説明

無線通信システム、無線基地局、無線通信端末、位置登録制御方法、位置登録制御プログラムおよび記録媒体

【課題】、たとえ、着信トラフィックが高くなっている通信環境下であっても、着信音の遅延を生じることなく、迅速な着信動作が可能となる事業所用の無線通信システムを提供する。
【解決手段】事業所用の無線通信システムとしてデジタルコードレスシステムを適用する場合、構内に配置している複数台のデジタルコードレス子機PS1,PS2,…,PS9と、該デジタルコードレス子機PS1,PS2,…,PS9のうち、位置登録がなされたデジタルコードレス子機との間で無線信号を送受信して通信を行う複数台のデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3とからなるシステムにおいて、デジタルコードレス親機1台当たりに位置登録を許可するデジタルコードレス子機の最大台数を、当該デジタルコードレス親機1台当たり同時に着信通知を送信することが可能なデジタルコードレス子機の最大の台数以内に制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線基地局、無線通信端末、位置登録制御方法、位置登録制御プログラムおよびプログラム記録媒体に関し、特に、無線通信システムとして事業所用のデジタルコードレスシステムを適用し、該デジタルコードレスシステムにおいて、事業所用のPBX(Private Branch Exchange)やボタン電話装置等の主装置ME(Main Equipment)からの情報例えば着信通知を、一斉に、事業所内に存在する複数台のデジタルコードレス子機PS(Personal Station)に対して一斉に伝送する必要がある無線通信システム、無線基地局、無線通信端末、位置登録制御方法、位置登録制御プログラムおよびプログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムの一例であるデジタルコードレスシステムにおいては、着信時に発信電話番号を表示するナンバーズディスプレイ機能を有しており、外線着信があった際に、複数台の各デジタルコードレス子機PS(Personal Station)において、着信時に表示される発信元電話番号を確認して、どのデジタルコードレス子機PSが着信を受け付けるかを決定するように運用するシステムが存在している。
【0003】
事業所用の電話システムとしてかかるデジタルコードレスシステムを採用している場合、事業所内に設置されているPBX(Private Branch Exchange)やボタン電話装置のような主装置ME(Main Equipment)に対して外線着信が発生すると、該主装置MEにデジタルコードレス親機CSを介して収容されているすべてのデジタルコードレス子機PSに対して同時に個別着信を行うべき状態が発生し、各デジタルコードレス子機PSに相手先の発信元の電話番号を表示することになる。
【0004】
ここで、事業所用のデジタルコードレスシステムにおいては、例えば、特許文献1の特開平10−233732号公報「デジタルコードレス電話システム」に記載されているように、各デジタルコードレス子機PSは、主装置MEに対して、各種の信号を待ち受けるデジタルコードレス親機CS(Cell Station)を登録する動作である位置登録動作を、あらかじめ定めた周期で定期的に実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−233732号公報(第2−3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1のような各デジタルコードレス子機PSの位置登録動作を実施する際に、デジタルコードレス子機PSの台数が多い場合や着信トラフィックが多い場合(着信が連続して発生する場合)等において、すべてのデジタルコードレス子機PSについてデジタルコードレス親機CSの位置登録が終了するまでには時間を要し、外線からの着信が発生した場合、すべてのデジタルコードレス子機PSに対して一斉に着信音を鳴動させて、発信元の電話番号を画面表示させようとしても、デジタルコードレス子機PSそれぞれの着信音の鳴動タイミングにばらつきが生じてしまう。
【0007】
したがって、すべてのデジタルコードレス子機PSに対して着信動作を完了するまでに長時間を要し、所望の着信先のデジタルコードレス子機PSが応答するまでに、発信元の相手側においては、発信動作をしてから、既に、呼び返し音(Ring Back Tone)がかなりの時間の間聞こえてきている状態にあるために、着信先が不在であると判断して切断してしまい、着信音の鳴動が遅延したデジタルコードレス子機PSにおいては、たとえ、発信元電話番号の表示を確認することができたとしても、数回の着信音が鳴動した後で切断状態に移行して、当該着信に応答することができなくなる。
【0008】
特に、連続着呼が発生するような通信環境下においては、デジタルコードレス子機PSは、呼出→待受け→位置登録の動作を頻繁に繰り返すことになり、位置登録段階において、いずれのデジタルコードレス親機CSについても位置登録ができなくなって、位置登録拒否情報を受け取ってしまう事態も発生する。すべてのデジタルコードレス親機CSについてこのような位置登録拒否情報を受信してしまうと、デジタルコードレス子機PSは、省電力化の観点から、一定の休止時間(例えば10秒)の間位置登録動作を休止するスリープ状態に移行して、以後、位置登録が成功するデジタルコードレス親機CSに出会わない限り、一定の休止時間(例えば10秒)ごとに、スリープ状態を繰り返すことになる。
【0009】
このようなスリープ状態を経由して、デジタルコードレス子機PSが位置登録先のデジタルコードレス親機CSを探索している最中に、当該デジタルコードレス子機PSに対する次の着信が届いてしまうと、当該デジタルコードレス子機PSに対する着信音の鳴動開始時間に大きな遅延を生じさせることになる。着信音の鳴動が大きく遅延したデジタルコードレス子機PSにおいては、該着信に応答すべきデジタルコードレス子機PSであっても、前述したように、該着信に応答することができなくなる場合が発生するのみならず、最悪の場合には、着信音さえも鳴動しないような現象も発生したりする。
【0010】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、たとえ、着信トラフィックが高くなっている通信環境下であっても、着信音の遅延を生じることなく、迅速な着信動作が可能となる事業所用の無線通信システム、無線基地局、無線通信端末、位置登録制御方法、位置登録制御プログラムおよびプログラム記録媒体を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため、本発明による無線通信システムは、次のような特徴的な構成を採用している。
【0012】
(1)構内に配置している各無線通信端末と、該無線通信端末のうち、位置登録がなされた無線通信端末との間で無線信号を送受信して通信を行う無線基地局とからなる事業所用の無線通信システムにおいて、前記無線基地局1台当たりに前記位置登録を許可する前記無線通信端末の最大台数を、当該無線基地局1台当たり同時に着信通知を送信することが可能な前記無線通信端末の最大の台数以内に制限する無線通信システム。
【発明の効果】
【0013】
本発明の無線通信システム、無線基地局、無線通信端末、位置登録制御方法、位置登録制御プログラムおよびプログラム記録媒体によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0014】
すなわち、無線基地局1台当たりに位置登録を許可する無線通信端末の台数を、同時に着信動作が可能な最大の台数としてあらかじめ定めた台数以内例えば3台以内に制限しているので、無線回線上のトラフィックが多い状況下であっても、待受け動作および着信動作を迅速に完了することができる(ここで、例えば、無線通信スシステムがデジタルコードレスシステムの場合、無線基地局はデジタルコードレス親機、無線通信端末はデジタルコードレス子機にそれぞれ該当する)。その結果として、複数台の無線通信端末に同時に個別着信を実施した場合であっても、同時に着信動作の実施が可能な無線基地局を介して各無線通信端末それぞれにほぼ同時に着信することができるので、各無線通信端末における着信音の鳴動遅延の発生頻度を大幅に低減することができる。
【0015】
また、着信トラフィックが高トラフィック状態検知用着信頻度としてあらかじめ定めた着信頻度以上の高頻度になっている場合には、たとえ、位置登録動作に失敗した場合であっても、あらかじめ定めた繰り返し回数(例えば5回)を超えるまでは、無線通信端末の電源を投入し続けて、位置登録動作を繰り返すので、無線通信端末が位置登録に失敗して通信圏外にあるという判定に陥る頻度を低減することができる。
【0016】
さらには、着信トラフィックが前記高トラフィック状態検知用着信頻度に達しない低トラフィック状態にある場合に、無線通信端末が位置登録動作に失敗した場合、および、着信トラフィックが前記高トラフィック状態検知用着信頻度以上の高頻度であり、かつ、前記繰り返し回数を超える回数、位置登録動作を繰り返しても、無線通信端末が位置登録に失敗した場合には、通信圏外のエリアにあるものとして、当該デジタルコードレス子機の電源を切断する省電力モードに移行させるので、無線通信端末の電池の消耗度合いに対する影響を低減させることができる。
【0017】
さらには、本発明に係る無線通信システムにおいては、無線基地局や無線通信端末それぞれのソフトウェアのみを、さらには、場合によっては、構成要素の一つであるPBX(Private Branch Exchange)システムやボタン電話装置等の主装置のソフトウェアを含めて、現状の無線通信システムから変更することによって本発明に係る仕組みを実現することが可能であり、無線基地局、無線通信端末それぞれについては、さらには、主装置も含めて、現状のハードウェアをそのまま流用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るデジタルコードレスシステムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】図1のデジタルコードレスシステムにおける各デジタルコードレス子機の位置登録動作の動作シーケンスの一例を説明するためのシーケンスチャートである。
【図3】図1のデジタルコードレスシステムにおける各デジタルコードレス子機の位置登録動作の一例を説明するための模式図である。
【図4】図3の位置登録動作例における各デジタルコードレス子機の時間関係を説明するためのシーケンスチャートである。
