ここに上記のバネ手段を容易に収納することができると共に、可動歯を所定の力で径方向外方へ附勢することができる。
【0017】
また本発明によれば、上記の通り小さなバネストロークで要求するバネ力を発生させ得ることから、バネストロークを稼ぐ必要がなくて、バネストロークのためにプーリ中心ボス部の軸径を細くする必要もなく、プーリ中心ボス部の軸強度不足に伴う耐久性の問題も生ずることがない。
【0018】
本発明によれば更に、バネ手段がU字状エレメントおよび連結エレメントの連続体であることから、これらエレメントを逃がすための溝を可動歯に設ける必要がなく、可動歯の構造が複雑になってコスト高になるという問題を生ずることもない。
また同様な理由から、つまりバネ手段がU字状エレメントおよび連結エレメントの連続体であることから、このバネ手段は、可動歯をプーリ中心ボス部の外周に組み付ける前に組み付けておくことができ、組み付け作業性の点でも大いに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施例になる無段変速伝動機構の概略側面図である。
【図2】図1に示した無段変速伝動機構のセカンダリプーリ側における巻き掛け伝動部のスリップ防止機構を示す詳細図である。
【図3】図1,2に示した無段変速伝動機構の無終端チェーンリンクおよびセカンダリプーリ間におけるスリップ防止機構の噛み合い状態を示す詳細説明図である。
【図4】図1〜3に示した無段変速伝動機構のセカンダリプーリ中心ボス部を、可動歯附勢用バネ手段が取り付けられた状態で、しかし可動歯取り付け前の状態で示す斜視図である。
【図5】図4に示したセカンダリプーリ中心ボス部を可動歯取り付け状態で示し、 (a)は、セカンダリプーリ中心ボス部に一部の可動歯が取り付けられた状態を示す平面図、 (b)は、セカンダリプーリ中心ボス部の要部縦断側面図である。
【図6】図4に示したセカンダリプーリ中心ボス部を可動歯取り付け状態で示し、 (a)は、セカンダリプーリ中心ボス部に全ての可動歯が取り付けられた状態を示す斜視図、 (b)は、セカンダリプーリ中心ボス部から2本の可動歯を除去して可動歯附勢用バネ手段の一部を示す斜視図である。
【図7】セカンダリプーリ中心ボス部の可動歯取り付け状態を示し、 (a)は、図5(a)の矢VII方向に見た側面図、 (b)は、(a)におけるVIIb部分の拡大詳細部分側面図、 (c)は、(a)におけるVIIc部分の拡大詳細部分側面図である。
【図8】図1〜7の無段変速伝動機構に用いる可動歯附勢用バネ手段を示し、 (a)は、同バネ手段の全体斜視図、 (b)は、(a)のVIII部分に係わる同バネ手段の一部拡大詳細斜視図である。
【図9】図8に示した可動歯附勢用バネ手段の全体側面図である。
【図10】図8,9に示した可動歯附勢用バネ手段のバネストロークに対する荷重変化特性を、従来の無段変速伝動機構に用いる可動歯附勢用バネ手段の荷重変化特性と比較して示す、特性線図である。
【図11】本発明の第2実施例になる無段変速伝動機構のセカンダリプーリ中心ボス部を可動歯取り付け状態で示し、 (a)は、セカンダリプーリ中心ボス部から2本の可動歯を除去して可動歯附勢用バネ手段の一部を示す斜視図、 (b)は、セカンダリプーリ中心ボス部の要部縦断側面図である。
【図12】本発明の第3実施例になる無段変速伝動機構に用いる可動歯附勢用バネ手段を示す全体斜視図である。
【図13】この第3実施例になる無段変速伝動機構のセカンダリプーリ中心ボス部を、可動歯附勢用バネ手段が取り付けられた状態で、しかし可動歯取り付け前の状態で示す斜視図である。
【図14】図13に示したセカンダリプーリ中心ボス部を可動歯取り付け状態で示し、 (a)は、セカンダリプーリ中心ボス部に一部の可動歯が取り付けられた状態を示す平面図、 (b)は、セカンダリプーリ中心ボス部の要部縦断側面図である。
【図15】図13に示したセカンダリプーリ中心ボス部を可動歯取り付け状態で示し、 (a)は、セカンダリプーリ中心ボス部に全ての可動歯が取り付けられた状態を示す斜視図、 (b)は、セカンダリプーリ中心ボス部から2本の可動歯を除去して可動歯附勢用バネ手段の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<第1実施例の構成>
