説明

無線通信装置および無線通信方法

【課題】ユーザの操作性を損なわず、セキュリティ上の問題なく無線通信装置間の近距離通信を行う。
【解決手段】第1の通信範囲を有する第1の通信手段と、前記第1の通信範囲を無線通信装置からの近距離部分と遠距離部分とに分割、前記遠距離部分を含み前記近距離部分を含まない第2の通信範囲を有する第2の通信手段と、他の通信装置の第1の通信手段から送信される近距離通信要求を前記第1の通信手段および前記第2の通信手段の少なくともいずれかにより受信されたことを検出する受信検出手段と、前記近距離通信要求が第1の通信手段により受信されかつ前記第2の通信手段により受信されなかったとき前記近距離通信要求を許可し、前記第2の通信手段により受信されたときは前記近距離通信要求を拒否する可否決定手段と、前記近距離通信要求が許可されたとき前記他の通信装置と前記第1の通信手段を介してデータ通信を行う第1の通信処理手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置および無線通信方法に関し、たとえば複数の無線通信装置間で近距離通信(秘匿通信)を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の無線通信装置の初期設定方法(認証手続き等)として、特許文献1に記載の方法が知られている。特許文献1の方法では、携帯機器同士が互いに発生する電波内に入ったとき即ち所定距離に近づいたときに、自動的に或いは使用者の確認により機器同士間の相互認証を行う。これにより、携帯機器における認証手続きにおいて、ID番号、パスワード等の入力作業の煩雑さを軽減できるとしている。
【0003】
一方、複数の無線通信機器の初期設定方法としては、特許文献2に記載された方法も知られている。特許文献2の方法では、複数の携帯機器が存在する場合の初期設定方法が開示されているが、設定情報を通知する機器と、通知される機器とを、事前にユーザが把握した上で操作する必要がある。
【特許文献1】特許第3669293号
【特許文献2】特開2006-60470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の方法では、無線通信装置(携帯機器)同士がそれほど接近しない状態で自動認証が許可されてしまうと、認証情報が盗み聞きされる可能性が高まり、セキュリティ上問題となる。また、無線通信装置を接近させてから認証ボタンを押す場合、認証ボタンの設置位置によっては、認証ボタンが押し難いという問題がある。そこで、特許文献1では、接近しない状態で認証ボタンを押し、機器が接近してから自動認証を開始する方法も提示している。この方法では、無線通信装置が互いに接近したこと(すなわち相手装置との距離)を検出する検出手段を追加的に実装し、近接を検知したら認証情報を送信する。これによれば、確かに操作性の問題は解消されるものの、セキュリティに関しては、近接の検出精度に大きく依存し、それほど近接しない状態で自動認証が行われてしまう問題が依然としてある。
【0005】
また別の問題として、特許文献1の方法は、2台の携帯機器間における認証手続き方法であり、既に認証を終えた2台の携帯機器に対して、さらに携帯機器を追加的に認証しようとすると、初期設定手続が煩雑になる問題が生じる。例えば、既に認証手続きを終えた携帯機器Aと携帯機器Bの組に対し、携帯機器Cをさらに認証して3者間通信を可能にしようとした場合に、携帯機器Cは携帯機器Aと携帯機器Bのそれぞれとの間で別個に相互認証を行わなければならなかった。これは、携帯機器数がNであれば、携帯機器をC(N,2)=N×(N−1)/(2×1)回接近させ認証を行う必要があることを意味する。よって、携帯機器の台数が多いほど初期設定の手続きが面倒になる。たとえば、5台の携帯機器を初期設定する場合は、10回の接近が必要となる。
【0006】
本発明は、ユーザの操作性を損なわずかつセキュリティ上の問題を生じさせずに無線通信装置間の近距離通信(秘匿通信)を行うことを可能とした無線通信装置および無線通信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様としての無線通信装置は、
第1の通信範囲を有する第1の通信手段と、
前記第1の通信範囲を無線通信装置からの近距離部分と遠距離部分とに分割したとき、少なくとも前記遠距離部分を含み前記近距離部分を含まない第2の通信範囲を有する第2の通信手段と、
他の通信装置の第1の通信手段から送信される近距離通信要求を前記第1の通信手段および前記第2の通信手段の少なくともいずれかにより受信されたことを検出する受信検出手段と、
前記近距離通信要求が第1の通信手段により受信されかつ前記第2の通信手段により受信されなかったとき前記近距離通信要求を許可し、前記第2の通信手段により受信されたときは前記近距離通信要求を拒否する可否決定手段と、
前記近距離通信要求が許可されたとき前記他の通信装置と前記第1の通信手段を介して近距離通信を行う第1の通信処理手段と、
を備える。
【0008】
本発明の一態様としての無線通信方法は、
第1の通信範囲を有する第1の通信手段と、前記第1の通信範囲を無線通信装置からの近距離部分と遠距離部分とに分割したとき、少なくとも前記遠距離部分を含み前記近距離部分を含まない第2の通信範囲を有する第2の通信手段とを備えた前記無線通信装置において実行する無線通信方法であって、
他の通信装置の第1の通信手段から送信される近距離通信要求を前記第1の通信手段および前記第2の通信手段の少なくともいずれかにより受信されたことを検出する受信検出ステップと、
前記近距離通信要求が第1の通信手段により受信されかつ前記第2の通信手段により受信されなかったとき前記近距離通信要求を許可し、前記第2の通信手段により受信されたときは前記近距離通信要求を拒否する決定ステップと、
前記近距離通信要求が許可されたとき前記他の通信装置と前記第1の通信手段を介して近距離通信を行う第1の通信処理ステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、ユーザの操作性を損なわずかつセキュリティ上の問題を生じさせずに無線通信装置間の近距離通信(秘匿通信)を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係わる無線通信装置の第1の構成例を示す。
【0012】
図1の無線通信装置は、送受信部11と、近距離用アンテナ12と、遠距離用アンテナ13と、初期設定部14、上位層インターフェイス15と、切替処理部16とを備える。初期設定部14は、設定判断部(第1の通信処理手段、可否決定手段、第1〜第3の起動手段、要求送信手段、取得要求送信手段、設定情報取得手段、設定情報送信手段、検査手段)21、受信手段判定部(受信検出手段)22、設定情報生成部23、設定情報保持部(記憶手段)24を有する。
【0013】
近距離用アンテナ12は第1の通信範囲を有し、遠距離用アンテナ13は第1の通信範囲と異なる第2の通信範囲を有する。より詳細に、近距離用アンテナ12の第1の通信範囲を無線通信装置からの近距離部分と遠距離部分とに分割したとき、遠距離用アンテナ13の第2の通信範囲は、少なくとも近距離部分を含まず遠距離部分を含むような通信範囲である。たとえば、近距離用アンテナ12の通信範囲が0〜3cmであるのに対して、遠距離用アンテナ13の通信範囲は2cm〜10mである。この場合、近距離用アンテナ12の通信範囲のうち、0〜2cmの部分は近距離部分に相当し、2cm〜3cmの部分は遠距離部分に相当する。近距離用アンテナ12を実現する代表的なものとしては、誘導電界アンテナがあり、遠距離アンテナ13を実現する代表的なものとしては、放射電界アンテナがある。これらの近距離用アンテナ12および遠距離用アンテナ13についてさらに説明すると以下の通りである。
