説明

無線送信装置、プログラム及び方法

【課題】 所定時間当たりの、電波を発信する累積時間が、キャリアセンス時間に応じた条件に制限されている無線送信装置において、キャリアセンス時間を変更しても、その条件を遵守する。
【解決手段】 本発明は、無線受信装置に電波発信する無線送信装置に関する。そして、無線送信装置は、当該無線送信装置が電波発信を行った、所定時間あたりの累積時間を計時する手段と、キャリアセンス時間ごとに対応する最長発信時間に係る電波発信条件を登録している手段と、当該無線送信装置におけるキャリアセンス時間を含んだ、キャリアセンス方式が定めた無線送信する条件を別の条件を変更しようとする際に、少なくとも計時している累積時間を利用して、登録されている電波発信条件を満たすように、当該無線送信装置による電波発信を制御する手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線送信装置、プログラム及び方法に関し、例えば、所定時間当たりの、電波を発信する累積時間が、キャリアセンス時間に応じた条件に制限されている無線送信装置に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置による電波の発信については、その利用が法令などにより制限される場合がある。例えば、950MHz帯域ではキャリアセンス時間により1時間あたりの電波発信時間が予め定められた時間(以下、「最長発信時間」という)に制限される例について、非特許文献1に記載されている。非特許文献1においては、キャリアセンス時間と、それに対応する電波発信時間の条件として、以下の条件1〜条件3の3つの条件が定められている。
【0003】
(条件1)キャリアセンス時間:10ミリ秒以上、電波発信時間:制限なし
(条件2)キャリアセンス時間:10マイクロ秒以上、電波発信時間:1時間あたり360秒以下
(条件3) キャリアセンス時間:0秒以上、電波発信時間:1時間あたり3.6秒以下
図5は、上述の条件1〜条件3に従った場合の、通信装置における電波送信の例について示した説明図である。
【0004】
図5に示す例では、前後1時間当たりの電波発信時間の合計によって許されるキャリアセンス時間が決定する。よって、上述の条件1〜条件3を遵守るためには、図5に示すように、通信装置において電波発信に関する制御を行いう必要がある。例えば、図5では、キャリアセンス時間を128マイクロ秒に設定した場合、1時間あたりの電波発信時間が360秒以下であることを保障する必要がある。具体的には、具体的には常に1時間当たりの電波発信時間を測定しておき、電波発信時に1時間当たりの電波発信時間が360秒を超える場合には電波発信を中止するという制御を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】情報通信審議会 編,「情報通信審議会 情報通信技術分科会 省電力システム委員会 報告」,[Online],INTERNET,[2008年8月27日検索],<http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/pdf/071214_1_bt3.pdf>,pp.38−39
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、無線通信装置において、キャリアセンス時間を短くすることは、省電力の観点から重要である。特に、小電力で動作することを目的とした無線通信装置においては、できるだけキャリアセンス時間を短くしたいという要望があり、上述の条件1〜条件3を遵守した場合に、短いキャリアセンス時間を適用すると、所定時間あたりに送信できるデータ量が少なくなってしまうという問題があるため、所定時間あたりの電波発信時間が短くてよい場合、省電力のためにキャリアセンス時間を短く変更し、一時的に多量のデータを送信したい(=電波発信時間を長くしたい)場合にはキャリアセンス時間を10ミリ秒に変更して短期間で多量のデータを送信できることが望ましい。しかしながら、キャリアセンス時間を変更した場合には、変更した時間の前後1時間において、上述の条件1〜条件3を満たさなければならないという問題がある。
【0007】
そのため、所定時間当たりの、電波を発信する累積時間が、キャリアセンス時間に応じた条件に制限されている無線送信装置において、キャリアセンス時間を変更しても、その条件を遵守することができる無線送信装置、プログラム及び方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、所定時間当たりに、電波を発信する累積 時間の上限を最長発信時間とし、上記最長発信時間は、キャリアセンス1回当たりのキャリアセンス時間に応じた時間とするキャリアセンス方式を採用した無線送信装置において、(1)所定時間前までの間に当該無線送信装置が電波発信を行った、所定時間あたりの累積時間を計時する電波発信時間計時手段と 、(2)キャリアセンス時間ごとに対応する最長発信時間に係る電波発信条件を登録している電波発信条件登録手段と、(3)当該無線送信装置におけるキャリアセンス時間を含んだ、上記キャリアセンス方式が定めた無線送信する条件 を別の条件に変更しようとする際に、少なくとも上記電波発信時間計時手段が計時している時間を利用して、上記電波発信条件登録手段に登録されている電波発信条件を満たすように、当該無線送信装置による電波発信を制御する発信制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
