説明

無線通信システム、基地局、交換局及びそれらに用いるセル干渉エリア検出方法

【課題】 移動端末を用いることなく、土地開発等の影響によるセルエリアの変化にて発生するセル干渉エリアで生じる通話品質の悪化を検出可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】 検査用データ生成部13は検査用データを生成し、データ変調部14はその検査用データを周波数f1で変調し、送信アンテナ150から無線区間に送信する。受信アンテナ110,120,・・・,1n0は検査用データを受信し、データ復調部11−1〜11−nはその検査用データを復調する。比較部12−1〜12−nは検査用データ生成部13からの検査用データと、データ復調部11−1〜11−nからの復調データ#1〜#nとを比較し、その比較結果#1〜#nを有線伝送路100を経由して交換局6へ報告する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信システム、基地局、交換局及びそれらに用いるセル干渉エリア検出方法に関し、特に無線通信システムにおいてセル干渉エリアを検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、無線通信システムにおいては、基地局毎に異なる周波数を使用する場合、周波数を有効利用するため、あるセルエリアにて使用した周波数を、そのセルエリアの影響が及ばないエリアで再利用してセルエリアを構成する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この無線通信システムにおいて、無線信号を遮断する障害物(建物や山等)が存在している場合のセルエリア構成の一例を図4に示す。図4に示す無線通信システムでは、障害物5が存在しているため、セルエリア101とセルエリア401とが重なりあることがない。したがって、周波数を有効に使うために、セルエリア101とセルエリア401とを同じ周波数f1としてもセル干渉エリアが発生しないので、通話品質に問題は発生しない。
【0004】
【特許文献1】特開平09−233536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の図4に示す無線通信システムの問題点について図5を参照して説明する。図4に示す障害物5が土地開発等でなくなった場合には、セルエリアが変化し、図5に示すように、同一周波数のセルエリア(セルエリア101及びセルエリア401)が重なり合い、基地局1の無線信号と基地局4の無線信号とが互いに干渉し合うセル干渉エリア500が発生し、そのセル干渉エリア500の通話品質が悪化する。
【0006】
従来の無線通信システムでは、このセル干渉エリア500が発生しているかどうかをチェックする機能が存在していないため、セル干渉エリア500の発生による通話品質の悪化を検出する方法として、移動端末を使用する方法しか存在していない。
【0007】
したがって、図5に示すように、無線通信システムがサービスを開始した後に土地開発等でセルエリアが変化し、セル干渉エリア500が発生した場合には、移動端末を使用しているユーザが干渉エリア500に位置した時点で通話品質が悪化していることに気が付いてオペレータに対してクレームを発生させるまで、セル干渉エリア500の発生を知ることができない。
【0008】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、移動端末を用いることなく、土地開発等の影響によるセルエリアの変化にて発生するセル干渉エリアで生じる通話品質の悪化を検出することができる無線通信システム、基地局、交換局及びそれらに用いるセル干渉エリア検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による無線通信システムは、複数の基地局が交換局に接続されたシステムにおいて、同じ周波数を繰り返し再利用し、複数のセルエリアを構成する無線通信システムであって、
前記複数の基地局各々は、自局に対応するセルエリアの境界近傍に設置された複数の受信アンテナと、自局から送信した検査用データの前記複数の受信アンテナ各々での受信状態を基に自セルエリアの変化を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果を前記交換局に通知する通知手段とを備えている。
【0010】
本発明による基地局は、同じ周波数を繰り返し再利用し、複数のセルエリアを構成する無線通信システムにおいて交換局に接続される基地局であって、
自局に対応するセルエリアの境界近傍に設置された複数の受信アンテナと、自局から送信した検査用データの前記複数の受信アンテナ各々での受信状態を基に自セルエリアの変化を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果を前記交換局に通知する通知手段とを備えている。
【0011】
本発明による交換局は、同じ周波数を繰り返し再利用して複数のセルエリアを構成する無線通信システムにおいて複数の基地局が接続される交換局であって、
