説明

無線基地局および無線通信方法

【課題】アダプティブアレイアンテナのウエイトの計算の無駄をなくすことができる無線基地局および無線通信方法を提供する。
【解決手段】ユーザ選択部6は、第N番目のタイムスロットのときに、1個以上の移動局を選択する。無線通信部4は、第L番目のタイムスロットのときに、第N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の移動局から既知信号を送信させる指示に従って送信される既知信号を受信する。送信用ウエイト計算機22は、第L番目のタイムスロットのときに、受信した既知信号に基づいて、N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の移動局についてウエイトを計算する。送信用乗算器26は、算出したウエイトに従ってユーザデータに指向性を持たせた指向性データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局および無線通信方法に関し、特に、アダプティブアレイアンテナを備え、かつ時分割復信方式に従って通信を行なう無線基地局、および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)などの無線通信システムにおいて、無線基地局と移動局との間での信号対干渉・ノイズ比(SINR)を向上させるために、アダプティブアレイアンテナ方式が用いられている(たとえば、特許文献1を参照)。
【0003】
このアダプティブアレイアンテナのウエイト制御のために、WiMAXの無線通信システムでは、サウンディング情報(既知信号)が用いられる。すなわち、無線基地局が、サウンディング情報を送信させる旨の指示(サウンディング指示)を1個以上のユーザの移動局に送り、指示を受けたユーザの移動局は、サウンディング情報を無線基地局に送信する。無線基地局は、受信したサウンディング情報を用いて、サウンディング情報を送信したユーザの移動局用のウエイトを算出する。この算出したウエイトを用いて、サウンディング情報を送信したユーザの移動局へ送るユーザデータに指向性を持たせた指向性データを作成することができる。
【0004】
また、WiMAXの通信システムでは、無線基地局と移動局との間は、時分割復信方式に従って通信が行なわれる。この通信システムでは、タイムスロットごとに、通信品質などに基づいて、サウンディング指示を送るユーザの移動局と、ユーザデータを送るユーザの移動局とが決められる。
【0005】
無線基地局は、たとえば以下の手順に従って、アダプティブアレイアンテナを制御している。すなわち、無線基地局は、あるタイムスロットにおいて、通信品質などに基づいてサウンディング指示を送るユーザを選択し、次のタイムスロットで、サウンディング指示をそのユーザの移動局に送り、次々以降のタイムスロットで、そのユーザの移動局からサウンディング情報を受信し、アダプティブアレイアンテナ制御のためにそのサウンディング情報を送信したユーザの移動局用のウエイトを算出する。
【特許文献1】特開2008−048236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、サウンディング情報を受信したタイムスロットにおいて、そのサウンディング情報を送信したユーザ(サウンディング情報ユーザ)の移動局と、ユーザデータを送ることを決めたユーザ(送信ユーザ)の移動局が異なる場合がある。これは、たとえば、フェージングなどにより、通信品質が急激に変化した場合に生じる。このような場合には、算出したウエイトが、送信ユーザのユーザデータの指向性データを算出するために用いられず、無駄なウエイト計算が行なわれたことになる。無駄な計算を実行することによって、無用な電力が消費されてしまうことになる。
【0007】
それゆえに、本発明の目的は、アダプティブアレイアンテナのウエイトの計算の無駄をなくすことができる無線基地局および無線通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、時分割復信方式に従って複数の移動局との間で通信を行なう無線基地局であって、複数のアンテナと、複数のアンテナの指向性を制御するアダプティブアレイアンテナ制御部と、現在のタイムスロットが第N番目のタイムスロットのときに、複数の移動局の中から1個以上の移動局を選択する選択部と、現在のタイムスロットが第M番目(Mは(N+1)以上の自然数)のタイムスロットのときに、第N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の移動局へ既知信号を送信させる指示を送信し、かつ現在のタイムスロットが第L番目(Lは(M+1)以上の自然数)のタイムスロットのときに、第N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の移動局から既知信号を送信させる指示に従って送信される既知信号を受信する通信部とを備え、アダプティブアレイアンテナ制御部は、現在のタイムスロットが第L番目のタイムスロットのときに、受信した既知信号に基づいて、N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の移動局についてウエイトを計算し、算出したウエイトに従ってユーザデータに指向性を持たせた指向性データを生成し、通信部は、現在のタイムスロットが第S番目(Sは(L+1)以上の自然数)のタイムスロットのときに、L番目のタイムスロットで生成された指向性データを送信する。
【0009】
好ましくは、選択部は、現在のタイムスロットが第N番目のタイムスロットのときに、選択された1個以上の移動局へのユーザデータを記憶部に保存し、アダプティブアレイアンテナ制御部は、現在のタイムスロットが第L番目のタイムスロットのときに、記憶部に保存されている第N番目のスロットで保存されたユーザデータを読み出して、算出したウエイトとユーザデータとを乗算して指向性データを生成する。
【0010】
好ましくは、選択部は、現在のタイムスロットが第N番目のタイムスロットのときに、第(N−1)番目以前の1または複数のタイムスロットで受信したユーザデータの内容に基づいて、1個以上の移動局を選択する。
【0011】
好ましくは、選択部は、現在のタイムスロットが第N番目のタイムスロットのときに、第(N−1)番目以前の1または複数のタイムスロットで受信したユーザデータの誤り率に基づいて、1個以上の移動局を選択する。
【0012】
また、本発明は、アダプティブアレイアンテナを備え、かつ時分割復信方式に従って複数の移動局との間で通信を行なう無線基地局の無線通信方法であって、現在のタイムスロットが第N番目のタイムスロットのときに、複数の移動局の中から1個以上の移動局を選択するステップと、現在のタイムスロットが第M番目(Mは(N+1)以上の自然数)のタイムスロットのときに、第N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の移動局へ既知信号を送信させる指示を送信するステップと、現在のタイムスロットが第L番目(Lは(M+1)以上の自然数)のタイムスロットのときに、第N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の移動局から既知信号を送信させる指示に従って送信される既知信号を受信するステップと、現在のタイムスロットが第L番目のタイムスロットのときに、受信した既知信号に基づいて、N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の移動局についてウエイトを計算し、算出したウエイトに従ってユーザデータに指向性を持たせた指向性データを生成するステップと、現在のタイムスロットが第S番目(Sは(L+1)以上の自然数)のタイムスロットのときに、L番目のタイムスロットで生成された指向性データを送信するステップとを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の無線基地局および無線通信方法によれば、アダプティブアレイアンテナのウエイトの計算の無駄をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(無線基地局の構成)
図1は、本発明の実施形態の無線基地局の構成を表わす図である。
【0015】
図1を参照して、この無線基地局は、時分割復信方式に従って複数の移動局との間で通信を行なう無線基地局であって、サウンディングユーザ特定部14と、ユーザ選択部6と、制御情報生成部12と、ユーザデータ生成部8と、アダプティブアレイアンテナ制御部16と、無線通信部4と、複数のアンテナ2と、リングバッファ10とを備える。
【0016】
ユーザ選択部6は、各タイムスロットにおいて、過去の各ユーザから受信したユーザデータのビット誤り率に基づいて、この無線基地局がカバーする複数のユーザの中から、1個以上のユーザを選択する。
【0017】
制御情報生成部12は、各タイムスロットにおいて、選択されたユーザにサウンディング情報を送信させる指示(サウンディング指示)を表わすサウンディング指示情報を含む制御情報を生成する。サウンディング情報は、既知信号であって、移動局への下りビームフォーミングのためのウエイトを計算するために用いられる。
