説明

煙道ガス中の三酸化硫黄および他の凝縮性物質の検出、測定および制御のための方法および装置

【課題】煙道ガス等の任意のガスにおける凝縮性物質の量を正確に測定することが出来る方法およびプローブを提供する。
【解決手段】凝縮性物質を含有する気体中に存在する凝縮性物質の量を測定する方法において、プローブを、凝縮性物質を含有する気体中に置く。該プローブは非導電性外部表面上に複数の相隔たる接点を有する。選択された時間にわたって、その表面を選択された加熱速度で加熱しその後選択された冷却速度で冷却する。該選択された時間にわたって、該接点間の電流の流れおよびその表面の温度を監視する。該選択された時間にわたる該電流の流れのプロットにおけるピーク、および各ピークに対応する時刻に対する温度を、次に各識別温度で動力学的露点を有する凝縮性物質と相関させる。各識別物質に対する識別温度を、その物質に対する露点温度と濃度との所定の相関関係と比較して、該気体中に存在するその凝縮性物質の濃度を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の引用〕
本出願人は、2008年8月14日に出願された係属中の米国仮特許出願第61/088,923号の35U.S.C.119条(e)に基づく利益を請求する。
【0002】
本発明は、化石燃料燃焼加熱炉から放出された煙道ガス中のSOxのような汚染物質を検出し、測定し、及び制御するのに用いられる方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
数年間、米国環境保護庁(EPA)は、化石燃料動力装置、焼却炉、金属精錬所、およびセメント・キルンの操作者に、雰囲気中に放出されるある種の気体状物質および微粒子の量を監視するように要求してきた。これらの物質には、一般に加熱炉の排気筒又は煙突に通じる管路を通って加熱炉から出て行く硫黄酸化物、窒素酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素、および酸素が含まれる。排気基準を定め、それらの基準を満たさない操作者に罰則を与える法律および規則も存在する。これらの設備の操作者は、排気を監視しなければならず、ある種の気体状物質の排出量を減少させる物質を煙道ガスにしばしば添加するであろう。典型的に、監視は、加熱炉中の選択された位置における煙道ガス中への、その場で監視することの出来るプローブの挿入によって、又は抽出プローブ或いは試料採取用配管によって、行われる。抽出された試料をその気体状構成成分に関して分析するために、微粒子を除去して該試料をガス分析器具類の操作に適した遠くの場所まで移送することが必要な場合がある。
【0004】
排気筒から煙道ガスの試料を採取するのに使用される種々のプローブが当該技術により開発されている。これらの試料採取方式の例は米国特許第5,458,010号に開示されている。伝統的な抽出方式では、排気筒内を移動する気体流から加熱されたプローブを通してポンプが気体を取り出す。それから該試料は分析のために熱処理された試料用配管を通って遠くの場所に移送される。該プローブおよび試料用配管は試料中の水分又は酸の凝縮を防ぐために約250°Fに加熱されている。次に、該試料は試料の温度を約35°Fまで下げる「冷却装置」を通して取り出される。かくして水蒸気は凝縮して排出される。今や乾燥した試料は次に再加熱され、当該構成成分を測定する分析器を通して移送される。
【0005】
従来技術試料採取方式の第二の一般的タイプは、希釈プローブを使用したものである。この設計では、排気筒試料の取り出し速度が伝統的方式の場合よりもかなり小さい。ここで、気体は微細な濾過材を通って「ソニック・オリフィス」又は「臨界流オリフィス」として知られる装置中に取り出される。該ソニック・オリフィスは、該オリフィスの後に実質的な真空が存在するならば、一定の流量を測定するので、そのように呼ばれる。該オリフィスの裏面における真空は、圧縮空気源により駆動されるベンチュリによって維持される。該ベンチュリは又清浄な乾燥した希釈空気を提供するのに役立ち、該空気が該試料の露点を下げる。ベンチュリ/オリフィスの全組立部は、該希釈が本質的に排気筒の温度で達成されるように、非加熱プローブ中に構成される。希釈された試料は次におおよそ大気圧で分析器に送付される。
従来技術試料採取方式で使用されるプローブには、温度検知器がしばしば設けられている。
【0006】
排気を抑えるために、化石燃料燃焼加熱炉の操作者は、アンモニア、カルシウム、ナトリウム化合物、又は他の物質を煙道ガスに添加して、望ましくない気体状物質を該添加剤と反応させ、除去することの出来る容認可能な気体又は微粒子を形成することが出来る。NOxの選択接触還元(「SCR」)と呼ばれる他の技術は、触媒を用いてNOxの排気を抑えている。バグ・ハウス、沈降分離装置、および同一高さの濾過装置が、煙道ガスから微粒子を除去するのに使用されている。
【0007】
特定の添加剤の使用が成功するかどうかは、煙道ガスの組成に依存するだけでなく、該添加剤を注入する時の煙道ガスの温度にも依存する。多くの物質が或る温度範囲内だけで良く機能する。もしもその物質を煙道ガスが必要な温度範囲内にない間に添加したら、或いは、もしも多過ぎる又は少な過ぎる添加剤を注入したら、望ましくない化合物を生成する反応が起こり得る。これらの化合物は、沈降分離装置を汚し、熱交換器の効率を減少させ、及び他の問題を起こし得る。
【0008】
