説明

照射硬化可能な樹脂組成物及びそれを用いるラピッドプロトタイピング法

【課題】完全硬化の後に水分又は湿気に対して改善された耐性を示す樹脂組成物を提供する。
【解決手段】組成物の合計重量に対して、B10〜85重量%の、結合する脂肪族エステル基及び2つのシクロヘキセンオキシド基を有する、カチオン的に硬化可能な成分(成分A)以外のエポキシ基含有成分、C1〜50重量%の、メチレン基を介し水酸基、アルコキシ基、またはフェノキシ基を有する特定なオキセタン化合物成分、D1〜25重量%の多官能性アクリレート、Eラジカル光開始剤、及びFカチオン性光開始剤を含む照射硬化可能な組成物であって、組成物が化学線照射及び60分のUV後硬化による完全硬化の後に、(i)1000〜10000MPaの範囲の曲げ弾性率、を有するところの組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステレオリソグラフィーによる3次元の成型品の製造に特に適する照射硬化可能な組成物、硬化された製品の製造方法、そして特に、この組成物から優れた耐湿性を有する3次元の成型品をステレオリソグラフィー的に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステレオリソグラフィーによる複雑な形状の3次元製品の生産は、何年も前から公知である。この技術において、繰り返し交互に起きる一連の2つの工程(a)及び(b)により照射硬化可能な組成物から所望される成型された製品が作り上げられる。工程(a)において、照射硬化可能な組成物の層、その1つの境界は組成物の表面である、が、形成されるべき成型品の所望される断面領域(cross-sectional area)に相当する表面領域内で、適切なイメージング照射(imaging radiation)、好ましくはコンピュータで制御されたスキャニングレーザービームからのイメージング照射により硬化され、そして工程(b)において、硬化された層が照射硬化可能な組成物の新しい層で覆われ、そして所望される形のいわゆるグリーンモデルが完成するまで工程(a)及び(b)の連続が繰り返される。このグリーンモデルは、一般的に、まだ完全には硬化されておらず従って後硬化に付されうるが、そのような後硬化は必要とされない。
【0003】
同等の方法により、フォトポリマーがインクジェット又はマルチプルインクジェット法により像形成的に噴射されることができる。フォトポリマーを噴射する間、あるいはフォトポリマーが施与された後、重合化を開始するために化学暴露が付与され得る。多種多様な材料(例えば、非反応性のワックス、弱く反応するフォトポリマー、様々な物理的性質のフォトポリマー、様々な色又は色形成体を有するフォトポリマー等)が噴射あるいは施与され得、支持台又は代替の硬化された性質を付与する。
【0004】
グリーン強度(green strength)ともまた呼ばれる、グリーンモデルの機械的強度(弾性率、破壊応力(fracturestrength))はグリーンモデルの重要な性質を構成し、使用されたステレオリソグラフィー装置のタイプ及び部品造形の間に付与された暴露の程度と組み合わせて、使用されたステレオリソグラフィー樹脂組成物の性質により基本的に決定される。ステレオリソグラフィー樹脂組成物の他の重要な性質は、硬化の間に使用される照射の高い感度、及びグリーンモデルの高い形状定義(shape definition)を許す最小量のカール又は縮み変形を含む。さらに、例えば該方法の間にステレオリソグラフィー樹脂組成物の新しい層を被覆することが相対的に容易であるべきである。そしてもちろん、グリーンモデルばかりでなく最終的な硬化製品が最適な機械的性質を有するべきである。
【0005】
この技術領域における進歩は、ポリプロピレン及びエンジニアリングタイプのポリマーのような製品の材料の性質をよりよくシミュレートするために、よりよい機械的性質を有する組成物へ向かう。部品を作るための時間を減少させるために、より速い硬化及びプロセス速度に対する必要性もまた存在する。これは、高いエネルギー出力、非常に速いレーザースキャニング、及びより速い再コーティングプロセスを有する固体レーザー(solid state laser)を有する新しいステレオリソグラフィー機をもたらした。より古い従来の機械の200〜300mWに比較して、該新しい機械は約800mW以上の出力を有するUV光を供給する。スキャニング時間もまた3〜4倍短縮される。これらの高い出力、高いスキャニングスピード、及び短い再コーティング時間は、樹脂及び部品の造形中の重合化発熱のためにより高い温度をもたらす。典型的な温度は50〜90℃の値まで上昇し、それは部品のゆがみ及び過剰な色の発現に繋がる。
【0006】
該進歩は、他の成分例えばポリオール、アクリレート、及びグリシジルエーテルとともに実質的な量の3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを有する組成物をもたらした。そのような組成物の例は例えば米国特許第5,476,748号において見出されることができる。そのような組成物の欠点は、湿気の高い環境に付されたとき、あるいは長時間水に浸されたとき、硬化された部品の機械的性質が劣ることである。
【0007】
日本特開平11−199647号は、オキセタン、38〜50重量%の3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及び35重量%超のアクリレートを含むハイブリッド型組成物の例を示す。これらの組成物は、グリーンモデル部品が、高出力固体ステレオリソグラフィー装置において製造されたとき、受容され得ない高いゆがみを示し、そのことにより該部品もまた水及び高い湿気に非常に敏感であるという欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の目的
完全硬化の後に水分又は湿気に対して改善された耐性を示す樹脂組成物を提供することが本発明の目的である。
【0009】
長い時間、水又は高湿度の条件に付されたとき、その機械的性質を実質的に保つ樹脂組成物から製造された物を提供することはもう1つの目的である。
【0010】
固体レーザーステレオリソグラフィー機械において容易に使用されることのできる樹脂組成物を提供することもまた本発明の目的である。
【0011】
ステレオリソグラフィー機械で硬化されたとき、優れた機械的性質(例えば弾性率、アイゾッド、及び可撓性)及び低いカール挙動を示す樹脂組成物を提供することは本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明のまとめ
本発明は
A0〜29重量%の、結合する脂肪族エステル基を有する、カチオン的に硬化可能な成分
B10〜85重量%の、A以外のエポキシ基含有成分
C1〜50重量%の、オキセタン基含有成分
D1〜25重量%の多官能性アクリレート
Eラジカル光開始剤
Fカチオン性光開始剤
を含む照射硬化可能な組成物に関する。
【0013】
結合する脂肪族エステル基を有する、カチオン的に硬化可能な成分とは、カチオン的に硬化可能な官能基を少なくとも2つ、及び1つのエステル基を有する成分であり、該エステル基は2つのカチオン的に硬化可能な官能基の間に存在し、両側で脂肪族炭素原子に結合されている。該少なくとも2つの、カチオン的に硬化可能な官能基は、同じであるか又は異なっていてもよい。カチオン的に硬化可能な官能基の例は、エポキシ、オキセタン、及び水酸基である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい実施態様は、組成物の合計に対して、
A0〜25重量%の、結合するエステル基及び2つのシクロヘキセンオキシド基を有する成分
B10〜80重量%の、A以外のエポキシ基含有成分
C1〜50重量%の、オキセタン基含有成分
D1〜25重量%の多官能性アクリレート
E0.1〜10重量%のラジカル光開始剤
F0.1〜10重量%のカチオン性光開始剤
を含む照射硬化可能な組成物を含み、ここで該組成物の層を形成する工程及び該組成物の該層を選択的に化学線で照射する工程を繰り返し、続いて後硬化装置において60分間後硬化し、続いて該製品を20℃の温度及び相対湿度、RH,80%において48時間、コンディショニングすることにより得られる光造形された製品は、以下の性質、
(i)500〜10000MPaの範囲の曲げ弾性率
(ii)少なくとも3%の破断時平均伸び、及び/又は
(iii)少なくとも25MPaの引張強度
の少なくとも1つを有する。
なお本明細書中、「曲げ弾性率」、「平均伸び」、「引張強度」は、実施例に記載の方法により測定されるものをいう。
【0015】
本発明の異なる実施態様は、オキセタン、グリシジルエーテル、カチオン性光開始剤を含む照射硬化可能な組成物に関し、ここで該組成物は、化学線照射及び60分のUV後硬化で厚さ5.5mm、幅12.5mm、及び長さ150mmのおよその大きさを有する曲げ棒(flexural bar)へと硬化され、そして該物体はFwet/Fdry>0.5の比を有する。ここでFdryは硬化後の曲げ棒の曲げ弾性率であり、Fwetは硬化、そして該物体が20℃の水に48時間に浸される水処理後の曲げ棒の曲げ弾性率である。
【0016】
更なる実施態様において、本発明は、オキセタン、グリシジルエーテル、カチオン性光開始剤を含む照射硬化可能な組成物を特徴とし、ここで該組成物は化学線照射及び60分のUV後硬化の後に以下の性質、
(i)長さ15cm、高さ0.55cm、及び幅1.25cmを有する部品を48時間及び20℃の温度、相対湿度80%においてコンディショニングした後、1重量%未満の水吸収、
(iii)500〜1000MPaの範囲の曲げ弾性率、及び
(iii)少なくとも3%の破断時平均伸び
を示す。
【0017】
好ましくは、該照射硬化可能な組成物は、オキセタン、グリシジルエーテル、カチオン性光開始剤、0〜20重量%の、結合する脂肪族エステル基を有するカチオン的に硬化可能な成分を含み、ここで該組成物は化学線照射及び60分のUV後硬化による完全硬化の後に以下の性質、
(i)1000〜10000MPaの範囲の曲げ弾性率、
(ii)少なくとも4%の平均破断時伸び、及び
(iii)少なくとも25MPaの引張強度
の少なくとも1を有する。
【0018】
本発明は、本組成物を硬化させるための方法、例えばラピッドプロトタイピング法をもまた提供する。さらに本発明はそのような方法によって得られた物体、例えば3次元の物体を提供する。
【0019】
本発明の詳細な説明
いかなる特定の理論によっても制限されることを希望しないが、結合する脂肪族エステル基を分子内に有する成分の高い量の存在は、該組成物の硬化後の物体中に化学架橋を形成し、該物体の耐水蒸気(例えば水)性にとって好ましくない可能性があると思われる。そのような脂肪族エステル基は、酸の存在下、加水分解的に不安定であると思われ、水又は高湿度の条件に、より長い期間、及び/又はより高い温度において付された後、機械的強度の損失をもたらし得る。従って本発明は、制限された量の、そのような脂肪族エステル基を有するカチオン的に硬化可能な成分を含む照射硬化可能な組成物に関する。
【0020】
(A)カチオン的に重合化可能な成分
本発明は、カチオン的に重合化可能な成分として少なくとも1のエポキシド基含有化合物を含む。
【0021】
エポキシ物質ともまた呼ばれるエポキシド含有物質は、カチオン的に硬化可能であり、カチオン的に硬化可能によりエポキシ基の重合化及び/又は架橋及び他の反応がカチオンにより開始され得ることが意味される。これらの物質はモノマー、オリゴマー、又はポリマーであり得、「樹脂」と呼ばれることもある。そのような物質は脂肪族、芳香族、環状脂肪族、芳香脂肪族、又はへテロ環構造を有し得る。それらはエポキシド基を側基又は脂環式又は複素環式リングシステムの一部を形成する基としてエポキシド基を含むことができる。それらのタイプのエポキシ樹脂は、一般的に公知であるもの及び市販入手可能なものを含む。
【0022】
該組成物は1以上のエポキシ樹脂を含み得る。好ましくは、該組成物は、物質の組み合わせが液体であるように、少なくとも1の液状成分(室温、23℃において)を含む。従ってエポキシド含有物質は好ましくは単独の液状のエポキシ物質、液状のエポキシ物質の組み合わせ、又は液状のエポキシ物質及び該液体に可溶である固体のエポキシ物質の組み合わせである。しかしある種の他の好ましい実施態様、例えばエポキシド物質が該組成物の他の成分に可溶である実施態様においては、該エポキシド物質は、室温において固体である物質のみから構成され得る。また、固体組成物が使用されるとき、該組成物は使用の前又は間に溶融され得る。せん断(shear)がない場合は相対的に高い粘度を示すが、せん断の間及び(少し後)にずっと低い粘度を示すシアシニング(shear thinning)性組成物を使用することもまた可能である。
【0023】
結合する脂肪族エステル基を有するエポキシ基含有成分の量は、好ましくは組成物の合計重量の25重量%より下である。好ましくは、結合する脂肪族エステル基を有するエポキシ基含有成分の量は、組成物の合計重量の20重量%より下、より好ましくは15重量%より下である。
【0024】
1つの実施態様において、エステル結合する基を有する、カチオン的に硬化可能な化合物の量は、合計組成物の100グラムにつき当量又はミリ当量エステル基に換算して記載され得る。組成物のエステルミリ当量は以下の式により計算される。
【0025】
【数1】




