説明

照明装置、プロジェクタ及びモニタ装置

【課題】回折光学素子から照明対象の方向以外の方向へ進行する光を有効に利用でき、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した光量の光を供給可能な照明装置、その照明装置を用いるプロジェクタ及びモニタ装置を提供すること。
【解決手段】光を射出する光源部12Rと、光源部12Rからの光を回折させ、照明対象へ回折光を進行させる回折光学素子13Rと、光源部12Rからの光を遮蔽可能に設けられた遮蔽部21と、を有し、遮蔽部21は、回折光学素子13Rから照明対象の方向以外の方向へ進行する光を検出する光検出部23による検出結果に応じて、光源部12Rからの光の少なくとも一部を遮蔽する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、プロジェクタ及びモニタ装置、特に、レーザ光源を用いた照明装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタの光源としてレーザ光源を用いる技術が提案されている。レーザ光源は、高出力化及び多色化に伴い、プロジェクタの光源として開発されている。プロジェクタの光源として従来用いられているUHPランプと比較すると、レーザ光源は、高い色再現性、瞬時点灯が可能、長寿命である等の利点がある。レーザ光源を用いる照明装置には、回折光学素子を用いることができる。回折光学素子は、レーザ光を回折させることにより、照明領域の整形、拡大、及び照明領域における光量分布の均一化を同時に行うことが可能である。回折光学素子により複数の機能を果たす構成とすることで、照明装置は、少ない部品点数の構成にでき、光学系の小型化、省スペース化が容易となる。回折光学素子を用いる照明装置の技術は、例えば、特許文献1において提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−33576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゼロ次光と回折光を同時に照明領域へ入射させる構成とする場合、ゼロ次光と回折光が重なることで照明領域の一部のみが明るくなることがある。これに対しては、ゼロ次光が入射する領域以外の領域を照明領域とすることで、光量分布の均一化が容易となる。例えば、回折光学素子は、+1次回折光を用いて照明領域を形成する構成にできる。回折光学素子は、回折光学素子の設計上の都合や製造誤差のため、所望の回折光のみを射出させる構成とすることは極めて困難である。回折光学素子は、+1次回折光により照明領域を形成する場合であっても、例えば、ゼロ次光や−1次回折光が生じることとなる。このような所望の回折光以外の光は、通常、光吸収性部材により遮蔽される。また、何らかの異常によりレーザ光源の出力が著しく増大した場合や、レーザ光の進行方向が大きくシフトした場合を想定して、照明装置は、これらの異常に対して直ちにレーザ光の射出を停止させることが望まれる。さらに、照明装置は、レーザ光源の出力の変動に関わらず、安定した光量の光を供給できることが望ましい。本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、回折光学素子から照明対象の方向以外の方向へ進行する光を有効に利用でき、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した光量の光を供給可能な照明装置、その照明装置を用いるプロジェクタ及びモニタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る照明装置は、光を射出する光源部と、光源部からの光を回折させ、照明対象へ回折光を進行させる回折光学素子と、光源部からの光を遮蔽可能に設けられた遮蔽部と、を有し、遮蔽部は、回折光学素子から照明対象の方向以外の方向へ進行する光を検出する光検出部による検出結果に応じて、光源部からの光の少なくとも一部を遮蔽することを特徴とする。
【0006】
照明対象の方向以外の方向へ進行する光を光検出部で検出することで、照明対象の方向以外の方向へ進行する光を有効に利用できる。光源部の異常により、光の強度が著しく増大した場合や光の進行方向がシフトした場合に、光検出部の検出結果は変動する。かかる検出結果に応じて遮蔽部を駆動することで、照明装置は、光源部の異常発生時に光を遮蔽できる。さらに、照明装置は、光源部の出力の変動に対して光源部からの光の一部を遮蔽することで、光量を調節できる。これにより、回折光学素子から照明対象の方向以外の方向へ進行する光を有効に利用でき、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した光量の光を供給可能な照明装置を得られる。
【0007】
また、本発明の好ましい態様としては、光検出部は、回折光学素子から照明対象の方向以外の方向へ進行するゼロ次光を検出することが望ましい。これにより、回折光学素子から照明対象の方向以外の方向へ進行するゼロ次光を有効利用できる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様としては、光検出部は、回折光学素子から照明対象の方向以外の方向へ進行する回折光を検出することが望ましい。これにより、回折光学素子から照明対象の方向以外の方向へ進行する回折光を有効利用できる。
【0009】
また、本発明の好ましい態様としては、光検出部による検出結果に応じて、光源部における異常の発生を報知する異常報知部を有することが望ましい。これにより、照明装置を構成する部材や人体に不具合が及ぶ事態をさらに抑制できる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様としては、光検出部は、回折光学素子から照明対象の方向以外の方向へ進行する光の光量分布を検出することが望ましい。これにより、光の方向がシフトするような異常の発生を的確に検出することができる。
【0011】
さらに、本発明に係るプロジェクタは、上記の照明装置を有し、照明装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする。上記の照明装置を用いることにより、光を有効に利用でき、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した光量の光を供給できる。これにより、光を有効に利用でき、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した明るさの画像を表示可能なプロジェクタを得られる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様としては、照明装置は、第1色光を供給する第1照明装置と、第2色光を供給する第2照明装置と、第3色光を供給する第3照明装置と、を備え、第1照明装置からの第1色光を画像信号に応じて変調する第1空間光変調装置と、第2照明装置からの第2色光を画像信号に応じて変調する第2空間光変調装置と、第3照明装置からの第3色光を画像信号に応じて変調する第3空間光変調装置と、第1照明装置から第1空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する第1色光、第2照明装置から第2空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する第2色光、及び第3照明装置から第3空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する第3色光を検出する光検出部と、を有することが望ましい。光検出部により第1色光、第2色光、第3色光を検出可能とすることで、プロジェクタは、照明装置ごとに光検出部を設ける場合より部品点数を少なくできる。