アンモニア(NH)は、気体流から窒素酸化物を除去するための反応体として、今日普通に使用されている。しかし、NHは三酸化硫黄(SO)とも反応して硫酸アンモニウム((NHSO)又は重硫酸アンモニウム((NH)HSO)を形成する。それらは両方とも、SCRの触媒通路又は熱伝達装置、特に、多くの小通路を有する再生式空気加熱器を塞ぐ可能性がある。この詰まりは空気および煙道ガスの流れを非常に厳しく制限する可能性があるので、ボイラーを非直結式で取り込まなければならず、及び空気加熱器を掃除しなければならない。重硫酸アンモニウムは、排気ガス温度範囲の多くを通して非常に粘着性であるので、両者の中では最悪の犯罪者に相当する。
【0009】
米国特許第6,677,765号は、冷却されたプローブを用いて凝縮した重硫酸アンモニウムにより引起こされる導電率(及び腐食)を測定することにより、煙道ガス中のアンモニアを測定する方法を開示している。この方法は、プローブ本体と同じ材料の相隔たるバンド又はパッチを有する管状プローブを用いている。それらのバンド又はパッチは、電気絶縁性高温材料によりプローブ本体に取り付けられている。少なくとも一つの熱電対が該プローブに取り付けられている。各バンドの近くの領域に冷気を方向づけるために、一連の冷却用管がプローブ本体内に設けられている。一つ以上のプローブが加熱炉又はボイラー中アンモニア注入域より上に置かれている。重硫酸アンモニウムがプローブ上に発生すると、プローブ本体とバンドとの間に電気回路が達成される。それ故に、重硫酸アンモニウムの存在は、プローブ本体とバンドとの間の抵抗変化により、検出することが出来る。重硫酸アンモニウムは又プローブの腐食をも引起こすであろう。該腐食過程の間に電気化学的なノイズが発生する。プローブ本体に接続されたモニターは、抵抗および電気化学的ノイズにおける如何なる変化をも検出することが出来る。更に、検出される電気化学的ノイズのレベル又は量から腐食速度を測定することが出来る。
【0010】
プローブから得られる情報をプローブの位置と関連付けて、検出される過剰のアンモニア源であるかもしれない注入器を識別することが出来る。次に、該注入器を調整して過剰のアンモニア注入を減少させること又は除外することが出来る。空中における炭化水素燃料の燃焼中、空中の酸素は該燃料中の炭素及び水素と結合して水及び二酸化炭素を形成する。メタン又は天然ガスの燃焼の場合、その煙道ガス生成物は、空中からの窒素および過剰な酸素の比較的きれいな混合物と、約10〜12%の水および12%の二酸化炭素の燃焼生成物との組合せである。
【0011】
しかしながら、石炭燃焼の場合、石炭燃料を構成する炭素および炭化水素と混合した最も多量の塩素、硫黄、燃料結合窒素化合物、および灰のような多数の不純物が存在する。燃焼生成物は約6%の水および12%の二酸化炭素であるが、現在他の多数の汚染物質が存在する。灰自体は、水銀、鉛、カドミウム、砒素等のような汚染物質と考えられる多数の微量元素と一緒に、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、のような金属、シリカ、アルミナ、鉄、および発熱性硫黄であり得る多数の化合物を含有する。これらの物質のすべては、高温燃焼環境にわたって蒸発し酸化する機会を有し、天然ガス燃焼の場合よりもはるかに複雑な石炭を燃料とする煙道ガスが得られる。
【0012】
このような複雑な煙道ガスが原因で、ボイラーの後部煙道、二また煙筒、および煙突内で水が凝縮しないように煙道ガス温度を充分に高く維持することが常に望ましかったが、それは、水がこれらすべての無数の腐食性灰化合物の溶液を汚い粘着性の汚物へと蓄積させるであろうからである。かくしてこの汚物は、装置が操作出来なくなるような程度に、煙道ガス通路を汚す。同時に、該温度は、燃料燃焼からの熱回収の効率を維持するために出来るだけ低くすべきである。清潔で安全な効率的動力装置操作を維持するために、煙道ガスの凝縮および汚損温度特性を測定することが望ましい。
【0013】
水の凝縮は三酸化硫黄の存在により大きな影響を受けて、硫酸凝縮物や他のより複雑な硫酸塩および亜硫酸塩を形成する。これらの種々の硫黄化合物は、すべて純水の復水温度よりずっと高い温度で凝縮し、硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニウム、およびナトリウム(重硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、および硫酸ナトリウム)、マグネシウム、カルシウム、等のような異なる金属汚染物質の硫酸塩および亜硫酸塩を含む。
【0014】
かくして、より低い二酸化炭素発生のための効率を改良するために、最低の可能な排気筒温度で操作することが望ましいが、同時に、スクラバーの広範な使用がより高い硫黄の石炭使用を可能にする。ボイラーの後部煙道における硫黄、従って三酸化硫黄は、かくして増加する傾向があった。石炭の硫黄が増加すると三酸化硫黄も増加するが、これは、三酸化硫黄の形成に更に触媒作用を及ぼすNOxの選択接触還元(SCR)の使用により大きく悪化させられてきた。該複雑性は、SCRおよびNOxの選択非接触還元(SNCR)の両方に対するアンモニア注入の使用と共に増加するが、それは、いかなるアンモニア・スリップも三酸化硫黄と反応して重硫酸アンモニウムを形成し、それが水凝縮および汚損温度を増加させるであろうからである。後部の汚損問題を超えて、排気筒からの三酸化硫黄排気は、噴煙柱可視性および汚染の問題を引起こす。
【0015】
後部煙道、二また煙筒、および煙突を汚さないように出来るだけ低い温度で操作しようと試みるという問題を考えると、三酸化硫黄を除去する試みが試験され使用されつつあるという事が実現した。図1および2に示された加熱炉の位置A、B、CおよびDで注入される改善試薬は、三酸化硫黄を減少させながら、それら自体の複雑な凝縮及び分解特性を示して灰量に加わり、それが該装置を汚損する可能性がある。