【0026】
ここでwt%=合計組成物に対する成分Zの重量%、N=成分Zの結合するエステル基の数、及びMwtは成分Zの分子量である。
【0027】
合計組成物のエステルミリ当量は、結合するエステル基を有するカチオン的に硬化可能な成分の個々のミリ当量数を合計することにより計算される。
【0028】
組成物中の結合するエステル基のミリ当量は、好ましくは100gの組成物当たり100meqのエステル結合より下である。より好ましくは、結合するエステル基の量は100gの組成物当たり50meqより下である。最も好ましくは(加水分解の安定性の観点において)結合するエステル基の量は100gの組成物当たり25meqより下である。
【0029】
部品のさらに改善された加水分解安定性のため、該組成物は結合する脂肪族エステル基を有するカチオン的に硬化可能な化合物を有しないことが好ましい。
【0030】
結合する脂肪族エステル基を有するエポキシ基含有成分の例は、結合する脂肪族エステル基及び2つのシクロヘキセンオキシド基を有する成分、例えば3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、ジ(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及びエチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)である。
【0031】
好ましくは、本発明の組成物は実質的な量のエポキシ物質(成分B)を結合する脂肪族エステル基を有するエポキシ基含有成分以外に含む。
【0032】
適切な(成分B)エポキシ物質の例は、芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジル及びポリ(メチルグリシジル)エステル、又はポリエーテルのポリ(オキシラニル)エーテルを含む。芳香族ポリカルボン酸の例はフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、又はピロメリット酸である。ポリエーテルは例えばポリ(テトラメチレンオキシド)であり得る。
【0033】
適する(成分B)エポキシ物質は、少なくとも1の遊離のアルコール性ヒドロキシ基及び/又はフェノール性のヒドロキシ基、及び適切に置換されたエピクロルヒドリンを有する化合物の反応により得られ得るポリグリシジル又はポリ(−メチルグリシジル)エーテルをもまた含む。該アルコールは非環式アルコール、例えばC2〜C30のアルカノール、アルコキシル化されたアルコール、ポリオール例えば1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びより高次のポリ(オキシエチレン)グリコール;環状脂肪族、例えば1,3−又は1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2―ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、又は1,1−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキセ−3−エンであり得;又は芳香族核、例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン又はp、p’―ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンを含む。
【0034】
他の適する(成分B)エポキシ化合物は、単核フェノール、例えばレゾルシノール又はハイドロキノンから誘導され得るものを含むか、あるいは多核フェノール、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)S(ビスフェノールS)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、アルコキシル化ビスフェノールA、F、又はS、トリオール延長されたビスフェノールA,F又はS、及び臭素化ビスフェノールA、F、又はS;フェノール及びペンダント状の基及び鎖を有するフェノールのグリシジルエーテル;又はフェノール又はクレゾールとホルムアルデヒドの酸性条件下で得られ得る縮合生成物、例えばフェノールノボラック及びクレゾールノボラック、並びにジシクロペンタジエン骨格フェノールグリシジルエーテル及びトリス(ヒドロキシフェニル)メタンベースのエポキシに基づき得る。
【0035】
適切な(成分B)エポキシ物質は、例えば少なくとも2のアミン水素原子を含むアミン、例えばn−ブチルアミン、アニリン、トルイジン、m−キシレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン又はビス(4−メチルアミノフェニル)メタンとエピクロルヒドリンとの反応生成物の脱塩化水素により得られ得るポリ(N−グリシジル)化合物をもまた含む。適するポリ(N−グリシジル)化合物は、シクロアルキレンウレア、例えば、エチレンウレア、又は1,3−プロピレンウレアのN,N’―ジグリシジル誘導体、及びヒダントインのN,N’―ジグリシジル誘導体例えば5,5’―ジメチルヒダントインをもまた含む。
【0036】
適する(成分B)エポキシ物質の例は、ジチオール、例えばエタン−1,2−ジチオール又はビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルから誘導されるS−グリシジル誘導体であるところのポリ(S−グリシジル)化合物を含む。
【0037】
好ましい成分Bエポキシは飽和及び不飽和のビスフェノールA,F,及びSのグリシジルエポキシド、例えばアルコキシル化ビスフェノールA,F,及びS,トリオール延長されたビスフェノール,及び臭素化ビスフェノール;C2−C30アルキルのグリシジルエーテル;C3−C30アルキルの1,2エポキシド、例えばテトラデカンオキシド;フェノール及びペンダント状基及び鎖を有するフェノールのグリシジルエーテル;アルコール及びポリオール、例えば1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール,シクロヘキサンジメタノール,ジブロモネオペンチルグリコール,トリメチロールプロパン,ポリ−THF,ポリエチレンオキシド,プロプロピレンオキシド,グリセロール,及びアルコキシル化アルコール及びポリオールのモノ及びマルチグリシジルエーテルである。また好ましいのは、エポキシ化されたフェノール性、クレゾール性及びビスフェノールベースのノボラック、並びに,ジシクロペンタジエン骨格フェノールグリシジルエーテル及びトリス(ヒドロキシフェニル)メタンベースのエポキシである。
【0038】
好ましいエポキシドの他の例は、オルト−グリシジルフェニルグリシジルエーテル、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、フロログルシノール及び置換されたフロログルシノールのトリグリシジルエーテル、2,6−(2,3−エポキシプロピル)フェニルグリシジルエーテル、ビスフェノールヘキサフルオロアセトンのジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナデカンのジグリシジルエーテル、4,4−ビス(2,3−エポキシプロピル)フェニルエーテル、テトラクロルビスフェノールAのジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルのトリグリシジルエーテル、テトラグリシドキシビフェニル、ビスレゾルシノールFのテトラグリシジルエーテル、レゾルシノールケトンのテトラグリシジルエーテル、3,9−ビス[2−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリグリシドキシ−1,1,3−トリフェニルプロパン、テトラグリシドキシテトラフェニルエタン、1,3−ビス[3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピル]テトラメチルジシロキサン、ポリエピクロルヒドリンジ(2,3−エポキシプロピルエーテル、ポリアリルグリシジルエーテル、エポキシ化環状シラン、例えば2,4,6,8,10−ペンタキス[3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピル]−2,4,6,8,10−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、クロレンジックジオールのジグリシジルエーテル、ジオキサンジオールのジグリシジルエーテル、エンドメチレンシクロヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、2,2−ビス[4−2,3エポキシプロピル]シクロヘキシル)プロパン、1,1,1−トリス(パラーヒドロキシフェニル)エタングリシジルエーテル及び2,2−(4−[3−クロロ−2−(2,3−エポキシプロポキシ)プロポキシル]シクロヘキシル)プロパンである。
【0039】
好ましい成分B環状脂肪族エポキシドの例は、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンオキシド及びジオキシド、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エタンジオールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエンジオキシド、1,2―エポキシ−6−(2,3−エポキシプロポキシ)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、パラ−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル)、エポキシジシクロペンテニルフェニルグリシジルエーテル、オルト−エポキシシクロペンテニルフェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールのビスエポキシジシクロペンチルエーテル及び2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル‐5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン‐メタ‐ジオキサンである。
【0040】
エポキシ物質は、広い範囲に渡って変動する分子量を有しうる。一般的に、エポキシ当量重量、即ち反応性エポキシ基の数により割られた数平均分子量は好ましくは60〜1000の範囲である。
【0041】
好ましくは、本発明の組成物は1より大きい、好ましくは1.5より大きい、より好ましくは2より大きいグリシジルエーテル:結合する脂肪族エステル基を有するエポキシ基含有成分の比を有する。
【0042】
本発明の組成物は好ましくは、該組成物の合計に対して10〜85重量%、より好ましくは20〜80重量%、最も好ましくは30〜75重量%のグリシジルエーテル化合物を含む。
【0043】
(C)オキセタン基含有成分
本発明の組成物は好ましくはオキセタンを含む。グリシジルエーテルと組み合わせたオキセタンの存在は、グリシジルエーテルのみを有しオキセタンを有しない組成物に対して該組成物の硬化の速度を高める。従って、本発明の樹脂組成物は固体レーザーを有する高出力ステレオリソグラフィー機械において有利に使用され得る。また、オキセタンの存在は該組成物から製造された物の可撓性を改善する。さらに、驚いたことにオキセタンの存在は物の形成の高い正確性、部品製造中のより少ないカーリング及び変形を与えることが見出された。意外なことに、部品のグリーン強度はオキセタンが1〜29重量%の範囲で組成物中に存在するときかなり増加することもまた見出された。
【0044】
驚いたことに、オキセタン:グリシジルエーテルのモル比は、もしオキセタン:グリシジルエーテルのモル比が0.1〜1.5、より好ましくは0.2〜1.0であるならば反応性の観点から好ましいことが見出された。この範囲内において、該組成物の化学線に対する予想外に高い反応性が観察される。
【0045】
オキセタン化合物は、以下の式(1)により示される少なくとも1つのオキセタン環を含む。
【0046】
【化1】