【0014】
ある無線通信装置の近距離用アンテナを用いて送信された無線信号は、相手の無線通信装置が離れている場合には、相手装置の遠距離用アンテナで受信することができるが、相手装置の近距離用アンテナでは受信することができない。2つの装置間の距離が近づいてくると、ある無線通信装置の近距離用アンテナから送信された無線信号は、相手装置の近距離用アンテナと遠距離用アンテナの双方で受信することができるようになり、さらに近づくと、相手装置の近距離用アンテナでしか受信できなくなる。これは、装置同士が近づくことにより、例えば、近距離アンテナと遠距離アンテナのインピーダンス整合がとれなくなり、近距離用アンテナ同士でしか通信できなくなるためである。
【0015】
なお、上記例ではインピーダンス整合を用いた実現方法をしめしたが、本発明は、上記実現方法に限定されることはなく、装置間の距離が離れているときの第1状態と、装置間の距離が少し近づいた第2状態と、装置間の距離がさらに近づいた第3の状態を想定し、近距離用アンテナで送信した無線信号は、第1状態では、遠距離用アンテナのみで受信でき、第2の状態では、遠距離用と近距離用の双方のアンテナで受信でき、第3の状態では、近距離用のアンテナのみで受信できればよい。また、前述の第1の状態がなく、第2の状態と第3の状態のみが存在するようにしてもよい。
【0016】
初期設定部14は、相手の通信装置との遠距離通信(遠距離用アンテナ13を介したデータ通信)を開始する前に、相手通信装置との間で近距離用アンテナ12を介したデータ通信より初期設定を行うことにより、相手の通信装置との間で共通の設定情報を設定する。設定情報はセキュリティを確保するための暗号鍵と、この暗号鍵を使った通信を識別する通信識別子(ネットワーク識別子)とを含む。ただし設定情報の構成はこれに限定されず、他の構成を用いてもよい(後述する図12参照)。初期設定部14の詳細動作については後述する。
【0017】
上位層インターフェイス15は、上位層(アプリケーション)とのインターフェイスであり、上位層から受けたデータを送受信部11に送り、送受信部11から受けたデータを上位層へ渡す。
【0018】
切替処理部16は、初期設定部14からの指示に応じて、近距離用アンテナ12と遠距離用アンテナ13とを選択的に切り替えて送受信部11に接続する。たとえば切替処理部16は、初期設定モードでは送受信部11を近距離用アンテナ12に接続するよう初期設定部14から指示を受け、初期設定後の通信モードでは遠距離用アンテナ13に接続するよう指示を受ける。また切替処理部16は、各アンテナ12、13の受信レベルを検出して初期設定部14に通知する機能(測定手段)を有する。
【0019】
送受信部11は、初期設定部14または上位層インターフェイス15から受けたデータを送信処理して送信信号を生成し、生成した送信信号を近距離用アンテナ12または遠距離用アンテナ13を介して、空間に電波として放射する。また送受信部11は、無線による受信信号を近距離用アンテナ12または遠距離用アンテナ13を介して受信し、受信信号を受信処理して受信データを取得し、取得した受信データを初期設定部14または上位層インターフェイス15に送る。送受信部11についてさらに詳細に説明すると以下の通りである。
【0020】
送受信部11は、初期設定モードにおいて初期設定部14から受けたデータに対して送信処理(たとえばMAC層等の処理、変調、DA変換、フィルタリング、アップコンバート、増幅等)を行って送信信号を生成し、生成した送信信号を近距離用アンテナ12を介して送信する。また送受信部11は、初期設定モード中に近距離用アンテナ12を介して受信された信号に対して受信処理(たとえば増幅、ダウンコンバート、フィルタリング、AD変換、復調、MAC層処理等)を行って受信データを取得し初期設定部14に出力する。
【0021】
また送受信部11は、初期設定モードが完了した後(認証が終わった後)に行われる通信モードにおいて上位層インターフェイス15から受けるデータに対して送信処理を行って送信信号を生成し、生成した送信信号を遠距離用アンテナ13を介して送信する。この送信処理においては、送信データを、初期設定で設定した暗号鍵により暗号化するとともに、通信識別子を送信フレームに含める。また送受信部11は、同通信モードにおいて、遠距離用アンテナ13を介して受信した信号に対して受信処理を行って受信データを取得し上位層インターフェイス15に送る。この受信処理においては、取得した受信フレームに上記通信識別子が含まれているか判定し、含まれているときは、この受信フレームを受信して、受信フレームに含まれる暗号化データを上記暗号鍵により復号化し、復号データを上位層インターフェイス部15に出力する。上記通信識別子が含まれない受信フレームあるいは異なる通信識別子が含まれる受信フレームはたとえば廃棄する。なお、通信モードにおいて相手装置との近接状況に応じて近距離用アンテナ12を用いた通信を行うことも可能である。
【0022】
なお、近距離用アンテナ12、または近距離用アンテナ12と送受信部11との組は、たとえば本発明の第1の通信手段に相当し、遠距離用アンテナ13、または遠距離用アンテナ13と送受信部11との組は、たとえば本発明の第2の通信手段に相当する。また、設定判断部21は、たとえば本発明の、第1の通信処理手段、可否決定手段、第1〜第3の起動手段、要求送信手段、取得要求送信手段、設定情報取得手段、設定情報送信手段、検査手段に相当する。また、受信手段判定部22は、たとえば本発明の受信検出手段に相当し、設定情報保持部24は、たとえば本発明の記憶手段に相当する。また、上位層インターフェイス15、または上位層、またはこれらの両方は、たとえば本発明の第2の通信処理手段に相当する。
【0023】
以下、初期設定部14の動作について詳細に説明する。
【0024】
図6は、本実施形態に係わる2つの無線通信装置A、B間で行われる初期設定(認証処理)のシーケンスの第1の例を示す。以下では、無線通信装置A、BのユーザA、Bがそれぞれ無線通信装置A、Bを接近させて無線通信装置A,B間で近距離通信(秘匿通信)により初期設定(認証手続き)を行い、その後、ユーザ同士が離れて無線通信装置A,B間で遠距離通信を行う状況を想定する。
【0025】
無線通信装置A、Bの各々のユーザがそれぞれ設定ボタンを押下して、各無線通信装置の初期設定部14がこの押下を検知し、各無線通信装置が初期設定モードになる(S11、S101)。各無線通信装置A、Bの初期設定部14は送受信部11を近距離用アンテナ12に接続することを切替処理部16に指示し、無線通信装置A、Bの切替処理部16はこの指示に従って近距離用アンテナ12を送受信部11に接続する。各無線通信装置は、近距離通信の実行指示をユーザから受ける受付手段を備え、近距離通信の実行指示は、設定ボタンの押下信号に相当する。
【0026】
無線通信装置A、Bの設定判断部21は、設定情報が設定情報保持部24に設定(記憶)されているか否かを判断する(S12)。
【0027】
無線通信装置A、Bの設定判断部21は、設定情報が設定されていない場合、それぞれタイマーをランダムな値に設定して、起動する(S13、S103)。これは本発明の第1の起動手段の処理に相当する。ここでは無線通信装置A、Bの設定情報保持部24のいずれにも設定情報が設定されていないとする。タイマーの値は、取りえる値の範囲があらかじめ決められており、その範囲内でランダムに決定する。