第2の本発明の無線送信プログラムは、(1)所定時間当たりに、電波を発信する累積 時間の上限を最長発信時間とし、上記最長発信時間は、キャリアセンス1回当たりのキャリアセンス時間に応じた時間とするキャリアセンス方式を採用した無線送信装置に搭載されたコンピュータを、(2)所定時間前までの間に当該無線送信装置が電波発信を行った、所定時間あたりの累積時間を計時する電波発信時間計時手段と 、(3)キャリアセンス時間ごとに対応する最長発信時間に係る電波発信条件を登録している電波発信条件登録手段と、(4)当該無線送信装置におけるキャリアセンス時間を含んだ、上記キャリアセンス方式が定めた無線送信する条件 を別の条件に変更しようとする際に、少なくとも上記電波発信時間計時手段が計時している時間を利用して、上記電波発信条件登録手段に登録されている電波発信条件を満たすように、当該無線送信装置による電波発信を制御する発信制御手段として機能させることを特徴とする。
【0010】
第3の本発明は、所定時間当たりに、電波を発信する累積 時間の上限を最長発信時間とし、上記最長発信時間は、キャリアセンス1回当たりのキャリアセンス時間に応じた時間とするキャリアセンス方式を採用した無線送信装置が行う無線装置方法において、(1)電波発信時間計時手段、電波発信条件登録手段、発信制御手段を有し、(2)上記電波発信時間計時手段は、所定時間前までの間に当該無線送信装置が電波発信を行った、所定時間あたりの累積時間を計時し 、(3)上記電波発信条件登録手段は、キャリアセンス時間ごとに対応する最長発信時間に係る電波発信条件を登録し、(4)上記発信制御手段は、当該無線送信装置におけるキャリアセンス時間を含んだ、上記キャリアセンス方式が定めた無線送信する条件 を別の条件に変更しようとする際に、少なくとも上記電波発信時間計時手段が計時している時間を利用して、上記電波発信条件登録手段に登録されている電波発信条件を満たすように、当該無線送信装置による電波発信を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定時間当たりの、電波を発信する累積時間が、キャリアセンス時間に応じた条件に制限されている無線送信装置において、キャリアセンス時間を変更しても、その条件を遵守することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る電波発信条件テーブルの内容の例について示した説明図である。
【図3】実施形態に係る無線送信装置において、キャリアセンス時間を即時変更可能な場合の動作の例について示したタイミングチャートである。
【図4】実施形態に係る無線送信装置において、キャリアセンス時間を即時変更できない場合の動作の例について示したタイミングチャートである。
【図5】従来の通信装置におけるキャリアセンス時間と電波発信時間の制御について説明したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による無線送信装置、プログラム及び方法の一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0014】
(A−1)実施形態の構成
図1は、この実施形態に係る無線通信システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0015】
無線通信システム1は、無線送信装置10及び無線受信装置20を有している。無線受信装置20としては、既存の通信装置等を適用することができるので詳しい説明を省略する。
【0016】
無線通信システム1では、無線送信装置10から電波発信してデータを送出し、無線受信装置20が受信する。図1においては、説明を簡易にするために、無線受信装置20は1台の構成となっているが複数台であっても良く、無線受信装置20の台数は制限されないものである。無線送信装置10は、例えば、非特許文献1に記載されている、小電力無線システムにおける無線通信装置などにおける無線送信に適用しても良いが、適用する無線通信装置は限定されないものである。
【0017】
無線送信装置10において、キャリアセンス時間により所定時間あたりの電波発信時間が、予め定められた条件に制限されている。この実施形態においては、例として、無線送信装置10は、非特許文献1に記載の小電力無線システムにおける無線通信装置に搭載されるものとし、キャリアセンス時間と、所定時間あたりに許される電波発信時間の関係は、上述の条件1〜条件3を適用するものとする。なお、この実施形態においては、所定時間は、1時間であるものとして説明するが、これに限定されないものである。