【0013】
さらに、本発明に係るプロジェクタは、光を射出する光源部と、光源部からの光を回折させる回折光学素子と、を有する照明装置と、照明装置からの光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置と、を有し、空間光変調装置は、回折光学素子から空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する光を検出する光検出部による検出結果に応じて制御されることを特徴とする。光検出部の検出結果に応じて空間光変調装置を制御することで、光源部の異常があった場合に光を遮蔽できる。また、光源部の出力の変動に関わらず、安定した光量を得ることが可能となる。さらに、空間的な光量変化を低減させることもできる。これにより、光を有効に利用でき、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した明るさの画像を表示可能なプロジェクタを得られる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様としては、光検出部は、回折光学素子から空間光変調装置の方向以外の方向へ進行するゼロ次光を検出することが望ましい。これにより、回折光学素子から照明対象の方向以外の方向へ進行するゼロ次光を有効利用できる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様としては、光検出部は、回折光学素子から空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する回折光を検出することが望ましい。これにより、回折光学素子から照明対象の方向以外の方向へ進行する回折光を有効利用できる。
【0016】
また、本発明の好ましい態様としては、光検出部は、回折光学素子から空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する光の光量分布を検出することが望ましい。これにより、空間的な光量変化を低減させるための制御が可能となる。
【0017】
また、本発明の好ましい態様としては、照明装置は、第1色光を供給する第1照明装置と、第2色光を供給する第2照明装置と、第3色光を供給する第3照明装置と、を備え、空間光変調装置は、第1照明装置からの第1色光を画像信号に応じて変調する第1空間光変調装置と、第2照明装置からの第2色光を画像信号に応じて変調する第2空間光変調装置と、第3照明装置からの第3色光を画像信号に応じて変調する第3空間光変調装置と、を備え、光検出部は、第1照明装置から第1空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する第1色光、第2照明装置から第2空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する第2色光、及び第3照明装置から第3空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する第3色光を検出することが望ましい。光検出部により第1色光、第2色光、第3色光を検出可能とすることで、プロジェクタは、照明装置ごとに光検出部を設ける場合より部品点数を少なくできる。
【0018】
また、本発明の好ましい態様としては、光検出部へ進行する第1色光、第2色光及び第3色光を分離させる色分離部を有することが望ましい。色分離部を用いることで、色光ごとの光量を検出できる。これにより、色光ごとの検出結果に基づいて、各色光用空間光変調装置を制御できる。
【0019】
さらに、本発明に係るモニタ装置は、上記の照明装置と、照明装置からの光により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とする。上記の照明装置を用いることにより、光を有効に利用でき、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した光量の光を供給できる。これにより、光を有効に利用でき、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した明るさの被写体を撮像可能なモニタ装置を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係るプロジェクタ10の上面概略構成を示す。プロジェクタ10は、スクリーン(不図示)に光を投写させ、スクリーンで反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクタである。プロジェクタ10は、赤色(R)光用照明装置11R、緑色(G)光用照明装置11G、青色(B)光用照明装置11Bを有する。R光用照明装置11Rは、第1色光であるR光を供給する第1照明装置である。G光用照明装置11Gは、第2色光であるG光を供給する第2照明装置である。B光用照明装置11Bは、第3色光であるB光を供給する第3照明装置である。プロジェクタ10は、R光用照明装置11RからのR光、G光用照明装置11GからのG光、B光用照明装置11BからのB光を用いて画像を表示する。
【0022】
R光用照明装置11Rは、R光用光源部12Rを有する。R光用光源部12Rは、レーザ光を射出する光源部であって、例えば半導体レーザを備える。回折光学素子13Rは、R光用光源部12RからのR光を回折させ、R光用照明装置11Rの照明対象であるR光用空間光変調装置15Rへ回折光を進行させる。回折光学素子13Rは、R光用空間光変調装置15Rの入射面上に、矩形形状、かつ均一化された光量分布の照明パターンを形成させる。回折光学素子13Rは、照明領域の整形、拡大、及び照明領域における光量分布の均一化を行う。フィールドレンズ14は、回折光学素子13Rからの光を平行化する。R光用空間光変調装置15Rは、R光を画像信号に応じて変調する第1空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。R光用空間光変調装置15RからのR光は、クロスダイクロイックプリズム16へ入射する。
