説明

無線内視鏡装置およびその受信装置ならびに受信方法

【課題】通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択することができる無線内視鏡装置およびその受信装置ならびに受信方法を提供する。
【解決手段】無線通信回路部404は、少なくとも他の1つの通信チャネルと使用周波数帯域が部分的に重なるn(n>1)個の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを用いて送信装置と通信を行い、当該送信装置から送信される画像データを受信する。ROM402は、L(1≦L<n)個の通信チャネルが属するx(1<x≦n)個の通信チャネル群を記憶する。制御部401は、通信チャネル群の中から任意の通信チャネル群を選択するとともに、当該選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの使用状況の検出を行い、当該検出の結果に基づいて、選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LAN等の無線通信方式による無線通信を行う無線内視鏡装置およびその受信装置ならびに受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細長の挿入部を体腔内や管路内に挿入して、体腔内や管路内の被写体像をモニタで観察できる内視鏡装置が広く利用されている。このような内視鏡装置は、一般に、体腔内や管路内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、光源装置やビデオプロセッサを有する本体装置とを有し、内視鏡と本体装置は、光源装置から内視鏡へ照明光を導くライトガイドケーブルと、内視鏡で得られる撮像信号をビデオプロセッサへ伝送する信号ケーブルとで接続されている。これにより、内視鏡の移動範囲が制限され、また、内視鏡の操作性が妨げられていた。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1では、LED(発光ダイオード)等で構成された照明装置が内視鏡に内蔵されることで、内視鏡から延出するライトガイドケーブルが取り除かれている。また、撮像信号に映像信号処理を施してモニタ表示可能な映像信号を得る映像信号処理回路と、この映像信号を電波で送信する送信回路とが内視鏡に設けられ、この電波を受信して映像信号を復調する受信装置が内視鏡と別体に設けられることで、内視鏡から延出する信号ケーブルが取り除かれている。このような内視鏡装置は、一般に、ワイヤレス内視鏡装置とも呼ばれ、内視鏡の移動範囲の制限が緩和され、操作性が向上するという長所を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−4811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のワイヤレス内視鏡装置では、受信装置が内視鏡と別体に設けられているため、受信装置に設定されている通信チャネルに合わせて、送信側の内視鏡の通信チャネルの設定を行い、無線通信での接続を行う必要がある。受信装置と内視鏡の組み合わせを一意に決定し、通信チャネルを予め任意のチャネルに固定的に設定する方法も考えられる。しかしながら、複数の受信装置および複数の内視鏡を使用している病院においては、内視鏡の消毒滅菌処理と検査が同時に進行されるため、受信装置と内視鏡の組み合わせが一意に決定されない。また、電波の干渉を防ぐために、受信装置の通信チャネルは各々異なる設定が必要となる。
【0006】
このため、受信装置および内視鏡の各々に通信チャネルの選択スイッチを設け、内視鏡装置の使用開始時に使用対象の受信装置に設定された通信チャネルと同一の通信チャネルを使用対象の内視鏡に対して設定することにより、受信装置と内視鏡の無線通信接続を行っている。
【0007】
一般的なパソコンが無線LANを介して行うデータ通信では、使用可能な全ての通信チャネルを検索して接続可能な無線端末(AP)を検出した後、ユーザーが接続する無線端末(AP)を選択する方法で無線LANへの接続を実施している。また、近年、家庭用の無線LANアクセスポイントでは、電源投入時に無線LANで使用可能な全ての通信チャネルを検索して、他の無線端末が使用していない空きの通信チャネルを検出して、空きの通信チャネルから通信チャネルを自動設定する機能が備えられている。このように、一般的なパソコンでの無線LANでは、使用可能な全ての通信チャネルを検索した後に、接続する通信チャネルを決定しているため、接続までに時間がかかる。
【0008】
これに対して、内視鏡装置の通信接続では、操作性を向上するため、通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択することが課題となる。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択することができる無線内視鏡装置およびその受信装置ならびに受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、少なくとも他の1つの通信チャネルと使用周波数帯域が部分的に重なるn(n>1)個の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを用いて送信装置と通信を行い、当該送信装置から送信される画像データを受信する通信部と、L(1≦L<n)個の通信チャネルが属するx(1<x≦n)個の通信チャネル群を記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶する通信チャネル群の中から任意の通信チャネル群を選択するとともに、当該選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの使用状況の検出を行い、当該検出の結果に基づいて、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定する決定部と、を有する無線内視鏡装置の受信装置である。
【0011】
また、本発明の無線内視鏡装置の受信装置は、前記決定部が前記通信を行わないと決定した場合、前記選択された通信チャネル群とは異なる通信チャネル群の選択を促す情報を出力する出力部を更に有する。
【0012】
また、本発明の無線内視鏡装置の受信装置において、前記出力部は、前記決定部が前記通信を行うと決定した場合、前記通信を行う通信チャネルの使用状況に関する情報を出力する。
【0013】
また、本発明の無線内視鏡装置の受信装置は、操作者に通信チャネル群を選択させ、当該選択の結果を前記決定部に伝達する操作部を更に有する。
【0014】
また、本発明の無線内視鏡装置の受信装置において、前記決定部は、前記使用状況として、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの通信量の検出を行う。
【0015】
また、本発明の無線内視鏡装置の受信装置において、前記決定部は、前記使用状況として、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの受信信号強度の検出を行う。
【0016】
また、本発明の無線内視鏡装置の受信装置において、前記決定部は、前記通信量が所定のしきい値を下回る通信チャネルの存在に基づいて、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定する。
【0017】
また、本発明の無線内視鏡装置の受信装置において、前記決定部は、前記受信信号強度が所定のしきい値を下回る通信チャネルの存在に基づいて、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定する。
