焦点検出装置およびその制御方法
【課題】 検出部を互いに位相がずれて並列に隣接している複数列のラインセンサとした位相差AF制御において、ラインセンサ間の像信号の類似性で像信号の合成を判別することが困難な場合がある。
【解決手段】 本発明では、互いに位相がずれて並列に隣接しているラインセンサが、同一の被写体光を受光していると判断される場合に、ラインセンサからの像信号を合成した後に像ずれ量を検出する。
【解決手段】 本発明では、互いに位相がずれて並列に隣接しているラインセンサが、同一の被写体光を受光していると判断される場合に、ラインセンサからの像信号を合成した後に像ずれ量を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動焦点調節制御を行うための焦点検出装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像装置に搭載されるオートフォーカス(AF)方式としては、コントラスト検出方式が一般的である。コントラスト検出方式は、撮像素子を用いて得られた映像信号から高周波成分を抽出して、合焦状態を示す、いわゆるAF評価値を生成し、AF評価値が最大になるようにフォーカスレンズの位置を制御するものである。また、他のAF方式として、位相差検出方式がある。位相差検出方式は、一眼レフカメラの実用化に貢献した技術である。位相差検出方式では、撮影レンズの射出瞳を通過した光束を2分割し、2分割した光束を一組の焦点検出用センサーによりそれぞれ受光する。そして、その受光量に応じて出力される信号のずれ量、すなわち、光束の分割方向の相対的位置ずれ量を検出することで撮影レンズのピント方向のずれ量を求める。従って、焦点検出用センサーにより一度蓄積動作を行えばピントずれの量と方向が得られ、高速な焦点調節動作が可能となる。
【0003】
そして、コントラスト検出方式と位相差検出方式とを組み合わせた、ハイブリッドAF方式を採用した撮像装置も提案されている。ハイブリッドAF方式は、位相差検出方式の検出結果に基づいて合焦点近傍まで高速にフォーカスレンズを移動させた後、コントラスト検出方式の検出結果に基づいて高精度に合焦動作を行わせる。これにより、位相差検出方式による高速な合焦性能とコントラスト検出方式による高精度の合焦性能を併せ持つ。このとき、位相差検出方式の精度が高いほど、コントラスト検出方式に基づいて合焦動作を行う時間が短くなり、合焦までにかかる全体の時間が短くなる。ただし、位相差検出方式の精度を高めることは安価なシステムでは原理上難しい構成となっている。
【0004】
位相差検出方式の精度を高めるために、位相差検出ユニットの検出部に、いわゆる千鳥配列を用いた位相差検出方式が知られている(特許文献1)。千鳥配列は、複数のラインセンサを上下に隣接させ、かつ、上下の画素を0.5画素ずらして配置したものである。この複数列に分けたラインセンサにおいて、同一被写体を捉えているか否かを判別し、同一被写体である場合には、各ラインセンサの像信号を交互に取り出して合成することで、精度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−133515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術の構成では、各ラインセンサが同一被写体を捉えているか否かの判別に、各ラインセンサの像信号の類似性を用いていた。そのため、斜め線のような、各ラインセンサの像信号でピークの位置は異なるものの、類似性が見られる被写体には、像信号を合成するという判別手段となっていた。しかしながら、斜め線に対して像信号を合成してしまうと、ピークの位置が異なるために像信号のコントラストを落としてしまう場合があった。あるいは、もとのラインセンサの像信号と合成した像信号が異なるものとなってしまう場合があった。そのため、被写体によっては精度を落としてしまう場合があった。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑み、像信号の合成が逆効果である斜め線に対しても精度を維持した焦点検出装置及び焦点検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の技術的特徴としては、複数の画素を備え、被写体光を受光して光電変換し像信号を出力する第1のラインセンサ及び第2のラインセンサと、前記第1のラインセンサと第2のラインセンサにそれぞれ隣接し、前記第1のラインセンサと前記第2のラインセンサの複数の画素とは1画素未満のずれをもって配置された複数の画素を備え、被写体光を受光して光電変換し像信号を出力する第3のラインセンサ及び第4のラインセンサとを備えた焦点検出装置の制御方法であって、前記第1乃至第4のラインセンサからの像信号に基づいて像ずれ量を検出する焦点検出ステップを有し、前記焦点検出ステップでは、前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサ、又は、前記第2のラインセンサと前記第4のラインセンサの少なくともいずれか一方が、同一の被写体光を受光していると判断される場合には、前記第1のラインセンサの像信号と前記第3のラインセンサの像信号とを合成し、前記第2のラインセンサの像信号と前記第4のラインセンサの像信号とを合成した後に像ずれ量を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、斜め線のような、像信号の合成が不適切な被写体に対しても焦点検出の精度を向上させることができ、従来よりもすばやい合焦動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例であるビデオカメラの構成を示すブロック図
【図2】実施例における位相差AF制御での焦点検出の原理を示す図
【図3】位相差AF制御における像信号を示す図
【図4】実施例における相関演算のフローチャート
【図5】実施例におけるコントラストAFの原理を説明するための図
【図6】実施例における位相差AF制御の蓄積制御を示す図
【図7】実施例1における千鳥配列の焦点検出のフローチャート
【図8】実施例1における位相差AF制御の検出部の拡大概略図
【図9】実施例における範囲決定手段の詳細フローチャート
【図10】実施例2における位相差AF制御の検出部の拡大概略図
【図11】実施例2における千鳥配列の焦点検出のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)
<カメラの構成>
図1は焦点検出装置を搭載したカメラの構成を表す図である。ここで言うカメラとは、動画や静止画を撮影してテープや固体メモリ、光ディスクや磁気ディスク等のさまざまなメディアに記録する、いわゆるビデオカメラやデジタルスチルカメラ等を総称してカメラと呼ぶ。カメラ内の各ユニットは、バス160を介して接続されており、各ユニットはメインCPU151によって制御される構造になっている。
【0012】
レンズユニット101には、固定1群レンズ102、ズームレンズ111、絞り103、固定3群レンズ121、フォーカスレンズ131が含まれる。これらの光学部材を通して、撮像素子141上に被写体光を入射させ、被写体光を受光することで、被写体像の撮像を行い撮像信号を出力する。ズーム制御部113は、メインCPU151の指示に従いズームモータ112を介してズームレンズ111を移動させて焦点距離を変える。
【0013】
タイミングジェネレータ(TG)143は、撮像素子141の駆動パルスを静止画撮影モード、間引きモード、焦点検出モードに応じて生成する。また、TG143は、メインCPU151とバス160で接続され、メインCPU151からの指令に応じて駆動パルスを、静止画撮影モード、間引きモード、焦点検出モードに切り替える。
【0014】
撮像素子141に入射された被写体像は、撮像素子141にて光電変換され撮像信号処理部142で画像信号として整えられる。また、撮像信号TVSがAF信号処理部134へと入力される。AF信号処理部134では、コントラストAF制御のための評価値FVと、合焦度を表すIFA信号を作成し、フォーカス制御部133へ入力する。
【0015】
一方、レンズユニット101の外部に設けられている位相差AFユニット130は、被写体距離に関する情報である信号Lを算出してフォーカス制御部133へ入力する。この被写体距離に関する情報の算出は、位相差AF用の瞳分割光学系138を通して位相差AFユニットの検出部139へ結像された2つの像信号(被写体像)の像ずれ量(位相差量)を検出することにより行う。フォーカス制御部133では、位相差AF制御による信号LとコントラストAF制御による評価値FVや合焦度IFAに基づく焦点調節を行う。すなわち、これらの信号に基づいてフォーカスモータ132を介してフォーカスレンズ131を移動させることで、焦点調節(オートフォーカス)を実現する。
【0016】
撮像信号処理部142で整えられた画像信号は、一時的にRAM154に蓄積される。RAM154に蓄積された画像信号は、画像圧縮解凍部153にて圧縮処理され、画像記録媒体157に記録される。これと並行して、RAM154に蓄積された画像信号は、画像処理部152にて最適なサイズに縮小・拡大処理がなされる。最適なサイズに処理された画像信号は、モニタディスプレイ150に表示されることで、リアルタイムで撮影画像を撮影者に対してフィードバックする。また、撮影直後には、モニタディスプレイに所定時間だけ撮影画像を表示することで撮影画像の確認を行うことも可能となる。
【0017】
操作スイッチ156は使用者が指示を行うための操作を行うためのものである。159は電源バッテリーであり、電源管理158により適切な電源管理を施されてカメラ全体に安定した電源供給を行うものである。ジャイロセンサ161はカメラの動きを検出する。
【0018】
これらの動作に先立って、カメラがOFF状態から起動すると、フラッシュメモリ155に格納されていたプログラムがRAM154の一部にロードされ、メインCPU151はこのRAM154にロードされたプログラムに従って動作を行う。以上が、カメラの構成の説明である。
【0019】
<位相差AFユニットの構成>
図2(a)はレンズユニット101に対して外部に設けられた位相差AFユニット130の光学系の構成を説明するための図である。201は被写体、202は第1の結像レンズ、203は第1の検出部である。また、204は第2の結像レンズ、205は第2の検出部である。第1及び第2の検出部203,205は、基線長Bだけ互いに離れて設置されている。被写体201からの光のうち第1の結像レンズ202を通った光は、第1の検出部203上に結像し、第2の結像レンズ204を通った光は第2の検出部205上に結像する。
【0020】
これら第1の結像レンズ202、第2の結像レンズ204、第1の検出部203、第2の検出部205からなる焦点検出用センサ群を位相差AFユニット130としている。結像レンズ202,204は図1に示した位相差AF用の瞳分割光学系138に、検出部203,205は図1に示した検出部139にそれぞれ相当する。検出部203,205は2列のラインセンサが相対的に互いに位置が1画素未満である0.5画素ずれるように並行に上下に隣接して配置されている千鳥配列となっている。
【0021】
