無溶媒エマルジョンによるポリエステルラテックス製造方法
【課題】軟化点約95℃から約120℃までを有する樹脂混合物を形成するために、無溶媒エマルジョンによるポリエステルラテックスを製造する方法を提供する。
【解決手段】押し出し機またはバッチ工程のいずれかによって樹脂混合物の形成のために、有機溶媒の不存在化で、少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂に粘度を軽減する添加剤を接触させる工程と、界面活性剤、中和剤および脱イオン水を樹脂に添加する工程とを含む、トナー組成物としての使用に適したラテックスエマルジョンの製造工程である。
【解決手段】押し出し機またはバッチ工程のいずれかによって樹脂混合物の形成のために、有機溶媒の不存在化で、少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂に粘度を軽減する添加剤を接触させる工程と、界面活性剤、中和剤および脱イオン水を樹脂に添加する工程とを含む、トナー組成物としての使用に適したラテックスエマルジョンの製造工程である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
数々のプロセスが当業者の用いるトナー調製の範囲内である。エマルジョン凝集(EA)はこのうちの一つの方法である。エマルジョン凝集トナーはプリントおよびまたはコピーのイメージを形成するために使用することができる。エマルジョン凝集技術はモノマーを加熱し、バッチまたは半連続的なエマルジョン重合を実施することによる、ポリマーエマルジョン形成を含むことができる。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルトナーを図に示すように、非結晶性および結晶性ポリエステル樹脂を利用して調整する。これらポリエステルをトナーに取り入れることは、最初に溶媒を含むバッチプロセス、例えば共に時間およびエネルギーを消費する、溶媒フラッシュ乳化およびまたは溶剤方転相乳化法(PIE)による調製のエマルジョンに処方することを必要とする。両方の場合、大量な有機溶媒、例えばケトン類またはアルコール類を樹脂溶解に使用し、その後、ラテックスを形成するためのエネルギー集約型の蒸留を必要とするため、環境にやさしくない。
【0003】
無溶剤ラテックスエマルジョンをバッチまたは押し出し法のいずれかで、中和溶液、界面活性剤溶液、および水を熱で柔化した樹脂に添加することによって、形成した。しかしながら、非結晶性樹脂は、それらが明確な融点を示さず、100℃でさえ、エマルジョン形成に不利に働くおそれがある相当な粘性を示す点で、溶媒の使用なしで処理することが困難である。溶媒を非結晶性樹脂に添加することで、粘度を減少して、鎖末端の必要な再配列を可能にすることができ、それは安定なラテックスの形成に導く粒子を安定化および形成することができる。蒸留の溶媒を取り除く、さらなる方法のステップは、しかしながらその複雑さ、エネルギー消費および費用の付加があるため、望ましくない。
【0004】
トナー製造の使用に適したポリマーラテックスの調製のために、無溶媒方法を提供することは、より効率的、より時間をかけず、そして高い製品収量を有するため、有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、軟化点約95℃から約120℃までを有する樹脂混合物の形成のために、少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂に有機溶媒の不存在下で結晶性ポリエステル樹脂を含む粘度を軽減する添加剤(viscosity reducing additive)を接触させる工程と、樹脂混合物に界面活性剤および中和剤を接触させる工程と、混合物を溶融混合する工程と、エマルジョン形成のために、溶融混合物に脱イオン水を接触させる工程と、ラテックス粒子を連続的に回収する工程とを含む方法である。
【0006】
本開示はまた有機溶媒の不存在下で、軟化点約95℃から約120℃までを有する樹脂混合物の形成のために、少なくとも一つの結晶性ポリエステル樹脂に少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂を接触させる工程と、混合物に界面活性剤および中和剤を接触させる工程と、混合物を溶融混合する工程と、水中油型エマルジョンの形成のために、溶融混合物に脱イオン水を接触させる工程と、約0.01%から約3%までの粗容量(coarse content)を有するラテックス粒子を連続的に回収する工程とを含む方法である。
【0007】
実施形態において、本開示の方法はまた、任意の着色剤、任意のワックスおよび第二の非結晶性ポリエステル樹脂とラテックス粒子を接触させる工程を含み、ラテックス粒子の周りにシェルを形成して、それによってトナー粒子を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1はMetler−Toledo軟化点測定装置による本開示にかかる樹脂混合物組成物の軟化点を描くグラフである。
【図2】図2は本開示の比較例1にかかる、ポリエステルラテックスの調製における押し出し方法を描くフローチャートである。
【図3】図3は本開示の実施例1にかかる、ポリエステルラテックスの調製における押し出し方法を描くフローチャートである。
【図4】図4は本開示の実施例1に従って製造したラテックスの粒度分布を示すグラフである。
【図5】図5は本開示の実施例2に従うポリエステルラテックスの調製する押し出し方法を示すフローチャートである。
【図6】図6は本開示の実施例2に従うラテックス製造における粒子サイズの分布を描くグラフである。
【図7】図5は本開示の実施例3に従うポリエステルラテックスの調整における押し出し方法を描くフローチャートである。
【図8】図6は本開示の実施例3にかかる、ラテックス製造における粒子サイズの分布を描くグラフである。
【図9】図9は本開示の比較例2にかかる、ラテックス製造における粒子サイズの分布を描くグラフである。
【図10】図6は本開示の実施例4にかかる、ラテックス製造における粒子サイズの分布を描くグラフである。
【図11】図11はトナー阻害性質および実施例2、3および4にかかるトナーの製造の粘着をラテックス由来のコントロールトナーから製造した溶媒の乳化方法を描くグラフである。
【図12】図12は実施例において製造される本開示のトナーから得られた光沢値を溶媒エマルジョン化方法から製造されたラテックス由来から製造されたコントロールトナーとの比較を描くグラフである。
【図13】図13は実施例から製造される本開示のトナーから得られる折り曲げ値を溶媒エマルジョン化法由来のラテックスから製造されるコントロールトナーとの比較の折り曲げ値を描くグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は高い収集、低い粗容量、トナー形成に利用することができるポリマーラテックスの形成における無溶媒方法を提供する。
【0010】
実施形態において、本開示は有機溶媒の不存在下で、樹脂混合物を形成するため、少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂に粘度を軽減する添加剤を接触する工程と、樹脂混合物に界面活性剤および中和剤を接触する工程と、混合物を溶融混合する工程と、エマルジョン形成のために溶融混合物に脱イオン水を接触する工程と、ラテックス粒子を連続的に回収する工程とを含む方法を提供する。
【0011】
実施形態において、本開示は有機溶媒の不存在下で、軟化点約60℃から約130℃までを有する樹脂混合物を形成するため、少なくとも一つの結晶性ポリエステル樹脂に少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂を接触する工程と、混合物に界面活性剤および中和剤を接触する工程と、混合物を溶融混合する工程と、水中油型エマルジョンを形成するため、溶融混合物に脱イオン水を接触する工程と、約0%から約3%までを有する粗容量のラテックス粒子を連続的に回収する工程とを含む方法を提供する。
【0012】
結晶性ポリエステル樹脂を非結晶性ポリエステル樹脂に添加する等の粘性を軽減する添加剤の添加は、非結晶性ポリエステル樹脂が無溶剤の中においてエマルジョン化することを可能とする。結晶成分なしで、非結晶性樹脂は同様の無溶媒実験条件下においてもエマルジョン化しない。非結晶性樹脂はシャープな融点を示さず、100℃でさえも十分な粘性を示すからである。粘着力は現在実施されている溶媒に基づく転相乳化(PIE)法に基づいて明らかであるように、エマルジョン形成に不利に作用する。溶媒を添加することで粘度を低下して、鎖末端の必要な再配列に、界面活性剤なしで安定なラテックスの形成を導く粒子を安定化および形成することを可能とするためである。従って、非結晶性樹脂からのラテックスエマルジョンの生成のための無溶媒工程の達成は、非結晶性樹脂の高い粘性から困難である。
【0013】
環境の観点で、溶剤に基づく転相乳化(PIE)法は、同時に溶媒を回避する無溶媒法(無溶媒法)に比べて望ましくない。溶媒を蒸留するため、必要とされるエネルギー、従って二酸化炭素排出量(carbon footprint)への関連は、蒸発の潜熱を乗りきると仮定すると大きい。蒸留後、低濃度の溶媒がラテックスに残存し、従って下流の排水系の設計で扱うべきである。従って、溶媒の使用は、低効率で、比較的に望ましくなく、そして費用がかかるラテックス製造系をもたらす。
【0014】
