説明

無線ICタグシステム

【課題】システム全体の構成を複雑化させることなく、無線ICタグが付された被運搬物の管理を実現する。
【解決手段】無線ICタグシステムは、無線ICタグ12が付された被運搬物10を積載した状態で移送される運搬籠14と、運搬籠14の移送方向に対して交差する方向に無線ICタグ12との通信用の電波を放射するアンテナユニット16とを備え、運搬籠14には電波の進入方向からみて被運搬物10よりも奧の位置に電波反射体18が設けられている。電波反射体18は、運搬籠14の移送方向に分布して形成された凹凸面を有しており、運搬籠14の移送時にアンテナユニット16に対して相対移動することで、電波の反射方向を広角に変化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば個々の被運搬物に無線ICタグを付し、この無線ICタグとの無線通信により被運搬物の運搬状況を管理する無線ICタグシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管理対象物に取り付けられた無線ICタグが電波障害を受ける場合、反射板を用いて通信を可能にする先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術は、メインアンテナから通信用の電波を放射しつつ、その放射領域内に無線ICタグ(チップ)を付した管理対象物を置き、無線ICタグとメインアンテナとの間にてリードライト通信を行うものである。特に先行技術では、メインアンテナからの電波を反射板で反射させて迂回経路を形成し、その迂回経路を進行する電波に対して無線ICタグの向きを制御することで確実なリードライトを実現している。
【0003】
またその他の先行技術として、電波の反射を利用して無線ICタグ(RFIDタグ)との通信可能領域の拡大を図る手法が知られている(特許文献2参照。)。この先行技術は、リーダライタの送信アンテナの正面に反射手段(かまぼこ型の電波反射面)を設置しておき、送信アンテナからの電波を反射手段によって水平方向に拡散して反射するものである。このため、例えば金属製品の背面側に通信不能領域が形成されたとしても、反射された電波は通信不能領域に位置する無線ICタグに到達するため、本来なら通信不能な無線ICタグとの通信を可能とすることができると考えられる。さらにこの先行技術では、反射手段を回転可能に設置し、その回転を制御手段によって制御することにより、リーダライタから送信された電波の反射方向を変更する手法も開示されている。
【特許文献1】特開2007−88519号公報
【特許文献2】特開2007−193498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者の先行技術(特許文献1)は、迂回経路を進行する電波に合わせて無線ICタグの向きを変化させるために姿勢制御ユニットが必要であり、それだけシステムの構成が複雑化するという問題がある。
【0005】
一方、後者の先行技術(特許文献2)は、ひとまず反射手段による電波の拡散効果に期待して通信不能領域にある無線ICタグとの通信を実現しようとするものであるが、アンテナに対して固定された反射手段(反射面)からの拡散領域は常に一定であり、その拡散領域が通信不能領域全てをカバーできるとは限らない。したがって後者の先行技術においても、最終的には反射手段の回転制御に頼らざるを得ないことから、やはりシステム全体としての構成は複雑化してしまう。
【0006】
そこで本発明は、よりシンプルな構成で良好な通信を実現することができる技術の提供を課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被運搬物の管理(例えば、搬出・搬入状況の管理)を無線ICタグとの無線通信によって行う無線ICタグシステムである。このシステムは、無線ICタグが付された被運搬物を積載した状態で移送される運搬台と、運搬台の移送方向に対して交差する方向に無線ICタグとの通信用の電波を放射する無線アンテナと、運搬台に無線アンテナからみて被運搬物よりも奧の位置に設けられ、運搬台の移送に伴い少なくともその移送方向に分布して形成された凹凸面を無線アンテナに対し相対的に移動させることで、通信用の電波の反射方向を広角に変化させる電波反射体とを備える。
【0008】
本発明のシステムによれば、被運搬物を積載した運搬台に電波反射体が設置されているため、運搬台(被運搬物)の移送に伴い、被運搬物と一緒に電波反射体が無線アンテナに対して相対的に移動する。このとき、電波反射体の反射面が運搬台の移送方向に分布した凹凸形状を有することから、その相対移動に伴って電波の反射方向は広い範囲で角度が変化することになる。
【0009】
