無線通信システムおよび基地局
【課題】ネットワークの輻輳に関する情報を移動局に適切に送信する。
【解決手段】無線通信システム1は、移動局10と、移動局10と無線接続可能な基地局22とを含む複数のノード22,24,26,28を備えるネットワーク20とを有する。基地局22は、ネットワーク20内に輻輳中のノードが存在する場合に、移動局10から送信される移動局10と基地局22との無線接続確立の要求を拒絶すると判定する、又は移動局10と基地局22との間に確立されている無線接続を解放すると判定する判定部224と、無線接続確立の要求RQを拒絶する際又は無線接続を解放する際に、拒絶の理由又は解放の理由を示す情報を含むメッセージRJ,RLを移動局10に送信する送信部222とを備える。
【解決手段】無線通信システム1は、移動局10と、移動局10と無線接続可能な基地局22とを含む複数のノード22,24,26,28を備えるネットワーク20とを有する。基地局22は、ネットワーク20内に輻輳中のノードが存在する場合に、移動局10から送信される移動局10と基地局22との無線接続確立の要求を拒絶すると判定する、又は移動局10と基地局22との間に確立されている無線接続を解放すると判定する判定部224と、無線接続確立の要求RQを拒絶する際又は無線接続を解放する際に、拒絶の理由又は解放の理由を示す情報を含むメッセージRJ,RLを移動局10に送信する送信部222とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムおよび基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話(例えば2G,3G,LTE(Long Term Evolution))、公衆無線LAN(Local Area Network)、無線MAN(Metropolitan Area Network)等の様々な無線通信システムが普及している。無線通信システムにおいては、通信サービスの品質を維持するため、ネットワーク上のトラヒック量(例えば、ネットワークの輻輳状態)に応じて移動局の接続先が選択される。移動局が接続先を適切に選択するためには、ネットワーク上のトラヒック量に関する情報が移動局に適切に送信される必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、最適な網リソースを選択可能とするために、基地局から移動局に対して、報知情報によりネットワーク上の網リソースの情報(例えば、輻輳情報)を通知する技術が開示されている。また、特許文献2には、ネットワークの輻輳に関する情報を複数の移動局に対して報知情報により送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2007/043117号公報
【特許文献2】特開2009−77418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ネットワークの輻輳に関する情報を報知情報により送信する特許文献1および特許文献2の技術では、必要な情報が移動局に適時に送信されない可能性がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、ネットワークの輻輳に関する情報を移動局に適切に送信することができる無線通信システムおよび基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る無線通信システムは、移動局と、前記移動局と無線接続可能な基地局とを含む複数のノードを備えるネットワークとを有する無線通信システムであって、前記基地局は、前記ネットワーク内に輻輳中のノードが存在する場合に、前記移動局から送信される前記移動局と前記基地局との無線接続確立の要求を拒絶すると判定する、又は前記移動局と前記基地局との間に確立されている無線接続を解放すると判定する判定部と、前記無線接続確立の要求を拒絶する際又は前記無線接続を解放する際に、拒絶の理由又は解放の理由を示す情報を含むメッセージを前記移動局に送信する送信部とを備える。
以上の構成によれば、ネットワークの輻輳による接続要求の拒絶時または接続解放時にその理由を示す情報を含むメッセージが送信されるから、報知情報によりメッセージが通知される構成と比較して、メッセージが適時に移動局に通知される。
【0008】
本発明の好適な態様において、前記メッセージは、前記輻輳中のノードを示す情報を含む。以上の構成によれば、接続拒絶時または接続解放時に送信されるメッセージにより輻輳中のノードの情報が移動局に伝えられる。
【0009】
本発明の好適な態様において、前記ネットワークは、前記基地局の上位ノードである交換局と、前記交換局の上位ノードであるゲートウェイとをさらに備え、前記ネットワーク内の複数のノードが輻輳中である場合に、前記メッセージは、前記輻輳中のノードのうち最上位のノードを示す情報を含む。
以上の構成によれば、複数のノードが輻輳中である場合に、最上位のノード(すなわち、通信サービスの品質に与える影響が最も大きいノード)を輻輳中のノードであると通知するので、接続拒絶後または接続解放後の接続先選択がより適切となる。したがって、通信サービスの品質が確保される。
【0010】
本発明の好適な態様において、前記ゲートウェイは、前記ゲートウェイの輻輳開始および輻輳終了を検知する輻輳状態検知部と、前記ゲートウェイの輻輳が開始した場合に、輻輳開始を示す輻輳開始信号を前記基地局に送信し、前記ゲートウェイの輻輳が終了した場合に、輻輳終了を示す輻輳終了信号を前記基地局に送信する送信部とを備える。
以上の構成によれば、基地局がゲートウェイの輻輳状態を把握できるので、ネットワーク内の輻輳中のノードの情報がより適切に基地局から移動局へ通知される。
【0011】
本発明の好適な態様において、前記ネットワークは、前記ゲートウェイと前記交換局とを接続する第1の論理的な経路と、前記交換局と前記基地局とを接続する第2の論理的な経路とを備え、前記ゲートウェイは、前記輻輳開始信号および前記輻輳終了信号を前記第1の論理的な経路を介して前記交換局に送信可能であり、前記交換局は、前記ゲートウェイから受信した前記輻輳開始信号および前記輻輳終了信号を前記第2の論理的な経路を介して前記基地局に転送可能である。
【0012】
本発明の好適な態様において、前記ネットワークは、前記ゲートウェイと前記基地局とを接続する論理的な経路を備え、前記ゲートウェイは、前記輻輳開始信号および前記輻輳終了信号を前記論理的な経路を介して前記基地局に送信可能である。以上の構成によれば、交換局を経由せずともゲートウェイから基地局に輻輳開始信号および輻輳終了信号を送信可能である。したがって、移動局に送信される輻輳中のノードの情報がより正確になる。
【0013】
本発明の好適な態様において、前記移動局は、前記メッセージが示す前記輻輳中のノードに基づいて新たな接続先を選択する。以上の構成によれば、接続拒絶後または接続解放後に、メッセージに示された輻輳中のノードに基づいて移動局が接続先を選択するので、移動局が新たに接続を試行する接続先がより適切となる。
【0014】
本発明の好適な態様において、前記移動局は、前記メッセージが示す前記輻輳中のノードを前記移動局のユーザに通知する。以上の構成によれば、輻輳中のノードが移動局のユーザに通知されるので、ユーザがより適切な接続先を選択することが可能となる。
【0015】
本発明に係る基地局は、移動局と無線接続可能な基地局であって、前記基地局は、前記基地局を含む複数のノードを備えるネットワークに含まれ、前記ネットワーク内に輻輳中のノードが存在する場合に、前記移動局から送信される前記移動局と前記基地局との無線接続確立の要求を拒絶すると判定する、又は前記移動局と前記基地局との間に確立されている無線接続を解放すると判定する判定部と、前記無線接続確立の要求を拒絶する際又は前記無線接続を解放する際に、拒絶の理由又は解放の理由を示す情報を含むメッセージを前記移動局に送信する送信部とを備える。以上の基地局でも、本発明の無線通信システムと同様の作用および効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る無線通信システムを示す図である。
【図2】ネットワーク内のノードの論理的な接続関係を示す図である。
【図3】UE,eNodeB,MME,およびP−GWの構成を示す図である。
【図4】RRCコネクション確立要求の拒絶の様子を示すフロー図である。
【図5】RRCコネクション拒絶メッセージのフォーマットを示す図である。
【図6】輻輳箇所とRejectCause値(congestionPoint値)との関係を示す図である。
【図7】第2実施形態のRRCコネクション解放の様子を示すフロー図である。
【図8】RRCコネクション解放メッセージのフォーマットを示す図である。
【図9】第3実施形態に係る無線通信システムを示す図である。
【図10】第3実施形態のネットワーク内のノードの論理的な接続関係を示す図である。
【図11】第3実施形態のRRCコネクション確立要求の拒絶の様子を示すフロー図である。
【図12】第3実施形態のRRCコネクション解放の様子を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信システム1を示すブロック図である。無線通信システム1は、UE(User Equipment)10と、LTEネットワーク20と、3Gネットワーク30とを備える。LTEネットワーク20はLTE通信規格にて動作し、3Gネットワーク30は3G通信規格にて動作する。すなわち、LTEネットワーク20と3Gネットワーク30とは相異なる無線アクセス技術(Radio Access Technology)にて動作する。
【0018】
UE10は、無線インタフェースを具備する移動局であり、複数のネットワーク(LTEネットワーク20および3Gネットワーク30)のそれぞれと無線通信を行うことが可能である。つまり、UE10は複数の無線アクセス技術にて無線通信が可能なマルチモード端末である。
【0019】
