説明

焦点検出装置および撮像装置

【課題】背景に明るい被写体がある場合でも、被写体に対する焦点状態を適切に検出することができる焦点検出装置を提供する。
【解決手段】複数の焦点検出位置に対応して、受光信号を出力する受光手段161と、対象に対して光束を照射する照射手段140と、前記照射手段140により照射していない状態で複数の前記焦点検出位置の第1測光値と、前記照射手段140による光束を照射した状態で前記複数の焦点検出位置の第2測光値とを求める測光手段162と、前記複数の焦点検出位置のうち、前記第1測光値と前記第2測光値のいずれにおいても所定値以上の測光値が得られる第1の焦点検出位置を除外した第2の焦点検出位置に対応する前記受光信号に基づく蓄積条件によって前記受光手段を蓄積制御する蓄積制御手段162と、前記第2の焦点検出位置に対応する前記受光信号に基づいて前記光学系の焦点状態を検出する焦点検出手段163とを、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点検出装置および撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、全体的に低輝度の被写体に対して照明光を照射して焦点検出する技術が知られている。
(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−129082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、背景に光源等の明るい被写体が存在する場合、補助光を照射しても、主要被写体の明るさが明るい被写体よりも暗い場合は、当該明るい被写体に対して焦点を検出してしまい、適切な焦点検出が行われない場合があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、背景に明るい被写体がある場合でも、適切に焦点検出することができる焦点検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明に係る焦点検出装置は、光学系による像面内の複数位置に対して設定された複数の焦点検出位置に対応する光束を受光して電荷を蓄積し、受光信号を出力する受光手段(161d)と、前記複数の焦点検出位置に対応する対象に対して光束を照射する照射手段(140)と、前記照射手段による光束を照射していない状態で前記複数の焦点検出位置のそれぞれに対応して得られる光束を測光した第1測光値と、前記照射手段による光束を照射した状態で前記複数の焦点検出位置のそれぞれに対応して得られる光束を測光した第2測光値とを求める測光手段(162)と、前記複数の焦点検出位置のうち、前記第1測光値と前記第2測光値のいずれにおいても所定値以上の測光値が得られる第1の焦点検出位置を除外した第2の焦点検出位置に対応する前記受光信号に基づく蓄積条件によって前記受光手段を蓄積制御する蓄積制御手段(162)と、前記第2の焦点検出位置に対応する前記受光信号に基づいて前記光学系の焦点状態を検出する焦点検出手段(163)とを、備えることを特徴とする。
【0008】
[2]上記焦点検出装置に係る発明において、前記蓄積制御手段(162)は、前記焦点状態と前記第2測光値とに基づいて選択された焦点検出位置に対応する前記受光信号に基づいて前記蓄積条件を決定するように構成することができる。
【0009】
[3]上記焦点検出装置に係る発明において、前記蓄積制御手段(162)は、前記照射手段(140)による光束を照射していない状態で前記焦点検出手段により検出した前記焦点状態が所定の撮影距離に対応するものである焦点検出位置を除外した焦点検出位置に対応する前記受光信号に基づく前記蓄積条件によって前記受光手段(161d)を蓄積制御するように構成することができる。
【0010】
[4]上記焦点検出装置に係る発明において、前記蓄積制御手段(162)は、前記照射手段の照射能力に応じて前記所定の撮影距離を決定するように構成することができる。
【0011】
[5]上記焦点検出装置に係る発明において、前記焦点検出手段(163)は、前記第2の焦点検出位置に属する複数の焦点検出位置の少なくとも一部を焦点検出位置群とし、前記焦点検出位置群に対して検出される複数の前記焦点状態のいずれかを選択する選択手段(163)を備えるように構成することができる。
【0012】
[6]本発明に係る撮像装置は、上記焦点検出装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、背景に明るい被写体がある場合でも、主要な被写体に対する焦点状態を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本実施形態に係るカメラ1を示すブロック図である。
【図2】図2は、撮像光学系の撮影画面内に設定された複数の焦点検出エリアの配置例を示す図である。
【図3】図3は、撮像光学系の撮影画面内に設定された複数の焦点検出エリアと焦点検出モジュール161のラインセンサ161dとの対応関係を説明するための図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、第1実施形態に係る照明時制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は、撮像光学系の撮影画面内で撮像された被写体の一場面例を示す図である。
【図7】図7は、図6に示す撮像光学系の撮影画面内で撮像された被写体と、撮像光学系の撮影画面内に設定された複数の焦点検出エリアとの対応関係の一例を示す図である。
【図8】図8は、第2実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第2実施形態に係るセンサ領域特定制御処理及び電荷蓄積制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下においては、本発明を一眼レフデジタルカメラに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。ただし本発明は、銀塩フィルムカメラなどのその他の撮像装置にも適用することができる。