図1〜10は、本発明の第1実施例になる無段変速伝動機構を示し、図1は、無段変速伝動機構10の概略側面図、図2は、そのセカンダリプーリ側における巻き掛け伝動部の詳細図である。
【0021】
図1において、11は、無段変速伝動機構10の駆動側プーリであるプライマリプーリ、12は、従動側プーリであるセカンダリプーリを示す。
これらプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間に無終端チェーンリンク13を掛け渡して設け、
無段変速伝動機構10は、この無終端チェーンリンク13を介しプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間で動力伝達を行い得るものとする。
【0022】
プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12はそれぞれ、回転軸線方向に正対する対向シーブ11a,12a(図1では便宜上、手前側のシーブを除去して、向こう側のシーブのみを示す)を具え、これら対向シーブ11a間および対向シーブ12a間にプーリV溝を画成したV溝プーリとする。
【0023】
無終端チェーンリンク13は、図2に明示するごとく、多数のリンク板14を順次、その両端におけるリンクピン挿通孔14a内のリンクピン15で数珠繋ぎに連結して連続円環状に構成する。
そして各リンクピン15の両端面は、プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12のプーリV溝側壁を提供する対向シーブ11aの内側面および対向シーブ12aの内側面と面接触するよう傾斜させる。
【0024】
かくて無終端チェーンリンク13は、プーリ巻き付き領域においてリンクピン15を、プライマリプーリ11の対向シーブ11a間およびセカンダリプーリ12の対向シーブ12a間に挟圧され、プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間での動力伝達を行うことができる。
【0025】
プライマリプーリ11の対向シーブ11aは、その一方を固定シーブとし、他方を軸線方向にストローク制御可能な可動シーブとする。
セカンダリプーリ12の対向シーブ12aは、プライマリプーリ11の可動シーブと同じ側におけるシーブを固定シーブとし、プライマリプーリ11の固定シーブと同じ側におけるシーブを軸線方向にストローク制御可能な可動シーブとする。
【0026】
プライマリプーリ11の可動シーブを固定シーブに対し接近させてプーリV溝幅を狭くすると同時に、セカンダリプーリ12の可動シーブを固定シーブから遠ざけてプーリV溝幅を広くするにつれ、
無終端チェーンリンク13は、プライマリプーリ11に対する巻き掛け径を増大されると共に、セカンダリプーリ12に対する巻き掛け径を小さくされ、無段変速伝動機構10は図1に示す最ハイ変速比選択状態に向け無段変速下にアップ可能である。
【0027】
逆に、プライマリプーリ11の可動シーブを固定シーブから遠ざけてプーリV溝幅を広くすると同時に、セカンダリプーリ12の可動シーブを固定シーブに対し接近させてプーリV溝幅を狭くするにつれ、
無終端チェーンリンク13は、プライマリプーリ11に対する巻き掛け径を小さくされると共に、セカンダリプーリ12に対する巻き掛け径を増大され、無段変速伝動機構10は図1に示す最ハイ変速比選択状態から図示せざる最ロー変速比選択状態に向け無段変速下にダウンシフト可能である。
【0028】
上記した図1の最ハイ変速比選択状態でセカンダリプーリ12に対する無終端チェーンリンク13のスリップを抑制して無段変速伝動機構10の伝動効率を向上させるため、図1,2では、セカンダリプーリ12の中心ボス部16に、その外周面から突出するよう複数個の可動歯17を円周方向等間隔に配して設ける。
これら可動歯17は、セカンダリプーリ中心ボス部16の外周面に嵌着した円筒状の可動歯ホルダー18に対し制限範囲内で径方向進退可能に嵌合し、後で詳述するようなバネ手段19により、図1,2に示すごとく可動歯ホルダー18から径方向外方へ突出した進出限界位置に弾支する。
【0029】
無終端チェーンリンク13の内周縁を画成する各リンク板14の内側縁には、セカンダリプーリ12対する巻き掛け領域において、可動歯17の突出先端が図2,3のごとく噛み合うための可動歯噛合溝14bを設け、