このため、例えば被運搬物が無作為な向きに積載されており、無線アンテナからの電波が直接的に無線ICタグに到達できなかったとしても、その奧にある電波反射体で反射される電波の向きが広角に変化するため、無線アンテナからの電波の放射領域内で運搬台を移送させている間に、どこかで電波を無線ICタグに対して確実に到達させることができる。したがって、システムのリーダライタ等との間で無線ICタグが良好な通信を実現することができ、それによってシステムによる被運搬物の確実な管理に資することができる。
【0010】
好ましくは、本発明のシステムに用いられる運搬台は、被運搬物を積載する積載面の周囲のうち三方が金属柵で囲まれ、その他の一方が開放された籠形状をなしており、その開放された一方を無線アンテナに相対させた状態で移送される。また電波反射体は、積載面の周囲のうち、開放された一方と対向して位置する金属柵の内面に沿って設置されている。
【0011】
上記の構成であれば、運搬台に積載された被運搬物が金属柵によって保護されるため、その運搬中の荷姿を安定させることができる。また、周囲のうち一方は開放されているため、この開放部分を通じて被運搬物の積み卸し作業を容易に行うことができる。また、開放部分を無線アンテナに相対させた状態で運搬台が移送されるため、この移送過程で無線アンテナから放射された電波を金属柵の内側へ良好に進入させることができる。また、開放部分の奧には電波反射体が設けられているため、開放部分から進入してきた電波が電波反射体によって良好に反射され、上記のように確実に無線ICタグまで電波を到達させることができる。
【0012】
また好ましくは、電波反射体は、凹凸面として運搬台の移送方向に連続した波形状の湾曲面を有する形態であってもよい。この場合の湾曲面は、例えば連続した正弦波形(例えば2周期分程度)を基に構成されていることが好ましい。湾曲面が連続した波形状であれば、運搬台の移送方向でみて電波の反射方向を多様に変化させることができるため、無作為に配置された無線ICタグに対してより確実に電波を到達させることができる。
【0013】
また電波反射体は、運搬台に積載された被運搬物の存在をその外側から視認可能な程度に光透過性を有した基材と、基材の外面に沿って格子状に分布して形成され、この分布領域内にて電波を反射する金属箔とを有するものであってもよい。
【0014】
この場合、電波反射体の基材そのものは電波を反射しないが、その外面に沿って格子状に形成された多数の金属箔が全体として電波の反射性能を発揮することができる。金属箔はいわゆるベタ状ではなく格子状に形成されているため、その分布密度(いわゆる線数)に応じてある程度の光透過性を保っている。このため、電波反射体が全体として光透過性を発揮できることから、運搬台の外側から電波反射体を透過して被運搬物の目視による確認を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の無線ICタグシステムは、被運搬物を運搬台に積載した状態で移送する間に無線ICタグに対して確実に電波を到達させることができる。また、運搬台の移送に伴って電波の反射方向を変化させることができるため、別途専用の駆動源やその制御ユニットを必要とすることがなく、それだけシステムの構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態の無線ICタグシステムの構成を概略的に示す斜視図である。この無線ICタグシステムは、多数の被運搬物10をある場所(例えば保管場所、出荷元、倉庫等)から他の場所(例えば使用場所、出荷先、売場等)へ運搬する際に、その搬出状況や搬入状況等の管理を行うためのものである。
【0017】
無線ICタグシステムにおいては、運搬籠(運搬台)14を用いて被運搬物10の移送が行われる。すなわち、個々の被運搬物10には管理用の無線ICタグ12が付されており、これらを運搬籠14に積載した状態でその移送が行われる。なお運搬籠14は、例えば保管場所からの被運搬物10の搬出時や、使用場所への被運搬物10の搬入時に使用されるものとなっている。
【0018】
〔運搬籠の構成〕
運搬籠14は、例えばキャスタ(脚車)付きの台車部分14aに金属柵14bを取り付けた構造である。台車部分14aは、例えば平面視で矩形状をなしており、この台車部分14aの上面が被運搬物10の積載面となっている。運搬籠14は、この積載面上に多数の被運搬物10を任意(又は無作為)に積載した状態で移送される。なお、このとき無線ICタグ12は被運搬物10の側面に位置していることが好ましい。
【0019】
また金属柵14bは、積載面の周囲(四辺)のうち三方を取り囲む状態でコの字型に設置されており、残る一方には金属柵14bが設置されていない。このため運搬籠14は、金属柵14bが設置されていない一方において側方に大きく開放されている。
