説明

無線タグ制御装置

【課題】生産管理対象部材(製品)に付されている無線タグに情報の読み書きを行い、効率的な生産管理に応用可能な無線タグ制御装置を提供する。
【解決手段】無線タグ制御装置は、読出書込制御回路12に接続されるリーダライタインターフェース10、状態表示制御回路14に接続される状態表示インターフェース20、状態信号入力制御回路15に接続される状態信号入力インターフェース30、データ保存回路13及び制御回路11を備えている。更に、ネットワークに接続可能なネットワークインターフェース16を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線タグ制御装置に関し、例えば、無線タグとしてのRFIDタグを付した生産管理対象部材をラインに沿って移動させる際に、RFIDを効率的に認識すると共に生産管理効率を改善した無線タグ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDシステムは、微小なICチップを構成したRFIDの利用範囲の近年著しく拡張している。この種のRFIDシステムでは、RFIDタグを有する部材がトランスポンダとして機能し、このトランスポンダとリーダ/ライタ(又はリーダ)との間でデータの交信が行われるもので、各トランスポンダ及びリーダ/ライタが備えるアンテナを用いてデータの交信が行われため、トランスポンダとリーダ/ライタとが離隔されていても通信は可能であり、工場の生産管理、物流管理、入退室管理等の種々の分野に利用されている。
【0003】
例えば、工場の生産管理における利用では、生産管理対象である製品等は幾つかの工程の処理を経て完成される。各工程処理における管理対象製品の識別のために対象製品にRFIDを付しておいて、リーダライタとRFID間で無線信号による信号授受により当該生産管理対象商品を識別し、工程管理、生産管理を行うような提案がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−536726(図5、図6、[0032]〜[0036])
【0005】
かかる生産管理システムでは、生産ラインの工程毎に対象製品に付されているRFIDとの無線通信のためのアンテナとリーダライタが設置され、多数のリーダライタで得られたデータを管理装置側に管理データとして送出している。以上はRFIDについて説明しているが、アンテナを介して信号を授受する無線タグ全般についても同様である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているような従来の生産管理システムは、次のような問題があった。即ち、製品の生産ラインは、複数の工程に分割され、各工程の上流側と下流側には対象製品に付されたRFIDタグの読み出しと書き込みを行うための2個のアンテナ及び2個のリーダライタが設置され、それぞれのリーダライタは管理装置側のコンピュータ装置に接続される。また、全体管理が必要な場合には、全てのコンピュータ装置はネットワークを介してサーバ装置に接続される。
【0007】
かかる従来の生産管理システムでは、工程毎に上流側と下流側にRFIDタグとの間で読み出しと書き込み通信を行うために2個のアンテナ、更には2個のリーダライタが必要であり、またリーダライタ対応でコンピュータ装置も必要であるため、全体として必要なアンテナ、リーダライタ、コンピュータ装置の数が多く、構造の複雑化及びコスト面での問題が生じていた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、簡単な構成、低コストで効率的通信を可能にすると共に柔軟性を有する無線タグ制御装置を提供することにある。本発明の他の目的は、できる限り少数のアンテナ、リーダライタ、これらを制御する装置で効率的な通信を可能とした無線タグ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明による無線タグ制御装置は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0010】
(1)無線タグが付された生産管理対象である複数の部材の生産システム等に応用される無線タグ制御装置において、