可動歯17と可動歯噛合溝14bとの噛み合いにより、最ハイ変速比選択状態でセカンダリプーリ12に対する無終端チェーンリンク13のスリップを抑制し、無段変速伝動機構10の伝動効率を向上させることができる。
【0030】
しかして可動歯17は、可動歯噛合溝14bと整列せずこれとの噛み合いが不能である場合、バネ手段19に抗してリンク板14の内側縁により可動歯ホルダー18内に押し込まれた後退位置となり得て、可動歯17が無終端チェーンリンク13との干渉によりこれを損傷させるようなことがない。
【0031】
<バネ手段の詳細>
可動歯ホルダー18内の可動歯17を、セカンダリプーリ中心ボス部16の外周でその径方向外方へ附勢するバネ手段19を、本実施例においては図4〜6に示すごとく3個一組とし、これらバネ手段19を可動歯17の長手方向、つまりセカンダリプーリ中心ボス部16の軸線方向へ分散配置する。
この分散配置に当たり、好ましくはバネ手段19をできるだけ可動歯17の長手方向等分配置となるよう分散させるのが良い。
【0032】
各バネ手段19は全てを同様なものとし、図3〜9につき説明する以下のごとき構成とする。
本実施例におけるバネ手段19は、その全体を図8(a)および図9に示すように、線状体のU字状エレメント21と、同じく線状体の連結エレメント22とを交互に同一円周上に配置して一体ユニットとなす。
【0033】
U字状エレメント21は、セカンダリプーリ中心ボス部16の外周と各可動歯17との間において、つまり可動歯ホルダー18の対応する可動歯収容溝18a内において、該中心ボス部外周の母線方向へ延在するよう介在させる。
従ってU字状エレメント21は可動歯17と同数だけ存在し、これらU字状エレメント21は、その対向脚部21aが相互非結合端においてセカンダリプーリ中心ボス部16の外周に着座し、これら対向脚部21aが相互結合端において可動歯17に着座するよう指向させ、当該U字状エレメント21の指向方向を3個のバネ手段19で同じとする。
【0034】
隣り合うU字状エレメント21の隣接脚部21a同士を、両者の相互非結合端において連結エレメント22により結合し合うことにより、全てのU字状エレメント21を相互に一体化する。
これらU字状エレメント21の一体化に際しては、U字状エレメント21を、対向脚部21aの相互結合端が相互非結合端よりも可動歯17に近づくよう、図9にθで示す角度だけ傾斜させて、U字状エレメント21が全周に亘って皿バネ形状に存在するようなものとする。
かくてバネ手段19は、線状エレメント21,22の交互組み合わせに成るの連続線状体となり、捩りバネ型式の構造を持つこととなる。
【0035】
ところでバネ手段19は、図8(a)のVIII部において隣り合うU字状エレメント21の隣接脚部21a同士を連結せず、U字状エレメント21の一体化ユニットであるバネ手段19を、1箇所が切り欠かれたC字状に構成する。
そして、当該相互に連結しなかった隣り合うU字状エレメント21の隣接脚部21aにそれぞれ、図8(a),(b)に示すようなバネ手段拡開防止フック23を設ける。
【0036】
上記のような図8,9に示すC字状のバネ手段19は3個一組とし、それぞれを図8(a),(b)の切り欠き箇所VIIIにおいて円周方向に拡開させ、この状態で図4、図5(a),(b)、図6(b)に示すごとく、バネ手段19を可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合する。
このとき3個のC字状バネ手段19は、バネ手段拡開防止フック23を設けた切り欠き部が、円周方向等間隔(120°)の位置にある可動歯17と整列するような回転位置で、可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合する。
【0037】
そしてこの嵌合時に、バネ手段拡開防止フック23を図4および図5(a)に示すごとく、可動歯ホルダー18上の対応する段部18bに係合させることにより、3個一組のC字状バネ手段19がそれぞれ、円周方向へ拡開されるのを防止する。
【0038】
かようにC字状バネ手段19を可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合した後、可動歯ホルダー18上の可動歯収容溝18a内に可動歯17を差し込んで、可動歯ホルダー18に対するバネ手段19および可動歯17の組付けを完了する。