【0016】
≪第1実施形態≫
図1は、本実施形態に係る一眼レフデジタルカメラ1を示すブロック図であり、本発明の焦点検出装置および撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の一眼レフデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とを備え、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とは着脱可能に結合される。
【0018】
レンズ鏡筒200には、レンズ211,212,213、および絞り220を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0019】
フォーカスレンズ212は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ260によってその位置が検出されつつレンズ駆動モータ230によってその位置が調節される。
【0020】
このフォーカスレンズ212の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒200に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ212を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、レンズ駆動モータ230によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212が光軸L1に沿って直進移動することになる。なお、レンズ鏡筒200にはフォーカスレンズ212以外のレンズ211,213が設けられているが、ここではフォーカスレンズ212を例に挙げて本実施形態を説明する。
【0021】
上述したようにレンズ鏡筒200に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのレンズ駆動モータ230がレンズ鏡筒200に設けられている。レンズ駆動モータ230と回転筒は、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、レンズ駆動モータ230の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、レンズ駆動モータ230の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ212は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
【0022】
フォーカスレンズ212の位置はエンコーダ260によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ212の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒200に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば、その位置を求めることができる。
【0023】
本実施形態のエンコーダ260には、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどが用いられる。
【0024】
絞り220は、上記撮影光学系を通過して、カメラボディ100に備えられた撮像素子110に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り220による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部170からレンズ制御部250を介して絞り駆動部240へ送信されることにより行われる。また、開口径の調節は、カメラボディ100に設けられた操作部150を介したマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部170からレンズ制御部250を介して絞り駆動部240へ送信されることによっても行われる。なお、絞り220の開口径は、レンズ制御部250で認識される。
【0025】
一方、カメラボディ100は、被写体からの光束を撮像素子110、ファインダ135、レンズ136、測光センサ137および焦点検出モジュール161へ導くためのミラー系120を備える。このミラー系120は、回転軸123を中心にして被写体の観察位置と撮像位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー121と、このクイックリターンミラー121に軸支されてクイックリターンミラー121の回動に合わせて回転するサブミラー122とを備える。図1においては、ミラー系120が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮像位置にある状態を二点鎖線で示す。
【0026】
ミラー系120は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入され、また被写体の撮像位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
【0027】
クイックリターンミラー121はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー121で反射してファインダ135および測光センサ137に導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー122へ導く。これに対して、サブミラー122は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー121を透過した光束(光軸L4)を焦点検出モジュール161へ導く。
【0028】