【0047】
オキセタン化合物は、カチオン的に重合化可能な光開始剤の存在下、光による照射により重合化又は架橋されることができる。オキセタン又はオキセタン化合物は1以上のオキセタン環を含み得る。
【0048】
1のオキセタン環を分子内に有するオキセタンの例は以下の式(2)により示される:
【0049】
【化2】




【0050】
ここでZは酸素原子又は硫黄原子をあらわす:R1は水素原子、弗素原子、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基、1〜6の炭素原子を有するフルオロアルキル基、例えばトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、及びパーフルオロプロピル基、6〜18の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基、及びナフチル基、フリル基又はチエニル基を表す;そしてR2は水素原子、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基、2〜6の炭素原子を有するアルケニル基、例えば1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−プロペニル基、2−メチル‐1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、及び3−ブテニル基、6〜18の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、及びフェナントリル基、7〜18の炭素原子を有する置換された又は非置換のアラルキル基、例えばベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、エトキシベンジル基、他の芳香環を有する基、例えばアリールオキシアルキル例えばフェノキシメチル基及びフェノキシエチル基、2〜6の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、例えばエチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、2〜6の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基、例えばエトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、2〜6の炭素原子を有するN−アルキルカルバモイル基、例えばエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基、又は2〜1000の炭素原子を有するポリエーテル基を表す。
【0051】
分子内に2つのオキセタン環を有するオキセタン化合物の例は、以下の式(3)により示される化合物である。
【0052】
【化3】