【図5】図1に示すデジタルコードレスシステムにおける外線着信時の動作シーケンスの一例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による無線通信システム、無線基地局、無線通信端末、位置登録制御方法、位置登録制御プログラムおよびプログラム記録媒体の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による無線通信システム、無線基地局、無線通信端末および位置登録制御方法について、デジタルコードレスシステム、デジタルコードレス親機CS(Cell Station)、デジタルコードレス子機PS(Personal Station)およびその位置登録制御方法を例にとって説明するが、かかる位置登録制御方法をコンピュータにより実行可能な位置登録制御プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、位置登録制御プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0020】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、事業所用の無線通信システムとして、外線からの着信時に発信元の電話番号を事業所内のすべての無線通信端末のディスプレイに画面表示して、応答すべき無線通信端末を判断させることを可能とするナンバーディスプレイサービスを実現する場合の各無線通信端末に対する着信動作の遅延を防止する仕組みを提供するものである。例えば、本発明に係る無線通信システムとして、自営標準1版デジタルコードレスシステムを適用し、かつ、ナンバーディスプレイサービスとしてNTTナンバーズディスプレイサービスを適用する場合に、各無線通信端末に該当する各デジタルコードレス子機PS(Personal Station)への着信動作の遅延を効果的に防止する仕組みを提供するものである。
【0021】
以下の説明においては、前述したように、本発明に係る無線通信システムとしてデジタルコードレスシステムを適用し、事業所内に設置される構内交換機PBX(Private Branch Exchange)やボタン電話装置等の主装置ME(Main Equipment)に内線接続される無線基地局としてデジタルコードレスシステム用のデジタルコードレス親機CS(Cell Station)を適用し、無線通信端末として、デジタルコードレス子機PSを適用する場合を例にとって、本発明の特徴を説明する。
【0022】
すなわち、前述のような無線通信システムを構成するデジタルコードレスシステムにおいては、事業所用の構内交換機PBX(Private Branch Exchange)やボタン電話装置等の主装置ME(Main Equipment)に対して外線から着信があった場合、構内のすべてのデジタルコードレス子機PS(Personal Station)に対して一斉に個別着信を行い、デジタルコードレス子機PSそれぞれの通信スロットを確立して、発信元の電話番号に関するデータを伝送する必要がある。
【0023】
ここで、デジタルコードレスシステム配下に存在するデジタルコードレス子機PSは、無線回線で接続されるデジタルコードレス親機CSに対して、当該デジタルコードレス親機CSからの信号を受け取ることを特定するための位置登録動作を実施して、着信に備えることが、周波数使用の有効利用やデジタルコードレスシステム全体の負荷の軽減から見て、最も効率が良い。かかる観点から、通常、各デジタルコードレス子機PSの位置登録動作が定期的に実施されている。
【0024】
本発明に係るデジタルコードレスシステムにおいても、各デジタルコードレス子機PSの位置登録を実施することにしているが、デジタルコードレス親機CS1台当たりに位置登録することが可能なデジタルコードレス子機PSの最大の台数N(N:自然数)を、デジタルコードレス親機CS1台当たり、同時に個別着信動作を行うことが可能なデジタルコードレス子機PSの最大の台数(例えば3台)以内になるように制限するとともに、
(デジタルコードレス親機CSの台数)×(N−1)
< デジタルコードレス子機PSの台数
≦ (デジタルコードレス親機CSの台数)×N
の関係が成立するように、デジタルコードレス子機PSの台数に応じて、デジタルコードレス親機CSの台数を配置するようにしている。
【0025】
而して、本発明に係るデジタルコードレスシステムにおいては、主装置MEに接続されているデジタルコードレス親機CS1台当たりほぼN台(例えば3台)ずつのデジタルコードレス子機PSがほぼ均等に振り分けられて位置登録されている状態に設定することができ、事業所の主装置MEに対して外線着信があった場合、当該主装置MEに接続されている複数のデジタルコードレス親機CSに収容されている構内のすべてのデジタルコードレス子機PSに対して、遅延することなく、一斉に個別着信を行うことができる。
【0026】
なお、デジタルコードレス子機PSは、待ち受ける対象とするデジタルコードレス親機CSを受信電界強度(つまり無線信号の信号レベル)の大きさにしたがって選択するが、デジタルコードレス子機PSの位置登録台数を各デジタルコードレス親機CSごとに均等に割り当てるために、各デジタルコードレス親機CSは、前述のように、同時に個別着信が可能なN台目までのデジタルコードレス子機PSからの位置登録要求を受け付ける。
【0027】
したがって、各デジタルコードレス親機CSは、(N+1)台目以降のデジタルコードレス子機PSから位置登録要求を送信してきた場合には、当該デジタルコードレス子機PSに対しては、位置登録拒否のコマンドを返信して、当該デジタルコードレス子機PSが次候補のデジタルコードレス親機CSへ位置登録要求を送信するように誘導する。当該デジタルコードレス子機PSは、位置登録要求が受け付けられるまで、次候補のデジタルコードレス親機CSに対して、同様に、位置登録要求を送信する動作を繰り返す。この結果、前述のような関係式が成立する台数のデジタルコードレス親機CSが備えられているので、収容されている構内のすべてのデジタルコードレス子機PSは、いずれかのデジタルコードレス親機CSに位置登録されることになり、さらに、デジタルコードレス子機PSの位置登録は、複数台のデジタルコードレス親機CSそれぞれに、ほぼ均等な台数ずつ配分された状態になる。
【0028】
デジタルコードレス子機PSが複数台のデジタルコードレス親機CSにほぼ均等な台数(N台)ずつ位置登録された状況下において、外線に着信があった場合には、主装置MEから、複数のデジタルコードレス親機CSを介して、構内のすべてのデジタルコードレス子機PSに対してほぼ同時に個別着信を行い、発信元の電話番号をほぼ同時に表示するナンバーズディスプレイサービスを実施することにより、発信元電話番号に対応すべき該当のいずれかのデジタルコードレス子機PSは、外線着信時点から大幅に遅延することなく応答することが可能となり、ナンバーズディスプレイサービスの機能を有効に使用することができる。
【0029】
しかしながら、実際の運用上においては、一般に、デジタルコードレス子機PSから見た各デジタルコードレス親機CSからの無線信号の信号レベルは、時々刻々と変化するものであり、たとえ、前述のような関係式が成立する台数のデジタルコードレス親機CSが備えられていても、位置登録のタイミングによっては、すべての位置登録候補のデジタルコードレス親機CSから位置登録を拒否されてしまう場合が発生し得る。
【0030】
かかる場合は、位置登録するデジタルコードレス親機CSが存在しなくなり、当該デジタルコードレス子機PSは、通信圏外の状態と判定されてしまう。通信圏外の状態になった場合は、従来の通常のデジタルコードレスシステムにおいては、デジタルコードレス子機PSの省電力化の観点から、あらかじめ定めた経過時間(例えば10秒)の間、電源をオフにしてスリープ状態に移行し、位置登録要求動作を停止して、該経過時間を経過した時点で、再度、位置登録要求を行うようにしている。以降、位置登録が成功するデジタルコードレス親機CSに出会わない限り、前記経過時間が経過するまでの間、位置登録要求動作を停止するスリープ状態を繰り返すことになる。
【0031】
ここで、例えば、外線に連続着信が発生するような高着信トラフィックになった場合は、デジタルコードレス子機PSは、呼出→待受け→位置登録の動作を頻繁に繰り返す状態になっており、位置登録段階において、位置登録が拒否される事態が発生してしまうと、かくのごとき通信圏外の判定からスリープ状態を経て待受け動作に復帰するまでの間に、主装置MEに対する外線着信が発生する可能性が高い。当該デジタルコードレス子機PSが位置登録先のデジタルコードレス親機CSを探索している最中に、当該デジタルコードレス子機PSに対する次の着信が届いてしまうと、当該デジタルコードレス子機PSは、着信動作を受け付けられないか、あるいは、遅れたタイミングでいずれかのデジタルコードレス親機CSに対して位置登録がなされたとしても、当該外線着信を示す着信音の鳴動が大幅に遅延するか、のいずれかの状態が発生して、発信元の顧客に対応することができず、顧客クレームの対象となるおそれがある。
【0032】
本発明は、着信トラフィック量を測定して、着信トラフィックがあらかじめ定めた閾値(高トラフィック状態検知用着信頻度)以上に多い場合には、デジタルコードレス子機PSが、すべてのデジタルコードレス親機CSから位置登録を拒否されて、通信圏外の状態に陥ったとしても、あらかじめ定めた経過時間を計時するタイマを起動する動作を行うことなく、電源をオンにした状態を継続して、引き続き、位置登録要求を行う待受け動作を繰り返すことにより、外線着信を示す着信動作を受け付けられなかったり、外線着信を示す着信音の鳴動が大幅に遅延したりする事態を解消し、かつ、省電力動作にも大きな影響を与えることなく、ナンバーズディスプレイサービスを効果的に提供することを可能としている。
【0033】
つまり、本発明においては、各デジタルコードレス子機PS内部で着信回数をカウントして、あらかじめ定めた一定時間内の着信回数が、高トラフィック状態検知用着信頻度としてあらかじめ定めた閾値以上になった場合には、位置登録の候補とするすべてのデジタルコードレス親機CSから位置登録拒否情報を受け取って、位置登録することができない事態が発生しても、通信圏外の設定および省電力動作の設定を実施することなく、電源をオンにした状態を維持して、直ちに、位置登録要求動作を繰り返す待受け動作を実施する。
【0034】
かくのごとき、位置登録要求動作を繰り返す待受け動作を、あらかじめ定めた繰り返し回数例えば5回繰り返しても、位置登録することができなかった場合には、初めて、通信圏外と判定して、省電力動作を実施し、位置登録動作禁止時間(または待受け動作禁止時間)としてあらかじめ定めた経過時間を計時するタイマを起動し、該経過時間が経過するまでの間、位置登録要求動作を停止する。
【0035】
かかる動作を行うデジタルコードレス子機PSを適用することにより、着信トラフィックが高く、呼出→待受け→位置登録を実施した際に、デジタルコードレス親機CSから位置登録拒否を受け取った場合であっても、デジタルコードレス子機PSは、迅速に、位置登録を行うべき各候補のデジタルコードレス親機CSに対して位置登録要求を繰り返すことができ、外線着信があった際の着信動作に関して、大幅な遅延が発生することを防止することができる。