したがって、ミラー系120が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)はファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール161へ導かれ、撮影者により被写体が観察されるとともに、露出演算やフォーカスレンズ212の焦点状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタンを全押しするとミラー系120が撮影位置に回動し、被写体からの光束(光軸L1)は全て撮像素子110へ導かれ、撮影した画像データを図示しないメモリに保存する。
【0029】
クイックリターンミラー121で反射された被写体からの光束(光軸L2)は、撮像素子110と光学的に等価な面に配置された焦点板131に結像し、ペンタプリズム133と接眼レンズ134とを介して観察可能になっている。このとき、透過型液晶表示器132は、焦点板131上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、ファインダ135を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
【0030】
測光センサ137は、二次元カラーCCDイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮影画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた信号を出力する。測光センサ137で検出された信号はカメラ制御部170へ出力され、自動露出制御に用いられる。
【0031】
AF補助光源140は、カメラ制御部170からの制御信号によって制御される。AF補助光源140により照射される照明光は、例えば、全体に均一の強度を有する照明光であってもよいし、所定のコントラストパターンを有する照明光であってもよく、その種類は特に限定されない。
【0032】
操作部150は、例えば、シャッターレリーズボタン、およびカメラ1の各種動作モードを設定するためのモード設定スイッチなどを備えており、操作部150により、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換や、オートフォーカスモードのうち焦点調節に用いるための焦点検出エリアを自動で選択する自動選択AFモードを選べるようになっている。また、シャッターレリーズボタンのスイッチは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
【0033】
焦点検出モジュール161は、位相差検出方式による焦点検出を実行するための焦点検出素子であり、サブミラー122で反射した光束(光軸L4)の光路中、撮像素子110の撮像面と光学的に等価な位置に固定されている。
【0034】
ここで、撮影光学系の撮影画面50内に設定された複数の焦点検出エリアの配置例を図2に示す。図2に示すように、撮影光学系の撮影画面50内には複数の焦点検出エリアAFPが設定されており、本実施形態において、焦点検出モジュール161には、各焦点検出エリアAFPに対応して、後述するように、一対のラインセンサ161dが複数備えられており、これにより、各焦点検出エリアAFPにおける像信号を取得できるようになっている。本実施形態では、図2にAFP1〜51で示すように、51点の焦点検出エリアAFPが設けられ、それぞれの位置が撮像素子110の撮像範囲の所定位置に対応している。なお、焦点検出エリアAFPの個数および配置は、図2に示す態様に限定されるものではない。
【0035】
また、撮影光学系の撮影画面50内に設定された複数の焦点検出エリアと、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dとの対応関係を図3に示す。図3に示すように、本実施形態では、ラインセンサ161d〜161d11の合計11個のラインセンサを備え、ラインセンサ161dがAFP1〜5に対応して設けられており、ラインセンサ161dがAFP6〜10に対応して設けられており、同様に、ラインセンサ161d〜161d11がAFP11〜51にそれぞれ対応して設けられている。なお、各ラインセンサ161d〜161d11はそれぞれ一対(2個)のラインセンサから構成されているが、図3においては、各ラインセンサ161d〜161d11を構成する一対のラインセンサのうち一方のラインセンサのみを示している。さらに、図3に示すように、ラインセンサ161d10の各領域161d10a〜161d10cは、焦点検出エリアAFP46〜48に対応しており、ラインセンサ161d10の領域161d10aで光束を受光して得られた像信号はAFP47に対応する像信号として出力され、ラインセンサ161d10の領域161d10bで光束を受光して得られた像信号はAFP46に対応する像信号として出力され、ラインセンサ161d10の領域161d10cで光束を受光して得られた像信号はAFP48に対応する像信号として出力される。同様に、各一対のラインセンサ161d〜161d、161d11における各領域(不図示)も、焦点検出エリアAFP1〜45、49〜51にそれぞれ対応しており、各一対のラインセンサ161d〜161d11の各領域で受光した像信号が各焦点検出エリアAFP1〜45、49〜51に対応する像信号として出力される。
【0036】
図1に戻り、AF−CCD制御部162は、オートフォーカスモードにおいて、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dのゲインや蓄積時間などの蓄積条件を制御するものであり、焦点検出モジュール161に備えられた複数対のラインセンサ161dにて検出された像信号を各焦点検出エリアに対応させて読み出し、読み出した像信号をカメラ制御部170およびデフォーカス演算部163へ出力する。
【0037】