【0053】
ここでR1は、式(2)に対して定義されたのと同じである;R3は1〜20の炭素原子を有する直線又は分岐のアルキレン基、例えばエチレン基、プロピレン基、及びブチレン基、1〜120の炭素原子を有する直線又は分岐のポリ(アルキレンオキシ)基、ポリ(エチレンオキシ)基及びポリ(プロピレンオキシ)基、直線又は分岐の不飽和炭化水素基、例えばプロペニレン基、メチルプロペニレン基、及びブチレン基を表す;そしてR3は以下の式(4)、(5)、及び(6)により示される基から選択される多価基であり得る。
【0054】
【化4】



【0055】
ここでR4は1〜4の炭素原子を有するアルキル基、1〜4の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、例えば塩素原子又は臭素原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、又はカルバモイル基を表し、Xは0〜4の整数である;
【0056】
【化5】




【0057】
ここでR5は酸素原子、硫黄原子、メチレン基、-NH-、-SO-、S02-、-C(CF3)2-、又は-C(CH3)2-を表す;
【0058】
【化6】




【0059】
ここでR6は1〜4の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜18の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基、又はナフチル基を表し、yは0〜200の整数であり、そしてR7は1〜4の炭素原子を有するアルキル基、6〜18の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基又はナフチル基、又は以下の式(7)により示される基を表す;
【0060】
【化7】



【0061】
ここで、R8は1〜4の炭素原子を有するアルキル基又は6〜18の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基又はナフチル基を表し、zは0〜100の整数である。
【0062】
分子内に2つのオキセタン環を有する化合物の具体例として、以下の式(9)及び(10)により示される化合物が与えられる。
【0063】
【化8】




【0064】
【化9】




【0065】
式(10)において、R1は上の式(2)に対して定義されたのと同じである。
【0066】
分子内に3以上のオキセタン環を有する化合物の例は式(11)により表される化合物である:
【0067】
【化10】




【0068】
R1は上の式(2)に対して定義されたのと同じである;R9は3〜10の原子価を有する有機基を表す。
【0069】
3以上のオキセタン環を分子内に有する化合物の具体例は以下の式(18)により示される化合物である:
【0070】
【化11】




【0071】
以下の式(19)により示される化合物は1〜10のオキセタン環を含み得る;
【0072】
【化12】



【0073】
ここでR1は式(2)に対して定義されたのと同じである、R8は式(7)に対して定義されたのと同じである、R11は1〜4の炭素原子を有するアルキル基又はトリアルキルシリル基(ここで各アルキル基は個々に1〜12の炭素原子を有するアルキル基である)、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、又はトリブチルシリル基を表し、rは1〜10の整数である。
【0074】
さらに上述された化合物以外に、1,000〜5,000の、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算された数平均分子量を有する化合物がオキセタン化合物(A)の例として与えられることができる。そのような化合物の例として以下の式(20)、(21)、及び(22)により示された化合物が与えられ得る:
【0075】
【化13】




【0076】
ここでpは20〜200の整数である:
【0077】
【化14】



【0078】
ここでqは15〜100の整数である:
【0079】
【化15】




【0080】
ここでsは20〜200の整数である。
【0081】
上述されたオキセタン化合物の具体例は下に与えられる。
【0082】
分子内に1つのオキセタン環を含む化合物:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン,3−(メタ)アリロキシメチル−3−エチルオキセタン,(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン,(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ベンゼン,4−フルオロ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン,4−メトキシ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン,[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル,イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル。
【0083】
分子内に2以上のオキセタン環を含む化合物:
3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン,3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン),1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン,1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン,1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン,エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン,1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン,ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,カプロラクトン−変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,カプロラクトン−変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,EO−変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,PO−変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,EO−変性水素化ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,PO−変性水素化ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,EO−変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル。
【0084】
これらの化合物は個別にあるいは2以上の組み合わせで使用されることができる。
【0085】
好ましいオキセタンは、式2により定義された成分からなる群から選択され、ここでRはC1〜C4のアルキル基、Z=酸素及びR=H、C1〜C8のアルキル基、又はフェニル基である;3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン,(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン,(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ベンゼン,2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン,1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン,1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン,エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル及びビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル。
【0086】
オキセタン化合物は個別にあるいは2以上の組み合わせで使用されることができる。
【0087】
本発明の樹脂組成物におけるオキセタン化合物の含有量は合計組成物に対して好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜29重量%、いっそうより好ましくは10〜25重量%である。
【0088】
本発明の組成物において使用され得る他のカチオン的に重合化可能な成分は、例えば環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物、及びビニルエーテル化合物を含む。
【0089】
本発明に従う組成物においてカチオン的に重合化可能成分の混合物を使用することはもちろん可能である。
【0090】
本発明の組成物は好ましくは、該組成物の合計重量に対して少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも60重量%のカチオン的に硬化可能な成分を含む。
【0091】
好ましくは本発明の組成物は該組成物の合計重量に対して、95重量%未満、より好ましくは90重量%未満のカチオン的に硬化可能な成分を含む。
【0092】
(D)多官能性アクリレート化合物
本発明の組成物は、ラジカル的に重合化可能な化合物をもまた含み得る。ラジカル的に重合化可能な化合物の適する例は、1以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、例えばアクリレート又はメタクリレート基を有する化合物である。
【0093】
単官能性のエチレン性不飽和化合物の例は、アクリルアミド,(メタ)アクリロイルモルホリン,7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート,イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド,イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート,イソボルニル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート,エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート,t−オクチル(メタ)アクリルアミド,ジアセトン(メタ)アクリルアミド,ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート,ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート,ラウリル(メタ)アクリレート,ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート,ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート,ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート,N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドテトラクロロフェニル(メタ)アクリレート,2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート,テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート,テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート,2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート,2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート,トリブロモフェニル(メタ)アクリレート,2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,ビニルカプロラクタム,N−ビニルピロリドン,フェノキシエチル(メタ)アクリレート,ブトキシエチル(メタ)アクリレート,ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート,ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート,ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート,ボルニル(メタ)アクリレート及びメチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレートを含む。
【0094】
ラジカル的に重合化可能な多環式化合物の例は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート,トリエチレングリコールジアクリレート,テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート,トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,エチレンオキシド(以後”EO”と省略され得る)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロピレンオキシド(以後”PO”と省略され得る)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート,ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート,ビスフェノールAグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸のアダクト,1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート,1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート,ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート,ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート,EO−変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート,PO−変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート,EO−変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート,PO−変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート,EO−変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート,フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレートなどを含む。
【0095】
好ましいラジカル的に重合化可能な化合物はビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート及びモノアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシル化ジアクリレート及びイソボルニルアクリレートから成る群から選択される。
【0096】
上述されたラジカル的に重合化可能な各化合物は、個別に又は2以上の組み合わせあるいは少なくとも1のモノ官能性モノマー及び少なくとも1の多官能性モノマーの組み合わせにおいて使用され得る。
【0097】
本発明の光硬化可能な樹脂組成物において使用され得るラジカル的に重合化可能な化合物の含有量は、通常0〜45重量%、好ましくは3〜35重量%である。好ましくは2〜6の官能性を有する多官能性アクリレートが合計組成物に対して1〜30、より好ましくは2〜20、最も好ましくは3〜15重量%の量において本発明の組成物において使用される。
【0098】
(E)ラジカル光開始剤
本発明の組成物は1以上のフリーラジカル光開始剤を使用し得る。光開始剤の例は、ベンゾイン類、例えばベンゾイン、ベンゾインエーテル類、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、及びベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、及びベンゾインアセテート、アセトフェノン類、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシアセトフェノン,4−(フェニルチオ)アセトフェノン、及び1,1−ジクロロアセトフェノン、ベンジル類、ベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタール、及びベンジルジエチルケタール、アントラキノン類、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tertブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、及び2−アミルアントラキノン、また、トリフェニルホスフィン、ベンゾイルホスフィンオキシド、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(LucirinTPO)、ベンゾフェノン類、例えばベンゾフェノン、ジメトキシベンゾフェノン、ジフェノキシベンゾフェノン、及び4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、チオキサントン類及びキサントン類、アクリジン誘導体類、フェナゼン誘導体類、キノキサリン誘導体類又は1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、1−アミノフェニルケトン類又は1−ヒドロキシフェニルケトン類、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニル(1−ヒドロキシイソプロピル)ケトン及び4−イソプロピルフェニル(1−ヒドロキシイソプロピル)ケトン、又はトリアジン化合物、例えば、4’’’−メチルチオフェニル−1−ジ(トリクロロメチル)−3,5−S−トリアジン、S−トリアジン−2−(スチルベン)−4,6−ビストリクロロメチル、及びパラメトキシスチリルトリアジンを含み、そのすべては公知物質である。
【0099】
照射源として例えば325nmにおいて動作する(operating)He/Cdレーザー、351nm、又は351nmおよび364nm又は333nm、351nm、及び364nmにおいて動作するアルゴンイオンレーザー、又は351又は355nmの出力を有する周波数3倍YAG固体レーザーと組み合わせて通常使用される、特に適するフリーラジカル光開始剤は、アセトフェノン類、例えば2,2-ジアルコキシベンゾフェノン及び1-ヒドロキシフェニルケトン,例えば1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン,2-ヒドロキシ-1-{4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}-2-メチル-1-プロパノン,ベンゾフェノン,又は2-ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン(2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルアセトフェノンともまた呼ばれる)であるが、特に1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。フリーラジカル光開始剤のもう1つのクラスはベンジルケタール類,例えばベンジルジメチルケタールを含む。
【0100】
特にアルファーヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール又は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが光開始剤として使用され得る。
【0101】
適するフリーラジカル光開始剤のもう1つのクラスは、イオン性色素−カウンターイオン化合物を含み、該イオン性色素−カウンターイオン化合物は化学線を吸収し、そしてフリーラジカルを生成することができ、該フリーラジカルはアクリレートの重合化を開始させることができる。イオン性色素−カウンターイオン化合物を含む本発明に従う組成物は、従って400〜700ナノメーターの範囲の調節可能な波長における可視光を使用してより変動可能な方法において硬化され得る。イオン性色素カウンターイオン化合物及びその作用の態様は、例えば公開された欧州特許出願第223587号及び米国特許第4,751,102号、4,772,530号及び4,772,541号から公知である。
【0102】
適するイオン性色素−カウンターイオン化合物の例として、以下の式(10)のアニオン色素−ヨウドニウムイオン錯体、アニオン性色素−ピリリウムイオン錯体及び特にカチオン性色素−ホウ酸アニオン化合物が挙げられ得る。
【0103】
【化16】







