無線通信機器
【課題】意匠性を損なうことなくアンテナ装置の受信感度を改善できる無線通信機器を提供する。
【解決手段】人型キャラクタを模した外観形状を有する無線通信機器100が、胴体部110及び腕部120Rを有する。胴体部110は、人型キャラクタの胴体と対応する外観形状を有する。腕部120Rは、胴体部110から延び、人型キャラクタの腕と対応する外観形状を有し、且つ電波を受信又は送信するためのアンテナ装置の少なくとも一部として機能するように構成される。
【解決手段】人型キャラクタを模した外観形状を有する無線通信機器100が、胴体部110及び腕部120Rを有する。胴体部110は、人型キャラクタの胴体と対応する外観形状を有する。腕部120Rは、胴体部110から延び、人型キャラクタの腕と対応する外観形状を有し、且つ電波を受信又は送信するためのアンテナ装置の少なくとも一部として機能するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置を有する無線通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送受信機や無線LAN子機等の無線通信機器は、電波を受信/送信するためのアンテナ装置を有する。アンテナ装置は、特定周波数帯の電波に共振するように構成される。アンテナ装置は、同種のものであれば、そのサイズが大きいほど受信感度が良好になることが知られている。
【0003】
また、近年では、意匠性が高められた無線通信機器の提供が検討されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の無線通信機器は、人形の外観形状を有するハウジングと、ハウジング内に配置されたアンテナ装置とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−226270号公報(第10図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の無線通信機器は、ハウジング内にアンテナ装置が配置される構成であり、次のような問題がある。
【0006】
具体的には、ハウジング内のスペースが限られ、アンテナ装置のサイズが制限されるため、受信感度の改善を図ることが難しいという問題がある。一方で、アンテナ装置のサイズを大きくしようとすると、ハウジングの形状を変更せざるを得なくなり、意匠性を損なうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、意匠性を損なうことなくアンテナ装置の受信感度を改善できる無線通信機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、アンテナ装置を具備し、原型意匠を模した外観形状を有する無線通信機器(無線通信機器100)であって、前記原型意匠の第1部分(例えば胴体)と対応する外観形状を有する本体部(例えば胴体部110)と、前記原型意匠の第2部分(例えば腕)と対応する外観形状を有し、前記本体部から延び、且つ少なくとも一部が導体から成る延出部(例えば腕部120R)とを備え、前記延出部は、前記アンテナ装置の少なくとも一部を構成することを要旨とする。
【0009】
第1の特徴によれば、原型意匠と対応する外観形状を有する延出部が、アンテナ装置の少なくとも一部として機能するように構成される。これにより、原型意匠と対応する外観形状を積極的にアンテナ装置として活用できるため、意匠性を損なうことなくアンテナ装置のサイズを大きくすることができ、アンテナ装置の受信感度を改善できる。
【0010】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記延出部の略全体が導体から成り、前記延出部は、鋳造により一体的に形成されることを要旨とする。
【0011】
第2の特徴によれば、原型意匠と対応する外観形状を有する延出部の略全体を導体とすることで、意匠性を損なうことなくアンテナ装置のサイズを大きくすることができる。
【0012】
また、特許文献1に記載の無線通信機器を製造するためには、ハウジングを製造する工程と、アンテナ装置を製造する工程と、ハウジング内にアンテナ装置を組み込む工程とが必要であり、製造時の工程数が多いという問題がある。
【0013】
一方、第2の特徴では、延出部を鋳造により一体的に形成することで、ハウジングを製造する工程とハウジング内にアンテナ装置を組み込む工程とを不要にすることができ、製造工程を簡略化できる。
【0014】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記延出部は、それぞれ導体から成る信号線路(信号線路125a、信号線路126a、又は信号線路127a)及び接地線路(接地線路125c、接地線路126c、又は接地線路127c)と、誘電体から成り、前記信号線路と前記接地線路との間に設けられる隔離体(隔離体125b、隔離体126b、又は隔離体127b)とを備えることを要旨とする。
【0015】
第3の特徴によれば、原型意匠と対応する外観形状を有する延出部をアンテナ装置の同軸線路又は分布定数回路等として機能するように構成することができるため、意匠性を損なうことなくアンテナ装置の受信感度を改善できる。
【0016】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1〜第3の何れかの特徴に係り、記原型意匠の第3部分と対応する外観形状を有し、前記延出部に着脱可能なアンテナエレメント(アンテナエレメント150)をさらに備え、前記延出部は、導体が露出する露出部分(露出部分122a)を有し、前記アンテナエレメントは、前記露出部分に接続され、前記アンテナ装置の一部を構成することを要旨とする。
【0017】
第4の特徴によれば、原型意匠と対応する外観形状を有するアンテナエレメントがアンテナ装置の一部を構成することにより、原型意匠と対応する外観形状を積極的にアンテナ装置として活用できる。また、不使用時にはアンテナエレメントを取り外しておくことができ、アンテナエレメントの破損を防ぐことができる。また、異なる周波数帯の無線に対応する為に、大きさ及び外観意匠が異なる複数種類のアンテナエレメントの何れかを付け替えて使用できる。
【0018】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1〜第4の何れかの特徴に係り、前記延出部は、前記本体部とは別体に構成されることを要旨とする。
【0019】
第5の特徴によれば、延出部を本体部とは別体に構成することで、延出部の加工が容易になり、意匠性を高めることに寄与できる。
【0020】
本発明の第6の特徴は、本発明の第5の特徴に係り、前記延出部は、前記本体部に対して回動可能に構成されることを要旨とする。
【0021】
第6の特徴によれば、延出部を本体部に対して回動可能に構成することで、ユーザが延出部の角度を調整可能になり、受信感度の改善を図ることができる。
【0022】
本発明の第7の特徴は、本発明の第1〜第6の何れかの特徴に係り、前記原型意匠は、人間の顔に相当する部分を有する意匠であることを要旨とする。
【0023】
