説明

無線ネットワークシステム、ゲートウェイ、無線端末機器

【課題】メッシュ型無線ネットワークを用いた無線端末機器の設置作業や保守点検作業において、無線端末機器が複数のルーティングパスを持つことを確認するために、ゲートウェイにネットワーク監視用PCを接続してルーティング状況をモニタリングしながら無線端末機器の設置位置の変更やアンテナ向きの微調整を行う必要があるが、作業場所とネットワーク監視用PCが異なる場所にある場合は手間と時間がかかった。
【解決手段】ゲートウェイ200は、各無線端末機器100から通知された回線接続状態からルーティングパス情報605を生成し各無線端末機器100に通知する。無線端末機器100は表示手段105を用いることにより、通知されたルーティングパス情報605をリアルタイムで表示する。
以上の解決手段により、ルーティングパスを確認しながら作業を行うことが可能となるため、作業の効率化を図ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線によるパケット通信を行う無線ネットワークシステムを提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
メッシュ型無線ネットワークは、複数のルーティングパスを持つことが可能であるため、無線端末機器の障害や電波伝搬環境の変化により一つのルーティングパスに障害が発生した場合においても他のルーティングパスでパケットをルーティングさせることにより正常なパケット伝送が可能であり、高い信頼性を確保することができる。
【0003】
その一方、無線端末機器の設置作業や保守点検作業においては、無線端末機器が複数のルーティングパスを持つかどうかを確認するために、設置作業者は監視ソフトウェアをインストールしたPCを用いてルーティングパス情報をモニタリングしながら、無線端末機器の設置位置やアンテナ方向の微調整を行う必要があった。
【0004】
また、複数のルーティングパスを持つメッシュ型無線ネットワークになるようなネットワーク設計を実施したにも関らず、実際に無線端末機器を設置してみると、遮蔽物による電波の遮断や電子レンジ等の干渉波の影響等により、当初意図していなかったネットワーク構成となってしまうことがある。その場合においても、監視ソフトウェアをインストールしたPCを用いてルーティングパス情報をモニタリングしながら、無線端末機器の設置位置やアンテナ方向の微調整を行う必要があった。
【0005】
このように無線端末機器の設置作業や保守点検作業において、無線端末機器が複数のルーティングパスを持つことを確認するために、ゲートウェイにネットワーク監視用PCを接続してルーティング状況をモニタリングしながら無線端末機器の設置位置の変更やアンテナ向きの微調整を行う必要があるが、作業場所とネットワーク監視用PCが異なる場所にある場合は手間と時間がかかった
特に、近年、低消費電力化、データ伝送の大容量化、周波数の逼迫を回避するために、近距離無線通信においては使用周波数帯域の高周波化、送信出力の低電力化が一般化しつつあり、無線端末機器の設置作業は難化しつつある。
【0006】
これらに対しては、無線端末機器のLED点灯順位によりパケットがルーティングされるパスを目視できる無線端末機器が特許文献1に提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開2007−049373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
メッシュ型無線ネットワークにおいて、例えば、電波伝搬環境の変化によりルーティングパスの変化を確認することは可能であるが、パケットの送信元から送信先までのルーティングパス数を取得することは困難である。メッシュ型無線ネットワークは、複数のルーティングパスを持つことが可能であるため、無線端末機器の障害や電波伝搬環境の変化により一つのルーティングパスに障害が発生した場合においても他のルーティングパスでパケットをルーティングさせることにより、正常なパケット伝送が可能であるが、従来の方式ではルーティングパス数を取得することが困難であるから、ネットワークの一部に障害が発生した場合に迂回ルートがあるかどうかを取得することはできない問題点があった。
【0009】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、無線端末機器はゲートウェイ200が通知したルーティングパス情報605を表示することが可能な無線ネットワークシステム、ゲートウェイ、無線端末機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の無線ネットワークシステムは、受信したパケットを新たな無線端末機器にルーティングする複数無線端末機器とパケットのルーティング制御を行うゲートウェイを有し、
前記ゲートウェイは、無線端末機器の回線接続状態を取得しルーティングパス情報を生成するルーティングパス取得手段と、前記ルーティングパス取得手段により得たルーティングパス情報を前記無線端末機器に通知するための送信部とを有し、前記無線端末機器は、ゲートウェイから通知されるルーティングパス情報を受信する受信部と、前記ゲートウェイから通知されるルーティングパス情報を表示するための表示手段と、前記ルーティングパス情報を外部機器に表示するための外部インタフェースとを有することを特徴する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無線端末機器にゲートウェイ200が通知したルーティングパス情報を表示、もしくは、無線端末機器と接続した外部機器に表示させることにより、無線端末機器の設置作業や保守点検作業を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜10を用いて実施の形態1を説明する。
【実施例1】
【0013】
実施の形態1は、ゲートウェイ200が個々の無線端末機器100の回線接続状態を取得し、取得した回線接続状態を元にルーティングパス情報605を取得するルーティングパス取得手段と、無線端末機器100がゲートウェイから通知されるルーティングパス情報605を表示するための表示手段105、または外部機器108に表示するための外部インタフェース106に関する。
【0014】
ここで「回線接続状態」とは、無線端末機器100が隣接する他無線端末機器100やゲートウェイ200と、他無線端末機器100や他ゲートウェイ200をルーティングすることなく、パケットの送受信が可能な無線端末機器100やゲートウェイ200の台数とその接続状態を示す。ここで、「接続状態」の指標としては、例えばRSSI(受信電波強度:Received Signal Strength Indicator)などがある。回線接続状態は、無線端末機器100の回線接続状態取得手段107により取得される。
【0015】
また、ここで「ルーティングパス情報」とは、個々の無線端末機器100の回線接続状態を元に取得される情報で、各無線端末機器100の回線接続状態と無線端末機器100〜ゲートウェイ200間のルーティングパス数やホップ数などを示す。ルーティングパス情報は、ゲートウェイ200のルーティングパス取得手段205により取得される。
【0016】