【0018】
無線送信装置10は、キャリアセンス時間変更可能判定部101、制御部102、電波発信時間制御部103、無線通信部104、電波発信条件テーブル105を有している。
【0019】
無線送信装置10は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、ハードディスクなどのプログラムの実行構成、及び、無線通信をするためのインターフェースを有する装置(1台に限定されず、複数台を分散処理し得るようにしたものであっても良い。)に、実施形態の無線送信プログラム等をインストールすることにより構築されるものであり、機能的には上述の図1のように示すことができる。
【0020】
電波発信条件テーブル105は、無線送信装置10において、キャリアセンス時間に対応する電波発信時間に関する条件について登録しているテーブルである。
【0021】
図2は、電波発信条件テーブル105に登録される条件の例について示した説明図である。
【0022】
この実施形態においては、図2に示す通り、電波発信条件テーブル105には、上述の条件1〜条件3の3つの条件が、テーブル形式で登録されているものとして説明するが電波発信条件テーブル105の内容は図2の内容に限定されないものである。電波発信条件テーブル105に登録する条件の内容は、予め設定しておいたものを適用しても良いし、無線送信装置10のユーザの操作に応じて変更するようにしても良く、その設定方法は限定されないものである。
【0023】
無線通信部104は、無線受信装置20にデータや、キャリアセンスの無線信号を送信するものである。また、無線通信部104による電波発信は、制御部102の制御によってキャリアセンス時間が変更され、電波発信時間制御部103の制御によって所定時間(1時間)あたりの電波発信時間が最長発信時間以下に制限される。
【0024】
制御部102は、無線送信装置10の全体の動作を制御する機能を担っており、電波発信条件テーブル105に登録されている条件を遵守するように無線通信部104による電波発信を制御する。
【0025】
制御部102は、無線送信装置10において、キャリアセンス時間の変更要求が発生すると、キャリアセンス時間変更可能判定部101に変更の可否について問い合わせし、キャリアセンス時間の変更が可能である旨の返答があると、無線通信部104のキャリアセンス時間を変更し、新しいキャリアセンス時間に対応する最長発信時間を電波発信時間制御部103に通知する。なお、制御部102は、キャリアセンス時間変更可能判定部101から、キャリアセンス時間の変更が不可である旨の返答があると、その後、キャリアセンス時間変更可能判定部101からキャリアセンス時間が変更可能である旨の通知があるまで待機し、変更可能である旨の通知があったタイミングで、上述のキャリアセンス時間変更に係る制御を行う。
【0026】
無線送信装置10において、キャリアセンス時間の変更要求が発生するタイミングは、例えば、ユーザの操作に応じたタイミングでも良いし、大量のデータ送信が発生した場合にキャリアセンス時間を長く制御するようにしても良いし、時間帯に応じてキャリアセンス時間を変更しても良い。このように、無線送信装置10において、キャリアセンス時間を変更するタイミングは限定されないものである。
【0027】
電波発信時間制御部103は、制御部102からの制御によって所定時間(1時間)あたりの、無線通信部104による電波発信時間を制御する機能を担っている。
【0028】
電波発信時間制御部103は、無線通信部104の電波発信状況を監視して、電波発信時間を制御する。電波発信時間制御部103は、過去所定時間(1時間)において電波発信を行った時間の履歴を保持し、過去の所定時間(1時間)において電波発信を行った累計を算出して保持している。この実施形態においては、電波発信時間制御部103が、過去所定時間(1時間)、すなわち、現時点から1時間前までにデータ送信を行った時間の履歴を保持し、その累計を計時しているものとする。電波発信時間制御部103は、計時している電波発信時間が、現在設定されているキャリアセンス時間に対応する最長発信時間を越えないように、無線通信部104の電波発信を制御する。
【0029】
電波発信時間制御部103は、所定時間(1時間)あたりの、無線通信部104による電波発信時間を制御する方法は、例えば、単純に、無線送信装置10において発生したデータ送信要求に応じて、無線通信部104による電波の発信を許可し、計時している電波発信時間が、最長発信時間を越えると無線通信部104による電波の発信を禁止するようにしても良い。また、電波発信時間制御部103は、例えば、最長発信時間が1時間あたり360秒であれば、1秒電波発信を許可し、9秒電波発信を禁止することを繰り返すようにして最長発信時間を遵守するようにしても良い。このように、電波発信時間制御部103により、所定時間(1時間)あたりの、無線通信部104による電波発信時間を制御する方法は限定されないものである。
【0030】