3Gネットワーク30は、3G基地局32と3G交換局34とを備える。3G基地局はUE10と直接的に無線接続することが可能である。3G交換局は3G基地局32の上位、すなわち、PDN(Packet Data Network)70に論理的により近い側に配置される。PDN70はIP(Internet Protocol)にて動作する外部ネットワーク(例えばインターネット)である。
【0020】
LTEネットワーク20は、eNodeB(evolved Node B)22、MME(Mobility Management Entity)24、S−GW(Serving Gateway)26、およびP−GW(Packet Data Network Gateway)28とを備える。eNodeB22は基地局に相当する機能要素であり、UE10と直接的に無線接続することが可能である。MME24は交換局(制御用交換局)に相当する機能要素であり、LTEネットワーク20内の他のノード(eNodeB22、MME24、S−GW26、およびP−GW28)並びに3G交換局34との間で相互に制御メッセージCMを送受信することが可能である。制御メッセージはCプレーン(制御プレーン、Control Plane)の以下のインタフェース(論理的な接続回路)を介して送受信される。
・MME24−eNodeB22間:S1−MMEインタフェース
・MME24−3G基地局32間:S3インタフェース
・MME24−S−GW26間:S11インタフェース
・MME24−P−GW28間:S5−MMEインタフェース
以上のCプレーンのインタフェースのうち、S1−MMEインタフェース、S3インタフェース、およびS11インタフェースは既に3GPP規格に規定されている(例えば、3GPP TS 23.401 V10.3.0参照)。S5−MMEインタフェースが本発明において新たに提案される。
【0021】
他方、eNodeB22とS−GW26とがUプレーン(ユーザプレーン、User Plane)のS1−Uインタフェースにて接続され、S−GW26とP−GW28とがUプレーンのS5インタフェースにて接続される。S−GW26は、UE10がeNodeB22を介して送信するユーザデータ(ユーザパケット)のルーティング機能および転送機能を有する機能要素である。P−GW28は、LTEネットワーク20とPDN70との接続点に存在する機能要素であり、PDN70とユーザデータの送受信を行う。
【0022】
以上から理解されるように、MME24およびS−GW26はeNodeB22の上位ノードであり、P−GW28はMME24およびS−GW26の上位ノードである。
【0023】
図2は、LTEネットワーク20内の各ノードの論理的な接続関係を示す図である。前述のように、Cプレーンにおいては、eNodeB22とMME24とがS1−MMEインタフェースにて接続され、MME24とS−GW26とがS11インタフェースにて接続され、MME24とP−GW28とがS5−MMEインタフェースにて接続される。また、Uプレーンにおいては、eNodeB22とS−GW26とがS1−Uインタフェースにて接続され、S−GW26とP−GW28とがS5インタフェースにて接続される。したがって、例えばS−GW26からP−GW28へ大量のデータ(パケット)が送信されたことによりP−GW28にて輻輳が発生した場合に、P−GW28は、CプレーンのS5−MMEインタフェースを介して、自らが輻輳中であることを示す制御メッセージCMをMME24に送信することが可能である。
【0024】
図3に、第1実施形態のUE10、eNodeB22、MME24、およびP−GW28の構成を示す。UE10は送受信部102と通信部104とを備える。eNodeB22は送受信部222と判定部224と状態検知部226とを備える。MME24は送受信部242と状態検知部246とを備える。P−GW28は送受信部282と状態検知部286とを備える。以上の各要素は、各ノードがコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
【0025】
UE10の送受信部102は、通信部104からの通信要求に従い、RRC(Radio Resource Control)コネクション確立要求メッセージ(例えば、3GPP TS 36.331 V10.1.0に規定されるRRC Connection Request message)RQをeNodeB22に送信する。RRCコネクション確立要求メッセージRQは、UE10とLTEネットワーク20(eNodeB22)との無線接続の確立を要求するメッセージである。eNodeB22の送受信部222は、RRCコネクション確立要求メッセージRQを受信して判定部224に送る。
【0026】
他方、P−GW28の状態検知部286は、P−GW28の輻輳開始および輻輳終了を検知して送受信部282に知らせる。送受信部282は、状態検知部286が輻輳開始を検知した場合には、輻輳開始を示す制御メッセージCMを生成してMME24の送受信部242に送信し、状態検知部286が輻輳終了を検知した場合には、輻輳終了を示す制御メッセージCMを生成してMME24の送受信部242に送信する。
【0027】
MME24の送受信部242は、P−GW28の送受信部282から受信した制御メッセージCM(輻輳開始を示す制御メッセージCMおよび輻輳終了を示す制御メッセージCM)をeNodeB22の送受信部222に転送する。
また、MME24の状態検知部246は、MME24の輻輳開始および輻輳終了を検知して送受信部242に知らせる。送受信部242は、状態検知部246が輻輳開始を検知した場合には、輻輳開始を示す制御メッセージCMを生成してeNodeB22の送受信部222に送信し、状態検知部246が輻輳終了を検知した場合には、輻輳終了を示す制御メッセージCMを生成してeNodeB22の送受信部222に送信する。
【0028】
eNodeB22の送受信部222は、MME24の送受信部242から受信した制御メッセージCMを判定部224に送る。また、eNodeB22の状態検知部226は、eNodeB22の輻輳開始および輻輳終了を検知して判定部224に知らせる。したがって、eNodeB22(判定部224)は、LTEネットワーク20内の各ノード(P−GW28、MME24、およびeNodeB22)が輻輳中か否かの情報を有する。
【0029】
eNodeB22の判定部224は、LTEネットワーク20内に輻輳中のノードが存在する場合に、RRCコネクション確立要求メッセージRQを拒絶すると判定し、RRCコネクション拒絶メッセージRJを生成して送受信部222に送る。RRCコネクション拒絶メッセージRJは送受信部222から送信され、UE10の送受信部102に受信され、通信部104に送られる。UE10(通信部104)は、後述するように、RRCコネクション拒絶メッセージRJの内容に基づいて接続先を新たに選択する。
【0030】
他方、LTEネットワーク20内に輻輳中のノードが存在しない場合、判定部224は、RRCコネクション確立要求メッセージRQを受け入れて接続を確立すると判定する。UE10により生成されたRRCコネクション確立要求メッセージRQは、判定部224の接続確立判定に基づいて上位ノードに転送され、UE10とLTEネットワーク20との無線接続が確立される。
【0031】
図4を参照して、第1実施形態のRRCコネクション要求の拒絶について説明する。図4は、P−GW28にて輻輳が生じた場合を例示している。P−GW28にて輻輳が発生すると、輻輳開始を示す制御メッセージCMがP−GW28(送受信部282)からMME24に送信される(S101)。MME24(送受信部242)は、受信した制御メッセージCMをeNodeB22に転送する(S102)。eNodeB22の送受信部222が制御メッセージCMを受信し判定部224に送る。判定部224は、制御メッセージCM(P−GW28の輻輳が開始したという情報)をeNodeB22の記憶部(不図示)に記憶する(S103)。
【0032】
その後、UE10がRRCコネクション確立要求メッセージRQをeNodeB22に送信する(S111)。送受信部222を介してRRCコネクション確立要求メッセージRQを受信した判定部224は、LTEネットワーク20内に輻輳中のノード(P−GW28)が存在するので、RRCコネクション確立要求メッセージRQによる無線接続確立の要求を拒絶すべきと判定し、送受信部222を介してRRCコネクション拒絶メッセージRJをUE10に送信する(S112)。UE10はeNodeB22との接続確立の試行を中止し、接続先を新たに選択する。
【0033】
P−GW28の輻輳が終了すると、輻輳終了を示す制御メッセージCMがP−GW28(送受信部282)からMME24に送信される(S121)。MME24(送受信部242)は受信した制御メッセージCMをeNodeB22に転送する(S122)。eNodeB22の送受信部222が制御メッセージCMを受信し判定部224に送る。判定部224は制御メッセージCM(P−GW28の輻輳が終了したという情報)をeNodeB22の記憶部に記憶する(S123)。
【0034】
図5は、LTEネットワーク20(eNodeB22)がUE10に送信するRRCコネクション拒絶メッセージRJの具体的なフォーマットの例を、ASN.1(Abstract Syntax Notation One)記法で記載した図である。RRCコネクション拒絶メッセージRJにおいて、waitTimeを含むいくつかのパラメータは既存である(3GPP TS 36.331 V10.1.0に規定されるRRC Connection Reject messageを参照)。
【0035】
RejectCauseが今回新たに提案されるパラメータである。RejectCauseは、UE10からのRRCコネクション確立要求メッセージRQによる無線接続確立の要求を拒絶する理由を示す。RejectCauseのデータ型は列挙型(ENUMERATED)であり、RANOverload,CNOverload,およびPGWOverloadの3つの値(拒絶の理由)が含まれる。なお、RejectCauseに含まれるspare1は空き領域(未定義領域)であり、拒絶の理由を示すものではない。