また、ここで「ホップ数」とは、無線端末機器100やゲートウェイ200をルーティングする回数を示し、例えば、無線端末機器100を2回ルーティングしたパケットのホップ数は2であり、一回もルーティングしていないパケットは、ホップ数0である。
【0017】
実施の形態1における無線ネットワークシステムの一例を示すブロック図として、図1の構成の無線端末機器100と図2の構成のゲートウェイ200を、図3のように複数台設置したメッシュ型無線ネットワーク300を示す。
(メッシュ型無線ネットワーク)
図3は実施の形態1におけるメッシュ型無線ネットワークの一例を示す図である。ただし、図3のメッシュ型無線ネットワーク300では便宜上、ゲートウェイ200を1台、無線端末機器100を6台のみ図示しているが、その限りではない。
【0018】
図3において、例えば、無線端末機器100−Bと無線端末機器100−Aや無線端末機器100−Bとゲートウェイ200のように直線が図示されている場合、直接パケットの送受信が可能な状態であるこを示す。一方、例えば、無線端末機器100−Aとゲートウェイ200は直線が図示されていないから、直接パケットの送受信を行うことはできない。
【0019】
さらに図3に示すネットワークはメッシュ型無線ネットワークであるから、例えば、無線端末機器100−Aが送信したパケットを、無線端末機器100−Bをルーティングすることにより、ゲートウェイ200が受信することが可能である。この場合、1回(無線端末機器100−B)のみルーティングしているので、ホップ数は1となる。
【0020】
以上により、例えば無線端末機器100−Bの回線接続状態とは、無線端末機器100−B〜ゲートウェイ200と、無線端末機器100−B〜無線端末機器100−Aの回線接続状態を示す。
【0021】
また、以上により、例えば無線端末機器100−F〜ゲートウェイ200のルーティングパス情報605とは、ルーティングパス数3(無線端末機器100−F〜無線端末機器100−D〜無線端末機器100−C〜無線端末機器100−A〜無線端末機器100−B〜ゲートウェイ200(ホップ数4)、無線端末機器100−F〜無線端末機器100−D〜無線端末機器100−A〜無線端末機器100−B〜ゲートウェイ200(ホップ数3)、無線端末機器100−F〜無線端末機器100−D〜無線端末機器100−E〜無線端末機器100−A〜無線端末機器100−B〜ゲートウェイ200(ホップ数4))や、各ルートに対するホップ数を示す。
(無線端末機器100)
図1は、実施の形態1における無線端末機器100の構成を示す図である。図1を参照して無線端末機器100を説明する。無線端末機器100は、制御部101、受信部102、送信部103、記録部104、表示手段105、外部インタフェース106、回線接続状態取得手段107を有する。
【0022】
ここで制御部101は、受信部102、送信部103、記録部104、表示手段105、外部インタフェース106、回線接続状態取得手段107を制御する。
【0023】
ここで受信部102は、ゲートウェイ200や他無線端末機器100が送信したパケット500を受信する。制御部101は、受信部102により受信したパケット500の宛先アドレス501、送信元アドレス502、パケット種別503、ホップ数504により、予め決められた動作を行う。(動作内容については後述)
送信部103は、ゲートウェイ200や他無線端末機器100に対してパケット500を送信する。
【0024】
記録部104は、受信部102が受信したパケット500、送信待ちのパケット500、ゲートウェイ200が通知したルーティングパス情報605、回線接続状態取得手段107が取得したの回線接続状態を一時的に記録する。
【0025】
ここで回線接続状態取得手段107とは、当該無線端末機器100の回線接続情報を取得するための手段である。
【0026】
表示手段105は、ゲートウェイ200が通知したルーティングパス情報605を表示するための手段であり、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)による表示や、LCD(液晶ディスプレイ:Liquアドレス Crystal Monitor)による表示の他、音声による表示、振動による表示を挙げることができるが、ルーティングパス情報605を表示するための手段であれば、それに限定されるものではない。
【0027】
また、表示手段105は、ゲートウェイ200が通知したルーティングパス情報605の全てを表示する必要はなく、そのルーティングパス情報605のうち当該無線機器端末100に必要な情報のみを表示させても良い。
【0028】
外部インタフェース106は、 外部機器108を用いてゲートウェイ200が通知したルーティングパス情報605を表示する。ここで外部機器108とは、例えば、LCDやPCなどが挙げることができるが、ルーティングパス情報605を表示するものであれば、それに限定されるものではない。
(ゲートウェイ200)
図2は、実施の形態1におけるゲートウェイ200の構成を示す図である。図2を参照して、ゲートウェイ200を説明する。ゲートウェイ200は、制御部201、受信部202、送信部203、記録部204、ルーティングパス取得手段205を有する。
【0029】
制御部201は、受信部202、送信部203、記録部204、ルーティングパス取得手段205を制御する。
【0030】
受信部202は、無線端末機器100が送信したパケット500を受信する。制御部201は、受信部202により受信したパケット500の宛先アドレス501、送信元アドレス502、パケット種別503、ホップ数504により、予め決められた動作を行う。(動作内容については後述)
送信部203は、無線端末機器100に対してパケットを送信する。
【0031】
記録部204は、受信部202が受信したパケット500、送信待ちのパケット500、ルーティングパス取得手段205が取得したルーティングパス情報605、各無線端末機器100から通知された回線接続状態を一時的に記録する。
【0032】
ルーティングパス取得手段205は、各無線端末機器100から通知された回線接続状態を元にルーティングパス情報605を取得する。ルーティングパス情報605の取得方法については後述する。
(パケットのフォーマット)
図5は、実施の形態1におけるパケットのフォーマットを示す図である。パケット500は、大別してヘッダ部506とデータ部507から構成される。さらに、ヘッダ部506は、宛先アドレス501を記述する領域、送信元アドレス502を記述する領域、パケット種別503を記述する領域、ホップ数504を記述する領域から成り、データ部507はペイロード505を記述する領域から成る。また、ゲートウェイ200と無線端末機器100は、パケットの送受信を行うために予め固有のアドレスが割り振られている。
【0033】
ここで宛先アドレス501とは、パケット500の宛先のアドレスを示す。また、不特定多数の相手に対して送信(ブロードキャスト送信)する場合は、宛先アドレス501に予め決められたアドレスを記述する。
【0034】
ここで送信元アドレス502とは、パケット500の送信元のアドレスを示す。ゲートウェイ200や無線端末機器100において、受信したパケットの応答が必要な場合は、送信元アドレス502を参照する。
【0035】
