説明

無線通信装置および周波数偏差算出方法

【課題】高速移動および低速移動する対無線通信装置の受信品質を向上する。
【解決手段】無線通信装置の周波数偏差算出手段1は、受信する無線信号の当該無線通信装置の受信周波数に対する周波数偏差を算出する。平均手段2は、周波数偏差算出手段1によって算出された周波数偏差を平均する。移動速度算出手段3は、周波数偏差算出手段1によって算出された周波数偏差に基づいて、当該無線通信装置と無線通信する対無線通信装置の移動速度を算出する。平均時間変更手段4は、移動速度算出手段3によって算出された対無線通信装置の移動速度に基づいて、平均手段2の周波数偏差の平均時間を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信装置および周波数偏差算出方法に関し、特に周波数偏差を算出する無線通信装置およびその周波数偏差算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信では、無線通信装置の受信周波数と、受信する無線信号の周波数とが異なると、無線信号を適切に受信できなくなる。そこで、移動体通信の無線通信装置は、自動周波数制御(AFC:Automatic Frequency Control)を搭載し、無線通信装置の受信周波数と、受信する無線信号の周波数とが一致するようにずれを調整している(例えば、特許文献1−3参照)。
【0003】
例えば、新幹線のトンネル内のように無線端末が無線基地局付近を高速移動する場合、ドップラー効果により無線信号は急激な速さで位相の極性反転が生じる。そのため、無線基地局は、このような無線信号を適切に受信できるよう、追従性の極めて高いAFCが要求される。
【0004】
一方、無線基地局において見られる受信信号の位相回転の多くは、発振器の安定性に由来する。従って、AFCは、発振器の不安定によるノイズ等を考慮し、追従性よりもむしろ安定性が求められる。
【0005】
AFCの追従性と安定性は、トレードオフの関係にある。そのため、高速で移動する無線端末の無線信号を受信できるようAFCの追従性を向上させると、低速移動する無線端末の無線信号の受信品質が低下する。一方、低速移動する無線端末の無線信号の受信品質を向上させるようAFCの安定性を向上させると、高速移動する無線端末の無線信号の受信が困難となる。
【特許文献1】特開2006−349587号公報
【特許文献2】特開平7−74726号公報
【特許文献3】特開2002−26769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、高速移動および低速移動する無線端末の一方の受信品質を向上させると、他方の受信品質が低下するという問題点があった。
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、高速移動および低速移動する対無線通信装置の受信品質を向上する無線通信装置および周波数偏差算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、周波数偏差を算出する無線通信装置が提供される。この無線通信装置は、受信する無線信号の当該無線通信装置の受信周波数に対する前記周波数偏差を算出する周波数偏差算出手段と、前記周波数偏差算出手段によって算出された前記周波数偏差を平均する平均手段と、前記周波数偏差算出手段によって算出された前記周波数偏差に基づいて当該無線通信装置と無線通信する対無線通信装置の移動速度を算出する移動速度算出手段と、前記移動速度算出手段によって算出された前記対無線通信装置の前記移動速度に基づいて前記平均手段の前記周波数偏差の平均時間を変更する平均時間変更手段と、を有する。
【0008】
また、上記課題を解決するために、周波数偏差を算出する無線通信装置の周波数偏差算出方法が提供される。この周波数偏差算出方法は、受信する無線信号の当該無線通信装置の受信周波数に対する前記周波数偏差を算出し、前記周波数偏差に基づいて当該無線通信装置と無線通信する対無線通信装置の移動速度を算出し、前記対無線通信装置の前記移動速度に基づいて前記周波数偏差の平均時間を変更する。
【発明の効果】
【0009】
開示の装置および方法では、高速移動および低速移動する対無線通信装置の受信品質を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、無線通信装置の概要を説明する図である。図1に示すように無線通信装置は、周波数偏差算出手段1、平均手段2、移動速度算出手段3、および平均時間変更手段4を有している。
【0011】
周波数偏差算出手段1は、受信する無線信号の当該無線通信装置の受信周波数に対する周波数偏差を算出する。
平均手段2は、周波数偏差算出手段1によって算出された周波数偏差を平均する。
【0012】
移動速度算出手段3は、周波数偏差算出手段1によって算出された周波数偏差に基づいて、当該無線通信装置と無線通信する対無線通信装置の移動速度を算出する。
平均時間変更手段4は、移動速度算出手段3によって算出された対無線通信装置の移動速度に基づいて、平均手段2の周波数偏差の平均時間を変更する。
【0013】