【0018】
また、本発明の無線内視鏡装置の受信装置において、前記決定部は、同一の通信チャネル群に属する通信チャネルの前記通信量の合計が最も少ない通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うと決定する。
【0019】
また、本発明の無線内視鏡装置の受信装置において、前記記憶部は、他の通信チャネル群に属する特定の通信チャネルとは使用周波数帯域が重ならない通信チャネルが属する通信チャネル群を記憶する。
【0020】
また、本発明の無線内視鏡装置の受信装置において、前記記憶部は、同一の通信チャネル群に属する特定の通信チャネルと所定の範囲以上、使用周波数帯域が重複している通信チャネルが属する通信チャネル群を記憶する。
【0021】
また、本発明は、無線内視鏡装置の受信装置が、少なくとも他の1つの通信チャネルと使用周波数帯域が部分的に重なるn(n>1)個の通信チャネルのうちL(1≦L<n)個の通信チャネルが属するx(1<x≦n)個の通信チャネル群の中から任意の通信チャネル群を選択するステップと、当該選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの使用状況の検出を行うステップと、当該検出の結果に基づいて、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定するステップと、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うと決定された場合に、当該通信チャネルを用いて送信装置と通信を行い、当該送信装置から送信される画像データを受信するステップと、を実行する受信方法である。
【0022】
また、本発明は、受信装置と送信装置を有する無線内視鏡装置であって、前記受信装置は、少なくとも他の1つの通信チャネルと使用周波数帯域が部分的に重なるn(n>1)個の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを用いて前記送信装置と通信を行い、前記送信装置から送信される画像データを受信する第1の通信部と、L(1≦L<n)個の通信チャネルが属するx(1<x≦n)個の通信チャネル群を記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶する通信チャネル群の中から任意の通信チャネル群を選択するとともに、当該選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの使用状況の検出を行い、当該検出の結果に基づいて、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定する決定部と、を有し、前記送信装置は、n個の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを用いて前記受信装置と通信を行い、前記受信装置へ前記画像データを送信する第2の通信部を有する無線内視鏡装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの使用状況の検出を行い、当該検出の結果に基づいて、選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定することによって、全ての通信チャネルを検索する場合と比較して、通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による内視鏡装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による内視鏡の外観図である。
【図3】本発明の一実施形態による内視鏡の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態による内視鏡の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態における通信チャネル設定テーブルの内容を示す参考図である。
【図12】本発明の一実施形態における探索テーブルの内容を示す参考図である。
【図13】本発明の一実施形態における通信チャネル設定テーブルの内容を示す参考図である。
【図14】本発明の一実施形態における探索テーブルの内容を示す参考図である。
【図15】通信チャネルが使用する周波数帯域を示す参考図である。
【図16】通信チャネルが使用する周波数帯域を示す参考図である。
【図17】通信チャネルが使用する周波数帯域を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。前述したように、内視鏡装置の通信接続では、操作性を向上するため、通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択することが課題となる。また、バッテリーで駆動されている内視鏡の接続待ち時間を短縮することにより省電化を図ることも課題となる。さらに、以下で説明するように、内視鏡装置では、フレーム衝突による通信エラーの発生が問題となる。
【0026】
無線通信に使用される通信方式として、高速なデータ通信が可能な無線LANで使用されているIEEE802.11のような無線通信方式を使用することが有効である。この無線通信方式では、周波数帯域を有効に使用するために複数の通信チャネルから任意の通信チャネルを選択して無線通信を行えるようになっている。各々の通信チャネルは、使用可能な周波数帯域の制限により、図15に示されるように、使用する周波数帯域の一部が他の通信チャネルと重なりあうように配置されている。
【0027】
設定された通信チャネル内のデータ通信では、IEEE802.11プロトコルの制御により、送信フレーム同士の衝突を回避する処理が行われている。しかし、設定された通信チャネルに隣接した通信チャネルで他の無線端末がデータ通信を行った場合、隣接した通信チャネルの送信フレームを内視鏡装置が認識できないため、隣接した通信チャネルの送信フレームに対する衝突を回避する処理が働かない。
【0028】
このため、内視鏡からの送信フレームと、内視鏡の使用する通信チャネルに隣接する通信チャネルを使用する無線端末からの送信フレームとが同一タイミングで送信される場合、フレーム衝突が発生する問題があった。また、この無線端末の電波出力が大きい場合、内視鏡から送信された画像データを受信装置が正常に受信できず、画像が途切れる問題があった。
【0029】
一般的なパソコンが無線LANを介して行うデータ通信では、ある程度のデータ通信の遅延は許容されるため、再送によるデータ到達の保証がされる場合、通信エラーの発生は大きな問題にならない。また、多くの無線LANを共存させるためには、一時的なフレーム衝突による通信エラーの発生を回避することよりも通信チャネルの効率的な割り付けが必要であり、使用する通信チャネルが他の無線端末で使用されているか、使用されていないかのみを判定基準として、使用する通信チャネルが決定されている。
【0030】
これに対して、内視鏡装置では、操作性を確保するために、通信対象の全ての画像データを欠落なく遅延レスで送受信することが重要であり、無線環境の良い通信チャネルを選択して、低通信エラーレートで無線通信を行うことが必須の課題となる。このため、内視鏡装置が使用する通信チャネルに隣接する通信チャネルとのフレーム衝突による通信エラーの発生が問題となる。
【0031】
上記に鑑み、本実施形態による内視鏡装置(無線内視鏡装置)は、通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択すること、省電化を図ること、および通信エラーの発生を低減することを実現する。本実施形態では、無線通信方式の一例として、IEEE802.11を使用するものとする。