【0036】
RejectCauseは、LTEネットワーク20内の輻輳中のノードの情報を示す。具体的には、RANOverloadは、無線アクセスネットワーク(RAN,Radio Access Network)部分、すなわちeNodeB22にて輻輳が生じていることを示す値である。CNOverloadは、コアネットワーク(CN,Core Network)部分、すなわちMME24またはS−GW26にて輻輳が生じていることを示す値である。なお、S−GW26はMME24の制御により接続処理を実行するので、MME24の輻輳とS−GW26の輻輳とは等価である。PGWOverloadは、P−GW28にて輻輳が生じていることを示す値である。
【0037】
RejectCauseはRANOverload,CNOverload,およびPGWOverloadのいずれか1つの値を取る変数である。図6に、LTEネットワーク20内のノードの輻輳状態とRejectCauseの値との関係を示す。eNodeB22の判定部224は、P−GW28が輻輳中である場合、eNodeB22およびMME24の輻輳状態に関わらずPGWOverloadをRejectCauseの値として選択する。判定部224は、P−GW28が輻輳しておらず、MME24が輻輳中である場合、eNodeB22の輻輳状態に関わらずCNOverloadをRejectCauseの値として選択する。判定部224は、P−GW28およびMME24が輻輳しておらず、eNodeB22のみが輻輳している場合には、RANOverloadをRejectCauseの値として選択する。すなわち、LTEネットワーク20内の複数のノードが輻輳中である場合、RRCコネクション拒絶メッセージRJは、輻輳中のノードのうち最上位(論理的に最もPDN70に近い側)のノードを示す情報を含む。
【0038】
RRCコネクション拒絶メッセージRJを受信したUE10は、RejectCauseが示す輻輳中のノードに基づいて接続先を新たに選択する。例えば、P−GW28が輻輳中である場合には、LTEネットワーク20からPDN70へ向かう経路が利用不可であることから、P−GW28を共有しない他のネットワーク(例えば、不図示の公衆無線LANネットワーク)を新たな接続先として選択して接続を試行する。また、MME24(S−GW26)が輻輳中である場合には、3G交換局34を経由すればP−GW28を利用してPDN70へデータを送信可能であるため、3Gネットワーク30(3G基地局32)を新たな接続先として選択して接続を試行する。また、eNodeB22が輻輳中である場合には、LTEネットワーク20内の他のeNodeBに接続すれば輻輳中のeNodeB22を回避可能であるため、他のeNodeBを新たな接続先として選択して接続を試行する。なお、RRCコネクション拒絶メッセージRJの受信後、RejectCauseが示す輻輳中のノードに応じた所定の待機時間後に再度の接続を試行する構成も採用し得る。
【0039】
また、RRCコネクション拒絶メッセージRJを受信したUE10が、RejectCauseが示す輻輳中のノードの情報を音声、画面表示、またはその他の方式によりUE10のユーザに通知してもよい。UE10は、輻輳中のノードの情報と併せて、UE10が現時点で選択可能な接続先の情報(例えば、P−GW28が輻輳中の場合には、選択可能な公衆無線LANネットワークの情報)をユーザに通知し得る。ユーザは、UE10を操作して通知された接続先を選択し得る。UE10は選択された接続先に接続を試行する。
【0040】
以上に説明した第1実施形態によれば、新たに提案されたRRCコネクション拒絶メッセージRJにより輻輳中のノードをUE10に伝えることができる。すなわち、UE10は、LTEネットワーク20(eNodeB22)との接続確立が拒絶された時(つまり、接続が確立される前)に輻輳中のノードを知ることができる。したがって、接続拒絶時に輻輳中のノードを知らされない構成と比較して、接続拒絶後に新たに接続すべき接続先をUE10が適切に選択することが可能であるので、通信サービスの品質がより向上する。また、報知情報により輻輳状態が通知される構成と比較して、適時に輻輳情報をUE10に通知することができる。さらに、複数のノードが輻輳中である場合には、最上位のノード(すなわち、通信サービスの品質に与える影響が最も大きいノード)を輻輳中のノードであると通知するので、接続拒絶後の接続先がより適切に選択される。
【0041】
また、新たに提案されたS5−MMEインタフェースにより、P−GW28の輻輳開始および輻輳終了を示す制御メッセージCMがMME24を経由してeNodeB22に送信されるので、S5−MMEインタフェースが存在しない構成と比較して、ネットワーク内の輻輳中ノードの情報がeNodeB22により適切にUE10に通知される。したがって、接続拒絶後の接続先をUE10がより適切に選択することが可能となる。
【0042】
<B:第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各態様において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0043】
第1実施形態では、LTEネットワーク20内のノードに輻輳が生じている場合に、UE10がLTEネットワーク20(eNodeB22)に接続要求したときの動作を説明した。第2実施形態では、既にUE10とLTEネットワーク20(eNodeB22)との間で無線接続が確立されている状態において、LTEネットワーク20内のノードに輻輳が発生した場合の動作について説明する。
【0044】
図7を参照して、第2実施形態のRRCコネクションの解放について説明する。図7は、UE10とLTEネットワーク20(eNodeB22)との接続確立中に、P−GW28にて輻輳が生じた場合を例示している。P−GW28にて輻輳が発生すると、輻輳開始を示す制御メッセージCMがP−GW28(送受信部282)からMME24に送信される(S201)。MME24(送受信部242)は、受信した制御メッセージCMをeNodeB22に転送する(S202)。eNodeB22の送受信部222が制御メッセージCMを受信し判定部224に送る。判定部224は、制御メッセージCM(P−GW28の輻輳が開始したという情報)をeNodeB22の記憶部(不図示)に記憶する(S203)。
【0045】
判定部224は、LTEネットワーク20内に輻輳中のノード(P−GW28)が存在するので、UE10とeNodeB22との間に確立されている無線接続を解放すべきと判定し、送受信部222を介してRRCコネクション解放メッセージRLをUE10に送信する(S204)。UE10はeNodeB22との無線接続を解放し、接続先を新たに選択する。
【0046】
P−GW28の輻輳が終了すると、輻輳終了を示す制御メッセージCMがP−GW28(送受信部282)からMME24に送信される(S211)。MME24(送受信部242)は受信した制御メッセージCMをeNodeB22に転送する(S212)。eNodeB22の送受信部222が制御メッセージCMを受信し判定部224に送る。判定部224は制御メッセージCM(P−GW28の輻輳が終了したという情報)をeNodeB22の記憶部に記憶する(S213)。
【0047】
図8は、LTEネットワーク20(eNodeB22)がUE10に送信するRRCコネクション解放メッセージRLの具体的なフォーマットの例を、ASN.1記法で記載した図である。RRCコネクション解放メッセージRLの基本構成は既存である(3GPP TS 36.331 V10.1.0に規定されるRRC Connection Release messageを参照)。
【0048】
ReleaseCauseパラメータ(列挙型)は、UE10とeNodeB22との間に確立されているRRCコネクションを解放すべき理由を示す値を有する。既存のReleaseCauseパラメータに新たな値congestionが追加される。congestionは、ネットワーク内に輻輳が生じていることを示す値である。
【0049】
また、新たに設けられたcongestionPointパラメータ(列挙型)は、ReleaseCauseにcongestionが設定された場合(すなわち、輻輳が発生している場合)にのみ用いられる値である。congestionPointは、LTEネットワーク20内の輻輳中のノードの情報を示す値であり、第1実施形態のRejectCauseパラメータと同様に、RANOverload,CNOverload,およびPGWOverloadのいずれか1つの値を取る。各値が示す意味は第1実施形態のRejectCauseパラメータと同様であり、LTEネットワーク20内のノードの輻輳状態とcongestionPointの値との関係も第1実施形態(図6)と同様である。したがって、LTEネットワーク20内の複数のノードが輻輳中である場合、RRCコネクション解放メッセージRLは、輻輳中のノードのうち最上位(論理的に最もPDN70に近い側)のノードを示す情報を含む。
【0050】
RRCコネクション解放メッセージRLを受信したUE10は、RRCコネクション拒絶メッセージRJを受信した第1実施形態のUE10と同様に、輻輳中のノードに基づいて新たな接続先を選択する。
【0051】
以上に説明した第2実施形態によれば、新たに提案されたRRCコネクション解放メッセージRLにより輻輳中のノードの情報をUE10に伝えることができる。すなわち、UE10は、LTEネットワーク20(eNodeB22)との接続が解放された時に輻輳中のノードを知ることができる。したがって、接続解放時に輻輳中のノードを知らされない構成と比較して、接続解放後に新たに接続すべき接続先をUE10が適切に選択することが可能であるので、通信サービスの品質がより向上する。また、報知情報により輻輳状態が別途通知される構成と比較して、適時に輻輳情報をUE10に通知することができる。さらに、複数のノードが輻輳中である場合には、最上位のノードを輻輳中のノードであると通知するので、接続解放後の接続先がより適切に選択される。