【0020】
〔通信アンテナの構成〕
無線ICタグシステムにおいて、運搬籠14の移送経路の傍らにはアンテナユニット16が設置されている。このアンテナユニット16は、運搬籠14を用いた移送時に個々の無線ICタグ12との通信(リード/ライト)を実現するためのものである。アンテナユニット16は、例えば支柱16aに複数(この例では3つ)のリーダライタ16bを取り付けた構造である。支柱16aは、例えば床上に設置されたベースから鉛直上方に延び、その上端にて水平方向へ屈曲されており、それゆえ全体として逆L字形状をなしている。支柱16aの鉛直な部分には、縦方向に間隔を置いて2つのリーダライタ16bが取り付けられている。残る1つのリーダライタ16bは、支柱16aの水平な部分に吊り下げ式に固定されている。
【0021】
各リーダライタ16bは図示しない無線アンテナ(送信アンテナ及び受信アンテナ)を内蔵しており、この無線アンテナ(送信アンテナ)から例えばUHF帯の電波を放射することができる。図1中でみて、運搬籠14の移送方向を例えば左右方向とすると、この移送方向に対して交差する方向(常に直交しなくてもよい)に無線アンテナから電波が放射される。
【0022】
各無線ICタグ12は例えばパッシブタイプの回路構成を有している。すなわち各無線ICタグ12はリーダライタ16bからの電波を受信すると、回路内部で必要な電力を生成し、RF回路やロジックICを駆動して各種の処理(信号変調や復調、論理演算、メモリアクセス等)を実行することができる。また無線ICタグ12からの応答信号は、各リーダライタ16bの無線アンテナ(受信アンテナ)で受信される。これにより、無線ICタグシステムにおいて無線ICタグ12とリーダライタ16bとの間での通信が行われる。
【0023】
〔電波反射体の構成〕
また運搬籠14には、上記の金属柵14bに沿って電波反射体18が設置されている。具体的には、開放された一方の側面と対向する位置の金属柵14bの略全域を覆うようにして電波反射体18が設けられている。電波反射体18は、運搬籠14の移送方向に波打つような形状に加工されており、これにより電波反射体18には移送方向に分布した凹凸面が形成されている。この場合の凹凸面は一様な繰り返しの曲面(例えば正弦波形により描かれる曲面)であって規則的な分布であるが、凹凸面は不規則な分布を示すものであってもよい。
【0024】
図2は、電波反射体18の構造を示す縦断面図である。電波反射体18は、例えば光透過性を有した板状の基材18aを有している。そして、この基材18aは、その表面に金属箔18bが格子状に形成されている。このような金属箔18bは、例えば基材18aの表面に金属膜(Cu膜)を形成した後に格子状のマスクを印刷し、これにエッチング加工を施すことで形成されている。なお格子は全体が均一であり、その線数は例えば85程度である。
【0025】
このように、電波反射体18は基材18aの表面に形成された金属箔18bによって電波の反射特性を発揮することができる。さらに本実施形態では、電波反射体18に透明化処理を施すことで、その透明度をさらに向上させている(例えば、ヘイズ値で20%程度)。このため、金属柵14bの一面に電波反射体18が設置されていても、その外側から電波反射体18を透過して被運搬物10の存在を容易に視認することが可能となっている。
【0026】
〔第1例〕
図3は、第1例の電波反射体18による電波の反射方向を示した運搬籠14の平面図である。第1例の電波反射体18は、運搬籠14の移送方向でみた中央に凸面部分(電波の進入方向に凸)が位置し、全体として3つの凸面部分と2つの凹面部分を有した形状である。
【0027】
このとき、上記のリーダライタ16b(送信アンテナ)から放射されたUHF帯の電波は、光と略同様の直進性を示すが、電波反射体18は波形状の凹凸面を有しているため、リーダライタ16b(送信アンテナ)から放射された平行な電波は全て一様な方向に反射されず、そのときの凹凸面(曲面)との間になす角度に応じて反射方向が様々に異なっていることが分かる。
【0028】
また、例えば図3中に(A),(B),(C)の記号を付した3つの被運搬物10が積載されていた場合、(B)の記号を付した被運搬物10では無線ICタグ12に対して直に電波が到達しているが、その他の(A),(C)の記号を付した被運搬物10では無線ICタグ12に対して直に電波が到達していない。特に被運搬物10が金属を含んでいる場合、そこで電波が遮蔽されるため、被運搬物10の内部を透過してその裏側に位置する無線ICタグ12にまで電波を到達させることもできない。この点、本実施形態ではその奧の位置に電波反射体18を設置することで、その凹凸面で多方向に電波を反射させ、それによって(A),(C)の記号を付した被運搬物10についても各無線ICタグ12に対して通信用の電波を到達させることができる。