【0032】
図1は、本実施形態による内視鏡装置の構成を示している。本内視鏡装置は、撮影した画像データを無線通信により送信する内視鏡100と、内視鏡100から送信された画像データを受信し、画像をモニタに表示する受信装置200とから構成されている。内視鏡100は、操作者が操作指示を入力するための複数のスイッチからなる操作部100aを備えている。受信装置200は、受信装置200の通信設定状態を示す複数のLEDからなる通信設定表示部201を備えている。また、図1には示されていないが、受信装置200の背面にはCH(チャネル)設定スイッチが搭載されている。
【0033】
図2は、内視鏡100を操作スイッチの配置面から見た状態を示している。内視鏡100の操作部100aは、電源スイッチ101、複数の操作スイッチ102、CH設定スイッチ103、状態表示LED104を備えている。CH設定スイッチ103には、設定チャネルを識別するための番号が付加されている。
【0034】
図3は内視鏡100の電気的構成を示している。内視鏡100は、制御部301、ROM302、RAM303、撮像部304、照明部305、無線通信回路部306、アンテナ307、操作部308、電源回路部309から構成されている。
【0035】
制御部301は、ROM302に格納されているプログラムに従って動作し、内視鏡100の動作シーケンスを制御する。ROM302は、FlashROM等の不揮発メモリであり、内視鏡100の制御のためのプログラムデータ、通信設定パラメータを含む各種設定情報がROM302に格納される。通信設定パラメータは、CH設定スイッチ103に付加される各番号に対応する、通信チャネル(周波数)、SSID(Service Set Identifier)、WEP(Wired Equivalent Privacy)等を含む。
【0036】
RAM303は、撮像部304から出力される画像データを一時的にバッファリングするバッファ、制御部301の演算等に使用するワークエリア、各種設定等を一時的に格納するエリアとして使用される。
【0037】
撮像部304は、入射する光を結像するレンズ、結像した光を電気信号へ変換する光電変換器(CCDやCMOSセンサ等)、光電変換器から出力されるアナログ電気信号をデジタル電気信号へ変換するADコンバータ(アナログ−デジタル変換器)等から構成される。
【0038】
照明部305は、照射レンズ、LED、LED駆動回路等から構成され、内視鏡100の先端部100b(図1)に配置されている。LEDから発せられた光は、照射レンズを介して体腔内の被観察体に照射される。なお、先端部100bではなく、操作部100aの内部にLEDを配置し、ライトガイドで先端部100bに導光する構成としてもよい。
【0039】
無線通信回路部306は、無線通信に必要な高周波回路部、符号化・復号化回路部、バッファメモリ等から構成され、アンテナ307が接続されている。受信装置200との無線通信を実施するためには、受信装置200に設定されている通信チャネル、SSID等と同一の通信チャネル、SSID等の設定を行うため、受信装置200に設定されているCH設定スイッチの番号と同一の番号にCH設定スイッチ103を設定することが必要である。また、CH設定スイッチ103の各番号で指定される通信チャネルに対応した通信設定パラメータが無線通信回路部306に設定される。
【0040】
操作部308(図1の操作部100aに相当)は、図2に示した電源スイッチ101、操作スイッチ102、CH設定スイッチ103を有し、これらボタン、スイッチの状態および状態変化を電気信号として出力する。また、操作部308には、受信装置200との接続状態を報知する状態表示LED104が配置されている。
【0041】
電源回路部309は、バッテリー、DC/DCコンバータ等で構成され、電源スイッチ101がオンされたことを検知して、前述した各ブロックへ電源を供給する。
【0042】
図4は受信装置200の電気的構成を示している。受信装置200は、制御部401、ROM402、RAM403、無線通信回路部404、アンテナ405、画像信号処理部406、モニタ407、操作部408から構成されている。
【0043】
制御部401は、ROM402に格納されているプログラムに従って動作し、受信装置200の動作シーケンスを制御する。ROM402は、FlashROM等の不揮発メモリであり、受信装置200の制御のためのプログラムデータ、通信設定パラメータを含む各種設定情報、通信チャネル設定テーブル、および探索テーブルがROM402に格納される。
【0044】
図11は通信チャネル設定テーブルの内容を示している。通信チャネル設定テーブルでは、CH設定スイッチの各番号(CHスイッチ番号)に対して通信チャネルの番号が関連付けられている。IEEE802.11では、複数の通信チャネルから任意の通信チャネルを選択して無線通信を行うことができる。各通信チャネルの中心周波数は5MHz離れているが、各通信チャネルが約20MHzの周波数帯域を使用するため、図15に示されるように、隣接する通信チャネル間で、使用する周波数帯域の重なりが発生する。
【0045】
本実施形態では、13個の通信チャネルが用意されており、それら13個の通信チャネルは、各CHスイッチ番号に対応する3個の通信チャネル群の少なくともいずれかに属している。例えば、CHスイッチ番号1には、通信チャネル1,2,3,4からなる通信チャネル群が対応し、CHスイッチ番号2には、通信チャネル3,4,5,6,7,8,9からなる通信チャネル群が対応し、CHスイッチ番号3には、通信チャネル8,9,10,11,12,13からなる通信チャネル群が対応している。
【0046】
各通信チャネル群に属する通信チャネルのうち1つの通信チャネルが、後述する論理接続に使用される。例えば、CHスイッチ番号1が設定された場合、通信チャネル1が論理接続に使用され、CHスイッチ番号2が設定された場合、通信チャネル6が論理接続に使用され、CHスイッチ番号3が設定された場合、通信チャネル11が論理接続に使用される。これらの通信チャネル1,6,11は、内視鏡100においてCH設定スイッチ103により設定される各通信チャネルと同一である。図16に示されるように、通信チャネル1,6,11の周波数帯域は重ならない。1つの通信チャネル群は、論理接続に使用される1つの通信チャネル(図11において通信チャネルと記載)と、この通信チャネルと使用周波数帯域が一部重複する通信チャネル(図11において隣接チャネルと記載)とからなる。
【0047】
上記をより一般化すると、少なくとも他の1つの通信チャネルと使用周波数帯域が部分的に重なるn(n>1)個の通信チャネルが用意され、L(1≦L<n)個の通信チャネルが属するx(1<x≦n)個の通信チャネル群が用意されている。本実施形態に示す例では、n=13、L=4(CHスイッチ番号1),7(CHスイッチ番号2),6(CHスイッチ番号3)、x=3である。
【0048】
図12は探索テーブルの内容を示している。探索テーブルでは、各CHスイッチ番号に対して、探索順と共に、各通信チャネルに属する通信チャネルの番号が関連付けられている。通信チャネルの番号として0が格納されている探索順があるが、この0は、後述する探索フェーズの終了を判定するのに利用する値である。探索フェーズでは、探索順に従った順番で通信チャネルの使用状況が検出される。
【0049】
図4に示す構成の説明に戻るが、RAM403は、無線通信回路部404で受信された画像データを一時的にバッファリングするバッファ、制御部401の演算等に使用するワークエリア、各種設定等を一時的に格納するエリアとして使用される。
【0050】