【0039】
<第1実施例の作用効果>
上記したようなバネ手段19は、図9に示すU字状エレメント21の傾斜角θを適切に設定することにより、可動歯ホルダー18上の可動歯収容溝18a内に可動歯17を差し込んで組み付けるとき、U字状エレメント21の対向脚部21aが相互結合端において可動歯17により径方向内方へ押し込まれ、連結エレメント22を捩り変形させる。
よって可動歯17の組み付け時に、連結エレメント22の捩り変形反力が可動歯17を可動歯ホルダー18の可動歯収容溝18a内で径方向外方へ附勢し、可動歯17を通常は可動歯ホルダー18の可動歯収容溝18aから径方向外方へ突出した進出限界位置に弾支することができ、前記したスリップ防止を実現し得る。
【0040】
ところで本実施例においては、可動歯17をこの位置に弾支するバネ手段19を特に、可動歯17ごとの前記U字状エレメント21と、隣り合うU字状エレメント21の隣接脚部21a間を相互に結合する前記連結エレメント22との交互連続体により構成したため、
バネ手段19が捩りバネ型式のものとなり、図10にα2(図9のU字状エレメント傾斜角θが大きいとき)およびα3(U字状エレメント傾斜角θが小さいとき)で示すごとく、コイルバネなどを用いた場合の従来の特性α1よりも、小さなバネストロークで大きな荷重(バネ力)を発生させることができる。
【0041】
従って、小さなバネストロークで、可動歯17が要求する径方向外方附勢力を発生させることができ、プーリ中心ボス部16の外周と可動歯17との間における制限されたスペースでも、ここに上記のバネ手段19を容易に収納することができると共に、可動歯17を所定の力で径方向外方へ附勢することができる。
【0042】
また本実施例のバネ手段19によれば、上記の通り小さなバネストロークで要求するバネ力を発生させ得ることから、バネストロークを稼ぐ必要がなくて、バネストロークのためにプーリ中心ボス部16の軸径を細くする必要もなく、プーリ中心ボス部16の軸強度不足に伴う耐久性の問題も生ずることがない。
【0043】
本実施例によれば更に、バネ手段19がU字状エレメント21および連結エレメント22の連続体であることから、これらエレメント21,22を逃がすための溝を可動歯17に設ける必要がなく、可動歯17の構造が複雑になってコスト高になるという問題を生ずることもない。
また同様な理由から、つまりバネ手段19がU字状エレメント21および連結エレメント22の連続体であることから、このバネ手段19は前記した通り、可動歯17をプーリ中心ボス部16の外周に組み付ける前に組み付けておくことができ、組み付け作業性の点でも大いに有利である。
【0044】
更に、上記のようなバネ手段19を複数個(3個)一組とし、これらバネ手段19を中心ボス部16の軸線方向へ分散配置して、複数個(3個)のバネ手段19がU字状エレメント21を介し可動歯17をその長手方向等分箇所において径方向外方へ附勢するようにしたため、
可動歯17が長尺物である場合においても、これをその長手方向において均等にバランス良く径方向外方へ附勢することができ、可動歯17の片当たりを防止することができる。
【0045】
また、隣り合うU字状エレメント21のうち、一対の隣り合うU字状エレメントは、隣接脚部21a同士の連結エレメント22による結合を行わずに、バネ手段19をC字状に構成したため、
バネ手段19をC字状の切り欠き箇所において円周方向に拡開させた状態で、図4、図5(a),(b)、図6(b)に示すごとく、可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合し得ることとなり、バネ手段19の組み付け作業が容易である。
【0046】
更に、連結エレメント22による結合を行わなかった一対の隣り合うU字状エレメント21の隣接脚部21aにそれぞれ、可動歯ホルダー18上の段部18bと係合してC字状バネ手段19の円周方向への拡開を防止する拡開防止フック23を設けたため、
C字状バネ手段19がこの拡開により円周方向に位置ずれするのを防止することができ、U字状エレメント21を図7(b),(c)に示すごとく可動歯17に対し芯だし状態に保って、前記の作用効果を更に確実なものにすることができる。
【0047】