【0104】
ここで、Dはカチオン性色素であり、R12,R13,R14,及びR15はそれぞれ他から独立してアルキル、アリール、アルアリール、アリル、アラルキル、アルケニル、脂環式、又は飽和又は不飽和の複素環基である。ラジカルR12〜R15の好ましい定義は、例えば公開された欧州特許出願第223587号において見出されうる。
【0105】
好ましいフリーラジカル光開始剤は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパ‐1−オン、2,2−ジメトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドを含む。単独での又は互いの組み合わせにおけるこれらの光開始剤は、相対的により少なく黄化(yellowing)する傾向がある。
【0106】
好ましくは、本組成物は、該組成物の合計重量に対して、0.1〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%の1以上のフリーラジカル光開始剤を含む。
【0107】
(F)カチオン性光開始剤
本発明に従う組成物において、化学線に暴露されると、カチオン的に重合化可能な化合物、例えばエポキシ物質の反応を開始するカチオンを形成する任意の適するタイプの光開始剤が使用され得る。多くの、適切である、公知かつ技術的に証明されているカチオン性光開始剤がある。それらは例えば弱い親核性のアニオンを有するオニウム塩を含む。ハロニウム塩の例は、ヨードシル塩又はスルホニウム塩例えば公開された欧州特許出願公開第153904号及び国際公開第98/28663号において記載されるもの、スルホキソニウム塩、例えば公開された欧州特許出願第35969号、44274号、54509号及び164314号において記載されたもの、又はジアゾニウム塩、例えば米国特許第3,708,296号及び5,002,856号において記載されたものである。これらの開示の8つのすべては参照することにより完全に本明細書に取り込まれる。他のカチオン性光開始剤は、メタロセン塩、例えば公開された欧州特許出願第94914号及び94915号において記載されたものであり、該出願は両者とも参照することにより本明細書に完全に取り込まれる。
【0108】
他の慣例のオニウム塩開始剤及び/又はメタロセン塩の研究は、「UV硬化、科学及び技術(UV Curing, Science and Technology)」、(S. P.Pappas編集、テクノロジーマーケティング社(Technology MarketingCorp.)、アメリカ合衆国、コネチカット州、スタンフォード、ウェストオーバーロード642番、(642WestoverRoad, Stamford,Conn., USA)又は「コーティング、インク、及び塗料のためのUV及びEB配合の化学及び技術(Chemistry & Technology of UV & EB Formulation forCoatings,Inks & Paints)」、 第3巻(P. K. T. Oldring編集)において見出され、そして両方の本は参照することにより完全に本明細書に取り込まれる。
【0109】
好ましい開始剤は、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩などを含む。典型的な光重合化開始剤は、以下の式(8a)及び(8b)により表される:
【0110】
【化17】




