説明

無線通信装置

【課題】複数の無線通信手段を有した装置において、装置の利用場所に応じて最適な無線通信手段を提供することを目的とするものである。
【解決手段】複数の無線通信手段を有した無線通信部11と、複数の無線通信手段のいずれかを選択するための通信選択手段部12と、どの無線通信手段を選択するかを制御する通信制御部13と、無線通信により送受信したデータを処理するデータ処理部15と、ユーザが装置の利用場所を入力すためのユーザ操作部16とを備え、装置の利用場所に応じて複数の無線通信手段の優先度を切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の無線通信手段を有した無線通信装置に関し、特に使用される環境に応じて適切な無線通信手段を選択して無線通信を行うことができる無線通信装置および無線通信方法にするものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や無線LAN(Local Area Network)、無線MAN(Metropolitan Area Network)などの各種の無線通信手段が普及してきているが、それぞれの無線通信手段は通信コスト、通信速度、サービスエリア、ハンドオーバーなどの通信性能が異なるため、複数の無線通信手段を有し、使用環境に応じた無線通信手段の利用が可能な装置が考えられている。
【0003】
携帯電話はサービスエリアが広く、どこからでも通信が可能な反面、通信コストが高い点や無線LANや無線MANに比べ通信速度が遅いといったデメリットがある。また無線LANは通信コストが安く、通信速度も速いといった特徴があるが、ひとつひとつのサービスエリアが狭いため、高速移動中にはハンドオーバーが頻発し、通信速度が大きく低下してしまうといったデメリットが存在する。無線MANについては通信速度が速く、高速移動中でも通信可能な反面、通信コストが高いことやサービス開始直後のためサービスエリアが狭いといったデメリットがある。以上のように、現在普及している種々の無線通信手段には通信性能に一長一短が存在する。
【0004】
従来の技術として、複数の無線通信手段と、各々異なる処理を実行する複数のアプリケーションソフトウェアを実行するデータ処理手段と、データ処理手段で実行されたアプリケーションソフトウェアを検知して無線通信手段ごとの優先度情報を発生する。制御手段は複数の無線通信手段の通信可否情報と優先度情報とに応じて切換信号を発生し、これにより複数の無線通信手段から一つを動作可能にする。実行されるアプリケーションの特徴情報、無線通信機能の特徴情報、通信料金に関する情報から自動的に無線通信機能を切替えることができるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−327463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術においては、送受信するデータの内容や通信コストのみで優先度を決定しているため、例えば、高速移動中では通信速度が大きく低下してしまう無線LANであっても、実行されたアプリケーションによっては、自動的に切替えてしまうケースが存在するという問題点があった。
【0007】
本発明は、従来の問題点を解決するためになされたもので、装置の利用環境によって接続する無線通信手段の優先度を切り換えることができる無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の無線通信装置は、複数の無線通信手段を有した無線通信部と、前記複数の無線通信手段のいずれかひとつを選択するための通信手段選択部と、自装置の利用場所情報を入力するためのユーザ操作部と、複数種類の優先度のいずれか一つの優先度にしたがって前記無線通信手段を前記通信手段選択部に選択させるよう制御する通信制御部とを備え、前記通信制御部は、前記ユーザ操作部から入力された利用場所情報に応じて前記優先度を切り換え、切り換えた優先度にしたがって前記通信手段選択部を制御する構成を有している。
【0009】
また、本発明の無線装置は、車両に搭載され、前記車両に搭載される車両側機器と接続可能な無線通信装置であって、複数の無線通信手段を有した無線通信部と、前記複数の無線通信手段のいずれかひとつを選択するための通信手段選択部と、自装置と前記車両側機器との接続を検知する検知部と、複数種類の優先度のいずれか一つの優先度にしたがって前記無線通信手段を前記通信手段選択部に選択させるよう制御する通信制御部とを備え、前記通信制御部は、前記検知部の検知結果に応じて前記優先度を切り換え、切り換えた優先度にしたがって前記通信手段選択部を制御する構成を有している。