例えば、平均時間変更手段4は、対無線通信装置の移動速度が速い場合、平均手段2の平均時間を短くする。これにより、高速移動する対無線通信装置の無線信号の、周波数偏差の追従性が向上する。また、平均時間変更手段4は、対無線通信装置の移動速度が遅い場合、平均手段2の平均時間を長くする。これにより、低速移動する対無線通信装置の無線信号の、周波数偏差の安定性が向上する。
【0014】
このように、無線通信装置は、対無線通信装置の移動速度に基づいて、周波数偏差を平均する平均時間を変更するようにした。これにより、高速移動および低速移動する対無線通信装置の受信品質を向上することができる。
【0015】
次に、第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図2は、第1の実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示した図である。図2には、無線基地局11および無線端末12が示してある。
【0016】
無線基地局11と無線端末12は、例えば、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)やLTE(Long Term Evolution)などの通信方式によって無線通信を行う。無線端末12は、例えば、携帯電話である。
【0017】
無線基地局11は、無線端末12からの無線信号を適切に受信できるように、受信する無線信号の周波数と、無線基地局11の受信周波数とのずれ(周波数偏差)を推定する。周波数偏差は、例えば、パイロット信号など、既知のシンボル間の相関を平均することにより推定することができる。相関値の平均時間を長くすると(平均する相関値のデータ量を増やすと)、推定結果のノイズに対する耐性が向上し、逆に短くすると、ドップラー効果等による急激な周波数の変化に対する追従性が向上する。
【0018】
無線基地局11は、相関値の平均時間を長く設定している場合に、無線信号の周波数が急激に変化すると周波数偏差の推定が追従できないことがある。この場合、無線基地局11は、無線端末12の無線信号を適切に受信処理することができず、音声通話等が途切れることがある。一方、相関値の平均時間を短く設定すると、周波数の急激な変化に対応することができるが、ノイズ耐性が低下する。
【0019】
そこで、無線基地局11は、無線端末12の移動速度(無線基地局11に対する相対速度)が高速であるかおよび低速であるかを判定する。無線基地局11は、無線端末12の移動速度を高速と判定した場合、周波数の急激な変化に対する周波数偏差の推定の追従性を向上するよう、相関値の平均時間を短くする。無線端末12の移動速度を低速と判定した場合、周波数偏差の推定のノイズに対する耐性を向上するよう、相関値の平均時間を長くする。
【0020】
これにより、無線基地局11は、高速移動および低速移動する無線端末12の受信品質を向上することができる。
図3は、図2の無線基地局の構成の一部を示したブロック図である。図3に示すように、無線基地局11は、アンテナ21、ダウンコンバータ22、ADC(Analog to Digital Converter)23、逆拡散部24、周波数偏差推定部25、チャネル推定部26、検波部27、および復号部28を有している。
【0021】
アンテナ21は、無線端末12から送信される無線信号を受信する。ダウンコンバータ22は、発振器を備えており、発振器から出力される信号に基づいてアンテナ21によって受信された無線信号の周波数をダウンコンバートする。
【0022】
ADC23は、ダウンコンバートされた無線信号をデジタル信号(ベースバンド信号)に変換する。ADC23は、デジタル変換したベースバンド信号を逆拡散部24に出力する。
【0023】
逆拡散部24は、拡散符号に基づいてADC23から出力されるベースバンド信号を逆拡散する。これにより、ベースバンド信号は、ユーザ(無線端末)ごとに分離され、さらに、チャネルごと(例えば、データ信号およびパイロット信号)に分離される。チャネルは、例えば、DPDCH(Dedicated Physical Data Channel)およびDPCCH(Dedicated Physical Control Channel)である。ユーザごとに分離されたデータ信号は、検波部27に出力され、パイロット信号は、周波数偏差推定部25およびチャネル推定部26に出力される。
【0024】
周波数偏差推定部25は、パイロット信号のダウンコンバータの発振器に対する周波数偏差を推定する。周波数偏差推定部25は、受信タイミングの異なる既知のパイロット信号の相関演算を平均することでパイロット信号の周波数偏差を推定する。周波数偏差推定部25は、推定したパイロット信号の周波数偏差をチャネル推定部26および検波部27に出力する。
【0025】
チャネル推定部26は、逆拡散部24から出力されるパイロット信号に基づいて、無線信号の伝搬路のチャネル推定を行う。チャネル推定部26は、周波数偏差推定部25から出力される周波数偏差により、無線信号の位相回転を考慮したチャネル推定を行うことができる。
【0026】
検波部27は、チャネル推定部26から出力される伝搬路のチャネル推定および周波数偏差の推定値に基づいて、逆拡散部24から出力されるデータ信号を検波する。
復号部28は、検波部27から出力される検波されたデータ信号を復号し、後段の回路へと出力する。
【0027】