【0016】
ここで述べた複雑性内で操作するためには、三酸化硫黄および、もしもそれが単独で存在する場合には、その濃度依存性硫酸凝縮温度を測定することが望ましいであろう。しかしながら、ここで述べたように、それはアンモニア又は改善試薬との組合せで発生するので、凝縮する時に異なる形を取るかもしれないから、硫酸として測定することは出来ない。例えば、重硫酸アンモニウムがSOよりも30〜100°F高い温度で凝縮するので、SOの露点が求められているのに、SOの露点を、既に凝縮した物質で隠してしまう。
【0017】
400°Fより上の温度では、三酸化硫黄は水および硫酸分子と動的に釣り合って存在するが、一方、より低い温度でその測定を更に複雑にする場合、それは微粒形および(又は)煙霧質形で吸着されるかもしれない。400°Fより下では、硫酸の測定露点が全三酸化硫黄の測度であるが、一方、その温度より上では、全三酸化硫黄は該平衡曲線から計算することが出来る。しかしながら、SO、HSO、および凝縮相(エアゾールおよび微粒子)が存在し得るので、あらゆる形状を400°Fより下の硫酸の凝縮性形状に変換することが時々必要である。これらの形状は、濾過、加熱又は冷却、および試料採取された煙道ガスの脱窒素により区別することが出来る。
【0018】
硫酸は依然として250°F〜290°Fの範囲で凝縮するかもしれないが、重硫酸アンモニウム又は重硫酸ナトリウムの存在下で煙道ガス中の凝縮は320°Fより上で600°Fに至るまでの温度で始まるかもしれない。かくして、特定の硫酸露点を測定しようと試みる際、標準的な硫酸露点装置は複雑な煙道ガスにおける全範囲の凝縮現象により混乱するであろう。例えば、存在する場合、重硫酸ナトリウムは350°Fより上の温度で凝縮するであろうが、この場合、きれいな冷プローブはプローブ加熱サイクルの底から上に加熱されるので、凝縮と蒸発の相反する速度を測定するために該きれいな冷プローブを使用する必要がある。
【0019】
従って、煙道ガスおよび他の凝縮性物質を含有する任意のガスにおける三酸化硫黄や他の凝縮性物質の量を正確に測定することが出来る方法およびプローブの必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第5,458,010号明細書
【特許文献2】米国特許第6,677,765号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
ここで開示する発明において、我々は、動的温度変化プローブを用いて、及び該プローブ上に凝縮した物質における温度変化および電流変化を監視することにより、存在する任意の及びすべての成分の凝縮および蒸発特性を区別し識別することが出来ることを教示する。この情報と、識別された凝縮性物質に対する露点温度と濃度との相関関係を用いて、我々は該気体中に存在する凝縮性物質の濃度を測定することが出来る。次にこの測定を利用して、操作温度、注入限度、および改善方法選択肢、及びそれらの過程制御を定めることが出来る。この動的方法およびプローブ装置は、公知の測定法および制御器具類と共に、任意の気体の凝縮性構成成分を識別するのに応用することが出来る。
【0022】
我々のプローブは、熱い燃焼煙道ガス排気中に挿入されると、異なる濃度の凝縮性気体がさもなければ非導電性の表面上に沈着物を形成する温度を測定する。プローブ温度変化の制御された速度の使用、凝縮物蓄積に関連する測定電流、凝縮が生ずる測定温度、および、凝縮温度と存在する凝縮性物質の量との相関関係によって、我々はこれら凝縮性物質の実体および濃度を測定することが出来る。我々の発明の特異な局面は、多数の異なる凝縮性化合物が共存するかもしれない燃焼煙道ガスの複雑な性質には存在しないかもしれない平衡露天を捜し求めることよりもむしろ、変化する温度に関連する電流を観察することにより、凝縮物の動力学的な又は動的な形成および蒸発を我々が測定するということである。この動力学的な到達法および我々が開発した算法によって、共存する凝縮性物質の実体および濃度の両方を我々は析出することが出来るのである。
【0023】
我々は、SO又は他の凝縮性物質の濃度を我々の測定に関連させる三つの特色を提供する。最初に、我々は、熱い煙道ガス中に挿入することの出来るプローブであって、連続的に調整できる冷却および加熱サイクルの間制御できる速度で冷却又は加熱することの出来るプローブを提供する。第二に、我々は、さもなければ非導電性の表面上に導電性沈着物を形成する凝縮物の異なる濃度を監視する。沈着物の開始又は形成、沈着又は蒸発の速度、および加熱乾固は、凝縮物表面の冷却又は加熱速度、および、異なる凝縮物濃度の拡散および凝縮の速度論に依存する。次に我々は、凝縮速度による電流活性のプロットにおいてピークが生ずる温度を利用して、該気体中の凝縮性物質の濃度を識別し測定する。
【0024】
我々は、単一の凝縮性成分に対する一定温度平衡露点に焦点を絞ろうと試みるよりもむしろ、冷却サイクルに通す時に凝縮性物質の沈着物の形成を測定し、次に続く加熱サイクルの間にこの連続する蓄積を測定する。三酸化硫黄が凝縮するよりも高い温度で凝縮を生ずる成分、例えば、重硫酸アンモニウムが存在する場合、冷却サイクルにおけるプローブはこれらを該より高い温度で凝縮物を形成するものとして測定する。該冷却サイクルは続く加熱サイクルを始めること又は最も低いSO露点よりも下であることが知られている設定温度まで続けることが出来るが、その場合、続く加熱サイクルにおける電流形跡はSO濃度および重硫酸アンモニウム濃度の両方に対して熱力学的露点を示すであろう。しかしながら、空気加熱器が煙道ガスを重硫酸アンモニウムの凝縮温度より下まで、例えば、310°Fより下まで冷却した後でプローブを挿入する場合には、重硫酸アンモニウムは空気加熱器により除去されたので、より低い温度の凝縮物はSOの濃度による。水蒸気のような気体は更により低い露天で凝縮し、又複数ピーク電流凝縮温度曲線をも示す。