【0010】
さらに、本発明の無線装置は、複数の無線通信手段を有した無線通信部と、前記複数の無線通信手段のいずれかひとつを選択するための通信手段選択部と、自装置の位置情報および加速度情報を収集するセンサと、前記センサで収集した情報から自装置の利用場所を判定する判定部と、複数種類の優先度のいずれか一つの優先度にしたがって前記無線通信手段を前記通信手段選択部に選択させるよう制御する通信制御部とを備え、前記通信制御部は、前記判定部の判定結果に応じて前記優先度を切り換え、切り換えた優先度にしたがって前記通信手段選択部を制御する構成を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置の利用場所が高速移動を伴う場所であるかどうかに応じて適した無線通信手段をユーザに提供する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における無線通信手段を用いて行われる無線通信のイメージ図
【図2】本発明の実施の形態1における無線通信装置のブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における無線通信手段の優先度情報を示す優先度テーブルの一例を示す図
【図4】(a)本発明の実施の形態1における無線通信装置における無線通信の接続処理に関する処理を示すフローチャート(b)本発明の実施の形態1における無線通信装置において優先度テーブルの参照先を変更する処理を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2における無線通信装置のブロック図
【図6】本発明の実施の形態2における無線通信装置の動作説明のためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における無線通信装置および方法について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態1における無線通信手段を用いて行われる無線通信のイメージ図である。無線通信装置10は、無線MAN通信(通信手段A)、無線LAN通信(通信手段B)、携帯電話通信(通信手段C)の3種類の無線通信手段を備えており、いずれの無線通信手段を用いても基地局や中継機器を通じてInternetへのアクセスが可能となっている。
【0015】
図2は本発明の実施の形態1における無線通信装置のブロック図である。
【0016】
図2において、無線通信装置10は、複数の無線通信手段を有した無線通信部11と、複数の無線通信手段のいずれかを選択する通信手段選択部12と、複数の無線通信手段の優先度テーブル14と、優先度テーブル14の情報に基づいて無線通信手段を選択し、選択した無線通信手段の情報を通信手段選択部12に伝える通信制御部13と、通信手段選択部12が選択した通信手段を利用して送受信したデータの処理を行うデータ処理部15と、ユーザが無線通信装置10の利用場所を、高速移動を伴わない場所での使用とするか高速移動を伴う場所での使用とするかを選択するためのユーザ操作部16とを有したものである。
【0017】
なお、以下の説明では、ユーザがユーザ操作部16によって、無線通信装置10の利用場所を、高速移動を伴わない場所での使用とすることを選択した場合の無線通信装置10の動作モードを「車外モード」と称し、か高速移動を伴う場所での使用とすることを選択した場合の無線通信装置10の動作モードを「車内モード」と称す。
【0018】
無線通信部11は通信手段A、通信手段B、通信手段Cで構成され、それぞれの通信手段は、送受信回路やアンテナで構成される。
【0019】
通信手段選択部12は無線通信部11に含まれる複数の通信手段のいずれかをデータ処理部15と接続するための、セレクタ回路で構成される。
【0020】
通信制御部13は、通信手段の優先度テーブル14と、ユーザによるユーザ操作部16への入力から得られた無線通信装置10の利用場所情報(高速移動を伴わない場所か高速移動を伴う場所かを示す情報)とをもとに、利用する通信手段を決定するための、CPUやメモリを有したマイコンが用いられる。
【0021】