【0023】
G光用照明装置11Gは、G光用光源部12Gを有する。G光用光源部12Gは、レーザ光を射出する光源部であって、例えば半導体レーザを備える。回折光学素子13Gは、G光用光源部12GからのG光を回折させ、G光用照明装置11Gの照明対象であるG光用空間光変調装置15Gへ回折光を進行させる。回折光学素子13Gは、G光用空間光変調装置15Gの入射面上に、矩形形状、かつ均一化された光量分布の照明パターンを形成させる。回折光学素子13Gは、照明領域の整形、拡大、及び照明領域における光量分布の均一化を行う。フィールドレンズ14は、回折光学素子13Gからの光を平行化する。G光用空間光変調装置15Gは、G光を画像信号に応じて変調する第2空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。G光用空間光変調装置15GからのG光は、クロスダイクロイックプリズム16のうちR光が入射する面とは異なる面へ入射する。
【0024】
B光用照明装置11Bは、B光用光源部12Bを有する。B光用光源部12Bは、レーザ光を射出する光源部であって、例えば半導体レーザを備える。回折光学素子13Bは、B光用光源部12BからのB光を回折させ、B光用照明装置11Bの照明対象であるB光用空間光変調装置15Bへ回折光を進行させる。回折光学素子13Bは、B光用空間光変調装置15Bの入射面上に、矩形形状、かつ均一化された光量分布の照明パターンを形成させる。回折光学素子13Bは、照明領域の整形、拡大、及び照明領域における光量分布の均一化を行う。フィールドレンズ14は、回折光学素子13Bからの光を平行化する。B光用空間光変調装置15Bは、B光を画像信号に応じて変調する第3空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。B光用空間光変調装置15BからのB光は、クロスダイクロイックプリズム16のうちR光が入射する面、及びG光が入射する面とは異なる面へ入射する。
【0025】
回折光学素子としては、例えば、計算機合成ホログラム(Computer Generated Hologram;CGH)を用いることができる。透過型液晶表示装置としては、例えば、高温ポリシリコンTFT液晶パネル(High Temperature Polysilicon;HTPS)を用いることができる。各色光用光源部12R、12G、12Bは、半導体レーザからのレーザ光の波長を変換する波長変換素子、例えば、第二高調波発生(Second Harmonic Generation;SHG)素子を用いる構成としても良い。各色光用光源部12R、12G、12Bは、半導体レーザに代えて、半導体レーザ励起固体(Diode Pumped Solid State;DPSS)レーザや、固体レーザ、液体レーザ、ガスレーザを備える構成としても良い。
【0026】
クロスダイクロイックプリズム16は、互いに略直交させて配置された2つのダイクロイック膜17、18を有する。第1ダイクロイック膜17は、R光を反射し、G光及びB光を透過させる。第2ダイクロイック膜18は、B光を反射し、R光及びG光を透過させる。クロスダイクロイックプリズム16は、それぞれ異なる方向から入射したR光、G光及びB光を合成し、投写レンズ19の方向へ射出させる。投写レンズ19は、クロスダイクロイックプリズム16で合成された光をスクリーンに向けて投写する。
【0027】
図2は、R光用照明装置11Rの側面概略構成を示す。図3は、回折光学素子13Rから射出する光の進行方向を説明するものである。図4は、回折光学素子13Rにより形成される照明パターンを説明するものである。回折光学素子13Rは、実線で示す+1次回折光L+1を用いて、矩形形状、かつ均一化された光量分布の照明パターンを形成させる。この他、回折光学素子13Rは、一点鎖線で示すゼロ次光L0、破線で示す−1次回折光L−1を生じさせる。ゼロ次光は、回折光学素子13Rで回折せず回折光学素子13Rをそのまま透過した光である。−1次回折光L−1は、ゼロ次光L0に関して+1次回折光L+1と略対称に進行する回折光である。
【0028】
図2に示すように、R光用空間光変調装置15Rは、フィールドレンズ14で平行化された+1次回折光L+1が入射する位置に設けられている。回折光学素子13Rからのゼロ次光L0及び−1次回折光L−1は、R光用空間光変調装置15Rの方向以外の方向へ進行する。R光用空間光変調装置15Rの方向以外の方向へゼロ次光L0を進行させることで、照明領域のうちゼロ次光L0と+1次回折光L+1が重なり合う部分のみが明るくなるようなムラの発生を防ぎ、光量分布の均一化が容易となる。
【0029】
フォトダイオード(PD)23は、回折光学素子13Rからのゼロ次光L0が入射する位置に設けられている。PD23は、回折光学素子13RからR光用空間光変調装置15Rの方向以外の方向へ進行するゼロ次光L0を検出する光検出部である。回折光学素子13Rからの−1次回折光L−1が入射する位置には、−1次回折光L−1を吸収する光吸収部22が設けられている。光吸収部22は、例えば、光吸収性樹脂部材を用いて構成されている。
【0030】
遮蔽部21は、R光用光源部12R及び回折光学素子13Rの間において、R光用光源部12Rからの光を遮蔽可能に設けられている。遮蔽部21は、PD23による検出結果に応じて、R光用光源部12Rからの光を遮蔽する。遮蔽部21は、例えば、光学機器に利用される絞りと同様の構成とすることで、自在に開閉できる。この他、遮蔽部21は、遮光部材を移動させることで光の通過及び遮蔽を切り換え可能な機構を用いても良い。発光ダイオード(LED)24は、PD23による検出結果に応じて発光することで、R光用光源部12Rにおける異常の発生を報知する異常報知部である。G光用照明装置11G、B光用照明装置11Bは、R光用照明装置11Rと同様の構成を有する。
【0031】
図5は、プロジェクタ10を制御するためのブロック構成を示す。制御部34は、CPU(Central Processing Unit)35、メモリ36を備え、コンピュータとして機能する。メモリ36は、フラッシュROM(Read Only Memory)等からなる。制御部34は、メモリ36に記憶されている制御プログラムに従ってCPU35を動作させることにより、プロジェクタ10の駆動を制御する。画像信号変換部31は、外部機器等により入力された画像信号を、画像信号処理部32で処理可能な形式に変換する。画像信号変換部31は、制御部34による制御に基づいて画像信号を変換する。画像信号変換部31は、例えば、アナログ信号として入力された画像信号をディジタル信号へ変換する。
【0032】
画像信号処理部32は、画像信号変換部31で変換された画像信号に対して、各種画質調整のための処理を施す。画質調整のための処理は、例えば、各色光用空間光変調装置15R、15G、15Bの画素数に適合するように解像度を変換する解像度変換や、輝度調整、コントラスト調整、シャープネス調整等である。空間光変調駆動部33は、画像信号処理部32で処理された画像信号に基づいて各色光用空間光変調装置15R、15G、15Bを駆動する。光源駆動部37は、制御部34による制御に基づいて、各色光用光源部12R、12G、12Bを駆動する。