ここで、上述したように、焦点検出モジュール161の一対のラインセンサ161dは、それぞれ複数の焦点検出エリアAFPに対応するように設けられており、AF−CCD制御部162は、各一対のラインセンサ161dごとにゲインや蓄積時間などの蓄積条件を制御する。すなわち、同じ一対のラインセンサ161dに対応する複数の焦点検出エリアに対応する複数の像信号が、同じ蓄積条件で得られるようになっている。例えば、図3に示す例において、AFP46〜48は同じ一対のラインセンサ161d10に対応しているため、AF−CCD制御部162は、一対のラインセンサ161d10の蓄積条件を制御することで、AFP46〜48に対応する像信号を同じ蓄積条件で得ることになる。また、AF−CCD制御部162は、後述するように、焦点検出用の照明光を照射している状態における像信号の輝度(第1の輝度値)と、焦点検出用の照明光を照射していない状態における像信号の輝度(第2の輝度値)とを求め、各焦点検出エリアから高輝度の焦点検出エリアを特定し、当該高輝度の焦点検出エリアを除外した焦点検出エリアに対応する輝度に基づいて、ラインセンサ161dのゲインや蓄積時間などの蓄積条件を制御する。
【0038】
デフォーカス演算部163は、AF−CCD制御部162から送られてきた焦点検出エリアに対応した一対の像信号のずれ量をデフォーカス量に変換し、これをレンズ駆動量演算部164へ出力する。
【0039】
レンズ駆動量演算部164は、デフォーカス演算部163から送られてきたデフォーカス量に基づいて、当該デフォーカス量に応じたレンズ駆動量Δdを演算し、これをレンズ駆動制御部165へ出力する。
【0040】
レンズ駆動制御部165は、レンズ駆動量演算部164から送られてきたレンズ駆動量Δdに基づいて、レンズ駆動モータ230を駆動し、フォーカスレンズ212の位置を調整する。
【0041】
撮像素子110は、カメラボディ100の、被写体からの光束の光軸L1上であって、レンズ211,212,213を含む撮影光学系の規定の像面位置に設けられ、その前面にシャッター111が設けられている。この撮像素子110は、複数の光電変換素子が二次元に配置されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどのデバイスから構成することができる。撮像素子110で光電変換された画像信号は、カメラ制御部170で画像処理されたのち図示しないメモリに保存される。なお、撮影画像を格納するメモリは内蔵型メモリやカード型メモリなどで構成することができる。
【0042】
カメラ制御部170はマイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成され、撮像素子110から画像信号を読み出すとともに、必要に応じて所定の情報処理を施し、図示しないメモリに出力する。この他にも、カメラ制御部170は、撮影画像情報の補正、レンズ鏡筒200の焦点調節状態の検出、および絞り調節状態の検出など、カメラ1全体の制御を司る。
【0043】
次に、図4を参照して、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図4は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。なお、以下においては、オートフォーカスモードのうち、焦点調節に用いるための焦点検出エリアを自動で選択する自動選択AFモードが選択されている場合を例示して説明する。
【0044】
まず、ステップS101で、カメラ制御部170により、電源がオンであり、かつ、オートフォーカスモードのうち自動選択AFモードが選択されていることが確認された上で、ステップS102に進み、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dによる電荷の蓄電が行われ、AF−CCD制御部162による蓄積制御が行われる。ラインセンサ161dで蓄電された電荷量は、各焦点検出エリアの輝度に相当し、AF−CCD制御部162は、ラインセンサ161dからの信号情報を、撮像光学系の撮影画面50内に設定された各焦点検出エリアに対応して読み出すことで、各焦点検出エリアの輝度(第1の輝度値)を測定する。なお、AF−CCD制御部162は、各一対のラインセンサ161d〜161d11ごとに、蓄積条件を制御する。
【0045】
自動選択AFモードにおいて、シャッターレリーズボタンが半押しされる前の状態の時(ステップS103を参照)、焦点を合わせるためのエリアの位置が定まっていないため、AF−CCD制御部162は、各一対のラインセンサ161d〜161d11のそれぞれに対応する全ての焦点検出エリアを、焦点を合わせるためのセンサの領域(AFセンサ領域)として特定し、各ラインセンサ161d〜161d11に対応するAFセンサ領域の像信号の輝度のうち、最も輝度の高い像信号の輝度に応じて、ラインセンサ161dのゲインや蓄積時間等の蓄積条件を制御する。
【0046】
例えば、図3に示すように、ラインセンサ161d10に対応する焦点検出エリアAFP47〜49のうち、焦点検出エリアAFP47の輝度が最も高い場合、AF−CCD制御部162は、焦点検出エリアAFP47の輝度に基づいて、ラインセンサ161d10の蓄積条件を制御する。
【0047】
ステップS103では、カメラ制御部170により、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたか否か判断される。第1スイッチSW1がオンであると判断された場合はステップS104に進み、第1スイッチSW1がオンではないと判断された場合はステップS101に戻り、第1スイッチSW1がオンされるまで、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dによる蓄電と、蓄積された信号情報の出力とが、繰り返し行われる。
【0048】
次に、ステップS104にて、AF補助光源140による照明光を照射する条件を満たすか否か判断される。AF補助光源140の照射条件は、例えば、各焦点検出エリアの輝度が所定値未満の場合にAF補助光源140を照射し、各焦点検出エリアの輝度が所定値以上の場合にAF補助光源140を照射しない、とする。AF−CCD制御部162は、各焦点検出エリアの輝度情報をカメラ制御部170に送信し、カメラ制御部170は、AF−CCD制御部162から読み出される輝度情報から、当該照明条件に基づいて、AF補助光源140を照射するか否かを判断する。
【0049】