第7の特徴によれば、人間の顔に相当する部分を有する意匠を模した外観形状を有する無線通信機器を構成することで、無線通信機器への親しみやすさをユーザに与えることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、意匠性を損なうことなくアンテナ装置の受信感度を改善できる無線通信機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線通信機器の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る無線通信機器の正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る無線通信機器の側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る無線通信機器の側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る胴体部の基部、及び脚部の斜視図である。
【図6】図6(a)は、接触子の斜視図であり、図6(b)は、接触子が取り付けられた基部の正面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る胴体部、腕部及びアンテナエレメントを分離した状態の斜視図である。
【図8】図7のA−A線に沿う腕部の断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態の本変更例に係る無線通信機器の斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る腕部の構成例1を示す図である。
【図11】図11(a)は、本発明の第2実施形態に係る胴体部の一部拡大断面図であり、図11(b)は、本発明の第2実施形態に係る脚部の斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る腕部の構成例2を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る腕部の構成例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して、本発明の第1実施形態、第2実施形態、及びその他の実施形態を説明する。以下の実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0027】
(1)第1実施形態
以下において、第1実施形態に係る無線通信機器について、(1.1)無線通信機器の全体構成、(1.2)胴体部及び脚部の詳細構成、(1.3)腕部及びアンテナエレメントの詳細構成、(1.4)第1実施形態の効果、(1.5)第1実施形態の変更例の順に説明する。
【0028】
(1.1)無線通信機器の全体構成
先ず、図1〜図4を参照して、第1実施形態に係る無線通信機器100の全体構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る無線通信機器100の斜視図である。図2は、第1実施形態に係る無線通信機器100の正面図である。図3及び図4は、第1実施形態に係る無線通信機器100の側面図である。
【0029】
図1〜図3に示すように、無線通信機器100は、人型キャラクタを模した外観形状を有する。第1実施形態では、無線通信機器100は、テレビ放送波を受信するテレビ放送受信機として構成される。
【0030】
無線通信機器100は、人型キャラクタの胴体と対応する外観形状を有する胴体部110と、人型キャラクタの腕と対応する外観形状を有する腕部120R,120Lと、人型キャラクタの脚と対応する外観形状を有する脚部130と、人型キャラクタの顔と対応する外観形状を有する顔部140と、人型キャラクタの小物と対応する外観形状を有するアンテナエレメント150とを有する。
【0031】
第1実施形態において胴体部110は、原型意匠(人型キャラクタ)の第1部分(胴体)と対応する外観形状を有する本体部に相当する。腕部120Rは、原型意匠(人型キャラクタ)の第2部分(腕)と対応する外観形状を有する延出部に相当する。
【0032】
胴体部110は、図1に示すように、2分割式に構成されており、基部110aと前面部110bとを有する。基部110a及び前面部110bは、例えば樹脂から成り、その表面が塗装されている。胴体部110の内側には、図2及び図3に示すように、金属製の接触子111が設けられる。
【0033】
腕部120Rは、人型キャラクタの右腕と対応する外観形状を有し、胴体部110の上部右側から延びる。腕部120Rは、胴体部110とは別体に構成され、左右方向の回転軸を中心として胴体部110に対して回動可能に構成される。腕部120Rは、導体から成る。第1実施形態では、腕部120Rは、アルミダイキャスト又は亜鉛ダイキャスト等の金属製の材料から成り、その表面が塗装されている。
【0034】
腕部120Lは、胴体部110の上部左側から延びる。腕部120Rは、胴体部110とは別体に構成され、左右方向の回転軸を中心として胴体部110に対して回動可能に構成される。腕部120Lは、例えば樹脂から成り、その表面が塗装されている。
【0035】
脚部130は、胴体部110の下側において胴体部110に取り付けられる。脚部130は、左右方向の回転軸を中心として回動可能に構成される(図3及び図4参照)。第1実施形態においては、脚部130の内側には、無線通信機器100のホスト機器(不図示)との間で信号の送受信を行うための通信用回路が組み込まれる。
【0036】
第1実施形態では、当該通信用回路は、図4に示すように、PC等のホスト機器に挿入されるコネクタ131を有する。コネクタ131は、例えばUSB規格に従って構成される。脚部130は、ホスト機器への挿入時においては、胴体部110の前側に回転させられた状態で保持される。
【0037】
顔部140は、胴体部110の上側において胴体部110に取り付けられる。顔部140は、上下方向の回転軸を中心として回動可能に構成される(図5参照)。顔部140は、人型キャラクタの目や、鼻、口に相当する部分を有する。顔部140は、例えば樹脂から成り、その表面が塗装されている。
【0038】
アンテナエレメント150は、腕部120Rの先端部分に取り付け可能に構成される。アンテナエレメント150は、導体から成り、その表面が塗装されている。
【0039】
腕部120R及びアンテナエレメント150は、電気的に連結されて、特定周波数帯の電波(第1実施形態ではテレビ放送波)に共振するアンテナ装置を構成する。第1実施形態では、腕部120R及びアンテナエレメント150は、図3に示すように、側面視でL字の形状を成すL字アンテナを構成する。当該L字アンテナは、放射器として機能する。
【0040】
腕部120R及びアンテナエレメント150によって構成されるアンテナ装置は、胴体部110に設けられた接触子111を介して、脚部130に設けられた通信用回路と電気的に接続される。通信用回路は、アンテナ装置が受信したテレビ放送波の増幅、ダウンコンバート、及び復調等を行い、その結果得られた信号をコネクタ131を介してホスト機器に供給する。
【0041】
(1.2)胴体部及び脚部の詳細構成
次に、図5及び図6を参照して、胴体部110及び脚部130の構成を主として説明する。図5は、胴体部110の基部110aに係る無線通信機器100の斜視図である。図6(a)は、接触子111の斜視図であり、図6(b)は、接触子111が取り付けられた基部110aの正面図である。
【0042】
図5に示すように、基部110aの右側部113Rには、腕部120Rの導電性の突起部分121と係合する切り欠き116Rと、脚部130の突起部分132が挿通される開口部114Rとが形成されている。基部110aの左側部113Lも右側部113Rと同様に構成されている。