無線基地局11は、複数のユーザから無線信号を受信する。従って、1ユーザのみに対応して、受信信号の周波数偏差のずれを補正するようダウンコンバータ22の発振器の周波数を補償することは困難である。そこで、周波数偏差推定部25は、パイロット信号を用いてユーザごとの周波数偏差を推定し、チャネル推定部26は、周波数偏差を考慮した、ユーザごとのチャネル推定を行う。また、検波部27は、周波数偏差を考慮したデータ信号の復調を行う。これにより、無線基地局11は、ユーザごとにおいて無線信号と装置の受信周波数とにずれが生じていても、適切に受信処理することができる。
【0028】
図4は、図3の周波数偏差推定部の構成を示したブロック図である。図4に示すように、周波数偏差推定部25は、パイロット信号の周波数偏差を算出する周波数偏差算出部30および無線端末12の速度を判定する高速判定部40を有している。周波数偏差算出部30および高速判定部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により、プログラムを実行することでその機能が実現される。また、専用の半導体装置によって構成することもできる。
【0029】
周波数偏差算出部30は、乗算器31,34、遅延器(図中Z-1)32、複素共役部(図中*)33、および積算器(図中Σ)35を有している。
乗算器31には、パイロット信号の受信シンボルと、その複素共役が入力される。パイロット信号は、既知の信号でありその複素共役も予め知ることができる。乗算器31は、入力される受信シンボルとその複素共役とを乗算する。
【0030】
遅延器32は、乗算器31から出力されるシンボルのタイミングを遅延させる。
複素共役部33は、遅延器32によって遅延されたシンボルの複素共役を算出し、乗算器34に出力する。乗算器34は、乗算器31から出力されるシンボルと、遅延されたシンボルの複素共役とを乗算する。
【0031】
積算器35は、乗算器34から出力されるシンボル(周波数偏差)を積算し、周波数偏差の平均値を算出する。周波数偏差の平均時間は、高速判定部40から指示される。具体的には、無線端末12が高速移動している場合、平均時間が短くなるように指示される。無線端末12が低速移動している場合、高速移動時の平均時間より長くなるように指示される。
【0032】
ここで、乗算器31に入力されるパイロット信号の受信シンボルは、例えば、次の式(1)で示されるとする。
R(n+1)=whex(n+1)i …(1)
nは、正の整数であり、受信シンボルの受信タイミングを示す。wは、パイロット信号のパターンを示す。hは、チャネル応答を示す。xは、位相回転を示す。
【0033】
乗算器31は、式(1)に既知のパイロットパターンの複素共役を乗算するので、その出力は、次の式(2)に示すようになる。
r(n+1)=w*whex(n+1)i=hex(n+1)i …(2)
遅延器32から出力されるシンボルは、乗算器31の出力を1タイミング遅延させたものであるので、次の式(3)で示される。
【0034】
r(n)=hexni …(3)
複素共役部33の出力は、式(3)の複素共役をとったものであるので、次の式(4)で示される。
【0035】
r(n)*=h*-xni …(4)
乗算器34の出力は、式(2)と式(4)の乗算結果であるので、次の式(5)で示される。
【0036】
z=hex(n+1)i×h*-xni=|h|2xi …(5)
式(5)に示すように、乗算器34の出力から無線信号(受信信号)の周波数偏差(位相回転)が得られる。積算器35は、式(5)を積算し、その平均を出力する。これにより周波数偏差の推定値が得られる。
【0037】
高速判定部40について説明する。高速判定部40は、偏角算出部(図中arg(z))41、絶対値算出部(図中|x|)42、時間平均部43、および判定部44を有している。
【0038】
偏角算出部41は、乗算器34から出力されるシンボルの偏角を算出する。すなわち、偏角算出部41は、周波数偏差の偏角を取得する。なお、偏角算出部41に入力されるシンボルは式(5)で示されるので、偏角算出部41の出力は、次の式(6)で示される。
【0039】
x=arg(z) …(6)
絶対値算出部42は、偏角算出部41から出力される偏角の絶対値を算出する。時間平均部43は、絶対値算出部42から出力される偏角の絶対値の平均を算出する。
【0040】
判定部44は、時間平均部43から出力される偏角の絶対値の平均値に基づいて、無線端末12が高速移動しているかおよび低速移動しているか判断する。無線端末12が高速移動している場合、周波数偏差の偏角の絶対値は大きい値となり、無線端末12が低速移動している場合、周波数偏差の偏角の絶対値は小さい値となる。従って、判定部44は、例えば、偏角の絶対値が所定の閾値より大きければ、無線端末12は高速移動していると判断し、偏角の絶対値が所定の閾値より小さければ、無線端末12は低速移動していると判断できる。判定部44の判断結果は、周波数偏差算出部30の積算器35に出力され、積算器35は、上述したように、判定部44の判断結果に基づいて周波数偏差の平均時間を変える。
【0041】
図5は、図4の高速判定部の動作を説明する図である。図5には、無線基地局11および無線端末12が示してある。無線端末12は、図5の矢印A1に示すように、時間の経過とともに移動していくものとする。
【0042】
グラフ(A)は、無線端末12が高速移動した場合の偏角の変化を示している。すなわち、グラフ(A)は、無線端末12が高速移動した場合の偏角算出部41の出力を示している。偏角の極性は、ドップラー効果により、無線端末12の無線基地局11の通過前後で反転している。グラフ(A)の横軸は時間を示し、縦軸は偏角を示している。