【0028】
無線通信装置A、Bの設定判断部21は、タイマーがタイムアウトした場合は、接続要求(近距離通信要求あるいは秘匿通信要求)フレームを近距離用アンテナ12を介して送信する。一方、無線通信装置A、Bの設定判断部21は、タイマーがタイムアウトする前に、他方の無線通信装置からの接続要求フレームが受信された場合は、タイマーをリセットし、接続要求フレームを送信しないことを決定する。受信の判定は、受信手段判定部22により行なわれ、復調された接続要求フレームが初期設定部14に入力された場合、またはタイマーの起動以降において閾値以上の受信レベルが遠距離用アンテナ13で検出された場合、またはこれらの両方が検出された場合は、接続要求フレームが受信されたと判断する。ここでは無線通信装置Aのタイマーが先にタイムアウトして(S14)、接続要求フレーム(第1の近距離通信要求)を近距離用アンテナ12を介して送信する(S15)。そしてこの接続要求フレームが無線通信装置Bによりタイムアウト前に受信したと受信手段判定部22により判断される(S104)。したがって、無線通信装置Bの設定判断部21は、タイマーをリセットし(S105)、接続要求フレームを送信しないことを決定する。
【0029】
接続要求フレームを受信したと判断した無線通信装置Bの受信手段判定部22は、接続要求フレームを受信したアンテナを判定する(S106)。具体的には、接続要求フレームが近距離用アンテナ(近距離通信手段)12のみで受信されたのか、それとも遠距離用アンテナ(遠距離通信手段)13のみで受信されたのか、それとも遠距離用と近距離用との両方のアンテナ12、13で受信されたのかを判定する。この判定は前述した第1〜第3の状態のいずれかを判定することに相当する。S104およびS106はたとえば本発明の受信検出手段の処理に相当する。判定は、たとえば以下のようにして行う。
【0030】
送受信部11から復調された接続要求フレームが初期設定部14に入力されかつタイマーの起動以降において遠距離用アンテナ13で閾値以上の受信レベルが検出されなかった場合は、近距離用アンテナ12のみで受信されたと判定する(第3の状態)。近距離用アンテナ12から復調された接続要求フレームが入力されかつタイマーの起動以降において遠距離用アンテナ13で閾値以上の受信レベルが検出された場合は両方のアンテナ12、13で受信されたと判定する(第2の状態)。タイマーの起動以降において遠距離用アンテナ13で閾値以上の受信レベルが検出されかつ復調された接続要求フレームが入力されなかったときは遠距離用アンテナ13のみで接続要求フレームが受信されたと判定する(第1の状態)。なお、受信手段判定部22は、復調された接続要求フレームが入力されたことをもって近距離用アンテナ12における接続要求フレームの受信を判断するかわりに、近距離用アンテナ12の受信レベルが閾値以上になったことをもって接続要求フレームの受信を判断してもよい。
【0031】
無線通信装置Bにおいて接続要求フレームが近距離用アンテナ12のみで受信したと判定された場合(第3の状態)には、相手の無線通信装置が近接しておりしたがって相手の無線通信装置との間で初期設定を行うことが可能であると判断して接続要求を許可する。これは本発明の可否決定手段の処理に相当する。無線通信装置Bの設定判断部21は、接続要求フレームに対する応答フレームとして接続応答フレーム(許可応答)を近距離用アンテナ12を介して送信する(S107)。この際、接続応答フレームには、自装置がまだ初期設定が行われない(設定情報が未設定である)ことを通知するための情報を含める。一方、無線通信装置Bの受信手段判定部22が、接続要求フレームを遠距離用アンテナ13、または遠距離と近距離との両方のアンテナ12、13で受信したと判定した場合は(第1または第2の状態)、相手装置はまだ近接していないと判断して接続要求を拒否し、接続応答フレームは送信しない。これは本発明の可否決定手段の処理に相当する。この場合、たとえば無線通信装置Aからの再送を待機する。ここでは無線通信装置Bは接続要求フレームを近距離用アンテナ12のみで受信したと判断して接続応答フレームを送信し、この接続応答フレームが無線通信装置Aにおいて受信されたと無線通信装置Aの受信手段判定部22により判断されたとする。受信の判断は上記したS14の説明と同様にして行う。
【0032】
接続応答フレームを受信した無線通信装置Aの受信手段判定部22は、接続応答フレームを受信したアンテナ(通信手段)の判定を行う(S16)。この判定は上述したS106の判定と同様にして行う。近距離用アンテナ12のみで受信したと判定された場合(第3の状態)には、無線通信装置Aの設定判断部21は、接続応答に基づいて設定情報が無線通信装置Bで未設定であるか否かを検査する。これは本発明の検査手段の処理に相当する。ここでは接続応答に設定情報が未設定であることが記述されているため、自装置で設定情報を生成することを判断し、設定情報生成部23に設定情報の生成を指示する。接続応答フレームを遠距離用アンテナ13、または遠距離と近距離との両方のアンテナ12、13で受信したと判定した場合(第1または第2の状態)の処理例については後述する。
【0033】
無線通信装置Aの設定情報生成部23は、設定判断部21からの指示に従って、設定情報を生成する(S17)。設定判断部21は、生成された設定情報を通知するための設定情報通知フレームを生成して無線通信装置Bに近距離用アンテナ12を介して送信する(S18)。これは本発明の設定情報送信手段の処理の一例に相当する。ここで、設定情報を形成する暗号鍵および通信識別子(ネットワーク識別子)の値は、人間が認識できる必要は全くなく、ランダムに決定すればよい。設定情報の値は設定情報生成部23により自動的に決定されユーザにより決定する必要ないため、ユーザ負荷は軽減される。
【0034】
無線通信装置Bの受信手段判定部22は、S106での接続応答フレームの送信に対して設定情報通知フレームを近距離用アンテナ12を介して受信したことを判定した場合には、設定判断部21は、その設定情報通知フレームに記載された設定情報を抽出して設定情報保持部24に記憶させる(S108)。これにより無線通信装置B側の初期設定が完了する。そして、設定判断部21は、無線通信装置Bの初期設定が完了したことを通知するための設定完了フレームを無線通信装置Aに近距離用アンテナ12を介して送信する(S109)。この設定完了フレームは、設定情報通知フレームの受信に対するAckフレームにより代用することも可能である。
【0035】
無線通信装置Aにおいて無線通信装置Bからの設定完了フレームを近距離用アンテナ12を介して受信したことを判定したら、無線通信装置Aの設定情報生成部23は、設定情報を設定情報保持部24に記憶させる(S19)。これにより無線通信装置A側の初期設定が完了し、無線通信装置A、Bの双方でそれぞれ共通の設定情報が保持される。
以降は、無線通信装置A、Bの近接を解除して、無線通信装置A、B間で、それぞれ共通に保持される設定情報に基づき、遠距離用アンテナ13を介して遠距離通信(たとえば映像データ、音声データ、テキストデータ等のデータの送受信)を行うことができる。
【0036】
ここで上述したように、設定情報は、セキュリティを確保するための暗号鍵と、この暗号鍵を使った通信を識別する通信識別子(ネットワーク識別子)とを含んでいる。無線通信装置A、Bは、この暗号鍵を用いてデータを暗号化して送信することにより、たとえこの暗号鍵を知らない他の装置が送信データを受信したとしてもその内容が知られることを防止できる。