【0043】
右側部113R及び左側部113Lの内側には仕切壁115,116が設けられる。右側部113Rと仕切壁115,116との間には、図6(a)に示す接触子111が配置される。接触子111は、図6(b)に示すように、右側部113Rと仕切壁115,116とによって保持される。接触子111の上部には、腕部120Rの突起部分121と接触する接触面111aが設けられる。接触子111の下部には、脚部130の突起部分132が挿通される開口部111bが形成される。図5(b)に示すように、脚部130の突起部分132の周辺には導電性の接触部133が設けられており、接触部133は接触子111の下部と接触する。
【0044】
(1.3)腕部及びアンテナエレメントの詳細構成
次に、図7及び図8を参照して、腕部120R及びアンテナエレメント150の構成を主として説明する。図7は、胴体部110、腕部120R及びアンテナエレメント150を分離した状態の斜視図である。図8は、図7のA−A線に沿う腕部120Rの断面図である。
【0045】
図7に示すように、基部110a及び前面部110bのそれぞれに設けられた切り欠きによって構成される開口部には、腕部120Rの導電性の突起部分121が挿通される。腕部120Rの先端部分には、アンテナエレメント150を保持するための切り欠き状の保持部122が設けられている。
【0046】
図8に示すように、腕部120Rは、導体120a及びその表面の塗装部分120bを有し、保持部122の内壁には、導体120aが露出する露出部分122aが設けられる。露出部分122aには、十分な接触を確保するために、テーパ雌ねじが形成されている。アンテナエレメント150の下部には、導体が露出する露出部分153が設けられており、露出部分153には、テーパ雄ねじが形成されている。テーパ雄ねじは、弾性による変形により、接触面の面積増加及び圧力増加を図り、露出部分122aとアンテナエレメント150との接触面の抵抗を下げる。なお、通常のネジ、弾性変形を利用したバヨネット構造を具備していてもよい。
【0047】
(1.4)第1実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態によれば、人型キャラクタと対応する外観形状を有する腕部120Rが、アンテナ装置の少なくとも一部として機能するように構成される。これにより、人型キャラクタと対応する外観形状を積極的にアンテナ装置として活用できるため、意匠性を損なうことなくアンテナ装置のサイズを大きくすることができ、アンテナ装置の受信感度を改善できる。
【0048】
第1実施形態では、人型キャラクタと対応する外観形状を有する腕部120Rの略全体を導体とすることで、意匠性を損なうことなくアンテナ装置のサイズを大きくすることができる。また、腕部120Rを鋳造により一体的に形成することで、製造工程を簡略化できる。
【0049】
また、第1実施形態では、人型キャラクタと対応する外観形状を有するアンテナエレメント150がアンテナ装置の一部を構成することにより、人型キャラクタと対応する外観形状を積極的にアンテナ装置として活用できる。また、不使用時にはアンテナエレメント150を取り外しておくことができ、アンテナエレメント150の破損を防ぐことができる。
【0050】
第1実施形態では、腕部120Rは、胴体部110とは別体に構成されるため、腕部120Rの加工が容易になり、意匠性を高めることに寄与できる。さらに、腕部120Rを胴体部110に対して回動可能に構成することで、ユーザが腕部120Rの角度を調整可能になり、受信感度の改善を図ることができる。
【0051】
第1実施形態では、人間の顔に相当する部分を有する意匠を模した外観形状を有する無線通信機器100を構成することで、無線通信機器100への親しみやすさをユーザに与えることができる。
【0052】
(1.5)第1実施形態の変更例
上述した第1実施形態では、無線通信機器100がコネクタ131を介してホスト機器との通信を行う構成であったが、本変更例に係る無線通信機器100は、ホスト機器との通信を無線により行う構成である。
【0053】
図9は、本変更例に係る無線通信機器100の斜視図である。本変更例に係る無線通信機器100では、図9に示すように、胴体部110内に回路基板110cが配置されている。回路基板110cには、腕部120R及びアンテナエレメント150によって構成されるアンテナ装置が受信したテレビ放送波の増幅、ダウンコンバート、及び復調等を行うための回路(不図示)と、ホスト機器との無線通信を行うための無線回路110dとが設けられる。無線回路110dは、例えばブルートゥース規格に従った無線通信をホスト機器と行う。脚部130内には、回路基板110c上の各回路に電力を供給するためのバッテリ135が配置される。その他の構成については上述した第1実施形態と同様である。
【0054】
本変更例に係る無線通信機器100によれば、ホスト機器との通信を無線により行う構成であるため、第1実施形態で説明したコネクタ131等の機構を不要とすることができ、原型意匠を忠実に再現可能になるため、無線通信機器100の意匠性をさらに高めることができる。
【0055】
(2)第2実施形態
第2実施形態においては、腕部120Rの他の構成例について説明する。
【0056】
図10、図12及び図13は、第2実施形態に係る腕部120Rの斜視図である。図11は、第2実施形態に係る胴体部110及び脚部130の構成を示す図である。
【0057】
具体的には、図10は、第2実施形態に係る腕部120Rの構成例1を示し、図12は、第2実施形態に係る腕部120Rの構成例2を示し、図13は、第2実施形態に係る腕部120Rの構成例3を示す。
【0058】
(2.1)構成例1
図10に示すように、構成例1に係る腕部120Rは、それぞれ導体から成る信号線路125a及び接地線路125cと、信号線路125aと接地線路125cとの間に設けられる隔離体125bとを有する。なお、図10では、腕部120Rの表面の塗装の図示を省略している。
【0059】
構成例1では、信号線路125aが腕部120Rの中心に位置し、信号線路125aの外側を隔離体125bが取り囲み、さらに、隔離体125bの外側を接地線路125cが取り囲む構成である。このように、構成例1に係る腕部120Rは、アンテナ装置の同軸線路として機能する。
【0060】
接地線路125cは、胴体部110に設けられる接地部と電気的に接続される。隔離体125bは、誘電体から成り、アンテナエレメント150の給電インピーダンスと信号線路125aのインピーダンスとを整合する働きを有する。
【0061】
保持部122においては、信号線路125aのみ、又は、信号線路125a及び接地線路125cの両方が露出する露出部分が設けられる。当該露出部分にアンテナエレメント150が取り付けられる。保持部122とアンテナエレメント150との接合部分の形状は、上述した第1実施形態と同様である。
【0062】
図11(a)は、本発明の第2実施形態に係る胴体部110の一部拡大断面図であり、図11(b)は、本発明の第2実施形態に係る脚部130の斜視図である。
【0063】
図10及び図11(a)に示すように、腕部120Rの突起部分121を構成する接地線路125cの一部125dは、胴体部110に設けられた一方の接触子111Bと接触する。また、腕部120Rの突起部分121を構成する信号線路125aの一部125eは、胴体部110に設けられた他方の接触子111Aと接触する。図11(b)に示すように、接触子111Bの下端は、脚部130に設けられた接触部133Bと接触する。接触子111Aの下端は、脚部130に設けられた接触部133Aと接触する。