前記複数の基地局各々に、前記基地局に対応するセルエリアの境界近傍に設置された複数の受信アンテナが設けられ、
前記基地局から送信した検査用データと前記複数の受信アンテナ各々での受信結果との比較結果を基に前記セル干渉の発生を検出する手段と、前記セル干渉が発生した場合にその干渉源の基地局に対して送信電力を下げるように指示して当該基地局のセルエリアを小さくする手段とを備えている。
【0012】
本発明によるセル干渉エリア検出方法は、複数の基地局が交換局に接続されたシステムにおいて、同じ周波数を繰り返し再利用し、複数のセルエリアを構成する無線通信システムにて、前記複数のセルエリアのうちの一つと同一周波数の他のセルエリアとが重なり合った場合に生じるセル干渉エリアを検出するセル干渉エリア検出方法であって、
前記複数の基地局各々に対応するセルエリアの境界近傍に複数の受信アンテナを設置し、
前記複数の基地局各々が、自局から送信した検査用データの前記複数の受信アンテナ各々での受信状態を基に自セルエリアの変化を検出し、その検出結果を前記交換局に通知している。
【0013】
すなわち、本発明の無線通信システムは、同じ周波数を繰り返し再利用し、複数のセルエリアを構成する無線通信システムにおいて、建物を壊したり、山を開拓するような土地開発の影響によってセルエリアが変化したことで、ある基地局が形成するセルエリアと他の基地局からの同一周波数のセルエリアとが重なり合った場合に生じるセル干渉エリアを検出し、保守監視卓に表示させることで、オペレータにセル干渉エリアが発生していることを通知することを特徴としている。
【0014】
より具体的に説明すると、本発明の無線通信システムでは、基地局が周波数f1を送信してセルエリアを形成し、セルエリアの境界付近に複数の受信アンテナを設置し、それらを基地局に接続し、送信アンテナから周波数f1で変調された検査用データを送信し、それを複数の受信アンテナで正常に受信可能かどうかを確認している。
【0015】
本発明の無線通信システムでは、障害物(建物、山等)が土地開発によってなくなり、セルエリアが変化した場合、同一周波数f1のセルエリアが重なり合うと、基地局の送信信号と他の基地局4の送信信号とが互いに干渉し合うセル干渉エリアが生じる。このため、受信アンテナでは、周波数f1で変調された検査用データに誤りが生ずるため、基地局がセル干渉エリアが発生していると判断し、その旨を交換局に報告する。
【0016】
その結果を受信した交換局は、保守監視卓にセル干渉エリアが発生していることを通知し、保守監視卓がセル干渉エリアの発生を表示するため、オペレータが基地局の受信アンテナにてセル干渉エリアが発生していることを知ることが可能となる。
【0017】
従来の無線通信システムでは、基地局に検査用データを送信し、セルエリアの境界付近に設置した複数の受信アンテナにてそれを受信し、セル干渉エリアが発生しているかどうかをチェックする機能が存在せず、オペレータに対してセル干渉エリアが発生していることを通知する機能もない。
【0018】
これに対し、本発明の無線通信システムでは、セル干渉エリアが発生したことを基地局にて検出可能となり、それを交換局へ報告し、交換局が保守監視卓に報告し、保守監視卓に表示することで、オペレータがセル干渉エリアの発生を知ることが可能となるので、通話品質の悪化を一早く知ることが可能となるため、建物を壊したり、山を開拓するような土地開発等の影響でセルエリアが変化し、セル干渉エリアが発生した場合に生じる通話品質の悪化によるユーザからのクレームを軽減させることが可能となる。
【0019】
また、本発明の無線通信システムでは、複数のセルエリアの通話品質の状況を交換局にて確認可能となるので、移動端末を使用して実際のセルエリアにおいて通話し、品質を確認する行為を行わなくて済むため、通話品質の調査を行う人手や労力を軽減可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以下に述べるような構成及び動作とすることで、移動端末を用いることなく、土地開発等の影響によるセルエリアの変化にて発生するセル干渉エリアで生じる通話品質の悪化を検出することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例による無線通信システムの構成を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例による無線通信システムは基地局1〜4と、無線信号を遮断する障害物(建物や山等)5と、交換局6と、保守監視卓7と、セルエリア101,201,301,401とから構成されている。
【0022】
基地局1〜4はそれぞれ有線伝送路にて交換局6に接続され、交換局6は有線伝送路を使用して基地局1〜4から報告されるセル干渉情報を受信する。保守監視卓7は交換局6から通知されるセル干渉情報を表示する。尚、基地局1〜4と交換局6との間を接続する有線伝送路は、基地局1と交換局6との間を接続する有線伝送路100を除いて、その図示を省略している。
【0023】