なお、本例のステップS104では、AF−CCD制御部162の蓄積条件に基づいて、AF補助光源140を照射するか否かを判断するが、測光センサ137により検出される輝度に基づいて、AF補助光源140を照射するか否かを判断してもよい。またAF−CCD制御部162が、当該照明条件に基づいて、AF補助光源140を照射するか否かを判断してもよい。
【0050】
カメラ制御部170がAF補助光源140を照射しないと判断する場合、ステップS106に進み、カメラ制御部170がAF補助光源140を照射する判断する場合、ステップS105へ進む。
【0051】
ステップS105では、照明光を照射し、AF−CCD制御部162による蓄積制御が行われる(照明光時制御処理)。以下において、図5〜図7を参照して、ステップS105のAF−CCD制御部162による蓄積制御等の処理について説明する。図5は、本実施形態に係る照明光を照射する際、ラインセンサ161dの蓄積制御のフローチャートある。図6は撮像光学系の撮影画面50内で撮像された被写体の一場面例を示す図であり、図7は、図6に示す撮像光学系の撮影画面50内で撮像された被写体と撮像光学系の撮影画面50内に設定された複数の焦点検出エリアとの対応関係の一例を示す図である。なお、図6および図7においては、撮像光学系の撮影画面50内に、第1被写体(人物)と、背景としての第2被写体(外灯)が撮像された場面を例示している。
【0052】
ステップS104にてAF補助光源140を照射すると判断されると、まずAF−CCD制御部162は、ラインセンサ161d〜161d11毎に、対応する焦点検出エリアAFP1〜51の中で、それぞれ最も高輝度となる焦点検出エリアと2番目に輝度が高いエリアを特定し、それぞれの輝度を比較する(ステップS201)。例えば、図7に示すとおり、ラインセンサ161dに対応する焦点検出エリアAFP1〜5において、第1被写体があるため、焦点検出エリアAFP1の輝度が一番目に高く、焦点検出エリアAFP3の輝度が2番目に高いとする。また、ラインセンサ161dに対応する焦点検出エリアAFP26〜30において、第2被写体の光源が焦点検出エリアAFP27にあるため、焦点検出エリアAFP27の輝度が一番目に高く、焦点検出エリアAFP26の輝度が2番目に高いとする。
【0053】
図7に示す場合、AF−CCD制御部162は、焦点検出エリアAFP1〜5の中から、最も高輝度の領域として、焦点検出エリアAFP1を特定し、2番目に高い輝度の領域として、焦点検出エリアAFP3を特定し、焦点検出エリアAFP1の輝度値と焦点検出エリアAFP3の輝度値との差分をとる。また、AF−CCD制御部162は、焦点検出エリアAFP26〜30の中から、最も高輝度の領域として、焦点検出エリアAFP27を特定し、2番目に高い輝度の領域として、焦点検出エリアAFP26を特定し、焦点検出エリアAFP27の輝度値と焦点検出エリアAFP26の輝度値との差分をとる。同様に、AF−CCD制御部162は、他のラインセンサ161d〜161d11毎に、最大輝度値の焦点検出エリア及び2番目の輝度値の焦点検出エリアを特定し、当該輝度値の差分をとる。
【0054】
次に、ステップS202にてAF−CCD制御部162は、ラインセンサ161d〜161d11毎の輝度値の差分と所定値とを比較し、輝度値の差分が当該所定値以上の場合、最大輝度値の焦点検出エリアをAFセンサ領域から除外し、残りの焦点検出エリアをAFセンサ領域とする。一方、AF−CCD制御部162は、輝度値の差分が当該所定値未満の場合、最大輝度値の焦点検出エリアをAFセンサ領域から除外せず、全ての焦点検出エリアをAFセンサ領域とする。
【0055】
例えば、図7に示すように、ラインセンサ161dに対応する焦点検出エリアAFP1〜5において、最大輝度値の焦点検出エリアAFP1及び2番目の輝度値の焦点検出エリアAFP3は、共に、第1被写体を撮像する領域であるため、輝度に差がないため、焦点検出エリアAFP1の輝度値と焦点検出エリアAFP3の輝度値との差分は小さく、所定値より小さい。そのため、AF−CCD制御部162は、最大輝度値の焦点検出エリアAFP1をAFセンサ領域から除外せず、全ての焦点検出エリアAFP1〜5をAFセンサ領域とする。
【0056】
また、ラインセンサ161dに対応する焦点検出エリアAFP26〜30において、最大輝度値の焦点検出エリアAFP26は、第2被写体の光源を撮像しており、他のエリアに比べて輝度が高いため、焦点検出エリアAFP27の輝度値と焦点検出エリアAFP26の輝度値との差分は大きく、所定値より大きい。そのため、AF−CCD制御部162は、最大輝度値の焦点検出エリアAFP27をAFセンサ領域から除外し、残りの焦点検出エリアAFP26、28〜30をAFセンサ領域とする。これにより、本例は、背景の光源等により高輝度な領域が有る場合、当該高輝度な領域に対応する焦点検出エリアを、AFセンサ領域から、除外することができる。
【0057】
次に、ステップS203にて、AF補助光源140を点灯させ、補助光を照射する。
【0058】
そして、ステップS204にて、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dによる電荷の蓄電が行われ、AF−CCD制御部162は、ステップS202により特定されたAFセンサ領域に対応する輝度に基づいて、ラインセンサ161dの蓄積条件の制御を行う。
【0059】
AF−CCD制御部162は、各一対のラインセンサ161d〜161d11に対応して、ステップS202にて特定されたAFセンサ領域の像信号の輝度のうち、最も輝度の高い像信号の輝度に応じて、ラインセンサ161dの蓄積条件で制御を行う。ここで、ステップS204におけるAF―CCD蓄積制御は、ステップS102のAF―CCD蓄積制御と比べて、AF照射光140が点灯されており、ステップS102の蓄積条件と同じ条件で、ラインセンサ161dの蓄積条件を決めると、オーバーフローを起こす可能性がある。そのため、ステップS204におけるAF―CCD蓄積制御は、AF照射光140の照射による輝度を加味して、例えば、ラインセンサ161dの蓄積時間をステップS102の蓄積時間より短くする等により、ラインセンサ161dの蓄積条件で制御を行う。これにより、本例はオーバーフローを防ぐことができる。
【0060】