【0064】
ただし、図11に示すような一対の接触子111A,111Bを胴体部110に設ける構成に限らず、同軸ケーブルを胴体部110に設ける構成としてもよい。
【0065】
(2.2)構成例2
図12に示すように、構成例2に係る腕部120Rは、それぞれ導体から成る信号線路126a及び接地線路126cと、信号線路126aと接地線路126cとの間に設けられる隔離体126bとを有する。なお、図12では、腕部120Rの表面の塗装の図示を省略している。
【0066】
構成例2では、接地線路126cに形成された溝に信号線路126a及び隔離体126bが設けられる。すなわち、構成例2に係る腕部120Rは、ストリップ線路方式の同軸線路として構成されている。
【0067】
接地線路126cは、胴体部110に設けられる接地部と電気的に接続される。隔離体126bは、誘電体から成り、アンテナエレメント150の給電インピーダンスと信号線路126aのインピーダンスとを整合する働きを有する。
【0068】
保持部122においては、信号線路126aのみ、又は、信号線路126a及び接地線路126cの両方が露出する露出部分が設けられる。当該露出部分にアンテナエレメント150が取り付けられる。保持部122とアンテナエレメント150との接合部分の形状は、上述した第1実施形態と同様である。
【0069】
胴体部110及び脚部130については、図11と同様の構成であってもよく、同軸ケーブルを胴体部110に設ける構成でもよい。
【0070】
(2.3)構成例3
図13に示すように、構成例3に係る腕部120Rは、それぞれ導体から成る信号線路127a及び接地線路127cと、信号線路127aと接地線路127cとの間に設けられる隔離体127bとを有する。なお、図13では、腕部120Rの表面の塗装の図示を省略している。
【0071】
構成例3では、接地線路127cに形成された溝に、屈曲パターンを有する信号線路127aと、隔離体127bとが設けられる。すなわち、構成例2に係る腕部120Rは、分布定数回路として構成されている。
【0072】
接地線路127cは、胴体部110に設けられる接地部と電気的に接続される。隔離体127bは、誘電体から成り、アンテナエレメント150の給電インピーダンスと信号線路127aのインピーダンスとを整合する働きを有する。
【0073】
保持部122においては、信号線路127aのみ、又は、信号線路127a及び接地線路127cの両方が露出する露出部分が設けられる。当該露出部分にアンテナエレメント150が取り付けられる。保持部122とアンテナエレメント150との接合部分の形状は、上述した第1実施形態と同様である。
【0074】
胴体部110及び脚部130については、図11と同様の構成であってもよく、同軸ケーブルを胴体部110に設ける構成でもよい。
【0075】
(2.4)第2実施形態の効果
第2実施形態によれば、人型キャラクタと対応する外観形状を有する腕部120Rをアンテナ装置の同軸線路又は分布定数回路等として機能するように構成することができるため、意匠性を損なうことなくアンテナ装置の受信感度を改善できる。
【0076】
(3)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0077】
上述した第1実施形態及び第2実施形態においては、アンテナエレメント150及び腕部120Rによってアンテナ装置が構成されていたが、アンテナエレメント150を不要とし、腕部120Rのみによってアンテナ装置を構成してもよい。
【0078】
上述した各実施形態においては、腕部120Rが、電波を受信するためのアンテナ装置の少なくとも一部として機能するように構成されていた。
【0079】
しかしながら、電波の受信に限定されるものではなく、電波の送信にも適用可能である。例えば、電波の送信及び受信を行う無線LAN子機として無線通信機器100を構成することも可能である。
【0080】
また、腕部120Rに代えて、顔部140をアンテナ装置の少なくとも一部として機能するように構成してもよい。この場合、顔部140が延出部に相当することになる。
【0081】
上述した各実施形態においては、無線通信機器100は、人型キャラクタを模した外観形状を有していたが、人型キャラクタに限らず、植物又は建物等を模した外観形状を有していてもよい。
【0082】
上述した各実施形態においては、腕部120Rが、放射器、同軸線路又は分布定数回路として機能するように構成されていた。しかしながら、そのような構成に限らず、腕部120Rを導波器、反射器、又はパッチアンテナ等として機能するように構成してもよい。また、腕部120Rの一部をメタマテリアルによって形成してもよい。
【0083】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0084】
100…無線通信機器、110…胴体部、110a…基部、110b…前面部、110c…回路基板、110d…無線回路、111…接触子、111a…接触面、111b…開口部、113L…左側部、113R…右側部、114R…開口部、115,116…仕切壁、120R,120L…腕部、120a…導体、120b…塗装部分、121…突起部分、122…保持部、122a…露出部分、125a〜127a…信号線路、125b〜127b…隔離体、125c〜127c…接地線路、130…脚部、131…コネクタ、132…突起部分、133…接触部、135…バッテリ、140…顔部、150…アンテナエレメント、153…露出部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置を有する無線通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送受信機や無線LAN子機等の無線通信機器は、電波を受信/送信するためのアンテナ装置を有する。アンテナ装置は、特定周波数帯の電波に共振するように構成される。アンテナ装置は、同種のものであれば、そのサイズが大きいほど受信感度が良好になることが知られている。
【0003】
また、近年では、意匠性が高められた無線通信機器の提供が検討されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の無線通信機器は、人形の外観形状を有するハウジングと、ハウジング内に配置されたアンテナ装置とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−226270号公報(第10図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の無線通信機器は、ハウジング内にアンテナ装置が配置される構成であり、次のような問題がある。
【0006】