具体的には、位相差AFユニットの検出部203は上段のラインセンサ206と下段のラインセンサ207から構成される。また、同様に検出部205は上段のラインセンサ208、下段のラインセンサ209から構成される。本実施例では、カメラに対して位相差AFユニットを横置きしているものとするため、検出部は上下に隣接した2列のラインセンサで構成されるが、位相差AFユニットを縦置きし、2列のラインセンサが左右に隣接した構成においても、同様の効果が得られる。
【0022】
図2(b)は、検出部203の詳細図である。検出部203は、上段のラインセンサ206と下段のラインセンサ207が相対的に互いに位置が0.5画素ずれるように並行に隣接して配置されている。また、検出部203は30個×2列の画素から構成されており、ラインセンサ206の30個の画素、ラインセンサ207の30個の画素から構成される。検出部205についても、同様の構成とする。なお被写体距離の算出にあたっては、検出部203および検出部205を一対の検出部として用いる。そのため、検出部の内部では、ラインセンサ206とラインセンサ208が対となり、ラインセンサ207とラインセンサ209が対となる構成となっている。
【0023】
図6は、図1、図2では不図示であった検出部203と検出部205の蓄積制御をするための回路構成の詳細を表す図である。対となる2つのラインセンサ206、208に対して、最大値を示す画素の出力(以下、ピーク値とする)がメインCPU151内の蓄積制御部601に検出される。蓄積制御部601は、このピーク値が所定のレベルに到達するまで蓄積を行うように制御を行うとともに、蓄積終了後の読み出しゲインAGC1を決定する。ここでピーク値を取るのは、所定のレベルにピーク値が到達するまで蓄積することにより、位相差AF制御において十分精度が出るレベルであると判断でき、このピーク値以上に蓄積時間を増加すれば、出力信号が飽和して適切な検出が行えなくなるためである。蓄積の終了は検出部の像信号により行われるため、光量の多い被写体では蓄積時間が短くなり、少ない部分では蓄積時間が長くなる。ラインセンサ207、209に対しても同様の蓄積制御を行う。
【0024】
ピーク値が所定のレベルに到達した時点で蓄積を終了し、像信号の読み出しを行う。メインCPU151内のA/D変換部602において、ラインセンサ内の1画素をA/D変換後、デジタルで表現された画素値をRAM154上の所定のアドレスへ格納する。このA/D変換が所定画素の回数分行われたかどうかを判断し、所定画素のA/D変換が終了していれば、そのラインセンサの像信号の取得を終了する。終了していなければ次の画素値をA/D変換する。この取得した像信号を用いて、前述の相関演算により像ずれ量を算出する。
【0025】
<像ずれ量の算出方法>
図3に、検出部203、205からの出力信号(以下、像信号とする)の例を示す。検出部203,205は基線長Bだけ離れているため、検出部203からの像信号P1と検出部205からの像信号P2とは、画素数Xだけずれた信号となる。そこで、2つの像信号に対して相関演算を行うことで位相差(以下、像ずれ量とする)Xが算出できる。
【0026】
像信号から像ずれ量を算出する方法について説明する。像信号から像ずれ量の算出には、相関演算を用いる。相関演算とは、2つの像信号の相関値を画素をずらしながら演算し、相関が最大になる画素ずらし量を求めることで像ずれ量Xを検出するものである。この相関演算は特に記述しない限り、メインCPU151とフォーカス制御部133により行われるものとする。
【0027】
図4は相関演算のフローチャートである。この処理は、メインCPU151とフォーカス制御部133により実施される。
【0028】
まずS401において、検出部203、205からの出力信号である像信号を取得する。
【0029】
S402において、取得した像信号に対して、前補正処理を行う。この前補正処理には、読み出した像信号に対する補正処理と、コントラスト算出や平均化などの像信号のフィルタ処理とを含む。
【0030】
S403において、1画素ずつ画素をずらしながら、相関が最も高くなる画素ずらし量を算出する。相関が最も高くなる画素ずらし量の算出にあたって、検出部203内のラインセンサの像信号と、それに対応する検出部205内のラインセンサの像信号を比較し、その相関値を算出する。相関値を算出する際には、2つの像信号を重ねて、それぞれ対応する信号同士を比較し、小さい方の値の累積を取得する。なお、大きい方の値の累積を取得しても良い。また、差分を取得しても良い。小さい方の値の累積を取得した場合には、この値が最も大きいときが相関の高いときである。累積は相関を指し示す指標となる。なお、大きい方の値の累積を取得した場合、あるいは差分を取得した場合には、この値が最も小さいときが相関の高いときとなる。
【0031】
ここでは、小さい方の値の累積を取得した場合について説明する。まず、2つの像信号を重ねた状態での相関値(以下、相関値Aとする)を小さい方の値の累積に基づいて算出する。次に、1画素ずらして相関値(以下、相関値Bとする)を算出する。このとき、相関が高くなる方向へ画素をずらすので、相関値Bから相関値Aを引いたもの(以下、相関量差とする)は正となる。このように、相関が最も高くなる画素ずらし量までは、現在の画素ずらし量と、その1つ手前の画素ずらし量での相関量差は正となる。相関が最も高くなる画素ずらし量を過ぎると、2つの像信号の相関がなくなっていくため、相関量差は負に転じる。この相関量差が正から負に転じる部分が、相関が最も高くなる画素ずらし量である。
【0032】
S404において、相関が最も高くなる画素ずらし量を算出した後、その画素ずらし量と前後の画素ずらし量での相関値を用いて、補間演算を行い、1画素以内の補間値を算出する。補間値は、前述の相関量差が正から負に転じる部分において、正の部分を正から負の絶対値で割ることにより求められる。この画素ずらし量と補間値との和を像ずれ量Xとする。
【0033】
S405において、像ずれ量Xを算出した後、算出した像ずれ量Xの信頼性を評価する。この信頼性は、像信号のコントラストや、2つの像信号の一致度等で算出される。
【0034】
S406において、算出した信頼性の評価を行う。所定の閾値に対し、信頼性が大きければ、S407において像ずれ量Xは十分に信頼できるものとする。一方、信頼性が小さければ、像ずれ量Xは信頼できないものとし、S408において焦点検出はNGとする。以上が、像ずれ量の算出方法の説明である。なお、上段の一対のラインセンサからの像信号に基づく像ずれ量の算出も、下段の一対のラインセンサからの像信号に基づく像ずれ量の算出、上段と下段の像信号に基づく像ずれ量の算出も同様に行うことができる。
【0035】
<被写体距離の算出方法>
以下、像ずれ量Xから被写体距離の算出方法について説明する。像ずれ量Xと、基線長Bと、結像レンズ202、204の焦点距離fとにより、三角測距の原理で被写体までの距離Lが以下の式(1)により求められる。
L=B・f/X …(1)
測定された被写体距離に基づいて、メインCPU151は被写体距離に対して合焦を得るためのフォーカスレンズ位置を算出する。この算出には、計算式を用いた演算だけでなく、予め不図示のメモリに記憶された、被写体距離に対する合焦位置のデータを読み出すことも含む。そして、フォーカス制御部133を通じてフォーカスレンズ131をその合焦フォーカスレンズ位置に移動させる。以上が、位相差AFユニット130における被写体距離の算出方法である。
【0036】
<コントラストAF制御>
また一方で、本実施例のカメラはコントラストAF制御を行う。図5はAF信号処理部134の詳細図である。撮像信号処理部142からの撮像信号TVSは、ゲート501にて画面内の一部のみの撮像信号を抽出する。そして、バンドパスフィルタ(BPF)502および検波部(DET)503によって、合焦状態を示すAF評価値FVを生成するとともに、BPF504、505、DET506、507、および除算部508によって合焦度IFAを生成する。
【0037】
<ハイブリッドAF制御>
フォーカス制御部133では、AF信号処理部134からのAF評価値FVと合焦度IFA、および位相差AFユニットからの合焦フォーカスレンズ位置を取得する。現在のフォーカスレンズの位置から合焦フォーカスレンズ位置にフォーカスレンズ131を移動させると共に、合焦度IFAを評価することで、合焦近傍か否かを判断し、合焦近傍である場合にはAF評価値FVに基づいて合焦点の探索を行う。このように、大ボケ時には位相差AF制御を行い、合焦近傍にフォーカスレンズ131を移動させ、コントラストAF制御で合焦位置を探索することで、位相差AF制御による高速な合焦性能とコントラストAF制御による高精度の合焦性能を併せ持つことができる。以上が、位相差AF制御とコントラストAF制御を併用したハイブリッドAF制御の説明である。
【0038】
<実施例1の相関演算の動作フロー>
図7はメインCPU151とフォーカス制御部133により実施される相関演算のフローチャートである。位相差AFユニット130の検出部139は、2列のラインセンサが相対的に互いに位置が0.5画素ずれるように並行に上下に隣接して配置されている千鳥配列となっている。そのため、2つの演算方法を有する。一つは、S713からS714において、2列のラインセンサの像信号を合成して相関演算を行い、1つの被写体距離を算出する演算方法(以下、合成法とする)である。また、もう一つはS715において、上段・下段2対のラインセンサの像信号をそれぞれ相関演算して算出した2つの像ずれ量を平均する演算方法(以下、平均法とする)である。また、本実施例では、S709からS712において、合成法と平均法の使い分けを行うための判別手段を有する。以下、千鳥配列における動作フローについて詳細を説明する。
【0039】
S701において、上段のラインセンサ(ラインセンサ206、208を一対として)での相関演算を行う。S702において、下段のラインセンサ(ラインセンサ207、209を一対として)での相関演算を行う。ここで、上段のラインセンサ対の相関演算及び下段のラインセンサ対の相関演算は、前述の図4のフローに従って行われるものとする。
【0040】
S703において、上段の像ずれ量、下段の像ずれ量がともに信頼性があるかを確認する。前述の合成法、平均法を行うためには、2つの像ずれ量がともに信頼性が高いものである必要があるためである。2つとも信頼性が高い場合にはS704へステップを移す。2つの信頼性が高くない場合にはS706へステップを移す。
【0041】
S704において、2つの像ずれ量の差が所定の閾値以下であるかを判断する。像ずれ量の差が閾値以下である場合、上段と下段のラインセンサはともに同一の距離にある被写体を捉えており、S709へステップを移す。一方、2つの像ずれ量が所定の閾値よりも大きければ、上段と下段のラインセンサは異なる距離の被写体を捉えており、S705へステップを移す。
【0042】
S705において、上段と下段の像ずれ量の内、距離が近い方(つまり、像ずれ量の大きいほう)を選択し、被写体距離を算出する。
【0043】
S706において、S703で上段、下段の2つの信頼性が高くないとみなされた場合、どちらか一方の信頼性が高くないかを判断する。一方の信頼性が高い場合には、S707へステップを移し、2つとも信頼性が低い場合にはS708へステップを移す。