無線通信回路部404は、無線通信に必要な高周波回路部、符号化・復号化回路部、バッファメモリ等から構成され、アンテナ405が接続されている。無線通信回路部404は、内視鏡100の無線通信回路部306と同様に無線LANのプロトコルに従って無線通信を行う。図11の通信チャネル設定テーブルから、CH設定スイッチにより設定されたCHスイッチ番号で指定される通信チャネルが読み出され、その通信チャネルに対応した通信設定パラメータが無線通信回路部404に設定される。
【0051】
画像信号処理部406は、無線通信回路部404で受信された画像データをNTSC信号またはPAL信号に変換し、モニタ407に出力する。モニタ407は、液晶表示装置およびその制御回路から構成され、画像の表示を行うと共に、無線接続の状態を報知する報知部として動作する。
【0052】
操作部408は、図1には示されていないが受信装置200の背面に搭載されたCH設定スイッチを有し、CH設定スイッチの状態および状態変化を電気信号として出力する。また、操作部408には、CH設定スイッチで選択された通信チャネルをLEDで表示する通信設定表示部201(図1)が配置されている。
【0053】
次に、本実施形態による内視鏡装置の動作を説明する。以下では4つの動作例を説明する。まず、第1の動作例を説明する。以下、図5に従って、受信装置200の動作を説明する。本実施形態では、操作者が、使用する受信装置200の電源を投入した後、使用する内視鏡100の電源を投入することを想定している。
【0054】
操作者は、受信装置200のCH設定スイッチにより通信チャネルの設定を行った後、受信装置200の電源を投入する。受信装置200の電源が投入されると、制御部401は受信装置200の各機能ブロックを初期化する(ステップS501)。このとき、受信装置200のCH設定スイッチにより設定された通信設定を示すため、通信設定表示部201のLEDのうち、設定された通信チャネルに該当するLEDが点灯する。
【0055】
続いて、制御部401は、以降の制御に使用するパラメータ(SW_NO、SCAN_NO、TERM_NUM[SW_NO])を初期化する(ステップS502)。SW_NOは、CHスイッチ番号を格納するパラメータであり、初期化時にはCH設定スイッチにより設定されたCHスイッチ番号が格納される。SCAN_NOは、探索テーブルにおける探索順を格納するパラメータであり、初期化時には1が格納される。TERM_NUM[SW_NO]は、所定の条件を満たす通信チャネルを使用する周囲の無線通信端末の数を格納するパラメータであり、初期化時には0が格納される。なお、TERM_NUM[SW_NO]には、TERM_NUM[1]、TERM_NUM[2]、TERM_NUM[3]の3つの値がある。
【0056】
続いて、受信装置200は、以下のようにして、操作者によって選択された通信チャネルで無線通信の物理接続を行う。物理接続では、物理層での接続で使用する無線周波数とSSIDが決定され、通信相手と送受信されるパケットをハードウェア上に取り込める状態となる。まず、受信装置200は、通信チャネルの探索フェーズに移行する。
【0057】
探索フェーズに移行すると、制御部401は、SW_NOとSCAN_NOで指定される通信チャネル(CHスイッチ番号がSW_NO、探索順がSCAN_NOの通信チャネル)の番号を探索テーブルから読み出し、その通信チャネルに対応した通信設定パラメータをROM402から読み出して無線通信回路部404に設定する(ステップS503)。通信チャネルの探索では、探索要求パケットが送信され、探索要求パケットに対する探索要求応答パケットの受信が所定期間行われる。このために制御部401は無線通信回路部404に探索要求パケットをブロードキャストで送信させる(ステップS504)。受信装置200と同一の通信チャネルが設定されている通信端末は、受信装置200から送信された探索要求パケットを受信し、探索要求応答パケットを送信する。
【0058】
制御部401は、探索要求パケットの送信後、他の無線通信端末からの探索要求パケットを受信したか否かを判定する(ステップS505)。探索要求パケットを受信した場合、制御部401は無線通信回路部404に探索要求応答パケットをユニキャストで送信させる(ステップS506)。この後、処理はステップS505に戻る。また、探索要求パケットを受信していない場合、制御部401は、他の無線通信端末からの探索要求応答パケットを受信したか否かを判定する(ステップS507)。探索要求応答パケットを受信した場合、制御部401は、TERM_NUM[SW_NO]の値(チャネル探索情報)を更新する処理を実行する(ステップS508)。この後、処理はステップS505に戻る。また、探索要求応答パケットを受信していない場合、処理はステップS509に進む。
【0059】
図6は、ステップS508の詳細を示している。制御部401は、SCAN_NOの値が1であるか否かを判定する(ステップS508a)。SCAN_NOの値が1であった場合、処理はステップS508cに進む。また、SCAN_NOの値が1でなかった場合、制御部401は、探索要求応答パケットのフレームの受信レベル(受信信号強度)が所定レベル以上であるか否かを判定する(ステップS508b)。フレームの受信レベルが所定レベル以上であった場合、処理はステップS508cに進む。また、フレームの受信レベルが所定レベル未満であった場合、処理はステップS505に戻る。処理がステップS508cに進んだ場合、制御部401は、TERM_NUM[SW_NO]の値に1を加算し、値を更新する(ステップS508c)。ステップS508cの処理の後、処理はステップS509に進む。
【0060】
TERM_NUM[SW_NO]の値は、CH設定スイッチにより設定される通信チャネル(通信チャネル1,6,11のいずれか)と同一の通信チャネルを使用している、またはCH設定スイッチにより設定される通信チャネルと使用周波数帯域が重複する通信チャネルを使用している周囲の無線通信端末の数を示している。ステップS508aにおいて、SCAN_NOの値が1であった場合、CH設定スイッチにより設定される通信チャネルと同一の通信チャネルを他の無線通信端末が使用している。また、ステップS508bにおいて、フレームの受信レベルが所定レベル以上であった場合、CH設定スイッチにより設定される通信チャネルと使用周波数帯域が重複する通信チャネルを他の無線通信端末が使用している。本実施形態では、各々の隣接チャネルにおいてフレームの受信レベルの閾値として共通の閾値を設定しているが、隣接チャネル毎に所定の受信レベルの閾値を設定してもよい。
【0061】
処理がステップS509に進んだ場合、制御部401は、ステップS504で探索要求パケットを送信してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS509)。所定時間が経過していない場合、処理はステップS505に戻る。また、所定時間が経過した場合、制御部401は、SCAN_NOの値に1を加算し、値を更新する(ステップS510)。
【0062】
続いて、制御部401は、SW_NOと更新後のSCAN_NOで指定される通信チャネル(CHスイッチ番号がSW_NO、探索順がSCAN_NOの通信チャネル)の番号を探索テーブルから読み出し、その番号が0であるか否かを判定する(ステップS511)。SW_NOと更新後のSCAN_NOで指定される通信チャネルの番号が0でなかった場合、処理はステップS503に戻る。また、SW_NOと更新後のSCAN_NOで指定される通信チャネルの番号が0であった場合、制御部401は、CH設定スイッチにより設定された通信チャネルが使用可能であるか否かを判定する(ステップS512)。
【0063】