具体的には、ハウジング内のスペースが限られ、アンテナ装置のサイズが制限されるため、受信感度の改善を図ることが難しいという問題がある。一方で、アンテナ装置のサイズを大きくしようとすると、ハウジングの形状を変更せざるを得なくなり、意匠性を損なうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、意匠性を損なうことなくアンテナ装置の受信感度を改善できる無線通信機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、アンテナ装置を具備し、原型意匠を模した外観形状を有する無線通信機器(無線通信機器100)であって、前記原型意匠の第1部分(例えば胴体)と対応する外観形状を有する本体部(例えば胴体部110)と、前記原型意匠の第2部分(例えば腕)と対応する外観形状を有し、前記本体部から延び、且つ少なくとも一部が導体から成る延出部(例えば腕部120R)とを備え、前記延出部は、前記アンテナ装置の少なくとも一部を構成することを要旨とする。
【0009】
第1の特徴によれば、原型意匠と対応する外観形状を有する延出部が、アンテナ装置の少なくとも一部として機能するように構成される。これにより、原型意匠と対応する外観形状を積極的にアンテナ装置として活用できるため、意匠性を損なうことなくアンテナ装置のサイズを大きくすることができ、アンテナ装置の受信感度を改善できる。
【0010】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記延出部の略全体が導体から成り、前記延出部は、鋳造により一体的に形成されることを要旨とする。
【0011】
第2の特徴によれば、原型意匠と対応する外観形状を有する延出部の略全体を導体とすることで、意匠性を損なうことなくアンテナ装置のサイズを大きくすることができる。
【0012】
また、特許文献1に記載の無線通信機器を製造するためには、ハウジングを製造する工程と、アンテナ装置を製造する工程と、ハウジング内にアンテナ装置を組み込む工程とが必要であり、製造時の工程数が多いという問題がある。
【0013】
一方、第2の特徴では、延出部を鋳造により一体的に形成することで、ハウジングを製造する工程とハウジング内にアンテナ装置を組み込む工程とを不要にすることができ、製造工程を簡略化できる。
【0014】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記延出部は、それぞれ導体から成る信号線路(信号線路125a、信号線路126a、又は信号線路127a)及び接地線路(接地線路125c、接地線路126c、又は接地線路127c)と、誘電体から成り、前記信号線路と前記接地線路との間に設けられる隔離体(隔離体125b、隔離体126b、又は隔離体127b)とを備えることを要旨とする。
【0015】
第3の特徴によれば、原型意匠と対応する外観形状を有する延出部をアンテナ装置の同軸線路又は分布定数回路等として機能するように構成することができるため、意匠性を損なうことなくアンテナ装置の受信感度を改善できる。
【0016】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1〜第3の何れかの特徴に係り、記原型意匠の第3部分と対応する外観形状を有し、前記延出部に着脱可能なアンテナエレメント(アンテナエレメント150)をさらに備え、前記延出部は、導体が露出する露出部分(露出部分122a)を有し、前記アンテナエレメントは、前記露出部分に接続され、前記アンテナ装置の一部を構成することを要旨とする。
【0017】
第4の特徴によれば、原型意匠と対応する外観形状を有するアンテナエレメントがアンテナ装置の一部を構成することにより、原型意匠と対応する外観形状を積極的にアンテナ装置として活用できる。また、不使用時にはアンテナエレメントを取り外しておくことができ、アンテナエレメントの破損を防ぐことができる。また、異なる周波数帯の無線に対応する為に、大きさ及び外観意匠が異なる複数種類のアンテナエレメントの何れかを付け替えて使用できる。
【0018】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1〜第4の何れかの特徴に係り、前記延出部は、前記本体部とは別体に構成されることを要旨とする。
【0019】
第5の特徴によれば、延出部を本体部とは別体に構成することで、延出部の加工が容易になり、意匠性を高めることに寄与できる。
【0020】
本発明の第6の特徴は、本発明の第5の特徴に係り、前記延出部は、前記本体部に対して回動可能に構成されることを要旨とする。
【0021】
第6の特徴によれば、延出部を本体部に対して回動可能に構成することで、ユーザが延出部の角度を調整可能になり、受信感度の改善を図ることができる。
【0022】
本発明の第7の特徴は、本発明の第1〜第6の何れかの特徴に係り、前記原型意匠は、人間の顔に相当する部分を有する意匠であることを要旨とする。
【0023】
第7の特徴によれば、人間の顔に相当する部分を有する意匠を模した外観形状を有する無線通信機器を構成することで、無線通信機器への親しみやすさをユーザに与えることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、意匠性を損なうことなくアンテナ装置の受信感度を改善できる無線通信機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線通信機器の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る無線通信機器の正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る無線通信機器の側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る無線通信機器の側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る胴体部の基部、及び脚部の斜視図である。
【図6】図6(a)は、接触子の斜視図であり、図6(b)は、接触子が取り付けられた基部の正面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る胴体部、腕部及びアンテナエレメントを分離した状態の斜視図である。
【図8】図7のA−A線に沿う腕部の断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態の本変更例に係る無線通信機器の斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る腕部の構成例1を示す図である。
【図11】図11(a)は、本発明の第2実施形態に係る胴体部の一部拡大断面図であり、図11(b)は、本発明の第2実施形態に係る脚部の斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る腕部の構成例2を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る腕部の構成例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して、本発明の第1実施形態、第2実施形態、及びその他の実施形態を説明する。以下の実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0027】
(1)第1実施形態
以下において、第1実施形態に係る無線通信機器について、(1.1)無線通信機器の全体構成、(1.2)胴体部及び脚部の詳細構成、(1.3)腕部及びアンテナエレメントの詳細構成、(1.4)第1実施形態の効果、(1.5)第1実施形態の変更例の順に説明する。
【0028】
(1.1)無線通信機器の全体構成