【0036】
(実施形態の構成)
次に、本発明に係る無線通信システムの実施形態について、デジタルコードレスシステムを例にとって、その一例を説明する。図1は、本発明に係るデジタルコードレスシステムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【0037】
図1に示すデジタルコードレスシステムは、事業所内に設置され、外線用の回線と接続されるPBX(Private Branch Exchange)やボタン電話装置等の主装置ME(Master Equipment)と、事業所内の無線通信を行う無線基地局として設置され、主装置MEと内線用の回線で接続される複数のデジタルコードレス親機CS(Cell Station)と、各ユーザが移動可能な状態で利用することができる無線通信端末として事業所内に配置され、複数のデジタルコードレス親機CSのいずれかと無線回線で接続される複数のデジタルコードレス子機PS(Personal Station)とから構成されている。
【0038】
本発明に係るデジタルコードレスシステムにおいて、1台の主装置MEに接続されるデジタルコードレス親機CSの台数、1台の主装置MEにデジタルコードレス親機CSを介して接続されるデジタルコードレス子機PSの台数については、
(デジタルコードレス親機CSの台数)×(N−1)
< デジタルコードレス子機PSの台数
≦ (デジタルコードレス親機CSの台数)×N
の関係が成立する限り、特に制限はない。ここで、Nは、デジタルコードレス親機CS1台当たりに位置登録することが可能なデジタルコードレス子機PSの最大の台数を示す自然数であり、デジタルコードレス親機CS1台当たり、同時に個別着信動作を行うことが可能なデジタルコードレス子機PSの最大の台数と一致させている。
【0039】
図1に示すデジタルコードレスシステムの例においては、デジタルコードレス親機CS1台当たり同時に個別着信動作が可能なデジタルコードレス子機PSの最大台数M台が3台であった場合において、デジタルコードレス親機CS1台当たりに位置登録することが可能なデジタルコードレス子機PSの最大の台数N台を、同時個別着信可能最大台数M台と一致させて、3台とした場合を例にとって、デジタルコードレス親機CSの台数が、デジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3の3台であり、デジタルコードレス子機PSの台数が、デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,…,PS9の9台である場合を示している。
【0040】
図1に示すデジタルコードレスシステムにおいて、(註1)に示すように、電話番号が「045−×××−××××」の主装置MEに対して外線から着信が発生すると、当該主装置MEに内線接続されている各デジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3から各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,…,PS9すべてに対して、個別着信して着信音を鳴動させるとともに、発信元の電話番号をナンバー・ディスプレイサービスとして、各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,…,PS9のディスプレイに画面表示させる。
【0041】
着信音が鳴動した各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,…,PS9のユーザは、ディスプレイに画面表示されている発信元の電話番号を確認して、当該着信に応答すべきか否かを判定し、応答すべきと判定したデジタルコードレス子機PSのユーザが当該着信に応答することにより、当該着信呼の発信元との通話を開始する。
【0042】
なお、デジタルコードレスシステムにおいては、一般に、各デジタルコードレス子機PSは、どの各デジタルコードレス親機CSに対して待受け動作を実施しているかを、時々刻々、各デジタルコードレス親機CSおよび主装置MEに対して伝達するようにしている。したがって、デジタルコードレス子機PSは、待受け動作を完了すると、当該デジタルコードレス子機PSは、デジタルコードレス親機CSに対して当該デジタルコードレス子機PSの端末情報を送信して、登録してもらうように動作する。かかる動作を、位置登録動作と称している。デジタルコードレス子機PSに対する着信時に、当該デジタルコードレス子機PSに対して着信音や発信元の電話番号を送信して着呼表示を行おうとする場合、位置登録動作として送信されてきている端末情報が、当該デジタルコードレス子機PSが待ち受けているデジタルコードレス親機CSを特定するための情報として利用される。かかる位置登録動作を実施していない場合には、すべてのデジタルコードレス親機CSからデジタルコードレス子機PSそれぞれに対して着呼表示を送信しなければならず、着信動作に遅延が生じる要因となる。
【0043】
図1に示すデジタルコードレスシステムにおいては、前述のように、各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,…,PS9は、デジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3のうち、いずれか1つのデジタルコードレス親機CSからの信号を待ち受けるように、当該デジタルコードレス親機CSに対して位置登録を行っており、当該デジタルコードレス親機CSを介して着信通知を受け取るように動作している。ここで、主装置MEに対する外線着信があった際には、各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,…,PS9に対する個別着信を大幅な遅延なく一斉に実施することを可能とするために、各デジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3それぞれに対して位置登録することが許可されるデジタルコードレス子機PSの最大台数に制限を設けている。
【0044】
図1に示すデジタルコードレスシステムにおいては、各デジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3から各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,…,PS9に対して大幅な遅延なく一斉に個別着信を実施することを可能とするために、デジタルコードレス親機CS1台当たりの最大位置登録可能なデジタルコードレス子機PSの台数を、各デジタルコードレス親機CSが同時に着信通知を送信することが可能なデジタルコードレス子機PSの最大の台数として設定し、当該最大位置登録可能なデジタルコードレス子機PSの台数が3台である場合を示しており、(註2)に示すように、各デジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3それぞれに、デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3、デジタルコードレス子機PS4,PS5,PS6、デジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9と3台ずつのデジタルコードレス子機PSが均等に位置登録されている例を示している。
【0045】
つまり、図1に示すデジタルコードレスシステムにおいては、或るデジタルコードレス親機CS例えばデジタルコードレス親機CS1に対してデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3の3台のデジタルコードレス子機PSが位置登録されている状態にあるときに、他のデジタルコードレス子機PS例えばデジタルコードレス子機PS4が、当該デジタルコードレス親機CS例えばデジタルコードレス親機CS1に対して位置登録要求を送信してきた際には、当該デジタルコードレス親機CS例えばデジタルコードレス親機CS1は、最大位置登録可能台数が超えていると判定して、位置登録要求を送信してきた他のデジタルコードレス子機PS例えばデジタルコードレス子機PS4に対して位置登録を拒否する旨を示す位置登録拒否情報を送信する。
【0046】
位置登録要求を送信した相手のデジタルコードレス親機CS例えばデジタルコードレス親機CS1からの位置登録拒否情報を受信した他のデジタルコードレス子機PS例えばデジタルコードレス子機PS4は、次の位置登録候補となる他デジタルコードレス親機CS例えばデジタルコードレス親機CS2に対して、位置登録要求を送信する動作を行う。
【0047】
(実施形態の動作の説明)
次に、図1に示すデジタルコードレスシステムの動作の一例について、まず、位置登録動作の詳細を図2および図3を用いてさらに説明する。図2は、図1のデジタルコードレスシステムにおける各デジタルコードレス子機PSの位置登録動作の動作シーケンスの一例を説明するためのシーケンスチャートである。図3は、図1のデジタルコードレスシステムにおける各デジタルコードレス子機PSの位置登録動作の一例を説明するための模式図である。
【0048】
まず、図2のシーケンスチャートを用いて、図1の各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,…,PS9が、位置登録を行う動作シーケンスの一例を説明する。ここで、各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,…,PS9において受信される各デジタルコードレス親機CSからの無線信号の信号レベルは、デジタルコードレス親機CS1が最も高く、以降、デジタルコードレ親機CS2,CS3の順に高いものと仮定する。また、各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,…,PS9のそれぞれが、ほぼ同じタイミングで、位置登録動作が起動されているものと仮定する。
【0049】
各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,…,PS9は、前述のように、デジタルコードレス親機CS1からの無線信号の信号レベルが最も高い場合に、いずれも、信号レベルが最も高い当該デジタルコードレス親機CS1に対して、例えば、デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,PS4,…,PS9の順番に、位置登録要求を送信する(シーケンスSeq1,Seq2,Seq3,Seq4,…,Seq5)。デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,PS4,…,PS9からの位置登録要求を受け取ったデジタルコードレス親機CS1は、受信した順番に、該位置登録要求を主装置MEに対して転送する(シーケンスSeq1A,Seq2A,Seq3A,Seq4A,…,Seq5A)。