本実施形態では、ステップS508で集計された無線端末数(TERM_NUM[SW_NO])が所定の閾値未満である場合に、制御部401は、CH設定スイッチにより設定された通信チャネルが使用可能であると判断する。CH設定スイッチにより設定された通信チャネルが使用可能であると判断した場合、制御部401は、CH設定スイッチにより設定された通信チャネルの使用状況をモニタ407に表示させる(ステップS513)。このとき、通信チャネル群に含まれる各通信チャネルを使用している無線通信端末の数を数値で表示してもよいし、予め設定した閾値を基準に通信チャネルの混雑度合いをグラフィカルに表示してもよい。
【0064】
続いて、制御部401は、CH設定スイッチにより設定された通信チャネル(通信チャネル1,6,11のいずれか)の番号を通信チャネル設定テーブルから読み出し、その通信チャネルに対応した通信設定パラメータをROM402から読み出して無線通信回路部404に設定する(ステップS514)。続いて、受信装置200は論理接続フェーズへ移行し、論理接続を確立する処理を実行する(ステップS515)。
【0065】
論理接続では、物理接続された複数の通信端末の中で、特定の2つの無線通信端末、すなわち内視鏡100と受信装置200の組合せが確定した状態となる。本実施形態では、論理接続が完了すると、内視鏡100が画像データを送信する宛先(MACアドレス)が確定する。論理接続フェーズでは、内視鏡100が、内視鏡100のMACアドレスを含むMACアドレス要求パケットを送信し、このMACアドレス要求パケットを受信した受信装置200が、受信装置200のMACアドレスを含むMACアドレス要求応答パケットを送信することにより、内視鏡100と受信装置200の間でMACアドレスが交換される。
【0066】
論理接続が完了したら、無線通信回路部404は、内視鏡100から送信される画像データの受信を開始する(ステップS516)。
【0067】
ステップS512において、CH設定スイッチにより設定された通信チャネルが使用可能ではないと判断した場合、制御部401は、CH設定スイッチにより設定された通信チャネルの通信環境が良くなく使用できないことを報知すると共にCH設定スイッチの変更を指示する警告メッセージをモニタ407に表示させる(ステップS517)。例えば、“設定した通信チャネルは使用できません、CH設定スイッチを変更してください”というメッセージがモニタ407に表示される。
【0068】
続いて、制御部401は、CH設定スイッチの状態が変更されたか否かを判定する(ステップS518)。CH設定スイッチの状態が変更されていない場合、再度ステップS517の処理が行われる。また、CH設定スイッチの状態が変更された場合、処理は再度ステップS502に戻る。
【0069】
以下、図7に従って、内視鏡100の動作を説明する。操作者は、受信装置200の通信設定表示部201が表示する通信チャネルに合わせて内視鏡100のCH設定スイッチ103により通信チャネルの設定を行った後、内視鏡100の電源を投入する。内視鏡100の電源が投入されると、制御部301は内視鏡100の各機能ブロックを初期化する(ステップS701)。
【0070】
続いて、内視鏡100は、無線通信端末の探索フェーズに移行する。探索フェーズに移行すると、制御部301は、CH設定スイッチ103により設定された通信チャネル(通信チャネル1,6,11のいずれか)の番号を探索テーブルから読み出し、その通信チャネルに対応した通信設定パラメータをROM302から読み出して無線通信回路部306に設定する(ステップS702)。無線通信端末の探索では、探索要求パケットが送信され、探索要求パケットに対する探索要求応答パケットの受信が所定期間行われる。このために制御部401は無線通信回路部404に探索要求パケットをブロードキャストで送信させる(ステップS703)。
【0071】
制御部301は、探索要求パケットの送信後、他の無線通信端末からの探索要求パケットを受信したか否かを判定する(ステップS704)。探索要求パケットを受信した場合、制御部301は無線通信回路部306に探索要求応答パケットをユニキャストで送信させる(ステップS705)。この後、処理はステップS704に戻る。また、探索要求パケットを受信していない場合、制御部301は、受信機からの探索要求応答パケットを受信したか否かを判定する(ステップS706)。
【0072】
受信機からの探索要求応答パケットを受信した場合、内視鏡100は論理接続フェーズへ移行し、論理接続を確立する処理を実行する(ステップS709)。論理接続が完了したら、無線通信回路部306は、受信装置200に対して画像データの送信を開始する(ステップS710)。
【0073】
また、探索要求応答パケットを受信していない場合、制御部401は、ステップS703で探索要求パケットを送信してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS707)。所定時間が経過していない場合、処理はステップS704に戻る。また、所定時間が経過した場合、制御部401は、CH設定スイッチ103の状態が変更されたか否かを判定する(ステップS708)。CH設定スイッチ103の状態が変更されていない場合、処理はステップS703に戻る。また、CH設定スイッチ103の状態が変更された場合、処理はステップS702に戻る。
【0074】
第1の動作例では、受信装置200の制御部401は、CH設定スイッチで指定される通信チャネル群を選択している(ステップS503)。また、制御部401は、その通信チャネル群に属する通信チャネルの使用状況(CH設定スイッチにより設定される通信チャネル(通信チャネル1,6,11のいずれか)と同一の通信チャネルを使用している、またはCH設定スイッチにより設定される通信チャネルと使用周波数帯域が重複する通信チャネルを使用している周囲の無線通信端末の数)を検出している(ステップS504〜S511)。さらに、制御部401は、通信チャネルの使用状況の検出結果に基づいて、選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定している(ステップS512)。
【0075】
このように、通信チャネル群に属する通信チャネルのみの使用状況を検出することによって、通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択することができる。さらに、受信装置200が使用する通信チャネルが確定した後、内視鏡100の電源を投入することによって、バッテリーで駆動されている内視鏡100の接続待ち時間を短縮し、省電化を図ることができる。また、ステップS512の判定により、周囲の無線通信端末が使用している通信チャネルとは電波干渉が発生しにくい通信チャネルが選択されるので、通信エラーの発生を低減することができる。
【0076】
次に、第2の動作例を説明する。第2の動作例における内視鏡100の動作は、第1の動作例と同様であるので、説明を省略する。以下、図8に従って、受信装置200の動作を説明する。図8において、図5に示すステップと同一の処理を行うステップには、同一のステップ番号が付与されている。以下では、図5に示すステップと異なるステップについてのみ説明する。
【0077】
ステップS501の処理の後、制御部401は、以降の制御に使用するパラメータ(SW_NO、SCAN_NO、DATA_AMOUNT)を初期化する(ステップS521)。SW_NOは、CHスイッチ番号を格納するパラメータであり、初期化時にはCH設定スイッチにより設定されたCHスイッチ番号が格納される。SCAN_NOは、探索テーブルにおける探索順を格納するパラメータであり、初期化時には1が格納される。DATA_AMOUNTは、データ量を格納するパラメータである。
【0078】