【0018】
ユーザデータ生成部8は、各タイムスロットにおいて、選択されたユーザへ送信するユーザデータを生成して、リングバッファ10に記憶する。
【0019】
リングバッファ10は、各タイムスロットで生成されたユーザデータを記憶する。リングバッファ10は、3個のタイムスロットのユーザデータを記憶する容量を有する。
【0020】
サウンディングユーザ特定部14は、各タイムスロットにおいて、受信した制御情報に含まれるサウンディング情報を参照して、サウンディング情報を送信したユーザをサウンディングユーザとして特定する。
【0021】
アダプティブアレイアンテナ制御部16は、複数のアンテナ2の指向性を制御する。アダプティブアレイアンテナ制御部16は、下りビームフォーミング部18と、上りビームフォーミング部20とを有する。
【0022】
上りビームフォーミング部20は、受信用ウエイト計算機24と、受信用乗算器28とを備える。
【0023】
受信用ウエイト計算機24は、受信したユーザデータからMMSE(Minimum Mean Square Error:最小平均2乗誤差)アルゴリズムを用いて、受信したユーザへの上りビームフォーミング用のウエイトを計算する。受信用乗算器28は、算出された上りビームフォーミング用のウエイトとユーザデータとを乗算して、指向性を有するユーザデータ(指向性データ)を生成する。
【0024】
下りビームフォーミング部18は、送信用ウエイト計算機22と、送信用乗算器26とを備える。
【0025】
送信用ウエイト計算機22は、サウンディング指示ユーザから受信したサウンディング情報に基づいて、サウンディング情報を送信したユーザへの下りビームフォーミング用のウエイトを計算する。送信用乗算器26は、算出された下りビームフォーミング用のウエイトと、リングバッファ10に記憶されているユーザデータとを乗算して、指向性を有するユーザデータ(指向性データ)を生成する。
【0026】
無線通信部4は、無線信号の増幅及び周波数変換等を行なうパワーアンプ・高周波部や、無線信号を信号処理する信号処理部などを備えている。無線通信部4は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)無線インタフェースに従うフレームを送受信する。
【0027】
(フレームの構成)
本発明の実施形態のフレームの構成を説明する。
【0028】
図2は、第(N+1)番目のタイムスロットにおけるフレームの構成を表わす図である。他のタイムスロットでも、これと同様である。図2は、1つのタイムスロットで選択されるユーザが8個の場合の例を表わすが、これに限定されるものではない。
【0029】
図2を参照して、第(N+1)番目のタイムスロットでは、下りサブフレームDLSF(N+1)が無線基地局から送信され、上りサブフレームULSF(N+1)が無線基地局で受信される。下りサブフレームDLSF(N+1)と上りサブフレームULSF(N+1)は、時間軸方向tと周波数軸方向fとで構成される。下りサブフレームDLSF(N+1)と上りサブフレームULSF(N+1)との間には、時間軸方向にタイムガード(TTG)が設けられている。
【0030】
下りサブフレームDLSF(N+1)の制御領域には、制御情報DL_CON(N+1)が配置される。制御情報DL_CON(N+1)は、8個のサウンディング指示情報SPD(N+1,1)〜SPD(N+1,8)が配置される。制御情報DL_CON(N+1)は、無指向性(オムニ)送信される。
【0031】
下りサブフレームDLSF(N+1)のユーザデータ領域には、8個の移動局への指向性を有するユーザデータADL_U(N+1,1)〜ADL_U(N+1,8)が配置される。
【0032】
上りサブフレームULSF(N+1)の制御領域には、制御情報UL_CON(N+1)が配置される。また、制御領域の中のゾーン領域には、8個のサウンディング情報SD(N+1,1)〜SD(N+1,8)が配置される。制御情報UL_CON(N+1)は、無指向性(オムニ)受信される。
【0033】
上りサブフレームULSF(N+1)のユーザデータ領域には、8個の移動局からのユーザデータUL_U(N+1,1)〜UL_U(N+1,8)が配置される。
【0034】
(指向性データの算出方法の概略)
次に、本発明の実施形態において、指向性データが算出されて送出されるまでの手順を説明する。
【0035】
図3は、第(N+1)番目のタイムスロットで送信される指向性データが作成されて送信されるまでの手順の概略を表わす図である。
【0036】