ここでパケット種別503とは、パケットの種別ごとに予め決められたアドレスを示す。ゲートウェイ200や無線端末機器100において、パケット種別503を参照することにより、受信したパケットの種別を判断することができる。(パケットの種別については後述する。)
ここでホップ数504とは、無線端末機器100やゲートウェイ200が当該パケットをルーティングする回数を示す。例えば、ホップ数504に1が記述されているパケット500は、1回だけルーティングを行う。ここで、ゲートウェイ200と無線端末機器100は、パケット500のルーティングを行う際にポッピ数を1だけ減算し、ホップ数が0のパケットについてはルーティングを行わない。また、ホップ数504を限定しない場合は、そのことを示す予め決められたアドレスを記述する。
【0036】
無線端末機器100やゲートウェイ200は、宛先のアドレス501が自分のアドレスの場合は、ホップ数504に関わらずルーティングを行わない。
(パケットの種別)
図6は、実施の形態1におけるパケット種別を示す。パケットの種別は、回線接続状態通知要求601、応答要求602、確認応答603、回線接続状態通知応答604、ルーティングパス情報605の5種類あり、以下、各々のパケット500について詳細を記す。
【0037】
ここで回線接続状態通知要求601とは、ゲートウェイ200が無線端末機器100に対して回線接続状態の通知を要求するパケットである。ここで宛先アドレス501は、回線接続状態を要求する無線端末機器100のアドレスを記し、送信元アドレス502は当該ゲートウェイ200のアドレスを記し、パケット種別503は回線接続状態通知要求601を示すアドレスを記し、ホップ数504は限定しないことを示すアドレスを記す。
【0038】
ここで応答要求602とは、無線端末機器100が当該無線端末機器100の回線接続状態を取得するためのパケット500でり、回線接続状態通知要求601を受信した無線端末機器100は、不特定多数の相手に対して応答要求602を送信(ブロードキャスト送信)する。すなわち、応答要求602の宛先アドレス501はブロードキャストであることを示すアドレスを記し、送信元アドレス502は当該無線端末機器100のアドレスを記し、パケット種別は応答要求602を示すアドレスを記し、ホップ数504は0(ルーティングを行わない)を記す。
【0039】
ここで確認応答603とは、無線端末機器100が送信した応答要求602に対する応答パケットである。応答要求602を受信したゲートウェイ200や他無線端末機器100は、パケットの衝突を防止するためにランダム時間だけ待機した後、応答要求602の送信元に対して確認応答403を送信する。すなわち、宛先アドレスは応答要求602の送信元のアドレスを記し、送信元のアドレス502は自局のアドレスを記し、パケット種別は確認応答403を示すアドレスを記し、ホップ数504は0(ルーティングを行わない)を記す。
【0040】
応答要求602を送信した無線端末機器100は、確認応答603を受信する際、RSSI(受信電波強度:Received Signal Strength Indicator)などを測定することにより、直接パケットの送受信が可能である無線端末機器100やゲートウェイ200の台数だけではなく、どの位の受信レベルでパケットの受け渡しが可能であるかなど回線接続状態を取得することができる。
【0041】
ここで回線接続状態通知応答604とは、回線接続状態取得手段が取得した回線接続状態をゲートウェイ200に通知するためのパケットである。無線端末機器100は、取得した回線接続状態を回線接続状態通知応答404のデータ部507に付加して、ゲートウェイ200に応答する。すなわち、回線接続状態通知応答404の宛先アドレス501には回線接続状態通知要求601の送信元のアドレスを記し、送信元アドレスは当該無線端末機器100のアドレスを記し、パケット種別は回線接続状態通知応答404を示すアドレスを記し、ホップ数504は限定しないことを示すアドレスを記す。
【0042】
ゲートウェイ200は、メッシュ型無線ネットワーク上の個々の無線端末機器100に対し回線接続状態通知要求601を送信することにより、個々の無線端末機器100の回線接続状態を取得する。さらに、ゲートウェイ200のルーティングパス取得手段205により、個々の無線端末機器100の回線接続状態を元にルーティングパス情報605を取得する。
【0043】
ゲートウェイ200は、取得したルーティングパス情報605を全ての無線端末機器100に一斉通報する。すなわち、ルーティングパス情報605の宛先アドレス501はブロードキャストであることを示すアドレスを記し、送信元アドレスは当該ゲートウェイ200のアドレスを記し、パケット種別はルーティングパス情報605を示すアドレスを記し、ホップ数504は限定しないことを示すアドレスを記す。
(ルーティングパス取得手段)
図3は実施の形態1におけるメッシュ型無線ネットワークの一例を示す図である。また、図4は、実施の形態1における各種パケット(回線接続状態通知要求601、応答要求602、確認応答603、回線接続状態通知応答604、ルーティングパス情報605)の流れを示す。以下、図3〜4を参照にして、図2のルーティングパス取得手段205がルーティングパス情報を取得する手段について説明する。
【0044】
ゲートウェイ200は、予め決められた時刻、もしくは定周期ごとに、もしくは外部からのトリガーにより、メッシュ型無線ネットワーク300上の任意の無線端末機器1台を選択し、当該無線端末機器100A〜Fの回線接続状態の通知を要求するパケットである回線接続状態通知要求601を送信する。
【0045】
ここでは、例えば図3のメッシュ型無線ネットワーク300上のゲートウェイ200が、無線端末機器100−Aに対して、回線接続状態通知要求601を送信したとする。回線接続状態通知要求601はルーティング可能なパケットであるので、ゲートウェイ200が送信した回線接続状態通知要求601(パケット401)を無線端末機器100−Bが受信した後、無線端末機器100−Bは無線端末機器100−Aを宛先として、回線接続状態通知要求601(パケット402)の再送信415を行う。無線端末機器100−Bが送信した回線接続状態通知要求601(パケット402)は無線端末機器100−Aが受信するが、無線端末機器100−Aは、パケットの宛先501が自分宛のアドレスであるため、ルーティングは行わない。
【0046】
回線接続状態通知要求601(パケット402)を受信した無線端末機器100−Aは、回線接続状態取得手段107により回線接続状態を取得する。以下、回線接続状態取得手段107が回線取得状態を取得する方法にいて記す。
【0047】
回線接続状態通知要求601(パケット402)を受信した無線端末機器100−Aは、応答要求602を送信する。応答要求602は、不特定多数の相手に対して送信(ブロードキャスト送信)されるが、ホップ数504は0が記述されているため、ゲートウェイ200や無線端末機器100−B〜Fが、無線端末機器100−Aが送信した応答要求602を受信してもルーティングは行わない。図4では、メッシュ型無線ネットワーク300上の無線端末機器100−Aが送信した応答要求602(パケット403〜6)を無線端末機器100−B〜Eが受信していることを示す。
【0048】