ステップS521の処理の後、処理はステップS503に進む。ステップS503の処理の後、制御部401は、他の無線通信端末からの無線フレームを受信したか否かを判定する(ステップS522)。他の無線通信端末からの無線フレームを受信している場合、制御部401は、DATA_AMOUNTの値に受信フレーム内のデータ量を加算し、値を更新する(ステップS523)。ステップS523の処理の後、処理はステップS522に戻る。また、他の無線通信端末からの無線フレームを受信していない場合、処理はステップS509に進む。
【0079】
ステップS511において、SW_NOと更新後のSCAN_NOで指定される通信チャネルの番号が0であった場合、制御部401は、CH設定スイッチにより設定された通信チャネルが使用可能であるか否かを判定する(ステップS524)。図5のステップS512では、TERM_NUM[SW_NO]の値が判定に使用されていたが、図8のステップS524では、DATA_AMOUNTの値が判定に使用される。DATA_AMOUNTの値は、CH設定スイッチにより設定される通信チャネル(通信チャネル1,6,11のいずれか)と同一の通信チャネルを使用して、またはCH設定スイッチにより設定される通信チャネルと使用周波数帯域が重複する通信チャネルを使用して送信されたデータ量を示している。
【0080】
ステップS523で集計されたDATA_AMOUNTの値が所定の閾値未満である場合に、制御部401は、CH設定スイッチにより設定された通信チャネルが使用可能であると判断する。CH設定スイッチにより設定された通信チャネルが使用可能であると判断された場合、処理はステップS513に進む。また、CH設定スイッチにより設定された通信チャネルが使用可能ではないと判断された場合、処理はステップS517に進む。
【0081】
第2の動作例では、受信装置200の制御部401は、CH設定スイッチで指定される通信チャネル群を選択している(ステップS503)。また、制御部401は、その通信チャネル群に属する通信チャネルの使用状況(CH設定スイッチにより設定される通信チャネルと同一の通信チャネルを使用して、またはCH設定スイッチにより設定される通信チャネルと使用周波数帯域が重複する通信チャネルを使用して送信されたデータ量)を検出している(ステップS522,S523,S509〜S511)。さらに、制御部401は、検出結果に基づいて、その通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定している(ステップS524)。
【0082】
したがって、第2の動作例においても、通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択することができ、内視鏡100の省電化を図ることができる。また、通信エラーの発生を低減することができる。
【0083】
次に、第3の動作例を説明する。第3の動作例では、CH設定スイッチによりCH1からCH3までを操作者が手動で選択できるモードに加え、通信チャネルを受信装置200が自動で選択できる自動モードが用意されている。このため、受信装置200の操作部408には、自動モードの選択が可能なスイッチが付加されている。
【0084】
第3の動作例における内視鏡100の動作は、第1の動作例と同様であるので、説明を省略する。以下、図9に従って、自動モードにおける受信装置200の動作を説明する。図9において、図5に示すステップと同一の処理を行うステップには、同一のステップ番号が付与されている。以下では、図5に示すステップと異なるステップについてのみ説明する。
【0085】
ステップS501の処理の後、制御部401は、以降の制御に使用するパラメータ(SW_NO)を初期化し(ステップS531)、さらにパラメータ(SCAN_NO、TERM_NUM[SW_NO])を初期化する(ステップS532)。SW_NOは、CHスイッチ番号を格納するパラメータであり、初期化時には1が格納される。SCAN_NOは、探索テーブルにおける探索順を格納するパラメータであり、初期化時には1が格納される。TERM_NUM[SW_NO]は、所定の条件を満たす通信チャネルを使用する周囲の無線通信端末の数を格納するパラメータであり、初期化時には0が格納される。なお、TERM_NUM[SW_NO]には、TERM_NUM[1]、TERM_NUM[2]、TERM_NUM[3]の3つの値がある。
【0086】
第1の動作例では、このときCH設定スイッチにより設定された通信設定を示すため、通信設定表示部201の設定された通信チャネルに該当するLEDが点灯する。しかし、第3の動作例におけるこの時点では、使用する通信チャネルが確定していないため、通信設定表示部201のLEDは消灯状態になっている。
【0087】
ステップS511において、SW_NOと更新後のSCAN_NOで指定される通信チャネルの番号が0であった場合、制御部401は、SW_NOの値に1を加算し、値を更新する(ステップS533)。続いて、制御部401は、SW_NOの値が3を超えているか否かを判定する(ステップS534)。
【0088】
SW_NOの値が3以下である場合、処理はステップS532に戻る。また、SW_NOの値が3を超えている場合、制御部401は、TERM_NUM[SW_NO]の値に基づいて、使用する通信チャネルを決定する。具体的には、制御部401は、選択可能な通信チャネル毎にステップS508で集計された無線通信端末数(TERM_NUM[1]、TERM_NUM[2]、TERM_NUM[3])を比較し、最も小さい無線通信端末数に対応した通信チャネルを、使用する通信チャネルとして決定する(ステップS535)。
【0089】
具体的には、TERM_NUM[1]が最も小さい場合、CHスイッチ番号1に対応した通信チャネル1が選択され、TERM_NUM[2]が最も小さい場合、CHスイッチ番号2に対応した通信チャネル6が選択され、TERM_NUM[3]が最も小さい場合、CHスイッチ番号3に対応した通信チャネル11が選択される。ステップS535の処理の後、処理はステップS515に進む。このとき、決定された通信チャネルの通信設定パラメータが無線通信回路部404に設定され、通信設定表示部201の設定された通信チャネルに該当するLEDが点灯する。
【0090】
第3の動作例においても、通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択することができ、内視鏡100の省電化を図ることができる。また、通信エラーの発生を低減することができる。
【0091】
次に、第4の動作例を説明する。第4の動作例では、第3の動作例と同様に、CH設定スイッチによりCH1からCH3までを操作者が手動で選択できるモードに加え、通信チャネルを受信装置200が自動で選択できる自動モードが用意されている。また、第4の動作例では、通信チャネルの使用状況を検出する方法として、第2の動作例で示した方法が使用される。
【0092】
第4の動作例における内視鏡100の動作は、第1の動作例と同様であるので、説明を省略する。以下、図10に従って、自動モードにおける受信装置200の動作を説明する。図10において、図8および図9に示すステップと同一の処理を行うステップには、同一のステップ番号が付与されている。以下では、図8および図9に示すステップと異なるステップについてのみ説明する。
【0093】
ステップS531の処理の後、制御部401は、以降の制御に使用するパラメータ(SCAN_NO、DATA_AMOUNT [SW_NO])を初期化する(ステップS541)。SCAN_NOは、探索テーブルにおける探索順を格納するパラメータであり、初期化時には1が格納される。DATA_AMOUNT [SW_NO]は、データ量を格納するパラメータであり、初期化時には0が格納される。なお、DATA_AMOUNT [SW_NO]には、DATA_AMOUNT [1]、DATA_AMOUNT [2]、DATA_AMOUNT [3]の3つの値がある。