また、それぞれのセルエリア101,201,301,401の境界付近にはそれぞれ対応する基地局2〜4に接続される受信アンテナが設置されているが、図が繁雑となるため、基地局1に接続される受信アンテナ110,120,・・・,1n0を除いて、その図示を省略している。さらに、保守監視卓7に表示されるセル干渉情報は図示せぬオペレータによって確認される。
【0024】
セルエリア101は基地局1の送信アンテナ150から送信される周波数f1で形成され、セルエリア201は基地局2の送信アンテナ250から送信される周波数f2で形成され、セルエリア301は基地局3の送信アンテナ350から送信される周波数f3で形成され、セルエリア401は基地局4の送信アンテナ450から送信される周波数f1で形成される。また、受信アンテナ110,120,・・・,1n0はセルエリア101の境界付近に配置され、基地局1の送信アンテナ150から送信された周波数f1で変調された検査用データを受信する。他の基地局2〜4に接続される受信アンテナも、受信アンテナ110,120,・・・,1n0と同様に動作する。
【0025】
図2は図1の基地局1の構成を示すブロック図である。図2において、基地局1はデータ復調部11−1〜11−nと、比較部12−1〜12−nと、検査用データ生成部13と、データ変調部14と、受信アンテナ110,120,・・・,1n0とから構成されている。尚、他の基地局2〜4も、上記の基地局1と同様の構成となっており、その動作も後述する基地局1の動作と同様である。
【0026】
検査用データ生成部13は検査用データを生成し、その検査用データをデータ変調部14と複数の比較部12−1〜12−nとにそれぞれ送信する。データ変調部14は検査用データ生成部13からの検査用データを周波数f1で変調し、その周波数f1で変調された検査用データを送信アンテナ150から無線区間に送信する。
【0027】
受信アンテナ110,120,・・・,1n0は周波数f1で変調された検査用データを受信し、それぞれデータ復調部11−1〜11−nへ入力する。データ復調部11−1〜11−nは受信アンテナ110,120,・・・,1n0から入力されたデータを復調し、その復調データ#1〜#nを比較部12−1〜12−nへ出力する。比較部12−1〜12−nは検査用データ生成部13からの検査用データと、データ復調部11−1〜11−nからの復調データ#1〜#nとを比較し、その比較結果#1〜#nを有線伝送路100を経由して交換局6へ報告する。
【0028】
図3は本発明の一実施例による無線通信システムにおいて障害物5がなくなった状態を示すブロック図である。これら図1〜図3を参照して本発明の一実施例による無線通信システムの動作について説明する。
【0029】
基地局1は検査用データ生成部13にて生成した検査用データをデータ変調部14と比較部12−1〜12−nとにそれぞれ入力する。データ変調部14に入力された検査用データは周波数f1に変調され、送信アンテナ150から送信される。また、周波数f1で変調された検査用データは受信アンテナ110にて受信され、データ復調部11−1にて復調データ#1に復調され、比較部12−1に入力される。
【0030】
比較部12−1は入力された検査用データと復調データ#1とを比較し、それらの比較結果#1を有線伝送路100を経由して交換局6へ報告する。比較結果が一致している場合には比較結果#1を正常とし、比較結果が一致していない場合には比較結果#1を異常とする。尚、受信アンテナ120,・・・,1n0、データ復調部11−2〜11−n、比較部12−2〜12−nについても、上記の受信アンテナ110、データ復調部11−1、比較部12−1の場合と同様に動作する。
【0031】
図1に示す状態の場合、基地局1に接続されている複数の受信アンテナ110,120,・・・,1n0全てについてセルエリア101の内部に位置しており、かつ他の基地局2〜4からの干渉等もないため、基地局1から送信した周波数f1で変調された検査用データを全ての受信アンテナ110,120,・・・,1n0にて受信し、全てのデータ復調部11−1〜11−nにて復調された復調データ#1〜#nと、検査用データとが比較部12−1〜12−nにて一致する。
【0032】
したがって、基地局1から交換局6に対しては、全ての比較結果比較結果#1〜#nが正常であるとして報告され、交換局6から保守監視卓7に対してもその結果が報告される。したがって、セル干渉エリアが発生していないことが保守監視卓7に表示されるので、オペレータがセル干渉エリアが発生していないことを知ることができる。
【0033】
次に、図1に示す障害物5が土地開発等によってなくなったことで、セルエリアが変化し、同一周波数のセルエリア、つまりセルエリア101とセルエリア401とが重なりあい、図3に示すように、セル干渉エリア500が発生する。
【0034】
セル干渉エリア500では、周波数f1で変調された検査用データが基地局4から送信されるデータの干渉を受けるため、受信アンテナ110にて受信しかつ周波数f1で変調された検査用データを復調した復調データ#1が誤ってしまう。これによって、データ復調部11−1にて復調した復調データ#1と、検査用データとを比較部12−1で比較した結果、データが一致しないため、基地局1から交換局6に対しては比較結果#1にて異常であることが報告される。