先ず、図1〜図4を参照して、第1実施形態に係る無線通信機器100の全体構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る無線通信機器100の斜視図である。図2は、第1実施形態に係る無線通信機器100の正面図である。図3及び図4は、第1実施形態に係る無線通信機器100の側面図である。
【0029】
図1〜図3に示すように、無線通信機器100は、人型キャラクタを模した外観形状を有する。第1実施形態では、無線通信機器100は、テレビ放送波を受信するテレビ放送受信機として構成される。
【0030】
無線通信機器100は、人型キャラクタの胴体と対応する外観形状を有する胴体部110と、人型キャラクタの腕と対応する外観形状を有する腕部120R,120Lと、人型キャラクタの脚と対応する外観形状を有する脚部130と、人型キャラクタの顔と対応する外観形状を有する顔部140と、人型キャラクタの小物と対応する外観形状を有するアンテナエレメント150とを有する。
【0031】
第1実施形態において胴体部110は、原型意匠(人型キャラクタ)の第1部分(胴体)と対応する外観形状を有する本体部に相当する。腕部120Rは、原型意匠(人型キャラクタ)の第2部分(腕)と対応する外観形状を有する延出部に相当する。
【0032】
胴体部110は、図1に示すように、2分割式に構成されており、基部110aと前面部110bとを有する。基部110a及び前面部110bは、例えば樹脂から成り、その表面が塗装されている。胴体部110の内側には、図2及び図3に示すように、金属製の接触子111が設けられる。
【0033】
腕部120Rは、人型キャラクタの右腕と対応する外観形状を有し、胴体部110の上部右側から延びる。腕部120Rは、胴体部110とは別体に構成され、左右方向の回転軸を中心として胴体部110に対して回動可能に構成される。腕部120Rは、導体から成る。第1実施形態では、腕部120Rは、アルミダイキャスト又は亜鉛ダイキャスト等の金属製の材料から成り、その表面が塗装されている。
【0034】
腕部120Lは、胴体部110の上部左側から延びる。腕部120Rは、胴体部110とは別体に構成され、左右方向の回転軸を中心として胴体部110に対して回動可能に構成される。腕部120Lは、例えば樹脂から成り、その表面が塗装されている。
【0035】
脚部130は、胴体部110の下側において胴体部110に取り付けられる。脚部130は、左右方向の回転軸を中心として回動可能に構成される(図3及び図4参照)。第1実施形態においては、脚部130の内側には、無線通信機器100のホスト機器(不図示)との間で信号の送受信を行うための通信用回路が組み込まれる。
【0036】
第1実施形態では、当該通信用回路は、図4に示すように、PC等のホスト機器に挿入されるコネクタ131を有する。コネクタ131は、例えばUSB規格に従って構成される。脚部130は、ホスト機器への挿入時においては、胴体部110の前側に回転させられた状態で保持される。
【0037】
顔部140は、胴体部110の上側において胴体部110に取り付けられる。顔部140は、上下方向の回転軸を中心として回動可能に構成される(図5参照)。顔部140は、人型キャラクタの目や、鼻、口に相当する部分を有する。顔部140は、例えば樹脂から成り、その表面が塗装されている。
【0038】
アンテナエレメント150は、腕部120Rの先端部分に取り付け可能に構成される。アンテナエレメント150は、導体から成り、その表面が塗装されている。
【0039】
腕部120R及びアンテナエレメント150は、電気的に連結されて、特定周波数帯の電波(第1実施形態ではテレビ放送波)に共振するアンテナ装置を構成する。第1実施形態では、腕部120R及びアンテナエレメント150は、図3に示すように、側面視でL字の形状を成すL字アンテナを構成する。当該L字アンテナは、放射器として機能する。
【0040】
腕部120R及びアンテナエレメント150によって構成されるアンテナ装置は、胴体部110に設けられた接触子111を介して、脚部130に設けられた通信用回路と電気的に接続される。通信用回路は、アンテナ装置が受信したテレビ放送波の増幅、ダウンコンバート、及び復調等を行い、その結果得られた信号をコネクタ131を介してホスト機器に供給する。
【0041】
(1.2)胴体部及び脚部の詳細構成
次に、図5及び図6を参照して、胴体部110及び脚部130の構成を主として説明する。図5は、胴体部110の基部110aに係る無線通信機器100の斜視図である。図6(a)は、接触子111の斜視図であり、図6(b)は、接触子111が取り付けられた基部110aの正面図である。
【0042】
図5に示すように、基部110aの右側部113Rには、腕部120Rの導電性の突起部分121と係合する切り欠き116Rと、脚部130の突起部分132が挿通される開口部114Rとが形成されている。基部110aの左側部113Lも右側部113Rと同様に構成されている。
【0043】
右側部113R及び左側部113Lの内側には仕切壁115,116が設けられる。右側部113Rと仕切壁115,116との間には、図6(a)に示す接触子111が配置される。接触子111は、図6(b)に示すように、右側部113Rと仕切壁115,116とによって保持される。接触子111の上部には、腕部120Rの突起部分121と接触する接触面111aが設けられる。接触子111の下部には、脚部130の突起部分132が挿通される開口部111bが形成される。図5(b)に示すように、脚部130の突起部分132の周辺には導電性の接触部133が設けられており、接触部133は接触子111の下部と接触する。
【0044】
(1.3)腕部及びアンテナエレメントの詳細構成
次に、図7及び図8を参照して、腕部120R及びアンテナエレメント150の構成を主として説明する。図7は、胴体部110、腕部120R及びアンテナエレメント150を分離した状態の斜視図である。図8は、図7のA−A線に沿う腕部120Rの断面図である。
【0045】
図7に示すように、基部110a及び前面部110bのそれぞれに設けられた切り欠きによって構成される開口部には、腕部120Rの導電性の突起部分121が挿通される。腕部120Rの先端部分には、アンテナエレメント150を保持するための切り欠き状の保持部122が設けられている。
【0046】
図8に示すように、腕部120Rは、導体120a及びその表面の塗装部分120bを有し、保持部122の内壁には、導体120aが露出する露出部分122aが設けられる。露出部分122aには、十分な接触を確保するために、テーパ雌ねじが形成されている。アンテナエレメント150の下部には、導体が露出する露出部分153が設けられており、露出部分153には、テーパ雄ねじが形成されている。テーパ雄ねじは、弾性による変形により、接触面の面積増加及び圧力増加を図り、露出部分122aとアンテナエレメント150との接触面の抵抗を下げる。なお、通常のネジ、弾性変形を利用したバヨネット構造を具備していてもよい。
【0047】
(1.4)第1実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態によれば、人型キャラクタと対応する外観形状を有する腕部120Rが、アンテナ装置の少なくとも一部として機能するように構成される。これにより、人型キャラクタと対応する外観形状を積極的にアンテナ装置として活用できるため、意匠性を損なうことなくアンテナ装置のサイズを大きくすることができ、アンテナ装置の受信感度を改善できる。