本開示に従って、粘性を軽減する添加剤は、実施形態において、結晶性ポリエステル樹脂を非結晶性ポリエステル樹脂に添加することができ、樹脂の軟化温度を、例えば水の沸点付近の温度まで低下させ、溶融混合物の粘着は無溶媒法によるエマルジョンを形成するため、十分に低い。粘性を軽減する添加剤を非結晶性ポリエステルに添加することによって、非結晶性樹脂の粘性を十分に低下させ、非結晶性樹脂の無溶媒によるエマルジョン化を十分に可能とする。すなわち、無溶媒法において、粘性を軽減する添加剤、実施形態において、添加溶媒に対する従来の溶媒のPIE法とほぼ同様に、結晶性ポリエステルは非結晶性ポリエステルに溶媒として働く。従って、本開示はラテックス製造および投与を非常に単純化する非結晶性および結晶性樹脂の両方を含む単一の無溶媒のラテックスを提供する。さらに、本開示は、トナーのコアで無溶媒の非結晶性ラテックスの製造を可能とし、従って大量の樹脂(実施形態において、約67%)を商業的および環境的の利点とともに無溶媒法で製造することを可能である。
【0015】
さらにPIE法に基づく溶媒と対照的に、粘性を軽減する添加剤を生成物に残すことができ、ラテックスから分離する必要がない。それは溶媒の使用に関する蒸留時間、廃棄物処理、および費用を排除する。この方法は連続的に、バッチの両方における無溶媒エマルジョン化方法において実施することが可能である。
【0016】
本明細書に使用される“有機溶媒の不存在”とは、実施形態において、例えば有機溶媒がエマルジョン化に樹脂または中和剤を溶解するために使用しないことである。しかしながら、樹脂形成の方法における使用の結果として、少量の溶媒がそのような樹脂に存在することが可能である。
【0017】
いずれかの樹脂が本開示のラテックス樹脂形成において使用することができる。実施形態において、樹脂は非結晶性樹脂、結晶性樹脂、およびまたはそれらの組み合わせであることができる。適した樹脂はまた米国特許第6,830,860号明細書に記載の非結晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂の混合物を含むことができる。
【0018】
実施形態において、樹脂は任意の触媒の存在化におけるジオールと二塩基酸の反応において形成するポリエステル樹脂であることができる。
【0019】
結晶性樹脂は、例えばトナー組成物の約1から約50重量%まで、実施形態においてトナー組成物の約5から約35重量%までにおいて存在することができる。結晶性樹脂は様々な融点、例えば約30℃から約120℃まで、実施形態において約50℃から約90℃までを有することができる。結晶性樹脂はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定において、数均分子量(Mn)、例えば約2,000から約50,000まで、実施形態において約5,000から約25,000まで、ポリスチレンを基準として使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定において、重量平均分子量(Mw)、例えば約3,000から約100,000まで、実施形態において約5,000から約80,000までであることができる。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば約2から約6まで、実施形態において約3から約4までであることができる。
【0020】
実施形態において、上記のように、非飽和性の非結晶性ポリエステル樹脂をラテックス樹脂として使用することができる。
【0021】
使用することができる、適した結晶性樹脂は、任意に米国特許出願公開第2006/0222991号明細書に開示のものを含む上記の非結晶性樹脂との組み合わせである。実施形態において、適した結晶性樹脂は
【化1】
(式中、bは約5から約2000まで、dは約5から約2000まで)であることができる。
【0022】
非結晶性樹脂は、例えばトナー組成物の約30から約90重量%まで、実施形態においてトナー組成物の約40から約80重量%までにおいて存在することができる。実施形態において、ラテックスに利用される非結晶性樹脂または非結晶性樹脂の組み合わせはガラス転移温度約30℃から約80℃まで、実施形態において約35℃から約70℃までを有することができる。さらなる実施形態において、ラテックスに使用される樹脂の組み合わせは約130℃で溶融粘度約10から約1,000,000Pa*Sまで、実施形態において約50から約100,000Pa*Sまでを有することができる。
【0023】
一つ、二つまたはそれ以上の樹脂を使用することができる。実施形態において、二つ以上の樹脂を使用したとき、樹脂はいずれか適した割合(例えば、重量比)、例えば約1%(第一の樹脂)/99%(第二の樹脂)から約99%(第一の樹脂)/1%(第二の樹脂)まで、実施形態において約10%(第一の樹脂)/90%(第二の樹脂)から約90%(第一の樹脂)/10%(第二の樹脂)まで等であることができる。
【0024】
実施形態において、本開示の適したトナーは2つの非結晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含むことができる。3つの樹脂の重量比は、約第一の非結晶性樹脂29%/第二の非結晶性樹脂69%/結晶性樹脂2%から約第一の非結晶性樹脂60%/第二の非結晶性樹脂20%/結晶性樹脂20%までであることができる。
【0025】
実施形態において、樹脂は酸性基を有することができ、実施形態において樹脂の末端に存在することができる。カルボン酸基等を含む酸性基が存在することができる。カルボン酸基の数は、樹脂および反応条件の形成において利用される原料によって調整することでコントロールすることができる。
【0026】
実施形態において、樹脂は酸価約2mgKOH/g樹脂から約200mgKOH/g樹脂、実施形態において約5mgKOH/g樹脂から約500mgKOH/g樹脂を有するポリエステル樹脂であることができる。酸を含む樹脂をテトラヒドロフラン溶液に溶解することができる。酸価はフェノールフタレインを指示薬として含むKOH/メタノール溶液によって検出することができる。酸価をその後、滴定の終点を同定し、樹脂上の全酸性基を中和するために必要とするKOH/メタノールの当量に基づいて算出することができる。
【0027】
実施形態において、樹脂を弱塩基または中和剤と混合することができる。実施形態において、中和剤を樹脂の酸性基を中和のために使用することができ、従って本明細書における中和剤はまた“塩基の中和剤”として参照することができる。いずれか適した塩基中和剤を本開示に従って使用することができる。実施形態において、適切な塩基中和剤は無機塩基剤および有機塩基剤の両方を含むことができる。適した塩基剤は水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、それらの組み合わせ等を含むことができる。
【0028】
実施形態において、本開示にかかるエマルジョン形成はまた少量の水、実施形態において、脱イオン水(DIW)約30%から約95%まで、実施形態において約50%から約85%までの量、樹脂の溶解および軟化温度約40℃から約140℃まで、実施形態において約60℃から約100℃までであることができる。
【0029】
塩基剤は樹脂の約0.001重量%から50重量%まで、実施形態において樹脂の約0.001重量%から約25重量%まで、実施形態において樹脂の約0.1重量%から5重量%までの量において使用することができる。
【0030】
上記のように、塩基中和剤に酸性基を有する樹脂に添加することができる。塩基中和剤の添加は、従って酸性基約5から約12まで、実施形態において約6から約11までを有する樹脂を含むエマルジョンのpHを上昇することができる。酸性基の中和は、実施形態においてエマルジョンの形成を向上させることができる。
【0031】
実施形態において、本開示の方法は溶融混合前またはその最中に界面活性剤を上昇した温度の樹脂に添加することができる。実施形態において、上昇した温度で界面活性剤を樹脂の溶融混合前に加えることができる。
【0032】
利用するとき、樹脂エマルジョンは一つ、二つまたはそれ以上の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤はイオンの界面活性剤および非イオンの界面活性剤から選択することができる。アニオン性界面活性剤およびカチオン性活性剤をイオン性界面活性剤灯の用語に含む。実施形態において、固体または液体の界面活性剤約5重量%から約100重量%まで(純粋な界面活性剤)、実施形態において約10重量%から約95重量%までの濃度を添加することができる。実施形態において、界面活性剤を利用することができ、従って樹脂の約0.01重量%から約20重量%まで、実施形態において樹脂の約0.1重量%から約16重量%まで、他の実施形態において樹脂の約1重量%から約14重量%までの量において存在する。
【0033】
上記のように、この方法は、少なくとも一つの非結晶性樹脂、粘度を減少する添加剤、実施形態において少なくとも一つの結晶性樹脂、界面活性剤および中和剤を上昇した温度で含有する溶融混合物を含み、有機溶媒はこの方法において利用されずにラテックスエマルジョンを形成する。実施形態において、樹脂を溶融混合前に前もって混合することができる。実施形態において、樹脂を押し出し機のスクリュー供給機内に共仕込むことができる。
【0034】