また、3個のC字状バネ手段19を可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合するに際し、C字状バネ手段19を、バネ手段拡開防止フック23の設置箇所である切り欠き部が、円周方向等間隔(120°)の位置にある可動歯17と整列するような回転位置にして、当該嵌合を行うようにしたため、
何れのC字状バネ手段19(U字状エレメント21)によっても径方向外方に附勢されない可動歯17が発生することがないと共に、3個のC字状バネ手段19の切り欠き部が円周方向に等分に分散されることとなって、当該切り欠き部の存在によって径方向外方へ附勢されない可動歯17の発生を円周方向に等分に分散させることができる。
【0048】
<第2実施例の構成>
図11は、本発明の第2実施例になる無段変速伝動機構を示し、同図(a)は、図6(b)と同様に一部の可動歯17を除去してバネ手段19の配置を明示し、同図(b)は、無段変速伝動機構の要部縦断側面図である。
なお図11(a),(b)において、前記第1実施例におけると同様に機能する部分には同一符号を付して示した。
【0049】
バネ手段19は、上記第1実施例におけると同様な図8,9に示すごときC字状のバネ手段とする。
しかし本実施例の場合は、かかるバネ手段19を2個一組とし、これら2個のバネ手段19を図11(b)に明示するごとく、連結エレメント22が相互に接近した背中合わせになるよう配置し、図8(a),(b)の切り欠き箇所VIIIにおいて円周方向に拡開させた状態で、図11(a),(b)に示すごとく、可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合する。
このとき2個のC字状バネ手段19は、バネ手段拡開防止フック23(図8参照)を設けた切り欠き部が、直径方向対向位置にある可動歯17と整列するような回転位置で、可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合する。
【0050】
かように2個一組のC字状バネ手段19を可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合した後、可動歯ホルダー18上の可動歯収容溝18a内に可動歯17を差し込んで、可動歯ホルダー18に対するバネ手段19および可動歯17の組付けを完了する。
【0051】
かかる可動歯17の取り付け時に、2個一組のC字状バネ手段19はそれぞれ、相互に遠ざかる方向へ延在するU字状エレメント21の対向脚部21aを相互結合端において可動歯17により径方向内方へ押し込まれ、連結エレメント22を捩り変形させる。
よって可動歯17の組み付け時に、連結エレメント22の捩り変形反力が可動歯17を可動歯ホルダー18の可動歯収容溝18a内で径方向外方へ附勢し、可動歯17を通常は可動歯ホルダー18の可動歯収容溝18aから径方向外方へ突出した進出限界位置に弾支することができ、前記したスリップ防止を実現し得る。
【0052】
<第2実施例の作用効果>
上記した第2実施例においても、可動歯17を上記の進出限界位置に弾支するバネ手段19が、前記した第1実施例におけると同様な捩りバネ型式の構成であるため、
バネ手段19が、小さなバネストロークで、可動歯17の要求する径方向外方附勢力を発生させることができ、プーリ中心ボス部16の外周と可動歯17との間における制限されたスペースでも、ここに上記のバネ手段19を容易に収納することができると共に、可動歯17を所定の力で径方向外方へ附勢することができるという作用効果を奏し得るし、
その他の第1実施例による前記した諸々の作用効果の全てを、第2実施例においても同様に達成することができる。
【0053】
更に、上記のようなバネ手段19を2個一組とし、これらバネ手段19を連結エレメント22が相互に接近した背中合わせに配置したため、
可動歯17の長手方向中央箇所を挟んで対称になるよう2個一組のバネ手段19を配置することで、2個一組のバネ手段19がU字状エレメント21を介し可動歯17をその長手方向全般に亘って均等に径方向外方へ附勢し得ることとなり、
可動歯17が長尺物である場合においても、これをその長手方向において均等にバランス良く径方向外方へ附勢することができ、可動歯17の片当たりを防止することができる。
【0054】