【0044】
S707において、信頼性の高い方の像ずれ量を選択し、被写体距離を算出する。
S708において、焦点検出結果はNGとする。
【0045】
一方の像ずれ量の選択については、信頼性や像ずれ量の大きさの変わりに、過去の情報や、カメラの他機能の情報を利用しても良い。
【0046】
以上により、ラインセンサ毎に像ずれ量を算出し、2つの像ずれ量の信頼性が高く、ほぼ同一の距離にある場合はS709からS712の判別手段によって合成法あるいは平均法を適用して被写体距離を算出する。
【0047】
S709において、上段と下段の像ずれ量と比較するための物理ずれ量の、所定範囲rを決定する。
【0048】
S710において、上段の像信号と下段の像信号で相関演算を行い、上下の像ずれ量を算出する。S711において、算出した上下の像ずれ量の信頼性が所定の閾値より大きいか否かを判断する。所定の閾値より大きい場合は、上下の像ずれ量は信頼性が高いとしてS712にステップを移す。所定の閾値以下の場合は、信頼性が低く、上下の像信号で相関がとれないため、S715へステップを移す。
【0049】
S712において、物理ずれ量を中心値とし、前述の決定された所定範囲rの中に、上下の像ずれ量が収まるか否かを判断する。上下の像ずれ量の像ずれ量が、範囲内である場合には、S713へステップを移す。一方、上下の像ずれ量の像ずれ量が、範囲外である場合には、S715へステップを移す。
【0050】
なお、ラインセンサで取得する像には光学系の影響や光電変換中のノイズなどを含んでおり、上下の像ずれ量が物理ずれ量に完全に一致するか否か、ではなく、物理ずれ量を中心とした、ある程度の範囲内に収まっているか範囲外か、の判別を行う。特に、撮像光学系の外での位相差AF制御は像信号の取得にあたり、手ブレ補正などの機能を受けられず、手ブレの影響を直に受けてしまうため、撮像条件に対する評価を行って範囲を決定する。
【0051】
上述のS711とS712の判別によって合成法が有効であると判別されると、S713において、上段・下段の像信号を交互に取り出して、1つの像信号とする合成を行う。そして、S714において、合成した像信号に対して相関演算を行う。図8は千鳥配列で構成された検出部の拡大概略図であり、ここで像信号の合成とは、画素1、画素2、画素3、画素4‥と画素値を交互に取り出すことである。また、このように交互に取り出したものに対して、例えば隣接する画素値と平均するなどの所望のフィルタ処理を施しても良い。
【0052】
この合成法を用いることによって、相関演算を行う際の画素数が倍になる。また、上段と下段で0.5画素ずらしていることで、画素のピッチ幅を半分にしていることと等価であり、より詳細に被写体を捉える効果がある。以上が、合成法の説明である。
【0053】
上述のS711とS712の判別によって合成法が有効でないと判別されると、S715において、S701とS702で算出したラインセンサ毎の像ずれ量を平均する。
【0054】
上段と下段で0.5画素ずれている千鳥配列において、2つの像ずれ量を平均することで、ラインセンサ上の被写体像のかかり具合によって発生する焦点検出結果のばらつきを抑える効果がある。以上が、平均法の説明である。
【0055】
前述の合成法と平均法を使い分けるための判別手法について説明する。合成法を行うためには、上段と下段のラインセンサが同一の被写体を捉え、かつ上段と下段の像信号が略同じである必要がある。つまり、上段と下段のラインセンサがともに、同一の被写体をラインセンサに対してほぼ直角に捉えている必要がある。
【0056】
そのため、この条件を満たすか否かを判別した上で、合成法を行う。この判別は、上段と下段のラインセンサを対として相関演算を行い、上段の像信号と下段の像信号の像ずれ量が、上段と下段のラインセンサを配置する際の位相ずらし量(以下、物理ずれ量とする)に相当するか否か、によって行う。ここで、本実施例ではラインセンサ206、207を一対、あるいはラインセンサ208、209を一対として相関演算を行う。上段と下段の像ずれ量が物理ずれ量に相当する場合には、合成法を行う。
【0057】
<物理ずれ量の、所定範囲rの決定方法>
以下、図9を用いて範囲rの決定の詳細について説明する。
【0058】
S901において、物理ずれ量を取得する。位相差AFユニットの検出部の2列のラインセンサは0.5画素ずらして配置しているため、物理ずれ量は0.5画素である。この値は検出部の設計の際に決定するパラメータであり、検出部の構成によって一意に決定される。
S902において、範囲rを基準値である0.2画素とする。
【0059】
S903において、上段、下段ともにラインセンサの蓄積時間が所定の閾値以下であるかを判断する。ラインセンサの蓄積時間が所定の閾値以下である場合、ラインセンサは明るい被写体を捉えており、ブレが小さいため、S904へステップを移す。一方、上段、下段ともにラインセンサの蓄積時間が所定の閾値より大きい場合には、暗い被写体を捉えており、ブレが大きいため、S905へステップを移す。
【0060】
S904において、範囲rから0.05画素を引く。
S905において、範囲rから0.05画素を加える。
S906ではカメラの動きが大きいか否かのぶれ情報を判断する。このカメラの動きの取得には、カメラに付属したジャイロセンサ161の情報を取得し、カメラの角加速度を算出する。この角加速度が小さい場合には、ブレが小さいため、S907へステップを移す。角加速度が大きい場合には、ブレが大きいため、S908へステップを移す。
【0061】
S907において、範囲rから0.05画素を引く。
S908において、範囲rから0.05画素を加える。
【0062】
撮像条件の良い場合には、範囲を狭くすることで、合成法を行うか否かをより厳密に判別する。一方、撮像条件の悪い場合には、範囲を広くすることで、上下の像ずれ量のばらつきを考慮して判別する。
【0063】
この範囲決定では、ラインセンサの蓄積時間の代わりに、像信号のコントラストを用いても良い。また、ジャイロセンサによる角加速度の代わりに、画像ベクトルを用いても良く、カメラの動きを知りえるものであれば良い。また、範囲決定にあたっては、像のブレを評価できるものであれば、そのいずれか、あるいは複数の組み合わせを用いれば良い。ここで、ラインセンサの蓄積時間が短く、カメラの角加速度も小さいとすると、範囲rは0.1画素であるので、上述のS712では、上下の像ずれ量が0.4画素から0.6画素の範囲内に収まるか否かによって、像信号の合成を行うか否かを判別することとなる。上下の像ずれ量が0.4画素である場合には、範囲内であるので、S713へステップを移し、上下の像ずれ量の像ずれ量が0.8画素である場合には、範囲外であるので、S715へステップを移すこととなる。
【0064】
<まとめ>
本実施例では、上下の像ずれ量によって像信号の合成を行うか否か判別する。像ずれ量を算出するための相関演算では、補間のステップを有しており、1画素よりも細かく像ずれ量を算出する。そのため、上下の像ずれ量と物理ずれ量とを比較し、合成法と平均法の使い分けを行う。また、撮影条件を考慮して像ずれ量の範囲を決定し、上下の像ずれ量と物理ずれ量を比較する。
【0065】
以上の実施例によれば、斜め線のような、像信号の合成が不適切な被写体に対して、合成をしない判別を正確にすることができる。また、暗い被写体など像にブレを含んでいる場合でも、合成を行うか否かの判別を正確にすることができる。合成に適した被写体に対しては、合成を行う判定を正確にすることができる。以上のような、合成に適した被写体と合成に不適切な被写体を正確に判別して、適切な演算を行うことによって、焦点検出の精度を向上させることができ、従来よりもすばやい合焦動作が可能となる。
【0066】
(実施例2)
図10は本実施例での検出部203、205の拡大概略図である。以下、検出部203、205のラインセンサを3列とした場合の実施例について説明する。
【0067】
<実施例2の相関演算の動作フロー>
図10の検出部は上段のラインセンサ1001、中段のラインセンサ1002、下段のラインセンサ1003の3列によって構成される。そして、上段のラインセンサ1001と中段のラインセンサ1002は相対的に互いに位置が1画素未満である1/3画素ずれるように並行に隣接して配置されている。中段のラインセンサ1002と下段のラインセンサ1003も相対的に互いに位置が1/3画素ずれるように並行に隣接して配置されている。つまり、上段のラインセンサ1001と下段のラインセンサ1003は2/3画素ずらして配置されている。
【0068】
この3列のラインセンサから構成される検出部203、205に対して、図11の動作フローを適用する。S1101において、ラインセンサ毎に像ずれ量を算出する。ラインセンサは3列で構成されるため、3つの像ずれ量が求まる。S1102において、3つの像ずれ量の信頼性に対して、所定の閾値よりも大きいものがいくつあるかを判断する。3つとも信頼性が高い場合にはS1108へステップを移す。2つの信頼性が高い場合はS1103へステップを移す。1つの信頼性が高い場合にはS1106へステップを移す。信頼性が高いものがない場合にはS1107へステップを移す。
【0069】
S1103において、信頼性の高い2つの像ずれ量の差が、所定の閾値以下であるか否かを判断する。所定の閾値以下の場合は、2つの像ずれ量が同一の距離の被写体を捉えており、S1104へステップを移す。所定の閾値よりも大きい場合は、異なる距離の被写体を捉えており、S1105へステップを移す。
【0070】
S1104において、2つの像ずれ量を平均し、これを全体の像ずれ量として被写体距離を算出する。
【0071】
S1105において、距離の近い方、つまり像ずれ量の大きい方を選択し、これを全体の象ずれ量として被写体距離を算出する。
【0072】
S1106において、信頼性の高い像ずれ量1つを選択し、これを全体の像ずれ量として被写体距離を算出する。
S1107において、焦点検出結果はNGとする。
【0073】
S1108において、3つの像ずれ量の内、真ん中の値の像ずれ量を基準とし、残り2つの像ずれ量との差が所定の閾値以下であるか否かを判断する。残り2つの像ずれ量との差が所定の閾値以下の場合、3つともほぼ同じ像ずれ量であり、S1111へステップを移す。1つの像ずれ量との差は閾値以下であるものの、もう一方の像ずれ量との差が閾値よりも大きい場合、2つのラインセンサは同一距離の被写体を捉えているが、1つは異なる距離の被写体を捉えており、S1109へステップを移す。残り2つの像ずれ量との差がともに所定の閾値よりも大きい場合、3つのラインセンサは異なる距離の被写体を捉えており、S1110へステップを移す。
【0074】
S1109において、同一の距離を捉えている2つのラインセンサの像ずれ量を平均し、これを全体の像ずれ量として被写体距離を算出する。
【0075】
S1110において、3つの像ずれ量の内、距離が最も近い1つを選択し、これを全体の像ずれ量として被写体距離を算出する。
【0076】
S1111において、3つのラインセンサの蓄積時間を評価し、範囲を決定する。範囲の決定方法は実施例1のものと同様に行う。
【0077】
S1112において、上段のラインセンサの像信号と中段のラインセンサの像信号に対して、相関演算を行い、上段と中段の像ずれ量を算出する。