図3を参照して、第(N−2)番目のタイムスロットにおいて、ユーザ選択部6が、複数のユーザの中から8個のユーザ1〜8を選択する。ユーザデータ生成部8は、ユーザ1〜8のユーザデータを生成して、リングバッファ10に格納する。
【0037】
第(N−1)番目のタイムスロットにおいて、ユーザ1〜8に対するサウンディング指示を表わすサウンディング指示情報SPD(N−1,i)(i=1〜8)を含む下りサブフレームDLSF(N−1)が、無線基地局から送信される。ユーザ1〜8の移動局は、それぞれサウンディング指示を受信する。
【0038】
第N番目のタイムスロットにおいて、ユーザ1〜8の移動局は、サウンディング指示に従ってサウンディング情報を送信する。無線基地局が受信した上りサブフレームULSF(N)に含まれるサウンディング情報SD(N,i)(i=1〜8)には、サウンディングユーザ1〜8のサウンディング情報が含まれている。
【0039】
下りビームフォーミング部18は、サウンディング情報SD(N,i)に基づいて、下りビームフォーミング用のウエイトWを算出する。下りビームフォーミング部18は、第(N−2)番目のタイムスロットにおいてリングバッファ10に記憶されたユーザ1〜8のユーザデータを読み出し、これらのユーザデータとウエイトWとを乗算して指向性を有するユーザデータ(指向性データ)を算出する。本発明の実施形態では、サウンディグユーザ(サウンディング指示ユーザ)とユーザデータを送信するユーザは、第(N−2)番目のタイムスロットで、共通に決められているので、無駄なウエイト計算が行われるのを回避できる。
【0040】
第(N+1)番目のタイムスロットにおいて、第N番目のタイムスロットにおいて算出した指向性データを含む下りサブフレームDLSF(N+1)が、無線基地局から送信される。
【0041】
(第N番目のタイムスロットでの処理)
次に、本発明の実施形態の無線基地局の処理手順を説明する。
【0042】
図4は、本発明の実施形態の無線基地局の第N番目のタイムスロットでの処理手順を表わすフローチャートである。他のタイムスロットにおいても、これと同様である。
【0043】
まず、無線通信部4は、第(N−1)番目のタイムスロットで作成された制御情報DL_CON(N)と指向性を有するユーザデータADL_U(N,i)(i=1〜s)を含み、図2で示される形式に従う下りサブフレームDLSF(N)を送信する(ステップS101)。
【0044】
次に、ユーザ選択部6は、第(N−1)番目のタイムスロット以前のR個(Rは1以上の所定数)のタイムスロットで受信したユーザデータのビット誤り率が小さな8個のユーザを特定して、特定した8個のユーザを選択する(ステップS102)。
【0045】
制御情報生成部12は、ステップS102で選択されたユーザに対するサウンディング指示を含むサウンディング指示情報SPD(N+1,i)(i=1〜8)を含む制御情報DL_CON(N+1)を生成する(ステップS103)。
【0046】
ユーザデータ生成部8は、ステップS102で選択されたユーザに対するユーザデータDL_U(N+3,i)(i=1〜8)を生成して、リングバッファ10に記憶する。このユーザデータDL_U(N+3)は、第(N+3)番目のタイムスロットにおいて送信される。(ステップS104)。
【0047】
次に、無線通信部4は、第N番目のタイムスロットでの上りサブフレームULSF(N)を受信して、制御情報UL_CON(N)とユーザデータUL_U(N,i)(i=1〜8)を取り出す(ステップS105)。
【0048】
次に、受信用ウエイト計算機24は、MMSEに従って、ユーザデータUL_U(N,i)から上りビームフォーミング用のウエイトを算出する。受信用乗算器28は、ユーザデータUL_U(N,i)と算出した上りビームフォーミング用のウエイトとを乗算して指向性を有するユーザデータAUL_U(N,i)を算出する(ステップS106)。
【0049】
次に、サウンディングユーザ特定部14は、制御情報UL_CON(N)内のサウンディング情報SD(N,i)(i=1〜8)を参照して、サウンディングユーザSU(N,i)を特定する。このサウンディング情報SD(N,i)は、第(N−2)番目のタイムスロットで生成されて第(N−1)番目のタイムスロットにおいて送信された下りサブフレームDLSF(N−1)に含まれるサウンディング指示に基づいて、サウンディング指示ユーザから返信されてきた情報である(ステップS107)。
【0050】
送信用ウエイト計算機22は、サウンディング情報SD(N,i)に基づいて、サウンディングユーザSU(N,i)についての第(N+1)番目のタイムスロットでの下りビームフォーミング用のウエイトW(N+1,i)を計算する(ステップS108)。