一つを超える樹脂をラテックス形成のために利用することができる。上記のように、樹脂は非結晶性樹脂、結晶性樹脂またはそれらの組み合わせであることができる。実施形態において、樹脂は非結晶性樹脂であることができ、上昇した温度は非結晶性樹脂のガラス転移温度を超える温度であることができる。他の実施形態において、樹脂は結晶性樹脂、そして上昇した温度は結晶性樹脂の融点を超える温度であることができる。さらなる実施形態において、樹脂は非結晶性および結晶性樹脂の混合であることができ、温度は混合物のガラス転移温度を超えることができる。
【0035】
実施形態において、少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂を、粘着を減少する添加剤と接触させて、少なくとも一つの非結晶性樹脂の粘度を減少して、有機溶媒の不存在下において樹脂混合物を形成する。上記のように、実施形態において、粘性を軽減する添加剤は、結晶性ポリエステル樹脂であることができる。
【0036】
実施形態において、粘着を軽減する添加剤は非結晶性樹脂の軟化温度を低下し、従って非結晶性樹脂は軟化温度約90℃から約130℃まで、実施形態において約95℃から約120℃までを有することができる。
【0037】
実施形態において、粘性を軽減する添加剤は樹脂混合物の約2重量%から約50重量%まで、実施形態において約5重量%から約45重量%までの量、少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂は樹脂混合物の約50重量%から約98重量%まで、実施形態において約55重量%から約95重量%までの量において存在する。
【0038】
実施形態において、使用することができる中和剤は、上記の薬剤を含むことができる。実施形態において、使用される界面活性剤は、適した樹脂中和剤が起こることを保証し、高質且つ粗容量の低いラテックスを導くために、上記いずれかの界面活性剤であることができる。
【0039】
実施形態において、界面活性剤を溶融前、その最中またはその後、一つ以上の樹脂組成物の原料に添加することができる。実施形態において、界面活性剤を中和剤の添加前、その最中またはその後に加えることができる。実施形態において、界面活性剤を中和剤の添加前に加えることができる。実施形態において、界面活性剤を溶融混合前の予備混合した混合物に添加することができる。
【0040】
上昇した温度は約30℃から約300℃まで、実施形態において約50℃から約200℃まで、他の実施形態において約70℃から約150℃までであることができる。
【0041】
溶融混合物は押し出し機によって実施することができ、すなわち2軸押し出し機、煉る機械、例えばHaake混合機、回分反応機、または均一な混合物に近いものを作り出すために、親密に粘着性物質を混合することができるいずれか他の装置である。
【0042】
ラテックスエマルジョン形成のために、樹脂、中和剤および界面活性剤を溶融混合し、混合物にその後水を接触した。ラテックスと固形分約10%から約50%まで、実施形態において約20%から約40%までの形成のために、水を加えることができる。高い水の温度が溶解工程を速めることができる一方、ラテックスは室温未満の温度において形成することができる。他の実施形態において、水温は約40℃から約110℃まで、実施形態において約50℃から約100℃までであることができる。
【0043】
水と樹脂混合物の間の接触は、充填層においていずれかの適した方法、例えば容器または連続の管路で達成することができる。実施形態において、無溶媒の押し出し工程は図3に示すものが利用され、さらに以下の実施例1に記載する。実施形態において、樹脂混合物が押し出し機の下流に移したとき、水を注入ポートに加えることができる。実施形態において、水を三つの次のポートで添加することができる。これは、油中水型から水中油型までのエマルジョンの転移が緩やかであり、原料が相分離より混合して、押し出し機内におけるエマルジョン形成を最適化し続けることを確保するうえで有利である。実施形態において、最終ラテックスにおいて所望の固形分を達成するために、ポートは押し出し機内の予熱した脱イオン水を適切な速度で注入することができる。実施形態において、ポートは予熱した脱イオン水を押し出し機内に約40mL/minから約500mL/minまで、実施形態において約100mL/minから約400mL/minまでの速度において注入することができる。
【0044】
押し出し機から取り出された生成物は、保存のために、放出前、穏やかに混合し、その後、以下に記載の凝集/合体の工程に使用することによって、ラテックスの噴出物を含むものを予熱した水浴から回収することができる。
【0045】
他の実施形態において、例えばバッチ工程、混合物から取り出された溶融混合生成物を冷却し、粉砕し、その後予熱した脱イオン水とともにケトルに加えて、ラテックスを形成することができる。
【0046】
形成したラテックスエマルジョンの粒子サイズは界面活性剤および中和剤対ポリエステル樹脂の濃度比によって調整することができる。ラテックスの固体濃度は樹脂混合物対水の比率によって調整することができる。
【0047】
課題を解決するための手段
本開示に従って、本明細書の工程が、開始した樹脂の性質、実施形態において、エマルジョン形成に利用される、あらかじめ作られた樹脂と同様の分子量を保持しているエマルジョン化の樹脂粒子を生成することができることを見出した。
【0048】
水媒体内のエマルジョン化された樹脂粒子は約1500nmまたはそれ未満、例えば約10nmから約1200nmまで、実施形態において約30nmから約1000nmまでを有することができる。
【0049】
本開示のラテックス粒子のサイズ分布は約30nmから約500nmまで、実施形態において約125nmから約200nmまでであることができる。
【0050】
本開示のラテックスの粗容量は約0.01重量%から約3重量%まで、実施形態において約0.1重量%から約1重量%までであることができる。本開示のラテックスの固形成分は、約10重量%から約50重量%まで、実施形態において約20重量%から約40重量%までであることができる。
【0051】
エマルジョン化の後、さらに界面活性剤、水およびまたは中和剤を任意にエマルジョンの希釈のために、加えることができるが、これは必須ではない。エマルジョン化後、エマルジョンは室温、例えば約20℃から約25℃までに冷却することができる。
【0052】
本開示のラテックスエマルジョンは、いくつかの利点、例えば低粗容量、狭い粒度分布およびエマルジョン凝集トナーの製造に適した粒子サイズ;ホモジナイザーまたは他の分散装置をラテックス調製で全く必要とせず;粗粒子を取り除くため濾過を全く必要とせず;そして溶媒蒸留時間で必要な時間が全くないことを提供する。
【0053】
本開示のラテックスエマルジョンを、結晶性および非結晶性ポリエステル樹脂の組み合わせを使用して、エマルジョン凝集極低融解の工程に適した粒子サイズを生成するため、その後利用した。ラテックスを均一化または濾過使用なしに、低い粗容量において生成することができる。
【0054】
上記のようにエマルジョンを形成するように、樹脂混合物に水を接触させてから、結果として得られたラテックスをその後、当業者の用いるトナー形成の範囲内で利用することができる。極低融解トナーの形成のために、適した工程、実施形態においてエマルジョン凝集および合体工程によって、ラテックスエマルジョンに着色剤、任意に分散剤および他の添加剤を接触することができる。
【0055】
実施形態において、トナー形成に利用されるラテックスエマルジョンは、非結晶性樹脂および粘度を軽減する添加剤の両方を含むことができ、実施形態において結晶性樹脂である。
【0056】
実施形態において、着色剤、ワックスおよび他の添加剤を含む、任意のさらなるトナー組成物の原料を、本開示のラテックスエマルジョン形成のために、樹脂の溶融混合前、その最中またはその後、添加することができる。さらなる原料はラテックスエマルジョンの形成前、その最中またはその後に添加することができる。さらなる実施形態において、着色剤を界面活性剤の添加前に加えることができる。
【0057】
着色剤を添加する時、様々な既知の適した着色剤、例えば染料、顔料、染料の混合物、顔料の混合物、染料および顔料の混合物等をトナーに含むことができる。実施形態において、着色剤をトナーに、例えばトナーの約0.1から約35重量%まで、またはトナーの約1から約15重量%まで、トナーの約3から約10重量%までの量を含むことができるが、着色剤の量はこの範囲外であることもできる。
【0058】
実施形態において、顔料または着色剤はトナー粒子の固体分の約1重量%から約35重量%、他の実施形態において約5重量%から約25重量%までの量において実施することができる。しかしながら、実施形態において、これらの範囲外の量においてもまた使用することができる。
【0059】
任意に、ワックスはまたトナー粒子の形成のために、樹脂および着色剤と組み合わせることができる。ワックスを、一種のワックスまたは二つ以上の異なったワックスの混合物のワックス分散物に提供することができる。単一のワックスをトナーの処方として、例えば、特定のトナー性質の改善、例えばトナー粒子形状、トナー粒子の表面上のワックスの存在および量、電荷およびまたは定着の特徴、光沢、除去、裏移りの性質等のため添加することができる。また、ワックスの組み合わせをトナー組成物の複数の性質を提供するために添加することができる。
【0060】
含む場合には、ワックスは、例えばトナー粒子の約1重量%から約25重量%まで、実施形態においてトナー粒子の約5重量%から約20重量%までの量で存在することができるが、ワックスの量はこれらの範囲外であることもできる。
【0061】
ワックス分散物を使用するとき、ワックス分散物はいずれかの様々な従来エマルジョン凝集トナー組成物内に使用されてきたワックスを含むことができる。