【0037】
また、無線通信装置A、Bのうち送信側は、通信識別子を含めて送信フレームを送信することにより、無線通信装置A、Bのうち受信側は、通信識別子に基づいて受信フレームをフィルタリングでき、よって受信する必要のないフレームに対する無駄な受信処理を省略することができる。
【0038】
たとえば、送信フレームの宛先アドレスを通信識別子にする場合、受信側装置は、宛先アドレスが、初期設定で取得した通信識別子に一致するフレームのみを選択して受信処理することができる。つまり、フレームの宛先アドレスが当該通信識別子と異なる場合は、そのフレームを受信処理することなく廃棄できる。なおこの場合は通信識別子の長さはアドレス長と同じである必要がある。
【0039】
また、フレームの宛先アドレスをブロードキャストアドレスにし、フレームの別のフィールドに通信識別子にすることもできる。この場合、宛先アドレスがブロードキャストアドレスであることから、無線通信装置A、B以外の他の無線通信装置もそのフレームを受信し得る。しかしながら、上記別のフィールドに記載された通信識別子を確認することで、各装置は受信したフレームが自分に必要なフレームか否かを判断できる。なおこの場合は、通信識別子の長さは、アドレス長とは無関係であるため、アドレス長と同じ長さである必要はない。
【0040】
図7は、無線通信装置A、B間で行われる初期設定シーケンスの第2の例を示す。
【0041】
無線通信装置Aで行われるステップS11〜S15、無線通信装置Bで行われるステップS101〜S106は図6と同一であるため拡張された処理を除き重複する説明を省略する。
【0042】
無線通信装置BにおいてステップS106で受信手段判定部22により遠距離用アンテナ13、または近距離用と遠距離用との両方のアンテナ12、13で接続要求フレームが受信されたと判断されたとする。この場合は、無線通信装置Bの設定判断部21は、接続要求フレームを送信することを決定し、タイマーをランダムな値に設定して起動する(S111)。これは本発明の第2の起動手段の処理に相当する。そしてタイマーがタイムアウトしたら(S112)、設定判断部21は、接続要求フレーム(第2の近距離通信要求)を近距離用アンテナ12を介して送信する(S113)。これは本発明の要求送信手段の処理に相当する。この後、無線通信装置A側では、図6に示したステップS16〜S19に従い、無線通信装置B側では図6に示したステップS108〜S109に従う。
【0043】
ここで、S111で設定するタイマーの値の期待値(すなわち接続要求フレームを送信するまでの時間間隔の期待値)は、S103で設定する値の期待値よりも大きいことが好ましい。この理由について説明すると以下の通りである。
【0044】
すなわちS106で少なくとも遠距離用アンテナ13によりフレームが受信されたと判断された場合は、無線通信装置A、Bがまだ近接していないため、ステップS111でタイマーの値が小さく設定されると、すぐにタイムアウトになり無線通信装置Aに接続要求フレームを送信しても、近距離用アンテナ12のみで受信される可能性は低い。そこでS106での判定からある程度大きめの時間をあけてからフレーム送信を行うことで、無線通信装置A側で近距離用アンテナ12のみで接続要求フレームが確実に受信されることが望ましい。そこで、ステップS111では、タイマーの値の期待値が、S103よりも大きくなるように設定することとする。
【0045】
または、タイマーの値の他の決定方法として、ランダムではなく、ステップS104で受信された接続要求フレームの近距離用アンテナ12の受信レベルが小さいほど、値を大きくするようにしてもよい。またはステップS104で受信された接続要求フレームの近距離用アンテナ12の受信レベルが小さいほどS111で設定するタイマーの値の期待値が大きくなるようにしてもよい。これらによっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0046】
図8は、無線通信装置A、B間で行われる初期設定シーケンスの第3の例を示す。
【0047】
無線通信装置Aで行われるステップS11〜S16、無線通信装置Bで行われるステップS101〜S107は図6と基本的に同様であるため拡張された処理を除き重複する説明を省略する。
【0048】
無線通信装置AにおいてステップS16では受信手段判定部22により接続応答フレーム(許可応答)が遠距離用アンテナ13、または近距離用と遠距離用との両方のアンテナ12、13で受信された(第1または第2の状態)と判断されたとする。このとき、無線通信装置Aの設定判断部21は、接続要求フレームの再送信を決定し、タイマーをランダムな値に設定して起動する(S21)。これはたとえば本発明の第3の起動手段の処理に相当する。そしてタイマーがタイムアウトしたら(S22)、設定判断部21は、接続要求フレーム(第3の近距離通信要求)を、近距離用アンテナ12を介して送信する(S23)。この後、無線通信装置Aの受信手段判定部22により接続応答フレームが近距離用アンテナ12にのみ受信されたら、図6と同様のシーケンス(S17〜S19)に従う。
【0049】
ここで、S21で設定するタイマーの期待値は、S13で設定される値の期待値よりも大きいことが好ましく、この理由は図7での説明と同様である。または、タイマーの値の設定方法として、ランダムではなく、S107で無線通信装置Bから送信された接続応答フレームの近距離用アンテナ12での受信レベルが小さいほど、タイマーの値を大きくするようにしてもよい。またはステップS107で無線通信装置Bから送信された接続応答フレームの近距離用アンテナ12での受信レベルが小さいほどタイマーの値の期待値が大きくなるようにしてもよい。
【0050】
図9は、無線通信装置C、A間で行われる初期設定シーケンスの第4の例を示す。無線通信装置A、B間では図6〜図8に示したいずれかのシーケンスに従って初期設定が完了しており、この状態で無線通信装置C、A間でさらに初期設定シーケンスを行う場合の例を説明する。
【0051】
無線通信装置C、Aの各々のユーザがそれぞれ設定ボタンを押下して、各初期設定部14がこれを検知し、各無線通信装置が初期設定モードになる(S1001、S31)。各無線通信装置A、Bの送受信部11は近距離用アンテナ12に接続される。
【0052】
無線通信装置C、Aの設定判断部21は、設定情報が設定情報保持部24に設定されているか否かを判断する(S1002、S32)。
【0053】
無線通信装置Cの設定判断部21は、設定情報が設定されていないと判断し、タイマーをランダムな値に設定して起動する(S1003)。一方、無線通信装置Aの設定判断部21は、設定情報を記憶していると判断し、タイマーをランダムな値に設定して起動する(S13)。つまり設定情報の記憶の有無に拘わらず、タイマーは起動される。
【0054】
無線通信装置Cのタイマーがタイムアウトし(S1004)、設定判断部21は、接続要求フレームを近距離用アンテナ12を介して送信する(S1005)。無線通信装置Aでは、無線通信装置Aのタイマーがタイムアウトする前に、無線通信装置Cが送信した接続要求フレームを受信したことが判断され(S34)、設定判断部21はタイマーをリセットする(S35)。
【0055】
無線通信装置Aの受信手段判定部22は、接続要求フレームを受信したアンテナ(通信手段)を判定する(S36)。すなわち接続要求フレームを近距離用アンテナ12のみで受信したのか(第3の状態)、それとも遠距離用アンテナ13のみ(第1の状態)あるいは遠距離用と近距離用との両方のアンテナ12、13で受信したのか(第2の状態、)を判定する。