【0035】
尚、受信アンテナ120及び受信アンテナ1n0においては、特に干渉等が発生していないため、復調データ#2及び復調データ#nと検査用データとが一致し、比較結果#2及び比較結果#nにて正常であることが報告される。これらの比較結果#1〜#nを受信した交換局6は、保守監視卓7に対して結果結果#1が異常であることを報告する。
【0036】
したがって、基地局1の受信アンテナ110にてセル干渉エリア500が発生していることを保守監視卓7に表示することができるので、オペレータはセル干渉エリア500が発生していることを知ることができる。
【0037】
このように、本実施例では、セル干渉エリア500が発生したことを基地局1〜4にて検出することができ、それを交換局6へ報告し、交換局6が保守監視卓7に報告して表示することで、オペレータがセル干渉エリア500の発生を知ることができ、通話品質の悪化を一早く知ることができるため、建物を壊したり、山を開拓するような土地開発等の影響でセルエリア101,201,301,401が変化し、セル干渉エリア500が発生した場合に生じる通話品質の悪化によるユーザからのクレームを軽減させることができる。
【0038】
また、本実施例では、複数のセルエリア101,201,301,401の通話品質の状況を交換局6にて確認することができるので、移動端末を使用して実際のセルエリアにおいて通話し、品質を確認する行為を行わなくて済むため、通話品質の調査を行う人手や労力を軽減することができる。
【0039】
図6は本発明の他の実施例による無線通信システムの構成を示すブロック図である。図6において、本発明の他の実施例による無線通信システムは、交換局6と基地局4とを有線伝送路400で接続し、基地局4に受信アンテナ410を設けた以外は図1に示す本発明の一実施例による無線通信システムと同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。
【0040】
図7は図6の基地局の構成を示すブロック図である。図7において、本発明の他の実施例では、基地局1に送信電力制御部15及び可変アッテネータ16を追加し、交換局6にセルエリア制御部61及び受信アンテナ位置情報格納部62を設けた以外は図2に示す本発明の一実施例における基地局1及び交換局6と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。また、本実施例においても、他の基地局2〜4が、上記の基地局1と同様の構成となっており、その動作も後述する基地局1の動作と同様である。
【0041】
交換局6の受信アンテナ位置情報格納部62には、受信アンテナ位置情報(受信アンテナ110〜1n0が属する基地局情報、セルエリア101,201,301,401の周波数情報、各受信アンテナ110〜1n0同士の距離情報を含む)をセルエリア制御部61へ出力する。
【0042】
交換局6のセルエリア制御部61は、比較部12−1〜12−nから入力された比較結果#1〜#nについてどれか誤っていた場合、誤っている受信アンテナから最も近くかつ同一周波数のセルエリアに位置している受信アンテナを有する基地局を、受信アンテナ位置情報格納部62から入力される受信アンテナ位置情報にて特定し、その基地局に対して送信電力を下げるように送信電力制御部15に指示する送信電力制御情報を出力する。
【0043】
基地局1の送信電力制御部15は、交換局6から入力された送信電力情報にて送信電力を下げるように指示された場合、可変アッテネータ16の値を現在の値よりも増加させる。可変アッテネータ16は、基地局1からの送信波の強さを増減する装置であり、値を増加させると送信波が弱くなるため、基地局1のセルエリア101が小さくなる。尚、基地局2〜4についても、上記の基地局1と全く同じ動作を行う。
【0044】
図8及び図9は本発明の他の実施例による無線通信システムにおいて障害物がなくなった状態を示すブロック図である。これら図6〜図9を参照して、受信アンテナ110にてセル干渉エリア500を検出した場合の動作について説明する。
【0045】
図8に示すように、受信アンテナ110にてセル干渉エリア500が発生した場合、基地局1から送信した周波数f1で変調された検査用データを受信アンテナ110で受信した結果が誤るため、受信アンテナ110でセル干渉が発生したことを交換局6にて検出する。交換局6では、受信アンテナ位置情報格納部62の受信アンテナ位置情報からセル干渉が発生している受信アンテナ110から最も近くかつ同一周波数の受信アンテナを有している基地局を検索して特定する(図8では受信アンテナ410を有している基地局4がそれに該当する)。
【0046】
次に、交換局6は特定した基地局4に対して送信電力を下げるように指示するための送信電力制御情報を出力する。基地局4は送信電力を下げるように指示するための送信電力制御情報が入力されると、可変アッテネータ16の値を増加させて送信波の電力を弱めるため、セルエリア401が小さくなる。その結果、図9に示すように、受信アンテナ110にて生じていたセル干渉エリア500が解消される。
【0047】