【0025】
制御された温度窓内で、及び我々がここで開示する制御された冷却速度で、我々は、測定された制御冷却速度、測定された凝縮物形成温度、および凝縮物表面上の測定導電度を利用して、煙道ガス中のSO、HSOのようなその成分の各々、微粒で煙霧質の硫酸および(又は)他の凝縮性物質の存在と濃度を関連付ける。同時に、より高い温度窓で使用されたプローブは重硫酸アンモニウムのような他の凝縮性物質の凝縮および濃度を測定し、更により高い温度では重硫酸ナトリウムがそこに存在するはずである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】低温静電集塵器と共に汚染および熱回収成分を示し、及び試薬注入点を示した石炭燃料ボイラーの概略図である。
【図2】高温静電集塵器と共に汚染および熱回収成分を示し、及び試薬注入点を示した石炭燃料ボイラーの概略図である。
【図3】プローブの先端表面上に凝縮した任意の物質を通る電流フローを測定する我々の現在好ましい態様のプローブの側面図である。
【図4】図3に示された態様の端面図である。
【図5】我々の第二の現在好ましい態様のプローブの側面図である。
【図6】熱い煙道ガス中に挿入され我々の方法に従って使用されるプローブの典型的な加熱及び冷却サイクルを示したグラフである。
【図7】図6と同様なグラフであり、そこに電流フローが点線で示され、煙道ガスに対する動力学的露点が識別されている。
【図8】図6および図7と同様なグラフであり、そこに電流フローが点線で示され、三酸化硫黄および重硫酸アンモニウムに対する動力学的露点が識別されている。
【図9】三酸化硫黄および硫酸に対する平衡曲線である。
【図10】煙道ガス中の三酸化硫黄濃度と異なる濃度の水蒸気に対する露点との間の相関関係を示したグラフである。
【図11】ナトリウムが液体重硫酸塩を形成する温度および濃度を示したグラフである。
【図12】石炭燃焼発電装置に設置された我々の動力学的露点システムの構成図である。
【図13】ダクトに対する試料を取り出し、該試料を調整して物質成分を分離するのに使用することが出来るシステムの図である。
【図14】図13に示されたシステムにおいて煙道ガスのその場調整に使用されるプローブの図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1および2に示された典型的な石炭燃料加熱炉又はボイラーにおいては、石炭および空気が該加熱炉中に注入される。燃焼している石炭が、加熱炉壁における管(示されていない)中の水を加熱し水蒸気を造りだしてタービンに動力を供給する。いくつかの加熱炉において、該加熱炉を出る煙道ガス3は選択非接触還元(SNCR)装置4を通過する。アンモニアをSNCR装置4における煙道ガス中に注入して、煙道ガス中のNOxを還元する。次に煙道ガスは節炭器5を通過して、或る温度Tで該節炭器を出る。図1に示された低温静電集塵器を有する石炭燃料ボイラーにおいて、該煙道ガスは次にNOxの選択接触還元(SCR)装置7、空気加熱器8、および静電集塵器(ESP)6を通って、スクラバー9まで進み続ける。次に、該煙道ガスは排気筒10を通って該システムを出る。図2に示された高温静電集塵器を有する石炭燃料ボイラーにおいて、煙道ガスは節炭器5から静電集塵器6を通って行く。該煙道ガスは、NOxの選択接触還元(SCR)装置7、空気加熱器8、スクラバー9、および排気筒10を通って進み続ける。
【0028】
図1および2は、我々の方法およびプローブが使用できる加熱炉の二つの例を提供しているが、我々の発明はこれらの加熱炉に限定されない。実際、我々の方法が使用できる加熱炉の構成は、NOxの還元装置によって、例えば、SNCR又はSCR又は両方が存在するか又は何も存在しないかによって、又スクラバーが存在するか否かによって、又集塵装置、例えば、ESPc又はESPh又は湿式ESP(wESP)および(又は)バグ・ハウスの存在によって全く変化し得る。
【0029】
我々は図3、4および5に示されているようなプローブを提供するが、該プローブを熱い煙道ガス中に挿入して、連続的に調整できる冷却および加熱サイクルの間制御できる速度で冷却又は加熱することが出来る。該プローブは、図1および2に示されているように、位置A、B、CおよびD(そこにおける温度は夫々T、T、TおよびTである)で、及びスクラバー9の後で煙道ガス・ダクト中に挿入することが出来る。加熱炉の操作者は、位置A、B、CおよびDの各々で、NOx又はSOxを還元する物質を注入することが出来る。典型的な注入物質は、アンモニア/尿素(NHを提供する)、石灰/石灰岩(Caを提供する)、重炭酸ソーダ石(Naを提供する)、および酸化マグネシウム(Mgを提供する)である。異なった問題を解決する際の利害によって、異なった位置を述べてある。それらの問題に対する解決は、添加される試薬、およびSO並びに関連する凝縮性物質の、効果の知識、測定、および制御に依存している。
【0030】