【0056】
ここでは無線通信装置Aの受信手段判定部22は、接続要求フレームを近距離用アンテナ12のみで受信したと判定し、接続要求フレームに対する応答フレームを、既に初期設定が行われている(設定情報を設定済みである)ことを通知する情報を含めて送信する(S37)。
【0057】
無線通信装置Cで接続要求フレームが受信されたことが判断され、接続応答フレームを受信した受信手段の判定を行う(S1006)。近距離用アンテナ12のみで受信したと判定された場合(第3の状態)には、無線通信装置Cの設定判断部21が、設定情報の取得要求フレーム(設定情報の取得要求)を近距離用アンテナ12を介して送信する(S1006)。これはたとえば本発明の取得要求送信手段の処理の一例に相当する。接続応答フレームが近距離用アンテナ12のみで受信されたと判定された場合(第1または第2の状態)は、たとえば図8のステップS21、S22と同様に、タイマーを再起動しタイムアウトしたら再度、取得要求フレームを送信する。
【0058】
無線通信装置Aでは取得要求フレームが近距離用アンテナ12のみを介して受信され、無線通信装置Aの設定判断部21は、設定情報保持部24に設定された設定情報を読み出して、近距離用アンテナ12を介して無線通信装置Cに送信する。取得要求フレームが少なくとも遠距離用アンテナ13を介して受信された場合は、設定情報の送信を中止し、無線通信装置Aからの取得要求フレームの再送信を待つようにしてもよい。
【0059】
無線通信装置Cでは、無線通信装置Aからの設定情報を近距離用アンテナ12を介して取得し、取得した設定情報を設定情報保持部24に記憶する(S1007)。これは本発明の設定情報取得手段の処理の一例に相当する。これにより無線通信装置Cの初期設定が完了する。この設定情報は無線通信装置A、B、C間で共通であり、よって無線通信装置Cは、この設定情報に基づき、無線通信装置Aのみならず、無線通信装置Bとも、遠距離用アンテナ13を介して、データ通信を行うことが可能である。
【0060】
図10は、図9のシーケンスを一部変更した初期設定シーケンスの第5の例を示す。
【0061】
図9の例では無線通信装置Cは取得要求フレームを送信することにより設定情報を取得したが、図10の例では、無線通信装置Aから接続応答フレームを送信する際、この接続応答フレームに設定情報を含める(S38)。これにより無線通信装置Cは取得要求フレームを送信することなく設定情報を取得できるため、初期設定完了までのシーケンスを少なくできる。
【0062】
図11は、図9のシーケンスを一部変更した初期設定シーケンスの第6の例を示す。
【0063】
図9の例では無線通信装置Cのタイマーが先にタイムアウトした場合の例を示したが、本例では無線通信装置Aのタイマーが先にタイムアウトした場合の例を示す。S1001〜S1003、S32〜S33は図9と同様であるため重複する説明を省略する。
【0064】
無線通信装置Aのタイマーがタイムアウトし(S41)、無線通信装置Aの設定判断部21は、既に初期設定が行われている(設定情報を設定済みである)ことを通知する情報を含めて接続要求フレームを送信する(S42)。
【0065】
無線通信装置Cの受信手段判定部22により接続要求フレームの受信が判断されたら(S1004)、無線通信装置Cの設定判断部21はタイマーをリセットし(S1005)する。そして受信手段判定部22により接続要求フレームを受信したアンテナを判定し、近距離用アンテナ12のみで受信されたと判定されたときは、設定判断部21は、設定情報の取得要求フレームを近距離用アンテナ12を介して送信する(S1006)。少なくとも遠距離用アンテナ13で受信された場合は、たとえば無線通信装置Aからの再送を待つようにしてもよい。
【0066】
無線通信装置Aでは取得要求フレームが近距離用アンテナ12のみを介して受信され、無線通信装置Aの設定判断部21は、設定情報保持部24に設定された設定情報を読み出して、近距離用アンテナ12を介して無線通信装置Cに送信する(S43)。取得要求フレームが少なくとも遠距離用アンテナ13を介して受信された場合は、設定情報の送信を中止し、無線通信装置Cからの取得要求フレームの再送を待つようにしてもよい。
【0067】
無線通信装置Cでは、無線通信装置Aからの設定情報を近距離用アンテナ12を介して受信したら、受信された設定情報を設定情報保持部24に記憶する(S1007)。
【0068】
これまでの説明では設定情報の構成例として、暗号鍵と通信識別子とからなる例を示したが、以下では、他の構成例について説明する。
【0069】
図12(A)は設定情報の他の構成例を示す。
【0070】
この設定情報は、暗号化情報および通信識別子(ネットワーク識別子)の組を、アプリケーション識別子に関連づけたものである。この設定情報の構成を用いる場合、初期設定モードへの移行判断(S12、S102、S1002、S32)では、設定判断部21は、初期設定モードへの移行指示が入力されたアプリケーションを特定する。そして、特定したアプリケーションの識別子が設定情報保持部24に設定されているときは、設定情報は設定済みであると判断し、設定されていないときは未設定であると判断する。
【0071】
また初期設定部14は、設定情報の生成の際は、設定情報生成部23は、まず暗号化情報および通信識別子を生成し、生成したこれらの情報を、初期設定モードへの移行指示が入力されたときのアプリケーションの識別子に関連づけて、設定情報保持部24に記憶する。これによりアプリケーション毎に、暗号化情報および通信識別子(ネットワーク識別子)を管理することができる。
【0072】
図12(B)は、設定情報のさらに他の構成例を示す。
【0073】
この設定情報は、アプリケーション識別子に、ネットワーク識別子、通信識別子(ネットワーク識別子)およびチャネル情報の組を関連づけたものである。初期設定モードへの移行判断(S12、S102、S1002、S32)では、設定判断部21は、初期設定モードへの移行指示が入力されたアプリケーションを特定する。特定したアプリケーションの識別子が設定情報保持部24に設定されているときは、設定情報は設定済みであると判断し、設定されていないときは未設定であると判断する。
【0074】
また初期設定部14は、設定情報の生成の際は、設定情報生成部23は、初期設定モードへの移行指示が入力されたときのアプリケーションが遠距離通信で使用するチャネルを決定し、特定したアプリケーションの識別子に、暗号化情報、通信識別子およびチャネル情報を関連づけて、設定情報保持部24に記憶する。遠距離用アンテナ13を介した遠距離通信時は、該当する設定情報に含まれるチャネル情報に示されるチャネルによりデータ通信を行う。このように設定情報にはアプリケーション毎に使用するチャネルの情報を含めてもよい。
【0075】
これまでは図1の第1の構成例を元に図6〜図11の各初期設定シーケンスについて説明したが、これらのシーケンスを、本発明の実施形態に係わる無線通信装置の他の構成例(第2の構成例〜第5の構成例)により実行することも可能である。以下第2〜第5の構成例について順次説明する。
【0076】
図2は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置の第2の構成例を示す。
【0077】