データ処理部15は無線通信手段11を使って送受信したデータを処理するための、マイコンや映像処理回路、音声処理回路などによって構成される。ユーザ操作部16は、例えば、釦やタッチパネルなどによって構成される。
【0022】
図3は、本実施の形態において利用する優先度テーブル14の一例を示しており、通信手段Aは無線WAN通信、通信手段Bは無線LAN通信、通信手段Cは携帯電話通信としている。
【0023】
この優先度テーブルでは優先度の数値が小さいほど優先度が高いことを示しており、この数値を示す情報があらかじめ無線通信装置10内に記憶されている。
【0024】
また、この優先度テーブルは、無線通信装置10の利用場所が高速移動を伴わない場所である場合(車外モード)には、無線LAN通信、無線MAN通信、携帯電話通信の順に無線通信の接続が行われるよう優先順位が決められており、無線通信装置10の利用場所が高速移動を伴う場所である場合(車内モード)には、高速移動では通信速度が大きく低下してしまう無線LAN通信の優先度が最も低く設定されている。
【0025】
なお、高速移動時には接続することが出来ない通信手段が存在する場合には、その通信手段の優先度を低く設定する以外にも、当該通信手段を優先度テーブル14の車内モードから削除しても良い。
【0026】
以上のように構成された無線通信装置10について、以下にその処理動作を説明する。図4は本発明の実施の形態1における無線通信装置10のフローチャートであり、図4(a)は無線通信装置10における無線通信の接続処理に関するフローチャートを、図4(b)は図4(a)の処理中で参照する優先度テーブル14の参照先を変更する処理のフローチャートを示す。
【0027】
両者の処理は個別に動作しているが、図4(a)の処理中に図4(b)の処理が発生した場合には、図4(a)の処理を停止し、ユーザに停止した旨を通知するか、図4(a)の処理を自動的に最初からやり直す。
【0028】
まず、初期状態として、無線通信装置10の利用場所が車外モードに設定されているとする。
【0029】
この状態において、ユーザが無線通信を必要とするアプリケーションを起動するなどにより、無線通信の接続処理が開始されると、図4(a)に示すように、通信制御部13は図3に示した優先度テーブル14を参照し、優先度の最も高い無線通信手段の情報を取得する(ステップS101)。
【0030】
無線通信装置10の動作モードは車外モードに設定されているため、最も優先度の高い通信手段は通信手段B(無線LAN通信)となる。
【0031】
通信制御部13は無線通信部11に含まれる通信手段Bに対し基地局との通信が可能かどうか確認し(ステップS102)、通信可能であれば(ステップS102がYesの場合)、通信手段選択部12に無線通信部11が持つ複数の通信手段の中から通信手段Bを選択するよう通信手段選択信号を送信する(ステップS103)。
【0032】
通信手段選択部12は通信手段選択信号を受信すると(ステップS104)、無線通信部11に含まれる複数の通信手段の中から、通信手段Bとデータ処理部15を接続する(ステップS105)。
【0033】
通信手段Bと基地局との通信が不可能であった場合(ステップS102がNoの場合)には、全ての通信手段が不可能だったか判定する(ステップS106)。
【0034】
この場合、まだ通信手段Aと通信手段Cが判定すべき通信手段として残っているので、ステップS106での判定結果はNoとなり、通信制御部13は優先度テーブル14を参照し、次に優先度の高い無線通信手段の情報を取得する(ステップS107)。
【0035】
ステップS107においては、無線通信装置10の動作モードは車外モードに設定されているため、次に優先度が高い通信手段は通信手段A(無線MAN通信)となる。
【0036】
通信制御部13は無線通信部11に含まれる通信手段Aに対し、基地局との通信が可能かどうか確認し(ステップS102)、通信可能であれば(ステップS102がYesの場合)、通信手段選択部12に無線通信部11が持つ複数の通信手段の中から通信手段Aを選択するよう通信選択信号を送信する(ステップS103)。
【0037】
通信手段選択部12は通信手段選択信号を受信すると(ステップS104)、無線通信部11に含まれる複数の通信手段の中から、通信手段Aとデータ処理部15を接続する(ステップS105)。
【0038】