【0033】
さらに、制御部34は、PD23による検出結果に基づいて、遮蔽部21及びLED24を制御する。各色光用光源部12R、12G、12Bが正常に作動している場合、PD23は、所定範囲の光量のゼロ次光を検出する。PD23により所定範囲の光量のレーザ光が検出された場合、遮蔽部21は、図2に示すように、全開状態となってレーザ光を通過させる。所定範囲の光量のレーザ光が検出される間、各色光用光源部12R、12G、12Bからの光は、遮蔽部21で遮蔽されること無く射出される。また、LED24は、消灯した状態を保持する。
【0034】
これに対して、例えば所定範囲を超える光量のレーザ光がPD23により検出された場合、制御部34は、遮蔽部21を閉じた状態に変化させる。これにより、各色光用光源部12R、12G、12Bからのレーザ光は、遮蔽部21により遮蔽される。プロジェクタ10は、各色光用照明装置11R、11G、11Bの少なくとも1つについて所定範囲を超える光量のレーザ光が検出された場合に、各色光用照明装置11R、11G、11Bの遮蔽部21を閉じる構成にできる。これにより、プロジェクタ10は、各色光用光源部12R、12G、12Bの少なくとも1つに異常が発生した場合に、直ちにレーザ光の射出を停止させる。
【0035】
所定範囲を越える光量のレーザ光が検出されたことで、制御部34は、LED24を点灯させる。ユーザは、LED24の点灯の有無により、各色光用光源部12R、12G、12Bに異常が生じているか否かを認識することができる。プロジェクタ10は、各色光用照明装置11R、11G、11Bの少なくとも1つについて所定範囲を超える光量のレーザ光が検出された場合に、LED24を点灯させる構成にできる。これにより、プロジェクタ10は、各色光用光源部12R、12G、12Bの少なくとも1つに異常が発生した場合に、直ちにLED24を点灯させる。
【0036】
各色光用光源部12R、12G、12Bの出力が著しく増大した場合、通常より強いレーザ光によってプロジェクタ10や人体へ不具合が及ぶ事態を確実に回避する必要がある。PD23により検出された光量が著しく増大した場合に遮蔽部21によりレーザ光を遮蔽することで、各色光用光源部12R、12G、12Bの出力が増大するような異常の発生に対して、レーザ光の射出を停止させることができる。また、各色光用光源部12R、12G、12Bの異常をLED24によりユーザに報知することで、ユーザは、異常に対して早期に何らかの処置を施すことが可能となる。これにより、プロジェクタ10や人体に不具合が及ぶ事態をさらに抑制できる。遮蔽部21は、遮蔽部21へ電流が供給されることにより開放状態とされ、電流の供給が停止されることにより閉じる構成であることが望ましい。これにより、何らかの障害に対しても、レーザ光を遮蔽させる制御を可能とすることができる。
【0037】
以上の他、例えば、各色光用光源部12R、12G、12Bから射出されるレーザ光の進行方向が大幅にシフトした場合も、プロジェクタ10や人体に不具合を及ぼす事態が想定される。レーザ光の進行方向が大幅にシフトしたことは、各色光用光源部12R、12G、12Bからレーザ光が射出されているにも関わらずPD23で検出されるゼロ次光の光量が著しく低下することで認識できる。PD23においてゼロ次光が検出されなかった場合に遮蔽部21によりレーザ光を遮蔽することで、各色光用光源部12R、12G、12Bからのレーザ光の進行方向が大幅にシフトするような異常の発生に対して、レーザ光の射出を停止させることができる。また、この場合も、各色光用光源部12R、12G、12Bの異常をLED24によりユーザに報知することで、プロジェクタ10や人体に不具合が及ぶ事態をさらに抑制できる。
【0038】
遮蔽部21は、各色光用光源部12R、12G、12Bからのレーザ光の一部を遮蔽することで、レーザ光の光量を調整可能としても良い。遮蔽部21は、光学機器に利用される絞りと同様の構成とすることで、開口領域の大きさに応じてレーザ光の光量を調整できる。例えば、PD23で検出されるゼロ次光の光量が増加した場合、遮蔽部21は、ゼロ次光の光量の増加量に応じて遮蔽部21の開口領域を狭める制御がなされる。PD23で検出されたゼロ次光の光量に応じて、遮蔽部21において光量を調整することで、各色光用光源部12R、12G、12Bの出力の変動に関わらず安定した光量のレーザ光を供給できる。なお、各色光用光源部12R、12G、12Bからのレーザ光の光量の調整は、各色光用照明装置11R、11G、11Bに設けられたPD23を用いて色光ごとに行う。
【0039】
回折光学素子は、回折光学素子の設計上の都合や製造誤差のため、所望の回折光のみを射出させる構成とすることは極めて困難である。各色光用空間光変調装置15R、15G、15Bの方向以外の方向へ進行するレーザ光をPD23で検出することで、各色光用空間光変調装置15R、15G、15Bの方向以外の方向へ進行するレーザ光を有効に利用できる。これにより、回折光学素子から照明対象の方向以外の方向へ進行する光を有効に利用でき、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した明るさの画像を表示できるという効果を奏する。
【0040】
異常報知部は、LED24である場合に限られず、光を発生させる他の発光手段を用いても良い。異常報知部は、発光手段である場合に限られない。異常報知部は、例えば、音声を発生させる音声発生手段、例えばブザーやスピーカ等としても良い。音声発生手段は、音声を発生することで異常を報知する。また、異常発生部は、発光手段と音声発生手段を併せ持つものであっても良い。
【0041】
プロジェクタ10は、PD23により−1次回折光L−1を検出することとしても良く、2次回折光等の高次回折光を検出することとしても良い。本実施例では、光源部の異常発生や出力変化があった場合の他、例えば回折光学素子13R、13G、13Bの位置ずれや脱落、破損等の異常に対しても、光の射出を停止させることができる。さらに、本実施例のプロジェクタ10は、PD23による検出結果に応じて空間光変調装置を制御する構成としても良い。
【0042】
図6は、PD23による検出結果に応じて空間光変調装置を制御するための構成を説明するものである。ここでは、R光用照明装置11Rを図示して説明する。図5に示すブロック構成において、制御部34は、PD23による検出結果に基づいて画像信号処理部32を制御する。画像信号処理部32は、制御部34による制御に応じて画像信号を変換する。
【0043】