【0062】
実施形態において、ワックスを、水中で固形ワックスの、一つ以上の水性エマルジョンまたは分散物の形態で、トナー内に組み込むことができ、固形ワックス粒子サイズは約100から約300nmの範囲であることができる。
【0063】
トナー粒子は当業者に周知の範囲のいずれかの方法において調製することができる。トナー粒子生成物はエマルジョン凝集プロセスに関して以下の記載に関する実施形態であるが、いずれかの適したトナー粒子の調製方法、米国特許第5,290,654号明細書および米国特許第5,302,486号明細書に開示の化学方法を含む懸濁およびカプセル化プロセス等を使用することができる。実施形態において、トナー組成物およびトナー粒子は、小型の樹脂粒子を適したトナー粒子サイズに凝集し、その後最終トナー粒子の形状および形態を達成するために合体した、凝集および合体の工程によって調製することができる。
【0064】
実施形態において、トナー組成物およびトナー粒子は凝集および合体の工程によって、小型の樹脂粒子が適切なトナー粒子サイズに凝集し、その後合体し、最終トナー粒子成形および形態を達成し、調製することができる。混合物は、樹脂を含む二つ以上のエマルジョンの混合物であることができるエマルジョンに着色剤および任意のワックスまたはさらに界面活性剤を含む任意の分散物であることができる他の原料を加えることによって調製することができる。結果として得られるpHは酸、例えば酢酸、硝酸等によって調整することができる。実施形態において、混合物のpHは約2から約5までに調整することができる。さらに、実施形態において、混合物は均一であることができる。混合物が均一であるとき、均一化は約600から約6,000回転毎分によって混合することによって達成することができる。均一化は、例えばIKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザーを含む、いずれかの適した方法によって達成することができる。
【0065】
上記混合物の調製に続いて、凝集剤を混合物に添加することができる。いずれかの適した凝集剤をトナー形成に使用することができる。適した凝集剤は、例えば二価の陽性または多価の陽性の水溶液を含む。実施形態において、凝集剤を樹脂のガラス転移温度(Tg)未満の温度の混合物に添加することができる。
【0066】
トナー形成のために、凝集剤をトナー形成に利用される混合物に混合物樹脂の約0重量%から約10重量%まで、実施形態において約0.2重量%から約8重量%まで、他の実施形態において約0.5重量%から約5重量%までにおいて添加することができる。凝集に十分な量の薬剤を提供すべきである。
【0067】
粒子は、所定の所望粒子サイズが得られるまで凝集を可能にすることができる。所定の所望粒子サイズとは、形成前の測定において得られた所望の粒子サイズ、そして成長プロセス中からそのような粒子サイズを達成するまでに観測される粒子サイズを参照する。サンプルを成長プロセス中に得て、例えばコールターカウンターで、平均の粒子サイズを解析することができる。凝集粒子を提供するために、凝集は従って上昇した温度を保つかまたは徐々に温度を、例えば約40℃から約100℃まで上げて、混合物をこの温度において約0.5時間から約6時間まで、実施形態において約1から約5時間まで保ちながら、撹拌を維持することで、開始することができる。所定の所望粒子サイズを達成してから、その後成長工程を停止した。
【0068】
凝集剤を添加に続く粒子の成長および形成はいかなる条件下においても達成することができる。例えば、成長および形成は凝集を合体と別途に行う条件下において実施することができる。別途の凝集および合体段階で、凝集工程は、せん断条件下の上昇した温度、例えば約40℃から約90℃まで、実施形態において約45℃から約80℃まで実施して、上記記載したような樹脂のガラス転移温度未満であることができる。
【0069】
トナー粒子の所望の最終サイズを達成してから、混合物のpHを塩基と共に約3から約10まで、実施形態において約5から約9までに調整することができる。pH調整はトナー成長を停止し、氷結に使用することができる。
【0070】
実施形態において、凝集後であるが合体前、樹脂コーティングを凝集粒子の周りにシェルを形成するため、適応することができる。実施形態において、コアは従って非結晶性樹脂および粘度を軽減する添加剤を含み、実施形態において、上記の結晶性樹脂である。いずれかの上記樹脂をシェルとして利用することができる。実施形態において、ポリエステル非結晶性樹脂ラテックスを上記のようにシェルに含むことができる。実施形態において、上記のポリエステル非結晶性樹脂ラテックスを異なった樹脂と組み合わせることができ、その後シェル形成のために、粒子に樹脂コーティングとして加えることができる。
【0071】
シェル樹脂を当業者の用いるいずれかの方法の範囲内で凝集粒子に適応することができる。実施形態において、シェル形成のために利用される樹脂は、いずれかの上記界面活性剤を含むエマルジョンであることができる。樹脂を有するエマルジョンは、任意に上記のようにNaOHによって中和される無溶媒の結晶性ポリエステル樹脂ラテックスを上記の凝集粒子と組み合わせ、従って凝集粒子の周りにシェルを形成させる。
【0072】
凝集粒子の周りのシェルの形成は約30℃から約80℃まで、実施形態において約35℃から約70℃までの温度において加熱しているとき起こることができる。シェルの形成は約5分から約10時間、実施形態において約10分から約5時間の一定時間に起こる。
【0073】
所望粒子サイズおよびいずれか任意のシェルの適応による凝集後、粒子をその後所望の最終成形に合体し、合体物をトナー粒子の形成に利用される樹脂のガラス転移温度以上、例えば混合物を約45℃から約100℃まで、実施形態において約55℃から約99℃までの温度に混合物を加熱し、そしてまたは撹拌を、例えば約100rpmから約1,000rpmまで、実施形態において約200rpmから約800rpmまで減らすことによって達成した。合体を約0.01から約9時間、実施形態において約0.1から約4時間の一定時間に達成することができる。
【0074】
凝集およびまたは合体の後、混合物を室温、例えば約20℃から約25℃までに冷却することができる。適した冷却方法は化学反応炉の周りのジャケットに冷水を導入することを含む。冷却後、トナー粒子を任意に水で洗浄し、その後乾燥させた。乾燥は、いずれかの適した方法における乾燥、例えば凍結乾燥法によって達成することができる。
【0075】
実施形態において、トナー粒子はまた所望のまたは必要とされる他の任意の添加剤を含むことができる。例えば、トナーは陽性および陰性の電荷制御剤、例えばトナーの約0.1から約10重量%まで、実施形態においてトナーの約1から約3重量%までを含むことができる。
【0076】
発明の効果
一般的に、シリカをトナー表面にトナーの流動性、増大した摩擦、混合調節、改善した成長および安定した転写、そして高いトナーブロッキング温度で、適応することができる。TiO2を改善した相対湿度(RH)の安定、摩擦調節、そして改善した成長および転写安定によって適応することができる。実施形態において、Ferro Corporationから入手可能なZinc Stearate Lとして既知の市販のステアリン酸亜鉛を使用することができる。外表面添加剤をコーティングの有無において使用することができる。
【0077】
これらの外表面添加剤のそれぞれがトナーの約0.1重量%から約5重量%まで、実施形態においてトナーの約0.25重量%から約3重量%までにおいて存在することができるが、添加剤の量はこれらの範囲外であることもできる。実施形態において、トナーは例えばチタニア約0.1重量%から約5重量%まで、シリカ約0.1重量%から約8重量%まで、ステアリン酸亜鉛約0.1重量%から約4重量%までを含有することができる。
【技術分野】
【0001】
数々のプロセスが当業者の用いるトナー調製の範囲内である。エマルジョン凝集(EA)はこのうちの一つの方法である。エマルジョン凝集トナーはプリントおよびまたはコピーのイメージを形成するために使用することができる。エマルジョン凝集技術はモノマーを加熱し、バッチまたは半連続的なエマルジョン重合を実施することによる、ポリマーエマルジョン形成を含むことができる。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルトナーを図に示すように、非結晶性および結晶性ポリエステル樹脂を利用して調整する。これらポリエステルをトナーに取り入れることは、最初に溶媒を含むバッチプロセス、例えば共に時間およびエネルギーを消費する、溶媒フラッシュ乳化およびまたは溶剤方転相乳化法(PIE)による調製のエマルジョンに処方することを必要とする。両方の場合、大量な有機溶媒、例えばケトン類またはアルコール類を樹脂溶解に使用し、その後、ラテックスを形成するためのエネルギー集約型の蒸留を必要とするため、環境にやさしくない。
【0003】
無溶剤ラテックスエマルジョンをバッチまたは押し出し法のいずれかで、中和溶液、界面活性剤溶液、および水を熱で柔化した樹脂に添加することによって、形成した。しかしながら、非結晶性樹脂は、それらが明確な融点を示さず、100℃でさえ、エマルジョン形成に不利に働くおそれがある相当な粘性を示す点で、溶媒の使用なしで処理することが困難である。溶媒を非結晶性樹脂に添加することで、粘度を減少して、鎖末端の必要な再配列を可能にすることができ、それは安定なラテックスの形成に導く粒子を安定化および形成することができる。蒸留の溶媒を取り除く、さらなる方法のステップは、しかしながらその複雑さ、エネルギー消費および費用の付加があるため、望ましくない。