応答要求602を受信したゲートウェイ200や無線端末機器100−A〜Fは、パケットの衝突を防止するために予め決められたランダム時間だけ待機した後、応答要求602の送信元に応答する。図4では、メッシュ型無線ネットワーク300上の無線端末機器100−Aが送信した応答要求602(パケット403〜6)を受信した無線端末機器100−B〜Eは、パケットの衝突を防止するために予め決められたランダム時間(417〜9)だけ待機した後、応答要求602の送信元である無線端末機器100−Aに対して確認応答603(パケット407〜10)を返信する。
【0049】
なお、図4では、ゲートウェイ200や無線端末機器100−Fは無線端末機器100−Aが送信した応答要求602を受信できないから何も返信しない。
【0050】
無線端末機器100−Aは、確認応答603(パケット407〜10)を受信する際、RSSI(受信電波強度:Received Signal Strength Indicator)などを測定することにより、直接パケットの送受信が可能である無線端末機器100やゲートウェイ200の台数だけではなく、どの位の受信レベルでパケットの受け渡しが可能であるかなど回線接続状態を取得することができる。
【0051】
無線端末機器100−Aの回線接続状態取得手段107は、以上の動作により回線接続状態を取得する。次に、無線端末機器100−Aは取得したした回線接続状態を回線接続状態通知要求601の送信元であるゲートウェイ200に対して、回線接続状態通知応答604(パケット411)として送信する。
【0052】
回線接続状態通知応答604(パケット411)はルーティング可能なパケットであるので、無線端末機器100−Aが送信した回線接続状態通知応答604(パケット411)を無線端末機器100−Bが受信した後、無線端末機器100−Bはゲートウェイ200を宛先として、回線接続状態通知応答604(パケット412)の再送信(416)を行う。ゲートウェイ200は、無線端末機器100−Bが送信した回線接続状態通知応答604(パケット412)を受信するが、パケットの宛先501が当該ゲートウェイ200のアドレスであるため、ルーティングは行わない。以上の動作により、ゲートウェイ200は無線端末機器100−Aの回線接続状態を取得することが可能である。
【0053】
以上の動作は、ゲートウェイ200が無線端末機器100−Aの回線接続状態を取得する方法について記したが、 ゲートウェイ200は、メッシュ型無線ネットワーク300上の無線端末機器302B〜Fに対しても、同様に回線接続状態通知要求601を送信し、無線端末機器302−B〜Fからの回線接続状態通知応答404を受信することにより、各無線端末機器302−A〜Fの回線接続状態についても取得する。上記の手段により、ゲートウェイ200のルーティングパス取得手段205は、各無線端末機器302−A〜Fの回線接続状態を取得することが可能である。
【0054】
ゲートウェイ200は無線端末機器302−A〜Fの回線接続状態を把握しているので、例えばゲートウェイ200から無線端末機器302−Fまでのルーティングパス情報をも把握することが可能である。
【0055】
ゲートウェイ200は、ルーティングパス情報605を各無線端末端末101A〜Fに送信する。ルーティングパス情報605の通知方法としては、ゲートウェイ200は各無線端末機器100に一斉通知(ブロードバンド送信)しても良いし、各無線端末機器100に個別に通知しても構わない。例えば、図3のアドホック型無線ネットワークのゲートウェイ200が無線端末機器100−Aに対して、ルーティングパス情報605を送信したとする。
【0056】
回線接続状態通知要求601はルーティング可能なパケットであるので、ゲートウェイ200が送信したルーティングパス情報605(パケット413)を無線端末機器100−Bが受信した後、無線端末機器100−Bは無線端末機器100−Aを宛先として、ルーティングパス情報605(パケット414)の再送信(417)を行う。無線端末機器100−Bが送信したルーティングパス情報605(パケット414)は無線端末機器100−Aが受信する。
(ルーティングパス情報の表示手段)
次に、ゲートウェイ200が各無線端末機器100に通知したルーティングパス情報605を、表示手段105を用いてリアルタイムで表示する方法ついて説明する。
【0057】
図7〜図10は実施の形態1における表示例として、表示手段105がルーティングパス情報605を表示する方法を示す。ただし、表示手段105は、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)による表示や、LCD(液晶ディスプレイ:Liquアドレス Crystal Monitor)による表示の他、音声による表示、振動による表示を挙げることができるが、ルーティングパス情報605を表示するための手段であれば、それに限定されるものではない。
【0058】
また、表示手段105に表示する内容は、ゲートウェイ200が各無線端末機器100に通知したルーティングパス情報605以外の内容が含まれていても構わない。例えば、無線端末機器100の電源電圧やCPU(中央処理装置:Central Processing Unit)使用率などを表示手段105に表示しても良い。
【0059】
図7ではルーティングパス情報605を表示する一例として、表示手段(LCD)701に当該無線端末機器100〜ゲートウェイ200間で、とりうるルーティングパス全てを表示する例を示す。例えば、図3のメッシュ型無線ネットワーク300上の無線端末機器100−Fの場合、ゲートウェイ200までのパケットルーティングでとり得るルーティングパスは3通り(無線端末機器100−F〜無線端末機器100−D〜無線端末機器100−C〜無線端末機器100−A〜無線端末機器100−B〜ゲートウェイ200、無線端末機器100−F〜無線端末機器100−D〜無線端末機器100−A〜無線端末機器100−B〜ゲートウェイ200、無線端末機器100−F〜無線端末機器100−D〜無線端末機器100−E〜無線端末機器100−A〜無線端末機器100−B〜ゲートウェイ200)あるので、その全てを表示する。ただし、図7では簡略化のために、例えば、「無線端末機器100−F」を「F」と図示している。
【0060】
表示手段(LCD)701により、無線端末機器100−Fからゲートウェイ200にパケットを送信する場合は、どのパケットも無線端末機器100−Bをルーティングしていることが分かる。このように、無線機器端末100の設置作業において、作業者は無線端末機器100−A〜ゲートウェイ200間のルーティングパスが1つしかないことが容易に認識することが可能であり、例えば、無線端末機器100−A〜ゲートウェイ200間に新たに無線端末機器100−Gを追加するなどして、無線端末機器100−A〜ゲートウェイ200間に複数のルーティングパスを待たせることにより、信頼性を向上させることが可能となる。
【0061】
図8ではルーティングパス情報605を表示する一例として、表示手段(LCD)801に無線端末機器100が隣接するゲートウェイ200や他無線端末機器100と、どの程度のRSSIで直接パケットの送受信が可能であるかを示す。例えば、図3のメッシュ型無線ネットワーク300上の無線端末機器100−Dの場合、無線端末機器100−A、無線端末機器100−C、無線端末機器100−Eと直接パケットの送受信が可能であるので、その状態を表示手段(LCD)705に表示する。ただし、図8では簡略化のために、例えば、「無線端末機器100−D」を「D」と図示している。