【0029】
図4は、運搬籠14の移送に伴い電波の反射方向が広角に変化する例を示した図である。上記のように運搬籠14が移送されると、これに伴って電波反射体18が被運搬物10とともにリーダライタ16bに対して相対移動する。このときリーダライタ16bから放射された電波について、ある1箇所に着目すると、図4中に一点鎖線で示されているように電波の反射方向は広角に変化していくことになる。すなわち図示の例では、電波反射体18の移動に伴って電波の反射方向が扇形を描くように変化する。なお、ここでは凸面部分での反射方向について示しているが、凹面部分での電波の反射方向は、例えば図4中の左方から右方へ扇形を描くように広角に変化していくことは容易に想像できる。
【0030】
このような電波の反射方向の変化を利用することで、本実施形態の無線ICタグシステムにおいては、たとえリーダライタ16bから直に電波が届かない位置に無線ICタグ12があったとしても、運搬籠14を移送させる間にどこかで確実に電波を到達させることができる。しかも、運搬籠14を移送するだけで電波の反射方向を自然に変化させることができるため、電波の反射方向を変化させるためにわざわざ別途専用の駆動源(ステッピングモータ等)を用いたり、そのための制御ユニットを用意したりする必要がなく、それだけ無線ICタグシステムの構成を簡素化することかできる。
【0031】
〔第2例〕
図5は、第2例の電波反射体18による電波の反射方向を示す運搬籠14の平面図である。第2例の電波反射体18は、運搬籠14の移送方向でみた中央に凹面部分(電波の進入方向に凹)が位置し、全体として3つの凹面部分と2つの凸面部分を有した形状である。また電波の進入方向が第1例(図3)の場合と異なっている。これは、例えば運搬籠14を移送する際の方向(角度)のばらつきや、アンテナユニット16の設置方向のばらつき等を想定したものである。
【0032】
この場合も同様に、(B)の記号を付した被運搬物10では無線ICタグ12に対して直に電波が到達しているが、その他の(A),(C)の記号を付した被運搬物10については、電波反射体18による反射を利用して各無線ICタグ12に対して通信用の電波を到達させることができる。
【0033】
次に図6は、別形態の運搬籠14を用いた無線ICタグシステムの概要図である。この別形態では、運搬籠14の高さ方向でみて上下二段に積載面が形成されている。すなわち、金属柵14bの中段位置に棚板14cが設置されており、上記の台車部分14aの他に棚板14cにも被運搬物10を積載することができる。
【0034】
一方、上記のようにアンテナユニット16には上下2つのリーダライタ16bが設けられており、また、このとき電波反射体18は上下それぞれのリーダライタ16bに対して有効に機能するため、別形態の運搬籠14を用いた場合であっても、棚板14c上に積載された被運搬物10の各無線ICタグ12に対して電波を到達させることができる。なお、ここでは上下二段にそれぞれ被運搬物10を積載しているが、上段の棚板14c上だけに被運搬物10が積載されていてもよい。
【0035】
〔無線ICタグシステムの応用例〕
図7は、一実施形態の無線ICタグシステムの応用例を示す概念図である。本実施形態の無線ICタグシステムは、例えば物理的に離れたところにある第1の保管場所40や第2の保管場所45からそれぞれ必要な被運搬物10を搬出し、これを別の使用場所60に搬入する際の管理を行う用途に適用可能である。
【0036】
この応用例においては、第1の保管場所40から必要な被運搬物10を搬出する際、これらを運搬籠14に積載した状態でアンテナユニット16による電波の放射領域を移送させる。このとき、各無線ICタグ12とリーダライタ16bとの間で通信が行われ、その管理記録が例えばネットワーク50を通じて管理コンピュータ30に送信される。
【0037】
同様にして、第2の保管場所45から必要な被運搬物10を搬出する際にも、これらを運搬籠14に積載した状態でアンテナユニット16による電波の放射領域を移送させる。そして、このときの各無線ICタグ12とリーダライタ16bとの間で通信が行われると、その管理記録がネットワーク50経由で管理コンピュータ30に送信される。これにより、物理的に離れた別の保管場所40,45からそれぞれ必要な被運搬物10が搬出されたことを管理コンピュータ30において管理(情報を把握)することができる。
【0038】
この後、車両や貨車、船舶、航空機等の輸送手段を用いて被運搬物10を輸送する。そして、目的の使用場所60にこれらを搬入する際、運び込まれた被運搬物10を運搬籠14に積載した状態でアンテナユニット16による電波の放射領域を移送させる。このとき、各無線ICタグ12とリーダライタ16bとの間で通信が行われることにより、搬入時の管理情報が収集され、その管理記録がネットワーク50経由で管理コンピュータ30に送信される。