それぞれアンテナを介して前記部材の無線タグに情報を読み書きする複数のリーダライタが接続される複数の接続点を有するリーダライタインターフェースと、前記リーダライタインターフェースに接続され、前記リーダライタによる前記無線タグへの情報の読み書きを制御する読出書込制御回路と、表示装置やブザーに接続される複数の接続点を有する状態表示インターフェースと、前記状態表示インターフェースに接続され、前記表示装置やブザーを制御する状態表示制御回路と、ビデオカメラや押しボタンが接続される複数の接続点を有する状態信号入力インターフェースと、前記状態信号入力インターフェースに接続され、前記ビデオカメラや押しボタンから入力される信号を制御する状態信号入力制御回路と、前記読出書込制御回路及び前記状態信号入力制御回路から得たデータを保存するデータ保存回路と、前記読出書込制御回路、前記状態表示制御回路、前記状態信号入力制御回路及び前記データ保存回路を統合的に制御する制御回路とを一体的に備える無線タグ制御装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の無線タグ制御装置によれば、簡単な構成及び低コスト、即ち最小限数のアンテナ、リーダライタ及びこれらを制御する装置により構築可能で、効率的な通信を可能とする。より具体的には、1個の無線タグ(RFID)制御装置により複数工程のリーダライタの読み出し書き込みが可能となる。また、作業の状態表示及び作業内容を表示する複数の工程の表示デバイスや作業情報を送信する複数の工程のデータ出力装置は同じ無線タグ制御装置に接続されるので、同じ1個の無線タグ制御装置により、複数工程の複数の状態表示及び複数工程の複数の状態出力が可能となる。
【0012】
更に、近接する複数アンテナの相互の読み出し書き込み動作を1個の無線タグ制御装置がリーダライタインターフェースを介して時分割で制御することによりアンテナ同士の干渉を無くし、近接する複数の無線タグの読み出し書き込み処理が可能となる。また、製品や無線タグの不具合情報及び生産ラインからその製品を外したことを、作業者が押しボタンにより無線タグ制御装置を介してサーバ装置に送信することによりサーバ装置は生産ラインを制御し、混乱を防止できる。更にまた、工程毎に作業時間や停滞時間の最大、最小値となったビデオカメラのデータ信号を利用し、最大時間を要したデータ信号を分析して工程の問題点や作業者スキルの分析、最小時間で作業を終えたデータ信号を分析して効率の良い作業方法の横展開が可能となる。本発明のその他の効果は、以下の実施例の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による無線タグ制御装置の好適実施例の全体構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示す無線タグ制御装置の生産管理システムへの第1応用例を示すブロック図である。
【図3】図1に示す無線タグ制御装置の生産管理システムへの第2応用例を示すブロック図である。
【図4】図1に示す無線タグ制御装置に接続される複数のリーダライタのアンテナの動作制御を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による無線タグ制御装置の好適な実施例及び応用例を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1には本発明による無線タグ制御装置(FRID制御装置)100の好適な実施例の構成を示す機能ブロック図を示す。図2には、図1のRFID制御装置を生産管理システムに適用した第1応用例のシステム構成図を示す。尚、以下では無線タグとしてRFIDタグ(RFID)について説明しているが、本発明はアンテナを介して通信を行う全ての無線タグについて適用可能であることは明らかである。
【0016】
図1において、RFID制御装置100は、複数のリーダライタ(図2参照)との接続点10A〜10Fを備えるリーダライタインターフェース10、本制御に関連する、例えば生産管理システムにおける各工程の状況を表示する表示装置や警報を告知するブザー等の状態表示部が接続される接続点20A、20B、・・・、30A、30B、・・・を備える状態表示インターフェース20及び複数の押しボタンやビデオカメラ等との接続点及び状態信号が入力される状態信号入力インターフェース30を備えている。更に、RFID制御装置100を統合的に制御する制御回路11、リーダライタインターフェース10の読み出しや書き込みの制御を行う読出書込制御回路12、本制御に関連する、例えば生産管理システムにおける各工程の状況を撮影したビデオカメラのデータ等を保存するデータ保存回路13、状態表示インターフェース20を制御する状態表示制御回路14、複数の状態信号入力インターフェース30を制御する状態信号入力制御回路15及びネットワークとの接続点及びネットワーク制御を行うネットワークインターフェース16を備えている。
【0017】
図2に示す応用例では、複数工程P11、P12、P13、・・・、これら工程とは異なる種類の工程P21、・・・の各工程の上流側と下流側にアンテナが設置される。図2に示す応用例では、工程P11の上流側にアンテナ110Aが下流側にアンテナ110Bが設置されている。同様に、工程P12の上流側にアンテナ110Cが下流側にアンテナ110Dが設置されている。工程P13の上流側にアンテナ110Eが下流側にアンテナ110Fが設置されている。また、工程P21の上流側にアンテナ210Aが下流側にアンテナ210Bが設置される。