【0062】
図9ではルーティングパス情報605を表示する一例として、表示手段(LCD)801に無線端末機器100とゲートウェイ200がパケットの受け渡しを行うときの最低ホップ数を示す。例えば、メッシュ型無線ネットワーク300上の無線端末機器100−Fの場合、ゲートウェイ200までデータを送るためには、最低でも無線端末機器100を3ホップ(無線端末機器100−F〜無線端末機器100−D〜無線端末機器100−A〜無線端末機器100−B〜ゲートウェイ200)しなければならないので、ホップ数は3となる。ただし、図9では簡略化のために、例えば、「無線端末機器100−F」を「F」と図示している。
【0063】
通常、ルーティングは一定の時間がかかるで、ホップ数が増えるごとにパケットの遅延や揺らぎが発生する。無線端末機器100の設置作業や保守点検作業において、作業者は表示手段(LCD)801を見ながら、できる限り最低ホップ数が少なくなるように無線端末機器100の設置位置やアンテナ方向の微調整を行うことにより、遅延や揺らぎが少ないネットワーク構成を組むことが可能となる。
【0064】
図10ではルーティングパス情報605を表示する一例として、表示手段(LCD)901にネットワーク上の問題点を示す。例えば、メッシュ型無線ネットワーク300上の無線端末機器100−Dからゲートウェイ200にパケットを送信するとき、無線端末機器100−A〜ゲートウェイ200はルーティングパス数が1つしかないので、無線端末機器100−Bが故障した場合、無線端末機器100−Dはゲートウェイ200と通信することが不可能となる。このように、ルーティングパス数が少ない無線端末機器〜無線端末機器間や無線端末機器〜ゲートウェイ間の情報を、表示手段(LCD)805に表示する。ただし、図10では簡略化のために、例えば、「無線端末機器100−F」を「F」と図示している。
【0065】
実施の形態1では、メッシュ型無線ネットワークを用いた無線端末機器100の設置作業や保守点検作業において、作業者は無線端末機器100の表示手段105にルーティングパス情報605を表示しながら、無線端末機器100の設置位置やアンテナ方向の微調整などが可能となるので、無線端末機器の設置作業の効率化を実現することが可能となる。
(外部機器を用いたルーティングパス情報の表示手段)
次にゲートウェイ200が各無線端末機器100に通知したルーティングパス情報605を、外部インタフェース106を介して、外部機器108でルーティングパス情報605として表示する方法ついて説明する。
【0066】
外部インタフェースの規格として、例えばUSB(Universal Serial Bus)やRS−232C(Recommended Standard 232 version C)などを挙げることができるが、外部機器108とデータの受け渡しが可能であるならばそれに限定されるものではない。また、図1は、外部インタフェース106と外部機器108をケーブル109を用いて接続しているが、外部インタフェース106と外部機器108のデータの受け渡しをワイヤレス通信で行う場合は不要である。
【0067】
ここで外部機器108に表示する内容は、ゲートウェイ200が各無線端末機器100に通知したルーティングパス情報605以外の内容を含んでいても構わない。例えば、無線端末機器100の電源電圧やCPU使用率などを外部機器108に表示しても良い。
【0068】
外部機器108は、例えばLEDによる表示や、LCD(液晶ディスプレイ:Liquアドレス Crystal Monitor)による表示の他、音声による表示、振動による表示を挙げることができるが、ルーティングパス情報605を表示するための手段であれば、それに限定されるものではない。
【0069】
実施の形態1では、メッシュ型無線ネットワークを用いた無線端末機器100の設置作業や保守点検作業において、作業者は外部機器108に回線接続状態を表示しながら、無線端末機器100の設置位置やアンテナ方向の微調整などが可能となるので、無線端末機器の設置作業の効率化を実現することが可能となる。
【実施例2】
【0070】
図11〜18を用いて実施の形態2を説明する。実施の形態2は、無線端末機器1100が当該無線端末機器1100の回線接続状態を取得する手段1107と、回線接続状態を表示するための表示手段1105、または外部機器1108に表示するための外部インタフェース1106に関する。
【0071】
ここで「回線接続状態」とは、無線端末機器1100が隣接する他無線端末機器1100やゲートウェイ1200と、他無線端末機器1100や他ゲートウェイ1200をルーティングすることなく、直接パケットの送受信が可能な他無線端末機器1100やゲートウェイ1200の台数とその接続状態を示す。ここで、「接続状態」の指標としては、例えばRSSI(受信電波強度:Received Signal Strength Indicator)などがある。回線接続状態は、ゲートウェイ1200の回線接続状態取得手段1107により取得される。
【0072】
実施の形態1では、ゲートウェイ200から通知されるルーティングパス情報605を、無線端末機器100の表示手段105、または外部機器108に表示させるこよにより、作業差者は複数のルーティングパスを持つことを確認することが可能となる例を示した。
【0073】
実施の形態2では、ゲートウェイ1200からルーティングパス情報を受信することなく、無線端末機器1100の回線接続状態取得手段1107により回線接続状態を取得し、取得した回線接続状態を表示手段1105、または外部機器1108に表示させる例を示す。
【0074】
実施の形態2における無線ネットワークシステムの一例を示すブロック図として、図11の構成の無線端末機器1100と図12の構成のゲートウェイ1200を、図13のようにのように複数台設置したメッシュ型無線ネットワーク1300を示す。
(メッシュ型無線ネットワーク)
図13は実施の形態2におけるメッシュ型無線ネットワークの一例を示す図である。ただし、図13のメッシュ型無線ネットワーク1300では便宜上、ゲートウェイ1200を1台、無線端末機器1100を6台のみ図示しているが、その限りではない。
【0075】
図13において、例えば、無線端末機器1100−Bと無線端末機器1100−A、もしくは無線端末機器1100−Bとゲートウェイ1200、もしくは無線端末機器1100−Fと無線端末機器1100−Dのように直線が図示されている場合、直接パケットの送受信が可能な状態であるこを示す。一方、例えば、無線端末機器1100−Aとゲートウェイ1200は直線が図示されていないから、直接パケットの送受信を行うことはできない。
【0076】
さらに図13に示すネットワークはメッシュ型無線ネットワークであるから、例えば、無線端末機器1100−Aが送信したパケットを、無線端末機器1100−Bをルーティングすることにより、ゲートウェイ1200が受信することが可能である。この場合、1回(無線端末機器1100−B)のみルーティングしているので、ホップ数は1となる。
【0077】
以上により、例えば無線端末機器1100−Bの回線接続状態とは、無線端末機器1100−B〜ゲートウェイ1200と、無線端末機器1100−B〜無線端末機器1100−Aの回線接続状態を示す。