【0050】
デジタルコードレス親機CS1からの位置登録要求を受け取った主装置MEは、送信元のデジタルコードレス親機CS1に位置登録されているデジタルコードレス子機PSの台数が、デジタルコードレス親機CS1台当たりの位置登録可能なデジタルコードレス子機PSの最大の台数(本実施形態においては3台)の範囲内に収まっている限り、受信した順番に、位置登録を受け付けて、位置登録を許可する位置登録許可情報を、送信元のデジタルコードレス親機CS1に対して返送していく。
【0051】
したがって、図2のシーケンスチャートにおいては、位置登録要求の受信順に、デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3の3台に関しては、位置情報(端末識別用の端末情報)をデジタルコードレス親機CS1に関連付けて登録するとともに、当該デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3に関して、位置登録を許可する位置登録許可情報を送信元のデジタルコードレス親機CS1に対して返送し(シーケンスSeq6A,7A,8A)、以降の残りのデジタルコードレス子機PS4,…,PS9に関しては、デジタルコードレス親機CS1への位置登録を拒否して、当該デジタルコードレス子機PS4,…,PS9に関して、デジタルコードレス親機CS1への位置登録を拒否する位置登録拒否情報を送信元のデジタルコードレス親機CS1に対して返送する(シーケンスSeq9A,10A)。
【0052】
主装置MEからの位置登録許可情報または位置登録拒否情報を受け取ったデジタルコードレス親機CS1は、該登録結果に応じて、デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3の位置情報(端末識別用の端末情報)を登録するとともに、当該デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3それぞれに対して、位置登録許可情報を送信し(シーケンスSeq6,Seq7,Seq8)、一方、残りのデジタルコードレス子機PS4,…,PS9に関しては位置登録を行うことなく、当該デジタルコードレス子機PS4,…,PS9それぞれに対して、位置登録拒否情報を送信する(シーケンスSEq9,Seq10)。
【0053】
デジタルコードレス親機CS1から位置登録許可情報を受け取ったデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3の3台は、以降、デジタルコードレス親機CS1からの信号を待ち受ける待受け状態に移行するが、デジタルコードレス親機CS1から位置登録拒否情報を受け取った残りのデジタルコードレス子機PS4,…,PS9は、受信した無線信号の信号レベルがデジタルコードレス親機CS1の次に高いデジタルコードレス親機CS(本実施形態の場合はデジタルコードレス親機CS2)を選択して、位置登録要求を行う動作に移行し、前述したシーケンスSeq1〜Seq10までの動作を繰り返す。
【0054】
つまり、図2のシーケンスチャートにおいては、残りのデジタルコードレス子機PS4,…,PS9は、デジタルコードレス親機CS1から位置登録拒否情報を受信すると、順番に、信号レベルが次に高い当該デジタルコードレス親機CS2に対して位置登録要求を送信する(シーケンスSeq11,Seq12)。デジタルコードレス子機PS4,…,PS9からの位置登録要求を受け取ったデジタルコードレス親機CS2は、受信した順番に、該位置登録要求を主装置MEに対して転送する(シーケンスSeq11A,Seq12A)。
【0055】
デジタルコードレス親機CS2からの位置登録要求を受け取った主装置MEは、前述したデジタルコードレス親機CS1からの場合と同様に、送信元のデジタルコードレス親機CS2に位置登録されているデジタルコードレス子機PSの台数が、デジタルコードレス親機CS1台当たりの位置登録可能なデジタルコードレス子機PSの最大の台数の範囲内に収まっている限り、受信した順番に、位置登録を受け付けて、位置登録を許可する位置登録許可情報を、送信元のデジタルコードレス親機CS2に対して返送していく。
【0056】
したがって、図2のシーケンスチャートには明示的には示していないが、位置登録要求の受信順に、デジタルコードレス子機PS4,PS5,PS6の3台に関しては、位置情報(端末識別用の端末情報)を登録するとともに、当該デジタルコードレス子機PS4,PS5,PS6に関して、位置登録を許可する位置登録許可情報を送信元のデジタルコードレス親機CS2に対して返送し(シーケンスSeq13A等)、以降の残りのデジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9に関しては、デジタルコードレス親機CS2への位置登録を拒否して、当該デジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9に関して、デジタルコードレス親機CS2への位置登録を拒否する位置登録拒否情報を送信元のデジタルコードレス親機CS2に対して返送する。
【0057】
主装置MEからの位置登録許可情報または位置登録拒否情報を受け取ったデジタルコードレス親機CS2は、該登録結果に応じて、デジタルコードレス子機PS4,PS5,PS6の位置情報(端末識別用の端末情報)を登録するとともに、当該デジタルコードレス子機PS4,PS5,PS6それぞれに対して、位置登録許可情報を送信し(シーケンスSeq13等)、一方、残りのデジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9に関しては、位置登録を行うことなく、当該デジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9それぞれに対して、位置登録拒否情報を送信する。
【0058】
デジタルコードレス親機CS2から位置登録許可情報を受け取ったデジタルコードレス子機PS4,PS5,PS6の3台は、以降、デジタルコードレス親機CS2からの信号を待ち受ける待受け状態に移行するが、デジタルコードレス親機CS2から位置登録拒否情報を受け取った残りのデジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9は、受信した無線信号の信号レベルがデジタルコードレス親機CS2の次に高いデジタルコードレス親機CS(本実施形態の場合はデジタルコードレス親機CS3)を選択して、位置登録要求を行う動作に移行し、前述したシーケンスSeq1〜Seq10までの動作を繰り返す。
【0059】
つまり、図2には明示していないが、残りのデジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9は、デジタルコードレス親機CS2から位置登録拒否情報を受信すると、順番に、信号レベルが次に高い当該デジタルコードレス親機CS3に対して位置登録要求を送信し、デジタルコードレス子機PS4,…,PS9からの位置登録要求を受け取ったデジタルコードレス親機CS3は、受信した順番に、該位置登録要求を主装置MEに対して転送する。
【0060】
デジタルコードレス親機CS2からの位置登録要求を受け取った主装置MEは、前述したデジタルコードレス親機CS1からの場合と同様に、送信元のデジタルコードレス親機CS3に位置登録されているデジタルコードレス子機PSの台数が、デジタルコードレス親機CS1台当たりの位置登録可能なデジタルコードレス子機PSの最大の台数の範囲内に収まっている限り、受信した順番に、位置登録を受け付けて、位置登録を許可する位置登録許可情報を、送信元のデジタルコードレス親機CS3に対して返送していく。
【0061】
したがって、図2のシーケンスチャートには明示的には示していないが、位置登録要求の受信順に、デジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9の3台に関して、位置情報(端末識別用の端末情報)を登録するとともに、当該デジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9の位置登録を許可する位置登録許可情報を送信元のデジタルコードレス親機CS3に対して返送する(シーケンスSeq14A等)。ここで、位置登録要求されたすべてのデジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9の位置登録を許可しているので、位置登録を拒否する位置登録拒否情報を送信元のデジタルコードレス親機CS3に対して返送することはない。
【0062】
主装置MEからの位置登録許可情報を受け取ったデジタルコードレス親機CS3は、該登録結果に応じて、デジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9の位置情報(端末識別用の端末情報)を登録するとともに、当該デジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9それぞれに対して、位置登録許可情報を送信する(シーケンスSeq14等)。以上の各デジタルコードレス子機PSに関する位置登録が終了したタイミングにおいては、事業所内に存在するすべてのデジタルコードレス子機PSは位置登録が完了した状態にあり、位置登録がなされていないデジタルコードレス子機PSは存在していないので、位置登録動作を終了する。
【0063】
しかる後は、主装置MEに対する外線着信(代表着信)が発生した場合、各デジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3を介して、それぞれのデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3に位置登録がなされている各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3、各デジタルコードレス子機PS4,PS5,PS6、各デジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9に対して、一斉に個別着信を行うことになる。つまり、デジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3それぞれに位置登録されているデジタルコードレス子機PSの台数が、同時に着信通知を行うことが可能な3台ずつに均等に割り付けられている状態にあるので、いずれのデジタルコードレス子機PSに関しても、着信音の鳴動や発信元電話番号の表示の遅延が生じることなく、一斉に個別着信を行うことが可能になる。