【0043】
絶対値算出部42は、偏角算出部41から出力される偏角の絶対値を算出する。よって、無線端末12が高速移動した場合の絶対値算出部42の出力は、図の点線B1に示すようになる。
【0044】
グラフ(B)は、グラフ(A)の絶対偏角(偏角の絶対値)の時間平均を示している。すなわち、グラフ(B)は、無線端末12が高速移動した場合の時間平均部43の出力を示している。図の例では、時間平均部43は、時刻t1−t2における絶対偏角の平均値を算出し、時刻t2−t3における絶対偏角の平均値を算出している。時刻t1−t2と時刻t2−t3は、同じ時間幅である。グラフ(B)の横軸は時間を示し、縦軸は絶対偏角の平均値を示している。
【0045】
グラフ(C)は、無線端末12が低速移動した場合の偏角の変化を示している。すなわち、グラフ(C)は、無線端末12が低速移動した場合の偏角算出部41の出力を示している。偏角の極性は、ドップラー効果により、無線端末12の無線基地局11の通過前後で反転している。グラフ(C)の横軸は時間を示し、縦軸は偏角を示している。
【0046】
絶対値算出部42は、偏角算出部41から出力される偏角の絶対値を算出する。よって、無線端末12が低速移動した場合の絶対値算出部42の出力は、図の点線B2に示すようになる。
【0047】
グラフ(D)は、グラフ(C)の絶対偏角の時間平均を示している。すなわち、グラフ(D)は、無線端末12が低速移動した場合の時間平均部43の出力を示している。図の例では、時間平均部43は、時刻t1−t2における絶対偏角の平均値を算出し、時刻t2−t3における絶対偏角の平均値を算出している。グラフ(B)の横軸は時間を示し、縦軸は絶対偏角の平均値を示している。
【0048】
絶対偏角の大きさは、無線端末12の移動速度に関係する。従って、判定部44は、絶対偏角の平均値と所定の閾値とを比較することにより、無線端末12が高速移動しているか低速移動しているか判断することができる。
【0049】
例えば、グラフ(B)に示すように、絶対偏角の平均値が閾値thより大きければ、判定部44は、無線端末12が高速移動していると判断する。グラフ(D)に示すように、絶対偏角の平均値が閾値th以下であれば、判定部44は、無線端末12が低速移動していると判断する。 無線端末12が高速移動する場合、偏角算出部41で算出される偏角は、グラフ(A)に示すように急激に変化する。このため、絶対値算出部42から出力される絶対偏角の減少量は、グラフ(A)の矢印A2に示すように、グラフ(C)の矢印A4と比較して小さいものとなり、絶対偏角の平均値の減少量は、矢印A3に示すように矢印A5と比べて小さいものとなる。従って、無線端末12が高速で無線基地局11を通過した場合に、判定部44は、無線端末12を低速移動していると誤判断することを防止する。
【0050】
なお、絶対偏角の平均値と閾値とを比較するのは、例えば、絶対偏角と閾値とを比較するようにすると、グラフ(A)の矢印A2の時刻において、絶対偏角(偏角の絶対値の瞬時値)が閾値を下回り、判定部44は、無線端末12は高速移動しているにもかかわらず、低速移動していると判断する可能性があるからである。
【0051】
図6は、周波数偏差推定部の動作を示したフローチャートである。
ステップS1において、偏角算出部41は、周波数偏差算出部30の乗算器34から周波数偏差が出力されると、その偏角を算出する。絶対値算出部42は、偏角算出部41で算出された偏角の絶対値を算出する。時間平均部43は、絶対値算出部42から出力される絶対偏角を積算する。例えば、時間平均部43は、積算変数Sに絶対偏角を積算する。
【0052】
ステップS2において、時間平均部43は、タイマ変数tに1を加算する。
ステップS3において、時間平均部43は、タイマ時間が満了したか否か判断する。時間平均部43は、例えば、タイマ変数tとタイマ満了変数N(一定の値)とを比較し、タイマ変数tがタイマ満了変数より大きくなると、ステップS4へ進む。タイマ変数tがタイマ満了変数以下の場合は、処理を終了する。
【0053】
ステップS4において、時間平均部43は、絶対偏角の平均を算出する。時間平均部43は、積算した絶対偏角をタイマ満了変数Nで除算して、絶対偏角の時間平均を算出する。時間平均部43は、例えば、算出した絶対偏角の時間平均値を絶対偏角平均変数Rに格納する。
【0054】
ステップS5において、時間平均部43は、パラメータを初期化する。具体的には、時間平均部43は、積算変数Sとタイマ変数tを‘0’に初期化する。
ステップS6において、判定部44は、時間平均部43で算出された絶対偏角の時間平均値に基づいて無線端末12が高速移動しているか否か判断する。例えば、判定部44は、絶対偏角平均変数Rと閾値thとを比較し、絶対偏角平均変数Rが閾値thより大きければ、無線端末12は高速移動していると判断し、ステップS7へ進む。絶対偏角平均変数Rが閾値th以下であれば、無線端末12は低速移動していると判断し、ステップS8へ進む。
【0055】
ステップS7において、判定部44は周波数偏差算出部30の積算器35の平均時間を高速推定用に設定する。
ステップS8において、判定部44は周波数偏差算出部30の積算器35の平均時間を低速推定用に設定する。
【0056】