また、2個一組のバネ手段19を可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合するに際し、バネ手段19を、バネ手段拡開防止フック23(図8参照)の設置箇所である切り欠き部が、直径方向対向位置にある可動部17と整列するような回転位置にして、当該嵌合を行うようにしたため、
何れのバネ手段19(U字状エレメント21)によっても径方向外方に附勢されない可動歯17が発生することがないと共に、2個のC字状バネ手段19の切り欠き部が円周方向に等分に分散されることとなって、当該切り欠き部の存在によって径方向外方へ附勢されない可動歯17の発生を円周方向に等分に分散させることができる。
【0055】
<第3実施例の構成>
図12〜15は、本発明の第3実施例になる無段変速伝動機構を示し、本実施例は、第1実施例と同様に中心ボス部16の軸線方向へ3列のバネ手段を分散配置する構成を踏襲するが、各列のバネ手段として、図12に示すごとく内周側バネ手段19iおよび外周側バネ手段19oより成る内外周2個一組のバネ手段を用いたものである。
なお図12〜15において、前記第1実施例におけると同様に機能する部分には同一符号を付して示した。
【0056】
内周側バネ手段19iおよび外周側バネ手段19oをそれぞれ、基本的には図12に示すごとく、図8,9につき前述した前記第1実施例におけると同様なC字状のバネ手段とし、
これら内周側バネ手段19iおよび外周側バネ手段19oはそれぞれ、U字状エレメント21i,21oと、連結エレメント22i,22oと、バネ手段拡開防止フック23i,23oとから成るものとする。
【0057】
但し外周側バネ手段19oは、内周側バネ手段19iに対し径方向へ重ねて配置するため、それが可能となるよう内周側バネ手段19iよりも大径であるのは言うまでもない。
また、内周側バネ手段19iに設けるU字状エレメント21iおよび連結エレメント22iのうち、U字状エレメント21iは、図13〜15に示すごとく一つおきの可動歯17を径方向外方へ附勢するよう、当該一つおきの可動歯17と整列する位置に存在するものとし、連結エレメント22iは、かかるU字状エレメント21i間を前述したと同様に相互連結するようなものとする。
【0058】
更に外周側バネ手段19oに設けるU字状エレメント21oおよび連結エレメント22oのうち、U字状エレメント21oは、図13〜15に示すごとく残りの一つおきの可動歯17を径方向外方へ附勢するよう、当該残りの一つおきの可動歯17と整列する位置に存在するものとし、連結エレメント22oは、かかるU字状エレメント21o間を前述したと同様に相互連結するようなものとする。
【0059】
これら内周側バネ手段19iおよび外周側バネ手段19oの組み付けに当たっては、先ず内周側バネ手段19iを、バネ手段拡開防止フック23iが設けられた切り欠き箇所において円周方向に拡開させ、この状態で図13〜15に示すごとく、内周側バネ手段19iを可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合する。
このとき3列の内周側バネ手段19i はそれぞれ、バネ手段拡開防止フック23iを設けた切り欠き部が、円周方向等間隔(120°)の位置にある可動歯17と整列するような回転位置で、可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合する。
【0060】
そしてこの嵌合時に、バネ手段拡開防止フック23iを図13に示すごとく、可動歯ホルダー18上の対応する段部18bに係合させることにより、3列の内周側バネ手段19iがそれぞれ、円周方向へ拡開されるのを防止する。
【0061】
次いで外周側バネ手段19oを、バネ手段拡開防止フック23oが設けられた切り欠き箇所において円周方向に拡開させ、この状態で図13〜15に示すごとく、外周側バネ手段19oを内周側バネ手段19iに被せて可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合する。
このとき外周側バネ手段19oは、バネ手段拡開防止フック23oを設けてある切り欠き箇所が内周側バネ手段19i の切り欠き箇所と直径方向に対向する位置となり、且つ、U字状エレメント21oが内周側バネ手段19i のU字状エレメント21i間に位置するような回転位置で、可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合する。