【0051】
送信用乗算器26は、リングバッファ10に記憶されているユーザデータDL_U(N+1,i)を読み出す。このユーザデータDL_U(N+1,i)は、第(N−2)番目のタイムスロットで生成されて保存されていたものである。送信用乗算器26は、ユーザデータDL_U(N+1,i)と下りビームフォーミング用のウエイトW(N+1,i)とを乗算して指向性を有するユーザデータADL_U(N+1,i)を算出する(ステップS109)。
【0052】
次に、無線通信部4は、ステップS103で作成された制御情報DL_CON(N+1)と、ステップS109で作成された指向性を有するユーザデータADL_U(N+1,i)からなり、図2で示される形式に従う下りサブフレームDLSF(N+1)を作成する(ステップS110)。
【0053】
以上のように、本発明の実施形態の無線基地局によれば、各タイムスロットにおいて、受信したサウンディング情報のサウンディングユーザと、指向性データを作成するユーザが同一となるので、無駄なウエイトの計算をなくすことができる。
【0054】
(変形例)
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、たとえば、以下のような変形例も含まれる。
【0055】
(1) 送信ユーザの選択
本発明の実施形態では、ユーザ選択部は、現在のタイムスロットが第N番目のタイムスロットのときに、第(N−1)番目のタイムスロット以前のR個のタイムスロットで受信したユーザデータのビット誤り率が小さな8個のユーザを特定して、特定した8個のユーザを選択したが、これに限定するものではない。
【0056】
たとえば、ユーザ選択部は、現在のタイムスロットが第N番目のタイムスロットのときに、第(N−1)番目のタイムスロット以前の1個または複数個のタイムスロットのユーザデータの内容(たとえば、送信要求など)に応じて、8個のユーザを選択してもよい。
【0057】
(2) タイムスロット
本発明の実施形態では、無線基地局は、第(N−2)番目のタイムスロットにおいて、ユーザを選択し、第(N−1)番目のタイムスロットにおいて、選択したユーザに対するサウンディング指示情報を送信した。さらに、無線基地局は、第N番目のタイムスロットにおいて、サウンディング情報を受信し、サウンディング情報に基づいて下りビームフォーミング用のウエイトWを算出するとともに、第(N−2)番目のタイムスロットで生成されたユーザデータをリングバッファから読み出して、ユーザデータとウエイトWに基づいて指向性データを算出した。さらに、無線基地局は、第(N+1)番目のタイムスロットにおいて、第N番目のタイムスロットにおいて算出した指向性データを送信したが、これに限定するものではない。
【0058】
たとえば、無線基地局は、第N番目のタイムスロットにおいて、ユーザを選択し、第M番目(Mは(N+1)以上の自然数)のタイムスロットにおいて、選択したユーザに対するサウンディング指示情報を送信する。さらに、無線基地局は、第L番目(Lは(M+1)以上の自然数)のタイムスロットにおいて、サウンディング情報を受信し、サウンディング情報に基づいて下りビームフォーミング用のウエイトWを算出するとともに、第N番目のタイムスロットで生成されたユーザデータをリングバッファから読み出して、ユーザデータとウエイトWに基づいて指向性データを算出する。さらに、無線基地局は、第S番目(Sは(L+1)以上の自然数)のタイムスロットにおいて、第L番目のタイムスロットにおいて算出した指向性データを送信するものとしてもよい。
【0059】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態の無線基地局の構成を表わす図である。
【図2】第(N+1)番目のタイムスロットにおけるフレームの構成を表わす図である。
【図3】第(N+1)番目のタイムスロットで送信される指向性データが作成されて送信されるまでの手順の概略を表わす図である。
【図4】本発明の実施形態の無線基地局の第N番目のタイムスロットでの処理手順を表わすフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 無線基地局、2 アンテナ、4 無線通信部、6 ユーザ選択部、8 ユーザデータ生成部、10 リングバッファ、12 制御情報生成部、14 サウンディングユーザ特定部、16 アダプティブアレイアンテナ制御部、18 下りビームフォーミング部、20 上りビームフォーミング部、22 送信用ウエイト計算機、24 受信用ウエイト計算機、26 送信用乗算器、28 受信用乗算器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割復信方式に従って複数の移動局との間で通信を行なう無線基地局であって、