図1の第1の構成例では、近距離用アンテナ12と遠距離用アンテナ13とで送受信部11を共用し、切替処理部16によりアンテナ接続を切り替えていたが、図2で示した第2の構成例では各アンテナ12、13に対して、近距離送受信部31と遠距離送受信部32とをそれぞれ設けている。これにより、切替処理部(スイッチ)16を省き、切替処理部16による損失を減らして、通信品質を向上させることができる。特に、60GHz帯のような高い周波数帯域を使う場合には、切替処理部(スイッチ)のサイズが大きいため、切替処理部16を無くす効果は高い。また、近距離用アンテナおよび遠距離用アンテナにそれぞれ専用の送受信部を設けることで、それぞれの特性に適した送受信処理を行うことができる。
【0078】
この第2の構成例を用いた場合、受信手段判定部22は、フレーム(接続要求フレーム、接続応答フレーム等)が受信されたか否か、また受信されたフレームが近距離用アンテナと遠距離用アンテナのどちらで受信されたかの判定を、近距離送受信部31および遠距離送受信部32を監視することで行うことができる。すなわち近距離送受信部31のみからフレームが入力されれば近距離用アンテナ12のみでフレームが受信されたと判定し、遠距離送受信部32のみからフレームが入力されれば近距離用アンテナ12のみで受信されたと判定し、両方の送受信部31、32からフレームが入力されれば両方のアンテナ12、13で受信されたと判定することができる。
【0079】
図3は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置の第3の構成例を示す。
【0080】
図2の第2の構成例では、近距離送受信部は、初期設定に関わるデータのみを取り扱うため、上位層インターフェイス15とは接続していなかった。これに対し、図3の第3の構成例では、近距離送受信部も、遠距離送受信部32と同様に上位層インターフェイス15と接続させている。これにより、近距離送受信部33は、上位層からのデータを近距離用アンテナ12を介して送信し、また近距離用アンテナ12から受信したデータを上位層に転送することができる。このような構成にすることにより、初期設定が終了した後で、もし双方の無線通信装置が互いに近接しており、かつ、近距離送受信部33の方が省電力伝送に優位であれば、実際のデータ通信を、近距離送受信部33を介して行うことで省電力化を図ることが可能となる。
【0081】
ここで実際のデータ通信において遠距離送受信部32と近距離送受信部33のどちらを使うかの判断についてはたとえば以下のようにして行う。直前のフレームを近距離送受信部32と遠距離送受信部33との双方で受信した場合は、次に送信するフレームは、近距離送受信部32を用いて送信し、遠距離送受信部33で受信した場合は遠距離送受信部33を用いて送信すると判断する。直前のフレームがいずれの送受信部で受信されたかの判定は、受信手段判定部22を利用して行ってもよいし、同判定を行う判定部を別途、追加し、該判定部で行ってもよい。データ送信の際は、受信手段判定部22または該判定部が、使用する送受信部を指定した制御信号を送受信部32、33に送り、指定された方の送受信部がデータを送信するようにする。そのため、上位層インターフェイス15は、近距離送受信部32と遠距離送受信部33の双方に同一のデータを転送するように設定しておく。また、別の方法としては、受信手段判定部22または該判定部において、いずれの送受信部で直前のフレームが受信されたかの判定結果を、上位層インターフェイス15に通知し、上位層インターフェイス15は通知された方の送受信部にのみ、送信すべきデータを転送するようにしてもよい。
【0082】
図4は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置の第4の構成例を示す。
【0083】
図3の第3の構成例との違いは、図3の無線通信装置に対して送受信部切替処理部35を追加した点にある。送受信部切替処理部35は、受信手段判定部22または上記判定部による、いずれの送受信部で直前のフレームが受信されたかの判定結果に従って、近距離送受信部31と遠距離送受信部32のいずれかを選択的に切り替える。または送受信部切替処理部35が、近距離送受信部31と遠距離送受信部32との受信状況に基づき、いずれの送受信部を利用するかを決定して、切替えを行うようにしてもよい。
【0084】
図5は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置の第5の構成例を示す。
【0085】
図5の第5の構成例では、1本のアンテナ41、1つの送受信部42を、遠距離用と近距離用とで共用して用い、通信モード切替部43が送受信部42の動作を遠距離用のモードと近距離用のモードとに切り替える。
【0086】
近距離用のモードとは、例えば、送信電力を低くして(増幅しないまたは増幅率が小さい)送信し、また受信感度を低下させて(たとえば低ノイズ増幅器による増幅を行わないまたは増幅率を小さくして)受信するモードである。近距離のため、通信品質の変動が小さいと判断して、受信用のAD変換器のビット幅を小さくしても良い。
【0087】
逆に遠距離用のモードとは、送信電力を高くして送信し、また受信感度を高くして受信するモードである。また、遠距離のため、通信品質の変動が大きいと判断して、受信用のAD変換器のビット幅を大きくしても良い。
【0088】
図5の第5の構成例を用いる場合は、初期設定モードでは近距離用のモードに設定し、初期設定が完了したら遠距離用のモードに変更する。初期設定モードにおいて受信アンテナを判定するステップ(たとえばS16、106等)では、無条件に近距離用アンテナ12のみでフレームが受信されたと判定すればよい。すなわち近距離用のモードでフレームが受信されたときは、近距離用アンテナ12のみでフレームが受信されたとみなせばよい。本構成例では、第1〜第4の構成例よりも近接の検出精度が低下するが、構成が簡易である利点がある。
【0089】
以上に説明した各実施形態では接続要求(近距離通信要求)および接続応答(許可応答)を近距離用アンテナのみで受信した場合にのみ近距離通信(たとえば設定情報の送信等)を許可したが、遠距離用アンテナに拘わらず接続要求および接続応答が近距離用アンテナで受信されたときは近距離通信を許可するようにしてもよい。
【0090】
以上のように、本発明の実施形態によれば、近距離用アンテナ12で接続要求フレームを受信し遠距離用アンテナ13で接続要求フレームを受信しなかったときは接続要求を許可して近距離用アンテナ12を介して初期設定(近距離通信)を行い、遠距離用アンテナ13で接続要求フレームを受信したときは接続要求を拒絶して初期設定を行わないようにしたことにより、確実に無線通信装置同士が接近したときにのみ初期設定を行うことが可能になる。
【0091】
また、本発明の実施形態によれば既に2つの無線通信装置間で初期設定が済んでいる状況においてさらに追加的に1つ以上の無線通信端末を初期設定する場合には、追加する無線通信端末は、初期設定済みのいずれか1つの無線通信装置との間で初期設定手続を行うのみでよく、従来のように、すべての無線通信装置との間で初期設定手続を行う必要はない。たとえば無線通信装置が5台ある場合、従来であればすでに述べたように10回の接近が必要であるが、本実施形態では、4回の接近で済ませることができる。すなわち4回の接近のみですべての無線通信装置にそれぞれ設定情報を共通化することができる。このように本実施の形態では、無線通信装置が3台以上の場合に、初期設定手続を簡略化することができる。