なお、高速推定用の平均時間は、低速推定用の平均時間より短い。これにより、積算器35に高速推定用の平均時間が設定された場合には、周波数偏差の追従性が向上する。一方、積算器35に低速推定用の平均時間が設定された場合は、周波数偏差の追従性は低下するが安定性が向上し、ノイズ等の耐性が向上する。
【0057】
このように、無線基地局11は、無線端末12の移動速度を判定し、周波数偏差の追従性および安定性を制御する。これにより、高速移動および低速移動する無線端末12の受信品質を向上することができる。
【0058】
また、無線基地局11は、無線端末12の移動速度を判定して周波数偏差の追従性および安定性を制御するので、無線基地局11の設置場所に応じて無線基地局11の周波数偏差の追従性および安定性の設定を変更しなくてもよい。例えば、無線基地局11を新幹線のトンネル内に設置する場合に、無線基地局11の周波数偏差の追従性を予め向上させて設置しなくてもよい。
【0059】
なお、上記では、無線基地局11は、無線端末12の速度を2種類しか判断しないが、複数の速度を判断することもできる。例えば、無線端末12の速度判定をするための閾値を複数(2以上)にし、絶対偏角の平均値がどの閾値を超えたかによって複数の速度を判断する。そして、判定部44は、複数の平均時間の中から判断した速度に対応する平均時間を選択し、積算器35に設定する。
【0060】
また、上記で説明した周波数偏差の追従性および安定性の制御は、無線端末12にも適用することができる。
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、無線端末の移動速度に関係なく、速度判定の閾値は一定であった。第2の実施の形態では、無線端末の移動速度に応じて異なる閾値を用い、無線端末の速度判定にヒステリシスを持たせて無線端末の速度判定の誤判定を防止する。
【0061】
図7は、第2の実施の形態に係る周波数偏差推定部の構成を示したブロック図である。図7において、図4と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図7に示すように、高速判定部50は、偏角算出部41、絶対値算出部42、時間平均部43、判定部44、閾値選択部51、および遅延器52を有している。
【0062】
閾値選択部51には、判定部44が速度判定するための閾値Fth,Lthが入力されている。閾値選択部51は、判定部44の速度判定結果に基づいて、閾値Fth,Lthを選択し、遅延器52に出力する。具体的には、閾値選択部51は、判定部44によって無線端末12が高速移動していると判断された場合、高速判定用の閾値Fthを遅延器52に出力する。また、判定部44によって、無線端末12が低速移動していると判断された場合、低速判定用の閾値Lthを遅延器52に出力する。閾値Fth,Lthは、次の式(7)の関係を有している。
【0063】
Fth<Lth …(7)
遅延器52は、閾値選択部51によって選択された閾値Fth,Lthを、1タイミング遅延して判定部44に出力する。これにより、閾値選択部51によって選択された閾値Fth,Lthは、次のパイロット信号の受信タイミングで判定部44に反映される。
【0064】
無線端末12が高速移動しているにもかかわらず、判定部44が誤って低速移動していると判断すると、周波数偏差算出部30は、周波数偏差の変化に追従できず、周波数偏差の推定値には大きな誤差が含まれる。この場合、無線端末12は、例えば、音声通話等が切断される。
【0065】
一方、無線端末12が低速移動しているにもかかわらず、判定部44が誤って高速移動していると判断した場合は、周波数偏差の推定値にノイズが多く含まれるが、周波数偏差の変化には追従することができる。この場合、無線端末12は、音声通話等の受信品質が悪化するが切断されることはない。
【0066】
そこで、図7の高速判定部50では、閾値を2つ用意して判定部44の判定にヒステリシスを持たせることにより、高速移動している無線端末12を、誤って低速移動していると判断しないようにする。
【0067】
例えば、判定部44は、高速判定を行っており、閾値選択部51からは、高速判定用の閾値Fthが出力されているとする。
判定部44は、現在選択されている閾値Fthと、時間平均部43から出力される絶対偏角の平均値とを比較する。絶対偏角の平均値が閾値Fthより大きければ、判定部44は、無線端末12が高速移動していると判断する。絶対偏角の平均値が閾値Fth以下であれば、判定部44は、無線端末12が低速移動していると判断する。
【0068】
閾値Fth,Lthは、式(7)の関係を有している。従って、判定部44は、絶対偏角の平均値が閾値Lthより小さい閾値Fthを下回らなければ低速移動と判断することはない。すなわち、判定部44は、無線端末12を1度高速判定すると、低速判定に戻りにくくなり、高速移動している無線端末12を誤って低速判定しないようになる。これにより、無線端末12の速度判定の誤りを防止する。
【0069】
なお、閾値の初期値は、最初、高速移動している無線端末12を低速移動していると判断しないためにも、閾値Fthであることが望ましい。
図8は、周波数偏差推定部の動作を示したフローチャートである。図8のステップS11−S15の処理は、図6のステップS1−S5の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0070】