【0018】
各アンテナ110A〜110F、210A、210Bには、それぞれリーダライタ120A〜120F、220A、220Bが設置され、各アンテナと生産管理対象部材(製品)に付されているRFIDとの間で読み出し書き込みが行われて情報授受が行われる。
【0019】
上述のように複数の工程P11、P12、P13、・・・のそれぞれの上流側及び下流側に設けられ、アンテナ110A〜110Fに接続されているリーダライタ120A〜120Fは、図1に示すRFID制御装置100の接続点10A〜10Fに接続される。
【0020】
次に、図2に示す生産管理システムの応用例の動作を説明する。工程P11の上流側と下流側には、それぞれアンテナ110Aと110Bが設けられ、工程P11の作業開始前にアンテナ110Aを介して部材に付されたRFIDタグのRFID識別情報を読み出す。工程P11の上流側では、アンテナ110Aにより当該部材に付されているRFIDのRFID識別情報が読み出される。読み出されたRFID識別情報は、当該アンテナに接続されているリーダライタ120Aを介してRFID制御装置100のリーダライタインターフェース10に送出され、読出書込制御回路12で信号処理が施される。制御回路11の制御を受けてRFID識別情報がネットワークインターフェース16を介してネットワークの接続点に送出され、更にサーバ装置300に送出される。
【0021】
工程P11の作業終了時にはアンテナ110Bで部材(製品)に付されたRFIDタグのRFID識別情報が読み出される。工程P11の下流側では、アンテナ110BによりRFID識別情報が読み出される。読み出されたRFID識別情報は、上述と同様に、RFID制御装置100のリーダライタインターフェース10、制御回路11、読出書込制御回路12及びネットワークインターフェース16を介してネットワークとの接続点に接続されサーバ装置300に送出される。
【0022】
部材が工程P11から工程P12に移動した場合にも同様に、生産管理対象部材に添付されたRFIDタグの情報がその工程の上流側及び下流側に設置されたアンテナ110C、110Dにより読み出される。工程P13以降も同様な動作が実行される。
【0023】
作業内容等が大きく変化する又は作業場所が異なる工程P21からは、RFID制御装置100とは異なるRFID制御装置200が処理を担当する。工程P21以降における部材に付されたRFIDタグの情報の読み出しや書き込みがアンテナ210A、210B、・・・及び対応するリーダライタ220A、220B、・・・で行われ、例えば読み出されたRFID情報がRFID制御装置200を介して、サーバ装置300に送出される。
【0024】
RFID制御装置100、200(RFID制御装置は少なくとも1個で良いが、本例では2個)で得られたRFID識別情報等がサーバ装置300に送信され、所定の生産管理が実行される。そして、例えば工程毎に必要とされる対応する作業指示等がサーバ装置300からRFID制御装置100や200に送出される。
【0025】
図3は、本発明による無線タグ制御装置を使用する生産管理システムの第2応用例の構成を示すブロック図である。この応用例によるRFID制御装置を用いた作業状態の表示、作業内容の表示及び状態信号入力について示す図である。
【0026】
各工程(例えば、工程P11)場所では、表示装置130がRFID制御装置100の接続点20Aを介して状態表示インターフェース20に接続され、作業状態や内容等の所要の情報を表示する。同様に、ブザー140も接続点20Bを介して状態表示インターフェース20に接続され、警報を告知する。また、各工程において作業情報を送信するための押しボタン150や作業状況を撮影するビデオカメラ160等の情報データ出力は、RFID制御装置100の接続点30Aや30Bを介して状態信号入力インターフェース30に送出され、ネットワークインターフェース16とネットワークを介してサーバ装置300に送出される。
【0027】
工程P12以降においても同様に、RFID制御装置100の状態表示インターフェース20や状態信号入力インターフェース30を介して表示装置130、ブザー140、押しボタン150、ビデオカメラ160等がRFID制御装置100に接続される。
【0028】
異なる工程P21においても同様な構成が採用され、RFID制御装置200の状態表示インターフェースや状態信号入力インターフェースを介して表示装置230、ブザー240、押しボタン250、ビデオカメラ260等がRFID制御装置200に接続される。
【0029】
次に、上述した生産管理システムの応用例に基づいて本発明の無線タグ制御装置の動作を詳細に説明する。RFIDタグを付した部材(製品)を生産ラインに流して複数の工程P11、P12、P13、・・・の処理を経る場合においては、工程毎にアンテナ(例えば、110A)やリーダライタ(例えば、120A)を介してRFID制御装置100が当該部材に付されたRFIDタグのRFID識別情報の読み出しや書き込みを行う。RFID制御装置100は、サーバ装置300とネットワークを介してRFID識別情報や生産指示情報等の情報を送受し、生産ラインを管理する。