図4に戻り、ステップS106では、AF補助光源140が照射されない場合は、各一対のラインセンサ161d〜161d11のそれぞれに対応する全ての焦点検出エリアの領域をAFセンサ領域として、当該領域のデフォーカス量を演算するデフォーカス量演算処理が行われ、AF補助光源140が照射する場合は、ステップS202で特定されたAFセンサ領域のデフォーカス量を演算するデフォーカス量演算処理が行われる。
【0061】
なお、ステップS106においては、算出されたデフォーカス量の信頼性も判定される。
【0062】
続くステップS107では、カメラ制御部170により、AFセンサ領域に属する全ての焦点検出エリアについてデフォーカス量が算出されたか否か判断される。AFセンサ領域に属する全ての焦点検出エリアについてデフォーカス量が算出されたと判断された場合は、ステップS108に進み、一方、AFセンサ領域に属する全ての焦点検出エリアについてデフォーカス量が算出されていないと判断された場合は、AFセンサ領域に属する全ての焦点検出エリアについてデフォーカス量が算出されるまで、デフォーカス量の算出が繰り返される。
【0063】
次に、ステップS108にて、カメラ制御部170により、焦点を合わせるために最適なエリアの位置を決定するための処理(自動選択AF処理)が行われる。自動選択AF処理の方法は、特に限定されないが、例えば、ステップS102又はステップS202で特定されたAFセンサ領域のデフォーカス量の中から、最も小さいデフォーカス量の焦点検出エリアを選択することにより、最も至近側の焦点検出エリアを選択する方法、または、ステップS102又はステップS202で特定されたAFセンサ領域の焦点検出エリアのうち、撮影画面50内において、中央部に位置する焦点検出エリアを選択する方法が挙げられる。
【0064】
ステップS109では、ステップS108の自動選択AF処理に基づき、レンズ駆動量演算部164により、焦点調節に用いるための焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたレンズ駆動量Δdが演算され、算出されたレンズ駆動量Δdがレンズ駆動制御部165へ出力される。
【0065】
そして、ステップS110では、レンズ駆動制御部165により、ステップS112で算出されたレンズ駆動量Δdに基づいて、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ駆動モータ230へ駆動指令が送出され、フォーカスレンズ212の駆動が行われる。
【0066】
なお、ステップS109及びステップS110において、初回の自動選択AF処理で検出できる焦点検出エリアが1つもない場合、スキャン動作が行われる。具体的には、レンズ駆動制御部250により、フォーカスレンズ駆動モータ230へレンズ駆動信号の送出が行われ、これにより、フォーカスレンズ212を所定方向へ駆動させながら、各焦点検出エリアについてデフォーカス量の演算を行うことにより、焦点状態の探索が行われる。
【0067】
ステップS111では、カメラ制御部170により、合焦判定が行われる。例えば、本実施形態では、焦点調節用の焦点検出エリアのデフォーカス量が所定値以下となった場合に、合焦と判定される。合焦と判定された場合には、ステップS112に進み、一方、合焦と判定されなかった場合には、ステップS103に戻り、合焦するまで、上述した処理が繰り返される。
【0068】
ステップS112では、カメラ制御部170により、シャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたか否か判断される。第2スイッチSW2がオンであると判断された場合はステップS113へ進み、撮像素子110により、画像の撮像が行われる(ステップS113)。これにより、主要被写体に焦点の合った画像が撮像され、撮像された画像が、カメラ制御部170に送信されて所定の処理が施された後、画像データとして、図示しないメモリに記憶される。一方、ステップS112で、第2スイッチSW2がオフであると判断された場合はステップS103に戻り、第2スイッチSW2がオンされるまで、上述した処理が繰り返される。
【0069】
上記のように、本例では、AF補助光源104を点灯しない状態で、撮影画面50内に設定された各焦点検出エリアの輝度(第1の輝度値)を測定し、各焦点検出エリアの第1の輝度値のうち所定値以上の輝度値が得られる焦点検出エリアを除外し、除外したエリアの輝度に基づいて、ラインセンサ161dの蓄積条件の制御を行う。すなわち、当該除外したエリアは、夜景の点光源や背景の光源等を含む領域であって、AF補助光源140を点灯しても、当該領域にAF補助光源140からの光が届きにくく、AF補助光源140の点灯前後で、輝度の変化が少ないエリアである。そのため、本例のように、当該エリアを除外して、AF補助光源140の点灯前後で、輝度の変化が大きい焦点検出エリアに基づいて、AF補助光源140の点灯時のラインセンサ161dの蓄積条件を制御することによって、本来の被写体を含む領域に対して、蓄積制御を行う。
【0070】
これにより、例えば背景に光源等の明るい被写体がある場合に、当該被写体を除いた領域で、ラインセンサ161dの蓄積制御を行い、オートフォーカス処理を行うため、光源等を含む背景に引っ張られず、本来の被写体に対応させてラインセンサ161dの蓄積制御を行い、適切に焦点を合わせることができる。
【0071】
なお、ステップS202において、本例は、各ラインセンサ161d〜161d11に対応する焦点検出エリア内で、輝度値の差分が所定値より大きい場合に、最も高輝度の領域をAFセンサ領域から除外するが、除外する領域の特定方法は他の方法でもよく、例えば、当該焦点検出エリア内で、輝度値の平均値をとり、当該平均値との比較により、除外する領域を特定してもよい。
【0072】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。本例は、上述した第1実施形態に対して、AF補助光源104を点灯する前にデフォーカス量を算出する点が異なる。これ以外の構成で、上述した第1実施形態と同じ構成は、その記載を適宜、援用する。図8は本例のカメラ1の動作を示すフローチャート、図9は、本例のセンサ領域特定制御処理及びAF補助光源104に基づく電荷蓄積制御処理を示すフローチャートである。