【0111】
【化18】




【0112】
ここで、
は水素原子、1〜18の炭素原子を有するアルキル基、又は1〜18の炭素原子を有するアルコキシル基を表す;
Mは金属原子、好ましくはアンチモニーを表す;
Zはハロゲン原子、好ましくは弗素を表す、及び
tは金属の原子価、例えばアンチモニーの場合6である。
【0113】
好ましいカチオン性光開始剤は、ヨードニウム光開始剤、例えばヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを含む、なぜなら特に感光剤例えば、n−エチルカルバゾールと組み合わせて使用されたとき、それらはより少なく黄化する傾向があるからである。
【0114】
光効率を増加させるため、あるいはカチオン性光開始剤を特定の波長、例えば特定のレーバー波長あるいは特定のシリーズのレーザー波長に対して敏感にするため、開始剤のタイプに依存して、増感剤を使用することもまた可能である。例は多環式芳香族炭化水素、又は芳香族ケト化合物である。好ましい増感剤の具体的な例は、公開された欧州特許出願第153904において挙げられている。他の好ましい増感剤は、ベンゾペリレン、1,8−ジフェニル−1,3,5,7−オクタテトラエン,及び米国特許第5,667,937号に記載される1,6−ジフェニル−1,3,5−ヘキサトリエンであり、該米国特許第5,667,937号は参照することにより完全に本明細書に取り込まれる。増感剤の選択における追加の因子は、化学線の源の性質及び1次波長であることが理解される。
【0115】
好ましくは本発明の組成物は、該組成物の合計重量に対して、0.1〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%の1以上のカチオン性光開始剤を含む。
【0116】
(G)ヒドロキシ官能性成分
公知の組成物の大部分はヒドロキシ官能性化合物を使用して、該組成物から製造される部品の性質を向上させている。驚いたことに、エポキシ、オキセタン、又はアクリレートなどの他のカチオン的に重合化可能な官能基を有しないヒドロキシ官能性化合物の存在は、優れた機械的性質を有する部品を得るために、本発明の組成物において必要とされないことが見出された。それにもかかわらず、本組成物は適するフリーラジカルではない重合化可能なヒドロキシ官能性化合物を含み得る。
【0117】
本発明において使用され得るヒドロキシ含有物質は、少なくとも1のヒドロキシ官能性を有する任意の適する有機物質であり得る。該物質は好ましくは、硬化反応を妨げるいかなる基も、あるいは熱的あるいは光分解的に不安定であるいかなる基をも実質的に含まない。
【0118】
任意のヒドロキシ基が特定の目的の為に使用され得る。好ましくはヒドロキシル含有物質は、1以上の1級又は2級の脂肪族ヒドロキシルを含む。ヒドロキシル基は、分子の内部又は末端にあり得る。モノマー、オリゴマー、又はポリマーが使用され得る。ヒドロキシル当量重量、即ちヒドロキシル基の数で割られた数平均分子量、は好ましくは31〜5000の範囲である。
【0119】
1のヒドロキシル官能性を有するヒドロキシル含有物質の代表的な例は、アルカノール、ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル、アルキレングリコールのモノアルキルエーテル、及びその他、及びそれらの混合物を含む。
【0120】
有用なモノマー状ポリヒドロキシ有機物質の代表的な例は、アルキレン及びアリールアルキレングリコール及びポリオール、例えば1,2,4−ブタントリオール,1,2,6−ヘキサントリオール,1,2,3−ヘプタントリオール,2,6−ジメチル−1,2,6−ヘキサントリオール,(2R,3R)−(−)−2−ベンジルオキシ−1,3,4−ブタントリオール,1,2,3−ヘキサントリオール,1,2,3−ブタントリオール,3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール,1,2,3−シクロヘキサントリオール,1,3,5−シクロヘキサントリオール,3,7,11,15−テトラメチル−1,2,3−ヘキサデカントリオール,2−ヒドロキシメチルテトラヒドロピラン−3,4,5−トリオール,2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール,1,3−シクロペンタンジオール,trans−1,2−シクロオクタンジオール,1,16−ヘキサデカンジオール,3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール,2−ブチン−1,4−ジオール,1,3−プロパンジオール,1,4−ブタンジオール,1,5−ペンタンジオール,1,6−ヘキサンジオール,1,7−ヘプタンジオール,1,8−オクタンジオール,1,9−ノナンジオール,1−フェニル−1,2−エタンジオール,1,2−シクロヘキサンジオール,1,5−デカリンジオール,2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2−7−ジオール,2,3−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノール,及びそれらの組み合わせを含む。
【0121】
有用なオリゴマー状及びポリマー状ヒドロキシル含有物質の代表的な例は、約200〜約10,000の分子量のポリオキシエチレン、及びポリプロピレングリコール及びトリオール;変動する分子量のポリテトラメチレングリコール;ポリ(オキシエチレンーオキシブチレン)ランダム又はブロックコポリマー;ビニルアセテートコポリマーの加水分解又は部分加水分解により形成されたペンダント状のヒドロキシ基を含むコポリマー、ペンダント状のヒドロキシル基を含むポリビニルアセタール樹脂;ヒドロキシ末端ポリエステル及びヒドロキシ末端ポリラクトン;ヒドロキシ‐官能化されたポリアルカジエン、例えばポリブタジエン;脂肪族ポリカーボネートポリオール、例えば脂肪族ポリカーボネートジオール;及びヒドロキシ末端ポリエーテル、及びそれらの組み合わせを含む。
【0122】
好ましいヒドロキシル含有モノマーは、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び脂肪族及び環状脂肪族モノヒドロキシアルカノールを含む。好ましいヒドロキシル含有オリゴマー及びポリマーは、ヒドロキシル、及びヒドロキシル/エポキシ官能化されたポリブタジエン、ポリカプロラクトンジオール及びトリオール、エチレン/ブチレンポリオール、及びモノヒドロキシル官能性モノマーを含む。ポリエーテルポリオールの好ましい例は様々な分子量のポリプロピレングリコール及びグリセロールプロポキシレート‐B−エトキシレートトリオールである。特に好ましいのは、様々な分子量、例えば150〜4000g/モル、好ましくは150〜1500g/モル、より好ましくは150〜750g/モルの範囲において入手可能な、直線及び分岐のポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオールである。
【0123】
もし存在するならば、該組成物は、該組成物の合計重量に対して少なくとも1重量%の1以上のノンフリーラジカルの重合化可能ヒドロキシ官能性化合物、より好ましくは少なくとも5重量%、最も好ましくは少なくとも10重量%含む。さらに、該組成物は好ましくは多くて60重量%の、より好ましくは多くて40重量%、最も好ましくは多くて25重量%の1以上のノンフリーラジカル重合化可能なヒドロキシ官能性化合物を含む。
【0124】
(H)添加剤
添加剤もまた本発明の組成物中に存在し得る。粘性のビルドアップ、例えば固体イメージング工程における使用の間の粘性のビルドアップを防ぐために安定化剤がしばしば該組成物に添加される。好ましい安定化剤は米国特許第5,665,792号において記載されるものを含み、該米国特許第5,665,792号の全体の開示は参照することにより本明細書に取り込まれる。そのような安定化剤は通常炭化水素カルボン酸のIA及びIIA金属の塩である。これらの塩の最も好ましい例は重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ルビジウムである。
【0125】
炭酸ルビジウムは本発明の組成物の為に好ましく、推奨される量は組成物の0.0015〜0.005重量%の範囲である。代わりの安定化剤はポリビニルピロリドン及びポリアクリロニトリルである。他の可能性のある添加剤は、色素、顔料、フィラー、(例えばシリカ粒子、好ましくは円筒状又は球形シリカ粒子、タルク、ガラス粉末、アルミナ、アルミナハイドレート、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩ミネラル、珪藻土、シリカ砂、粉末シリカ、酸化チタン、粉末アルミニウム、粉末ブロンズ、粉末亜鉛、粉末銅、粉末鉛、粉末金、銀ダスト、ガラスファイバー、チタン酸カリウムウィスカー、カーボンウィスカー、サファイアウィスカー、酸化ベリリウム(beryllia)ウィスカー、ボロンカーバイドウィスカー、シリコンカーバイドウィスカー、シリコンナイトライドウィスカー、ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、金属酸化物及びチタン酸カリウムウィスカー)、抗酸化剤、湿潤剤、フリーラジカル光開始剤の光増感剤、鎖移動剤、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤などを含む。
【0126】
用途
本発明の組成物は、広い種類の用途に適する。例えば該組成物はラピッドプロトタイピングによる3次元物体の製造のために使用され得る。ラピッドプロトタイピングは、しばしば「固体イメージング」又は「ステレオリソグラフィー」ともまた呼ばれ、光変形可能な組成物が薄層として表面の上に被覆され、像形成的(imagewise)に化学線に暴露され、その結果該組成物が像形成的に固化する方法である。この被覆は、もし該組成物が室温において液状であれば、最も簡便に行われるが、固体組成物もまた溶融されて、層を形成し得る、あるいは固体又はペースト状組成物は、もしシアシニング挙動を示すならば被覆され得る。次に光形成可能な組成物の新しい薄層は暴露された及び暴露されなかった組成物の前の層の上に被覆される。次に、新しい層は像形成的に部分を固化するため、及び新しい硬化された領域及び前に硬化された領域の間の接着を誘起するために像形成的に暴露される。各像形成的な暴露は光硬化された物体の適切な断面に関連する形状を有し、その結果すべての層が被覆され、そしてすべての暴露が完了したとき、完全な、光硬化された物体が周りの組成物から取り外されることができる。
【0127】
したがってラピッドプロトタイピングは例えば
(1)表面の上に組成物の薄い層を被覆すること;
(2)該薄層を像形成的に化学線に暴露させて、画像形成された断面を形成すること、ここで照射は、暴露された範囲において該薄層の実質的な硬化を起こさせるのに十分な強度及び時間を有する;
(3)前に暴露された像形成された断面の上に組成物の薄層をコーティングすること;
(4)工程(3)からの薄層を像形成的に化学線に暴露させて、追加的な像形成された断面を形成すること、ここで照射は、暴露された範囲において該薄層の実質的な硬化を起こさせ、前に暴露された像形成された断面に接着させるのに十分な強度及び時間を有する;
(5)3次元の物体を作り上げるために工程(3)及び(4)を十分な回数繰り返すこと
として説明されることができる。
【実施例】
【0128】
参考例1
部品の加水分解安定性に対する、結合する脂肪族エステル基を有する、カチオン的に硬化可能な成分の存在の効果はIR(赤外)分析により測定され、機械的性質に対する影響は、TMA(熱機械的分析)により評価された。
【0129】
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(UVI 1500)(結合するエステルエポキシ)、及び水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(Eponex 1510)(エポキシ1)の混合物が5%の3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(UVR6000)(オキセタン1),及び0.6%のスルホニウム,(チオジ−4,1−フェニレン)ビス[ジフェニル−ビス[(OC−6−11)ヘキサフルオロアンチモネート(1−)]]CPI−6976(カチオン開始剤1)と混合された。
【0130】
結合するエステルエポキシのエポキシ1に対する比は、結合するエステルエポキシ100%からエポキシ1100%まで20%の増加量において変化した。
【0131】
IRの検討のため、各混合物の1gの分取量に、0.02gの前もって完全重水素化されたドデカンが加えられた。Aldrich社から入手可能なD26ドデカンが内部標準として選択された、なぜならそれはIRにおける明確な領域において吸収し、化学的に不活性であるからである。IR検討のために、数滴の各重水素化された配合物がポリメチルペンテン板の間に置かれ、60分間10バルブPCA(3DSystems社の後硬化装置(PostCuring Apparatus))において硬化された。バルブは、〜1500時間使用されたPhillipsのTLK40W/05であった。20〜30ミクロンの厚さのフィルムがよく分解されたIRスペクトルを与えた。これらの薄膜は硬化された厚い板の間に置かれた。試料は底に水をためた、閉じられたプラスチックの容器内で35℃において28時間加熱された(該フィルムは液状の水と接触しなかった)。その後IRスペクトルが該フィルムについて測定され、追加の21時間の湿気への暴露の後、該手順が繰り返された。参考として、いくつかの配合物のフィルムが乾燥された瓶の中で35℃において加熱された;IRスペクトルがこれらのフィルムについてもまた記録された。
【0132】
加水分解の程度はOH伸縮吸収(3100-3600cm-1)の領域における変化により示される:結合するエステルエポキシにおけるエステル基の加水分解はアルコールとカルボン酸を生じる(両方ともOH領域において吸収する)。25ミクロンの厚さのフィルムにおいて加水分解は28時間内に平衡値に到達する。エポキシ1の存在は結合するエステルエポキシの加水分解の程度に影響を与えないようである。
【0133】
80及び100%の結合するエステルエポキシにおける薄いフィルムは、湿潤な条件の後該厚い板にくっつくことが見出され、顕著によりもろかった。
【0134】
湿潤な条件後のIRスペクトルにおいて最も明白な変化は、OH領域における吸収の増加であった。吸収の強度及び幅が増加し、低エネルギーの方への強度のシフトを伴った。ピーク面積はCD(炭素−重水素)伸縮吸収の面積及び−CH(炭素―水素)伸縮吸収に対して正規化された。-CD吸収のピーク面積の測定における相対的に大きな誤差のため、-CH吸収が内部基準として選択された。28時間における−OH吸収の増加対初期値の増加は、表1に示された配合物において結合するエステルエポキシの量に比例することが見出された:
【0135】
【表1】