通信手段Aと基地局との通信も不可能であった場合には、最も優先度の低い通信手段である通信手段C(携帯電話通信)に対して、同様の処理を進める。
【0039】
全ての通信手段で基地局との通信が不可能であった場合には、ステップS106でYe
sとなり、画面表示や音声案内などにより、ユーザに無線通信の接続が失敗した旨を通知する(ステップS108)。
【0040】
次に、ユーザがユーザ操作部16を操作して無線通信装置10の動作モードとして車内モードを選択すると、図4(b)に示すように、ユーザ操作部16は通信制御部13に無線通信装置10の動作モードを車内モードに変更するよう優先度切換信号を送信する(ステップS111)。
【0041】
通信制御部13は優先度切換信号を受信すると(ステップS112)、無線通信装置10の動作モードを車内モードに変更する(ステップS113)。
【0042】
通信制御部13が無線通信装置10の動作モードを変更した後、ユーザが無線通信を必要とするアプリケーションを起動するなどにより、無線通信の接続処理が開始されると、前述した図4(a)に従って無線通信の接続が行われる。
【0043】
ただし、この場合(車内モードで動作している場合)ステップS101においては、無線通信装置10の動作モードが車内モードに設定されているため、最も優先度の高い通信手段は通信手段A(無線WAN)となり、ステップS102では通信手段Aが基地局と通信可能かの確認が行われる。
【0044】
ステップS102において通信可能であれば(ステップS102がYesの場合)、通信手段選択部12に無線通信部11が持つ複数の通信手段の中から通信手段Aを選択するよう通信選択信号を送信する(ステップS103)。
【0045】
通信手段選択部12は通信手段選択信号を受信すると(ステップS104)、無線通信部11に含まれる複数の通信手段の中から、通信手段Aとデータ処理部15を接続する(ステップS105)。
【0046】
通信手段Aと基地局との通信が不可能であった場合(ステップS102がNoの場合)には、通信制御部13は優先度テーブル14を参照し、次に優先度の高い無線通信手段の情報を取得する(ステップS106)。無線通信装置10の動作モードは車内モードに設定されているため、次に優先度が高い通信手段は通信手段B(無線MAN通信)となり、通信手段Bに対して同様の処理を進める。
【0047】
通信手段Bと基地局との通信も不可能であった場合には、最も優先度の低い通信手段である通信手段C(携帯電話通信)に対して、同様の処理を進める。
【0048】
全ての通信手段で基地局との通信が不可能であった場合には、ステップS106でYesとなり、画面表示や音声案内などにより、ユーザに無線通信の接続が失敗した旨を通知する(ステップS108)。
【0049】
以上のように本実施の形態によれば、無線通信装置10の動作モードが車外モードか車内モードかによって無線通信手段の優先度テーブル14の参照先を切り換えることにより、ユーザが無線通信装置の利用場所を選択するのみで、複数の無線通信手段の中から利用場所に応じた通信手段を利用することができる。
【0050】
なお、本実施の形態において無線通信手段は3種類としており、2種類以上であれば、同様の効果を発揮できるが、無線通信手段の種類が多いほど、装置の利用場所に適した優先順位を設定することができ、より最適な無線通信処理をおこなうことができるようになる。
【0051】
なお、本実施の形態において、ユーザが無線通信装置10の利用場所を選択するごとに優先度テーブル14の参照先を変更し、無線通信の接続処理の開始時に優先度テーブル14から通信手段の情報を取得する構成としたが、ユーザが無線通信装置10の利用場所を選択したときに、優先度テーブル14に設定されている優先度の値を書き換える構成にしても良い。
【0052】
ただし、この場合、通信制御部13は優先度テーブル14の同じ場所を参照することが出来るため、処理を効率化できるが、車内モードと車外モードで設定する優先度の値を別の場所に記憶しておく必要がある。
【0053】
また、データ処理部15で受信したデータの不良率を通信制御部13が計測し、データの不良率が高い場合には次に優先度の高い通信手段に切り換える構成にしても良い。
この構成では、通信が不可能であった場合以外に、無線通信状況が不安定な場合にも、次に優先度の高い通信方式に切り換えることができる。
【0054】