【0004】
トナー製造の使用に適したポリマーラテックスの調製のために、無溶媒方法を提供することは、より効率的、より時間をかけず、そして高い製品収量を有するため、有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、軟化点約95℃から約120℃までを有する樹脂混合物の形成のために、少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂に有機溶媒の不存在下で結晶性ポリエステル樹脂を含む粘度を軽減する添加剤(viscosity reducing additive)を接触させる工程と、樹脂混合物に界面活性剤および中和剤を接触させる工程と、混合物を溶融混合する工程と、エマルジョン形成のために、溶融混合物に脱イオン水を接触させる工程と、ラテックス粒子を連続的に回収する工程とを含む方法である。
【0006】
本開示はまた有機溶媒の不存在下で、軟化点約95℃から約120℃までを有する樹脂混合物の形成のために、少なくとも一つの結晶性ポリエステル樹脂に少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂を接触させる工程と、混合物に界面活性剤および中和剤を接触させる工程と、混合物を溶融混合する工程と、水中油型エマルジョンの形成のために、溶融混合物に脱イオン水を接触させる工程と、約0.01%から約3%までの粗容量(coarse content)を有するラテックス粒子を連続的に回収する工程とを含む方法である。
【0007】
実施形態において、本開示の方法はまた、任意の着色剤、任意のワックスおよび第二の非結晶性ポリエステル樹脂とラテックス粒子を接触させる工程を含み、ラテックス粒子の周りにシェルを形成して、それによってトナー粒子を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1はMetler−Toledo軟化点測定装置による本開示にかかる樹脂混合物組成物の軟化点を描くグラフである。
【図2】図2は本開示の比較例1にかかる、ポリエステルラテックスの調製における押し出し方法を描くフローチャートである。
【図3】図3は本開示の実施例1にかかる、ポリエステルラテックスの調製における押し出し方法を描くフローチャートである。
【図4】図4は本開示の実施例1に従って製造したラテックスの粒度分布を示すグラフである。
【図5】図5は本開示の実施例2に従うポリエステルラテックスの調製する押し出し方法を示すフローチャートである。
【図6】図6は本開示の実施例2に従うラテックス製造における粒子サイズの分布を描くグラフである。
【図7】図5は本開示の実施例3に従うポリエステルラテックスの調整における押し出し方法を描くフローチャートである。
【図8】図6は本開示の実施例3にかかる、ラテックス製造における粒子サイズの分布を描くグラフである。
【図9】図9は本開示の比較例2にかかる、ラテックス製造における粒子サイズの分布を描くグラフである。
【図10】図6は本開示の実施例4にかかる、ラテックス製造における粒子サイズの分布を描くグラフである。
【図11】図11はトナー阻害性質および実施例2、3および4にかかるトナーの製造の粘着をラテックス由来のコントロールトナーから製造した溶媒の乳化方法を描くグラフである。
【図12】図12は実施例において製造される本開示のトナーから得られた光沢値を溶媒エマルジョン化方法から製造されたラテックス由来から製造されたコントロールトナーとの比較を描くグラフである。
【図13】図13は実施例から製造される本開示のトナーから得られる折り曲げ値を溶媒エマルジョン化法由来のラテックスから製造されるコントロールトナーとの比較の折り曲げ値を描くグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は高い収集、低い粗容量、トナー形成に利用することができるポリマーラテックスの形成における無溶媒方法を提供する。
【0010】
実施形態において、本開示は有機溶媒の不存在下で、樹脂混合物を形成するため、少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂に粘度を軽減する添加剤を接触する工程と、樹脂混合物に界面活性剤および中和剤を接触する工程と、混合物を溶融混合する工程と、エマルジョン形成のために溶融混合物に脱イオン水を接触する工程と、ラテックス粒子を連続的に回収する工程とを含む方法を提供する。
【0011】
実施形態において、本開示は有機溶媒の不存在下で、軟化点約60℃から約130℃までを有する樹脂混合物を形成するため、少なくとも一つの結晶性ポリエステル樹脂に少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂を接触する工程と、混合物に界面活性剤および中和剤を接触する工程と、混合物を溶融混合する工程と、水中油型エマルジョンを形成するため、溶融混合物に脱イオン水を接触する工程と、約0%から約3%までを有する粗容量のラテックス粒子を連続的に回収する工程とを含む方法を提供する。
【0012】
結晶性ポリエステル樹脂を非結晶性ポリエステル樹脂に添加する等の粘性を軽減する添加剤の添加は、非結晶性ポリエステル樹脂が無溶剤の中においてエマルジョン化することを可能とする。結晶成分なしで、非結晶性樹脂は同様の無溶媒実験条件下においてもエマルジョン化しない。非結晶性樹脂はシャープな融点を示さず、100℃でさえも十分な粘性を示すからである。粘着力は現在実施されている溶媒に基づく転相乳化(PIE)法に基づいて明らかであるように、エマルジョン形成に不利に作用する。溶媒を添加することで粘度を低下して、鎖末端の必要な再配列に、界面活性剤なしで安定なラテックスの形成を導く粒子を安定化および形成することを可能とするためである。従って、非結晶性樹脂からのラテックスエマルジョンの生成のための無溶媒工程の達成は、非結晶性樹脂の高い粘性から困難である。
【0013】
環境の観点で、溶剤に基づく転相乳化(PIE)法は、同時に溶媒を回避する無溶媒法(無溶媒法)に比べて望ましくない。溶媒を蒸留するため、必要とされるエネルギー、従って二酸化炭素排出量(carbon footprint)への関連は、蒸発の潜熱を乗りきると仮定すると大きい。蒸留後、低濃度の溶媒がラテックスに残存し、従って下流の排水系の設計で扱うべきである。従って、溶媒の使用は、低効率で、比較的に望ましくなく、そして費用がかかるラテックス製造系をもたらす。
【0014】
本開示に従って、粘性を軽減する添加剤は、実施形態において、結晶性ポリエステル樹脂を非結晶性ポリエステル樹脂に添加することができ、樹脂の軟化温度を、例えば水の沸点付近の温度まで低下させ、溶融混合物の粘着は無溶媒法によるエマルジョンを形成するため、十分に低い。粘性を軽減する添加剤を非結晶性ポリエステルに添加することによって、非結晶性樹脂の粘性を十分に低下させ、非結晶性樹脂の無溶媒によるエマルジョン化を十分に可能とする。すなわち、無溶媒法において、粘性を軽減する添加剤、実施形態において、添加溶媒に対する従来の溶媒のPIE法とほぼ同様に、結晶性ポリエステルは非結晶性ポリエステルに溶媒として働く。従って、本開示はラテックス製造および投与を非常に単純化する非結晶性および結晶性樹脂の両方を含む単一の無溶媒のラテックスを提供する。さらに、本開示は、トナーのコアで無溶媒の非結晶性ラテックスの製造を可能とし、従って大量の樹脂(実施形態において、約67%)を商業的および環境的の利点とともに無溶媒法で製造することを可能である。
【0015】
さらにPIE法に基づく溶媒と対照的に、粘性を軽減する添加剤を生成物に残すことができ、ラテックスから分離する必要がない。それは溶媒の使用に関する蒸留時間、廃棄物処理、および費用を排除する。この方法は連続的に、バッチの両方における無溶媒エマルジョン化方法において実施することが可能である。
【0016】
本明細書に使用される“有機溶媒の不存在”とは、実施形態において、例えば有機溶媒がエマルジョン化に樹脂または中和剤を溶解するために使用しないことである。しかしながら、樹脂形成の方法における使用の結果として、少量の溶媒がそのような樹脂に存在することが可能である。
【0017】
いずれかの樹脂が本開示のラテックス樹脂形成において使用することができる。実施形態において、樹脂は非結晶性樹脂、結晶性樹脂、およびまたはそれらの組み合わせであることができる。適した樹脂はまた米国特許第6,830,860号明細書に記載の非結晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂の混合物を含むことができる。
【0018】
実施形態において、樹脂は任意の触媒の存在化におけるジオールと二塩基酸の反応において形成するポリエステル樹脂であることができる。
【0019】
結晶性樹脂は、例えばトナー組成物の約1から約50重量%まで、実施形態においてトナー組成物の約5から約35重量%までにおいて存在することができる。結晶性樹脂は様々な融点、例えば約30℃から約120℃まで、実施形態において約50℃から約90℃までを有することができる。結晶性樹脂はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定において、数均分子量(Mn)、例えば約2,000から約50,000まで、実施形態において約5,000から約25,000まで、ポリスチレンを基準として使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定において、重量平均分子量(Mw)、例えば約3,000から約100,000まで、実施形態において約5,000から約80,000までであることができる。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば約2から約6まで、実施形態において約3から約4までであることができる。