図3および4を参照すると、我々の最初の好ましい態様のプローブ20は、長さが典型的に3〜6フィートであり得る一般的に円筒状の中空体22を含む。端末キャップ又は先端24が、気体流に曝される中空体22の遠心端上に装着されている。冷気を先端24に導くために、冷却管26が該中空体22の長さに沿ってその内部に設けられている。該先端への冷気の流れは、プローブ先端上への凝縮を誘発するように正確に制御される。該先端を通り越した後で該冷気を逃がすように、帰り空気弁28が設けられている。先端24の表面上には、相隔たる接点31および32が設けられている。しかし、より多くの相隔たる接点を存在させることが出来、該接点は該先端の外部表面に種々の構成をとって位置することが出来る。この表面は非導電性である。我々は又、該先端上に温度センサ33を設けることを好む。リード線33は該温度センサおよび接点からプローブの反対端末まで伝わり、そこでそれらを監視装置に結合することが出来る。物質が該先端上に凝縮すると、該凝縮物は該接点間に回路を完成する。該プローブは、ニッケル・クロム合金のような耐食材料から構成されている。取り付けフランジ21は、中空体22の他端に取り付けられており、装着用のハードウェアをダクト(示されていない)上に拘束するように適応している。
【0031】
第二の現在好ましいプローブ40が図5に示されている。このプローブも一般的に円筒状の中空体42を有し、端末キャップ又は先端44が該中空体42の遠心端上に装着されている。冷気を先端44に導くために、冷却管46が該中空体42の長さに沿ってその内部に設けられている。該先端を通り越した後で該冷気を逃がすように、帰り空気弁48が設けられている。該先端上には、相隔たる接点および温度センサ(示されていない)が設けられている。取り付けフランジ41が中空体42の他端に取り付けられている。この態様において、該円筒状体42に巻きつき該先端の露出表面近くの点で終わる加熱コイル45を我々は提供する。この末端47は、該加熱コイルを通過する熱風が該先端44の外部表面49に向かって導かれるように、開いている。該熱風は、該先端の外部表面上のいかなる凝縮物をも加熱して、該凝縮物が液体又は気体となって該先端を流れ去るようにさせ、それにより該先端をきれいにする。煙道ガス温度は凝縮性物質の露点よりも低いので未加熱プローブはすぐに凝縮物で被覆されるであろうから、プローブ先端を人工的に加熱することは又、煙道ガスにおけるプローブの操作を可能にする。これは、プローブを湿式排気筒中で操作することを含むであろう。
【0032】
図1又は図2における位置A、B、CおよびDのような選択された位置でダクト中にプローブを挿入した後で、該プローブを冷却又は加熱する。我々は、図6に示されているような制御された冷却サイクルおよび加熱サイクルを提供する。各冷却/加熱サイクルは、10°Fから500°Fまで変動し得る調査する温度範囲に通常依存して、2〜30分の時間に亘って起こり得る。図7に示されているように、冷却および加熱サイクルの制御は、表面蓄積を通る測定電流からのフィードバックに基づいている。
【0033】
我々は、プローブの先端(図4に示されている)における、さもなければ非導電性の表面上に導電性沈着物を形成する凝縮物の異なる濃度を監視する。プローブが冷えるに従って、沈着物の開始又は形成がその凝縮性物質の形成温度(TFm)として測定され、設定しきい値電流より上への表面電流の上昇により示される。このしきい値電流が測定される前、電流フローは、図7に示されているように、冷却されつつある熱いきれいな乾燥表面を横切って本質的に零であった。
【0034】
一旦沈着物が発生すると、冷気は減少又は停止させられ、沈着又は蒸発の速度および加熱乾固は、凝縮物表面の冷却又は加熱の速度および異なる凝縮物濃度の拡散および凝縮の速度論に依存する。
【0035】
電流フローが増加するに従って該沈着物は屈曲点に到達するまで発生し続け、そこで該沈着が蒸発速度と等しくなり、これが図7に示されているように我々の特異な動力学的露点(Kdp)を定める。この動力学的露点は凝縮する物質に特異であり、その濃度は図10に示された曲線に反映される温度および圧力および水分の等式から計算される。例えば、もしも水分含量が10%であり屈曲点が300°Fの温度に相当するならば、300°Fにある10%水分曲線上の点が分るであろう。次に、その温度に対するx軸上の対応濃度値が分る。この例で、その値は43ppm SOであろう。煙道ガスに関する水分濃度は通常12%である。12%水分に対する曲線は、10%水分曲線と14%水分曲線との間にあるであろう。図10における曲線からSO濃度の識別を手で行うことが出来るけれども、当業者は、コンピュータ・プログラムを利用して該相関関係を作成できることが分るであろう。実際、プローブにおける接点および温度センサのすべてをコンピュータに結合することが出来、それが、存在するSOの濃度を監視し測定するであろう。冷却又は加熱の速度に、電流曲線の形は依存するけれども、屈曲点および従って動力学的露点は依存しない。電流のピークは、濃度および加熱/冷却速度の動力学の両方に依存する。
【0036】
かくして、我々は凝縮表面の温度変化速度に相当する導電率(電流)変化速度から、凝縮物の実体と濃度を相関させることが出来る。この同じ論理により、我々は形成温度、屈曲点、および蒸発点を用いて、加熱サイクルを制御し、及びこの情報を凝縮性物質およびそれらの濃度という言葉で継続的に公表することが出来る。
【0037】
1種より多くの物質が凝縮する場合、電流曲線は、図8に示されているように、二つの力学的露点を単純に示す。測定露点をSO濃度に関係づける算法は、図10および11に示されている。図10は現実のSO濃度対温度であるが、図9は、400°Fより下の温度で測定した場合、露点が実際はHSOのものであることを示している。
【0038】