【0064】
なお、各デジタルコードレス子機PSに関する次の位置登録用のタイミングに達した時点で、デジタルコードレス親機CSに登録されている位置登録状態は一旦削除され、その時点における新たな位置登録動作に移行する。さらには、一旦、位置登録されたデジタルコードレス子機PSであっても、当該デジタルコードレス子機PSの電源をオフにしたり、あるいは、通信圏外に持ち出したりして待受け状態が解除されたことが検知された場合は、待ち受けるデジタルコードレス親機CSに関する情報をキャンセルするとともに、主装置MEやデジタルコードレス親機CSにおいても、当該デジタルコードレス子機PSに関する位置登録状態を削除する。
【0065】
次に、図3の模式図を用いて、図1のデジタルコードレスシステムにおける位置登録の動作についてさらに詳細に説明する。図3の模式図においては、(註1)に示すように、図1、図2と同様、無線基地局として位置付けられるデジタルコードレス親機CS1台当たりの位置登録可能なデジタルコードレス子機PSの台数としてあらかじめ定めた最大の台数が3台であり、かつ、図2の場合と同様、各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,…,PS9において受信される各デジタルコードレス親機CSからの無線信号の信号レベルは、デジタルコードレス親機CS1が最も高く、以降、デジタルコードレ親機CS2,CS3の順に高いものと仮定する。
【0066】
ここで、図3の模式図においては、図2にて説明したように、デジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3それぞれにデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3、デジタルコードレス子機PS4,PS5,PS6、デジタルコードレス子機PS7,PS8,PS9が3台ずつ位置登録されている状態にあった以降において、図3の(註2)に示すように、デジタルコードレス子機PS6,PS3,PS9の順番に、次の位置登録用のタイミングに到達した場合の、デジタルコードレス子機PS6,PS3,PS9のそれぞれの位置登録動作を説明している。
【0067】
図3において、まず、デジタルコードレス子機PS6が、次の位置登録用のタイミングに到達した場合、前述したように、当該デジタルコードレス親機CS1には、既に、デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3の3台が位置登録された状態にあるので、デジタルコードレス親機CS1への位置登録は拒否される。したがって、図3のシーケンスSeq21に示すように、無線信号の信号レベルが次に高いデジタルコードレス親機CS2に対して位置登録要求を送信することになる。
【0068】
デジタルコードレス子機PS6からの位置登録要求を受け取ったデジタルコードレス親機CS2は、先に、デジタルコードレス子機PS6の次の位置登録用のタイミングに達した時点で、当該デジタルコードレス子機PS6の位置登録は削除されて、デジタルコードレス子機PS4,PS5の2台のみが登録されている状態にあり、位置登録台数が最大3台の制限までには余裕がある状態にあるので、位置登録要求を送信してきたデジタルコードレス子機PS6を再度位置登録することになる。
【0069】
かかる位置登録状態に設定された後、次に、デジタルコードレス子機PS3,PS9が、この順番に、連続して、次の位置登録用のタイミングに達して、位置登録を行おうとした場合について説明する。
【0070】
ここで、デジタルコードレス子機PS3,PS9が連続的に位置登録用のタイミングに到達した場合、各デジタルコードレス親機CS1,CS3それぞれにおいて位置登録を削除するタイミング如何によっては、デジタルコードレス親機CS1には、まだ、3台のデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3が位置登録済みの状態にあって、デジタルコードレス親機CS3は、デジタルコードレス子機PS9の位置登録は削除されて、デジタルコードレス子機PS7,PS8の2台のみが登録されている状態になる場合もあり得る。あるいは、デジタルコードレス子機PS3,PS9が次の位置登録用のタイミングに到達した際に存在している場所の如何によっては、図3の(註4)に示すように、デジタルコードレス子機PS3におけるデジタルコードレス親機CSからの無線信号の信号レベルは、デジタルコードレス親機CS1ではなく、デジタルコードレス親機CS3が最も高い信号レベルにあり、デジタルコードレス子機PS9におけるデジタルコードレス親機CSからの無線信号の信号レベルは、今まで通り、デジタルコードレス親機CS1が最も高い信号レベルにある場合も発生し得る。
【0071】
かくのごとく、デジタルコードレス子機PS3が、デジタルコードレス親機CS1の位置登録の削除タイミングの如何により、最も高い信号レベルにあったデジタルコードレス親機CS1への位置登録および次に高い信号レベルにあったデジタルコードレス親機CS2への位置登録が、いずれも、最大位置登録許可台数の制限から拒否された場合、あるいは、その存在場所の関係から、デジタルコードレス親機CSからの無線信号の信号レベルが、デジタルコードレス親機CS1ではなく、デジタルコードレス親機CS3が最も高い信号レベルにあった場合とすると、図3のシーケンスSeq22に示すように、デジタルコードレス子機PS3は、今まで位置登録していたデジタルコードレス親機CS1や次の候補であるデジタルコードレス親機CS2ではなく、位置登録が可能な状態にあって、さらに次の候補であるデジタルコードレス親機CS3、あるいは、無線信号の信号レベルが最も高いデジタルコードレス親機CS3に対して位置登録要求を送信する。
【0072】
デジタルコードレス子機PS3からの位置登録要求を受け取ったデジタルコードレス親機CS3は、先に、デジタルコードレス子機PS9に関する次の位置登録用のタイミングに到達した時点で、当該デジタルコードレス子機PS9の位置登録は削除されて、デジタルコードレス子機PS7,PS8の2台のみが登録されている状態にあり、位置登録台数が最大3台の制限までには余裕がある状態にあるので、位置登録要求を送信してきたデジタルコードレス子機PS3を位置登録することになる。
【0073】
しかる後、連続的に、デジタルコードレス子機PS9の位置登録要求が送信されることになる。まず、デジタルコードレス子機PS9は、デジタルコードレス親機CSからの無線信号の信号レベルが最も高いデジタルコードレス親機CS1に対して位置登録要求を送信することになるが、前述したように、デジタルコードレス親機CS1,CS3の位置登録削除のタイミング如何によっては、デジタルコードレス親機CS3には、デジタルコードレス子機PS9の位置登録は削除された直後にデジタルコードレス子機PS3が新たに位置登録されているものの、デジタルコードレス親機CS1には、まだ、3台のデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3が位置登録済みの状態の場合もあり得る。
【0074】
かかる事態に遭遇した場合、図3の(註5)に示すようなデジタルコードレス子機PS9の位置登録動作になる。つまり、デジタルコードレス親機CSからの無線信号の信号レベルが最も高いデジタルコードレス親機CS1には、3台のデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3が位置登録された状態にあるので、デジタルコードレス親機CS1への位置登録は拒否される(シーケンスSeq31)。したがって、無線信号の信号レベルが次に高いデジタルコードレス親機CS2に対して位置登録要求を送信することになる。しかし、当該デジタルコードレス親機CS2にも、3台のデジタルコードレス子機PS4,PS5,PS6が位置登録された状態にあるので、当該デジタルコードレス親機CS2への位置登録も拒否される(シーケンスSeq32)。
【0075】
したがって、無線信号の信号レベルが次に高いデジタルコードレス親機CS3に対して位置登録要求を送信することになる。しかし、当該デジタルコードレス親機CS3には、前述したように、当該デジタルコードレス親機CS3の位置登録削除のタイミング如何によっては、先に新たな位置登録要求を行ったデジタルコードレス子機PS3が先に位置登録されてしまい、3台のデジタルコードレス子機PS7,PS8,PS3が位置登録された状態になっている場合も生じる。かかる場合に遭遇すると、デジタルコードレス子機PS9は、当該デジタルコードレス親機CS3への位置登録も拒否されてしまう(シーケンスSeq33)。
【0076】
したがって、デジタルコードレス子機PS9は、デジタルコードレスシステム内のすべてのデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3から位置登録拒否情報を受信してしまう状態に陥る。かかる事態に遭遇した場合、従来の通常のデジタルコードレスシステムにおいては、デジタルコードレス子機PS9の省電力化を図る観点から、当該デジタルコードレス子機PS9に関しては、位置登録動作禁止時間(または待受け動作禁止時間)としてあらかじめ定めた経過時間(例えば10秒間)が経過するまでの間、通信圏外に存在しているものとして扱い、電源をオフにして位置登録動作を休止するスリープ状態に移行することにしていた。しかし、本実施形態においては、あらかじめ定めたスリープ状態移行禁止条件が成立していた場合には、前記位置登録動作禁止時間が経過するまでの間スリープ状態に移行させる状態に設定することなく、さらに、引き続き、位置登録動作を継続させるようにしている(シーケンスSeq34)。
【0077】
ここで、前記スリープ状態移行禁止条件は、一例として、各デジタルコードレス子機PSごとに設定するものであり、それぞれのデジタルコードレス子機PSに対して着信する着信トラフィックが高い場合、例えば、高トラフィック状態検知用着信頻度としてあらかじめ定めた着信頻度(例えば単位時間当たりの着信回数10回)以上の着信回数があらかじめ定めた前記単位時間(例えば1時間)以内に発生していた場合をスリープ状態への移行を禁止する条件として設定するようにする。
【0078】
かくのごとき高い着信トラフィックが発生しているような通信環境下にある場合には、例えば、いずれかのデジタルコードレス子機PSが位置登録動作を実施している状態にあった場合にも、外線着信が発生して、各デジタルコードレス子機PSすべてに対する一斉着信呼が発生する可能性が高い状態であり、いずれかのデジタルコードレス子機PSが、前記位置登録動作禁止時間(例えば10秒)の間、位置登録動作を休止するスリープ状態に陥り、位置登録動作が遅延してしまうと、当該デジタルコードレス子機PSに対する着信動作が大幅に遅延するか、あるいは、最悪の場合、発信元の通信相手が切断してしまい、着信動作そのものを実施することもできなくなってしまう。