【0020】
実施形態において、上記のように、非飽和性の非結晶性ポリエステル樹脂をラテックス樹脂として使用することができる。
【0021】
使用することができる、適した結晶性樹脂は、任意に米国特許出願公開第2006/0222991号明細書に開示のものを含む上記の非結晶性樹脂との組み合わせである。実施形態において、適した結晶性樹脂は
【化1】
(式中、bは約5から約2000まで、dは約5から約2000まで)であることができる。
【0022】
非結晶性樹脂は、例えばトナー組成物の約30から約90重量%まで、実施形態においてトナー組成物の約40から約80重量%までにおいて存在することができる。実施形態において、ラテックスに利用される非結晶性樹脂または非結晶性樹脂の組み合わせはガラス転移温度約30℃から約80℃まで、実施形態において約35℃から約70℃までを有することができる。さらなる実施形態において、ラテックスに使用される樹脂の組み合わせは約130℃で溶融粘度約10から約1,000,000Pa*Sまで、実施形態において約50から約100,000Pa*Sまでを有することができる。
【0023】
一つ、二つまたはそれ以上の樹脂を使用することができる。実施形態において、二つ以上の樹脂を使用したとき、樹脂はいずれか適した割合(例えば、重量比)、例えば約1%(第一の樹脂)/99%(第二の樹脂)から約99%(第一の樹脂)/1%(第二の樹脂)まで、実施形態において約10%(第一の樹脂)/90%(第二の樹脂)から約90%(第一の樹脂)/10%(第二の樹脂)まで等であることができる。
【0024】
実施形態において、本開示の適したトナーは2つの非結晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含むことができる。3つの樹脂の重量比は、約第一の非結晶性樹脂29%/第二の非結晶性樹脂69%/結晶性樹脂2%から約第一の非結晶性樹脂60%/第二の非結晶性樹脂20%/結晶性樹脂20%までであることができる。
【0025】
実施形態において、樹脂は酸性基を有することができ、実施形態において樹脂の末端に存在することができる。カルボン酸基等を含む酸性基が存在することができる。カルボン酸基の数は、樹脂および反応条件の形成において利用される原料によって調整することでコントロールすることができる。
【0026】
実施形態において、樹脂は酸価約2mgKOH/g樹脂から約200mgKOH/g樹脂、実施形態において約5mgKOH/g樹脂から約500mgKOH/g樹脂を有するポリエステル樹脂であることができる。酸を含む樹脂をテトラヒドロフラン溶液に溶解することができる。酸価はフェノールフタレインを指示薬として含むKOH/メタノール溶液によって検出することができる。酸価をその後、滴定の終点を同定し、樹脂上の全酸性基を中和するために必要とするKOH/メタノールの当量に基づいて算出することができる。
【0027】
実施形態において、樹脂を弱塩基または中和剤と混合することができる。実施形態において、中和剤を樹脂の酸性基を中和のために使用することができ、従って本明細書における中和剤はまた“塩基の中和剤”として参照することができる。いずれか適した塩基中和剤を本開示に従って使用することができる。実施形態において、適切な塩基中和剤は無機塩基剤および有機塩基剤の両方を含むことができる。適した塩基剤は水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、それらの組み合わせ等を含むことができる。
【0028】
実施形態において、本開示にかかるエマルジョン形成はまた少量の水、実施形態において、脱イオン水(DIW)約30%から約95%まで、実施形態において約50%から約85%までの量、樹脂の溶解および軟化温度約40℃から約140℃まで、実施形態において約60℃から約100℃までであることができる。
【0029】
塩基剤は樹脂の約0.001重量%から50重量%まで、実施形態において樹脂の約0.001重量%から約25重量%まで、実施形態において樹脂の約0.1重量%から5重量%までの量において使用することができる。
【0030】
上記のように、塩基中和剤に酸性基を有する樹脂に添加することができる。塩基中和剤の添加は、従って酸性基約5から約12まで、実施形態において約6から約11までを有する樹脂を含むエマルジョンのpHを上昇することができる。酸性基の中和は、実施形態においてエマルジョンの形成を向上させることができる。
【0031】
実施形態において、本開示の方法は溶融混合前またはその最中に界面活性剤を上昇した温度の樹脂に添加することができる。実施形態において、上昇した温度で界面活性剤を樹脂の溶融混合前に加えることができる。
【0032】
利用するとき、樹脂エマルジョンは一つ、二つまたはそれ以上の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤はイオンの界面活性剤および非イオンの界面活性剤から選択することができる。アニオン性界面活性剤およびカチオン性活性剤をイオン性界面活性剤灯の用語に含む。実施形態において、固体または液体の界面活性剤約5重量%から約100重量%まで(純粋な界面活性剤)、実施形態において約10重量%から約95重量%までの濃度を添加することができる。実施形態において、界面活性剤を利用することができ、従って樹脂の約0.01重量%から約20重量%まで、実施形態において樹脂の約0.1重量%から約16重量%まで、他の実施形態において樹脂の約1重量%から約14重量%までの量において存在する。
【0033】
上記のように、この方法は、少なくとも一つの非結晶性樹脂、粘度を減少する添加剤、実施形態において少なくとも一つの結晶性樹脂、界面活性剤および中和剤を上昇した温度で含有する溶融混合物を含み、有機溶媒はこの方法において利用されずにラテックスエマルジョンを形成する。実施形態において、樹脂を溶融混合前に前もって混合することができる。実施形態において、樹脂を押し出し機のスクリュー供給機内に共仕込むことができる。
【0034】
一つを超える樹脂をラテックス形成のために利用することができる。上記のように、樹脂は非結晶性樹脂、結晶性樹脂またはそれらの組み合わせであることができる。実施形態において、樹脂は非結晶性樹脂であることができ、上昇した温度は非結晶性樹脂のガラス転移温度を超える温度であることができる。他の実施形態において、樹脂は結晶性樹脂、そして上昇した温度は結晶性樹脂の融点を超える温度であることができる。さらなる実施形態において、樹脂は非結晶性および結晶性樹脂の混合であることができ、温度は混合物のガラス転移温度を超えることができる。
【0035】
実施形態において、少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂を、粘着を減少する添加剤と接触させて、少なくとも一つの非結晶性樹脂の粘度を減少して、有機溶媒の不存在下において樹脂混合物を形成する。上記のように、実施形態において、粘性を軽減する添加剤は、結晶性ポリエステル樹脂であることができる。
【0036】
実施形態において、粘着を軽減する添加剤は非結晶性樹脂の軟化温度を低下し、従って非結晶性樹脂は軟化温度約90℃から約130℃まで、実施形態において約95℃から約120℃までを有することができる。
【0037】
実施形態において、粘性を軽減する添加剤は樹脂混合物の約2重量%から約50重量%まで、実施形態において約5重量%から約45重量%までの量、少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂は樹脂混合物の約50重量%から約98重量%まで、実施形態において約55重量%から約95重量%までの量において存在する。
【0038】
実施形態において、使用することができる中和剤は、上記の薬剤を含むことができる。実施形態において、使用される界面活性剤は、適した樹脂中和剤が起こることを保証し、高質且つ粗容量の低いラテックスを導くために、上記いずれかの界面活性剤であることができる。
【0039】
実施形態において、界面活性剤を溶融前、その最中またはその後、一つ以上の樹脂組成物の原料に添加することができる。実施形態において、界面活性剤を中和剤の添加前、その最中またはその後に加えることができる。実施形態において、界面活性剤を中和剤の添加前に加えることができる。実施形態において、界面活性剤を溶融混合前の予備混合した混合物に添加することができる。
【0040】
上昇した温度は約30℃から約300℃まで、実施形態において約50℃から約200℃まで、他の実施形態において約70℃から約150℃までであることができる。
【0041】
溶融混合物は押し出し機によって実施することができ、すなわち2軸押し出し機、煉る機械、例えばHaake混合機、回分反応機、または均一な混合物に近いものを作り出すために、親密に粘着性物質を混合することができるいずれか他の装置である。
【0042】