更に3列の外周側バネ手段19o はそれぞれ、バネ手段拡開防止フック23oを設けた切り欠き部が、円周方向等間隔(120°)の位置にある可動歯17と整列するような回転位置で、可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合する。
【0062】
そしてこの嵌合時に、バネ手段拡開防止フック23oを図14(a)に示すごとく、可動歯ホルダー18上の対応する段部18bに係合させることにより、3列の外周側バネ手段19oがそれぞれ、円周方向へ拡開されるのを防止する。
【0063】
かように内周側バネ手段19iおよび外周側バネ手段19oを可動歯ホルダー18上の対応する円周溝に嵌合した後、可動歯ホルダー18上の可動歯収容溝18a内に可動歯17を図14,15のように差し込んで、可動歯ホルダー18に対するバネ手段19i,19oおよび可動歯17の組付けを完了する。
【0064】
かくして各対の内周側バネ手段19iおよび外周側バネ手段19oは、互い違いの可動歯17をU字状エレメント21i,21oにより径方向外方へ附勢して、これら可動歯17を通常は可動歯ホルダー18の可動歯収容溝18aから径方向外方へ突出した進出限界位置に弾支することができ、前記したスリップ防止を実現し得る。
【0065】
<第3実施例の作用効果>
上記した第3実施例においても、可動歯17を上記の進出限界位置に弾支するバネ手段19i,19oが、前記した第1実施例におけると同様な捩りバネ型式の構成であるため、
バネ手段19i,19oが、小さなバネストロークで、可動歯17の要求する径方向外方附勢力を発生させることができ、プーリ中心ボス部16の外周と可動歯17との間における制限されたスペースでも、ここに上記のバネ手段19i,19oを容易に収納することができると共に、可動歯17を所定の力で径方向外方へ附勢することができるという作用効果を奏し得るし、
その他の第1実施例による前記した諸々の作用効果の全てを、第3実施例においても同様に達成することができる。
【0066】
更に本実施例によれば、同じ軸線方向位置のバネ手段を内外周2個一組のバネ手段19i,19oで構成し、これら内周側バネ手段19iおよび外周側バネ手段19o(U字状エレメント21i,21o)により互い違いの可動歯17を径方向外方へ附勢して進出限界位置に弾支するため、
内周側バネ手段19iのU字状エレメント21iが径方向外方へ附勢する可動歯17の間隔が大きいと共に、外周側バネ手段19oのU字状エレメント21oが径方向外方へ附勢する可動歯17の間隔も大きく、隣接する可動歯17間で影響を及ぼし合う傾向を緩和することができる。
【0067】
例えばU字状エレメント21iにより径方向外方へ附勢されている隣り合った可動歯17のうち、一方は無終端チェーンリンク13(リンク板14)の可動歯噛合溝14bと噛み合っているものの、他方が無終端チェーンリンク13(リンク板14)の可動歯噛合溝14bと噛み合わず、無終端チェーンリンク13(リンク板14)との干渉により押し込まれている場合でも、
本実施例ではこれら隣り合った可動歯17の間隔が大きいため、これら隣り合った可動歯17間で影響を及ぼし合う傾向を緩和し、安定した荷重を可動歯17に付与し続けることができる。
【0068】
また、内周側バネ手段19iおよび外周側バネ手段19oの相対回転位置が前記した通りのものであり、バネ手段拡開防止フック23iを設けてある内周側バネ手段19i の切り欠き箇所と、バネ手段拡開防止フック23oを設けてある外周側バネ手段19oの切り欠き箇所とが直径方向に対向する位置にあるため、
対をなす内周側バネ手段19iおよび外周側バネ手段19oの何れによっても径方向外方に附勢されない可動歯17が発生することがないと共に、これらバネ手段19i,19oの切り欠き部が円周方向に等分に分散されることとなって、当該切り欠き部の存在によって径方向外方へ附勢されない可動歯17の発生を円周方向に等分に分散させることができる。
【0069】
<その他の実施例>
なお図12〜15に示す第3実施例においては、図1〜9に示す第1実施例のごとく中心ボス部16の軸線方向へ3列のバネ手段を分散配置する場合について、各列のバネ手段を内周側バネ手段19iおよび外周側バネ手段19oの組み合わせにより構成することとしたが、