(無線端末機器1100)
図11は、実施の形態2における無線端末機器1100の構成を示す図である。以下、図11を参照して無線端末機器1100を説明する。無線端末機器1100は、制御部1101、受信部1102、送信部1103、記録部1104、表示手段1105、外部インタフェース1106、回線接続状態取得手段1107を有する。
【0078】
ここで制御部1101は、受信部1102、送信部1103、記録部1104、表示手段1105、外部インタフェース1106、回線接続状態取得手段1107を制御する。
【0079】
ここで受信部1102は、ゲートウェイ1200や他無線端末機器1100が送信したパケット1500を受信した場合、宛先アドレス1501、送信元アドレス1502、パケット種別1503、ホップ数1504により、予め決められた動作を行う。(動作内容については後述)
ここで送信部1103は、ゲートウェイ1200や他無線端末機器1100に対してパケットを送信する。
【0080】
ここで記録部1104は、受信部1102が受信したパケット1500、送信待ちのパケット1500、回線接続状態取得手段が取得した回線接続状態を一時的に記録する。
【0081】
ここで回線接続状態取得手段1107とは、当該無線端末機器1100の回線接続情報を取得するための手段である。
【0082】
表示手段1105は、回線接続状態取得手段1107が取得した回線接続状態をリアルタイムに表示するための手段であり、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)による表示や、LCD(液晶ディスプレイ:Liquアドレス Crystal Monitor)による表示の他、音声による表示、振動による表示を挙げることができるが、回線接続状態を表示するための手段であれば、それに限定されるものではない。
【0083】
外部インタフェース1106は、 外部機器1108を用いて回線接続状態取得手段1107が取得した回線接続状態を表示する。ここで外部機器1108とは、例えば、LCDやPCなどが挙げることができるが、回線接続状態を外部機器を用いて表示するものであれば、それに限定されるものではない。
(ゲートウェイ1200)
図12は、実施の形態2におけるゲートウェイ1200の構成を示す図である。以下、図12を参照してゲートウェイ1200を説明する。ゲートウェイ1200は、制御部1201、受信部1202、送信部1203、記録部1204を有する。
【0084】
制御部1201は、受信部1202、送信部1203、記録部1204を制御する。受信部1202は、無線端末機器1100からのパケット1500を受信する。送信部1203は、無線端末機器1100に対してパケット1500を送信する。記録部1204は、受信部1202が受信したパケット1500と、送信待ちのパケット1500を一時的に記録する。
(パケットのフォーマット)
図15は、実施の形態2におけるパケットのフォーマットを示す図である。パケット1500は、大別してヘッダ部1506とデータ部1507から構成される。さらに、ヘッダ部1506は、宛先アドレス1501を記述する領域、送信元アドレス1502を記述する領域、パケット種別1503を記述する領域、ホップ数1504を記述する領域から成り、データ部1507はペイロード1505を記述するから成る。ゲートウェイ1200と無線端末機器1100は、パケットの送受信を行うために予め固有のアドレスが割り振られている。
【0085】
ここで宛先アドレス1501とは、パケット1500の宛先のアドレスを示す。また、不特定多数の相手に対して送信(ブロードキャスト送信)する場合は、宛先アドレス1501に予め決められたアドレスを記述する。
【0086】
ここで送信元アドレス1502とは、パケット1500の送信元のアドレスを示す。ゲートウェイ1200や無線端末機器1100において、受信したパケットの応答が必要な場合は、送信元アドレス1502を参照する。
【0087】
ここでパケット種別1503とは、パケットの種別ごとに予め決められたアドレスを示す。ゲートウェイ1200や無線端末機器1100において、パケット種別1503を参照することにより、受信したパケットの種別を判断することができる。(パケットの種別については後述する。)
ここでホップ数1504とは、無線端末機器1100やゲートウェイ1200が当該パケットのルーティングする回数を示す。例えば、ホップ数1504に1が記述されているパケット500は、1回だけルーティングを行う。また、ゲートウェイ1200、無線端末機器1100は、パケット1500のルーティングを行う際にポッピ数を1だけ減算する。ただし、無線端末機器1100は、ホップ数が0のパケットについてはルーティングを行わない。また、ホップ数1504を限定しない場合は、そのことを示す予め決められたアドレスを記述する。
【0088】
無線端末機器1100やゲートウェイ1200は、宛先のアドレス1501が自分のアドレスの場合は、ホップ数504に関わらずルーティングを行わない
(パケットの種別)
図14は、実施の形態2におけるにおけるパケット種別を示す。パケットの種別は、応答要求1601、確認応答1602の2種類ある。
【0089】
ここで応答要求1601とは、無線端末機器1100が当該無線端末機器1100の回線接続状態を取得するためのパケットであり、不特定多数の相手に対して送信(ブロードキャスト送信)される。すなわち、応答要求1601の宛先アドレス1501はブロードキャストであることを示すアドレス、送信元アドレス1502は当該無線端末機器1100、パケット種別は応答要求1602を示すアドレス、ホップ数1504は0(ルーティングを行わない)が記述される。
【0090】
ここで確認応答1602とは、無線端末機器1100が送信した応答要求1601に対する応答パケットである。応答要求1601を受信したゲートウェイ1200や他無線端末機器1100は、パケットの衝突を防止するためにランダム時間だけ待機した後、応答要求1601の送信元アドレスの無線端末機器1100を宛先として確認応答1602を送信する。すなわち、宛先アドレスは応答要求1601の送信元のアドレス、送信元のアドレス1502は自局のアドレス、パケット種別は確認応答1602を示すアドレス、ホップ数1504は0(ルーティングを行わない)が記述される。
【0091】
応答要求1601を送信した無線端末機器1100は、確認応答1602を受信する際、RSSI(受信電波強度:Received Signal Strength Indicator)などを測定することにより、直接パケットの送受信が可能である無線端末機器1100やゲートウェイ1200の台数だけではなく、どの位の受信レベルでパケットの受け渡しが可能であるかなど回線接続状態を取得することができる。
(回線接続状態取得手段)
図13は実施の形態2におけるメッシュ型無線ネットワークの一例を示す図である。また、図14は、実施の形態2における各種パケット(応答要求1601、確認応答1602)の流れを示す。以下、図13〜14を参照にして、図11の回線接続状態取得手段1107が当該無線端末機器1100の回線接続状態を取得する方法について説明する。
【0092】
無線端末機器1100は、予め決められた時刻、もしくは定周期ごとに、もしくは外部からのトリガーにより、回線接続状態を取得するために、応答要求1601を送信する。応答要求1601は、不特定多数の相手に対して送信(ブロードキャスト)されるが、無線端末機器を介したルーティングはしない。