【0073】
図8に示すように、ステップS301〜ステップS303及びステップS308〜ステップS313は、図4に示す、ステップS101〜ステップS103及びステップS108〜ステップS113と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
ステップS303にて、シャッターレリーズボタンが半押しされると、センサ領域特定処理(ステップS304)及びAF補助光源104に基づく電荷蓄積制御処理(ステップS305)が行われる。以下、図9を用いて、ステップS304及びステップS305について、説明する。
【0075】
ステップS304aにて、カメラ制御部170は、ステップS302により設定された蓄積条件に基づいて、ラインセンサ161dからの受信信号から、撮像光学系の撮影画面50内の各焦点検出エリアAFP1〜AFP51(図2を参照)のデフォーカス量を演算する。なお、デフォーカス量の演算方法は、上述したステップS106と同様の方法である。
【0076】
次に、ステップS304bにて、カメラ制御部170は、レンズ211、レンズ212及びレンズ213の現在の位置の情報及び焦点距離の情報等を含むレンズ情報を読み出す。
【0077】
ステップS304cにて、カメラ制御部170は補助光種別情報を読み出す。補助光種別情報には、使用する補助光の到達距離の情報などが含まれている。AF補助光源140を利用する際には、当該AF補助光源140の種別情報が、補助光種別情報として読み出され、外付けの補助光又は外付けのストロボを利用する際は、それぞれ、外付けの補助光又はストロボの種別情報が、読み出される。
【0078】
そして、ステップS304dにて、AFセンサ領域を特定する。カメラ制御部170は、ラインセンサ161dの蓄積条件とステップS304aのデフォーカス量及びステップS304bの現在のレンズ情報から、高輝度で、かつ、無限遠側にあるエリアを抽出する。そして、ステップS304cの補助光種別情報に応じて、当該エリアをAFセンサ領域から除外し、AFセンサ領域を特定する。撮像光学系の撮影画面50内の各焦点検出エリアにおいて、AFセンサ領域に含まれるエリアは、撮影距離、補助光の照射範囲等に応じて設定される。そのため、カメラ制御部170は、ラインセンサ161dの蓄積条件及びステップS304a〜S304cまでのデフォーカス量、レンズ情報及び補助光種別情報から、被写体の撮影距離と、当該被写体に含まれる各焦点検出エリアの輝度、及び補助光の照射距離を特定し、補助光が届かず、高輝度のエリアを抽出して、AFセンサ領域から除外する。
【0079】
次に、ステップS305aにて、AF補助光源140を点灯する条件を満たすか否か判断される。AF補助光源140の点灯条件は、例えば、各焦点検出エリアの輝度が所定値未満の場合にAF補助光源140を点灯し、各焦点検出エリアの輝度が所定値以上の場合にAF補助光源140を点灯しない、とする。AF−CCD制御部162は、各焦点検出エリアの輝度情報をカメラ制御部170に送信し、カメラ制御部170は、AF−CCD制御部162から読み出される輝度情報から、当該照明条件に基づいて、AF補助光源140を点灯するか否かを判断する。
【0080】
なお、本例のステップS305aでは、AF−CCD制御部162の蓄積条件に基づいて、AF補助光源140を点灯するか否かを判断するが、測光センサ137により検出される輝度に基づいて、AF補助光源140を点灯するか否かを判断してもよい。またAF−CCD制御部162が、当該照明条件に基づいて、AF補助光源140を点灯するか否かを判断してもよい。
【0081】
カメラ制御部170がAF補助光源140を点灯しないと判断する場合、ステップS306に進み(図8を参照)、カメラ制御部170がAF補助光源140を点灯する判断する場合、ステップS305bへ進む。
【0082】
ステップS305bでは、AF補助光源140を点灯し、ステップS305cにて、AF−CCD制御部162による蓄積制御が行われる。ステップS305cの蓄積制御は、ステップS302の蓄積制御と同様であるが、制御対象となるエリアが異なる。
【0083】
すなわち、ステップS302の蓄積制御では、焦点を合わせるためのエリアの位置が定まっていないため、AF−CCD制御部162は、各一対のラインセンサ161d〜161d11のそれぞれに対応する全ての焦点検出エリアを、焦点を合わせるためのセンサの領域として特定し、各ラインセンサ161d〜161d11に対応するAFセンサ領域の像信号の輝度に応じて、ラインセンサ161dのゲインや蓄積時間等の蓄積条件を制御する。一方、ステップS305cの蓄積制御では、焦点を合わせるためのエリアの位置(AFセンサ領域)が、ステップS304cの制御処理により、定まっているため、AF−CCD制御部162は、ステップS304cにて特定されたAFセンサ領域内のラインセンサ161dに対応するAFセンサ領域の像信号の輝度に応じて、ラインセンサ161dのゲインや蓄積時間等の蓄積条件を制御する。そして、ステップS305cによる蓄積制御処理が終わると、ステップS306へ進む。
【0084】
図8に戻り、ステップS306では、AF補助光源140が点灯されない場合は、各一対のラインセンサ161d〜161d11のそれぞれに対応する全ての焦点検出エリアの領域をAFセンサ領域として、当該領域のデフォーカス量を演算するデフォーカス量演算処理が行われ、AF補助光源140が点灯する場合は、ステップS305cで特定されたAFセンサ領域のデフォーカス量を演算するデフォーカス量演算処理が行われる。デフォーカス量の演算方法は、ステップS106と同様の方法であるため、省略する。
【0085】
なお、ステップS306のデフォーカス量演算処理について、AF補助光源140を点灯しない場合、ステップS306のデフォーカス量演算処理を省略し、ステップS304aで演算したデフォーカス量を用いて、後のステップである、オートフォーカス処理を行ってもよい。
【0086】