【0078】
S1113において、信頼性の評価と、上段と中段の像ずれ量が、物理ずれ量(本実施例では1/3画素)からS1111で決定した範囲に収まるか否かを判断する。範囲に収まる場合は、上段と中段で、同一の被写体をラインセンサに対してほぼ直角に捉えており、S1114へステップを移す。範囲に収まらない場合は、S1118へステップを移す。
【0079】
S1114において、中段のラインセンサの像信号と下段のラインセンサの像信号に対して、相関演算を行い、中段と下段の像ずれ量を算出する。
【0080】
S1115において、信頼性の評価と、中段と下段の像ずれ量が、物理ずれ量(1/3画素)からS1111で決定した範囲に収まるか否かを判断する。範囲に収まる場合は、上段と中段で、同一の被写体をラインセンサに対してほぼ直角に捉えており、S1116へステップを移す。範囲に収まらない場合は、S1118へステップを移す。なお、S1114において、中段と下段の像ずれ量を算出する代わりに、上段と下段の像ずれ量を算出しても良い。その場合は、物理ずれ量は2/3画素として上段と下段の像ずれ量との比較を行う。
【0081】
S1116において、上段、中段、下段の像信号の合成を行う。像信号の合成は図10の画素番号において、画素1、画素2、画素3、画素4、画素5‥の順に取り出す。
【0082】
S1117において、合成した像信号に対して相関演算を行い、1つの像ずれ量を算出する。これを全体の像ずれ量として被写体距離を算出する。
【0083】
S1118において、3つの像ずれ量を平均し、これを全体の像ずれ量として被写体距離を算出する。
【0084】
<まとめ>
以上の実施例によれば、斜め線のような、像信号の合成が不適切な被写体に対して、合成をしない判別を正確にすることができる。また、暗い被写体など像にブレを含んでいる場合でも、合成を行うか否かの判別を正確にすることができる。合成に適した被写体に対しては、合成を行う判定を正確にすることができる。以上のような、合成に適した被写体と合成に不適切な被写体を正確に判別して、適切な演算を行うことによって、焦点検出の精度を向上させることができ、従来よりもすばやい合焦動作が可能となる。
【0085】
(実施例3)
<予め上段と下段のずれ量を検出しておく構成>
物理ずれ量を調整によって算出し、算出した物理ずれ量を用いた判別手段について説明する。検出部203、205のラインセンサの配置を図8のものとする。上段のラインセンサと下段のラインセンサは相対的に互いに位置が0.5画素ずれるように並行に隣接して配置されているが、実際には0.5画素からある程度のばらつきを有している。
【0086】
そのため、調整段階において、上段のラインセンサと下段のラインセンサに、同一の、かつラインセンサに対して被写体像が直角にかかるチャート(例えば、バーチャートなど)の像を取得させ、予め上段と下段の像ずれ量を算出しておく。このように、被写体が理想的な状況下で算出した上段と下段の像ずれ量は物理ずれ量と等価であるとする。図9のS901のステップにおいて、物理ずれ量を取得する際には、この予め算出した上段と下段の像ずれ量を呼び出す。
【0087】
<まとめ>
以上により、判別手段において、ラインセンサの配置のばらつきの影響を受けない効果がある。
【0088】
(実施例4)
<2像の一致度から上段と下段の合成の可否を判断>
上述の実施例1では、合成を行うか否かの判別を、上段と下段の像ずれ量と物理ずれ量の比較により、行ったが、実施例4では、上段と下段の像信号から像の一致度を求めることにより行う。つまり、実施例1における図7のS712の「物理ずれ量を中心値とし、前述の決定された所定範囲rの中に、上下の像ずれ量が収まるか否かを判断する」という判断に換えて、「2像の一致度一致度が所定値よりも高いか否かを判断する」という判断をする。
【0089】
ここで、2像の一致度の算出方法としては、例えば、像信号間の差分の絶対値和を算出する。この値は2像の一致度を表現し、2像の一致度が悪いと大きな値となり、2像の一致度が良いと小さな値となる。
【0090】
上述の上段と下段の2像の一致度が所定値以上であると判断されると、合成法が有効であると判別できるので、図7のS713と同様に、上段・下段の像信号を交互に取り出して、1つの像信号とする合成を行う。そして、S714と同様に、合成した像信号に対して相関演算を行う。
【0091】
一方、上述の上段と下段の2像の一致度が所定値よりも低いと判断されると、合成法が有効でないと判別できるので、図7のS715と同様に、算出したラインセンサ毎の像ずれ量を平均する。
【0092】
<まとめ>
以上の実施例によれば、斜め線のような、像信号の合成が不適切な被写体に対して、合成をしない判別を正確にすることができる。また、暗い被写体など像にブレを含んでいる場合でも、合成を行うか否かの判別を正確にすることができる。合成に適した被写体に対しては、合成を行う判定を正確にすることができる。以上のような、合成に適した被写体と合成に不適切な被写体を正確に判別して、適切な演算を行うことによって、焦点検出の精度を向上させることができ、従来よりもすばやい合焦動作が可能となる。
【符号の説明】
【0093】
130 位相差AFユニット
138 瞳分割光学系
139 検出部
203 第1の検出部
205 第2の検出部
206 ラインセンサ
207 ラインセンサ
208 ラインセンサ
209 ラインセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は自動焦点調節制御を行うための焦点検出装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像装置に搭載されるオートフォーカス(AF)方式としては、コントラスト検出方式が一般的である。コントラスト検出方式は、撮像素子を用いて得られた映像信号から高周波成分を抽出して、合焦状態を示す、いわゆるAF評価値を生成し、AF評価値が最大になるようにフォーカスレンズの位置を制御するものである。また、他のAF方式として、位相差検出方式がある。位相差検出方式は、一眼レフカメラの実用化に貢献した技術である。位相差検出方式では、撮影レンズの射出瞳を通過した光束を2分割し、2分割した光束を一組の焦点検出用センサーによりそれぞれ受光する。そして、その受光量に応じて出力される信号のずれ量、すなわち、光束の分割方向の相対的位置ずれ量を検出することで撮影レンズのピント方向のずれ量を求める。従って、焦点検出用センサーにより一度蓄積動作を行えばピントずれの量と方向が得られ、高速な焦点調節動作が可能となる。
【0003】
そして、コントラスト検出方式と位相差検出方式とを組み合わせた、ハイブリッドAF方式を採用した撮像装置も提案されている。ハイブリッドAF方式は、位相差検出方式の検出結果に基づいて合焦点近傍まで高速にフォーカスレンズを移動させた後、コントラスト検出方式の検出結果に基づいて高精度に合焦動作を行わせる。これにより、位相差検出方式による高速な合焦性能とコントラスト検出方式による高精度の合焦性能を併せ持つ。このとき、位相差検出方式の精度が高いほど、コントラスト検出方式に基づいて合焦動作を行う時間が短くなり、合焦までにかかる全体の時間が短くなる。ただし、位相差検出方式の精度を高めることは安価なシステムでは原理上難しい構成となっている。
【0004】
位相差検出方式の精度を高めるために、位相差検出ユニットの検出部に、いわゆる千鳥配列を用いた位相差検出方式が知られている(特許文献1)。千鳥配列は、複数のラインセンサを上下に隣接させ、かつ、上下の画素を0.5画素ずらして配置したものである。この複数列に分けたラインセンサにおいて、同一被写体を捉えているか否かを判別し、同一被写体である場合には、各ラインセンサの像信号を交互に取り出して合成することで、精度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−133515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術の構成では、各ラインセンサが同一被写体を捉えているか否かの判別に、各ラインセンサの像信号の類似性を用いていた。そのため、斜め線のような、各ラインセンサの像信号でピークの位置は異なるものの、類似性が見られる被写体には、像信号を合成するという判別手段となっていた。しかしながら、斜め線に対して像信号を合成してしまうと、ピークの位置が異なるために像信号のコントラストを落としてしまう場合があった。あるいは、もとのラインセンサの像信号と合成した像信号が異なるものとなってしまう場合があった。そのため、被写体によっては精度を落としてしまう場合があった。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑み、像信号の合成が逆効果である斜め線に対しても精度を維持した焦点検出装置及び焦点検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の技術的特徴としては、複数の画素を備え、被写体光を受光して光電変換し像信号を出力する第1のラインセンサ及び第2のラインセンサと、前記第1のラインセンサと第2のラインセンサにそれぞれ隣接し、前記第1のラインセンサと前記第2のラインセンサの複数の画素とは1画素未満のずれをもって配置された複数の画素を備え、被写体光を受光して光電変換し像信号を出力する第3のラインセンサ及び第4のラインセンサとを備えた焦点検出装置の制御方法であって、前記第1乃至第4のラインセンサからの像信号に基づいて像ずれ量を検出する焦点検出ステップを有し、前記焦点検出ステップでは、前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサ、又は、前記第2のラインセンサと前記第4のラインセンサの少なくともいずれか一方が、同一の被写体光を受光していると判断される場合には、前記第1のラインセンサの像信号と前記第3のラインセンサの像信号とを合成し、前記第2のラインセンサの像信号と前記第4のラインセンサの像信号とを合成した後に像ずれ量を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、斜め線のような、像信号の合成が不適切な被写体に対しても焦点検出の精度を向上させることができ、従来よりもすばやい合焦動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例であるビデオカメラの構成を示すブロック図
【図2】実施例における位相差AF制御での焦点検出の原理を示す図
【図3】位相差AF制御における像信号を示す図
【図4】実施例における相関演算のフローチャート
【図5】実施例におけるコントラストAFの原理を説明するための図
【図6】実施例における位相差AF制御の蓄積制御を示す図
【図7】実施例1における千鳥配列の焦点検出のフローチャート
【図8】実施例1における位相差AF制御の検出部の拡大概略図
【図9】実施例における範囲決定手段の詳細フローチャート
【図10】実施例2における位相差AF制御の検出部の拡大概略図
【図11】実施例2における千鳥配列の焦点検出のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)
<カメラの構成>