ラテックスエマルジョン形成のために、樹脂、中和剤および界面活性剤を溶融混合し、混合物にその後水を接触した。ラテックスと固形分約10%から約50%まで、実施形態において約20%から約40%までの形成のために、水を加えることができる。高い水の温度が溶解工程を速めることができる一方、ラテックスは室温未満の温度において形成することができる。他の実施形態において、水温は約40℃から約110℃まで、実施形態において約50℃から約100℃までであることができる。
【0043】
水と樹脂混合物の間の接触は、充填層においていずれかの適した方法、例えば容器または連続の管路で達成することができる。実施形態において、無溶媒の押し出し工程は図3に示すものが利用され、さらに以下の実施例1に記載する。実施形態において、樹脂混合物が押し出し機の下流に移したとき、水を注入ポートに加えることができる。実施形態において、水を三つの次のポートで添加することができる。これは、油中水型から水中油型までのエマルジョンの転移が緩やかであり、原料が相分離より混合して、押し出し機内におけるエマルジョン形成を最適化し続けることを確保するうえで有利である。実施形態において、最終ラテックスにおいて所望の固形分を達成するために、ポートは押し出し機内の予熱した脱イオン水を適切な速度で注入することができる。実施形態において、ポートは予熱した脱イオン水を押し出し機内に約40mL/minから約500mL/minまで、実施形態において約100mL/minから約400mL/minまでの速度において注入することができる。
【0044】
押し出し機から取り出された生成物は、保存のために、放出前、穏やかに混合し、その後、以下に記載の凝集/合体の工程に使用することによって、ラテックスの噴出物を含むものを予熱した水浴から回収することができる。
【0045】
他の実施形態において、例えばバッチ工程、混合物から取り出された溶融混合生成物を冷却し、粉砕し、その後予熱した脱イオン水とともにケトルに加えて、ラテックスを形成することができる。
【0046】
形成したラテックスエマルジョンの粒子サイズは界面活性剤および中和剤対ポリエステル樹脂の濃度比によって調整することができる。ラテックスの固体濃度は樹脂混合物対水の比率によって調整することができる。
【0047】
課題を解決するための手段
本開示に従って、本明細書の工程が、開始した樹脂の性質、実施形態において、エマルジョン形成に利用される、あらかじめ作られた樹脂と同様の分子量を保持しているエマルジョン化の樹脂粒子を生成することができることを見出した。
【0048】
水媒体内のエマルジョン化された樹脂粒子は約1500nmまたはそれ未満、例えば約10nmから約1200nmまで、実施形態において約30nmから約1000nmまでを有することができる。
【0049】
本開示のラテックス粒子のサイズ分布は約30nmから約500nmまで、実施形態において約125nmから約200nmまでであることができる。
【0050】
本開示のラテックスの粗容量は約0.01重量%から約3重量%まで、実施形態において約0.1重量%から約1重量%までであることができる。本開示のラテックスの固形成分は、約10重量%から約50重量%まで、実施形態において約20重量%から約40重量%までであることができる。
【0051】
エマルジョン化の後、さらに界面活性剤、水およびまたは中和剤を任意にエマルジョンの希釈のために、加えることができるが、これは必須ではない。エマルジョン化後、エマルジョンは室温、例えば約20℃から約25℃までに冷却することができる。
【0052】
本開示のラテックスエマルジョンは、いくつかの利点、例えば低粗容量、狭い粒度分布およびエマルジョン凝集トナーの製造に適した粒子サイズ;ホモジナイザーまたは他の分散装置をラテックス調製で全く必要とせず;粗粒子を取り除くため濾過を全く必要とせず;そして溶媒蒸留時間で必要な時間が全くないことを提供する。
【0053】
本開示のラテックスエマルジョンを、結晶性および非結晶性ポリエステル樹脂の組み合わせを使用して、エマルジョン凝集極低融解の工程に適した粒子サイズを生成するため、その後利用した。ラテックスを均一化または濾過使用なしに、低い粗容量において生成することができる。
【0054】
上記のようにエマルジョンを形成するように、樹脂混合物に水を接触させてから、結果として得られたラテックスをその後、当業者の用いるトナー形成の範囲内で利用することができる。極低融解トナーの形成のために、適した工程、実施形態においてエマルジョン凝集および合体工程によって、ラテックスエマルジョンに着色剤、任意に分散剤および他の添加剤を接触することができる。
【0055】
実施形態において、トナー形成に利用されるラテックスエマルジョンは、非結晶性樹脂および粘度を軽減する添加剤の両方を含むことができ、実施形態において結晶性樹脂である。
【0056】
実施形態において、着色剤、ワックスおよび他の添加剤を含む、任意のさらなるトナー組成物の原料を、本開示のラテックスエマルジョン形成のために、樹脂の溶融混合前、その最中またはその後、添加することができる。さらなる原料はラテックスエマルジョンの形成前、その最中またはその後に添加することができる。さらなる実施形態において、着色剤を界面活性剤の添加前に加えることができる。
【0057】
着色剤を添加する時、様々な既知の適した着色剤、例えば染料、顔料、染料の混合物、顔料の混合物、染料および顔料の混合物等をトナーに含むことができる。実施形態において、着色剤をトナーに、例えばトナーの約0.1から約35重量%まで、またはトナーの約1から約15重量%まで、トナーの約3から約10重量%までの量を含むことができるが、着色剤の量はこの範囲外であることもできる。
【0058】
実施形態において、顔料または着色剤はトナー粒子の固体分の約1重量%から約35重量%、他の実施形態において約5重量%から約25重量%までの量において実施することができる。しかしながら、実施形態において、これらの範囲外の量においてもまた使用することができる。
【0059】
任意に、ワックスはまたトナー粒子の形成のために、樹脂および着色剤と組み合わせることができる。ワックスを、一種のワックスまたは二つ以上の異なったワックスの混合物のワックス分散物に提供することができる。単一のワックスをトナーの処方として、例えば、特定のトナー性質の改善、例えばトナー粒子形状、トナー粒子の表面上のワックスの存在および量、電荷およびまたは定着の特徴、光沢、除去、裏移りの性質等のため添加することができる。また、ワックスの組み合わせをトナー組成物の複数の性質を提供するために添加することができる。
【0060】
含む場合には、ワックスは、例えばトナー粒子の約1重量%から約25重量%まで、実施形態においてトナー粒子の約5重量%から約20重量%までの量で存在することができるが、ワックスの量はこれらの範囲外であることもできる。
【0061】
ワックス分散物を使用するとき、ワックス分散物はいずれかの様々な従来エマルジョン凝集トナー組成物内に使用されてきたワックスを含むことができる。
【0062】
実施形態において、ワックスを、水中で固形ワックスの、一つ以上の水性エマルジョンまたは分散物の形態で、トナー内に組み込むことができ、固形ワックス粒子サイズは約100から約300nmの範囲であることができる。
【0063】
トナー粒子は当業者に周知の範囲のいずれかの方法において調製することができる。トナー粒子生成物はエマルジョン凝集プロセスに関して以下の記載に関する実施形態であるが、いずれかの適したトナー粒子の調製方法、米国特許第5,290,654号明細書および米国特許第5,302,486号明細書に開示の化学方法を含む懸濁およびカプセル化プロセス等を使用することができる。実施形態において、トナー組成物およびトナー粒子は、小型の樹脂粒子を適したトナー粒子サイズに凝集し、その後最終トナー粒子の形状および形態を達成するために合体した、凝集および合体の工程によって調製することができる。
【0064】
実施形態において、トナー組成物およびトナー粒子は凝集および合体の工程によって、小型の樹脂粒子が適切なトナー粒子サイズに凝集し、その後合体し、最終トナー粒子成形および形態を達成し、調製することができる。混合物は、樹脂を含む二つ以上のエマルジョンの混合物であることができるエマルジョンに着色剤および任意のワックスまたはさらに界面活性剤を含む任意の分散物であることができる他の原料を加えることによって調製することができる。結果として得られるpHは酸、例えば酢酸、硝酸等によって調整することができる。実施形態において、混合物のpHは約2から約5までに調整することができる。さらに、実施形態において、混合物は均一であることができる。混合物が均一であるとき、均一化は約600から約6,000回転毎分によって混合することによって達成することができる。均一化は、例えばIKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザーを含む、いずれかの適した方法によって達成することができる。
【0065】
上記混合物の調製に続いて、凝集剤を混合物に添加することができる。いずれかの適した凝集剤をトナー形成に使用することができる。適した凝集剤は、例えば二価の陽性または多価の陽性の水溶液を含む。実施形態において、凝集剤を樹脂のガラス転移温度(Tg)未満の温度の混合物に添加することができる。
【0066】
トナー形成のために、凝集剤をトナー形成に利用される混合物に混合物樹脂の約0重量%から約10重量%まで、実施形態において約0.2重量%から約8重量%まで、他の実施形態において約0.5重量%から約5重量%までにおいて添加することができる。凝集に十分な量の薬剤を提供すべきである。
【0067】