【0030】
工程P11では、その上流側でリーダライタ120Aに接続されたアンテナ110Aにより当該部材に付されたRFIDタグから識別番号、製品番号、製品名を含むRFID識別情報が読み込まれる。RFID識別情報は、リーダライタ120AからRFID制御装置100のリーダライタインターフェース10を介してRFID制御装置100に送出される。
【0031】
RFID制御装置100の制御回路11は、状態表示インターフェース20を介して、工程の上流側でRFID識別情報が読み込まれたことを表示装置130に表示する。更に、RFID識別情報を表示装置130に表示すると共にRFID制御装置100のネットワークインターフェース16を介して、サーバ装置300にRFID識別情報と工程P11の識別情報を送信する。
【0032】
サーバ装置300は、RFID識別情報と工程P11の識別情報に基づいて工程P11の作業指示、作業用図面及び作業標準時間をRFID制御装置100に送出する。RFID制御装置100は、状態表示インターフェース20を介して、表示装置130に作業指示及び作業用図面を表示する。
【0033】
RFID制御装置100の読出書込制御回路12は、リーダライタインターフェース10を介して受信したRFID情報データ(読み出し信号)に対してフィルタリング処理を実行する。フィルタリング処理の一例としては、例えばアンテナ110Aの通信領域内にて複数回RFID識別情報が読み出された場合に複数個の読み出し時刻が発生する。しかし、特定の時刻を設定することにより、読み出された時刻を選択するような処理がある。また、アンテナ110Aの通信領域内に入り最初のRFID識別情報を読み出した時刻、またアンテナ110Aの通信領域内を抜け出て最後にRFID識別情報を読み出した時刻、最初と最後の中間の時刻等を選択設定することができる。
【0034】
工程P11の上流側にて最後にRFID識別情報を読み出した時刻から工程P11の下流側にて最初のRFID識別情報を読み出した時刻までの時間を測定すれば、工程P11でかかった作業時間が測定できる。
【0035】
RFID制御装置100は、作業標準時間を表示装置130に表示させると共に作業中には作業標準時間から作業時間を差し引いた作業残存時間を表示させる。
【0036】
生産ラインの作業者は、押しボタン150の押下により、作業の進捗状況、製品や部品の不具合情報、RFIDタグの情報異常及びタグの損傷等の作業情報を、状態信号入力インターフェース30を介してRFID制御装置100に送信する。RFID制御装置100の制御回路11は、作業情報をネットワークインターフェース16を介してサーバ装置300に送信する。
【0037】
サーバ装置300は、その情報を管理情報として記憶すると共にネットワークを介して管理情報を必要としている部門へ送信する。尚、押しボタン150の代わりに、タッチパネルのボタン、キーボードのボタンを用いることができることは勿論である。
【0038】
製品やRFIDタグの不具合情報の場合には、作業者はその製品を生産ラインから外し、生産ラインから外したことを押しボタン150の押下によりRFID制御装置100を介してサーバ装置300に送信する。サーバ装置300は、製品やRFIDタグの不具合情報やその製品が生産ラインから外れたこと等を記録し、その製品に付されたRFIDタグのRFID識別情報が次のアンテナで読み出されなくても、誤りとならないように生産ラインを制御する。
【0039】
上述した工程の作業が完了すると、RFIDタグを付与した製品はその工程の下流側に送られ、リーダライタ120Bに接続されたアンテナ110BによりRFIDタグのRFID識別情報が読み込まれる。RFID識別情報は、リーダライタ120BからRFID制御装置100のリーダライタインターフェース10を介してRFID制御装置100に送られる。
【0040】
RFID制御装置100の制御回路11は、状態表示インターフェース20を介して表示装置130に、工程の下流側でRFID識別情報が読まれたことと当該RFID識別情報を表示すると共にRFID制御装置100のネットワークインターフェース16を介してサーバ装置300にRFID識別情報と工程P11の識別情報を送信する。
【0041】
サーバ装置300は、RFID識別情報と工程P11の識別情報から工程P11の作業完了を判断する。また、サーバ装置300は、RFIDタグへ工程P11の作業完了情報の書き込みを指示する。RFID制御装置100は、指示を受けると、リーダライタインターフェース10を介してリーダライタ120Bに接続されたアンテナ110BによりRFIDタグに工程P11の作業の完了情報が書き込まれる。同時に、RFID制御装置100は、状態表示インターフェース20を介して表示装置130にRFIDタグへの工程P11の作業完了情報の書き込みの完了、工程P11の作業完了を表示させる。