図1は焦点検出装置を搭載したカメラの構成を表す図である。ここで言うカメラとは、動画や静止画を撮影してテープや固体メモリ、光ディスクや磁気ディスク等のさまざまなメディアに記録する、いわゆるビデオカメラやデジタルスチルカメラ等を総称してカメラと呼ぶ。カメラ内の各ユニットは、バス160を介して接続されており、各ユニットはメインCPU151によって制御される構造になっている。
【0012】
レンズユニット101には、固定1群レンズ102、ズームレンズ111、絞り103、固定3群レンズ121、フォーカスレンズ131が含まれる。これらの光学部材を通して、撮像素子141上に被写体光を入射させ、被写体光を受光することで、被写体像の撮像を行い撮像信号を出力する。ズーム制御部113は、メインCPU151の指示に従いズームモータ112を介してズームレンズ111を移動させて焦点距離を変える。
【0013】
タイミングジェネレータ(TG)143は、撮像素子141の駆動パルスを静止画撮影モード、間引きモード、焦点検出モードに応じて生成する。また、TG143は、メインCPU151とバス160で接続され、メインCPU151からの指令に応じて駆動パルスを、静止画撮影モード、間引きモード、焦点検出モードに切り替える。
【0014】
撮像素子141に入射された被写体像は、撮像素子141にて光電変換され撮像信号処理部142で画像信号として整えられる。また、撮像信号TVSがAF信号処理部134へと入力される。AF信号処理部134では、コントラストAF制御のための評価値FVと、合焦度を表すIFA信号を作成し、フォーカス制御部133へ入力する。
【0015】
一方、レンズユニット101の外部に設けられている位相差AFユニット130は、被写体距離に関する情報である信号Lを算出してフォーカス制御部133へ入力する。この被写体距離に関する情報の算出は、位相差AF用の瞳分割光学系138を通して位相差AFユニットの検出部139へ結像された2つの像信号(被写体像)の像ずれ量(位相差量)を検出することにより行う。フォーカス制御部133では、位相差AF制御による信号LとコントラストAF制御による評価値FVや合焦度IFAに基づく焦点調節を行う。すなわち、これらの信号に基づいてフォーカスモータ132を介してフォーカスレンズ131を移動させることで、焦点調節(オートフォーカス)を実現する。
【0016】
撮像信号処理部142で整えられた画像信号は、一時的にRAM154に蓄積される。RAM154に蓄積された画像信号は、画像圧縮解凍部153にて圧縮処理され、画像記録媒体157に記録される。これと並行して、RAM154に蓄積された画像信号は、画像処理部152にて最適なサイズに縮小・拡大処理がなされる。最適なサイズに処理された画像信号は、モニタディスプレイ150に表示されることで、リアルタイムで撮影画像を撮影者に対してフィードバックする。また、撮影直後には、モニタディスプレイに所定時間だけ撮影画像を表示することで撮影画像の確認を行うことも可能となる。
【0017】
操作スイッチ156は使用者が指示を行うための操作を行うためのものである。159は電源バッテリーであり、電源管理158により適切な電源管理を施されてカメラ全体に安定した電源供給を行うものである。ジャイロセンサ161はカメラの動きを検出する。
【0018】
これらの動作に先立って、カメラがOFF状態から起動すると、フラッシュメモリ155に格納されていたプログラムがRAM154の一部にロードされ、メインCPU151はこのRAM154にロードされたプログラムに従って動作を行う。以上が、カメラの構成の説明である。
【0019】
<位相差AFユニットの構成>
図2(a)はレンズユニット101に対して外部に設けられた位相差AFユニット130の光学系の構成を説明するための図である。201は被写体、202は第1の結像レンズ、203は第1の検出部である。また、204は第2の結像レンズ、205は第2の検出部である。第1及び第2の検出部203,205は、基線長Bだけ互いに離れて設置されている。被写体201からの光のうち第1の結像レンズ202を通った光は、第1の検出部203上に結像し、第2の結像レンズ204を通った光は第2の検出部205上に結像する。
【0020】
これら第1の結像レンズ202、第2の結像レンズ204、第1の検出部203、第2の検出部205からなる焦点検出用センサ群を位相差AFユニット130としている。結像レンズ202,204は図1に示した位相差AF用の瞳分割光学系138に、検出部203,205は図1に示した検出部139にそれぞれ相当する。検出部203,205は2列のラインセンサが相対的に互いに位置が1画素未満である0.5画素ずれるように並行に上下に隣接して配置されている千鳥配列となっている。
【0021】
具体的には、位相差AFユニットの検出部203は上段のラインセンサ206と下段のラインセンサ207から構成される。また、同様に検出部205は上段のラインセンサ208、下段のラインセンサ209から構成される。本実施例では、カメラに対して位相差AFユニットを横置きしているものとするため、検出部は上下に隣接した2列のラインセンサで構成されるが、位相差AFユニットを縦置きし、2列のラインセンサが左右に隣接した構成においても、同様の効果が得られる。
【0022】
図2(b)は、検出部203の詳細図である。検出部203は、上段のラインセンサ206と下段のラインセンサ207が相対的に互いに位置が0.5画素ずれるように並行に隣接して配置されている。また、検出部203は30個×2列の画素から構成されており、ラインセンサ206の30個の画素、ラインセンサ207の30個の画素から構成される。検出部205についても、同様の構成とする。なお被写体距離の算出にあたっては、検出部203および検出部205を一対の検出部として用いる。そのため、検出部の内部では、ラインセンサ206とラインセンサ208が対となり、ラインセンサ207とラインセンサ209が対となる構成となっている。
【0023】
図6は、図1、図2では不図示であった検出部203と検出部205の蓄積制御をするための回路構成の詳細を表す図である。対となる2つのラインセンサ206、208に対して、最大値を示す画素の出力(以下、ピーク値とする)がメインCPU151内の蓄積制御部601に検出される。蓄積制御部601は、このピーク値が所定のレベルに到達するまで蓄積を行うように制御を行うとともに、蓄積終了後の読み出しゲインAGC1を決定する。ここでピーク値を取るのは、所定のレベルにピーク値が到達するまで蓄積することにより、位相差AF制御において十分精度が出るレベルであると判断でき、このピーク値以上に蓄積時間を増加すれば、出力信号が飽和して適切な検出が行えなくなるためである。蓄積の終了は検出部の像信号により行われるため、光量の多い被写体では蓄積時間が短くなり、少ない部分では蓄積時間が長くなる。ラインセンサ207、209に対しても同様の蓄積制御を行う。
【0024】
ピーク値が所定のレベルに到達した時点で蓄積を終了し、像信号の読み出しを行う。メインCPU151内のA/D変換部602において、ラインセンサ内の1画素をA/D変換後、デジタルで表現された画素値をRAM154上の所定のアドレスへ格納する。このA/D変換が所定画素の回数分行われたかどうかを判断し、所定画素のA/D変換が終了していれば、そのラインセンサの像信号の取得を終了する。終了していなければ次の画素値をA/D変換する。この取得した像信号を用いて、前述の相関演算により像ずれ量を算出する。
【0025】
<像ずれ量の算出方法>
図3に、検出部203、205からの出力信号(以下、像信号とする)の例を示す。検出部203,205は基線長Bだけ離れているため、検出部203からの像信号P1と検出部205からの像信号P2とは、画素数Xだけずれた信号となる。そこで、2つの像信号に対して相関演算を行うことで位相差(以下、像ずれ量とする)Xが算出できる。
【0026】
像信号から像ずれ量を算出する方法について説明する。像信号から像ずれ量の算出には、相関演算を用いる。相関演算とは、2つの像信号の相関値を画素をずらしながら演算し、相関が最大になる画素ずらし量を求めることで像ずれ量Xを検出するものである。この相関演算は特に記述しない限り、メインCPU151とフォーカス制御部133により行われるものとする。
【0027】
図4は相関演算のフローチャートである。この処理は、メインCPU151とフォーカス制御部133により実施される。
【0028】
まずS401において、検出部203、205からの出力信号である像信号を取得する。
【0029】
S402において、取得した像信号に対して、前補正処理を行う。この前補正処理には、読み出した像信号に対する補正処理と、コントラスト算出や平均化などの像信号のフィルタ処理とを含む。
【0030】
S403において、1画素ずつ画素をずらしながら、相関が最も高くなる画素ずらし量を算出する。相関が最も高くなる画素ずらし量の算出にあたって、検出部203内のラインセンサの像信号と、それに対応する検出部205内のラインセンサの像信号を比較し、その相関値を算出する。相関値を算出する際には、2つの像信号を重ねて、それぞれ対応する信号同士を比較し、小さい方の値の累積を取得する。なお、大きい方の値の累積を取得しても良い。また、差分を取得しても良い。小さい方の値の累積を取得した場合には、この値が最も大きいときが相関の高いときである。累積は相関を指し示す指標となる。なお、大きい方の値の累積を取得した場合、あるいは差分を取得した場合には、この値が最も小さいときが相関の高いときとなる。
【0031】
ここでは、小さい方の値の累積を取得した場合について説明する。まず、2つの像信号を重ねた状態での相関値(以下、相関値Aとする)を小さい方の値の累積に基づいて算出する。次に、1画素ずらして相関値(以下、相関値Bとする)を算出する。このとき、相関が高くなる方向へ画素をずらすので、相関値Bから相関値Aを引いたもの(以下、相関量差とする)は正となる。このように、相関が最も高くなる画素ずらし量までは、現在の画素ずらし量と、その1つ手前の画素ずらし量での相関量差は正となる。相関が最も高くなる画素ずらし量を過ぎると、2つの像信号の相関がなくなっていくため、相関量差は負に転じる。この相関量差が正から負に転じる部分が、相関が最も高くなる画素ずらし量である。
【0032】
S404において、相関が最も高くなる画素ずらし量を算出した後、その画素ずらし量と前後の画素ずらし量での相関値を用いて、補間演算を行い、1画素以内の補間値を算出する。補間値は、前述の相関量差が正から負に転じる部分において、正の部分を正から負の絶対値で割ることにより求められる。この画素ずらし量と補間値との和を像ずれ量Xとする。
【0033】
S405において、像ずれ量Xを算出した後、算出した像ずれ量Xの信頼性を評価する。この信頼性は、像信号のコントラストや、2つの像信号の一致度等で算出される。
【0034】
S406において、算出した信頼性の評価を行う。所定の閾値に対し、信頼性が大きければ、S407において像ずれ量Xは十分に信頼できるものとする。一方、信頼性が小さければ、像ずれ量Xは信頼できないものとし、S408において焦点検出はNGとする。以上が、像ずれ量の算出方法の説明である。なお、上段の一対のラインセンサからの像信号に基づく像ずれ量の算出も、下段の一対のラインセンサからの像信号に基づく像ずれ量の算出、上段と下段の像信号に基づく像ずれ量の算出も同様に行うことができる。