【0048】
第1実施形態では、人型キャラクタと対応する外観形状を有する腕部120Rの略全体を導体とすることで、意匠性を損なうことなくアンテナ装置のサイズを大きくすることができる。また、腕部120Rを鋳造により一体的に形成することで、製造工程を簡略化できる。
【0049】
また、第1実施形態では、人型キャラクタと対応する外観形状を有するアンテナエレメント150がアンテナ装置の一部を構成することにより、人型キャラクタと対応する外観形状を積極的にアンテナ装置として活用できる。また、不使用時にはアンテナエレメント150を取り外しておくことができ、アンテナエレメント150の破損を防ぐことができる。
【0050】
第1実施形態では、腕部120Rは、胴体部110とは別体に構成されるため、腕部120Rの加工が容易になり、意匠性を高めることに寄与できる。さらに、腕部120Rを胴体部110に対して回動可能に構成することで、ユーザが腕部120Rの角度を調整可能になり、受信感度の改善を図ることができる。
【0051】
第1実施形態では、人間の顔に相当する部分を有する意匠を模した外観形状を有する無線通信機器100を構成することで、無線通信機器100への親しみやすさをユーザに与えることができる。
【0052】
(1.5)第1実施形態の変更例
上述した第1実施形態では、無線通信機器100がコネクタ131を介してホスト機器との通信を行う構成であったが、本変更例に係る無線通信機器100は、ホスト機器との通信を無線により行う構成である。
【0053】
図9は、本変更例に係る無線通信機器100の斜視図である。本変更例に係る無線通信機器100では、図9に示すように、胴体部110内に回路基板110cが配置されている。回路基板110cには、腕部120R及びアンテナエレメント150によって構成されるアンテナ装置が受信したテレビ放送波の増幅、ダウンコンバート、及び復調等を行うための回路(不図示)と、ホスト機器との無線通信を行うための無線回路110dとが設けられる。無線回路110dは、例えばブルートゥース規格に従った無線通信をホスト機器と行う。脚部130内には、回路基板110c上の各回路に電力を供給するためのバッテリ135が配置される。その他の構成については上述した第1実施形態と同様である。
【0054】
本変更例に係る無線通信機器100によれば、ホスト機器との通信を無線により行う構成であるため、第1実施形態で説明したコネクタ131等の機構を不要とすることができ、原型意匠を忠実に再現可能になるため、無線通信機器100の意匠性をさらに高めることができる。
【0055】
(2)第2実施形態
第2実施形態においては、腕部120Rの他の構成例について説明する。
【0056】
図10、図12及び図13は、第2実施形態に係る腕部120Rの斜視図である。図11は、第2実施形態に係る胴体部110及び脚部130の構成を示す図である。
【0057】
具体的には、図10は、第2実施形態に係る腕部120Rの構成例1を示し、図12は、第2実施形態に係る腕部120Rの構成例2を示し、図13は、第2実施形態に係る腕部120Rの構成例3を示す。
【0058】
(2.1)構成例1
図10に示すように、構成例1に係る腕部120Rは、それぞれ導体から成る信号線路125a及び接地線路125cと、信号線路125aと接地線路125cとの間に設けられる隔離体125bとを有する。なお、図10では、腕部120Rの表面の塗装の図示を省略している。
【0059】
構成例1では、信号線路125aが腕部120Rの中心に位置し、信号線路125aの外側を隔離体125bが取り囲み、さらに、隔離体125bの外側を接地線路125cが取り囲む構成である。このように、構成例1に係る腕部120Rは、アンテナ装置の同軸線路として機能する。
【0060】
接地線路125cは、胴体部110に設けられる接地部と電気的に接続される。隔離体125bは、誘電体から成り、アンテナエレメント150の給電インピーダンスと信号線路125aのインピーダンスとを整合する働きを有する。
【0061】
保持部122においては、信号線路125aのみ、又は、信号線路125a及び接地線路125cの両方が露出する露出部分が設けられる。当該露出部分にアンテナエレメント150が取り付けられる。保持部122とアンテナエレメント150との接合部分の形状は、上述した第1実施形態と同様である。
【0062】
図11(a)は、本発明の第2実施形態に係る胴体部110の一部拡大断面図であり、図11(b)は、本発明の第2実施形態に係る脚部130の斜視図である。
【0063】
図10及び図11(a)に示すように、腕部120Rの突起部分121を構成する接地線路125cの一部125dは、胴体部110に設けられた一方の接触子111Bと接触する。また、腕部120Rの突起部分121を構成する信号線路125aの一部125eは、胴体部110に設けられた他方の接触子111Aと接触する。図11(b)に示すように、接触子111Bの下端は、脚部130に設けられた接触部133Bと接触する。接触子111Aの下端は、脚部130に設けられた接触部133Aと接触する。
【0064】
ただし、図11に示すような一対の接触子111A,111Bを胴体部110に設ける構成に限らず、同軸ケーブルを胴体部110に設ける構成としてもよい。
【0065】
(2.2)構成例2
図12に示すように、構成例2に係る腕部120Rは、それぞれ導体から成る信号線路126a及び接地線路126cと、信号線路126aと接地線路126cとの間に設けられる隔離体126bとを有する。なお、図12では、腕部120Rの表面の塗装の図示を省略している。
【0066】
構成例2では、接地線路126cに形成された溝に信号線路126a及び隔離体126bが設けられる。すなわち、構成例2に係る腕部120Rは、ストリップ線路方式の同軸線路として構成されている。
【0067】
接地線路126cは、胴体部110に設けられる接地部と電気的に接続される。隔離体126bは、誘電体から成り、アンテナエレメント150の給電インピーダンスと信号線路126aのインピーダンスとを整合する働きを有する。
【0068】
保持部122においては、信号線路126aのみ、又は、信号線路126a及び接地線路126cの両方が露出する露出部分が設けられる。当該露出部分にアンテナエレメント150が取り付けられる。保持部122とアンテナエレメント150との接合部分の形状は、上述した第1実施形態と同様である。
【0069】
胴体部110及び脚部130については、図11と同様の構成であってもよく、同軸ケーブルを胴体部110に設ける構成でもよい。
【0070】
(2.3)構成例3
図13に示すように、構成例3に係る腕部120Rは、それぞれ導体から成る信号線路127a及び接地線路127cと、信号線路127aと接地線路127cとの間に設けられる隔離体127bとを有する。なお、図13では、腕部120Rの表面の塗装の図示を省略している。
【0071】
構成例3では、接地線路127cに形成された溝に、屈曲パターンを有する信号線路127aと、隔離体127bとが設けられる。すなわち、構成例2に係る腕部120Rは、分布定数回路として構成されている。
【0072】
接地線路127cは、胴体部110に設けられる接地部と電気的に接続される。隔離体127bは、誘電体から成り、アンテナエレメント150の給電インピーダンスと信号線路127aのインピーダンスとを整合する働きを有する。
【0073】