複数のアンテナと、
前記複数のアンテナの指向性を制御するアダプティブアレイアンテナ制御部と、
現在のタイムスロットが第N番目のタイムスロットのときに、前記複数の移動局の中から1個以上の移動局を選択する選択部と、
現在のタイムスロットが第M番目(Mは(N+1)以上の自然数)のタイムスロットのときに、第N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の前記移動局へ既知信号を送信させる指示を送信し、かつ
現在のタイムスロットが第L番目(Lは(M+1)以上の自然数)のタイムスロットのときに、第N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の移動局から前記既知信号を送信させる指示に従って送信される既知信号を受信する通信部とを備え、
前記アダプティブアレイアンテナ制御部は、現在のタイムスロットが第L番目のタイムスロットのときに、前記受信した既知信号に基づいて、前記N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の移動局についてウエイトを計算し、前記算出したウエイトに従ってユーザデータに指向性を持たせた指向性データを生成し、
前記通信部は、現在のタイムスロットが第S番目(Sは(L+1)以上の自然数)のタイムスロットのときに、前記L番目のタイムスロットで生成された指向性データを送信する、無線基地局。
【請求項2】
前記選択部は、現在のタイムスロットが第N番目のタイムスロットのときに、前記選択された1個以上の移動局へのユーザデータを記憶部に保存し、
前記アダプティブアレイアンテナ制御部は、現在のタイムスロットが第L番目のタイムスロットのときに、前記記憶部に保存されている前記第N番目のスロットで保存されたユーザデータを読み出して、前記算出したウエイトと前記ユーザデータとを乗算して前記指向性データを生成する、請求項1記載の無線基地局。
【請求項3】
前記選択部は、現在のタイムスロットが第N番目のタイムスロットのときに、第(N−1)番目以前の1または複数のタイムスロットで受信したユーザデータの内容に基づいて、前記1個以上の移動局を選択する、請求項2記載の無線基地局。
【請求項4】
前記選択部は、現在のタイムスロットが第N番目のタイムスロットのときに、第(N−1)番目以前の1または複数のタイムスロットで受信したユーザデータの誤り率に基づいて、前記1個以上の移動局を選択する、請求項2記載の無線基地局。
【請求項5】
アダプティブアレイアンテナを備え、かつ時分割復信方式に従って複数の移動局との間で通信を行なう無線基地局の無線通信方法であって、
現在のタイムスロットが第N番目のタイムスロットのときに、前記複数の移動局の中から1個以上の移動局を選択するステップと、
現在のタイムスロットが第M番目(Mは(N+1)以上の自然数)のタイムスロットのときに、第N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の前記移動局へ既知信号を送信させる指示を送信するステップと、
現在のタイムスロットが第L番目(Lは(M+1)以上の自然数)のタイムスロットのときに、第N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の移動局から前記既知信号を送信させる指示に従って送信される既知信号を受信するステップと、
現在のタイムスロットが第L番目のタイムスロットのときに、前記受信した既知信号に基づいて、前記N番目のタイムスロットにおいて選択された1個以上の移動局についてウエイトを計算し、前記算出したウエイトに従ってユーザデータに指向性を持たせた指向性データを生成するステップと、
現在のタイムスロットが第S番目(Sは(L+1)以上の自然数)のタイムスロットのときに、前記L番目のタイムスロットで生成された指向性データを送信するステップとを備えた、無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−154239(P2010−154239A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330358(P2008−330358)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】