【0052】
<C:第3実施形態>
以上の実施形態では、P−GW28とMME24とがS5−MMEインタフェースにて論理的に接続された。第3実施形態では、P−GW28とeNodeB22とが論理的に接続される。
【0053】
図9は第3実施形態の無線通信システム1を示すブロック図であり、図10は、第3実施形態のLTEネットワーク20内の各ノードの論理的な接続関係を示す図である。Cプレーンにおいて、MME24と3G交換局34とがS3インタフェースにて接続され、MME24とS−GW26とがS11インタフェースにて接続される(MME24とP−GW28とは直接的には接続されない)。そして、eNodeB22とP−GW28とが、新たに提案されるS5−eNBインタフェースにて論理的に接続される。したがって、例えばS−GW26からP−GW28へ大量のデータ(パケット)が送信されたことによりP−GW28にて輻輳が発生した場合に、P−GW28は、CプレーンのS5−eNBインタフェースを介して、自らが輻輳中であることを示す制御メッセージCMをeNodeB22に送信することが可能である。
【0054】
図11は、第3実施形態のRRCコネクション要求の拒絶の様子を示すフロー図である。P−GW28にて輻輳が発生すると、輻輳開始を示す制御メッセージCMがP−GW28(送受信部282)からeNodeB22に送信される(S301)。eNodeB22の送受信部222が制御メッセージCMを受信し判定部224に送る。判定部224は、制御メッセージCM(P−GW28の輻輳が開始したという情報)をeNodeB22の記憶部(不図示)に記憶する(S302)。その後、UE10がRRCコネクション確立要求メッセージRQをeNodeB22に送信する(S311)。送受信部222を介してRRCコネクション確立要求メッセージRQを受信した判定部224は、LTEネットワーク20内に輻輳中のノード(P−GW28)が存在するので、RRCコネクション確立要求メッセージRQによる無線接続確立の要求を拒絶すべきと判定し、送受信部222を介してRRCコネクション拒絶メッセージRJをUE10に送信する(S312)。UE10はeNodeB22との接続確立の試行を中止し、接続先を新たに選択する。
【0055】
図12は、第3実施形態のRRCコネクション解放の様子を示すフロー図である。P−GW28にて輻輳が発生すると、輻輳開始を示す制御メッセージCMがP−GW28(送受信部282)からeNodeB22に送信される(S401)。eNodeB22の送受信部222が制御メッセージCMを受信し判定部224に送る。判定部224は制御メッセージCM(P−GW28の輻輳が開始したという情報)をeNodeB22の記憶部(不図示)に記憶する(S402)。判定部224は、LTEネットワーク20内に輻輳中のノード(P−GW28)が存在するので、UE10とeNodeB22との間に確立されている無線接続を解放すべきと判定し、送受信部222を介してRRCコネクション解放メッセージRLをUE10に送信する(S403)。UE10はeNodeB22との無線接続を解放し接続先を新たに選択する。
【0056】
以上に説明した第3実施形態によれば、新たに提案されたS5−eNBインタフェースにより、第1実施形態および第2実施形態と同様の効果が奏される。また、MME24が輻輳等の理由により制御メッセージCMを転送できない場合であっても、P−GW28からeNodeB22へ制御メッセージCMを送信することができる。したがって、eNodeB22がUE10へ送信する輻輳中のノードの情報の正確性がより高まる。
【0057】
<D:変形例>
以上の実施の形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相互に矛盾しない限り適宜に併合され得る。
【0058】
(1)変形例1
以上の各形態では、無線アクセス技術としてLTEおよび3Gが用いられた。しかし、使用される無線アクセス技術は任意であり、例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線MANが無線アクセス技術として用いられてもよい。
【0059】
(2)変形例2
LTEネットワーク20内の各ノード(eNodeB22,MME24,S−GW26,およびP−GW28)は機能要素(論理エンティティ)であるから、以上の各形態のように各ノードが個別の装置(物理エンティティ)として設けられる代わりに、2以上のノードが1つの装置として設けられてもよい。例えば、S−GW26とP−GW28とが物理的に統合された1つの装置として設けられてもよい。
【0060】
(3)変形例3
以上の各形態では、P−GW28が送信する制御メッセージCMによってP−GW28の輻輳開始および輻輳終了がeNodeB22に知らされたが、eNodeB22がP−GW28に対して疎通確認を実行することによってP−GW28の輻輳状態を把握してもよい。
【0061】
(4)変形例4
以上の各形態では、ネットワーク内にて複数のノードが輻輳中である場合に、最上位のノードを示す情報のみをeNodeB22からUE10へ送信したが、輻輳中の全てのノードの情報をeNodeB22からUE10へ送信してもよい。
【0062】
(5)変形例5
UE10は、ネットワーク(例えばLTEネットワーク20)と無線通信が可能な任意の装置である。UE10は、例えば携帯電話端末でもよく、デスクトップ型パーソナルコンピュータでもよく、ノート型パーソナルコンピュータでもよく、UMPC(Ultra-Mobile Personal Computer)でもよく、携帯用ゲーム機でもよく、その他の無線端末でもよい。
【0063】
(6)変形例6
UE10およびLTEネットワーク20の各ノード(eNodeB22,MME24,S−GW26,P−GW28)においてCPUが実行する各機能は、CPUの代わりに、ハードウェアで実行してもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルロジックデバイスで実行してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1……無線通信システム、10……UE、102……送受信部、104……通信部、20……LTEネットワーク、22……eNodeB、24……MME、26……S−GW、28……P−GW、222……送受信部、224……判定部、226……状態検知部、242……送受信部、246……状態検知部、282……送受信部、286……状態検知部、30……3Gネットワーク、32……3G基地局、34……3G交換局、70……PDN、CM……制御メッセージ、RJ……コネクション拒絶メッセージ、RL……コネクション解放メッセージ、RQ……コネクション確立要求メッセージ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムおよび基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話(例えば2G,3G,LTE(Long Term Evolution))、公衆無線LAN(Local Area Network)、無線MAN(Metropolitan Area Network)等の様々な無線通信システムが普及している。無線通信システムにおいては、通信サービスの品質を維持するため、ネットワーク上のトラヒック量(例えば、ネットワークの輻輳状態)に応じて移動局の接続先が選択される。移動局が接続先を適切に選択するためには、ネットワーク上のトラヒック量に関する情報が移動局に適切に送信される必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、最適な網リソースを選択可能とするために、基地局から移動局に対して、報知情報によりネットワーク上の網リソースの情報(例えば、輻輳情報)を通知する技術が開示されている。また、特許文献2には、ネットワークの輻輳に関する情報を複数の移動局に対して報知情報により送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2007/043117号公報
【特許文献2】特開2009−77418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ネットワークの輻輳に関する情報を報知情報により送信する特許文献1および特許文献2の技術では、必要な情報が移動局に適時に送信されない可能性がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、ネットワークの輻輳に関する情報を移動局に適切に送信することができる無線通信システムおよび基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る無線通信システムは、移動局と、前記移動局と無線接続可能な基地局とを含む複数のノードを備えるネットワークとを有する無線通信システムであって、前記基地局は、前記ネットワーク内に輻輳中のノードが存在する場合に、前記移動局から送信される前記移動局と前記基地局との無線接続確立の要求を拒絶すると判定する、又は前記移動局と前記基地局との間に確立されている無線接続を解放すると判定する判定部と、前記無線接続確立の要求を拒絶する際又は前記無線接続を解放する際に、拒絶の理由又は解放の理由を示す情報を含むメッセージを前記移動局に送信する送信部とを備える。
以上の構成によれば、ネットワークの輻輳による接続要求の拒絶時または接続解放時にその理由を示す情報を含むメッセージが送信されるから、報知情報によりメッセージが通知される構成と比較して、メッセージが適時に移動局に通知される。
【0008】
本発明の好適な態様において、前記メッセージは、前記輻輳中のノードを示す情報を含む。以上の構成によれば、接続拒絶時または接続解放時に送信されるメッセージにより輻輳中のノードの情報が移動局に伝えられる。
【0009】