【0035】
<被写体距離の算出方法>
以下、像ずれ量Xから被写体距離の算出方法について説明する。像ずれ量Xと、基線長Bと、結像レンズ202、204の焦点距離fとにより、三角測距の原理で被写体までの距離Lが以下の式(1)により求められる。
L=B・f/X …(1)
測定された被写体距離に基づいて、メインCPU151は被写体距離に対して合焦を得るためのフォーカスレンズ位置を算出する。この算出には、計算式を用いた演算だけでなく、予め不図示のメモリに記憶された、被写体距離に対する合焦位置のデータを読み出すことも含む。そして、フォーカス制御部133を通じてフォーカスレンズ131をその合焦フォーカスレンズ位置に移動させる。以上が、位相差AFユニット130における被写体距離の算出方法である。
【0036】
<コントラストAF制御>
また一方で、本実施例のカメラはコントラストAF制御を行う。図5はAF信号処理部134の詳細図である。撮像信号処理部142からの撮像信号TVSは、ゲート501にて画面内の一部のみの撮像信号を抽出する。そして、バンドパスフィルタ(BPF)502および検波部(DET)503によって、合焦状態を示すAF評価値FVを生成するとともに、BPF504、505、DET506、507、および除算部508によって合焦度IFAを生成する。
【0037】
<ハイブリッドAF制御>
フォーカス制御部133では、AF信号処理部134からのAF評価値FVと合焦度IFA、および位相差AFユニットからの合焦フォーカスレンズ位置を取得する。現在のフォーカスレンズの位置から合焦フォーカスレンズ位置にフォーカスレンズ131を移動させると共に、合焦度IFAを評価することで、合焦近傍か否かを判断し、合焦近傍である場合にはAF評価値FVに基づいて合焦点の探索を行う。このように、大ボケ時には位相差AF制御を行い、合焦近傍にフォーカスレンズ131を移動させ、コントラストAF制御で合焦位置を探索することで、位相差AF制御による高速な合焦性能とコントラストAF制御による高精度の合焦性能を併せ持つことができる。以上が、位相差AF制御とコントラストAF制御を併用したハイブリッドAF制御の説明である。
【0038】
<実施例1の相関演算の動作フロー>
図7はメインCPU151とフォーカス制御部133により実施される相関演算のフローチャートである。位相差AFユニット130の検出部139は、2列のラインセンサが相対的に互いに位置が0.5画素ずれるように並行に上下に隣接して配置されている千鳥配列となっている。そのため、2つの演算方法を有する。一つは、S713からS714において、2列のラインセンサの像信号を合成して相関演算を行い、1つの被写体距離を算出する演算方法(以下、合成法とする)である。また、もう一つはS715において、上段・下段2対のラインセンサの像信号をそれぞれ相関演算して算出した2つの像ずれ量を平均する演算方法(以下、平均法とする)である。また、本実施例では、S709からS712において、合成法と平均法の使い分けを行うための判別手段を有する。以下、千鳥配列における動作フローについて詳細を説明する。
【0039】
S701において、上段のラインセンサ(ラインセンサ206、208を一対として)での相関演算を行う。S702において、下段のラインセンサ(ラインセンサ207、209を一対として)での相関演算を行う。ここで、上段のラインセンサ対の相関演算及び下段のラインセンサ対の相関演算は、前述の図4のフローに従って行われるものとする。
【0040】
S703において、上段の像ずれ量、下段の像ずれ量がともに信頼性があるかを確認する。前述の合成法、平均法を行うためには、2つの像ずれ量がともに信頼性が高いものである必要があるためである。2つとも信頼性が高い場合にはS704へステップを移す。2つの信頼性が高くない場合にはS706へステップを移す。
【0041】
S704において、2つの像ずれ量の差が所定の閾値以下であるかを判断する。像ずれ量の差が閾値以下である場合、上段と下段のラインセンサはともに同一の距離にある被写体を捉えており、S709へステップを移す。一方、2つの像ずれ量が所定の閾値よりも大きければ、上段と下段のラインセンサは異なる距離の被写体を捉えており、S705へステップを移す。
【0042】
S705において、上段と下段の像ずれ量の内、距離が近い方(つまり、像ずれ量の大きいほう)を選択し、被写体距離を算出する。
【0043】
S706において、S703で上段、下段の2つの信頼性が高くないとみなされた場合、どちらか一方の信頼性が高くないかを判断する。一方の信頼性が高い場合には、S707へステップを移し、2つとも信頼性が低い場合にはS708へステップを移す。
【0044】
S707において、信頼性の高い方の像ずれ量を選択し、被写体距離を算出する。
S708において、焦点検出結果はNGとする。
【0045】
一方の像ずれ量の選択については、信頼性や像ずれ量の大きさの変わりに、過去の情報や、カメラの他機能の情報を利用しても良い。
【0046】
以上により、ラインセンサ毎に像ずれ量を算出し、2つの像ずれ量の信頼性が高く、ほぼ同一の距離にある場合はS709からS712の判別手段によって合成法あるいは平均法を適用して被写体距離を算出する。
【0047】
S709において、上段と下段の像ずれ量と比較するための物理ずれ量の、所定範囲rを決定する。
【0048】
S710において、上段の像信号と下段の像信号で相関演算を行い、上下の像ずれ量を算出する。S711において、算出した上下の像ずれ量の信頼性が所定の閾値より大きいか否かを判断する。所定の閾値より大きい場合は、上下の像ずれ量は信頼性が高いとしてS712にステップを移す。所定の閾値以下の場合は、信頼性が低く、上下の像信号で相関がとれないため、S715へステップを移す。
【0049】
S712において、物理ずれ量を中心値とし、前述の決定された所定範囲rの中に、上下の像ずれ量が収まるか否かを判断する。上下の像ずれ量の像ずれ量が、範囲内である場合には、S713へステップを移す。一方、上下の像ずれ量の像ずれ量が、範囲外である場合には、S715へステップを移す。
【0050】
なお、ラインセンサで取得する像には光学系の影響や光電変換中のノイズなどを含んでおり、上下の像ずれ量が物理ずれ量に完全に一致するか否か、ではなく、物理ずれ量を中心とした、ある程度の範囲内に収まっているか範囲外か、の判別を行う。特に、撮像光学系の外での位相差AF制御は像信号の取得にあたり、手ブレ補正などの機能を受けられず、手ブレの影響を直に受けてしまうため、撮像条件に対する評価を行って範囲を決定する。
【0051】
上述のS711とS712の判別によって合成法が有効であると判別されると、S713において、上段・下段の像信号を交互に取り出して、1つの像信号とする合成を行う。そして、S714において、合成した像信号に対して相関演算を行う。図8は千鳥配列で構成された検出部の拡大概略図であり、ここで像信号の合成とは、画素1、画素2、画素3、画素4‥と画素値を交互に取り出すことである。また、このように交互に取り出したものに対して、例えば隣接する画素値と平均するなどの所望のフィルタ処理を施しても良い。
【0052】
この合成法を用いることによって、相関演算を行う際の画素数が倍になる。また、上段と下段で0.5画素ずらしていることで、画素のピッチ幅を半分にしていることと等価であり、より詳細に被写体を捉える効果がある。以上が、合成法の説明である。
【0053】
上述のS711とS712の判別によって合成法が有効でないと判別されると、S715において、S701とS702で算出したラインセンサ毎の像ずれ量を平均する。
【0054】
上段と下段で0.5画素ずれている千鳥配列において、2つの像ずれ量を平均することで、ラインセンサ上の被写体像のかかり具合によって発生する焦点検出結果のばらつきを抑える効果がある。以上が、平均法の説明である。
【0055】
前述の合成法と平均法を使い分けるための判別手法について説明する。合成法を行うためには、上段と下段のラインセンサが同一の被写体を捉え、かつ上段と下段の像信号が略同じである必要がある。つまり、上段と下段のラインセンサがともに、同一の被写体をラインセンサに対してほぼ直角に捉えている必要がある。
【0056】
そのため、この条件を満たすか否かを判別した上で、合成法を行う。この判別は、上段と下段のラインセンサを対として相関演算を行い、上段の像信号と下段の像信号の像ずれ量が、上段と下段のラインセンサを配置する際の位相ずらし量(以下、物理ずれ量とする)に相当するか否か、によって行う。ここで、本実施例ではラインセンサ206、207を一対、あるいはラインセンサ208、209を一対として相関演算を行う。上段と下段の像ずれ量が物理ずれ量に相当する場合には、合成法を行う。
【0057】
<物理ずれ量の、所定範囲rの決定方法>
以下、図9を用いて範囲rの決定の詳細について説明する。
【0058】
S901において、物理ずれ量を取得する。位相差AFユニットの検出部の2列のラインセンサは0.5画素ずらして配置しているため、物理ずれ量は0.5画素である。この値は検出部の設計の際に決定するパラメータであり、検出部の構成によって一意に決定される。
S902において、範囲rを基準値である0.2画素とする。
【0059】
S903において、上段、下段ともにラインセンサの蓄積時間が所定の閾値以下であるかを判断する。ラインセンサの蓄積時間が所定の閾値以下である場合、ラインセンサは明るい被写体を捉えており、ブレが小さいため、S904へステップを移す。一方、上段、下段ともにラインセンサの蓄積時間が所定の閾値より大きい場合には、暗い被写体を捉えており、ブレが大きいため、S905へステップを移す。
【0060】
S904において、範囲rから0.05画素を引く。
S905において、範囲rから0.05画素を加える。
S906ではカメラの動きが大きいか否かのぶれ情報を判断する。このカメラの動きの取得には、カメラに付属したジャイロセンサ161の情報を取得し、カメラの角加速度を算出する。この角加速度が小さい場合には、ブレが小さいため、S907へステップを移す。角加速度が大きい場合には、ブレが大きいため、S908へステップを移す。
【0061】
S907において、範囲rから0.05画素を引く。
S908において、範囲rから0.05画素を加える。
【0062】
撮像条件の良い場合には、範囲を狭くすることで、合成法を行うか否かをより厳密に判別する。一方、撮像条件の悪い場合には、範囲を広くすることで、上下の像ずれ量のばらつきを考慮して判別する。
【0063】
この範囲決定では、ラインセンサの蓄積時間の代わりに、像信号のコントラストを用いても良い。また、ジャイロセンサによる角加速度の代わりに、画像ベクトルを用いても良く、カメラの動きを知りえるものであれば良い。また、範囲決定にあたっては、像のブレを評価できるものであれば、そのいずれか、あるいは複数の組み合わせを用いれば良い。ここで、ラインセンサの蓄積時間が短く、カメラの角加速度も小さいとすると、範囲rは0.1画素であるので、上述のS712では、上下の像ずれ量が0.4画素から0.6画素の範囲内に収まるか否かによって、像信号の合成を行うか否かを判別することとなる。上下の像ずれ量が0.4画素である場合には、範囲内であるので、S713へステップを移し、上下の像ずれ量の像ずれ量が0.8画素である場合には、範囲外であるので、S715へステップを移すこととなる。