これに限られるものではなく、図11に示す第2実施例のごとく中心ボス部16の軸線方向へ2列のバネ手段を逆向き配置する場合も、各列のバネ手段を、図12〜15に示す第3実施例と同様な考え方により内周側バネ手段19iおよび外周側バネ手段19oの組み合わせにより構成して、同様な作用効果が得られるようにすることができる。
【符号の説明】
【0070】
10 無段変速伝動機構
11 プライマリプーリ
12 セカンダリプーリ
13 無終端チェーンリンク
14 リンク板
14a リンクピン挿通孔
14b 可動歯噛合溝
15 リンクピン
16 プーリ中心ボス部
17 可動歯
18 可動歯ホルダー
18a 可動歯収容溝
19 バネ手段
19i 内周側バネ手段
19o 外周側バネ手段
21,21i,21o U字状エレメント
21a 対向脚部
22,22i,22o 連結エレメント
23,23i,23o バネ手段拡開防止フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無終端チェーンリンクと、この無終端チェーンリンクを無段変速可能に巻き掛けしたプーリとから成り、
該プーリの中心ボス部外周にバネ手段で径方向外方へ附勢して径方向進退可能に設けた可動歯と、前記無終端チェーンリンクに設けた可動歯噛合溝との噛み合いにより、該噛み合いが可能な伝動比でのスリップ防止を可能にした無段変速伝動機構において、
前記バネ手段は、前記中心ボス部外周と可動歯との間に、該中心ボス部外周の母線方向へ延在するよう介在させたU字状エレメントを具え、
これらU字状エレメントを、該U字状エレメントの対向脚部が相互非結合端において前記中心ボス部外周に着座し、該対向脚部が相互結合端において前記可動歯に着座するよう指向させ、
隣り合う前記U字状エレメントの隣接脚部同士を、前記相互非結合端において連結エレメントにより結合し合うことにより、前記U字状エレメントを相互に一体化して、前記U字状エレメントの対向脚部が前記相互結合端で前記可動歯に前記径方向外方への附勢力を付与するよう構成したことを特徴とする無段変速伝動機構。
【請求項2】
請求項1に記載された無段変速伝動機構において、
前記連結エレメントの捩りバネ反力で前記U字状エレメントの対向脚部が前記相互結合端において前記可動歯に前記径方向外方への附勢力を付与するものであることを特徴とする無段変速伝動機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載された無段変速伝動機構において、
前記隣り合うU字状エレメントのうち、一対の隣り合うU字状エレメントは、隣接脚部同士の前記連結エレメントによる結合を行わずに、前記U字状エレメントの相互一体化を図って、この一体化ユニットをC字状に構成したものであることを特徴とする無段変速伝動機構。
【請求項4】
請求項3に記載された無段変速伝動機構において、
前記連結エレメントによる結合を行わなかった前記一対の隣り合うU字状エレメントの隣接脚部にそれぞれ、前記中心ボス部外周と係合して前記C字状一体化ユニットの円周方向への拡開を防止する拡開防止フックを設けたことを特徴とする無段変速伝動機構。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載された無段変速伝動機構において、
前記U字状エレメントの相互一体化ユニットを複数個一組とし、これらU字状エレメントの相互一体化ユニットを前記中心ボス部の軸線方向へ分散配置したことを特徴とする無段変速伝動機構。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載された無段変速伝動機構において、
前記中心ボス部の同じ軸線方向位置に前記U字状エレメントの相互一体化ユニットを複数個一組として設け、これらユニットは、互い違いの可動歯を径方向外方へ附勢するU字状エレメントが設定されているものであることを特徴とする無段変速伝動機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−67844(P2012−67844A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213081(P2010−213081)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(510255093)大和発条株式会社 (1)
【Fターム(参考)】