キャリアセンス時間変更可能判定部101は、制御部102へキャリアセンス時間を変更可能かどうか知らせる機能を担っている。キャリアセンス時間変更可能判定部101は、制御部102から、キャリアセンス時間の変更の可否について問い合わせを受けると、送信時間計時部105が計時している時間などに基づいて、制御部102からの問い合わせ通りにキャリアセンス時間を変更しても電波発信条件テーブル105の条件を遵守できるか否かを判定し、判定結果を制御部102に返答する。キャリアセンス時間変更可能判定部101は、判定の結果、キャリアセンス時間の変更が不可であった場合には、その後変更が可能となったタイミングで、制御部102にキャリアセンス時間変更可能を通知する。
【0031】
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態の無線通信システム1の動作(実施形態の無線送信方法)を説明する。
【0032】
(A−2−1)即時にキャリアセンス時間の変更が可能な場合
まず、キャリアセンス時間の変更要求があった場合に、無線送信装置10において、即時にキャリアセンス時間の変更を行っても、電波発信条件テーブル105に登録されている条件を満たすことができる場合の動作について説明する。
【0033】
図3は、無線送信装置10における、キャリアセンス時間の変更が即時可能な場合の動作について説明したタイミングチャートである。
【0034】
図3において、T11の時点で、無線送信装置10において、キャリアセンス時間を、128マイクロ秒から、10ミリ秒へ変更する要求があったものとする。そして、キャリアセンス時間の変更要求があると、制御部102では、キャリアセンス時間変更可能判定部101に、そのキャリアセンス時間変更の可否について問い合わせが行われる。そして、キャリアセンス時間変更可否の問い合わせがあると、キャリアセンス時間変更可能判定部101では、電波発信時間制御部103に、1時間前(T10の時点)までの、電波発信時間の累計を問い合わせる。ここでは、電波発信時間の累計が350秒であったものとすると、キャリアセンス時間変更可能判定部101では、1時間前(T10の時点)までの、電波発信時間の累計が、128マイクロ秒のキャリアセンス時間に対応する最長発信時間(360秒)以下であるため、キャリアセンス時間が可能である旨を、制御部102に通知する。
【0035】
そして、キャリアセンス時間が可能である旨が通知されると、制御部102では、キャリアセンス時間を、128マイクロ秒から、10ミリ秒に変更するように無線通信部104を制御する。さらに、制御部102は、T11からT12までの1時間の間、変更前のキャリアセンス時間(128マイクロ秒)と変更後のキャリアセンス時間(10ミリ秒)にそれぞれ対応する最長発信時間のうち、厳しい方(短い方)を、電波発信時間制御部103に適用する。図3においては、128マイクロ秒のキャリアセンス時間に対応する最長発信時間は360秒で、10ミリ秒に対応する最長発信時間は無制限なので、360秒の最長発信時間が、T11からT12までの1時間の間電波発信時間制御部103に適用されることになる。そして、T12の時点で、制御部102は、電波発信時間制御部103に設定する最長発信時間を、10ミリ秒のキャリアセンス時間に対応する最長発信時間、すなわち、最長発信時間として無制限を適用する。
【0036】
(A−2−1)即時にキャリアセンス時間の変更が即時にできない場合
次に、キャリアセンス時間の変更要求があった場合に、無線送信装置10において、即時にキャリアセンス時間の変更を行うと、電波発信条件テーブル105に登録されている条件を満たすことがでない場合の動作について説明する。
【0037】
図4は、無線送信装置10における、キャリアセンス時間の変更が即時にできない場合の動作について説明したタイミングチャートである。
【0038】
図4において、T22の時点で、無線送信装置10において、キャリアセンス時間を、10マイクロ秒から、128マイクロ秒へ変更する要求があったものとする。そして、キャリアセンス時間の変更要求があると、制御部102では、キャリアセンス時間変更可能判定部101に、そのキャリアセンス時間変更の可否について問い合わせが行われる。そして、キャリアセンス時間変更可否の問い合わせがあると、キャリアセンス時間変更可能判定部101では、電波発信時間制御部103に、1時間前(T20の時点)までの、電波発信時間の累計を問い合わせる。ここでは、電波発信時間の累計が400秒であったものとすると、キャリアセンス時間変更可能判定部101では、1時間前(T20の時点)までの、電波発信時間の累計が、変更後のキャリアセンス時間である128マイクロ秒に対応する最長発信時間(360秒)以上であるため、キャリアセンス時間の変更ができない旨を、制御部102に通知する。
【0039】
キャリアセンス時間の変更ができない旨が通知されると、制御部102は、電波発信時間制御部103においては、キャリアセンス時間変更可能判定部101から、キャリアセンス時間変更が可能の通知があるまで待機する。