本発明の好適な態様において、前記ネットワークは、前記基地局の上位ノードである交換局と、前記交換局の上位ノードであるゲートウェイとをさらに備え、前記ネットワーク内の複数のノードが輻輳中である場合に、前記メッセージは、前記輻輳中のノードのうち最上位のノードを示す情報を含む。
以上の構成によれば、複数のノードが輻輳中である場合に、最上位のノード(すなわち、通信サービスの品質に与える影響が最も大きいノード)を輻輳中のノードであると通知するので、接続拒絶後または接続解放後の接続先選択がより適切となる。したがって、通信サービスの品質が確保される。
【0010】
本発明の好適な態様において、前記ゲートウェイは、前記ゲートウェイの輻輳開始および輻輳終了を検知する輻輳状態検知部と、前記ゲートウェイの輻輳が開始した場合に、輻輳開始を示す輻輳開始信号を前記基地局に送信し、前記ゲートウェイの輻輳が終了した場合に、輻輳終了を示す輻輳終了信号を前記基地局に送信する送信部とを備える。
以上の構成によれば、基地局がゲートウェイの輻輳状態を把握できるので、ネットワーク内の輻輳中のノードの情報がより適切に基地局から移動局へ通知される。
【0011】
本発明の好適な態様において、前記ネットワークは、前記ゲートウェイと前記交換局とを接続する第1の論理的な経路と、前記交換局と前記基地局とを接続する第2の論理的な経路とを備え、前記ゲートウェイは、前記輻輳開始信号および前記輻輳終了信号を前記第1の論理的な経路を介して前記交換局に送信可能であり、前記交換局は、前記ゲートウェイから受信した前記輻輳開始信号および前記輻輳終了信号を前記第2の論理的な経路を介して前記基地局に転送可能である。
【0012】
本発明の好適な態様において、前記ネットワークは、前記ゲートウェイと前記基地局とを接続する論理的な経路を備え、前記ゲートウェイは、前記輻輳開始信号および前記輻輳終了信号を前記論理的な経路を介して前記基地局に送信可能である。以上の構成によれば、交換局を経由せずともゲートウェイから基地局に輻輳開始信号および輻輳終了信号を送信可能である。したがって、移動局に送信される輻輳中のノードの情報がより正確になる。
【0013】
本発明の好適な態様において、前記移動局は、前記メッセージが示す前記輻輳中のノードに基づいて新たな接続先を選択する。以上の構成によれば、接続拒絶後または接続解放後に、メッセージに示された輻輳中のノードに基づいて移動局が接続先を選択するので、移動局が新たに接続を試行する接続先がより適切となる。
【0014】
本発明の好適な態様において、前記移動局は、前記メッセージが示す前記輻輳中のノードを前記移動局のユーザに通知する。以上の構成によれば、輻輳中のノードが移動局のユーザに通知されるので、ユーザがより適切な接続先を選択することが可能となる。
【0015】
本発明に係る基地局は、移動局と無線接続可能な基地局であって、前記基地局は、前記基地局を含む複数のノードを備えるネットワークに含まれ、前記ネットワーク内に輻輳中のノードが存在する場合に、前記移動局から送信される前記移動局と前記基地局との無線接続確立の要求を拒絶すると判定する、又は前記移動局と前記基地局との間に確立されている無線接続を解放すると判定する判定部と、前記無線接続確立の要求を拒絶する際又は前記無線接続を解放する際に、拒絶の理由又は解放の理由を示す情報を含むメッセージを前記移動局に送信する送信部とを備える。以上の基地局でも、本発明の無線通信システムと同様の作用および効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る無線通信システムを示す図である。
【図2】ネットワーク内のノードの論理的な接続関係を示す図である。
【図3】UE,eNodeB,MME,およびP−GWの構成を示す図である。
【図4】RRCコネクション確立要求の拒絶の様子を示すフロー図である。
【図5】RRCコネクション拒絶メッセージのフォーマットを示す図である。
【図6】輻輳箇所とRejectCause値(congestionPoint値)との関係を示す図である。
【図7】第2実施形態のRRCコネクション解放の様子を示すフロー図である。
【図8】RRCコネクション解放メッセージのフォーマットを示す図である。
【図9】第3実施形態に係る無線通信システムを示す図である。
【図10】第3実施形態のネットワーク内のノードの論理的な接続関係を示す図である。
【図11】第3実施形態のRRCコネクション確立要求の拒絶の様子を示すフロー図である。
【図12】第3実施形態のRRCコネクション解放の様子を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信システム1を示すブロック図である。無線通信システム1は、UE(User Equipment)10と、LTEネットワーク20と、3Gネットワーク30とを備える。LTEネットワーク20はLTE通信規格にて動作し、3Gネットワーク30は3G通信規格にて動作する。すなわち、LTEネットワーク20と3Gネットワーク30とは相異なる無線アクセス技術(Radio Access Technology)にて動作する。
【0018】
UE10は、無線インタフェースを具備する移動局であり、複数のネットワーク(LTEネットワーク20および3Gネットワーク30)のそれぞれと無線通信を行うことが可能である。つまり、UE10は複数の無線アクセス技術にて無線通信が可能なマルチモード端末である。
【0019】
3Gネットワーク30は、3G基地局32と3G交換局34とを備える。3G基地局はUE10と直接的に無線接続することが可能である。3G交換局は3G基地局32の上位、すなわち、PDN(Packet Data Network)70に論理的により近い側に配置される。PDN70はIP(Internet Protocol)にて動作する外部ネットワーク(例えばインターネット)である。
【0020】
LTEネットワーク20は、eNodeB(evolved Node B)22、MME(Mobility Management Entity)24、S−GW(Serving Gateway)26、およびP−GW(Packet Data Network Gateway)28とを備える。eNodeB22は基地局に相当する機能要素であり、UE10と直接的に無線接続することが可能である。MME24は交換局(制御用交換局)に相当する機能要素であり、LTEネットワーク20内の他のノード(eNodeB22、MME24、S−GW26、およびP−GW28)並びに3G交換局34との間で相互に制御メッセージCMを送受信することが可能である。制御メッセージはCプレーン(制御プレーン、Control Plane)の以下のインタフェース(論理的な接続回路)を介して送受信される。
・MME24−eNodeB22間:S1−MMEインタフェース
・MME24−3G基地局32間:S3インタフェース
・MME24−S−GW26間:S11インタフェース
・MME24−P−GW28間:S5−MMEインタフェース
以上のCプレーンのインタフェースのうち、S1−MMEインタフェース、S3インタフェース、およびS11インタフェースは既に3GPP規格に規定されている(例えば、3GPP TS 23.401 V10.3.0参照)。S5−MMEインタフェースが本発明において新たに提案される。
【0021】
他方、eNodeB22とS−GW26とがUプレーン(ユーザプレーン、User Plane)のS1−Uインタフェースにて接続され、S−GW26とP−GW28とがUプレーンのS5インタフェースにて接続される。S−GW26は、UE10がeNodeB22を介して送信するユーザデータ(ユーザパケット)のルーティング機能および転送機能を有する機能要素である。P−GW28は、LTEネットワーク20とPDN70との接続点に存在する機能要素であり、PDN70とユーザデータの送受信を行う。
【0022】
以上から理解されるように、MME24およびS−GW26はeNodeB22の上位ノードであり、P−GW28はMME24およびS−GW26の上位ノードである。
【0023】
図2は、LTEネットワーク20内の各ノードの論理的な接続関係を示す図である。前述のように、Cプレーンにおいては、eNodeB22とMME24とがS1−MMEインタフェースにて接続され、MME24とS−GW26とがS11インタフェースにて接続され、MME24とP−GW28とがS5−MMEインタフェースにて接続される。また、Uプレーンにおいては、eNodeB22とS−GW26とがS1−Uインタフェースにて接続され、S−GW26とP−GW28とがS5インタフェースにて接続される。したがって、例えばS−GW26からP−GW28へ大量のデータ(パケット)が送信されたことによりP−GW28にて輻輳が発生した場合に、P−GW28は、CプレーンのS5−MMEインタフェースを介して、自らが輻輳中であることを示す制御メッセージCMをMME24に送信することが可能である。
【0024】
図3に、第1実施形態のUE10、eNodeB22、MME24、およびP−GW28の構成を示す。UE10は送受信部102と通信部104とを備える。eNodeB22は送受信部222と判定部224と状態検知部226とを備える。MME24は送受信部242と状態検知部246とを備える。P−GW28は送受信部282と状態検知部286とを備える。以上の各要素は、各ノードがコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
【0025】
UE10の送受信部102は、通信部104からの通信要求に従い、RRC(Radio Resource Control)コネクション確立要求メッセージ(例えば、3GPP TS 36.331 V10.1.0に規定されるRRC Connection Request message)RQをeNodeB22に送信する。RRCコネクション確立要求メッセージRQは、UE10とLTEネットワーク20(eNodeB22)との無線接続の確立を要求するメッセージである。eNodeB22の送受信部222は、RRCコネクション確立要求メッセージRQを受信して判定部224に送る。
【0026】