図11に示された注入ナトリウムの存在におけるように、ずっと高い温度での蓄積が生ずることが知られている場合を除いて、SO又は他の露点を捜し求めるために、冷気の上から下への使用により該形成温度を測定することが出来る。図11に示されているように、360°F〜530°Fの温度における蓄積が測定されるナトリウム操作の場合、その時我々は、350°Fより下で固体であるより高い温度での蓄積で被覆されないように、プローブ表面を急速に冷却することにより、動力学的露点に対する下から上への調査をする。図11に示されているように、重硫酸ナトリウムの場合、プローブの冷却が240〜260°FのSO露点より下に急速に下がるように制御する算法によりSOを測定し、それから重硫酸ナトリウムの存在を含むあらゆる沈着物の存在を該下から上への調査により測定する。
【0039】
特定の分子は、それらが固体相から液体相へ、液体相から蒸気相へ移る融点および沸点を有する。融点および沸点は任意の物質を識別するのに利用することが出来る。しかしながら一般に、それは純粋であるに違いない。例えば、空中における水の濃度は、その露点温度又はその湿球温度から測定することが出来る。
【0040】
露点は、表面が冷却されるに従って、水分の最初の小滴が現れる時の鏡面の温度として測定される。
【0041】
湿球温度(wb)は、空気が湿った芯を通過して通り越し、従って該芯が空気の飽和温度までの蒸発により冷却される時に、該湿った芯(即ち、小さな湿ったソックス型の覆い)内に挿入された温度計により測定される温度である。この様に該温度計は、水分を飽和空気中に蒸発させるような温度/蒸気圧駆動力が無いので、これ以上の蒸発が起こらない点まで該芯中の水が蒸発することにより冷却される。
【0042】
我々の動力学的露点プローブは、鏡面(図4に示されている)の加熱又は冷却される時の温度を測定する。このプローブは、凝縮物質の蒸発速度が凝縮速度と等しくなる温度を測定することが出来る。この転移は、凝縮物表面が加熱され続け、蒸発速度が凝縮速度より大きくなり、測定電流フローが減少し始める時に、起こる。電流におけるこの屈曲即ち最大に相当する温度が動力学的露点(Kdp)であり、それは加熱/冷却の速度や他の物理的な熱および質量拡散過程から独自に独立しており、それは該物質の分子特性(蒸気圧又は実際の分圧)である。これは、妨害凝縮性物質を有する複雑な多成分煙道ガスにおいては不可能な一定温度平衡露点を維持することとは異なる。
【0043】
この転移点は、図6に示されているように、プローブを加熱する時の凝縮物質の導電率を測定することにより測定される。図7に示されているように、凝縮物の形成又は蓄積が始まる温度までプローブをまず冷却することにより加熱サイクルを開始し、(今やプローブは加熱されつつあり、測定された凝縮物形成温度は、熱および質量拡散動力学の故に、該物質の露点より下であり)電流フローが増加し、動力学的露点温度(Kdp)の後で激減し、かくして減少すると共に、凝縮性物質は蓄積から変化する。表面導電率(電流フローとして測定される)を用いたこの動力学的なやり方は、温度の上昇に従って、電流フローの変化、特に電流フローの屈曲点を測定できるという利点を有する。この屈曲点は、飽和気体からの凝縮(又は沈着)速度が液体表面からの蒸発速度と等しくなる温度である、実際の露点である。
【0044】
クロマトグラフ分析法において液体の拡散速度は物質間で正しく区別するのに利用されており、今やここで我々は、多成分気体において任意成分の拡散を分離する手段として露点を測定することが出来る方法および装置を開示した。例えば、極低温まで冷却することにより空気のあらゆる成分およびその汚染物質を測定することが出来るが、一方非常に高い温度では金属の選択的凝縮を我々の装置により測定し制御することが出来る。
【0045】
図12におけるブロック線図は、我々のプローブ40を、我々の方法を使用する際、他の構成要素に接続されるように示している。電子制御単位装置51は、プローブの加熱および冷却、および電流フローを監視している。空気濾過単位装置56を通して空気供給プラント57に接続された空気供給単位装置52は、加熱空気および冷却空気を提供する。該電子制御単位装置は、煙道ガス中への添加剤の注入を制御するDCSコンピュータ・プラント59にも接続されている。この単位装置は本質的に最先端のデスクトップ・コンピュータであり、冷却/加熱サイクルを制御し凝縮性物質の存在およびそれらの濃度を識別するのに必要な凝縮物/電流および温度の測定のすべてを解明するために設けられている。該電子制御単位装置は、電気系統プラント54から電力を受けている。
【0046】
図13を参照しながら、ダクト60から煙道ガスの試料、即ち、スリップストリームを取り出し、その試料を調整して成分物質を分離するために使用できるシステムを、我々は提供する。該試料は該ダクトから取り出され、冷却部分61および加熱部分62を通して導かれ、該ガスを要望通り冷却又は加熱する。我々は、冷却又は加熱する前に該ガスを通すことが出来る慣性力フィルタ63を提供する方を好む。加熱又は冷却により調整されたガスは、次に連成弁64を通り及び図14に示されているような露点プローブ65又は66を過ぎて導かれる。該ガス試料を該システムに通して取り出す吸引力を作り出し、該ガスを該ダクトに通して戻すために、排出装置67が該システムに設けられている。このシステムを用いて、煙道ガスを要望通り選択的に加熱又は冷却することが出来る。
【0047】