【0040】
そして、無線送信装置10において、T21からT22までの間の電波発信時間の累計が100秒で、T22からT23までの間の電波発信時間の累計が260秒であったものとすると、T21からT23までの間の1時間の電波発信時間の累計は360秒と、変更後のキャリアセンス時間である128マイクロ秒に対応する最長発信時間(360秒)以下となるため、T23のタイミングで、キャリアセンス時間変更可能判定部101から、制御部102にキャリアセンス時間の変更が可能である旨が通知される。
【0041】
そして、キャリアセンス時間が可能である旨が通知されると、制御部102では、キャリアセンス時間を、10ミリ秒から128マイクロ秒に変更するように無線通信部104を制御する。さらに、制御部102は、T23からT24までの1時間の間、変更前のキャリアセンス時間(10ミリ秒)と変更後のキャリアセンス時間(128マイクロ秒)にそれぞれ対応する最長発信時間のうち、厳しい方(短い方)を、電波発信時間制御部103に適用する。図4においては、128マイクロ秒のキャリアセンス時間に対応する最長発信時間は360秒で、10ミリ秒に対応する最長発信時間は無制限なので、360秒の最長発信時間が、T23からT24までの1時間の間電波発信時間制御部103に適用されることになる。
【0042】
また、T24以降も、電波発信時間制御部103には、変更後のキャリアセンス時間である128マイクロ秒に対応する最長発信時間(360秒)が適用される。
【0043】
(A−3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0044】
無線送信装置10では、電波発信時間制御部103により、過去所定時間(1時間)の電波発信時間を計時し、計時している電波発信時間を参照することにより、データ送信中にキャリアセンス時間を変更しても、電波発信条件テーブル105の条件を満たすように無線通信部104による電波発信を制御することができる。
【0045】
また、無線送信装置10では、電波発信時間制御部103が計時している電波発信時間を参照し、キャリアセンス時間変更可能判定部101により、キャリアセンス時間の変更の可否を判断することにより、キャリアセンス時間の変更要求があってから、所定時間(1時間)の経過を待たずに、早期にキャリアセンス時間を変更しても、電波発信条件テーブル105の条件を満たすように無線通信部104による電波発信を制御することができる。
【0046】
また、無線送信装置10では、キャリアセンス時間を変更後に、所定時間(1時間)の間、変更前のキャリアセンス時間と変更後のキャリアセンス時間にそれぞれ対応する最長発信時間のうち、厳しい方(短い方)を、電波発信時間制御部103に適用している(例えば、図3におけるT11からT12までの間)。これにより、キャリアセンス時間を変更した後においても、電波発信条件テーブル105の条件を満たすように無線通信部104による電波発信を制御することができる。
【0047】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0048】
(B−1)上記の実施形態においては、無線送信装置10では、キャリアセンス時間を変更した後、所定時間(1時間)は、変更前のキャリアセンス時間と変更後のキャリアセンス時間にそれぞれ対応する最長発信時間のうち、厳しい方(短い方)を、電波発信時間制御部103に適用しているが、適用する時間は、キャリアセンス時間を変更した後ではなく、キャリアセンス時間を変更する前からカウントするようにしても良い。例えば、上述の図3においては、変更前のキャリアセンス時間と変更後のキャリアセンス時間にそれぞれ対応する最長発信時間のうち、厳しい方(短い方)を、キャリアセンス時間を変更したT11の時点から所定時間(1時間)の間、電波発信時間制御部103に適用しているが、T11より以前で、最後に電波発信を終了した時刻から開始してもよい。これにより、無線送信装置10では、上述の図3における、T12より前の時刻に、変更後のキャリアセンス時間に対応する最長発信時間を適用することができるので、早期に大量のデータ送信をすることができる場合がある。また、無線送信装置10において、電波発信時間測定を測定する時間を短くすることができる。
【0049】
(B−2)上記の実施形態では、電波発信時間制御部103による、過去所定時間(1時間)の電波発信時間の累計の算出は、連続的に行われているものとして記載しているが、例えば、5分おきなど、離散的に行って適用するようにしても良い。これにより、無線送信装置10において、通信制御に係る処理量を低減することができる。
【0050】