保持部122においては、信号線路127aのみ、又は、信号線路127a及び接地線路127cの両方が露出する露出部分が設けられる。当該露出部分にアンテナエレメント150が取り付けられる。保持部122とアンテナエレメント150との接合部分の形状は、上述した第1実施形態と同様である。
【0074】
胴体部110及び脚部130については、図11と同様の構成であってもよく、同軸ケーブルを胴体部110に設ける構成でもよい。
【0075】
(2.4)第2実施形態の効果
第2実施形態によれば、人型キャラクタと対応する外観形状を有する腕部120Rをアンテナ装置の同軸線路又は分布定数回路等として機能するように構成することができるため、意匠性を損なうことなくアンテナ装置の受信感度を改善できる。
【0076】
(3)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0077】
上述した第1実施形態及び第2実施形態においては、アンテナエレメント150及び腕部120Rによってアンテナ装置が構成されていたが、アンテナエレメント150を不要とし、腕部120Rのみによってアンテナ装置を構成してもよい。
【0078】
上述した各実施形態においては、腕部120Rが、電波を受信するためのアンテナ装置の少なくとも一部として機能するように構成されていた。
【0079】
しかしながら、電波の受信に限定されるものではなく、電波の送信にも適用可能である。例えば、電波の送信及び受信を行う無線LAN子機として無線通信機器100を構成することも可能である。
【0080】
また、腕部120Rに代えて、顔部140をアンテナ装置の少なくとも一部として機能するように構成してもよい。この場合、顔部140が延出部に相当することになる。
【0081】
上述した各実施形態においては、無線通信機器100は、人型キャラクタを模した外観形状を有していたが、人型キャラクタに限らず、植物又は建物等を模した外観形状を有していてもよい。
【0082】
上述した各実施形態においては、腕部120Rが、放射器、同軸線路又は分布定数回路として機能するように構成されていた。しかしながら、そのような構成に限らず、腕部120Rを導波器、反射器、又はパッチアンテナ等として機能するように構成してもよい。また、腕部120Rの一部をメタマテリアルによって形成してもよい。
【0083】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0084】
100…無線通信機器、110…胴体部、110a…基部、110b…前面部、110c…回路基板、110d…無線回路、111…接触子、111a…接触面、111b…開口部、113L…左側部、113R…右側部、114R…開口部、115,116…仕切壁、120R,120L…腕部、120a…導体、120b…塗装部分、121…突起部分、122…保持部、122a…露出部分、125a〜127a…信号線路、125b〜127b…隔離体、125c〜127c…接地線路、130…脚部、131…コネクタ、132…突起部分、133…接触部、135…バッテリ、140…顔部、150…アンテナエレメント、153…露出部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ装置を具備し、原型意匠を模した外観形状を有する無線通信機器であって、
前記原型意匠の第1部分と対応する外観形状を有する本体部と、
前記原型意匠の第2部分と対応する外観形状を有し、前記本体部から延び、且つ少なくとも一部が導体から成る延出部とを備え、
前記延出部は、前記アンテナ装置の少なくとも一部を構成することを特徴とする無線通信機器。
【請求項2】
前記延出部の略全体が導体から成り、
前記延出部は、鋳造により一体的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項3】
前記延出部は、
それぞれ導体から成る信号線路及び接地線路と、
誘電体から成り、前記信号線路と前記接地線路との間に設けられる隔離体とを備えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項4】
前記原型意匠の第3部分と対応する外観形状を有し、前記延出部に着脱可能なアンテナエレメントをさらに備え、
前記延出部は、導体が露出する露出部分を有し、
前記アンテナエレメントは、前記露出部分に接続され、前記アンテナ装置の一部を構成することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の無線通信機器。
【請求項5】
前記延出部は、前記本体部とは別体に構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の無線通信機器。
【請求項6】
前記延出部は、前記本体部に対して回動可能に構成されることを特徴とする請求項5に記載の無線通信機器。
【請求項7】
前記原型意匠は、人間の顔に相当する部分を有する意匠であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の無線通信機器。
【請求項1】
アンテナ装置を具備し、原型意匠を模した外観形状を有する無線通信機器であって、
前記原型意匠の第1部分と対応する外観形状を有する本体部と、
前記原型意匠の第2部分と対応する外観形状を有し、前記本体部から延び、且つ少なくとも一部が導体から成る延出部とを備え、
前記延出部は、前記アンテナ装置の少なくとも一部を構成することを特徴とする無線通信機器。
【請求項2】
前記延出部の略全体が導体から成り、
前記延出部は、鋳造により一体的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項3】
前記延出部は、
それぞれ導体から成る信号線路及び接地線路と、
誘電体から成り、前記信号線路と前記接地線路との間に設けられる隔離体とを備えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項4】
前記原型意匠の第3部分と対応する外観形状を有し、前記延出部に着脱可能なアンテナエレメントをさらに備え、
前記延出部は、導体が露出する露出部分を有し、
前記アンテナエレメントは、前記露出部分に接続され、前記アンテナ装置の一部を構成することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の無線通信機器。
【請求項5】
前記延出部は、前記本体部とは別体に構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の無線通信機器。
【請求項6】
前記延出部は、前記本体部に対して回動可能に構成されることを特徴とする請求項5に記載の無線通信機器。
【請求項7】
前記原型意匠は、人間の顔に相当する部分を有する意匠であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の無線通信機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−151735(P2011−151735A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13331(P2010−13331)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】
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