PD23により検出された光量が著しく増大した場合、レーザ光の進行方向が大幅にシフトした場合に、各色光用空間光変調装置15R、15G、15Bは、制御部34の制御に応じた画像信号処理部32の処理によって、変調光の射出を停止させる。また、各色光用光源部12R、12G、12Bの出力の変動があった場合、各色光用空間光変調装置15R、15G、15Bは、PD23で検出されたゼロ次光の光量に応じて調整された強度の変調光を射出する。この場合も、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した光量の光を供給できる。
【実施例2】
【0044】
図7は、本発明の実施例2に係るプロジェクタについて説明するものであって、R光用照明装置40Rの側面概略構成を示す。本実施例は、−1次回折光L−1を検出するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ42を有することを特徴とする。上記実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。G光用照明装置、B光用照明装置は、R光用照明装置40Rと同様の構成を有する。CMOSセンサ42は、回折光学素子13RからR光用空間光変調装置15Rの方向以外の方向へ進行する回折光である−1次回折光L−1を検出する光検出部である。
【0045】
回折光学素子13R及びCMOSセンサ42の間の光路中には、フィールドレンズ41が設けられている。フィールドレンズ41は、回折光学素子13Rからの−1次回折光L−1を集光させ、CMOSセンサ42へ入射させる。CMOSセンサ42は、複数の受光素子(不図示)を有する。回折光学素子13Rからのゼロ次光L0が入射する位置には、ゼロ次光L0を吸収する光吸収部43が設けられている。光吸収部43は、例えば、光吸収性樹脂部材を用いて構成されている。なお、回折光学素子13Rからの−1次回折光L−1をCMOSセンサ42へ入射させることが可能であれば、フィールドレンズ41を省略しても良い。
【0046】
図8は、プロジェクタを制御するためのブロック構成を示す。CMOSセンサ42は、−1次回折光L−1の光量分布を検出する。制御部34は、CMOSセンサ42で検出された−1次回折光L−1の光量分布に応じて、画像信号処理部32を制御する。図9に示す光量分布の例では、白抜き部分に比べて着色部分が暗いものとする。回折光学素子13R、13G、13Bの特性により、+1次回折光L+1の光量分布は、ゼロ次光L0に関して−1次回折光L−1の光量分布と略対称となる。このため、+1次回折光L+1の光量分布は、−1次回折光L−1の光量分布を適宜変換することで推測できる。
【0047】
制御部34は、CMOSセンサ42による検出結果から推測される+1次回折光L+1の光量分布に応じて、画像信号処理部32を制御する。各色光用空間光変調装置15R、15G、15Bは、制御部34の制御に応じた画像信号処理部32の処理によって、空間的な光量変化が低減された変調光を射出する。例えば、図9に示すうち着色部分については、白抜き部分との光量差に応じて光量を増加させる処理を施すことで、空間的な光量変化を低減できる。なお、かかる各色光用空間光変調装置15R、15G、15Bの制御は、各色光用照明装置に設けられたCMOSセンサ42を用いて色光ごとに行う。
【0048】
また、各色光用光源部12R、12G、12Bから射出されるレーザ光の進行方向が大幅にシフトした場合、CMOSセンサ42で検出される−1次回折光L−1の光量分布が変化することで認識できる。CMOSセンサ42で検出される−1次回折光L−1の光量分布の変化に応じて遮蔽部21でレーザ光を遮蔽することで、各色光用光源部12R、12G、12Bからのレーザ光の進行方向が大幅にシフトするような異常の発生に対して、レーザ光の射出を停止させることができる。
【0049】
各色光用光源部12R、12G、12Bの出力は、CMOSセンサ42の各受光素子で検出された光量値を積算することで得られる。例えば、かかる積算値が所定範囲を超える場合に、遮蔽部21によりレーザ光を遮蔽させることができる。これにより、各色光用光源部12R、12G、12Bからのレーザ光の光量が著しく増大するような異常の発生に対して、レーザ光の射出を停止させることができる。また、かかる積算値の変動に対して遮蔽部21や各色光用空間光変調装置15R、15G、15Bを制御することで、レーザ光の光量を調整することもできる。以上により、光を有効に利用でき、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した明るさの画像を表示することができる。
【0050】
図10は、本実施例の変形例に係るプロジェクタについて説明するものであって、R光用照明装置45Rの側面概略構成を示す。G光用照明装置、B光用照明装置は、R光用照明装置45Rと同様の構成を有する。CMOSセンサ46は、R光用空間光変調装置15Rに並列させて設けられている。CMOSセンサ46は、R光用空間光変調装置15Rと略同じ大きさの矩形形状をなしている。回折光学素子13Rからの−1次回折光L−1は、フィールドレンズ14によって平行化され、CMOSセンサ46へ入射する。
【0051】
フィールドレンズ14は、R光用空間光変調装置15Rへ+1次回折光L+1を入射させる機能、及びCMOSセンサ46へ−1次回折光L−1を入射させる機能を有する。本変形例では図7に示す構成のうちフィールドレンズ41を不要にできることで、プロジェクタの部品点数を少なくすることができる。また、空間光変調装置15R、15G、15Bと略同じ大きさのCMOSセンサ46を用いることが可能であるから、高い精度で光量分布を検出することができる。
【0052】
本実施例では、光源部の異常や出力変化があった場合の他、例えば、回折光学素子13R、13G、13Bの製造誤差や位置ずれによる光量ムラがあった場合に、空間光変調装置の制御により光量ムラを補正できる。また、複数のレーザ光源を用いる場合に、レーザ光源間の出力バランスが変動することによる光量ムラがあった場合にも、空間光変調装置の制御により光量ムラを補正できる。
【0053】
本実施例において、プロジェクタは、CMOSセンサ42、46により1次回折光を検出する場合に限られず、2次回折光等の高次回折光を検出することとしても良い。光検出部は、CMOSセンサ42、46である場合に限られない。光検出部は、CMOSセンサ42、46以外の他の撮像素子、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサであっても良い。プロジェクタは、撮像素子であるCMOSセンサやCCDセンサによりゼロ次光を検出することとしても良い。
【実施例3】
【0054】