【0079】
かかる事態を防止するために、本実施形態においては、或るデジタルコードレス子機PSが、前記スリープ状態移行禁止条件として設定した前記高トラフィック状態検知用着信頻度(例えば1時間当たり10回)以上の着信頻度になっている通信環境下にあった場合には、たとえ、当該デジタルコードレス子機PSが、すべてのデジタルコードレス親機CSから位置登録拒否情報を受け取ったとしても、位置登録動作を休止するスリープ状態には移行することなく、引き続き、位置登録動作を継続するように制御している。
【0080】
つまり、前述のデジタルコードレス子機PS9の場合には、すべてのデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3から位置登録拒否情報を受け取った後においても、スリープ状態に移行することなく、引き続き、位置登録動作を継続し、デジタルコードレス親機CSからの無線信号の信号レベルが最も高いデジタルコードレス親機CS1に対して、再度、位置登録要求を送信する。
【0081】
ここで、デジタルコードレス親機CS1は、再度、デジタルコードレス子機PS9からの位置登録要求を受信したタイミングにおいては、先に、デジタルコードレス親機CS3に位置の登録替えになったデジタルコードレス子機PS3に関する位置登録情報が削除されている状態に達している可能性が高い。したがって、デジタルコードレス親機CS1には、デジタルコードレス子機PS1,PS2の2台のみが登録されていて、位置登録台数が最大3台の制限までには余裕がある状態になっている可能性が高く、位置登録要求を送信してきたデジタルコードレス子機PS9を位置登録することになる(シーケンスSeq35)。
【0082】
なお、前述の説明においては、再度の位置登録要求のタイミングにおいて、デジタルコードレス子機PS9の位置登録が成功する場合について説明したが、実際の運用環境においては、再度、すべてのデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3から位置登録拒否情報が返送されてくる場合もあり得る。かかる状況が引き続き発生した場合であっても、あらかじめ定めた繰り返し回数(例えば5回)を超えない限り、デジタルコードレス子機PS9は、図3のシーケンスSeq34,Seq35にて説明したように、位置登録動作を休止するスリープ状態には移行することなく、引き続き、位置登録動作を継続して実施する。
【0083】
かくのごとき、複数回に亘る繰り返し動作により、すべてのデジタルコードレス子機PSの位置登録を均等に行うことが可能なデジタルコードレス親機CSの台数を備えているデジタルコードレスシステムにおいては、たとえ、位置登録タイミングやシステム運用状態の如何によって位置登録に失敗する事態が偶々発生することがあったとしても、いずれは、位置登録が可能なデジタルコードレス親機CSに遭遇し、位置登録動作を迅速に完了させることが可能になる。而して、すべてのデジタルコードレス子機PSの位置登録を迅速に完了させることができるので、外線着信のような着信呼が連続的に発生した場合であっても、すべてのデジタルコードレス子機PSに関して、外線着信時点から大幅な遅延を生じさせることなく、着信音を迅速に鳴動させ、発信元電話番号を迅速に画面表示させることが可能であり、該外線着信に対して応答すべきデジタルコードレス子機PSのユーザは、迅速に応答することができる。つまり、外線着信の発信元のユーザを長時間に亘って待たせることなく対応することが可能であり、外線着信呼が不完了になってしまう事態を確実に低減させることができる。
【0084】
なお、例外的に、前記繰り返し回数(例えば5回)を超える位置登録動作を繰り返して実施しても、デジタルコードレス子機PS9の位置登録に失敗してしまう場合が発生することもあり得る。万一、かかる例外的な事態が発生した場合には、前記スリープ状態移行禁止条件が成立していなかった場合であって、かつ、すべてのデジタルコードレス親機CSから位置登録拒否情報を受け取った場合と同様に、省電力モードに移行させる。すなわち、かかる省電力モードにおいては、従来の通常のデジタルコードレスシステムにおける場合と同様に、該当するデジタルコードレス子機PS9の省電力化を図る観点から、当該デジタルコードレス子機PS9に関しては、位置登録動作禁止時間(待受け動作禁止時間)としてあらかじめ定めた経過時間(例えば10秒間)が経過するまでの間、通信圏外に存在しているものとして扱い、電源をオフにして位置登録動作を休止するスリープ状態に移行させる。この結果、従来の通常のデジタルコードレスシステムにおける場合と同様、当該デジタルコードレス子機PS9の電池の消耗を軽減させることができ、本実施形態に係るデジタルコードレスシステムの仕組みにおいても、各デジタルコードレス子機PSの省電力化に対する影響を軽減することができる。
【0085】
次に、図3に例示した位置登録動作における各デジタルコードレス子機PSへの着信タイミングの遅れについて、図4の模式図を用いてさらに説明する。図4は、図3の位置登録動作例における各デジタルコードレス子機PSの時間関係を説明するためのシーケンスチャートであり、すべてのデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3に亘る位置登録動作を繰り返すことなく位置登録を完了することができたデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,PS4,…,PS8と、すべてのデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3に亘る位置登録動作を繰り返して漸く位置登録を完了させることができたデジタルコードレス子機PS9と、に関して、外線着信が発生した場合の着信動作の遅延状況を、従来の通常のデジタルコードレスシステムの場合と比較して説明している。
【0086】
図4(A)は、位置登録動作を繰り返すことなく位置登録を完了することができたデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,PS4,…,PS8における、「待受け」→「位置登録」→「外線着信」→「待受け」→…の動作の流れを示し、図4(B)は、位置登録動作を繰り返して漸く位置登録を完了することができたデジタルコードレス子機PS9における、「待受け」→「位置登録」→「外線着信」→「待受け」→…の動作の流れを示している。
【0087】
すべてのデジタルコードレス親機CSに亘る位置登録動作を繰り返すことなく位置登録を完了することができたデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,PS4,…,PS8の場合を示す図4(A)のシーケンスチャートにおいては、待受け状態において(ステータスST41)、位置登録を実施するタイミングに達すると、位置登録動作実施状態に移行して(ステータスST42)、各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,PS4,…,PS8は、すべてのデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3に亘る位置登録動作を繰り返すことなく、信号を待ち受けるデジタルコードレス親機CSの探索に成功して、位置登録を実施し、しかる後に、外線着信が発生すると、一斉に着信動作を実行する状態に移行する(ステータスST43)。
【0088】
一斉着信動作が終了して、移行した通話状態が終了すると、すべてのデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,PS4,…,PS8は、待受け状態に復帰する(ステータスST44)。かかる動作シーケンスを繰り返して、位置登録を実施するタイミングに達すると、次の位置登録動作実施状態に移行して(ステータスST45)、再度、信号を待ち受けるデジタルコードレス親機CSの探索に成功して、位置登録を実施し、しかる後に、再度、外線着信が発生すると、一斉に着信動作を実行する状態に移行する(ステータスST46)。
【0089】
一方、すべてのデジタルコードレス親機CSに亘る位置登録動作を繰り返して漸く位置登録を完了することができたデジタルコードレス子機PS9の場合を示す図4(B)のシーケンスチャートにおいては、図4(A)の場合と同様、まず、待受け状態において(ステータスST41A)、位置登録を実施するタイミングに達すると、位置登録動作実施状態に移行する(ステータスST42A)。しかし、デジタルコードレス子機PS9の場合は、図4の(註1)に示すように、位置登録要求タイミング等の関係から、どのデジタルコードレス親機CSについて位置登録要求をしても、主装置MEから位置登録拒否情報が返送されてきて、すべてのデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3に亘って、位置登録に失敗してしまう。
【0090】
従来の通常のデジタルコードレスシステムの場合には、図4の(註2)に示すように、通信圏外のエリアで電池の電源が投入されている可能性があるものとして、省電力化の観点から、電池の消耗を抑えるために、通信圏外にあるものとして、位置登録動作を禁止して、電源をオフにしたスリープ状態に移行する(ステータスST43A)。かかるスリープ状態は、位置登録動作禁止時間(待受け動作禁止時間)としてあらかじめ定めた経過時間(例えば10秒間)が経過するまで継続し、該経過時間が経過した時点で、待受け状態に復帰する(ステータスST41B)。
【0091】
待受け状態において、位置登録を実施するタイミングに達すると、位置登録動作実施状態に移行する(ステータスST42B)。再度の位置登録動作においては、デジタルコードレス子機PS9は、すべてのデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3に亘ることなく、信号を待ち受けるデジタルコードレス親機CSの探索に成功して、位置登録を実施することができたものとすると、しかる後、着信動作を実行する状態に移行する(ステータス43B)。しかし、デジタルコードレス子機PS9に対する着信動作は、図4の太実線に示すように、図4(A)側のデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,PS4,…,PS8に対する着信動作時点からは大幅に遅延してしまうことになる。
【0092】