(B−3)上記の実施形態では、無線送信装置10において、即時にキャリアセンス時間の変更を行うと、電波発信条件テーブル105に登録されている条件を満たすことができない場合(上述の図4参照)には、条件を満たすことができるまで、すなわち、所定時間(1時間)前までの電波発信時間の累計が、キャリアセンス時間変更後の最長発信時間より大きい場合には、所定時間(1時間)前までの電波発信時間の累計が最長発信時間以下となるまで待機しているが、待機するだけでなく、電波発信時間制御部103を制御して、電波発信する時間を抑制するようにしても良い。例えば、上述の図4においては、T22からT23までの間、電波発信時間制御部103を制御して、最長発信時間を、変更後のキャリアセンス時間(128マイクロ秒)に対応する最長発信時間(360秒)以下や、電波発信禁止にすることなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0051】
1…無線通信システム、10…無線送信装置、101…キャリアセンス時間変更可能判定部、102…制御部、103…電波発信時間制御部、104…無線通信部、105…電波発信条件テーブル、20…無線受信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定時間当たりに、電波を発信する累積時間の上限を最長発信時間とし、上記最長発信時間は、キャリアセンス1回当たりのキャリアセンス時間に応じた時間とするキャリアセンス方式を採用した無線送信装置において、
所定時間前までの間に当該無線送信装置が電波発信を行った、所定時間あたりの累積時間を計時する電波発信時間計時手段と 、
キャリアセンス時間ごとに対応する最長発信時間に係る電波発信条件を登録している電波発信条件登録手段と、
当該無線送信装置におけるキャリアセンス時間を含んだ、上記キャリアセンス方式が定めた無線送信する条件を別の条件に変更しようとする際に、少なくとも上記電波発信時間計時手段が計時している時間を利用して、上記電波発信条件登録手段に登録されている電波発信条件を満たすように、当該無線送信装置による電波発信を制御する発信制御手段と
を有することを特徴とする無線送信装置。
【請求項2】
上記電波発信時間計時手段は、上記無線送信装置が電波発信を行った累積時間を離散的に計時することを特徴とする請求項1に記載の無線送信装置。
【請求項3】
上記無線送信装置は、法令により定められた920MHz〜950MHz帯で無線送信することを特徴とする請求項1に記載の無線送信装置。
【請求項4】
所定時間当たりに、電波を発信する累積時間の上限を最長発信時間とし、上記最長発信時間は、キャリアセンス1回当たりのキャリアセンス時間に応じた時間とするキャリアセンス方式を採用した無線送信装置に搭載されたコンピュータを、
所定時間前までの間に当該無線送信装置が電波発信を行った、所定時間あたりの累積時間を計時する電波発信時間計時手段と 、
キャリアセンス時間ごとに対応する最長発信時間に係る電波発信条件を登録している電波発信条件登録手段と、
当該無線送信装置におけるキャリアセンス時間を含んだ、上記キャリアセンス方式が定めた無線送信する条件を別の条件に変更しようとする際に、少なくとも上記電波発信時間計時手段が計時している時間を利用して、上記電波発信条件登録手段に登録されている電波発信条件を満たすように、当該無線送信装置による電波発信を制御する発信制御手段と
して機能させることを特徴とする無線送信プログラム。
【請求項5】
上記電波発信時間計時手段は、上記無線送信装置が電波発信を行った累積時間を離散的に計時することを特徴とする請求項4に記載の無線送信プログラム。
【請求項6】
上記無線送信装置は、法令により定められた920MHz〜950MHz帯で無線送信することを特徴とする請求項4に記載の無線送信プログラム。
【請求項7】
所定時間当たりに、電波を発信する累積 時間の上限を最長発信時間とし、上記最長発信時間は、キャリアセンス1回当たりのキャリアセンス時間に応じた時間とするキャリアセンス方式を採用した無線送信装置が行う無線装置方法において、
電波発信時間計時手段、電波発信条件登録手段、発信制御手段を有し、
上記電波発信時間計時手段は、所定時間前までの間に当該無線送信装置が電波発信を行った、所定時間あたりの累積時間を計時し 、
上記電波発信条件登録手段は、キャリアセンス時間ごとに対応する最長発信時間に係る電波発信条件を登録し、
上記発信制御手段は、当該無線送信装置におけるキャリアセンス時間を含んだ、上記キャリアセンス方式が定めた無線送信する条件を別の条件に変更しようとする際に、少なくとも上記電波発信時間計時手段が計時している時間を利用して、上記電波発信条件登録手段に登録されている電波発信条件を満たすように、当該無線送信装置による電波発信を制御する
ことを特徴とする無線送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−48464(P2013−48464A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230786(P2012−230786)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2008−252272(P2008−252272)の分割
【原出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】