他方、P−GW28の状態検知部286は、P−GW28の輻輳開始および輻輳終了を検知して送受信部282に知らせる。送受信部282は、状態検知部286が輻輳開始を検知した場合には、輻輳開始を示す制御メッセージCMを生成してMME24の送受信部242に送信し、状態検知部286が輻輳終了を検知した場合には、輻輳終了を示す制御メッセージCMを生成してMME24の送受信部242に送信する。
【0027】
MME24の送受信部242は、P−GW28の送受信部282から受信した制御メッセージCM(輻輳開始を示す制御メッセージCMおよび輻輳終了を示す制御メッセージCM)をeNodeB22の送受信部222に転送する。
また、MME24の状態検知部246は、MME24の輻輳開始および輻輳終了を検知して送受信部242に知らせる。送受信部242は、状態検知部246が輻輳開始を検知した場合には、輻輳開始を示す制御メッセージCMを生成してeNodeB22の送受信部222に送信し、状態検知部246が輻輳終了を検知した場合には、輻輳終了を示す制御メッセージCMを生成してeNodeB22の送受信部222に送信する。
【0028】
eNodeB22の送受信部222は、MME24の送受信部242から受信した制御メッセージCMを判定部224に送る。また、eNodeB22の状態検知部226は、eNodeB22の輻輳開始および輻輳終了を検知して判定部224に知らせる。したがって、eNodeB22(判定部224)は、LTEネットワーク20内の各ノード(P−GW28、MME24、およびeNodeB22)が輻輳中か否かの情報を有する。
【0029】
eNodeB22の判定部224は、LTEネットワーク20内に輻輳中のノードが存在する場合に、RRCコネクション確立要求メッセージRQを拒絶すると判定し、RRCコネクション拒絶メッセージRJを生成して送受信部222に送る。RRCコネクション拒絶メッセージRJは送受信部222から送信され、UE10の送受信部102に受信され、通信部104に送られる。UE10(通信部104)は、後述するように、RRCコネクション拒絶メッセージRJの内容に基づいて接続先を新たに選択する。
【0030】
他方、LTEネットワーク20内に輻輳中のノードが存在しない場合、判定部224は、RRCコネクション確立要求メッセージRQを受け入れて接続を確立すると判定する。UE10により生成されたRRCコネクション確立要求メッセージRQは、判定部224の接続確立判定に基づいて上位ノードに転送され、UE10とLTEネットワーク20との無線接続が確立される。
【0031】
図4を参照して、第1実施形態のRRCコネクション要求の拒絶について説明する。図4は、P−GW28にて輻輳が生じた場合を例示している。P−GW28にて輻輳が発生すると、輻輳開始を示す制御メッセージCMがP−GW28(送受信部282)からMME24に送信される(S101)。MME24(送受信部242)は、受信した制御メッセージCMをeNodeB22に転送する(S102)。eNodeB22の送受信部222が制御メッセージCMを受信し判定部224に送る。判定部224は、制御メッセージCM(P−GW28の輻輳が開始したという情報)をeNodeB22の記憶部(不図示)に記憶する(S103)。
【0032】
その後、UE10がRRCコネクション確立要求メッセージRQをeNodeB22に送信する(S111)。送受信部222を介してRRCコネクション確立要求メッセージRQを受信した判定部224は、LTEネットワーク20内に輻輳中のノード(P−GW28)が存在するので、RRCコネクション確立要求メッセージRQによる無線接続確立の要求を拒絶すべきと判定し、送受信部222を介してRRCコネクション拒絶メッセージRJをUE10に送信する(S112)。UE10はeNodeB22との接続確立の試行を中止し、接続先を新たに選択する。
【0033】
P−GW28の輻輳が終了すると、輻輳終了を示す制御メッセージCMがP−GW28(送受信部282)からMME24に送信される(S121)。MME24(送受信部242)は受信した制御メッセージCMをeNodeB22に転送する(S122)。eNodeB22の送受信部222が制御メッセージCMを受信し判定部224に送る。判定部224は制御メッセージCM(P−GW28の輻輳が終了したという情報)をeNodeB22の記憶部に記憶する(S123)。
【0034】
図5は、LTEネットワーク20(eNodeB22)がUE10に送信するRRCコネクション拒絶メッセージRJの具体的なフォーマットの例を、ASN.1(Abstract Syntax Notation One)記法で記載した図である。RRCコネクション拒絶メッセージRJにおいて、waitTimeを含むいくつかのパラメータは既存である(3GPP TS 36.331 V10.1.0に規定されるRRC Connection Reject messageを参照)。
【0035】
RejectCauseが今回新たに提案されるパラメータである。RejectCauseは、UE10からのRRCコネクション確立要求メッセージRQによる無線接続確立の要求を拒絶する理由を示す。RejectCauseのデータ型は列挙型(ENUMERATED)であり、RANOverload,CNOverload,およびPGWOverloadの3つの値(拒絶の理由)が含まれる。なお、RejectCauseに含まれるspare1は空き領域(未定義領域)であり、拒絶の理由を示すものではない。
【0036】
RejectCauseは、LTEネットワーク20内の輻輳中のノードの情報を示す。具体的には、RANOverloadは、無線アクセスネットワーク(RAN,Radio Access Network)部分、すなわちeNodeB22にて輻輳が生じていることを示す値である。CNOverloadは、コアネットワーク(CN,Core Network)部分、すなわちMME24またはS−GW26にて輻輳が生じていることを示す値である。なお、S−GW26はMME24の制御により接続処理を実行するので、MME24の輻輳とS−GW26の輻輳とは等価である。PGWOverloadは、P−GW28にて輻輳が生じていることを示す値である。
【0037】
RejectCauseはRANOverload,CNOverload,およびPGWOverloadのいずれか1つの値を取る変数である。図6に、LTEネットワーク20内のノードの輻輳状態とRejectCauseの値との関係を示す。eNodeB22の判定部224は、P−GW28が輻輳中である場合、eNodeB22およびMME24の輻輳状態に関わらずPGWOverloadをRejectCauseの値として選択する。判定部224は、P−GW28が輻輳しておらず、MME24が輻輳中である場合、eNodeB22の輻輳状態に関わらずCNOverloadをRejectCauseの値として選択する。判定部224は、P−GW28およびMME24が輻輳しておらず、eNodeB22のみが輻輳している場合には、RANOverloadをRejectCauseの値として選択する。すなわち、LTEネットワーク20内の複数のノードが輻輳中である場合、RRCコネクション拒絶メッセージRJは、輻輳中のノードのうち最上位(論理的に最もPDN70に近い側)のノードを示す情報を含む。
【0038】
RRCコネクション拒絶メッセージRJを受信したUE10は、RejectCauseが示す輻輳中のノードに基づいて接続先を新たに選択する。例えば、P−GW28が輻輳中である場合には、LTEネットワーク20からPDN70へ向かう経路が利用不可であることから、P−GW28を共有しない他のネットワーク(例えば、不図示の公衆無線LANネットワーク)を新たな接続先として選択して接続を試行する。また、MME24(S−GW26)が輻輳中である場合には、3G交換局34を経由すればP−GW28を利用してPDN70へデータを送信可能であるため、3Gネットワーク30(3G基地局32)を新たな接続先として選択して接続を試行する。また、eNodeB22が輻輳中である場合には、LTEネットワーク20内の他のeNodeBに接続すれば輻輳中のeNodeB22を回避可能であるため、他のeNodeBを新たな接続先として選択して接続を試行する。なお、RRCコネクション拒絶メッセージRJの受信後、RejectCauseが示す輻輳中のノードに応じた所定の待機時間後に再度の接続を試行する構成も採用し得る。
【0039】
また、RRCコネクション拒絶メッセージRJを受信したUE10が、RejectCauseが示す輻輳中のノードの情報を音声、画面表示、またはその他の方式によりUE10のユーザに通知してもよい。UE10は、輻輳中のノードの情報と併せて、UE10が現時点で選択可能な接続先の情報(例えば、P−GW28が輻輳中の場合には、選択可能な公衆無線LANネットワークの情報)をユーザに通知し得る。ユーザは、UE10を操作して通知された接続先を選択し得る。UE10は選択された接続先に接続を試行する。
【0040】
以上に説明した第1実施形態によれば、新たに提案されたRRCコネクション拒絶メッセージRJにより輻輳中のノードをUE10に伝えることができる。すなわち、UE10は、LTEネットワーク20(eNodeB22)との接続確立が拒絶された時(つまり、接続が確立される前)に輻輳中のノードを知ることができる。したがって、接続拒絶時に輻輳中のノードを知らされない構成と比較して、接続拒絶後に新たに接続すべき接続先をUE10が適切に選択することが可能であるので、通信サービスの品質がより向上する。また、報知情報により輻輳状態が通知される構成と比較して、適時に輻輳情報をUE10に通知することができる。さらに、複数のノードが輻輳中である場合には、最上位のノード(すなわち、通信サービスの品質に与える影響が最も大きいノード)を輻輳中のノードであると通知するので、接続拒絶後の接続先がより適切に選択される。
【0041】