図11は、本発明の実施例3に係るプロジェクタ50の概略構成を示す模式図である。本実施例のプロジェクタ50は、各色光用照明装置51R、51G、51Bからのゼロ次光L0を検出するPD55を有することを特徴とする。上記実施例1、2と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。プロジェクタ50は、図1に示すプロジェクタ10と同様、クロスダイクロイックプリズムを用いて各色光を合成する構成をなしている。ここでは、各回折光学素子13R、13G、13Bからの光の振舞いを簡潔に説明するために、各色光用照明装置51R、51G、51Bを並列させて示している。また、回折光学素子13R、13G、13Bは、紙面に沿う方向へゼロ次光L0R、L0G、L0Bを進行させるのに対して、紙面手前側へ+1次回折光L+1を進行させるものとする。各色光用空間光変調装置15R、15G、15Bは、ゼロ次光L0R、L0G、L0Bを進行させる面に対して紙面手前側に設けられている。
【0055】
反射ミラー52は、R光用照明装置51Rの回折光学素子13Rからのゼロ次光L0Rが入射する位置に設けられている。反射ミラー52は、ゼロ次光L0Rを反射させ、光路を折り曲げる。第1ダイクロイックミラー53は、反射ミラー52からのゼロ次光L0R、及びG光用照明装置51Gの回折光学素子13Gからのゼロ次光L0Gが入射する位置に設けられている。第1ダイクロイックミラー53は、R光を透過させ、G光を反射する。第1ダイクロイックミラー53は、G光用照明装置51Gからのゼロ次光L0Gを反射し、光路を折り曲げるとともに、反射ミラー52からのゼロ次光L0Rを透過させることで、ゼロ次光L0R、L0Gを合成する。
【0056】
第2ダイクロイックミラー54は、第1ダイクロイックミラー53からのゼロ次光L0R、L0G、及びB光用照明装置51Bの回折光学素子13Bからのゼロ次光L0Bが入射する位置に設けられている。第2ダイクロイックミラー54は、R光及びG光を透過させ、B光を反射する。第2ダイクロイックミラー54は、B光用照明装置51Bからのゼロ次光L0Bを反射し、光路を折り曲げるとともに、第1ダイクロイックミラー53からのゼロ次光L0R、L0Gを透過させることで、ゼロ次光L0R、L0G、L0Bを合成する。このようにして合成されたゼロ次光L0R、L0G、L0Bは、PD55へ入射する。なお、ゼロ次光L0R、L0G、L0Bを合成させるための構成は、本実施例で説明するものに限られず、適宜変更しても良い。
【0057】
PD55は、R光であるゼロ次光L0R、G光であるゼロ次光L0G、B光であるゼロ次光L0Bを検出する光検出部である。各色光用照明装置51R、51G、51Bに設けられた遮蔽部21は、PD55による検出結果に応じて、各色光用光源部12R、12G、12Bからのレーザ光を遮蔽する。LED24は、PD55による検出結果に応じて点灯することで、各色光用光源部12R、12G、12Bの異常の発生を報知する。PD55によりR光、G光、B光を検出可能とすることで、プロジェクタ50は、照明装置ごとに光検出部を設ける場合より部品点数を少なくできる。プロジェクタ50は、部品点数を少なくできることで、製造コストを低減できる。
【0058】
図12は、本実施例の変形例に係るプロジェクタ60の概略構成を示す模式図である。本変形例のプロジェクタ60は、各色光用照明装置61R、61G、61Bからの−1次回折光L−1R、L−1G、L−1Bを検出するCMOSセンサ66を有することを特徴とする。回折光学素子13R、13G、13Bは、紙面手前側へ+1次回折光L+1を進行させ、紙面奥側へ−1次回折光L−1R、L−1G、L−1Bを進行させる。
【0059】
反射ミラー62は、R光用照明装置61Rの回折光学素子13Rからフィールドレンズ14を経た−1次回折光L−1Rが入射する位置に設けられている。反射ミラー62は、−1次回折光L−1Rを反射させ、光路を折り曲げる。第1ダイクロイックミラー63は、反射ミラー62からの−1次回折光L−1R、及びG光用照明装置61Gの回折光学素子13Gからフィールドレンズ14を経た−1次回折光L−1Gが入射する位置に設けられている。第1ダイクロイックミラー63は、R光を透過させ、G光を反射する。第1ダイクロイックミラー63は、G光用照明装置61Gからの−1次回折光L−1Gを反射し、光路を折り曲げるとともに、反射ミラー62からの−1次回折光L−1Rを透過させることで、−1次回折光L−1R、L−1Gを合成する。
【0060】
第2ダイクロイックミラー64は、第1ダイクロイックミラー63からの−1次回折光L−1R、L−1G、及びB光用照明装置61Bの回折光学素子13Bからフィールドレンズ14を経た−1次回折光L−1Bが入射する位置に設けられている。第2ダイクロイックミラー64は、R光及びG光を透過させ、B光を反射する。第2ダイクロイックミラー64は、B光用照明装置61Bからの−1次回折光L−1Bを反射し、光路を折り曲げるとともに、第1ダイクロイックミラー63からの−1次回折光L−1R、L−1Gを透過させることで、−1次回折光L−1R、L−1G、L−1Bを合成する。このようにして合成された−1次回折光L−1R、L−1G、L−1Bは、カラーホイール65へ入射する。
【0061】
カラーホイール65は、第2ダイクロイックミラー64からCMOSセンサ66へ進行するR光、G光、B光を分離させる色分離部である。カラーホイール65は、R光のみを透過させるダイクロイック膜、G光のみを透過させるダイクロイック膜、B光のみを透過させるダイクロイック膜が組合わされた円形状をなしている。カラーホイール65は、−1次回折光L−1R、L−1G、L−1Bの光線に略平行な軸を中心として回転する。カラーホイール65を回転させると同時に、カラーホイール65へ−1次回折光L−1R、L−1G、L−1Bを入射させることで、−1次回折光L−1R、L−1G、L−1Bを時分割により分離する。
【0062】
CMOSセンサ66は、R光である−1次回折光L−1R、G光である−1次回折光L−1G、B光である−1次回折光L−1Bを順次検出する光検出部である。R光用空間光変調装置15Rは、CMOSセンサ66における−1次回折光L−1Rの検出結果に応じて制御される。G光用空間光変調装置15Gは、CMOSセンサ66における−1次回折光L−1Gの検出結果に応じて制御される。B光用空間光変調装置15Bは、CMOSセンサ66における−1次回折光L−1Bの検出結果に応じて制御される。また、各色光用照明装置61R、61G、61Bに設けられた遮蔽部21は、CMOSセンサ66による検出結果に応じて、各色光用光源部12R、12G、12Bからのレーザ光を遮蔽する。LED24は、CMOSセンサ66による検出結果に応じて点灯することで、各色光用光源部12R、12G、12Bの異常の発生を報知する。
【0063】
図13は、プロジェクタ60を制御するためのブロック構成を示す。カラーホイール65は、制御部34の制御に応じて、所定の回転数で回転する。CMOSセンサ66は、カラーホイール65を透過した各−1次回折光L−1R、L−1G、L−1Bを順次検出する。制御部34は、CMOSセンサ66による検出結果に応じて画像信号処理部32を制御する。各色光用空間光変調装置15R、15G、15Bは、制御部34の制御に応じた画像信号処理部32の処理によって、空間的な光量変化が低減された変調光を射出する。これにより、色光ごとの検出結果に基づいて、各色光用空間光変調装置15R、15G、15Bを制御できる。さらに、遮蔽部21、LED24は、上記実施例2の場合と同様に、CMOSセンサ66による−1次回折光L−1R、L−1G、L−1Bの検出結果に応じて制御される。