【0094】
ステップS522において、他の無線通信端末からの無線フレームを受信している場合、制御部401は、DATA_AMOUNT[SW_NO]の値に受信フレーム内のデータ量を加算し、値を更新する(ステップS542)。ステップS542の処理の後、処理はステップS522に戻る。また、他の無線通信端末からの無線フレームを受信していない場合、処理はステップS509に進む。
【0095】
ステップS534において、SW_NOの値が3を超えている場合、制御部401は、DATA_AMOUNT [SW_NO]の値に基づいて、使用する通信チャネルを決定する。具体的には、制御部401は、選択可能な通信チャネル毎にステップS542で集計されたDATA_AMOUNT [1]、DATA_AMOUNT [2]、DATA_AMOUNT [3]を比較し、最も小さい値に対応した通信チャネルを、使用する通信チャネルとして決定する(ステップS543)。
【0096】
具体的には、DATA_AMOUNT [1]が最も小さい場合、CHスイッチ番号1に対応した通信チャネル1が選択され、DATA_AMOUNT [2]が最も小さい場合、CHスイッチ番号2に対応した通信チャネル6が選択され、DATA_AMOUNT [3]が最も小さい場合、CHスイッチ番号3に対応した通信チャネル11が選択される。ステップS543の処理の後、処理はステップS515に進む。このとき、決定された通信チャネルの通信設定パラメータが無線通信回路部404に設定され、通信設定表示部201の設定された通信チャネルに該当するLEDが点灯する。
【0097】
第4の動作例においても、通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択することができ、内視鏡100の省電化を図ることができる。また、通信エラーの発生を低減することができる。
【0098】
上記の4つの動作例では、CH設定スイッチにより設定される通信チャネル、およびこれと使用周波数帯域が一部重複する全ての通信チャネルを通信チャネル群として通信状態の検知対象としている。これに対して、図17に示されるように、CH設定スイッチにより設定される通信チャネル(例えば、通信チャネル1)に対して、周波数帯域の重なる範囲が小さく電波干渉の少ない通信チャネル(例えば通信チャネル4)を通信状態の検知対象から除外して、通信チャネルの使用可否の判断時間をより短縮してもよい。
【0099】
この場合、通信チャネル設定テーブルは図13に示されるようになり、探索テーブルは図14に示されるようになる。図11および図12では、2つの異なる通信チャネル群に属する通信チャネル(通信チャネル3,4,8,9)が存在するが、図13および図14では、どの通信チャネルについても、属する通信チャネル群は1つだけである。
【0100】
上述したように、本実施形態によれば、選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの使用状況の検出が行われ、その結果に基づいて、選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かが決定される。これによって、全ての通信チャネルを検索する場合と比較して、通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択することができる。さらに、受信装置200が使用する通信チャネルが確定した後、内視鏡100の電源を投入することによって、バッテリーで駆動されている内視鏡100の接続待ち時間を短縮し、省電化を図ることができる。さらに、周囲の無線通信端末が使用している通信チャネルとは電波干渉が発生しにくい通信チャネルが選択されるので、通信エラーの発生を低減することができる。
【0101】
また、CH設定スイッチにより設定された通信チャネルが使用可能でない場合に、選択された通信チャネル群とは異なる通信チャネル群の選択を促すため、CH設定スイッチの変更を指示するメッセージがモニタ407に表示される(ステップS517)。これによって、操作者は、論理接続に使用する通信チャネルを変更すべきことを容易に知ることができる。
【0102】
また、CH設定スイッチにより設定された通信チャネルが使用可能であり、その通信チャネルを使用した通信を行うと決定した場合、使用する通信チャネルの使用状況に関する情報がモニタ407に表示される(ステップS513)。これによって、操作者は、使用する通信チャネルの使用状況を知ることができる。図5および図8に示した動作において、ステップS513の後、ステップS518と同様のCH設定スイッチの状態の判定を行い、CH設定スイッチの状態が変更された場合、再度ステップS502からの処理を行うようにしてもよい。これによって、使用可能と判定された通信チャネルよりも通信状態の良好な通信チャネルが存在する場合に、より通信状態の良好な通信チャネルを選択することができる。
【0103】
また、通信チャネルの使用状況の検出として、選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの受信レベル(受信信号強度)または通信量(データ量)の検出が行われる(ステップS508,S523,S542)。これによって、通信チャネルの使用状況を容易に検出することができる。
【0104】
また、第1の動作例において、受信装置200の周囲に、CH設定スイッチにより設定される通信チャネル(通信チャネル1,6,11のいずれか)と同一の通信チャネルを使用している他の無線通信端末がなく、かつ、CH設定スイッチにより設定される通信チャネルと使用周波数帯域が重複する通信チャネルを使用している他の無線通信端末がない場合、TERM_NUM[SW_NO]=0(SW_NO=1,2,3のいずれか)となる。このときにCH設定スイッチにより設定されている通信チャネルを使用することによって、通信状態の良好な通信チャネルを選択することができる。
【0105】
また、第2の動作例において、検出された通信量(データ量)が所定値未満であったときにCH設定スイッチにより設定されている通信チャネルを使用することによって、通信状態の良好な通信チャネルを選択することができる。
【0106】
また、第3の動作例において、所定の条件を満たす通信チャネルを使用する周囲の無線通信端末の数TERM_NUM[SW_NO](SW_NO=1,2,3)の最小値に対応する通信チャネルを使用することによって、通信状態の最も良好な通信チャネルを選択することができる。
【0107】
また、第4の動作例において、特定の通信チャネルのデータ量DATA_AMOUNT [SW_NO](SW_NO=1,2,3)の最小値に対応する通信チャネルを使用することによって、通信状態の最も良好な通信チャネルを選択することができる。
【0108】
また、図13に示される通信チャネル設定テーブルでは、図11に示される通信チャネル設定テーブルと比較して、CH設定スイッチにより設定される通信チャネル(例えば通信チャネル6)との使用周波数帯域の重なりが所定の範囲以下である通信チャネル(例えば通信チャネル3,9)が除かれている。この結果、各通信チャネル群に属する個々の通信チャネル(例えばCHスイッチ番号1に対応する通信チャネル2,3)が、CH設定スイッチにより設定される、他の通信チャネル群に属する通信チャネル(例えばCHスイッチ番号2に対応する通信チャネル6およびCHスイッチ番号3に対応する通信チャネル11)とは使用周波数帯域が重ならないようになっている。これによって、図13では、各通信チャネル群において、CH設定スイッチにより設定される通信チャネルに対して電波干渉の影響が少ない通信チャネルが省かれるため、個々の通信チャネル群に属する通信チャネルの数は、図11よりも少なくなる。したがって、電波干渉が発生しにくい通信チャネルを効率良く選択することができる。
