説明

無線LANカード

【課題】 カバーの浮き状態の判別が一定にできて、良否の選別が均一な無線LANカードを提供する。
【解決手段】 本発明の無線LANカードは、回路基板1に取り付けられたカバー6の上面板6aに設けられた貫通孔6cと、この貫通孔6cと対向する箇所のカバー6内に位置する回路基板1の上面に設けられた識別部5とを有し、回路基板1の上面とカバー6の側面板6bの下端部との間の隙間が所定寸法以上の時、識別部5がカバー6の外部から隙間を通して判別出来るようにしたため、識別部5が判定基準となって、検査者による目視のカバーの浮き状態の判別が一定にできて、良否の選別の均一なものが得られると共に、貫通孔6cが明かり採りとなって、識別部5の見易いものが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパソコン等の電子機器間で、無線でデータを送受する際に使用される無線LANカードに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は従来の無線LANカードの斜視図であり、次に、従来の無線LANカードの構成を図4に基づいて説明すると、回路基板51には、配線パターン52が設けられ、この配線パターン52は、電子機器側のコネクタに接続されるコネクタ用の複数の端子52aを有すると共に、配線パターン52には、種々の電子部品54が接続されて、送受信回路が形成されている。
【0003】
金属板からなる箱形のカバー53は、上面板53aと、この上面板53aから下方に折り曲げられた複数の側面板53bを有し、このカバー53は、端子52aを露出させ、電子部品54を覆った状態で回路基板51に取り付けられて、従来の無線LANカードが形成されている。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
このような構成を有する無線LANカードは、電子機器の凹部からなる収納部内に装着されるが、この時、カバー53が回路基板51から所定寸法を超えた浮き状態になると、無線LANカードの準拠すべき規格寸法を逸脱することから、回路基板51からのカバー53の浮き状態を目視で判別して、良否を選別するようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−243852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線LANカードにおいて、回路基板51からのカバー53の浮き状態の判別は、回路基板51とカバー53の側面板53aの下端部間の隙間の大きさを目視によって見分けるようにしたため、検査者によって判別基準が異なり、良否の選別にバラツキが生じるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明はカバーの浮き状態の判別が一定にできて、良否の選別が均一な無線LANカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の解決手段として、コネクタ用の複数の端子、及びこの端子に接続される配線パターンを有し、電子部品が搭載された回路基板と、前記電子部品を覆った状態で、前記回路基板に取り付けられた金属板からなる箱形のカバーとを備え、前記カバーは、上面板と、この上面板から折り曲げられた4つの側面板と、前記側面板の近傍に位置する前記上面板に設けられた貫通孔を有すると共に、前記回路基板の上面には、前記貫通孔と対向する箇所の前記カバー内に位置した識別部が設けられ、前記回路基板の上面と前記側面板の下端部との間の隙間が所定寸法以上の時、前記識別部が前記カバーの外部から前記隙間を通して判別出来るようにした構成とした。
【0009】
また、第2の解決手段として、前記貫通孔は、4つの前記側面板のそれぞれの近傍に位置する前記上面板に設けられると共に、前記識別部が4つの前記貫通孔のそれぞれに対向して設けられた構成とした。
また、第3の解決手段として、前記回路基板の上面にはレジスト膜が設けられ、前記識別部が前記レジスト膜の削除部によって形成された構成とした。
また、第4の解決手段として、前記削除部が前記配線パターン上に設けられ、前記削除部によって露出した前記配線パターンの表面が前記隙間を通して判別出来るようにした構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の無線LANカードは、回路基板に取り付けられたカバーの上面板に設けられた貫通孔と、この貫通孔と対向する箇所のカバー内に位置する回路基板の上面に設けられた識別部とを有し、回路基板の上面とカバーの側面板の下端部との間の隙間が所定寸法以上の時、識別部がカバーの外部から隙間を通して判別出来るようにしたため、識別部が判定基準となって、検査者による目視のカバーの浮き状態の判別が一定にできて、良否の選別の均一なものが得られると共に、貫通孔が明かり採りとなって、識別部の見易いものが得られる。
【0011】
また、貫通孔は、4つの側面板のそれぞれの近傍に位置する上面板に設けられると共に、識別部が4つの貫通孔のそれぞれに対向して設けられたため、4つの側面板の浮き状態の判別が一定にできて、良否の選別の均一なものが得られる。
【0012】
また、回路基板の上面にはレジスト膜が設けられ、識別部がレジスト膜の削除部によって形成されたため、識別部の形成が簡単となって、生産性の良好なものが得られる。