【0064】
色分離部は、カラーホイール65である場合に限られず、例えば、R光のみを透過させるダイクロイック膜、G光のみを透過させるダイクロイック膜、B光のみを透過させるダイクロイック膜を並列させたカラーフィルタとしても良い。この場合、CMOSセンサ66は、各ダイクロイック膜に対応する部分の受光素子における検出結果に基づいて、各色光を検出することができる。プロジェクタ60は、光検出部であるPDと色分離部を組み合わせても良い。さらに、プロジェクタ60は、各色光用光源部12R、12G、12Bを順次点灯させる場合、色分離部を用いなくてもCMOSセンサ66により各色光を順次検出することができる。
【0065】
なお、各実施例で説明したプロジェクタは、空間光変調装置として透過型液晶表示装置を用いる場合に限られない。空間光変調装置としては、反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、DMD(Digital Micromirror Device)、GLV(Grating Light Valve)等を用いても良い。プロジェクタは、色光ごとに空間光変調装置を備える構成に限られない。プロジェクタは、一の空間光変調装置により2つ又は3つ以上の色光を変調する構成としても良い。プロジェクタは、空間光変調装置を用いる場合に限られない。プロジェクタは、画像情報を持たせたスライドを用いるスライドプロジェクタであっても良い。プロジェクタは、スクリーンの一方の面に光を供給し、スクリーンの他方の面から射出される光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタであっても良い。
【実施例4】
【0066】
図14は、本発明の実施例4に係るモニタ装置70の概略構成を示す。モニタ装置70は、装置本体71と、光伝送部72とを有する。装置本体71は、上記実施例1の各色光用照明装置11R、11G、11B(図1参照)と同様の照明装置73を備える。上記実施例1と重複する説明は省略する。光伝送部72は、2つのライトガイド75、76を有する。光伝送部72のうち被写体(不図示)側の端部には、拡散板77及び結像レンズ78が設けられている。第1ライトガイド75は、照明装置73からの光を被写体へ伝送する。拡散板77は、第1ライトガイド75の射出側に設けられている。第1ライトガイド75内を伝播した光は、拡散板77を透過することにより、被写体側にて拡散する。
【0067】
第2ライトガイド76は、被写体からの光をカメラ74へ伝送する。結像レンズ78は、第2ライトガイド76の入射側に設けられている。結像レンズ78は、被写体からの光を第2ライトガイド76の入射面へ集光させる。被写体からの光は、結像レンズ78により第2ライトガイド76へ入射した後、第2ライトガイド76内を伝播してカメラ74へ入射する。
【0068】
第1ライトガイド75、第2ライトガイド76としては、多数の光ファイバを束ねたものを用いることができる。光ファイバを用いることで、レーザ光を遠方へ伝送させることができる。カメラ74は、装置本体71内に設けられている。カメラ74は、照明装置73からの光により照明された被写体を撮像する撮像部である。第2ライトガイド76から入射した光をカメラ74へ入射させることで、カメラ74による被写体の撮像ができる。
【0069】
上記実施例1の各色光用照明装置11R、11G、11Bと同様の照明装置73を用いることにより、光を有効に利用でき、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した光量の光を供給できる。これにより、光を有効に利用でき、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつ安定した明るさの被写体を撮像できるという効果を奏する。なお、照明装置73は、上記各実施例で説明したいずれの照明装置と同様の構成としても良い。
【0070】
本発明の照明装置は、レーザ光源として半導体レーザを用いる場合に限られず、固体レーザ、液体レーザ、ガスレーザ等を用いても良い。また、照明装置は、光源部にレーザ光源を用いる場合に限られない。照明装置は、例えば、光源部としてLED等の固体光源を用いる構成としても良い。本発明の照明装置は、光検出部による検出結果に応じて光源部を制御する構成としても良い。照明装置は、例えば、光源部の異常発生時に光源部による光の射出を停止させる構成や、光源部の出力の変動に対して光源部をフィードバック制御する構成にできる。これにより、光源部の異常発生時に光の射出を停止可能とし、かつさらに安定した明るさの画像を表示できる。本発明の照明装置は、プロジェクタやモニタ装置に適用される場合に限られない。本発明の照明装置は、例えば、レーザ光を用いて露光を行う露光装置やレーザ加工装置等の光学系に用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明に係る照明装置は、プロジェクタやモニタ装置に用いる場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施例1に係るプロジェクタの上面概略構成を示す図。
【図2】R光用照明装置の側面概略構成を示す図。
【図3】回折光学素子から射出する光の進行方向を説明する図。
【図4】回折光学素子により形成される照明パターンを説明する図。
【図5】プロジェクタを制御するためのブロック構成を示す図。
【図6】空間光変調装置を制御するための構成を説明する図。
【図7】本発明の実施例2に係るプロジェクタについて説明する図。
【図8】プロジェクタを制御するためのブロック構成を示す図。
【図9】+1次回折光の光量分布、−1次回折光の光量分布の関係を説明する図。
【図10】実施例2の変形例に係るプロジェクタについて説明する図。
【図11】本発明の実施例3に係るプロジェクタの概略構成を示す模式図。
【図12】実施例3の変形例に係るプロジェクタの概略構成を示す模式図。
【図13】プロジェクタを制御するためのブロック構成を示す図。
【図14】本発明の実施例4に係るモニタ装置の概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0073】