【0064】
<まとめ>
本実施例では、上下の像ずれ量によって像信号の合成を行うか否か判別する。像ずれ量を算出するための相関演算では、補間のステップを有しており、1画素よりも細かく像ずれ量を算出する。そのため、上下の像ずれ量と物理ずれ量とを比較し、合成法と平均法の使い分けを行う。また、撮影条件を考慮して像ずれ量の範囲を決定し、上下の像ずれ量と物理ずれ量を比較する。
【0065】
以上の実施例によれば、斜め線のような、像信号の合成が不適切な被写体に対して、合成をしない判別を正確にすることができる。また、暗い被写体など像にブレを含んでいる場合でも、合成を行うか否かの判別を正確にすることができる。合成に適した被写体に対しては、合成を行う判定を正確にすることができる。以上のような、合成に適した被写体と合成に不適切な被写体を正確に判別して、適切な演算を行うことによって、焦点検出の精度を向上させることができ、従来よりもすばやい合焦動作が可能となる。
【0066】
(実施例2)
図10は本実施例での検出部203、205の拡大概略図である。以下、検出部203、205のラインセンサを3列とした場合の実施例について説明する。
【0067】
<実施例2の相関演算の動作フロー>
図10の検出部は上段のラインセンサ1001、中段のラインセンサ1002、下段のラインセンサ1003の3列によって構成される。そして、上段のラインセンサ1001と中段のラインセンサ1002は相対的に互いに位置が1画素未満である1/3画素ずれるように並行に隣接して配置されている。中段のラインセンサ1002と下段のラインセンサ1003も相対的に互いに位置が1/3画素ずれるように並行に隣接して配置されている。つまり、上段のラインセンサ1001と下段のラインセンサ1003は2/3画素ずらして配置されている。
【0068】
この3列のラインセンサから構成される検出部203、205に対して、図11の動作フローを適用する。S1101において、ラインセンサ毎に像ずれ量を算出する。ラインセンサは3列で構成されるため、3つの像ずれ量が求まる。S1102において、3つの像ずれ量の信頼性に対して、所定の閾値よりも大きいものがいくつあるかを判断する。3つとも信頼性が高い場合にはS1108へステップを移す。2つの信頼性が高い場合はS1103へステップを移す。1つの信頼性が高い場合にはS1106へステップを移す。信頼性が高いものがない場合にはS1107へステップを移す。
【0069】
S1103において、信頼性の高い2つの像ずれ量の差が、所定の閾値以下であるか否かを判断する。所定の閾値以下の場合は、2つの像ずれ量が同一の距離の被写体を捉えており、S1104へステップを移す。所定の閾値よりも大きい場合は、異なる距離の被写体を捉えており、S1105へステップを移す。
【0070】
S1104において、2つの像ずれ量を平均し、これを全体の像ずれ量として被写体距離を算出する。
【0071】
S1105において、距離の近い方、つまり像ずれ量の大きい方を選択し、これを全体の象ずれ量として被写体距離を算出する。
【0072】
S1106において、信頼性の高い像ずれ量1つを選択し、これを全体の像ずれ量として被写体距離を算出する。
S1107において、焦点検出結果はNGとする。
【0073】
S1108において、3つの像ずれ量の内、真ん中の値の像ずれ量を基準とし、残り2つの像ずれ量との差が所定の閾値以下であるか否かを判断する。残り2つの像ずれ量との差が所定の閾値以下の場合、3つともほぼ同じ像ずれ量であり、S1111へステップを移す。1つの像ずれ量との差は閾値以下であるものの、もう一方の像ずれ量との差が閾値よりも大きい場合、2つのラインセンサは同一距離の被写体を捉えているが、1つは異なる距離の被写体を捉えており、S1109へステップを移す。残り2つの像ずれ量との差がともに所定の閾値よりも大きい場合、3つのラインセンサは異なる距離の被写体を捉えており、S1110へステップを移す。
【0074】
S1109において、同一の距離を捉えている2つのラインセンサの像ずれ量を平均し、これを全体の像ずれ量として被写体距離を算出する。
【0075】
S1110において、3つの像ずれ量の内、距離が最も近い1つを選択し、これを全体の像ずれ量として被写体距離を算出する。
【0076】
S1111において、3つのラインセンサの蓄積時間を評価し、範囲を決定する。範囲の決定方法は実施例1のものと同様に行う。
【0077】
S1112において、上段のラインセンサの像信号と中段のラインセンサの像信号に対して、相関演算を行い、上段と中段の像ずれ量を算出する。
【0078】
S1113において、信頼性の評価と、上段と中段の像ずれ量が、物理ずれ量(本実施例では1/3画素)からS1111で決定した範囲に収まるか否かを判断する。範囲に収まる場合は、上段と中段で、同一の被写体をラインセンサに対してほぼ直角に捉えており、S1114へステップを移す。範囲に収まらない場合は、S1118へステップを移す。
【0079】
S1114において、中段のラインセンサの像信号と下段のラインセンサの像信号に対して、相関演算を行い、中段と下段の像ずれ量を算出する。
【0080】
S1115において、信頼性の評価と、中段と下段の像ずれ量が、物理ずれ量(1/3画素)からS1111で決定した範囲に収まるか否かを判断する。範囲に収まる場合は、上段と中段で、同一の被写体をラインセンサに対してほぼ直角に捉えており、S1116へステップを移す。範囲に収まらない場合は、S1118へステップを移す。なお、S1114において、中段と下段の像ずれ量を算出する代わりに、上段と下段の像ずれ量を算出しても良い。その場合は、物理ずれ量は2/3画素として上段と下段の像ずれ量との比較を行う。
【0081】
S1116において、上段、中段、下段の像信号の合成を行う。像信号の合成は図10の画素番号において、画素1、画素2、画素3、画素4、画素5‥の順に取り出す。
【0082】
S1117において、合成した像信号に対して相関演算を行い、1つの像ずれ量を算出する。これを全体の像ずれ量として被写体距離を算出する。
【0083】
S1118において、3つの像ずれ量を平均し、これを全体の像ずれ量として被写体距離を算出する。
【0084】
<まとめ>
以上の実施例によれば、斜め線のような、像信号の合成が不適切な被写体に対して、合成をしない判別を正確にすることができる。また、暗い被写体など像にブレを含んでいる場合でも、合成を行うか否かの判別を正確にすることができる。合成に適した被写体に対しては、合成を行う判定を正確にすることができる。以上のような、合成に適した被写体と合成に不適切な被写体を正確に判別して、適切な演算を行うことによって、焦点検出の精度を向上させることができ、従来よりもすばやい合焦動作が可能となる。
【0085】
(実施例3)
<予め上段と下段のずれ量を検出しておく構成>
物理ずれ量を調整によって算出し、算出した物理ずれ量を用いた判別手段について説明する。検出部203、205のラインセンサの配置を図8のものとする。上段のラインセンサと下段のラインセンサは相対的に互いに位置が0.5画素ずれるように並行に隣接して配置されているが、実際には0.5画素からある程度のばらつきを有している。
【0086】
そのため、調整段階において、上段のラインセンサと下段のラインセンサに、同一の、かつラインセンサに対して被写体像が直角にかかるチャート(例えば、バーチャートなど)の像を取得させ、予め上段と下段の像ずれ量を算出しておく。このように、被写体が理想的な状況下で算出した上段と下段の像ずれ量は物理ずれ量と等価であるとする。図9のS901のステップにおいて、物理ずれ量を取得する際には、この予め算出した上段と下段の像ずれ量を呼び出す。
【0087】
<まとめ>
以上により、判別手段において、ラインセンサの配置のばらつきの影響を受けない効果がある。
【0088】
(実施例4)
<2像の一致度から上段と下段の合成の可否を判断>
上述の実施例1では、合成を行うか否かの判別を、上段と下段の像ずれ量と物理ずれ量の比較により、行ったが、実施例4では、上段と下段の像信号から像の一致度を求めることにより行う。つまり、実施例1における図7のS712の「物理ずれ量を中心値とし、前述の決定された所定範囲rの中に、上下の像ずれ量が収まるか否かを判断する」という判断に換えて、「2像の一致度一致度が所定値よりも高いか否かを判断する」という判断をする。
【0089】
ここで、2像の一致度の算出方法としては、例えば、像信号間の差分の絶対値和を算出する。この値は2像の一致度を表現し、2像の一致度が悪いと大きな値となり、2像の一致度が良いと小さな値となる。
【0090】
上述の上段と下段の2像の一致度が所定値以上であると判断されると、合成法が有効であると判別できるので、図7のS713と同様に、上段・下段の像信号を交互に取り出して、1つの像信号とする合成を行う。そして、S714と同様に、合成した像信号に対して相関演算を行う。
【0091】
一方、上述の上段と下段の2像の一致度が所定値よりも低いと判断されると、合成法が有効でないと判別できるので、図7のS715と同様に、算出したラインセンサ毎の像ずれ量を平均する。
【0092】
<まとめ>
以上の実施例によれば、斜め線のような、像信号の合成が不適切な被写体に対して、合成をしない判別を正確にすることができる。また、暗い被写体など像にブレを含んでいる場合でも、合成を行うか否かの判別を正確にすることができる。合成に適した被写体に対しては、合成を行う判定を正確にすることができる。以上のような、合成に適した被写体と合成に不適切な被写体を正確に判別して、適切な演算を行うことによって、焦点検出の精度を向上させることができ、従来よりもすばやい合焦動作が可能となる。
【符号の説明】
【0093】
130 位相差AFユニット
138 瞳分割光学系
139 検出部
203 第1の検出部
205 第2の検出部
206 ラインセンサ
207 ラインセンサ
208 ラインセンサ
209 ラインセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を備え、被写体光を受光して光電変換して像信号を出力する第1のラインセンサ及び第2のラインセンサと、
前記第1のラインセンサと前記第2のラインセンサにそれぞれ隣接し、前記第1のラインセンサと前記第2のラインセンサの複数の画素とは1画素未満のずれをもって配置された複数の画素を備え、被写体光を受光して光電変換して像信号を出力する第3のラインセンサ及び第4のラインセンサと、
前記第1乃至第4のラインセンサからの像信号に基づいて像ずれ量を検出する焦点検出手段とを有し、
前記焦点検出手段は、前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサ、又は前記第2のラインセンサと前記第4のラインセンサの少なくともいずれか一方が、同一の被写体光を受光していると判断される場合には、前記第1のラインセンサの像信号と前記第3のラインセンサの像信号とを合成し前記第2のラインセンサの像信号と前記第4のラインセンサの像信号とを合成した後に像ずれ量を検出することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