ステップS16において、判定部44は、絶対偏角平均変数Rと閾値thとを比較し、無線端末12の移動速度を判定する。絶対偏角平均変数Rが閾値thより大きければ、無線端末12が高速移動していると判断し、ステップS17へ進む。絶対偏角平均変数Rが閾値th以下であれば、無線端末12は低速移動していると判断し、ステップS19へ進む。
【0071】
ステップS17において、閾値選択部51は、閾値thに高速判定用の閾値Fthを代入する。なお、高速判定用の閾値Fthは遅延器52によって1受信タイミング遅延されるので、判定部44は次の受信タイミングで閾値Fthを反映する。
【0072】
ステップS18において、判定部44は、周波数偏差算出部30の積算器35の平均時間を高速推定用に設定する。
ステップS19において、閾値選択部51は、閾値thに、低速判定用の閾値Lthを代入する。なお、低速判定用の閾値Lthは、遅延器52によって1受信タイミング遅延されるので、判定部44は、次の受信タイミングで閾値Lthを反映する。
【0073】
ステップS20において、判定部44は、周波数偏差算出部30の積算器35の平均時間を低速推定用に設定する。
このように、無線端末12の高速判定と低速判定とにおいて、それぞれ異なる閾値を用いて、無線端末12の速度判定にヒステリシスを持たせるようにした。これにより、無線端末12の移動速度の誤判定を防止することができる。
【0074】
次に、第3の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、高速判定部の絶対偏角の平均時間は、常に一定であった。第3の実施の形態では、無線端末の移動速度に基づいて高速判定部の絶対偏角の平均時間を変更する。
【0075】
図9は、第3の実施の形態に係る周波数偏差推定部の構成を示したブロック図である。図9において、図4と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9に示すように、高速判定部60は、偏角算出部41、絶対値算出部42、時間平均部43、判定部44、および平均時間選択部61を有している。
【0076】
平均時間選択部61には、時間平均部43が絶対偏角を平均するための平均時間FT,LTが入力されている。平均時間選択部61は、判定部44の速度判定結果に基づいて、平均時間FT,LTを選択し、時間平均部43に出力する。具体的には、平均時間選択部61は、判定部44によって、無線端末12が高速移動していると判断された場合、高速用の平均時間FTを時間平均部43に出力し、判定部44によって、無線端末12が低速移動していると判断された場合、低速用の平均時間LTを時間平均部43に出力する。平均時間FT,LTは、次の式(8)の関係を有している。
【0077】
FT>LT …(8)
第2の実施の形態でも述べたように、高速移動している無線端末12を低速移動していると判断すると、音声通話等の切断につながる。
【0078】
そこで、図9の高速判定部50では、平均時間を2つ用意して、絶対偏角の平均時間を変更し、高速移動している無線端末12を、誤って低速移動していると判断しないようにする。
【0079】
例えば、現在、判定部44は、高速判定を行っており、平均時間選択部61からは、高速用の平均時間FTが出力されているとする。この場合、時間平均部43は、平均時間選択部61から出力されている平均時間FTで、絶対値算出部42から出力される絶対偏角を平均する。
【0080】
ここで、平均時間FT,LTは、式(8)の関係を有している。従って、判定部44は、無線端末12を高速移動していると判断している場合、絶対偏角の平均時間は、低速移動している場合より長くなる。
【0081】
絶対偏角の平均の時間を長くすると、例えば、図5の矢印A2に示すような絶対偏角の減少が生じても、絶対偏角の平均値の変動は小さくなる。すなわち、図5の矢印A3に示す絶対偏角の平均値の減少分が小さくなる。これにより、高速移動している無線端末12を誤って低速判定しないようにすることができる。
【0082】
また、平均時間FT,LTを2つ設けたことにより、判定部44の判定は、ヒステリシスを持つようになる。例えば、判定部44が無線端末12の高速移動を判定し、平均時間選択部61が平均時間FTを選択した場合、判定部44は、低速移動の判定をしにくくなる。これにより、無線端末12の速度判定の誤りを防止する。
【0083】
なお、平均時間の初期値は、最初、高速移動している無線端末12を低速移動していると判断しないためにも平均時間FTであることが望ましい。
図10は、周波数偏差推定部の動作を示したフローチャートである。図10のステップS31−S35の処理は、図6のステップS1−S5の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0084】
ステップS36において、判定部44は、絶対偏角平均変数Rと閾値thとを比較し、無線端末12の移動速度を判定する。絶対偏角平均変数Rが閾値thより大きければ、無線端末12は高速移動していると判断し、ステップS37へ進む。絶対偏角平均変数Rが閾値th以下であれば、無線端末12は低速移動していると判断し、ステップS39へ進む。
【0085】
ステップS37において、平均時間選択部61は、高速用の平均時間FTを選択し、時間平均部43に出力する。時間平均部43は、タイマ満了変数Nに平均時間FTを代入する。これにより、ステップS33でのタイマ満了時間が変更され、絶対偏角の平均時間が変更される。