かかる位置登録動作の失敗に伴って生じる着信動作の遅延を防止するために、本発明に係るデジタルコードレスシステムにおいては、図4の(註3)にも示すように、着信トラヒックが、高トラフィック状態検知用着信頻度としてあらかじめ定めた着信頻度(例えば1時間当たり10回)以上であった場合には、従来の通常のデジタルコードレスシステムの場合とは異なり、たとえ、すべてのデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3に亘って、位置登録動作に失敗したとしても、位置登録動作禁止時間(待受け動作禁止時間)を0秒として、通信圏外に移行させることなく、待受け状態に直ちに移行するとともに(ステータスST41B)、次の位置登録を実施するタイミングにも達しているものと看做して、引き続き、位置登録動作を繰り返す状態に移行する(ステータスST42B)。
【0093】
再度の位置登録動作において、信号を待ち受けるデジタルコードレス親機CSの探索に成功して、位置登録を実施すると、しかる後、着信動作を実行する状態に移行することができる(ステータス43B)。かかる場合には、デジタルコードレス子機PS9に対する着信動作は、図4の点線に示すように、図4(A)側のデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3,PS4,…,PS8に対する着信動作時点からはほとんど遅延することなく実施することができる。
【0094】
なお、高トラフィック状態検知用着信頻度以上の高着信トラフィック状態にあった場合に、位置登録動作禁止時間(待受け動作禁止時間)を0秒として位置登録動作を繰り返しても、前述したように、タイミングや通信環境の如何によっては、位置登録動作に失敗してしまう場合が連続する可能性もある。そこで、図4(註3)にも示すように、高トラフィック状態検知用着信頻度以上の高着信トラフィック状態にあった場合であって、あらかじめ定めた繰り返し回数(例えば5回)、連続して、すべてのデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3に亘る位置登録動作に失敗した場合には、高トラフィック状態検知用着信頻度未満の低着信トラフィック状態にあった場合であって、すべてのデジタルコードレス親機CS1,CS2,CS3に亘る位置登録動作に失敗した場合と同様、省電力モードに移行して、従来の通常のデジタルコードレスシステムの場合と同様に、省電力化の観点から、電池の消耗を抑えるために、位置登録動作禁止時間(待受け動作禁止時間)としてあらかじめ定めた経過時間(例えば10秒間)が経過するまで、通信圏外にあるものとして、位置登録動作を禁止して、電源をオフにしたスリープ状態に移行させる。
【0095】
次に、本発明に係るデジタルコードレスシステムにおける外線着信時の動作シーケンスについて、その一例を、図5を用いて説明する。図5は、図1に示すデジタルコードレスシステムにおける外線着信時の動作シーケンスの一例を示すシーケンスチャートであり、デジタルコードレス親機CS1に位置登録されている3台のデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3に対して着信動作を行う場合を例にとって示している。なお、本実施形態においては、デジタルコードレス親機CS1台当たり、最大3台のデジタルコードレス子機PSに対して同時に着信動作を行うことができる。
【0096】
図5において、主装置MEに対して外線着信が発生すると(シーケンスSeq51)、主装置MEは、位置登録されている構内のすべてのデジタルコードレス子機PSに対する着呼要求を、それぞれのデジタルコードレス子機PSが位置登録されているデジタルコードレス親機CSに対して送信する。デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3に対する着呼要求については、デジタルコードレス親機CS1に対して送信する(シーケンスSeq52)。
【0097】
該着呼要求を受け取ったデジタルコードレス親機CS1は、各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3対応に単位時間当たりの着信頻度を計数するために、デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3それぞれに対する着信回数をカウントアップするとともに、各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3それぞれに対して、着呼要求を同時に送信する(シーケンスSeq53)。
【0098】
着呼要求を受信したデジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3それぞれは、着呼要求を受け付けて、着信準備ができている旨を示す着呼応答表示を、着呼要求の送信元のデジタルコードレス親機CS1に対してほぼ同時に返送するとともに(シーケンスSeq54)、発信元電話番号や通話動作を実施するためのリンクチャネルを確立する(シーケンスSeq55)。デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3からの着呼応答表示を受信したデジタルコードレス親機CS1は、デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3からの着呼応答表示を受け取った旨を示すアップ方向制御情報(UP_INFO)を、主装置MEに送信する(シーケンスSeq56)。
【0099】
デジタルコードレス親機CS1からアップ方向制御情報(UP_INFO)を受信した主装置MEは、発信元の電話番号を示す発番号表示データが含まれているダウン方向制御情報(DN_INFO)を、着信音を鳴動させる呼設定情報として、デジタルコードレス親機CS1に送信する(シーケンスSeq57)。
【0100】
ダウン方向制御情報(DN_INFO)を受信したデジタルコードレス親機CS1は、各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3に対して、発番号表示データを含む呼設定情報を同時に送信する(シーケンスSeq58)。呼設定情報を受信した各デジタルコードレス子機PS1,PS2,PS3は、呼設定情報に含まれている発番号表示データを、発信元の電話番号を示す情報として、それぞれのディスプレイに画面表示するとともに、着信音を鳴動させて、ユーザに電話着信がある旨を通報する。
【0101】
かくのごとき着信動作を行うことにより、着信音をほぼ同時に聞いた各デジタルコードレス子機PSのユーザは、直ちに、ディスプレイを確認して、外線着信の発信元の電話番号を確認することができ、当該発信元の電話番号のユーザに対して対応すべきデジタルコードレス子機PSのユーザが、オフフック操作をすることにより、着信に対する応答信号を、デジタルコードレス親機CSを介して、主装置MEに送信することができる。
【0102】
(本実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、次のような効果が得られる。
【0103】
すなわち、デジタルコードレス親機CS1台当たりに位置登録を許可するデジタルコードレス子機PSの台数を、同時に着信動作が可能な最大の台数としてあらかじめ定めた台数以内例えば3台以内(前述の実施形態においては、3台)に制限しているので、無線回線上のトラフィックが多い状況下であっても、待受け動作および着信動作を迅速に完了することができる。その結果として、複数台のデジタルコードレス子機PSに同時に個別着信を実施した場合であっても、同時に着信動作の実施が可能なデジタルコードレス親機CSを介して各デジタルコードレス子機PSそれぞれにほぼ同時に着信することができるので、各デジタルコードレス子機PSにおける着信音の鳴動遅延の発生頻度を大幅に低減することができる。
【0104】
また、着信トラフィックが高トラフィック状態検知用着信頻度としてあらかじめ定めた着信頻度以上の高頻度になっている場合には、たとえ、デジタルコードレス子機PSが位置登録動作に失敗した場合であっても、あらかじめ定めた繰り返し回数(例えば5回)を超えるまでは、デジタルコードレス子機PSの電源を投入し続けて、位置登録動作を繰り返すので、デジタルコードレス子機PSが位置登録に失敗して通信圏外にあるという判定に陥る頻度を低減することができる。
【0105】
さらには、着信トラフィックが前記高トラフィック状態検知用着信頻度に達しない低トラフィック状態にある場合に、位置登録動作に失敗した場合、および、着信トラフィックが前記高トラフィック状態検知用着信頻度以上の高頻度であり、かつ、前記繰り返し回数を超える回数、位置登録動作を繰り返しても、デジタルコードレス子機PSが位置登録に失敗した場合には、通信圏外のエリアにあるものとして、当該デジタルコードレス子機PSの電源を切断する省電力モードに移行させるので、デジタルコードレス子機PSの電池の消耗度合いに対する影響を低減させることができる。
【0106】
さらには、本実施形態に係るデジタルコードレスシステムにおいては、当該システムの構成要素であるPBX(Private Branch Exchange)システムやボタン電話装置等の主装置MEや、デジタルコードレス親機CSやデジタルコードレス子機PSそれぞれのソフトウェアのみを、現状のデジタルコードレスシステムから変更することによって、本実施形態に係る仕組みを実現することが可能であり、主装置ME、デジタルコードレス親機CS、デジタルコードレス子機PSそれぞれについては、現状のハードウェアをそのまま流用することが可能である。
【0107】
(本発明の他の実施形態)
前述した実施形態においては、デジタルコードレスシステムを構成する主装置ME、デジタルコードレス親機CS、デジタルコードレス子機PSに関して説明したが、本発明は、デジタルコードレスシステムに限る必要はなく、一般的な事業所用の無線通信システムにも適用することが可能であり、かかる無線通信システムの場合には、デジタルコードレス親機CS、デジタルコードレス子機PSは、一般的な無線基地局、無線通信端末であっても良い。つまり、各ユーザが利用する無線通信端末としては、デジタルコードレス子機PSに限るものではなく、デジタルコードレス子機PSの代わりに、携帯情報端末PDA(Personal Digital Assistants)やノートPC(Personal Computer)、Bluetooth端末等も含め、電源として電池により動作する無線通信端末であれば、如何なる無線通信端末についても応用することができる。また、一般的な無線通信システムは、携帯電話システムであってももちろん構わなく、無線通信端末として携帯電話機を用いても良い。
【0108】