本実施例では、上述した本発明の一実施例の効果に加えて、以下のような効果を奏する。本実施例では、セル干渉が発生した場合に、その干渉源の基地局に対して送信電力を下げるように指示し、その基地局のセルエリアを小さくするため、セル干渉が発生した場合に、そのセル干渉エリア500を自動的に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例による無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の基地局の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例による無線通信システムにおいて障害物がなくなった状態を示すブロック図である。
【図4】従来例による無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図5】従来例による無線通信システムにおいて障害物がなくなった状態を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施例による無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図7】図6の基地局の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の他の実施例による無線通信システムにおいて障害物がなくなった状態を示すブロック図である。
【図9】本発明の他の実施例による無線通信システムにおいて障害物がなくなった状態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
1〜4 基地局
5 障害物
6 交換局
7 保守監視卓
11−1〜11−n データ復調部
12−1〜12−n 比較部
13 検査用データ生成部
14 データ変調部
15 送信電力制御部
16 可変アッテネータ
61 セルエリア制御部
62 受信アンテナ位置情報格納部
100,400 有線伝送路
101,201,301,401 セルエリア
110,120,・・・,1n0 受信アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局が交換局に接続されたシステムにおいて、同じ周波数を繰り返し再利用して複数のセルエリアを構成する無線通信システムであって、
前記複数の基地局各々は、自局に対応するセルエリアの境界近傍に設置された複数の受信アンテナと、自局から送信した検査用データの前記複数の受信アンテナ各々での受信状態を基に自セルエリアの変化を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果を前記交換局に通知する通知手段とを有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記検出手段は、前記自局から送信した検査用データと前記複数の受信アンテナ各々での受信結果とをそれぞれ比較することで、自セルエリアと同一周波数の他のセルエリアとが重なり合った場合に生じるセル干渉エリアを検出することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記通知手段は、前記複数の受信アンテナ毎の比較結果を前記交換局に通知することを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記通知手段は、前記比較手段の比較結果が一致の時に正常を通知し、前記比較結果が不一致の時に異常を通知することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記交換局は、前記セル干渉が発生した場合にその干渉源の基地局に対して送信電力を下げるように指示し、当該基地局のセルエリアを小さくすることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記交換局は、前記複数の受信アンテナ毎の比較結果を基に前記セル干渉の発生を検出する手段と、前記セル干渉の発生を検出した時に当該セル干渉が発生している受信アンテナから最も近くかつ同一周波数の受信アンテナを持つ基地局を特定する手段とを含むことを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記基地局を特定する手段は、前記受信アンテナが属する基地局情報と前記セルエリアの周波数情報と前記複数の受信アンテナ同士の距離情報を含む受信アンテナ位置情報を検索して前記セル干渉が発生している受信アンテナから最も近くかつ同一周波数の受信アンテナを持つ基地局を特定することを特徴とする請求項6記載の無線通信システム。
【請求項8】
同じ周波数を繰り返し再利用して複数のセルエリアを構成する無線通信システムにおいて交換局に接続される基地局であって、
自局に対応するセルエリアの境界近傍に設置された複数の受信アンテナと、自局から送信した検査用データの前記複数の受信アンテナ各々での受信状態を基に自セルエリアの変化を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果を前記交換局に通知する通知手段とを有することを特徴とする基地局。