【0136】
この実験は、結合するエステルエポキシ及びエポキシ1の混合物から製造されたフィルムの加水分解は35℃及び高湿度において速く進行することを示す。
【0137】
この加水分解は機械的強度の損失を伴う。
【0138】
上述された結合するエステルエポキシ/エポキシ1の混合物(重水素化されたドデカンなし)は、曲げ弾性率に対する、湿気への暴露の影響を測定するために使用された。
【0139】
約18グラムの各重水素化されていない配合物がポリメチルペンテンのシャーレ(NalgeNunc Internationalから入手可能、直径100mm及び高さ15mmの通常サイズを有する部品番号5500-0010)に注がれ、1時間PCA硬化された。長さ10mm×幅3mmの試料が硬化されたフィルムから切り取られた。試料は曲げプローブを用いてTA Associates のTMA2940で分析された。試料への応力は以下の式、
S=3LF/(2bd
ここで
S=応力(MPa)
L=試料の長さ(mm)
F=TMAプローブにより加えられた力(N)
b=試料の幅(mm)
d=試料の厚さ(mm)
により与えられる。
【0140】
試料のひずみは式、
r=6dD/L
により与えられ
ここでDは中央における試料の撓みである。
【0141】
曲げ弾性率は、ひずみによって割られた応力である
E=(F/D)(L/4bd
【0142】
したがって所与の試料の形状に対して、弾性率はかけられた力対撓みのプロットの勾配に直接的に比例する。
【0143】
分析は30℃において、0.01〜0.5Nそして逆を2回循環される力を部品にかけて行われた;曲げ弾性率はかけられた力0.05〜0.1Nから計算された。2つのランプダウンサイクルの値の平均が分析のために使用された。分析の間、試料はオーブン中で35℃に保たれた。試料の半分はデシケーター瓶に保存され、他の半分は高い湿度において保存された。弾性率は、高い湿度の条件下(28時間、35℃、及び相対湿度(RH)100%;湿潤条件)保存された試料について測定され、乾燥条件(10%未満のRHを有する35℃)下保存された試料の弾性率と比較された。弾性比(湿潤/乾燥)は湿潤条件下保存された試料の弾性率の値:乾燥条件下保存された試料の弾性率の値の比である。
【0144】
【表2】




TMAの結果:高い湿度において維持された試料の曲げ弾性率は35℃において乾燥に保たれたものより低い。表2に示されるように、エステル結合されたエポキシの含有量が高い試料は低い結合するエステル含有量試料より低く維持された弾性率を有する。
【0145】
実施例2
ハイブリッドステレオリソグラフィー組成物に対する湿度の効果
59.4重量%の水素化ビスフェノールa−エピクロルヒドリンをベースとするエポキシ樹脂(エポキシ1)、20重量%の3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン(オキセタン1)、13重量%のジペンタエリスリトールペンタアクリレート(アクリレート1)及び1.75重量%の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び5.85重量%のスルホニウム、(チオジ−4,1−フェニレン)ビス[ジフェニル−ビス[(OC−6−11)ヘキサフルオロアンチモネート(1−)]]を含む本発明の組成物が樹脂Aとして製造された。
【0146】
55重量%の3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(UVI1500)、18重量%のポリテトラヒドロフラン−ポリマー、15重量%のジペンタエリスリトールペンタアクリレート、5重量%のポロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、5重量%のスルホニウム,(チオジ−4,1−フェニレン)ビス[ジフェニル−ビス[(OC−6−11)ヘキサフルオロアンチモネート(1−)]]及び1.6重量%の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを含む比較組成物が樹脂Bとして製造された。
【0147】
本発明(樹脂A)の組成物の対湿性は、実施的な量(55重量%)の結合するエステルエポキシを含む樹脂Bのそれに対して測定された。この実験においてASTMD790曲げ棒が以下の条件を用いてステレオリソグラフィーにより造形された:
【0148】
製造された曲げ棒(flexbar)のサイズは約5.5mmの厚さ、12.5mmの幅、そして150mmの長さであった。被覆された層の厚さは〜150ミクロンであった。各層に与えられた暴露は樹脂Aに対して51mJ/cm、樹脂Bに対して47mJ/cmであった。ステレオリソグラフィーによる造形後、曲げ棒はイソプロパノールで洗浄され、そして空気中で乾燥された。
【0149】
すべての試料は60分間10バルブPCA(3DSystems社の後硬化装置(Post Cure Apparatus))において後硬化暴露された。
【0150】
後硬化の後、各組成物の曲げ棒の2つが、保存のために望まれる湿度を達成するために飽和塩溶液あるいは水だけが入っている真空ベルジャーに入れられた。ベルジャーの基部の水で100%のRHが達成された;80%のRHは融解された硫酸水素カリウムの塩溶液で達成された;54%のRHは、硫酸水素ナトリウム1水和物で達成された;そして20%のRHは酢酸カリウム飽和水溶液で達成された。試料はベルジャー中に室温(これは約22℃である)において1ヶ月間貯蔵された。
【0151】
1ヶ月後、試料はベルジャーから取り出され、ASTMD790にしたがってすぐに試験された(約22.6℃及び25%のRHにおいて)。以下が比較の結果である:
【0152】
【表3】