前記第1のラインセンサの像信号と前記第3のラインセンサの像信号との合成は、前記第1のラインセンサからの信号と前記第3のラインセンサからの信号を交互に取り出すことであり、前記第2のラインセンサの像信号と前記第4のラインセンサの像信号との合成は、前記第2のラインセンサからの信号と前記第4のラインセンサからの信号を交互に取り出すことであることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサ、又は前記第2のラインセンサと前記第4のラインセンサの少なくともいずれか一方が、同一の被写体光を受光していないと判断される場合には、前記第1のラインセンサ及び第2のラインセンサからの像信号に基づく像ずれ量と、前記第3のラインセンサ及び第4のラインセンサからの像信号に基づく像ずれ量をそれぞれ検出した後に合成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の焦点検出装置。
【請求項4】
前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサ、又は前記第2のラインセンサと前記第4のラインセンサの少なくともいずれか一方が、同一の被写体光を受光していると判断される場合とは、前記第1のラインセンサからの像信号と前記第3のラインセンサからの像信号に基づいて検出された像ずれ量と、前記第2のラインセンサからの像信号と前記第4のラインセンサからの像信号に基づいて検出された像ずれ量の少なくとも一方が所定の範囲内の場合であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の焦点検出装置。
【請求項5】
前記所定の範囲は、前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサとの物理ずれ量及び前記第2のラインセンサと前記第2のラインセンサとの物理ずれ量の少なくとも一方に基づく範囲であることを特徴とする請求項4に記載の焦点検出装置。
【請求項6】
前記所定の範囲は、像信号を取得する際の蓄積時間、コントラスト、ぶれ情報の少なくともいずれか一つに応じて決定されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の焦点検出装置。
【請求項7】
前記焦点検出手段は、前記第1のラインセンサからの像信号と前記第3のラインセンサからの像信号に基づいて検出された像ずれ量と、前記第2のラインセンサからの像信号と前記第4のラインセンサからの像信号に基づいて検出された像ずれ量の少なくとも一方が所定の範囲外の場合には、前記第1のラインセンサ及び第2のラインセンサからの像信号に基づく像ずれ量と、前記第3のラインセンサ及び第4のラインセンサからの像信号に基づく像ずれ量をそれぞれ検出した後に像ずれ量を平均することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項8】
前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサ、又は前記第2のラインセンサと前記第4のラインセンサの少なくともいずれか一方が、同一の被写体光を受光していると判断される場合とは、前記第1のラインセンサからの像信号と前記第3のラインセンサからの像信号の像の一致度と、前記第2のラインセンサからの像信号と前記第4のラインセンサからの像信号の像の一致度の少なくとも一方が所定の値以上の場合であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の焦点検出装置。
【請求項9】
複数の画素を備え、被写体光を受光して光電変換し像信号を出力する第1のラインセンサ及び第2のラインセンサと、前記第1のラインセンサと第2のラインセンサにそれぞれ隣接し、前記第1のラインセンサと前記第2のラインセンサの複数の画素とは1画素未満のずれをもって配置された複数の画素を備え、被写体光を受光して光電変換し像信号を出力する第3のラインセンサ及び第4のラインセンサとを備えた焦点検出装置の制御方法であって、
前記第1乃至第4のラインセンサからの像信号に基づいて像ずれ量を検出する焦点検出ステップを有し、
前記焦点検出ステップでは、前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサ、又は、前記第2のラインセンサと前記第4のラインセンサの少なくともいずれか一方が、同一の被写体光を受光していると判断される場合には、前記第1のラインセンサの像信号と前記第3のラインセンサの像信号とを合成し、前記第2のラインセンサの像信号と前記第4のラインセンサの像信号とを合成した後に像ずれ量を検出することを特徴とする制御方法。
【請求項1】
複数の画素を備え、被写体光を受光して光電変換して像信号を出力する第1のラインセンサ及び第2のラインセンサと、
前記第1のラインセンサと前記第2のラインセンサにそれぞれ隣接し、前記第1のラインセンサと前記第2のラインセンサの複数の画素とは1画素未満のずれをもって配置された複数の画素を備え、被写体光を受光して光電変換して像信号を出力する第3のラインセンサ及び第4のラインセンサと、
前記第1乃至第4のラインセンサからの像信号に基づいて像ずれ量を検出する焦点検出手段とを有し、
前記焦点検出手段は、前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサ、又は前記第2のラインセンサと前記第4のラインセンサの少なくともいずれか一方が、同一の被写体光を受光していると判断される場合には、前記第1のラインセンサの像信号と前記第3のラインセンサの像信号とを合成し前記第2のラインセンサの像信号と前記第4のラインセンサの像信号とを合成した後に像ずれ量を検出することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
前記第1のラインセンサの像信号と前記第3のラインセンサの像信号との合成は、前記第1のラインセンサからの信号と前記第3のラインセンサからの信号を交互に取り出すことであり、前記第2のラインセンサの像信号と前記第4のラインセンサの像信号との合成は、前記第2のラインセンサからの信号と前記第4のラインセンサからの信号を交互に取り出すことであることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサ、又は前記第2のラインセンサと前記第4のラインセンサの少なくともいずれか一方が、同一の被写体光を受光していないと判断される場合には、前記第1のラインセンサ及び第2のラインセンサからの像信号に基づく像ずれ量と、前記第3のラインセンサ及び第4のラインセンサからの像信号に基づく像ずれ量をそれぞれ検出した後に合成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の焦点検出装置。
【請求項4】
前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサ、又は前記第2のラインセンサと前記第4のラインセンサの少なくともいずれか一方が、同一の被写体光を受光していると判断される場合とは、前記第1のラインセンサからの像信号と前記第3のラインセンサからの像信号に基づいて検出された像ずれ量と、前記第2のラインセンサからの像信号と前記第4のラインセンサからの像信号に基づいて検出された像ずれ量の少なくとも一方が所定の範囲内の場合であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の焦点検出装置。
【請求項5】
前記所定の範囲は、前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサとの物理ずれ量及び前記第2のラインセンサと前記第2のラインセンサとの物理ずれ量の少なくとも一方に基づく範囲であることを特徴とする請求項4に記載の焦点検出装置。
【請求項6】
前記所定の範囲は、像信号を取得する際の蓄積時間、コントラスト、ぶれ情報の少なくともいずれか一つに応じて決定されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の焦点検出装置。
【請求項7】
前記焦点検出手段は、前記第1のラインセンサからの像信号と前記第3のラインセンサからの像信号に基づいて検出された像ずれ量と、前記第2のラインセンサからの像信号と前記第4のラインセンサからの像信号に基づいて検出された像ずれ量の少なくとも一方が所定の範囲外の場合には、前記第1のラインセンサ及び第2のラインセンサからの像信号に基づく像ずれ量と、前記第3のラインセンサ及び第4のラインセンサからの像信号に基づく像ずれ量をそれぞれ検出した後に像ずれ量を平均することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項8】
前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサ、又は前記第2のラインセンサと前記第4のラインセンサの少なくともいずれか一方が、同一の被写体光を受光していると判断される場合とは、前記第1のラインセンサからの像信号と前記第3のラインセンサからの像信号の像の一致度と、前記第2のラインセンサからの像信号と前記第4のラインセンサからの像信号の像の一致度の少なくとも一方が所定の値以上の場合であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の焦点検出装置。
【請求項9】
複数の画素を備え、被写体光を受光して光電変換し像信号を出力する第1のラインセンサ及び第2のラインセンサと、前記第1のラインセンサと第2のラインセンサにそれぞれ隣接し、前記第1のラインセンサと前記第2のラインセンサの複数の画素とは1画素未満のずれをもって配置された複数の画素を備え、被写体光を受光して光電変換し像信号を出力する第3のラインセンサ及び第4のラインセンサとを備えた焦点検出装置の制御方法であって、
前記第1乃至第4のラインセンサからの像信号に基づいて像ずれ量を検出する焦点検出ステップを有し、
前記焦点検出ステップでは、前記第1のラインセンサと前記第3のラインセンサ、又は、前記第2のラインセンサと前記第4のラインセンサの少なくともいずれか一方が、同一の被写体光を受光していると判断される場合には、前記第1のラインセンサの像信号と前記第3のラインセンサの像信号とを合成し、前記第2のラインセンサの像信号と前記第4のラインセンサの像信号とを合成した後に像ずれ量を検出することを特徴とする制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−242652(P2011−242652A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115489(P2010−115489)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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