【0109】
また、図11および図12に示されるように、CH設定スイッチにより設定される通信チャネル(例えば通信チャネル6)と所定の範囲以上(本実施形態では約5MHz以上)、使用周波数帯域が重複する通信チャネル(例えば通信チャネル3,4,5,7,8,9)が同一の通信チャネル群に属するようにすることによって、使用される通信チャネル(例えば通信チャネル6)と電波干渉が発生する通信チャネルの使用状況を効率良く検出することが可能となる。したがって、通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択することができる。
【0110】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0111】
100・・・内視鏡(送信装置)、101・・・電源スイッチ、102・・・操作スイッチ、103・・・CH設定スイッチ、104・・・状態表示LED、200・・・受信装置、201・・・通信設定表示部、301,401・・・制御部(決定部)、302,402・・・ROM(記憶部)、303,403・・・RAM、304・・・撮像部、305・・・照明部、306,404・・・無線通信回路部(通信部)、307,405・・・アンテナ、308,408・・・操作部、406・・・画像信号処理部、407・・・モニタ(出力部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも他の1つの通信チャネルと使用周波数帯域が部分的に重なるn(n>1)個の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを用いて送信装置と通信を行い、当該送信装置から送信される画像データを受信する通信部と、
L(1≦L<n)個の通信チャネルが属するx(1<x≦n)個の通信チャネル群を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶する通信チャネル群の中から任意の通信チャネル群を選択するとともに、当該選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの使用状況の検出を行い、当該検出の結果に基づいて、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定する決定部と、
を有する無線内視鏡装置の受信装置。
【請求項2】
前記決定部が前記通信を行わないと決定した場合、前記選択された通信チャネル群とは異なる通信チャネル群の選択を促す情報を出力する出力部を更に有する請求項1に記載の無線内視鏡装置の受信装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記決定部が前記通信を行うと決定した場合、前記通信を行う通信チャネルの使用状況に関する情報を出力する請求項2に記載の無線内視鏡装置の受信装置。
【請求項4】
操作者に通信チャネル群を選択させ、当該選択の結果を前記決定部に伝達する操作部を更に有する請求項2に記載の無線内視鏡装置の受信装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記使用状況として、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの通信量の検出を行う請求項1に記載の無線内視鏡装置の受信装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記使用状況として、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの受信信号強度の検出を行う請求項1に記載の無線内視鏡装置の受信装置。
【請求項7】
前記決定部は、前記通信量が所定のしきい値を下回る通信チャネルの存在に基づいて、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定する請求項5に記載の無線内視鏡装置の受信装置。
【請求項8】
前記決定部は、前記受信信号強度が所定のしきい値を下回る通信チャネルの存在に基づいて、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定する請求項6に記載の無線内視鏡装置の受信装置。
【請求項9】
前記決定部は、同一の通信チャネル群に属する通信チャネルの前記通信量の合計が最も少ない通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うと決定する請求項5に記載の無線内視鏡装置の受信装置。
【請求項10】
前記記憶部は、他の通信チャネル群に属する特定の通信チャネルとは使用周波数帯域が重ならない通信チャネルが属する通信チャネル群を記憶する請求項1に記載の無線内視鏡装置の受信装置。
【請求項11】
前記記憶部は、同一の通信チャネル群に属する特定の通信チャネルと所定の範囲以上、使用周波数帯域が重複している通信チャネルが属する通信チャネル群を記憶する請求項1に記載の無線内視鏡装置の受信装置。
【請求項12】
無線内視鏡装置の受信装置が、
少なくとも他の1つの通信チャネルと使用周波数帯域が部分的に重なるn(n>1)個の通信チャネルのうちL(1≦L<n)個の通信チャネルが属するx(1<x≦n)個の通信チャネル群の中から任意の通信チャネル群を選択するステップと、
当該選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの使用状況の検出を行うステップと、
当該検出の結果に基づいて、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定するステップと、
前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うと決定された場合に、当該通信チャネルを用いて送信装置と通信を行い、当該送信装置から送信される画像データを受信するステップと、
を実行する受信方法。
【請求項13】
受信装置と送信装置を有する無線内視鏡装置であって、
前記受信装置は、
少なくとも他の1つの通信チャネルと使用周波数帯域が部分的に重なるn(n>1)個の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを用いて前記送信装置と通信を行い、前記送信装置から送信される画像データを受信する第1の通信部と、
L(1≦L<n)個の通信チャネルが属するx(1<x≦n)個の通信チャネル群を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶する通信チャネル群の中から任意の通信チャネル群を選択するとともに、当該選択された通信チャネル群に属する通信チャネルの使用状況の検出を行い、当該検出の結果に基づいて、前記選択された通信チャネル群に属する通信チャネルを使用した通信を行うか否かを決定する決定部と、
を有し、
前記送信装置は、
n個の通信チャネルの中から選択された通信チャネルを用いて前記受信装置と通信を行い、前記受信装置へ前記画像データを送信する第2の通信部
を有する無線内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−284274(P2010−284274A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139420(P2009−139420)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】