【0093】
ここで、図13のメッシュ型無線ネットワーク1300上の無線端末機器1100−Aが、応答要求1601を送信したとする。図14では、無線端末機器1100−Aが送信した応答要求1601(パケット1403〜4)を無線端末機器1100−B〜Eが受信していることを示す。一方、応答要求1601はルーティングしないので、無線端末機器1100−Aが送信した応答要求1601を無線端末機器1100−Fが受信することはできない。
【0094】
応答要求1401を受信した無線端末機器1100−B〜Fやゲートウェイ1200は、パケットの衝突を防止するために予め決められたランダム時間だけ待機した後、応答要求1401の送信元である無線端末機器1100〜Aに対して確認応答1402を返信する。図14では、無線端末機器1100−Aが送信した応答要求1401を、無線端末機器1100−B〜Fが受信し、ランダム時間(409〜12)経過後に確認応答(1405〜8)を無線端末機器1100−Aに応答している。
【0095】
無線端末機器1100−Aは確認応答1402を受信することにより、無線端末機器1100−Aと直接パケットの送受信が可能な無線端末機器1100−B〜Fやゲートウェイ1200の台数を取得することができる。さらに無線端末機器1100−Aは確認応答1402を受信する際にRSSIなどを測定することにより、直接パケットの送受信が可能な無線端末機器1100−B〜Fやゲートウェイ1200の台数だけではなく、その回線状態を取得することができる。この結果は、回線接続状態として記録部1104に記録する。以上の動作により、無線端末機器1100は当該無線端末機器1100の回線接続状態を取得することが可能である。
【0096】
無線端末機器1100の回線接続状態取得手段1107は、予め決められた時刻、もしくは定周期ごとに、もしくは外部からのトリガーにより、当該無線端末機器1100の回線接続状態を取得する動作を行う。例えば、無線端末機器1100にスイッチが取り付けられており、作業者がスイッチを押した場合、当該無線機器端末1100の回線接続状態取得手段1107は、回線接続状態を取得を行うなどが考えられる。
(回線接続状態の表示手段)
次に、回線接続状態取得手段1107により取得した回線接続状態を、表示手段1105を用いてリアルタイムで表示する手段ついて説明する。
【0097】
図17、図18は実施の形態2における表示例として、表示手段1105が回線接続状態を表示する方法を示す。ただし、表示手段1105は、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)による表示や、LCD(液晶ディスプレイ:Liquアドレス Crystal Monitor)による表示の他、音声による表示、振動による表示を挙げることができるが、回線接続状態を表示するための手段であれば、それに限定されるものではない。
【0098】
また、表示手段1105に表示する内容は、回線接続状態取得手段1107が取得した回線接続状態以外の内容が含まれていても構わない。例えば、無線端末機器1100の電源電圧やCPU(中央処理装置:Central Processing Unit)使用率などを表示手段1105に表示しても良い。
【0099】
図17では回線接続状態を表示する一例として、無線端末機器1100が隣接する無線端末機器1100やゲートウェイ1200との回線接続数を表示している。
【0100】
例えば図17の無線機器端末が、メッシュ型無線ネットワーク1300上の無線端末機器1100−Fだとすれば、回線接続可能な無線末端機器100は無線端末機器1100−Dだけであるから、回線接続数が1つであることを示すLED1701が点灯する。
図18では回線接続状態を表示する一例として、無線端末機器1100が隣接する無線端末機器1100やゲートウェイ1200との回線接続数と、接続している回線ごとの受信電波強度を表示した例である。 例えば図18の無線機器端末が、メッシュ型無線ネットワーク1300上の無線端末機器1100−Fだとすれば、無線端末機器1100−Fと回線接続可能な無線端末機器1100は無線端末機器1100−Dだけであり、さらに無線端末機器1100−DからのパケットのRSSIが低いレベルのだとすれば、回線接続数が1つであることその回線のRSSIは低いことを示すLED1806が点灯する。 図17では、最大5つの回線接続数とその受信電波強度を表示することが可能である。
(外部機器を用いた回線接続状態の表示手段)
次に、回線接続状態取得手段1107により取得した回線接続状態を、外部機器1108を用いて表示するための手段ついて説明する。
【0101】
外部インタフェースの規格として、例えばUSB(Universal Serial Bus)やRS−232C(Recommended Standard 232 version C)など挙げることができるが、外部機器1108へデータの受け渡しが可能であるならばそれに限定されるものではない。また、図11では、外部インタフェース1106と外部機器1108をケーブル1109を用いて接続しているが、外部インタフェース1106と外部機器1108のデータの受け渡しをワイヤレス通信で行う場合は不要である。
【0102】
外部機器1108は、例えばLEDによる表示や、LCD(液晶ディスプレイ:Liquアドレス Crystal Monitor)による表示の他、音声による表示、振動による表示を挙げることができるが、回線接続状態を表示するための手段であれば、それに限定されるものではない。
【0103】
ここで外部機器1108に表示する内容は、ゲートウェイ1200が各無線端末機器1100に通知したルーティングパス情報605以外の内容を含んでいても構わない。例えば、無線端末機器1100の電源電圧やCPU使用率などを外部機器1108に表示しても良い。
【0104】
実施の形態2では実施の形態1とは異なり、ゲートウェイ1200が無線機器端末1100にルーティングパス情報を通知しないため、無線端末機器1100では回線接続状態が取得できるのみである。例えば、図13のメッシュ型無線ネットワーク1300上に設置される無線端末機器1100−Dの回線接続状態は、無線端末機器1100−A、無線端末機器1100−C、無線端末機器1100−E、無線端末機器1100−Fであるが、無線端末機器1100−Dの回線接続状態を取得したとしても、無線端末機器1100−A〜ゲートウェイ1200、無線端末機器1100−C〜ゲートウェイ1200、無線端末機器1100−E〜ゲートウェイ1200、無線端末機器1100−F〜ゲートウェイ1200間に1つ以上のルーティングパスがあるかは把握できない。しかしながら、少なくとも無線端末機器1100−Dは複数の無線端末機器と回線接続されていることは分かり、無線端末機器1100−Dの設置位置やアンテナ方向の微調整を行う際の指標と成り得る。
【0105】
以上により、メッシュ型無線ネットワークを用いた無線端末機器100の設置作業や保守点検作業において、作業者は外部機器1108に回線接続状態を表示しながら、無線端末機器100の設置位置やアンテナ方向の微調整などが可能となるので、無線端末機器の設置作業の効率化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施例1における無線端末機器の構成を示すブロック図