粒子は、所定の所望粒子サイズが得られるまで凝集を可能にすることができる。所定の所望粒子サイズとは、形成前の測定において得られた所望の粒子サイズ、そして成長プロセス中からそのような粒子サイズを達成するまでに観測される粒子サイズを参照する。サンプルを成長プロセス中に得て、例えばコールターカウンターで、平均の粒子サイズを解析することができる。凝集粒子を提供するために、凝集は従って上昇した温度を保つかまたは徐々に温度を、例えば約40℃から約100℃まで上げて、混合物をこの温度において約0.5時間から約6時間まで、実施形態において約1から約5時間まで保ちながら、撹拌を維持することで、開始することができる。所定の所望粒子サイズを達成してから、その後成長工程を停止した。
【0068】
凝集剤を添加に続く粒子の成長および形成はいかなる条件下においても達成することができる。例えば、成長および形成は凝集を合体と別途に行う条件下において実施することができる。別途の凝集および合体段階で、凝集工程は、せん断条件下の上昇した温度、例えば約40℃から約90℃まで、実施形態において約45℃から約80℃まで実施して、上記記載したような樹脂のガラス転移温度未満であることができる。
【0069】
トナー粒子の所望の最終サイズを達成してから、混合物のpHを塩基と共に約3から約10まで、実施形態において約5から約9までに調整することができる。pH調整はトナー成長を停止し、氷結に使用することができる。
【0070】
実施形態において、凝集後であるが合体前、樹脂コーティングを凝集粒子の周りにシェルを形成するため、適応することができる。実施形態において、コアは従って非結晶性樹脂および粘度を軽減する添加剤を含み、実施形態において、上記の結晶性樹脂である。いずれかの上記樹脂をシェルとして利用することができる。実施形態において、ポリエステル非結晶性樹脂ラテックスを上記のようにシェルに含むことができる。実施形態において、上記のポリエステル非結晶性樹脂ラテックスを異なった樹脂と組み合わせることができ、その後シェル形成のために、粒子に樹脂コーティングとして加えることができる。
【0071】
シェル樹脂を当業者の用いるいずれかの方法の範囲内で凝集粒子に適応することができる。実施形態において、シェル形成のために利用される樹脂は、いずれかの上記界面活性剤を含むエマルジョンであることができる。樹脂を有するエマルジョンは、任意に上記のようにNaOHによって中和される無溶媒の結晶性ポリエステル樹脂ラテックスを上記の凝集粒子と組み合わせ、従って凝集粒子の周りにシェルを形成させる。
【0072】
凝集粒子の周りのシェルの形成は約30℃から約80℃まで、実施形態において約35℃から約70℃までの温度において加熱しているとき起こることができる。シェルの形成は約5分から約10時間、実施形態において約10分から約5時間の一定時間に起こる。
【0073】
所望粒子サイズおよびいずれか任意のシェルの適応による凝集後、粒子をその後所望の最終成形に合体し、合体物をトナー粒子の形成に利用される樹脂のガラス転移温度以上、例えば混合物を約45℃から約100℃まで、実施形態において約55℃から約99℃までの温度に混合物を加熱し、そしてまたは撹拌を、例えば約100rpmから約1,000rpmまで、実施形態において約200rpmから約800rpmまで減らすことによって達成した。合体を約0.01から約9時間、実施形態において約0.1から約4時間の一定時間に達成することができる。
【0074】
凝集およびまたは合体の後、混合物を室温、例えば約20℃から約25℃までに冷却することができる。適した冷却方法は化学反応炉の周りのジャケットに冷水を導入することを含む。冷却後、トナー粒子を任意に水で洗浄し、その後乾燥させた。乾燥は、いずれかの適した方法における乾燥、例えば凍結乾燥法によって達成することができる。
【0075】
実施形態において、トナー粒子はまた所望のまたは必要とされる他の任意の添加剤を含むことができる。例えば、トナーは陽性および陰性の電荷制御剤、例えばトナーの約0.1から約10重量%まで、実施形態においてトナーの約1から約3重量%までを含むことができる。
【0076】
発明の効果
一般的に、シリカをトナー表面にトナーの流動性、増大した摩擦、混合調節、改善した成長および安定した転写、そして高いトナーブロッキング温度で、適応することができる。TiO2を改善した相対湿度(RH)の安定、摩擦調節、そして改善した成長および転写安定によって適応することができる。実施形態において、Ferro Corporationから入手可能なZinc Stearate Lとして既知の市販のステアリン酸亜鉛を使用することができる。外表面添加剤をコーティングの有無において使用することができる。
【0077】
これらの外表面添加剤のそれぞれがトナーの約0.1重量%から約5重量%まで、実施形態においてトナーの約0.25重量%から約3重量%までにおいて存在することができるが、添加剤の量はこれらの範囲外であることもできる。実施形態において、トナーは例えばチタニア約0.1重量%から約5重量%まで、シリカ約0.1重量%から約8重量%まで、ステアリン酸亜鉛約0.1重量%から約4重量%までを含有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟化点約95℃から約120℃までの温度を有する樹脂混合物の形成のために、有機溶媒の不存在下で、結晶性ポリエステル樹脂を含む粘度を低下させる添加剤と、少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂を接触させる工程と、
前記樹脂混合物と、界面活性剤および中和剤を接触させる工程と、
前記混合物を溶融混合する工程と、
エマルジョンの形成のために、前記溶融混合物と脱イオン水を接触させる工程と、
ラテックス粒子を連続的に回収する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記ラテックス粒子は約30nmから約500nmまでの粒子サイズを有し、
前記粘度を低下させる添加剤は、前記樹脂混合物の約2重量%から約50重量%までの量で存在し、
前記少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂は、前記樹脂混合物の約50重量%から約98重量%までの量で存在する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ラテックス粒子の周りにシェルを形成するために、さらに任意の着色剤、任意のワックスおよび第二の非結晶性ポリエステル樹脂と前記樹脂混合物を接触させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
軟化点約95℃から約120℃までの温度を有する樹脂混合物の形成のために、有機溶媒の不存在下で、少なくとも一つの結晶性ポリエステル樹脂と少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂を接触させる工程と、
界面活性剤および中和剤と、前記混合物を接触させる工程と、
前記混合物を溶融混合する工程と、
水中油型エマルジョンの形成のために、前記溶融混合物と脱イオン水を接触させる工程と、
約0.01%から約3%までの粗容量を有するラテックス粒子を連続的に回収する工程と
を含む方法。
【請求項1】
軟化点約95℃から約120℃までの温度を有する樹脂混合物の形成のために、有機溶媒の不存在下で、結晶性ポリエステル樹脂を含む粘度を低下させる添加剤と、少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂を接触させる工程と、
前記樹脂混合物と、界面活性剤および中和剤を接触させる工程と、
前記混合物を溶融混合する工程と、
エマルジョンの形成のために、前記溶融混合物と脱イオン水を接触させる工程と、
ラテックス粒子を連続的に回収する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記ラテックス粒子は約30nmから約500nmまでの粒子サイズを有し、
前記粘度を低下させる添加剤は、前記樹脂混合物の約2重量%から約50重量%までの量で存在し、
前記少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂は、前記樹脂混合物の約50重量%から約98重量%までの量で存在する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ラテックス粒子の周りにシェルを形成するために、さらに任意の着色剤、任意のワックスおよび第二の非結晶性ポリエステル樹脂と前記樹脂混合物を接触させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
軟化点約95℃から約120℃までの温度を有する樹脂混合物の形成のために、有機溶媒の不存在下で、少なくとも一つの結晶性ポリエステル樹脂と少なくとも一つの非結晶性ポリエステル樹脂を接触させる工程と、
界面活性剤および中和剤と、前記混合物を接触させる工程と、
前記混合物を溶融混合する工程と、
水中油型エマルジョンの形成のために、前記溶融混合物と脱イオン水を接触させる工程と、
約0.01%から約3%までの粗容量を有するラテックス粒子を連続的に回収する工程と
を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−162784(P2011−162784A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11449(P2011−11449)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]