なお、車内に車速パルスなどの車両情報を無線通信装置10に伝える機能を持ったクレイドルやコネクタなどの車両側機器が備えられている場合、ユーザ操作部16のかわりに、車両側機器の接続を検知するための検知部を使い、検知結果を通信制御部13に通知する構成としても良い。
【0055】
この構成とすることで、車両側機器と接続したときに優先度テーブル14の参照先を車内モードに変更し、車両側機器との接続が切れたときに優先度テーブル14の参照先を車外モードに変更することで、車両側機器との脱着のみで複数の無線通信手段の中から利用場所に応じた通信手段を利用することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における無線通信装置および方法について図面を参照しながら説明する。
【0056】
図5は本発明の実施の形態2における無線通信装置20のブロック図である。
【0057】
本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0058】
実施の形態2と実施の形態1との相違点は、ユーザが装置の利用場所を入力するためのユーザ操作部16のかわりに、利用場所が車内か車外かを判定するための判定部21と判定に必要な情報を収集するセンサ22とを有している。
【0059】
判定部21は例えば、マイコンなどで構成される。センサ22は例えば、加速度センサおよびGPSセンサなどによって構成される。
【0060】
以上のように構成された無線通信装置20について、以下にその処理動作を説明する。
実施の形態2における無線通信装置20は、実施の形態1における無線通信装置10のようなユーザによる操作が行われなくても、無線通信装置20の利用場所を判定部21とセンサ22とを用いて自動的に判定し、接続する無線通信手段の優先度の参照先を自動的に切り換えるものである。
【0061】
図6は本発明の実施の形態2における無線通信装置20の優先度テーブル14の参照先を変更する処理を示すフローチャートであり、本発明の実施の形態1における図4(b)の処理にかわるものである。
【0062】
無線通信を開始するための制御処理フローは本発明の実施の形態1の図4(a)に示される処理と同様のため、詳細な説明は省略する。図6の処理は周期的に動作しており、図4(a)に示される処理とは独立しているが、図4(a)に示される処理中に図6の処理が発生した場合には、図4(a)に示される処理を停止し、ユーザに停止した旨を通知するか、図4(a)に示される処理を自動的に最初からやり直す。
【0063】
まず、判定部21はセンサ22が持つGPSセンサから無線通信装置20が置かれている位置情報を、加速度センサから無線通信装置20の加速度情報を収集する(ステップS201)。
【0064】
次に、ステップS201において収集した情報を元に無線通信装置20の利用場所を判定する(ステップS202)。
【0065】
ステップS202において、収集した位置情報と無線通信装置20が持つ地図データとから、無線通信装置20が車道上や線路上に存在していて、かつ加速度情報を積分することで算出した無線通信装置20の移動速度が歩行速度を越えている場合には無線通信装置20の利用場所は高速移動中の車内であると判定する。
【0066】
あるいは、無線通信装置20が車道上や線路上ではなく、あるいは、移動速度が歩行速度以下の場合には、無線通信装置20の利用場所は車外であると判定する。
これらの、どちらでもない場合には、判定結果を不明とする。判定結果は判定部21が通信制御部13に送信する(ステップS203)。
【0067】
通信制御部13はステップ202における判定処理から得られた判定結果を受信すると(ステップS204)、判定結果が不明以外でないか確認する(ステップS205)。
不明以外である場合(ステップS205がYesの場合)、つまり判定結果が「無線通信装置20の利用場所は車外である」または「無線通信装置20の利用場所は高速移動中の車内である」場合には、無線通信装置20の動作モードを判定結果に従って変更する(ステップS206)。
【0068】
判定結果が不明だった場合には(ステップS205がNoの場合)、無線通信装置20の動作モードを変更せずに処理を完了する。
【0069】
以上のように本実施の形態によれば、装置の利用場所を判定するための判定部21と判定に必要な情報を収集するセンサ22とを備えることにより、無線通信装置20の利用場所を自動的に判定し、接続する無線通信手段の優先度の参照先を自動的に切り換えることができるため、ユーザは無線通信装置20の利用場所を変える度に設定を変更する必要が無いので、無線通信装置20の利用場所を意識することなく、最適な無線通信手段を利用することができる。