【0153】
本発明にしたがって樹脂Aから造形された曲げ棒は、20%RH及び100%RHの結果を比較すると、その曲げ弾性率の約74%を保つ。樹脂Bから製造された曲げ棒は20%RH及び100%RHの結果を比較すると、約6.4%しかその曲げ弾性率を保たない。
【0154】
実施例3〜20及び比較実験1
表3はより多くの非制限的な本発明の例を示す。示された成分を有する組成物が製造された。化学線照射による硬化及び続く60分のUV後硬化による硬化の後、部品の機械分析が行われた。
【0155】
【表4】



【0156】
任意的に、該組成物は少量の安定化剤、抗酸化剤、界面活性剤、及び消泡剤を含む。
【0157】
1日硬化された弾性率は、ステレオリソグラフィー機で製造された引っ張り棒(tensile bar)から得られた引張り弾性又はヤングの弾性率データからである。棒は150μmの厚さの層において製造された。引張り棒の各断面層は250μmの深さにおいて組成物を重合化させるために十分な暴露を与えられ(E10暴露)、約100μmのオーバー硬化(overcure)又は嵌合硬化(engagement cure)を付与して、前に被覆され、そして暴露された層への接着を確実にする。比較例1、実施例3〜14及び18〜20は、355nmにおけるUVにおいて放出するレーザーで暴露された。実施例15〜17は、325nmにおけるUVにおいて放出するレーザーで暴露された。引張り棒は約150mmの長さであり、約1平方cmの狭くされた部分における断面を有した。引張り試験は、室温及び湿度を制御するために何の準備も行われず、棒は2日間平衡状態に置かれなかったことを除いてASTMD638にしたがって行われた。データは1日として記載されているが、週末及び祝日を斟酌してデータのうちいくつかは3〜4日目の棒から得られた。破断時平均伸び%データは、同じ引張り棒から得られる。一般的に3〜6の棒が各実施例のデータを得るために使用された。強度因子(toughness factor)は、弾性率と破断時平均伸び%の積であり、実施例の重合化された組成物の強さの尺度として解釈され得る。
【0158】
ピーク重合化温度℃及び被覆表面温度℃は、造形中の部品のほぼ中央に向けられたLinearLaboratories社のC−600E赤外温度計を用いて得られた。部品は50平方mmであり、約1.2cmの厚さであった。部品は150mmの厚さの層において製造され、各層は暴露されて、実施例の組成物に対して約250μmの硬化深さ(E10硬化)を生成した。走査速度は、1方向においてのみ75μm間隔でオーバーラップするスキャンで、1130cm/秒において一定に保たれた。レーザー出力は、組成物の適切な硬化深さを保証するために制御された。ピーク重合化温度は、実施例の配合物の部品造形を通して達成された最も高い温度である。被覆表面温度は、組成物の新しい層が前の層の上に被覆された直後に部品の表面で測定された最も高い温度である。温度デルタ℃はピーク重合化温度及び被覆表温度との差である。使用されたスキャン速度及びレーザー出力は、高速スキャン及び高出力レーザースキャンを表す。
【0159】
【表5】




【0160】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の合計重量に対して、
B 10〜85重量%の、結合する脂肪族エステル基及び2つのシクロヘキセンオキシド基を有する、カチオン的に硬化可能な成分(成分A)以外のエポキシ基含有成分
C 1〜50重量%の、下記式(2)により示されるオキセタン基含有成分
D 1〜25重量%の多官能性アクリレート
E ラジカル光開始剤
F カチオン性光開始剤
を含む照射硬化可能な組成物であって、
組成物が化学線照射及び60分のUV後硬化による完全硬化の後に、
(i) 1000〜10000MPaの範囲の曲げ弾性率、
を有するところの組成物。
【化1】





[式中、RはC1〜C4のアルキル基、Zは酸素、RはH、C1〜C8のアルキル基、又はフェニル基を表す。]
【請求項2】
成分Bがグリシジルエーテル基を含むところの、請求項1に記載の照射硬化可能な組成物。
【請求項3】
組成物の合計重量に対して30〜75重量%の、グリシジル基を有する成分B、10〜25重量%の成分C、及び2〜15重量%の多官能性アクリレート化合物Dを含むところの、請求項1に記載の照射硬化可能な組成物。
【請求項4】
成分C:グリシジルエーテル基を含む成分Bのモル比が0.1〜1.5であるところの、請求項2又は3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
成分Cが、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン,(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン,(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ベンゼン,2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン,1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン,1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン,エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル及びビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルからなる群から選択されるところの、請求項1〜4のいずれか1項に記載の照射硬化可能な組成物。
【請求項6】
成分Bが水素化ビスフェノールAのグリシジルエーテルを含むところの請求項2〜5のいずれか1項に記載の照射硬化可能な組成物。
【請求項7】
組成物の層を形成する工程、及び該組成物の該層を化学線で選択的に照射する工程を繰り返すことにより得られ、続いて後硬化装置における60分間の後硬化及び、続いて48時間の間20℃の温度及び80%RHの相対湿度においてコンディショニングされた、光造形された物体が以下の性質、
(i) 500〜1000MPaの範囲の曲げ弾性率、
(ii) 少なくとも3%の破断時平均伸び、及び/又は
(iii) 少なくとも25MPaの引張り強度
の少なくとも1を有するところの、請求項1〜6のいずれか1項に記載の照射硬化可能な組成物。
【請求項8】
組成物がフィラーを含むところの、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
(1) 表面の上に組成物の層を被覆すること、ここで請求項1〜8のいずれか1項において定義された組成物が使用される;
(2) 該薄層を像形成的に化学線に暴露させて、画像形成された断面を形成すること、ここで照射は、暴露された範囲において層の実質的な硬化を起こさせるのに十分な強度を有する;
(3) 前に暴露された像形成された断面の上に組成物の層を被覆すること;
(4) 工程(3)からの該薄層を像形成的に化学線に暴露させて、追加的な像形成された断面を形成すること、ここで照射は、暴露された範囲において該薄層の実質的な硬化を起こさせ、前に暴露された像形成された断面に接着させるのに十分な強度を有する;
(5) 3次元の物体を作り上げるために工程(3)及び(4)を十分な回数繰り返すこと
を含む3次元の物体を作る方法。
【請求項10】
化学線が280〜650nmの範囲であるところの、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
暴露エネルギーが10〜150mJ/cmの範囲であることころの、請求項9又は10のいずれか1項に記載の方法。

【公開番号】特開2010−189641(P2010−189641A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36379(P2010−36379)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【分割の表示】特願2004−502060(P2004−502060)の分割
【原出願日】平成15年5月1日(2003.5.1)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】