【0042】
以降の工程も、同様に行われ、この生産管理システムの応用例における処理は、以上のようにして行われる。
【0043】
ところで、上述した生産管理システムの応用例では、配設された複数のアンテナやリーダライタが近接している場合の電波干渉等の問題が生ずる。この問題を解消させるため、読み出しや書き込みの時分割制御を実行する。
【0044】
例えば、1個のRFIDタグに対して複数のアンテナが近距離に位置した場合には、複数のアンテナから同時に出力された読み出し書き込み指示信号が電波干渉し、読み出し書き込みのエラーが生じる。また、1個のRFIDタグから出力された信号を複数のアンテナが受信し、その信号に複数のリーダライタが同時に返答し、複数の応答信号が電波干渉して読み出し書き込みのエラーが生じる。
【0045】
この応用例では、RFID制御装置100の読出書込制御回路12は近接する複数のアンテナ110A〜110Cが時分割で読み出し又は書き込み動作を行うように制御することにより電波干渉を防止する。
【0046】
図4は、近接配置されたアンテナ110A、110B、110Cに上述の如き電波干渉等が生じてデータの信頼性がなくなるという問題を解消するために、RFID制御装置100の読出書込制御回路12により時分割でそれぞれのアンテナの読み出し又は書き込みを制御する動作を説明するタイミングチャートである。
【0047】
以下、図4を参照して説明する。先ず、タイムスロットT1で、アンテナ110Aが読み出し又は書き込みを行う。次のタイムスロットT2で、アンテナ110Bが読み出し又は書き込みを行う。更に次のタイムスロットT3で、アンテナ110Cが読み出し又は書き込みを行うように制御される。以下、タイムスロットT1からT3で、上述した制御が繰り返される。
【0048】
アンテナ110A、110B、110Cから同じRFID識別情報が読み出された場合には、RFID制御装置100の読出書込制御回路12は、複数のリーダライタに入力されたRFIDタグの無線信号レベルから最も高い値を示したリーダライタに接続されたアンテナの近傍にRFIDタグがあると判断する。
【0049】
また、各工程間の距離が短く、アンテナ110Bとアンテナ110C、アンテナ110Dとアンテナ110Eのように各工程間のアンテナが電波干渉を起こす場合には、各工程の上流側アンテナ110A、110C、110Eと、各工程の下流側アンテナ110B、110D、110Fをそれぞれまとめて時分割で交互に読み出し又は書き込みを行うように制御して、電波干渉を防止することができる。
【0050】
RFID制御装置100の制御回路11は、各工程でRFIDタグの読み出しが正常に行われたと判断すると、状態表示インターフェース20を介してその工程のブザー140を鳴らす。また、状態表示インターフェース20を介して各工程の表示装置130にRFIDタグから読み出されたRFID識別情報を表示させる。
【0051】
また、各工程の作業状態をビデオカメラ160で撮像した撮像データ信号は、状態信号入力インターフェース30を介してRFID制御装置100のデータ保存回路13に保存される。読出書込制御回路12のRFID読み出し信号の上述したフィルタリングを用いて、工程の上流側にて最後にRFID識別情報を読み出した時刻から、工程の下流側にて最初のRFID識別情報を読み出した時刻までをその工程の1セッションとして、ビデオカメラ160のデータ信号は、RFID識別情報、工程識別番号を付与して共に保存される。RFID制御装置100のデータ保存回路13は、複数の工程から送出されたデータ信号を保存する。
【0052】
最終チェックで良品と判断された時点で、良品と判断したRFID識別情報が付与されたビデオカメラ160で得られたデータ信号が消去される。製品不良が発生した場合には、どの工程の何が原因であるかを突き止めるため、その製品の各工程のRFID識別情報が付与されたビデオカメラ160の撮像データ信号をデータ保存回路13に保存し、原因分析に使用することができる。
【0053】
また、各工程に作業時間や停滞時間の最大、最小値となったビデオカメラ160の撮像データ信号を、RFID識別情報、工程識別番号を付与して共に保存する。最大時間を要したデータ信号を分析して工程の問題点や、作業者スキルを分析する。最小時間で作業を終えたデータ信号を分析して、効率の良い作業方法の横展開を行うことができる。
【0054】
ビデオカメラ160による撮像データ信号の保存及び削除は、生産ラインの工程の作業者が、押しボタンを操作して行うことも可能である。
【0055】