10 プロジェクタ、11R R光用照明装置、11G G光用照明装置、11B B光用照明装置、12R R光用光源部、12G G光用光源部、12B B光用光源部、13R、13G、13B 回折光学素子、14 フィールドレンズ、15R R光用空間光変調装置、15G G光用空間光変調装置、15B B光用空間光変調装置、16 クロスダイクロイックプリズム、17 第1ダイクロイック膜、18 第2ダイクロイック膜、19 投写レンズ、21 遮蔽部、22 光吸収部、23 PD、31 画像信号変換部、32 画像信号処理部、33 空間光変調駆動部、34 制御部、35 CPU、36 メモリ、37 光源駆動部、40R R光用照明装置、41 フィールドレンズ、42 CMOSセンサ、43 光吸収部、45R R光用照明装置、46 CMOSセンサ、50 プロジェクタ、51R R光用照明装置、51G G光用照明装置、51B B光用照明装置、52 反射ミラー、53 第1ダイクロイックミラー、54 第2ダイクロイックミラー、55 PD、60 プロジェクタ、61R R光用照明装置、61G G光用照明装置、61B B光用照明装置、62 反射ミラー、63 第1ダイクロイックミラー、64 第2ダイクロイックミラー、65 カラーホイール、66 CMOSセンサ、70 モニタ装置、71 装置本体、72 光伝送部、73 照明装置、74 カメラ、75 第1ライトガイド、76 第2ライトガイド、77 拡散板、78 結像レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する光源部と、
前記光源部からの光を回折させ、照明対象へ回折光を進行させる回折光学素子と、
前記光源部からの光を遮蔽可能に設けられた遮蔽部と、を有し、
前記遮蔽部は、前記回折光学素子から前記照明対象の方向以外の方向へ進行する光を検出する光検出部による検出結果に応じて、前記光源部からの光の少なくとも一部を遮蔽することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光検出部は、前記回折光学素子から前記照明対象の方向以外の方向へ進行するゼロ次光を検出することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光検出部は、前記回折光学素子から前記照明対象の方向以外の方向へ進行する回折光を検出することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光検出部による検出結果に応じて、前記光源部における異常の発生を報知する異常報知部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光検出部は、前記回折光学素子から前記照明対象の方向以外の方向へ進行する光の光量分布を検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の照明装置を有し、前記照明装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項7】
前記照明装置は、第1色光を供給する第1照明装置と、第2色光を供給する第2照明装置と、第3色光を供給する第3照明装置と、を備え、
前記第1照明装置からの前記第1色光を画像信号に応じて変調する第1空間光変調装置と、
前記第2照明装置からの前記第2色光を画像信号に応じて変調する第2空間光変調装置と、
前記第3照明装置からの前記第3色光を画像信号に応じて変調する第3空間光変調装置と、
前記第1照明装置から前記第1空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する前記第1色光、前記第2照明装置から前記第2空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する前記第2色光、及び前記第3照明装置から前記第3空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する前記第3色光を検出する光検出部と、を有することを特徴とする請求項6に記載のプロジェクタ。
【請求項8】
光を射出する光源部と、前記光源部からの光を回折させる回折光学素子と、を有する照明装置と、
前記照明装置からの光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置と、を有し、
前記空間光変調装置は、前記回折光学素子から前記空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する光を検出する光検出部による検出結果に応じて制御されることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項9】
前記光検出部は、前記回折光学素子から前記空間光変調装置の方向以外の方向へ進行するゼロ次光を検出することを特徴とする請求項8に記載のプロジェクタ。
【請求項10】
前記光検出部は、前記回折光学素子から前記空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する回折光を検出することを特徴とする請求項8に記載のプロジェクタ。
【請求項11】
前記光検出部は、前記回折光学素子から前記空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する光の光量分布を検出することを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項12】
前記照明装置は、第1色光を供給する第1照明装置と、第2色光を供給する第2照明装置と、第3色光を供給する第3照明装置と、を備え、
前記空間光変調装置は、前記第1照明装置からの前記第1色光を画像信号に応じて変調する第1空間光変調装置と、前記第2照明装置からの前記第2色光を画像信号に応じて変調する第2空間光変調装置と、前記第3照明装置からの前記第3色光を画像信号に応じて変調する第3空間光変調装置と、を備え、
前記光検出部は、前記第1照明装置から前記第1空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する前記第1色光、前記第2照明装置から前記第2空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する前記第2色光、及び前記第3照明装置から前記第3空間光変調装置の方向以外の方向へ進行する前記第3色光を検出することを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項13】
前記光検出部へ進行する前記第1色光、前記第2色光及び前記第3色光を分離する色分離部を有することを特徴とする請求項7又は12に記載のプロジェクタ。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の照明装置と、
前記照明装置からの光により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とするモニタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−300106(P2008−300106A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143014(P2007−143014)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】