【0092】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信装置の第1の構成例を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る無線通信装置の第2の構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係る無線通信装置の第3の構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の実施形態に係る無線通信装置の第4の構成例を示すブロック図。
【図5】本発明の実施形態に係る無線通信装置の第5の構成例を示すブロック図。
【図6】2つの無線通信装置間で行われる初期設定シーケンスの第1の例を示す図。
【図7】2つの無線通信装置間で行われる初期設定シーケンスの第2の例を示す図。
【図8】2つの無線通信装置間で行われる初期設定シーケンスの第3の例を示す図。
【図9】2つの無線通信装置間で行われる初期設定シーケンスの第4の例を示す図。
【図10】2つの無線通信装置間で行われる初期設定シーケンスの第5の例を示す図。
【図11】2つの無線通信装置間で行われる初期設定シーケンスの第6の例を示す図。
【図12】設定情報の一例を示す図。
【符号の説明】
【0094】
11:送受信部
12:近距離用アンテナ
13:遠距離用アンテナ
14:初期設定部
15:上位層インターフェイス
21:設定判断部
22:受信手段判定部
23:設定情報生成部
24:設定情報保持部
31:遠距離送受信部
32:遠距離送受信部
35:送受信部切替処理部
42:送受信部
43:通信モード切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信範囲を有する第1の通信手段と、
前記第1の通信範囲を無線通信装置からの近距離部分と遠距離部分とに分割したとき、少なくとも前記遠距離部分を含み前記近距離部分を含まない第2の通信範囲を有する第2の通信手段と、
他の通信装置の第1の通信手段から送信される近距離通信要求を前記第1の通信手段および前記第2の通信手段の少なくともいずれかにより受信されたことを検出する受信検出手段と、
前記近距離通信要求が第1の通信手段により受信されかつ前記第2の通信手段により受信されなかったとき前記近距離通信要求を許可し、前記第2の通信手段により受信されたときは前記近距離通信要求を拒否する可否決定手段と、
前記近距離通信要求が許可されたとき前記他の通信装置と前記第1の通信手段を介して近距離通信を行う第1の通信処理手段と、
を備えた無線通信装置。
【請求項2】
近距離通信の実行指示をユーザから受け付ける受付手段と、
前記受付手段において前記近距離通信の実行指示を受け付けたとき、タイマーをランダムな値に設定して起動する第1の起動手段と、
前記近距離通信要求の受信が検出されることなく前記タイマーがタイムアウトしたとき前記他の通信装置に前記近距離通信要求を前記第1の通信手段を介して送信する要求送信手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記タイマーがタイムアウトする前に前記近距離通信要求が前記第2の通信手段により受信されたとき、前記タイマーをランダムな値に再設定し起動する第2の起動手段をさらに備え、
前記要求送信手段は、前記第2の起動手段により起動された前記タイマーがタイムアウトしたとき第2の近距離通信要求を前記他の通信装置に送信し、
前記第2の起動手段により設定される前記タイマーの値の期待値は、前記第1の起動手段により起動される前記タイマーの値の期待値よりも大きい
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第2の通信手段で受信される信号の受信レベルを測定する測定手段と、
前記近距離通信要求が前記第2の通信手段により受信されたとき第2の近距離通信要求を前記第1の通信手段を介して前記他の通信装置に送信する要求送信手段とをさらに備え、
前記要求送信手段は、前記近距離通信要求の受信レベルが小さいほど、前記第2の近距離通信要求を送信するまでの時間間隔を大きくとる
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第2の通信手段を介した遠距離通信を行うときに前記他の通信装置との間で共通に用いられる設定情報を記憶するための記憶手段と、
前記記憶手段内の前記設定情報に基づいて前記他の通信装置と前記第2の通信手段を介して遠距離通信を行う第2の通信処理手段と、をさらに備え、
前記第1の通信処理手段は、
前記近距離通信要求が許可されたとき、前記記憶手段に前記設定情報が設定されているか否かを検査し、
前記設定情報が設定されていないときは、前記設定情報の取得要求を前記他の通信装置に送信し、前記他の通信装置から前記取得要求に応じて返される設定情報を取得し、取得した設定情報を前記記憶手段に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記第1の通信処理手段は、前記記憶手段に前記設定情報が設定されているときは、前記設定情報が設定済みであることを示す応答を前記他の通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記第1の通信処理手段は、前記記憶手段に設定されている前記設定情報を前記応答に含めることを特徴とする請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記他の通信装置に前記近距離通信要求を前記第1の通信手段を介して送信する要求送信手段をさらに備え、
前記受信検出手段は、送信した近距離通信要求の許可応答が前記第1の通信手段および前記第2の通信手段の少なくともいずれかにより受信されたことを検出し、
前記第1の通信処理手段は、前記許可応答が前記第1の通信手段により受信され前記第2の通信手段により受信されなかったとき前記第1の通信手段を介して前記他の通信装置と前記近距離通信を行い、
前記要求送信手段は、前記許可応答が前記第2の通信手段により受信されたときは第3の近距離通信要求を前記第1の通信手段を介して前記他の通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項9】
近距離通信の実行指示をユーザから受け付ける受付手段と、
前記受付手段において前記近距離通信の実行指示を受け付けたとき、タイマーをランダムな値に設定して起動する第1の起動手段と、をさらに備え、
前記要求送信手段は、前記他の通信装置からの前記近距離通信要求の受信が検出されることなく前記タイマーがタイムアウトしたとき前記他の通信装置に前記近距離通信要求を送信する
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記許可応答が前記第2の通信手段により受信されたとき前記タイマーをランダムな値に設定して起動する第3の起動手段をさらに備え、
前記要求送信手段は、前記タイマーがタイムアウトしたとき前記第3の近距離通信要求を送信し、
前記第3の起動手段により設定するタイマーの値の期待値は、前記第1の起動手段により設定するタイマーの値の期待値よりも大きい
ことを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記第2の通信手段で受信される信号の受信レベルを測定する測定手段をさらに備え、
前記要求送信手段は、前記許可応答の受信レベルが小さいほど前記第3の近距離通信要求を送信するまでの時間間隔を大きくとる
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記第2の通信手段を介した遠距離通信を行うときに前記他の通信装置との間で共通に用いられる設定情報を記憶するための記憶手段と、