【0070】
また、データ処理部15で受信したデータの不良率を通信制御部13が計測し、データの不良率が高い場合には次に優先度の高い通信手段に切り換える構成にしても良い。この構成では、通信が不可能であった場合以外に、無線通信状況が不安定な場合にも、次に優先度の高い通信方式に切り換えることができる。
【0071】
なお、本実施の形態において、判定部21が無線通信装置20の利用場所を判定するごとに優先度テーブル14の参照先を変更し、無線通信の接続処理の開始時に優先度テーブル14から通信手段の情報を取得する構成としたが、判定部21が無線通信装置20の利用場所を判定したときに、優先度テーブル14に設定されている優先度の値を書き換える
構成にしても良い。
【0072】
この場合、通信制御部13は優先度テーブル14の同じ場所を参照することが出来るため、処理を効率化できるが、車内モードと車外モードで設定する優先度の値を別の場所に記憶しておく必要がある。
【0073】
また、本実施の形態において、無線通信装置20の利用場所を変更するための処理と、無線通信を開始するための処理を独立させていたが、無線通信を開始するための処理である図4(a)のステップS101の前に、図6に示した処理を行う構成にしても良い。この構成の場合、無線通信を開始する場合のみ、利用場所の判定を行うため、処理負荷を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の無線通信装置および方法は、利用環境に応じた最適な無線通信手段を選択する技術等として有用である。
【符号の説明】
【0075】
10 無線通信装置
11 無線通信部
12 通信手段選択部
13 通信制御部
14 優先度テーブル
15 データ処理部
16 ユーザ操作部
20 無線通信装置
21 判定部
22 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信手段を有した無線通信部と、前記複数の無線通信手段のいずれかひとつを選択するための通信手段選択部と、自装置の利用場所情報を入力するためのユーザ操作部と、複数種類の優先度のいずれか一つの優先度にしたがって前記無線通信手段を前記通信手段選択部に選択させるよう制御する通信制御部とを備え、
前記通信制御部は、前記ユーザ操作部から入力された利用場所情報に応じて前記優先度を切り換え、切り換えた優先度にしたがって前記通信手段選択部を制御することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
車両に搭載され、前記車両に搭載される車両側機器と接続可能な無線通信装置であって、複数の無線通信手段を有した無線通信部と、前記複数の無線通信手段のいずれかひとつを選択するための通信手段選択部と、自装置と前記車両側機器との接続を検知する検知部と、複数種類の優先度のいずれか一つの優先度にしたがって前記無線通信手段を前記通信手段選択部に選択させるよう制御する通信制御部とを備え、
前記通信制御部は、前記検知部の検知結果に応じて前記優先度を切り換え、切り換えた優先度にしたがって前記通信手段選択部を制御することを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
複数の無線通信手段を有した無線通信部と、前記複数の無線通信手段のいずれかひとつを選択するための通信手段選択部と、自装置の位置情報および加速度情報を収集するセンサと、前記センサで収集した情報から自装置の利用場所を判定する判定部と、複数種類の優先度のいずれか一つの優先度にしたがって前記無線通信手段を前記通信手段選択部に選択させるよう制御する通信制御部とを備え、
前記通信制御部は、前記判定部の判定結果に応じて前記優先度を切り換え、切り換えた優先度にしたがって前記通信手段選択部を制御することを特徴とする無線通信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−188395(P2011−188395A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53997(P2010−53997)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】