また、各デジタルコードレス子機PSの着信回数を自動的にカウントする代わりに、ユーザが操作する機能ボタンにより強制的に高トラフィック状態である旨(つまり、高トラフィック状態検知用着信頻度以上の着信頻度に達している旨)を設定するようにしても良く、かかる操作がなされた場合には、着信トラフィック量が多い無線通信端末と看做して、当該デジタルコードレス子機PSの位置登録が失敗しても、前記繰り返し回数としてあらかじめ定めた回数は、電源を切断することなく、引き続き、位置登録動作を継続する動作を強制的に実施させることを、簡易に実現することができる。また、位置登録可能なデジタルコードレス子機PSの台数の管理を、主装置ME側ではなく、デジタルコードレス親機CS側において行うこととし、デジタルコードレス子機PSから位置登録要求を各デジタルコードレス親機CSが受け取った際に、各デジタルコードレス親機CSにおいては、位置登録を許可するか否かを判定して、要求元のデジタルコードレス子機PSの位置登録を行うとともに、該判定の結果を、要求元のデジタルコードレス子機PSに返送するようにしても良い。
【0109】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。例えば、本発明の実施態様は、課題を解決するための手段における構成(1)に加えて、次のような構成として表現できる。
(2)前記無線基地局1台当たりに前記位置登録を許可する前記無線通信端末の最大台数をN台(N:自然数)とした場合、
(無線基地局の台数)×(N−1)
< (無線通信端末の台数)
≦ (無線基地局の台数)×N
の関係が成立するように、前記無線通信端末の台数に応じて、前記無線基地局の台数を配置する上記(1)の無線通信システム。
(3)前記無線通信端末の前記位置登録を要求する位置登録要求を送信する順序として、前記無線通信端末は、前記位置登録が許可されたことを示す位置登録許可情報を受信するまで、前記無線基地局からの無線信号の信号レベルが高い順番に前記無線基地局に対して前記位置登録要求を順次送信していく上記(1)または(2)の無線通信システム。
(4)着信頻度が、高トラフィック状態検知用着信頻度としてあらかじめ定めた着信回数以上の着信頻度に達している高トラフィック状態の前記無線通信端末であって、かつ、当該無線通信端末が前記無線基地局のいずれからも前記位置登録許可情報を受信することができなかった場合、当該無線通信端末は、電源をオフにするスリープ状態に移行することなく、あらかじめ定めた繰り返し回数を超えるまで、引き続き、前記位置登録許可情報を受信するまで、前記無線基地局からの無線信号の信号レベルが高い順番に前記無線基地局に対して前記位置登録要求を順次送信していく動作を繰り返し、一方、着信頻度が、前記高トラフィック状態検知用着信頻度以上の着信頻度に達している前記高トラフィック状態の前記無線通信端末であって、かつ、前記繰り返し回数を超えた場合、または、着信頻度が、前記高トラフィック状態検知用着信頻度未満の着信頻度である低トラフィック状態の前記無線通信端末であって、かつ、当該無線通信端末が前記無線基地局のいずれからも前記位置登録許可情報を受信することができなかった場合には、前記位置登録の動作を停止して、電源をオフにしたスリープ状態に移行する上記(3)の無線通信システム。
(5)前記位置登録の動作を停止して、前記スリープ状態に移行した前記無線通信端末は、位置登録動作禁止時間としてあらかじめ定めた経過時間が経過するまでの間、前記スリープ状態を継続し、前記位置登録動作禁止時間を経過した際に、前記位置登録許可情報を受信するまで、前記無線基地局からの無線信号の信号レベルが高い順番に前記無線基地局に対して前記位置登録要求を順次送信していく動作を再開する上記(4)の無線通信システム。
(6)事業所用の無線通信システムを構成する無線基地局であって、構内に配置している各無線通信端末のうち、位置登録がなされた無線通信端末との間で無線信号を送受信して通信を行う無線基地局において、前記位置登録を許可する前記無線通信端末の最大台数を、同時に着信通知を送信することが可能な前記無線通信端末の最大の台数以内に制限する無線基地局。
(7)事業所用の無線通信システムを構成する無線通信端末であって、位置登録を行った無線基地局との間で無線信号を送受信して通信を行う無線通信端末において、前記位置登録を要求する位置登録要求を送信する順序として、前記位置登録が許可されたことを示す位置登録許可情報を受信するまで、前記無線基地局からの無線信号の信号レベルが高い順番に前記無線基地局に対して前記位置登録要求を順次送信していく無線通信端末。
(8)構内に配置している各無線通信端末と、該無線通信端末のうち、位置登録がなされた無線通信端末との間で無線信号を送受信して通信を行う無線基地局とからなる事業所用の無線通信システムにおける位置登録制御方法であって、前記無線基地局1台当たりに前記位置登録を許可する前記無線通信端末の最大台数を、当該無線基地局1台当たり同時に着信通知を送信することが可能な前記無線通信端末の最大の台数以内に制限する位置登録制御方法。
(9)上記(8)の位置登録制御方法を、コンピュータにより実行可能なプログラムとして実施している位置登録制御プログラム。
(10)上記(9)の位置登録制御プログラムを、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録しているプログラム記録媒体。
【符号の説明】
【0110】
CS デジタルコードレス親機
CS1,CS2,CS3 デジタルコードレス親機
ME 主装置
PS デジタルコードレス子機
PS1,PS2,PS3,…,PS9 デジタルコードレス子機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構内に配置している各無線通信端末と、該無線通信端末のうち、位置登録がなされた無線通信端末との間で無線信号を送受信して通信を行う無線基地局とからなる事業所用の無線通信システムにおいて、前記無線基地局1台当たりに前記位置登録を許可する前記無線通信端末の最大台数を、当該無線基地局1台当たり同時に着信通知を送信することが可能な前記無線通信端末の最大の台数以内に制限することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記無線基地局1台当たりに前記位置登録を許可する前記無線通信端末の最大台数をN台(N:自然数)とした場合、
(無線基地局の台数)×(N−1)
< (無線通信端末の台数)
≦ (無線基地局の台数)×N
の関係が成立するように、前記無線通信端末の台数に応じて、前記無線基地局の台数を配置することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線通信端末の前記位置登録を要求する位置登録要求を送信する順序として、前記無線通信端末は、前記位置登録が許可されたことを示す位置登録許可情報を受信するまで、前記無線基地局からの無線信号の信号レベルが高い順番に前記無線基地局に対して前記位置登録要求を順次送信していくことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
着信頻度が、高トラフィック状態検知用着信頻度としてあらかじめ定めた着信回数以上の着信頻度に達している高トラフィック状態の前記無線通信端末であって、かつ、当該無線通信端末が前記無線基地局のいずれからも前記位置登録許可情報を受信することができなかった場合、当該無線通信端末は、電源をオフにするスリープ状態に移行することなく、あらかじめ定めた繰り返し回数を超えるまで、引き続き、前記位置登録許可情報を受信するまで、前記無線基地局からの無線信号の信号レベルが高い順番に前記無線基地局に対して前記位置登録要求を順次送信していく動作を繰り返し、一方、着信頻度が、前記高トラフィック状態検知用着信頻度以上の着信頻度に達している前記高トラフィック状態の前記無線通信端末であって、かつ、前記繰り返し回数を超えた場合、または、着信頻度が、前記高トラフィック状態検知用着信頻度未満の着信頻度である低トラフィック状態の前記無線通信端末であって、かつ、当該無線通信端末が前記無線基地局のいずれからも前記位置登録許可情報を受信することができなかった場合には、前記位置登録の動作を停止して、電源をオフにしたスリープ状態に移行することを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記位置登録の動作を停止して、前記スリープ状態に移行した前記無線通信端末は、位置登録動作禁止時間としてあらかじめ定めた経過時間が経過するまでの間、前記スリープ状態を継続し、前記位置登録動作禁止時間を経過した際に、前記位置登録許可情報を受信するまで、前記無線基地局からの無線信号の信号レベルが高い順番に前記無線基地局に対して前記位置登録要求を順次送信していく動作を再開することを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
事業所用の無線通信システムを構成する無線基地局であって、構内に配置している各無線通信端末のうち、位置登録がなされた無線通信端末との間で無線信号を送受信して通信を行う無線基地局において、前記位置登録を許可する前記無線通信端末の最大台数を、同時に着信通知を送信することが可能な前記無線通信端末の最大の台数以内に制限することを特徴とする無線基地局。
【請求項7】
事業所用の無線通信システムを構成する無線通信端末であって、位置登録を行った無線基地局との間で無線信号を送受信して通信を行う無線通信端末において、前記位置登録を要求する位置登録要求を送信する順序として、前記位置登録が許可されたことを示す位置登録許可情報を受信するまで、前記無線基地局からの無線信号の信号レベルが高い順番に前記無線基地局に対して前記位置登録要求を順次送信していくことを特徴とする無線通信端末。
【請求項8】
構内に配置している各無線通信端末と、該無線通信端末のうち、位置登録がなされた無線通信端末との間で無線信号を送受信して通信を行う無線基地局とからなる事業所用の無線通信システムにおける位置登録制御方法であって、前記無線基地局1台当たりに前記位置登録を許可する前記無線通信端末の最大台数を、当該無線基地局1台当たり同時に着信通知を送信することが可能な前記無線通信端末の最大の台数以内に制限することを特徴とする位置登録制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の位置登録制御方法を、コンピュータにより実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする位置登録制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の位置登録制御プログラムを、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録していることを特徴とするプログラム記録媒体。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−135254(P2011−135254A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291930(P2009−291930)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】