また、新たに提案されたS5−MMEインタフェースにより、P−GW28の輻輳開始および輻輳終了を示す制御メッセージCMがMME24を経由してeNodeB22に送信されるので、S5−MMEインタフェースが存在しない構成と比較して、ネットワーク内の輻輳中ノードの情報がeNodeB22により適切にUE10に通知される。したがって、接続拒絶後の接続先をUE10がより適切に選択することが可能となる。
【0042】
<B:第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各態様において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0043】
第1実施形態では、LTEネットワーク20内のノードに輻輳が生じている場合に、UE10がLTEネットワーク20(eNodeB22)に接続要求したときの動作を説明した。第2実施形態では、既にUE10とLTEネットワーク20(eNodeB22)との間で無線接続が確立されている状態において、LTEネットワーク20内のノードに輻輳が発生した場合の動作について説明する。
【0044】
図7を参照して、第2実施形態のRRCコネクションの解放について説明する。図7は、UE10とLTEネットワーク20(eNodeB22)との接続確立中に、P−GW28にて輻輳が生じた場合を例示している。P−GW28にて輻輳が発生すると、輻輳開始を示す制御メッセージCMがP−GW28(送受信部282)からMME24に送信される(S201)。MME24(送受信部242)は、受信した制御メッセージCMをeNodeB22に転送する(S202)。eNodeB22の送受信部222が制御メッセージCMを受信し判定部224に送る。判定部224は、制御メッセージCM(P−GW28の輻輳が開始したという情報)をeNodeB22の記憶部(不図示)に記憶する(S203)。
【0045】
判定部224は、LTEネットワーク20内に輻輳中のノード(P−GW28)が存在するので、UE10とeNodeB22との間に確立されている無線接続を解放すべきと判定し、送受信部222を介してRRCコネクション解放メッセージRLをUE10に送信する(S204)。UE10はeNodeB22との無線接続を解放し、接続先を新たに選択する。
【0046】
P−GW28の輻輳が終了すると、輻輳終了を示す制御メッセージCMがP−GW28(送受信部282)からMME24に送信される(S211)。MME24(送受信部242)は受信した制御メッセージCMをeNodeB22に転送する(S212)。eNodeB22の送受信部222が制御メッセージCMを受信し判定部224に送る。判定部224は制御メッセージCM(P−GW28の輻輳が終了したという情報)をeNodeB22の記憶部に記憶する(S213)。
【0047】
図8は、LTEネットワーク20(eNodeB22)がUE10に送信するRRCコネクション解放メッセージRLの具体的なフォーマットの例を、ASN.1記法で記載した図である。RRCコネクション解放メッセージRLの基本構成は既存である(3GPP TS 36.331 V10.1.0に規定されるRRC Connection Release messageを参照)。
【0048】
ReleaseCauseパラメータ(列挙型)は、UE10とeNodeB22との間に確立されているRRCコネクションを解放すべき理由を示す値を有する。既存のReleaseCauseパラメータに新たな値congestionが追加される。congestionは、ネットワーク内に輻輳が生じていることを示す値である。
【0049】
また、新たに設けられたcongestionPointパラメータ(列挙型)は、ReleaseCauseにcongestionが設定された場合(すなわち、輻輳が発生している場合)にのみ用いられる値である。congestionPointは、LTEネットワーク20内の輻輳中のノードの情報を示す値であり、第1実施形態のRejectCauseパラメータと同様に、RANOverload,CNOverload,およびPGWOverloadのいずれか1つの値を取る。各値が示す意味は第1実施形態のRejectCauseパラメータと同様であり、LTEネットワーク20内のノードの輻輳状態とcongestionPointの値との関係も第1実施形態(図6)と同様である。したがって、LTEネットワーク20内の複数のノードが輻輳中である場合、RRCコネクション解放メッセージRLは、輻輳中のノードのうち最上位(論理的に最もPDN70に近い側)のノードを示す情報を含む。
【0050】
RRCコネクション解放メッセージRLを受信したUE10は、RRCコネクション拒絶メッセージRJを受信した第1実施形態のUE10と同様に、輻輳中のノードに基づいて新たな接続先を選択する。
【0051】
以上に説明した第2実施形態によれば、新たに提案されたRRCコネクション解放メッセージRLにより輻輳中のノードの情報をUE10に伝えることができる。すなわち、UE10は、LTEネットワーク20(eNodeB22)との接続が解放された時に輻輳中のノードを知ることができる。したがって、接続解放時に輻輳中のノードを知らされない構成と比較して、接続解放後に新たに接続すべき接続先をUE10が適切に選択することが可能であるので、通信サービスの品質がより向上する。また、報知情報により輻輳状態が別途通知される構成と比較して、適時に輻輳情報をUE10に通知することができる。さらに、複数のノードが輻輳中である場合には、最上位のノードを輻輳中のノードであると通知するので、接続解放後の接続先がより適切に選択される。
【0052】
<C:第3実施形態>
以上の実施形態では、P−GW28とMME24とがS5−MMEインタフェースにて論理的に接続された。第3実施形態では、P−GW28とeNodeB22とが論理的に接続される。
【0053】
図9は第3実施形態の無線通信システム1を示すブロック図であり、図10は、第3実施形態のLTEネットワーク20内の各ノードの論理的な接続関係を示す図である。Cプレーンにおいて、MME24と3G交換局34とがS3インタフェースにて接続され、MME24とS−GW26とがS11インタフェースにて接続される(MME24とP−GW28とは直接的には接続されない)。そして、eNodeB22とP−GW28とが、新たに提案されるS5−eNBインタフェースにて論理的に接続される。したがって、例えばS−GW26からP−GW28へ大量のデータ(パケット)が送信されたことによりP−GW28にて輻輳が発生した場合に、P−GW28は、CプレーンのS5−eNBインタフェースを介して、自らが輻輳中であることを示す制御メッセージCMをeNodeB22に送信することが可能である。
【0054】
図11は、第3実施形態のRRCコネクション要求の拒絶の様子を示すフロー図である。P−GW28にて輻輳が発生すると、輻輳開始を示す制御メッセージCMがP−GW28(送受信部282)からeNodeB22に送信される(S301)。eNodeB22の送受信部222が制御メッセージCMを受信し判定部224に送る。判定部224は、制御メッセージCM(P−GW28の輻輳が開始したという情報)をeNodeB22の記憶部(不図示)に記憶する(S302)。その後、UE10がRRCコネクション確立要求メッセージRQをeNodeB22に送信する(S311)。送受信部222を介してRRCコネクション確立要求メッセージRQを受信した判定部224は、LTEネットワーク20内に輻輳中のノード(P−GW28)が存在するので、RRCコネクション確立要求メッセージRQによる無線接続確立の要求を拒絶すべきと判定し、送受信部222を介してRRCコネクション拒絶メッセージRJをUE10に送信する(S312)。UE10はeNodeB22との接続確立の試行を中止し、接続先を新たに選択する。
【0055】
図12は、第3実施形態のRRCコネクション解放の様子を示すフロー図である。P−GW28にて輻輳が発生すると、輻輳開始を示す制御メッセージCMがP−GW28(送受信部282)からeNodeB22に送信される(S401)。eNodeB22の送受信部222が制御メッセージCMを受信し判定部224に送る。判定部224は制御メッセージCM(P−GW28の輻輳が開始したという情報)をeNodeB22の記憶部(不図示)に記憶する(S402)。判定部224は、LTEネットワーク20内に輻輳中のノード(P−GW28)が存在するので、UE10とeNodeB22との間に確立されている無線接続を解放すべきと判定し、送受信部222を介してRRCコネクション解放メッセージRLをUE10に送信する(S403)。UE10はeNodeB22との無線接続を解放し接続先を新たに選択する。
【0056】
以上に説明した第3実施形態によれば、新たに提案されたS5−eNBインタフェースにより、第1実施形態および第2実施形態と同様の効果が奏される。また、MME24が輻輳等の理由により制御メッセージCMを転送できない場合であっても、P−GW28からeNodeB22へ制御メッセージCMを送信することができる。したがって、eNodeB22がUE10へ送信する輻輳中のノードの情報の正確性がより高まる。
【0057】
<D:変形例>
以上の実施の形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相互に矛盾しない限り適宜に併合され得る。
【0058】
(1)変形例1
以上の各形態では、無線アクセス技術としてLTEおよび3Gが用いられた。しかし、使用される無線アクセス技術は任意であり、例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線MANが無線アクセス技術として用いられてもよい。
【0059】
(2)変形例2
LTEネットワーク20内の各ノード(eNodeB22,MME24,S−GW26,およびP−GW28)は機能要素(論理エンティティ)であるから、以上の各形態のように各ノードが個別の装置(物理エンティティ)として設けられる代わりに、2以上のノードが1つの装置として設けられてもよい。例えば、S−GW26とP−GW28とが物理的に統合された1つの装置として設けられてもよい。
【0060】
(3)変形例3