【0013】
また、削除部が配線パターン上に設けられ、削除部によって露出した配線パターンの表面が隙間を通して判別出来るようにしたため、削除部によって露出した配線パターンの箇所が光り、判別の容易なものが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の無線LANカードの図面を説明すると、図1は本発明の無線LANカードの斜視図、図2は本発明の無線LANカードの要部断面図、図3は本発明の無線LANカードに係り、要部の拡大断面図であり、次に、本発明の無線LANカードの構成を図1〜図3に基づいて説明すると、回路基板1には、銅箔等からなる配線パターン2が設けられ、この配線パターン2には、電子機器側のコネクタに接続されるコネクタ用の複数の端子2aを有すると共に、配線パターン2には、種々の電子部品3が接続されて、送受信回路が形成されている。
【0015】
また、回路基板1の上面と配線パターン2の上面には、半田用のレジスト膜4が設けられて、このレジスト膜4によって、電子部品3の半田付領域が設けられると共に、配線パターン2上に位置するレジスト膜3には、配線パターン2を露出する削除部からなる識別部5が形成されている。
なお、この識別部5は、シルク印刷等からなる目印等によって形成しても良い。
【0016】
金属板からなる箱形のカバー6は、上面板6aと、この上面板6aから下方に折り曲げられた4つの側面板6bと、4つの側面板6bのそれぞれの近傍に位置する上面板6aに設けられた4つの貫通孔6cを有し、このカバー6は、端子2aを露出させ、電子部品3を覆った状態で回路基板1に取り付けられている。
【0017】
そして、カバー6が取り付けられた際、識別部5は、カバー6内で、側面板6bの近傍に位置すると共に、識別部5と貫通孔6cは、互いに対向する状態となって、識別部5は、明かり採りである貫通孔6cを通して見易くなって、本発明の無線LANカードが形成されている。
【0018】
このような構成を有する無線LANカードは、電子機器の凹部からなる収納部内に装着されるが、この時、カバー6が回路基板1から所定寸法を超えた浮き状態になると、無線LANカードの準拠すべき規格寸法を逸脱することから、回路基板1からのカバー6の浮き状態を目視で判別して、良否を選別するようになっている。
【0019】
そして、本発明の無線LANカードの良否の選別は、図3に示すように、カバー6の側面板6bの下端部が回路基板1から所定寸法S以上に浮き上がると、回路基板1からの所定角度Kの位置に目線を置いた状態で、側面板6bの下端部と回路基板1との間の隙間を通して識別部5が判別でき、不良品であることが判定できると共に、所定寸法S未満である場合、識別部5が判別できず、良品であることが判定できるようになっている。
即ち、識別部5が検査者の判定基準となって、均一な判定が出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の無線LANカードの斜視図。
【図2】本発明の無線LANカードの要部断面図。
【図3】本発明の無線LANカードに係り、要部の拡大断面図。
【図4】従来の無線LANカードの斜視図。
【符号の説明】
【0021】
1:回路基板
2:配線パターン
2a:端子
3:電子部品
4:レジスト膜
5:識別部(削除部)
6:カバー
6a:上面板
6b:側面板
6c:貫通孔
S:所定寸法
K:所定角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ用の複数の端子、及びこの端子に接続される配線パターンを有し、電子部品が搭載された回路基板と、前記電子部品を覆った状態で、前記回路基板に取り付けられた金属板からなる箱形のカバーとを備え、前記カバーは、上面板と、この上面板から折り曲げられた4つの側面板と、前記側面板の近傍に位置する前記上面板に設けられた貫通孔を有すると共に、前記回路基板の上面には、前記貫通孔と対向する箇所の前記カバー内に位置した識別部が設けられ、前記回路基板の上面と前記側面板の下端部との間の隙間が所定寸法以上の時、前記識別部が前記カバーの外部から前記隙間を通して判別出来るようにしたことを特徴とする無線LANカード。
【請求項2】
前記貫通孔は、4つの前記側面板のそれぞれの近傍に位置する前記上面板に設けられると共に、前記識別部が4つの前記貫通孔のそれぞれに対向して設けられたことを特徴とする請求項1記載の無線LANカード。
【請求項3】
前記回路基板の上面にはレジスト膜が設けられ、前記識別部が前記レジスト膜の削除部によって形成されたことを特徴とする請求項1、又は2記載の無線LANカード。
【請求項4】
前記削除部が前記配線パターン上に設けられ、前記削除部によって露出した前記配線パターンの表面が前記隙間を通して判別出来るようにしたことを特徴とする請求項3記載の無線LANカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−303285(P2006−303285A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124717(P2005−124717)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】