図13に示されたシステムは、微粒子測度ガス状HSO(v)および全HSOを有する試料のスリップストリーム、および微粒子測度HSO(v)およびHSO(エアゾール化された)を除去するように濾過された他のスリップストリームに使用することが出来た。これらガス流の両方とも冷却部分61および加熱部分62を通って行く。これら部分の一方又は両方を停止させることが出来る。連成弁64は、該試料を露点モニター65、66の一方に導くか、又は各サイクルの後で交代させる。二つの試料を一つの露点モニターに多重送信することも出来るであろう。
【0048】
図13に示されたシステムは、ダクト中の速度(〜45 ft/min)を模倣するような、等速サンプリングを伴う、流れ、速度および圧力の制約に基づいて設計されている。該露点プローブは2インチの管接続を必要とする。該システムは、バランスのとれた煙道又は正圧単位装置中でサンプリングすることが出来る。該システムは、空気加熱器の前(600〜850°F)、空気加熱器とESPとの間(400〜300°F)、ESPの後(350〜200°F)、および排気筒内(100〜300°F)でサンプリングに使用することが出来る。冷却部分61は温度制御により煙道ガスを850から350°Fまで冷却することが出来る。加熱部分は温度制御により煙道ガスを100から600°Fまで加熱することが出来る。
【0049】
図14に示された調整用プローブ70においては、空洞71中に煙道ガスを引き込む圧力低下を作り出すために圧縮空気が注入される。かかる装置により作り出された圧力低下、従って流れの制約は、圧縮空気を原動力として利用する空気増幅器73を使用することにより克服することが出来る。該空気増幅器への圧縮空気圧を調整して等速流を確実にするためには、二重ピトー管(示されていない)を使用することも出来るであろう。プローブチップ65、66を横切って所望の流れパターンを作り出すために、流れ方向付け羽根74を使用することが出来る。該装置全体は、4インチのフランジ付きポート中に適合することが出来た。
【0050】
我々の方法は、煙道ガス中における凝縮性物質の濃度を測定するのにだけでなく、加熱炉の操作を制御してSOや他の凝縮性物質の形成速度を制御するのにも、有用である。その制御は、煙道ガス中への添加剤の注入を制御し、及び多分加熱炉操作の他の局面をも制御するであろうDCSコンピュータ・プラントの使用によって、成し遂げられるであろう。該コンピュータは、我々の方法を用いて見出されたSOの存在および濃度に基づいて、注入器又はバーナーに対して調整をする。我々の方法は、フィードバックを提供して、所定のプラント装置の操作温度を最小温度より上に制御し、汚損沈着物の凝縮および蓄積を避けることが出来る。これには、SCR操作温度を動力学的AbS凝縮温度より上に制御して触媒汚損を防ぐこと、および、空気加熱器出口温度を制御してAHおよびESPにおける汚損物質の凝縮を防ぐこと、が含まれる。
【0051】
我々は、熱力学的モデルの回転空気加熱器中への入力としてプローブフィードバックを利用し、それが金属表面温度を計算して、該金属温度が動力学的形成温度より低くなり得るから凝縮物が形成される深度(形成深度)、および、該金属温度が動力学的蒸発温度より高くなり得るから凝縮物自体がそれを超えて蒸発するその深度を測定することが出来る。次に我々は、これらの深度を調べて、それらが空気加熱器煤煙換気扇のきれいにすることが出来る範囲内にあるかどうかを、又それらが該煤煙換気扇のきれいにすることが出来る範囲を超えているかどうかを決め、金属表面温度を増加させてこれらの凝縮深度が該煤煙換気扇のきれいにすることが出来る深度内に入るように、空気加熱器出口温度を制御することが出来る。更に、空気加熱器操作のモデルと組み合わせたプローブデータを利用して、最大金属温度が凝縮性物質自体の蒸発に必要な温度より高くなるように、空気加熱器の回転速度をすぐに制御することが出来る。我々は、加熱コイル、エア・バイパス調整弁のような種々の手段を用いることにより、又凝縮物質自体が蒸発するように回転速度を制御することにより、空気加熱器内の種々の深さで空気加熱器最大温度を制御することが出来る。該プローブは熱力学的モデル中に該入力を提供し、該モデルの出力は必要なデータを提供してこれを制御する。
【0052】
我々の方法は、該燃焼システムの効率を増加させ、従って又発生する電気の単位当り発生するCO量を減少させるために、熱回収を最大にする(加熱速度を最小にする)ように空気加熱器出口温度を最適化するのに使用することが出来る。
【0053】
我々のプローブは、フィードバックを提供して煙道ガス調整システムを制御し、青い噴煙柱および硫酸ミスト(SAM)に関連する不透明度を抑制するようにESPの出口で硫酸およびSAMを最小にしながらESPの効率的な操作を確実にすることが出来る。
【0054】
我々は石炭を燃料とする加熱炉および煙道ガスの試験との関連で我々の方法およびプローブを論じてきたが、我々の方法はそのように限定されない。この方法およびプローブは、任意の多成分ガスにおけるあらゆる凝縮性物質にまで及ぶ。これは、掘削油やガス田で遭遇するガスおよび多成分ガスを含む、任意の化学的過程で創り出される又は見出されるガスを含み得るであろう。更に、本方法は、極低温の空気から高温の金属凝縮性ガスまで広い範囲の温度に亘って使用することが出来る。
【0055】
凝縮性物質を含有する気体に存在する凝縮性物質の量を測定するという我々のプローブおよび方法について、現在好ましい若干の態様を我々は説明したけれども、本発明がそれらに限定されずに別紙特許請求の範囲内で様々に具体化され得ることは、明確に理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮性物質を含有する気体中に存在する凝縮性物質の量を測定する方法であって、