以上の各形態では、P−GW28が送信する制御メッセージCMによってP−GW28の輻輳開始および輻輳終了がeNodeB22に知らされたが、eNodeB22がP−GW28に対して疎通確認を実行することによってP−GW28の輻輳状態を把握してもよい。
【0061】
(4)変形例4
以上の各形態では、ネットワーク内にて複数のノードが輻輳中である場合に、最上位のノードを示す情報のみをeNodeB22からUE10へ送信したが、輻輳中の全てのノードの情報をeNodeB22からUE10へ送信してもよい。
【0062】
(5)変形例5
UE10は、ネットワーク(例えばLTEネットワーク20)と無線通信が可能な任意の装置である。UE10は、例えば携帯電話端末でもよく、デスクトップ型パーソナルコンピュータでもよく、ノート型パーソナルコンピュータでもよく、UMPC(Ultra-Mobile Personal Computer)でもよく、携帯用ゲーム機でもよく、その他の無線端末でもよい。
【0063】
(6)変形例6
UE10およびLTEネットワーク20の各ノード(eNodeB22,MME24,S−GW26,P−GW28)においてCPUが実行する各機能は、CPUの代わりに、ハードウェアで実行してもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルロジックデバイスで実行してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1……無線通信システム、10……UE、102……送受信部、104……通信部、20……LTEネットワーク、22……eNodeB、24……MME、26……S−GW、28……P−GW、222……送受信部、224……判定部、226……状態検知部、242……送受信部、246……状態検知部、282……送受信部、286……状態検知部、30……3Gネットワーク、32……3G基地局、34……3G交換局、70……PDN、CM……制御メッセージ、RJ……コネクション拒絶メッセージ、RL……コネクション解放メッセージ、RQ……コネクション確立要求メッセージ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局と、前記移動局と無線接続可能な基地局とを含む複数のノードを備えるネットワークとを有する無線通信システムであって、
前記基地局は、前記ネットワーク内に輻輳中のノードが存在する場合に、前記移動局から送信される前記移動局と前記基地局との無線接続確立の要求を拒絶すると判定する、又は前記移動局と前記基地局との間に確立されている無線接続を解放すると判定する判定部と、
前記無線接続確立の要求を拒絶する際又は前記無線接続を解放する際に、拒絶の理由又は解放の理由を示す情報を含むメッセージを前記移動局に送信する送信部とを備える
無線通信システム。
【請求項2】
前記メッセージは、前記輻輳中のノードを示す情報を含む
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記ネットワークは、前記基地局の上位ノードである交換局と、前記交換局の上位ノードであるゲートウェイとをさらに備え、
前記ネットワーク内の複数のノードが輻輳中である場合に、前記メッセージは、前記輻輳中のノードのうち最上位のノードを示す情報を含む
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記ゲートウェイは、
前記ゲートウェイの輻輳開始および輻輳終了を検知する輻輳状態検知部と、
前記ゲートウェイの輻輳が開始した場合に、輻輳開始を示す輻輳開始信号を前記基地局に送信し、前記ゲートウェイの輻輳が終了した場合に、輻輳終了を示す輻輳終了信号を前記基地局に送信する送信部とを備える
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記ネットワークは、前記ゲートウェイと前記交換局とを接続する第1の論理的な経路と、前記交換局と前記基地局とを接続する第2の論理的な経路とを備え、
前記ゲートウェイは、前記輻輳開始信号および前記輻輳終了信号を前記第1の論理的な経路を介して前記交換局に送信可能であり、
前記交換局は、前記ゲートウェイから受信した前記輻輳開始信号および前記輻輳終了信号を前記第2の論理的な経路を介して前記基地局に転送可能である
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記ネットワークは、前記ゲートウェイと前記基地局とを接続する論理的な経路を備え、
前記ゲートウェイは、前記輻輳開始信号および前記輻輳終了信号を前記論理的な経路を介して前記基地局に送信可能である
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記移動局は、
前記メッセージが示す前記輻輳中のノードに基づいて新たな接続先を選択する
請求項2から6のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記移動局は、
前記メッセージが示す前記輻輳中のノードを前記移動局のユーザに通知する
請求項2から6のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
移動局と無線接続可能な基地局であって、
前記基地局は、
前記基地局を含む複数のノードを備えるネットワークに含まれ、
前記ネットワーク内に輻輳中のノードが存在する場合に、前記移動局から送信される前記移動局と前記基地局との無線接続確立の要求を拒絶すると判定する、又は前記移動局と前記基地局との間に確立されている無線接続を解放すると判定する判定部と、
前記無線接続確立の要求を拒絶する際又は前記無線接続を解放する際に、拒絶の理由又は解放の理由を示す情報を含むメッセージを前記移動局に送信する送信部とを備える
基地局。
【請求項1】
移動局と、前記移動局と無線接続可能な基地局とを含む複数のノードを備えるネットワークとを有する無線通信システムであって、
前記基地局は、前記ネットワーク内に輻輳中のノードが存在する場合に、前記移動局から送信される前記移動局と前記基地局との無線接続確立の要求を拒絶すると判定する、又は前記移動局と前記基地局との間に確立されている無線接続を解放すると判定する判定部と、
前記無線接続確立の要求を拒絶する際又は前記無線接続を解放する際に、拒絶の理由又は解放の理由を示す情報を含むメッセージを前記移動局に送信する送信部とを備える
無線通信システム。
【請求項2】
前記メッセージは、前記輻輳中のノードを示す情報を含む
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記ネットワークは、前記基地局の上位ノードである交換局と、前記交換局の上位ノードであるゲートウェイとをさらに備え、
前記ネットワーク内の複数のノードが輻輳中である場合に、前記メッセージは、前記輻輳中のノードのうち最上位のノードを示す情報を含む
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記ゲートウェイは、
前記ゲートウェイの輻輳開始および輻輳終了を検知する輻輳状態検知部と、
前記ゲートウェイの輻輳が開始した場合に、輻輳開始を示す輻輳開始信号を前記基地局に送信し、前記ゲートウェイの輻輳が終了した場合に、輻輳終了を示す輻輳終了信号を前記基地局に送信する送信部とを備える
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記ネットワークは、前記ゲートウェイと前記交換局とを接続する第1の論理的な経路と、前記交換局と前記基地局とを接続する第2の論理的な経路とを備え、
前記ゲートウェイは、前記輻輳開始信号および前記輻輳終了信号を前記第1の論理的な経路を介して前記交換局に送信可能であり、
前記交換局は、前記ゲートウェイから受信した前記輻輳開始信号および前記輻輳終了信号を前記第2の論理的な経路を介して前記基地局に転送可能である
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記ネットワークは、前記ゲートウェイと前記基地局とを接続する論理的な経路を備え、
前記ゲートウェイは、前記輻輳開始信号および前記輻輳終了信号を前記論理的な経路を介して前記基地局に送信可能である
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記移動局は、
前記メッセージが示す前記輻輳中のノードに基づいて新たな接続先を選択する
請求項2から6のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記移動局は、
前記メッセージが示す前記輻輳中のノードを前記移動局のユーザに通知する
請求項2から6のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
移動局と無線接続可能な基地局であって、
前記基地局は、
前記基地局を含む複数のノードを備えるネットワークに含まれ、
前記ネットワーク内に輻輳中のノードが存在する場合に、前記移動局から送信される前記移動局と前記基地局との無線接続確立の要求を拒絶すると判定する、又は前記移動局と前記基地局との間に確立されている無線接続を解放すると判定する判定部と、
前記無線接続確立の要求を拒絶する際又は前記無線接続を解放する際に、拒絶の理由又は解放の理由を示す情報を含むメッセージを前記移動局に送信する送信部とを備える
基地局。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−227815(P2012−227815A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95028(P2011−95028)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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