【0086】
ステップS38において、判定部44は、周波数偏差算出部30の積算器35の平均時間を高速推定用に設定する。
ステップS39において、平均時間選択部61は、低速用の平均時間LTを選択し、時間平均部43に出力する。時間平均部43は、タイマ満了変数Nに平均時間FTを代入する。これにより、ステップS33でのタイマ満了時間が変更され、絶対偏角の平均時間が変更される。
【0087】
ステップS40において、判定部44は、周波数偏差算出部30の積算器35の平均時間を低速推定用に設定する。
このように、無線端末12の移動速度に基づいて、それぞれ絶対偏角の平均時間を変更するようにした。これにより、無線端末12の移動速度の誤判定を防止することができる。
【0088】
次に、第4の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、周波数偏差算出部の積算器の平均時間を変更して、周波数偏差の追従性および安定性を変更していた。第4の実施の形態では、無線端末の移動速度に応じて、周波数偏差の平均方式自体を切り替え周波数偏差の追従性および安定性を変更する。
【0089】
図11は、第4の実施の形態に係る周波数偏差推定部の構成を示したブロック図である。図11において、図4と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図11に示すように、周波数偏差算出部70は、乗算器31,34、遅延器32、複素共役部33、積算器35、RWF(Random Walk Filter)部80、およびセレクタ91を有している。
【0090】
RWF部80は、乗算器81、正負判定部82、加算器83、遅延器84、および複素共役部85を有している。
乗算器81は、乗算器34から出力されるシンボルと、複素共役部85から出力される複素共役シンボルとを乗算する。正負判定部82は、乗算器34から出力されるシンボルの偏角と、1受信タイミング前のシンボルの偏角とを比較し、偏角が進んでいるかおよび遅れているかを判断する。偏角が進んでいれば‘1’を出力し、偏角が遅れていれば‘−1’を出力する。
【0091】
加算器83は、正負判定部82から出力される‘1’または‘−1’のステップと、遅延器84から出力されるステップとを加算する。遅延器84は、加算器83から出力されるステップを1受信タイミング遅延し、加算器83および複素共役部85に出力する。
【0092】
複素共役部85は、遅延器84から出力されるステップの複素共役を算出し、乗算器81に出力する。
RWF部80は、乗算器34から出力される周波数偏差を、その大きさに関わらず受信シンボルの受信タイミングごとに‘1’,‘−1’のステップサイズでしか変化させない。すなわち、RWF部80は、LPF(Low Pass Filter)と同様の機能を有している。
【0093】
セレクタ91には、積算器35から出力される信号と、RWF部80から出力される信号とが入力される。セレクタ91は、判定部44から出力される無線端末12の速度判定結果に基づいて、一方の入力を周波数偏差の推定値として、チャネル推定部26および検波部27に出力する。
【0094】
具体的には、セレクタ91は、判定部44によって無線端末12が高速移動していると判断された場合、積算器35から出力される信号を選択して出力する。判定部44によって無線端末12が低速移動していると判断された場合、RWF部80から出力される信号を選択して出力する。従って、無線端末12が高速移動しているときに周波数偏差の追従性が向上するよう、積算器35の平均時間は短めに設定する。無線端末12が低速移動しているときは、RWF部80から出力される信号が選択されるので、周波数偏差の追従性は低下するが安定性は向上する。
【0095】
図12は、周波数偏差推定部の動作を示したフローチャートである。図12のステップS51−S55の処理は、図6のステップS1−S5の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0096】
ステップS56において、判定部44は、絶対偏角平均変数Rと閾値thとを比較し、無線端末12の移動速度を判定する。絶対偏角平均変数Rが閾値thより大きければ、無線端末12は高速移動していると判断し、ステップS57へ進む。絶対偏角平均変数Rが閾値th以下であれば、無線端末12は低速移動していると判断し、ステップS58へ進む。
【0097】
ステップS57において、セレクタ91は、判定部44の高速移動判定に基づいて積算器35から出力される周波数偏差を選択して出力する。
ステップS58において、セレクタ91は、判定部44の低速移動判定に基づいてRWF部80から出力される周波数偏差を選択して出力する。
【0098】
このように、周波数偏差の平均方式を切り替えることによっても高速移動および低速移動する無線端末12の受信品質を向上することができる。
なお、上記の実施の形態は、それぞれ組み合わせることができる。例えば、第2の実施の形態と第3の実施の形態を組み合わせることもできる。また、第2の実施の形態と第4の実施の形態を組み合わせることもでき、第3の実施の形態と第4の実施の形態を組み合わせることもできる。また、第2の実施の形態から第4の実施の形態を組み合わせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】無線通信装置の概要を説明する図である。