前記記憶手段内の前記設定情報に基づいて前記他の通信装置と前記第2の通信手段を介して前記遠距離通信を行う第2の通信処理手段と、
をさらに備え、
前記第1の通信処理手段は、
前記他の通信装置が前記設定情報を設定済みであるか否かを検査し、
前記設定情報を設定済みであるときは前記他の通信装置に前記設定情報の取得要求を送信し、前記取得要求に応答して前記他の通信装置から返される前記設定情報を取得し、取得した設定情報を前記記憶手段に記憶し、
前記設定情報を設定済みでないときは設定情報を生成し、生成した設定情報を前記記憶手段に記憶するとともに前記他の通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。
【請求項13】
前記第1の通信処理手段は、
前記記憶手段に前記設定情報が設定済みであるか否かを検査し、
前記設定情報が設定済みでありかつ前記他の通信装置が前記設定情報を設定済みでないときは前記記憶手段内の前記設定情報を読み出して前記他の通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項12に記載の無線通信装置。
【請求項14】
前記許可応答には前記他の通信装置が前記設定情報を設定済みか否かを示す情報が含まれており、
前記第1の通信処理手段は、前記許可応答に含まれる前記情報に基づき前記他の通信装置が前記設定情報を設定済みか否かを検査する
ことを特徴とする請求項12または13に記載の無線通信装置。
【請求項15】
前記設定情報は、通信識別子と暗号鍵とを含み、
前記第2の通信処理手段が前記他の通信装置に送信するデータの宛先アドレスは前記通信識別子である
ことを特徴とする請求項5〜7、12〜14のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項16】
前記設定情報は、通信識別子と暗号鍵とを含み、
前記第2の通信処理手段が前記他の通信装置に送信するデータの宛先アドレスはブロードキャストアドレスであり、前記他の通信装置に送信する前記データは前記通信識別子を含む
ことを特徴とする請求項5〜7、12〜14のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項17】
前記設定情報は、前記第2の通信手段で使用するチャネルの識別情報をさらに含む
ことを特徴とする請求項15または16に記載の無線通信装置。
【請求項18】
前記設定情報は、前記記憶手段においてアプリケーション識別子に関連づけられて記憶され
前記近距離通信要求は、前記アプリケーション識別子を含み、
前記第1の通信処理手段は、前記近距離通信要求に含まれるアプリケーション識別子と同一の識別子が前記記憶部に設定されているときは、前記設定情報が設定済みであると決定する
ことを特徴とする請求項15ないし17のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項19】
第1の通信範囲を有する第1の通信手段と、
前記第1の通信範囲より広い第2の通信範囲を有する第2の通信手段と、
他の通信装置の第1の通信手段から送信される近距離通信要求を前記第1の通信手段により受信されたことを検出する受信検出手段と、
前記近距離通信要求の受信が検出されたとき、前記第2の通信手段を介した遠距離通信を行うときに前記他の通信装置との間で共通に用いられる設定情報の取得要求を前記他の通信装置に前記第1の通信手段を介して送信する取得要求送信手段と、
前記取得要求に応答して前記通信装置から返される前記設定情報を前記第1の通信手段を介して取得する設定情報取得手段と、
取得された設定情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段内の前記設定情報に基づいて前記他の通信装置と前記第2の通信手段を介して遠距離通信を行う第2の通信処理手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項20】
第1の通信範囲を有する第1の通信手段と、
前記第1の通信範囲より広い第2の通信範囲を有する第2の通信手段と、
他の通信装置の第1の通信手段から送信される近距離通信要求を前記第1の通信手段により受信されたことを検出する受信検出手段と、
前記第2の通信手段を介した遠距離通信を行うときに前記他の通信装置との間で共通に用いられる設定情報をあらかじめ記憶した記憶手段と、
前記近距離通信要求の受信が検出されたとき前記設定情報を前記第1の通信手段を介して前記他の通信装置に送信する設定情報送信手段と、
前記記憶手段内の前記設定情報に基づいて前記他の通信装置と前記第2の通信手段を介して遠距離通信を行う第2の通信処理手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項21】
第1の通信範囲を有する第1の通信手段と、
前記第1の通信範囲より広い第2の通信範囲を有する第2の通信手段と、
前記他の通信装置に近距離通信要求を前記第1の通信手段を介して送信する要求送信手段と、
前記他の通信装置から返される、前記近距離通信要求が許可されたことを示す許可応答が前記第1の通信手段により受信されたことを検出する受信検出手段と、
前記許可応答の受信が検出されたとき、前記第2の通信手段を介した遠距離通信を行うときに前記他の通信装置との間で共通に用いられる設定情報を前記他の通信装置が設定済みか否かを検査する検査手段と、
前記設定情報を設定済みのときは前記第1の通信手段を介して前記他の通信装置に前記設定情報の取得要求を送信する取得要求送信手段と、
前記取得要求に応答して前記他の通信装置から返される前記設定情報を前記第1の通信手段を介して取得する設定情報取得手段と、
取得された設定情報を記憶する記憶手段と、
前記設定情報を設定済みでないときは設定情報を生成し、生成した設定情報を前記記憶手段に設定するとともに前記他の通信装置に前記第1の通信手段を介して送信する設定情報送信手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項22】
第1の通信範囲を有する第1の通信手段と、前記第1の通信範囲を無線通信装置からの近距離部分と遠距離部分とに分割したとき、少なくとも前記遠距離部分を含み前記近距離部分を含まない第2の通信範囲を有する第2の通信手段とを備えた前記無線通信装置において実行する無線通信方法であって、
他の通信装置の第1の通信手段から送信される近距離通信要求を前記第1の通信手段および前記第2の通信手段の少なくともいずれかにより受信されたことを検出する受信検出ステップと、
前記近距離通信要求が第1の通信手段により受信されかつ前記第2の通信手段により受信されなかったとき前記近距離通信要求を許可し、前記第2の通信手段により受信されたときは前記近距離通信要求を拒否する決定ステップと、
前記近距離通信要求が許可されたとき前記他の通信装置と前記第1の通信手段を介して近距離通信を行う第1の通信処理ステップと、
を備えたことを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−109855(P2010−109855A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281602(P2008−281602)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】