RFID制御装置100のファームウェアは、LAN経由でネットワークインターフェースを介して改版することができる。状態表示インターフェース20に接続される表示装置130の変更や表示仕様内容の変更、状態信号入力インターフェース30に接続されるデータ出力装置の変更や出力信号の仕様変更は、RFID制御装置100のファームウェアの更新により対応可能となる。
【0056】
以上、本発明の無線タグ制御装置の好適実施例及びその応用例の構成及び動作を詳述した。しかし、かかる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。例えば、本発明の実施態様は、課題を解決するための手段における構成(1)に加えて、次のような構成として表現できる。
(2)ネットワークとの接続点を有すると共に前記各制御回路および前記データ保存回路に接続されるネットワークインターフェースを更に備える上記(1)の無線タグ制御装置。
(3)前記リーダライタインターフェースの接続点は、前記生産システムの各工程の上流側及び下流側に対応するリーダライタ用に複数対設けられている上記(1)又は(2)の無線タグ制御装置。
(4)前記生産システムの異なる種類又は異なる場所の工程毎に前記無線タグ制御装置を複数個設け、該複数の無線タグ制御装置の前記ネットワークインターフェースを、サーバ装置に接続して協働させる上記(1)乃至(3)の何れかの無線タグ制御装置。
【符号の説明】
【0057】
10 リーダライタインターフェース
10A〜10F 接続点
11 制御回路
12 読出書込制御回路
13 データ保存回路
14 状態表示制御回路
15 状態信号入力制御回路
16 ネットワークインターフェース
20 状態表示インターフェース
20A、20B 接続点
30 状態信号入力インターフェース
30A、30B 接続点
110A〜110F、210A、210B アンテナ
120A〜120F、220A、220B リーダライタ
130 表示装置
140 ブザー
150 押しボタン
160 ビデオカメラ
100、200 無線タグ制御装置(RFID制御装置)
300 サーバ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグが付された生産管理対象である複数の部材の生産システム等に応用される無線タグ制御装置において、
それぞれアンテナを介して前記部材の無線タグに情報を読み書きする複数のリーダライタが接続される複数の接続点を有するリーダライタインターフェースと、前記リーダライタインターフェースに接続され、前記リーダライタによる前記無線タグへの情報の読み書きを制御する読出書込制御回路と、表示装置やブザーに接続される複数の接続点を有する状態表示インターフェースと、前記状態表示インターフェースに接続され、前記表示装置やブザーを制御する状態表示制御回路と、ビデオカメラや押しボタンが接続される複数の接続点を有する状態信号入力インターフェースと、前記状態信号入力インターフェースに接続され、前記ビデオカメラや押しボタンから入力される信号を制御する状態信号入力制御回路と、前記読出書込制御回路及び前記状態信号入力制御回路から得たデータを保存するデータ保存回路と、前記読出書込制御回路、前記状態表示制御回路、前記状態信号入力制御回路及び前記データ保存回路を統合的に制御する制御回路とを一体的に備えることを特徴とする無線タグ制御装置。
【請求項2】
ネットワークとの接続点を有すると共に前記各制御回路および前記データ保存回路に接続されるネットワークインターフェースを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の無線タグ制御装置。
【請求項3】
前記リーダライタインターフェースの接続点は、前記生産システムの各工程の上流側及び下流側に対応するリーダライタ用に複数対設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線タグ制御装置。
【請求項4】
前記生産システムの異なる種類又は異なる場所の工程毎に前記無線タグ制御装置を複数個設け、該複数の無線タグ制御装置の前記ネットワークインターフェースを、サーバ装置に接続して協働させることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の無線タグ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−9614(P2010−9614A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211458(P2009−211458)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【分割の表示】特願2005−26038(P2005−26038)の分割
【原出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】