非導電性外部表面上に複数の相隔たる接点を有するプローブを、凝縮性物質を含有する気体中に置き;
選択された時間にわたって、該非導電性外部表面を選択された加熱速度で加熱しその後に該非導電性外部表面を選択された冷却速度で冷却し;
該選択された時間にわたって、該接点間の電流の流れを監視し;
該選択された時間にわたって、該プローブの該非導電性外部表面の温度を監視し;
該選択された時間にわたる該電流の流れのプロットにおけるピークを識別し;
各ピークに対応する時刻に対する温度を識別し;及び
各々の識別された温度で、どの凝縮性物質が動力学的露点を有するかを相関させ;及び
各々の識別された凝縮性物質に対して、その物質に対する識別された温度を、その物質に対する露点温度と濃度との所定の相関関係と比較して、該気体中に存在するその凝縮性物質の量を測定する、
ことを含む、前記の方法。
【請求項2】
該プローブを1/2〜30分の時間加熱する、請求項1の方法。
【請求項3】
該プローブを1/2〜30分の時間冷却する、請求項1の方法。
【請求項4】
該気体が煙道ガスである、請求項1の方法。
【請求項5】
該凝縮性物質が重硫酸アンモニウム、重硫酸ナトリウム、三酸化硫黄、および水の少なくとも1種である、請求項4の方法。
【請求項6】
アンモニア、アンモニア化合物、カルシウム、カルシウム化合物、ナトリウム、ナトリウム化合物、マグネシウム、およびマグネシウム化合物から成る群から選択される添加剤を該煙道ガス流中に注入することを更に含む、請求項4の方法。
【請求項7】
識別される凝縮性化合物に基づいて該添加剤を選択する、請求項6の方法。
【請求項8】
請求項4の方法であって、
アンモニアが該煙道ガス中に注入されており及び重硫酸アンモニウムが該凝縮性化合物として識別されており、
該煙道ガスから重硫酸アンモニウムを最小にする又は除去するように、該アンモニアの注入を調整することを更に含む、前記の方法。
【請求項9】
請求項8の方法であって、
該アンモニアが種々のノズルを通して注入されており、
それらノズルのすべてを通るアンモニアの流れを変化させるようにそれらノズルの少なくとも一つを調整することを更に含む、前記の方法。
【請求項10】
該選択された時間の間、該選択された加熱速度を調整することを更に含む、請求項1の方法。
【請求項11】
該選択された時間の間、該選択された冷却速度を調整することを更に含む、請求項1の方法。
【請求項12】
請求項1の方法であって、
該気体が煙道ガスであり、及び、少なくとも1種の添加剤が少なくとも一つの注入器を通して該煙道ガス中に注入されており、
該煙道ガス中で検出されている少なくとも1種の凝縮性物質の濃度に応じて該少なくとも一つの注入器を調整することを含む、前記の方法。
【請求項13】
該気体が発電所(power generation plant)の煙道ガスである請求項1の方法であって、
所定のプラント装置の操作温度を、存在が検出された凝縮性物質の凝縮を避ける最小温度より上にあるように制御することを更に含む、前記の方法。
【請求項14】
該プラント装置が少なくとも一つの空気加熱器である、請求項13の方法。
【請求項15】
該空気加熱器の操作温度が熱回収を最大にするように制御される、請求項14の方法。
【請求項16】
該プローブが挿入される気体の温度より高い温度に該プローブを加熱することを更に含む、請求項1の方法。
【請求項17】
請求項1の方法であって、ナトリウムが該気体中に選択された速度で注入されており、
該気体中に存在することが検出されたナトリウム化合物凝縮性物質の濃度を測定した後でナトリウム注入速度を調整することを更に含む、前記の方法。
【請求項18】
三酸化硫黄が気体中に存在しているかどうかを判定する方法であって、
三酸化硫黄を含有しているかもしれない気体の試料を得;
該試料を500°Fより上の温度に加熱して、該試料中に存在するすべての微粒硫酸および煙霧質硫酸を分解蒸発させ;
すべての三酸化硫黄を硫酸に変換するために、該試料を400°Fより下の温度に冷却し;
非導電性外部表面上に複数の相隔たる接点を有するプローブを該試料中に置き;
選択された時間にわたって、該非導電性外部表面を選択された加熱速度で加熱しその後該非導電性外部表面を選択された冷却速度で冷却し;
該選択された時間にわたって、該接点間の電流の流れを監視し;
該プローブの該非導電性外部表面の温度を監視し;
該電流の流れのプロットにおいてピークが存在するかどうかを判定し;
各ピークに対応する温度を識別し;及び
識別された温度が硫酸の動力学的露点に相当するかどうかを判定する、
ことを特徴とする、前記の方法。
【請求項19】
該試料が加熱された後で冷却前に、灰微粒子を除去する慣性力濾過器に該試料を通過させ;及び
次に、600〜900°Fの範囲の温度で操作されている触媒性脱窒触媒に該試料を通過させる、
ことを更に含む、請求項18の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図5】
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【図11】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−60557(P2010−60557A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−187709(P2009−187709)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(509228787)
【Fターム(参考)】