【請求項9】
前記検出手段は、前記自局から送信した検査用データと前記複数の受信アンテナ各々での受信結果とをそれぞれ比較することで、自セルエリアと同一周波数の他のセルエリアとが重なり合った場合に生じるセル干渉エリアを検出することを特徴とする請求項8記載の基地局。
【請求項10】
前記通知手段は、前記複数の受信アンテナ毎の比較結果を前記交換局に通知することを特徴とする請求項9記載の基地局。
【請求項11】
前記通知手段は、前記比較手段の比較結果が一致の時に正常を通知し、前記比較結果が不一致の時に異常を通知することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか記載の基地局。
【請求項12】
前記複数の受信アンテナ毎の比較結果を基に前記セル干渉の発生を検出しかつ自局が当該セル干渉の干渉源の場合に前記交換局からの指示に応答して送信電力を下げ、自局のセルエリアを小さくすることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか記載の基地局。
【請求項13】
同じ周波数を繰り返し再利用して複数のセルエリアを構成する無線通信システムにおいて複数の基地局が接続される交換局であって、
前記複数の基地局各々に、前記基地局に対応するセルエリアの境界近傍に設置された複数の受信アンテナが設けられ、
前記基地局から送信した検査用データと前記複数の受信アンテナ各々での受信結果との比較結果を基に前記セル干渉の発生を検出する手段と、前記セル干渉が発生した場合にその干渉源の基地局に対して送信電力を下げるように指示して当該基地局のセルエリアを小さくする手段とを有することを特徴とする交換局。
【請求項14】
前記セル干渉の発生を検出した時に当該セル干渉が発生している受信アンテナから最も近くかつ同一周波数の受信アンテナを持つ基地局を特定する手段を含むことを特徴とする請求項13記載の交換局。
【請求項15】
前記基地局を特定する手段は、前記受信アンテナが属する基地局情報と前記セルエリアの周波数情報と前記複数の受信アンテナ同士の距離情報を含む受信アンテナ位置情報を検索して前記セル干渉が発生している受信アンテナから最も近くかつ同一周波数の受信アンテナを持つ基地局を特定することを特徴とする請求項14記載の交換局。
【請求項16】
複数の基地局が交換局に接続されたシステムにおいて、同じ周波数を繰り返し再利用し、複数のセルエリアを構成する無線通信システムにて、前記複数のセルエリアのうちの一つと同一周波数の他のセルエリアとが重なり合った場合に生じるセル干渉エリアを検出するセル干渉エリア検出方法であって、
前記複数の基地局各々に対応するセルエリアの境界近傍に複数の受信アンテナを設置し、
前記複数の基地局各々が、自局から送信した検査用データの前記複数の受信アンテナ各々での受信状態を基に自セルエリアの変化を検出し、その検出結果を前記交換局に通知することを特徴とするセル干渉エリア検出方法。
【請求項17】
前記複数の基地局各々が、前記自局から送信した検査用データと前記複数の受信アンテナ各々での受信結果とをそれぞれ比較することで前記セル干渉エリアを検出することを特徴とする請求項16記載のセル干渉エリア検出方法。
【請求項18】
前記複数の基地局各々が、前記複数の受信アンテナ毎の比較結果を前記交換局に通知することを特徴とする請求項17記載のセル干渉エリア検出方法。
【請求項19】
前記複数の基地局各々が、前記比較結果が一致の時に正常を通知し、前記比較結果が不一致の時に異常を通知することを特徴とする請求項16から請求項18のいずれか記載のセル干渉エリア検出方法。
【請求項20】
前記交換局が、前記セル干渉が発生した場合にその干渉源の基地局に対して送信電力を下げるように指示し、当該基地局のセルエリアを小さくすることを特徴とする請求項17から請求項19のいずれか記載のセル干渉エリア検出方法。
【請求項21】
前記交換局が、前記複数の受信アンテナ毎の比較結果を基に前記セル干渉の発生を検出する処理と、前記セル干渉の発生を検出した時に当該セル干渉が発生している受信アンテナから最も近くかつ同一周波数の受信アンテナを持つ基地局を特定する処理とを実行することを特徴とする請求項20記載のセル干渉エリア検出方法。
【請求項22】
前記交換局が、前記基地局を特定する処理において、前記受信アンテナが属する基地局情報と前記セルエリアの周波数情報と前記複数の受信アンテナ同士の距離情報を含む受信アンテナ位置情報を検索して前記セル干渉が発生している受信アンテナから最も近くかつ同一周波数の受信アンテナを持つ基地局を特定することを特徴とする請求項21記載のセル干渉エリア検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−104648(P2007−104648A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240916(P2006−240916)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】