【図2】第1の実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示した図である。
【図3】図2の無線基地局の構成の一部を示したブロック図である。
【図4】図3の周波数偏差推定部の構成を示したブロック図である。
【図5】図4の高速判定部の動作を説明する図である。
【図6】周波数偏差推定部の動作を示したフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態に係る周波数偏差推定部の構成を示したブロック図である。
【図8】周波数偏差推定部の動作を示したフローチャートである。
【図9】第3の実施の形態に係る周波数偏差推定部の構成を示したブロック図である。
【図10】周波数偏差推定部の動作を示したフローチャートである。
【図11】第4の実施の形態に係る周波数偏差推定部の構成を示したブロック図である。
【図12】周波数偏差推定部の動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
1 周波数偏差算出手段
2 平均手段
3 移動速度算出手段
4 平均時間変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数偏差を算出する無線通信装置において、
受信する無線信号の当該無線通信装置の受信周波数に対する前記周波数偏差を算出する周波数偏差算出手段と、
前記周波数偏差算出手段によって算出された前記周波数偏差を平均する平均手段と、
前記周波数偏差算出手段によって算出された前記周波数偏差に基づいて当該無線通信装置と無線通信する対無線通信装置の移動速度を算出する移動速度算出手段と、
前記移動速度算出手段によって算出された前記対無線通信装置の前記移動速度に基づいて前記平均手段の前記周波数偏差の平均時間を変更する平均時間変更手段と、
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記移動速度算出手段は、
前記周波数偏差算出手段によって算出された前記周波数偏差に基づいて前記無線信号の偏角を算出する偏角算出手段と、
前記偏角算出手段によって算出された前記偏角の絶対値を算出する絶対値算出手段と、
前記絶対値算出手段によって算出された前記偏角の絶対値を平均する絶対値平均手段と、
前記絶対値平均手段によって平均された前記偏角の絶対値と閾値とを比較して前記対無線通信装置の前記移動速度を判定する速度判定手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記移動速度算出手段は、前記速度判定手段によって判定された前記対無線通信装置の前記移動速度に基づいて前記閾値を変更する閾値変更手段をさらに有することを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記移動速度算出手段は、前記速度判定手段によって判定された前記対無線通信装置の前記移動速度に基づいて前記絶対値平均手段の前記偏角の絶対値の平均時間を変更する絶対値平均時間変更手段をさらに有することを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項5】
周波数偏差を算出する無線通信装置において、
受信する無線信号の当該無線通信装置の受信周波数に対する前記周波数偏差を算出する周波数偏差算出手段と、
前記周波数偏差算出手段によって算出された前記周波数偏差を平均する平均手段と、
前記周波数偏差算出手段によって算出された前記周波数偏差に基づいて当該無線通信装置と無線通信する対無線通信装置の移動速度を算出する移動速度算出手段と、
前記移動速度算出手段によって算出された前記対無線通信装置の前記移動速度に基づいて前記平均手段の平均方法を変更する平均方式変更手段と、
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
周波数偏差を算出する無線通信装置の周波数偏差算出方法において、
受信する無線信号の当該無線通信装置の受信周波数に対する前記周波数偏差を算出し、
前記周波数偏差に基づいて当該無線通信装置と無線通信する対無線通信装置の移動速度を算出し、
前記対無線通信装置の前記移動速度に基づいて前記周波数偏差の平均時間を変更する、
ことを特徴とする周波数偏差算出方法。
【請求項7】
周波数偏差を算出する無線通信装置の周波数偏差算出方法において、
受信する無線信号の当該無線通信装置の受信周波数に対する前記周波数偏差を算出し、
前記周波数偏差に基づいて当該無線通信装置と無線通信する対無線通信装置の移動速度を算出し、
前記対無線通信装置の前記移動速度に基づいて前記周波数偏差の平均方法を変更する、
ことを特徴とする周波数偏差算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−296514(P2009−296514A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150461(P2008−150461)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】