【0039】
以上のように本実施形態の無線ICタグシステムの応用例によれば、被運搬物10を複数の保管場所40,45から搬出し、これを目的の使用場所60に搬入するまでの管理記録を管理コンピュータ30でモニタリングすることができる。このため本実施形態のシステムを応用すれば、製品の工場出荷から納品までの物流管理や、配布物の発送から到達までの管理を一括して行うことで、物流活動の利便性を大きく向上することができる。
【0040】
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。一実施形態で挙げた運搬籠14やアンテナユニット16の形態はあくまで一例であり、これらを適宜変形してもよい。また、ある1つの場所で複数台の運搬籠14をもちいてもよいし、複数のアンテナユニット16を設置してもよい。
【0041】
一実施形態では光透過性を有した電波反射体18を用いているが、電波反射体18は金属板で構成されていてもよい。また、電波反射体18の凹凸面は運搬籠14の移送方向だけに分布しているだけでなく、その高さ方向(上下方向)に分布していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】一実施形態の無線ICタグシステムの構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】電波反射体の構造を示す縦断面図である。
【図3】第1例の電波反射体による電波の反射方向を示した運搬籠の平面図である。
【図4】運搬籠の移送に伴い電波の反射方向が広角に変化する例を示した図である。
【図5】第2例の電波反射体による電波の反射方向を示す運搬籠の平面図である。
【図6】別形態の運搬籠を用いた無線ICタグシステムの概要図である。
【図7】一実施形態の無線ICタグシステムの応用例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0043】
10 被運搬物
12 無線ICタグ
14 運搬籠
14a 台車部分
14b 金属柵
16 アンテナユニット
16b リーダライタ
18 電波反射体
18a 基材
18b 金属箔
30 管理コンピュータ
40 第1の保管場所
45 第2の保管場所
50 ネットワーク
60 使用場所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ICタグが付された被運搬物を積載した状態で移送される運搬台と、
前記運搬台の移送方向に対して交差する方向に前記無線ICタグとの通信用の電波を放射する無線アンテナと、
前記運搬台に前記無線アンテナからみて被運搬物よりも奧の位置に設けられ、前記運搬台の移送に伴い少なくともその移送方向に分布して形成された凹凸面を前記無線アンテナに対し相対的に移動させることで、前記通信用の電波の反射方向を広角に変化させる電波反射体と
を備えたことを特徴とする無線ICタグシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線ICタグシステムにおいて、
前記運搬台は、
被運搬物を積載する積載面の周囲のうち三方が金属柵で囲まれ、その他の一方が開放された籠形状をなしており、その開放された一方を前記無線アンテナに相対させた状態で移送され、
前記電波反射体は、
前記積載面の周囲のうち、開放された一方と対向して位置する金属柵の内面に沿って設置されていることを特徴とする無線ICタグシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無線ICタグシステムにおいて、
前記電波反射体は、
前記凹凸面として前記運搬台の移送方向に連続した波形状の湾曲面を有することを特徴とする無線ICタグシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の無線ICタグシステムにおいて、
前記電波反射体は、
前記運搬台に積載された被運搬物の存在をその外側から視認可能な程度に光透過性を有した基材と、
前記基材の外面に沿って格子状に分布して形成され、この分布領域内にて電波を反射する金属箔とを有することを特徴とする無線ICタグシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−211396(P2009−211396A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53657(P2008−53657)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】