続くステップS307では、カメラ制御部170により、AFセンサ領域に属する全ての焦点検出エリアについてデフォーカス量が算出されたか否か判断される。AFセンサ領域に属する全ての焦点検出エリアについてデフォーカス量が算出されたと判断された場合は、ステップS308に進み、一方、AFセンサ領域に属する全ての焦点検出エリアについてデフォーカス量が算出されていないと判断された場合は、AFセンサ領域に属する全ての焦点検出エリアについてデフォーカス量が算出されるまで、デフォーカス量の算出が繰り返される。
【0087】
上記のように、本例では、AF補助光源104を点灯する前に、撮影画面50内に設定された各焦点検出エリアのデフォーカス量を演算し、AF補助光源104の照射範囲外であり高輝度である焦点検出エリアを除外し、除外したエリアの輝度に基づいて、ラインセンサ161dの蓄積条件の制御を行う。すなわち、当該除外したエリアは、夜景の点光源や背景の光源等を含む領域であって、AF補助光源140を点灯しても、当該領域にAF補助光源140からの光が届きにくく、AF補助光源140の点灯前後で、輝度の変化が少ないエリアである。そのため、本例のように、当該エリアを除外して、AF補助光源140の点灯時のラインセンサ161dの蓄積条件を制御することによって、本例の被写体を含む領域に対して、蓄積制御を行う。
【0088】
これにより、例えば背景に光源等の明るい被写体がある場合に、当該被写体を除いた領域で、ラインセンサ161dの蓄積制御を行い、オートフォーカス処理を行うため、光源等を含む背景に引っ張られず、本来の被写体に対応させてラインセンサ161dの蓄積制御を行い、適切に焦点を合わせることができる。
【0089】
また、本例は、補助光種別情報に基づいて補助光の照射距離を特定し、AF補助光源104の照射範囲外であり高輝度である焦点検出エリアをAFセンサ領域から除外し、AFセンサ領域の輝度に基づいて、ラインセンサ161dの蓄積条件の制御を行う。
【0090】
これにより、補助光の照射能力に応じて、補助光の照射範囲を特定することができるため、補助光の種別に応じて、照射範囲外であり高輝度のエリアを除外し、光源等を含む背景に引っ張られず、本来の被写体に対応させてラインセンサ161dの蓄積制御を行うことができる。
【0091】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0092】
1…カメラ
100…カメラボディ
110…撮像素子
111…シャッター
120…ミラー系
121…クイックリターンミラー
122…サブミラー
123…回転軸
131…焦点板
132…透過型液晶表示器
133…ペンタリズム
134…接眼レンズ
135…ファインダ
136…レンズ
137…測光センサ
140…AF補助光源
150…操作部
161…焦点検出モジュール
161d…ラインセンサ
162…AF−CCD制御部
163…デフォーカス演算部
164…レンズ駆動量演算部
165…レンズ駆動制御部
170…カメラ制御部
200…レンズ鏡筒
211…レンズ
212…フォーカスレンズ
213…レンズ
220…絞り
230…レンズ駆動モータ
240…絞り駆動部
250…レンズ制御部
260…エンコーダ
50…撮像画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系による像面内の複数位置に対して設定された複数の焦点検出位置に対応する光束を受光して電荷を蓄積し、受光信号を出力する受光手段と、
前記複数の焦点検出位置に対応する対象に対して光束を照射する照射手段と、
前記照射手段による光束を照射していない状態で前記複数の焦点検出位置のそれぞれに対応して得られる光束を測光した第1測光値と、前記照射手段による光束を照射した状態で前記複数の焦点検出位置のそれぞれに対応して得られる光束を測光した第2測光値とを求める測光手段と、
前記複数の焦点検出位置のうち、前記第1測光値と前記第2測光値のいずれにおいても所定値以上の測光値が得られる第1の焦点検出位置を除外した第2の焦点検出位置に対応する前記受光信号に基づく蓄積条件によって前記受光手段を蓄積制御する蓄積制御手段と、
前記第2の焦点検出位置に対応する前記受光信号に基づいて前記光学系の焦点状態を検出する焦点検出手段とを備えたことを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の焦点検出装置において、
前記蓄積制御手段は、前記焦点状態と前記第2測光値とに基づいて選択された焦点検出位置に対応する前記受光信号に基づいて前記蓄積条件を決定することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の焦点検出装置において、
前記蓄積制御手段は、前記照射手段による光束を照射していない状態で前記焦点検出手段により検出した前記焦点状態が所定の撮影距離に対応するものである焦点検出位置を除外した焦点検出位置に対応する前記受光信号に基づく前記蓄積条件によって前記受光手段を蓄積制御することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の焦点検出装置において、
前記蓄積制御手段は、前記照射手段の照射能力に応じて前記所定の撮影距離を決定することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の焦点検出装置において、
前記焦点検出手段は、前記第2の焦点検出位置に属する複数の焦点検出位置の少なくとも一部を焦点検出位置群とし、
前記焦点検出位置群に対して検出される複数の前記焦点状態のいずれかを選択する選択手段を備えることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の焦点検出装置を備えたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−145602(P2011−145602A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8123(P2010−8123)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】