【図2】実施例1におけるゲートウェイの構成を示すブロック図
【図3】実施例1におけるメッシュ型無線ネットワークの一例を示す図
【図4】実施例1におけるパケットの流れ
【図5】実施例1におけるパケットのフォーマットを示す図
【図6】実施例1におけるパケット種別
【図7】実施例1における表示例1
【図8】実施例1における表示例2
【図9】実施例1における表示例3
【図10】実施例1における表示例4
【図11】実施例2における無線端末機器の構成を示すブロック図
【図12】実施例2におけるゲートウェイの構成を示すブロック図
【図13】実施例2におけるメッシュ型無線ネットワークの一例を示す図
【図14】実施例2におけるパケットの流れ
【図15】実施例2におけるパケットのフォーマットを示す図
【図16】実施例2におけるパケット種別
【図17】実施例2における表示例1
【図18】実施例2における表示例2
【符号の説明】
【0107】
100:無線端末機器、101:制御部、102:受信部、103:送信部、104:記録部、105:表示手段、106:外部インタフェース、107:回線接続状態取得手段、108:外部機器、109:ケーブル、200:ゲートウェイ、201:制御部、202:受信部、203:送信部、204:記録部、205:ルーティングパス取得手段、300:メッシュ型無線ネットワーク、401〜2:回線接続状態通知要求、403〜6:応答要求、407〜10:確認応答、411〜2:回線接続状態通知応答、413〜4:ルーティングパス情報、415〜7:パケットのルーティング、418〜21:ランダム待機時間(パケット衝突防止用)、500:パケット、501:宛先アドレス、502:送信元アドレス、503:パケット種別、504:ホップ数、505:ペイロード、506:ヘッダ部、507:データ部、601:回線接続状態通知要求、602:応答要求、603:確認応答、604:回線接続状態通知応答、605:ルーティングパス情報、701:表示手段(LCD)、801:表示手段(LCD)、901:表示手段(LCD)、1001:表示手段(LCD)、1101:制御部、1102:受信部、1103:送信部、1104:記録部、1105:表示手段、1106:外部インタフェース、1107:回線接続状態取得手段、1108:外部機器、1109:ケーブル、1200:ゲートウェイ、1201:制御部、1202:受信部、1203:送信部、1204:記録部、1300:メッシュ型無線ネットワーク、1401〜4:応答要求、1405〜8:確認応答、1409〜12:ランダム待機時間(パケット衝突防止用)、1500:パケット、1501:宛先アドレス、1502:送信元アドレス、1503:パケット種別、1504:ホップ数、1505:ペイロード、1506:ヘッダ部、1507:データ部、1601:応答要求、1602:確認応答、1701:表示手段(回線接続数が1つであることを示すLED)、1702:表示手段(回線接続数が2つであることを示すLED)、1703:表示手段(回線接続数が3つ以上であることを示すLED)、1801:表示手段(接続1の電波強度を表示するLED)、1802:表示手段(接続2の電波強度を表示するLED)、1803:表示手段(接続3の電波強度を表示するLED)、1804:表示手段(接続4の電波強度を表示するLED)、1805:表示手段(接続5の電波強度を表示するLED)、1806:表示手段(接続1の受信電波強度が低いことを示すLED)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信したパケットの送信元無線端末機器の固有アドレスと受信した無線端末機器の固有アドレスを付して新たな無線端末機器にルーティングする複数無線端末機器と、
これら複数無線端末機器を経由あるいは無線端末機器間でパケットを送受信すること、または、パケットのルーティング制御を行うゲートウェイと
を有する無線ネットワークシステムにおいて、
前記ゲートウェイは
前記無線ネットワークシステムにおける個々の無線端末機器の回線接続状態を取得しルーティングパス情報を生成するルーティングパス取得手段と、
前記ルーティングパス取得手段から得た個々の無線端末機器の設置点における無線接続されている隣接無線端末機器間のルーティングパス情報を含むルーティングパス情報を前記無線端末機器に通知するための送信部と
を有し、
前記無線端末機器は、
前記ゲートウェイから得られるルーティングパス情報を受信する受信部と、
前記ゲートウェイから得られるルーティングパス情報を表示する表示手段あるいは前記ルーティングパス情報を外部機器に表示する外部インタフェースと
を有することを特徴する無線ネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線ネットワークシステムの無線端末機器において、
前記ゲートウェイが送信したルーティングパス情報を含むパケット、もしくは前記無線端末機器とは異なる無線端末機器が送信したルーティングパス情報を含むパケットを受信する受信部と、
前記ゲートウェイにパケットを送信、もしくは前記無線端末機器とは異なる無線端末機器にルーティングパス情報を含むパケットを送信する送信部と、
前記受信部が受信したルーティングパス情報を含むパケット、もしくは前記送信部が送信するルーティングパス情報を含むパケットを記録する記録部と、
前記受信部が受信したパケットのルーティングパス情報を表示する表示手段と
を有することを特徴とする無線端末機器。
【請求項3】
請求項1に記載の無線ネットワークシステムの無線端末機器において、
前記外部インタフェースは、有線回線接続手段あるいは無線回線接続手段のいずれかまたは両方を有することを特徴とする無線端末機器。
【請求項4】
受信したパケットの送信元無線端末機器の固有アドレスと受信した無線端末機器の固有アドレスを付して新たな無線端末機器にルーティングする複数無線端末機器と、
これら複数無線端末機器を経由あるいは無線端末機器間でパケットを送受信すること、または、パケットのルーティング制御を行うゲートウェイと
を有する無線ネットワークシステムにおいて、
前記無線端末機器は隣接する無線端末機器とのパケットの回線接続状態を取得する回線接続状態取得手段を有し、この回線接続状態取得手段からの隣接無線端末機器間の回線接続状態を表示する表示手段あるいは前記回線接続状態を外部機器に表示する外部インタフェースを有することを特徴する無線ネットワークシステム。
【請求項5】
請求項4記載の無線ネットワークシステムにおいて、
前記回線接続状態取得手段は、当該無線端末機器を起点とした応答要求パケットの送信を行い、該応答要求パケット送信に対する隣接する無線端末機器からの確認応答パケットの受信状態を計測し、該無線端末機器設置点での回線接続状態とすることを特徴する無線ネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−182371(P2009−182371A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17016(P2008−17016)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】