説明

照明装置および投写型映像表示装置

【課題】照明光の均一化効果と照明光の利用効率を同時に高め得る照明装置およびこれを用いたプロジェクタを提供する。
【解決手段】照明装置は、第1の方向(X軸方向)に光を出射する2つの光源ユニット101、102と、第1の方向とは正反対の第2の方向に光を出射する2つの光源ユニット103、104と、光源ユニット101、102および光源ユニット103、104から出射された光の進行方向を第3の方向(Z軸方向)に反射するプリズムミラー201を備える。光源ユニット101、102と光源ユニット103、104から、第3の方向に進むレーザ光に垂直な平面Pまでの各光の光路長が一定となるように、光源ユニット101〜104とプリズムミラー201が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置およびそれを用いた投写型映像表示装置に関し、特に、複数のレーザ光源を用いて照明光を生成する場合に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、映像信号によって変調された光をスクリーン上に拡大投写する投写型映像表示装置(以下、「プロジェクタ」という)が商品化され、広く普及している。この種のプロジェクタには、液晶パネル等の光変調素子に照明光を供給するために照明装置が搭載され、かかる照明装置の光源には、これまで、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等のランプ光源が用いられていた。
【0003】
しかし、近年、ランプ光源に替えて、半導体レーザ等の固体光源を用いたプロジェクタの開発が進められている。レーザ光源は、広い色空間を高輝度かつ高精細に表現する能力に優れており、次世代プロジェクタの光源として注目されている。
【0004】
かかるプロジェクタを用いて大型スクリーンに映像を投写する場合、照明光の高輝度化が必要になる。ここで、照明光を高輝度化する方法として、複数のレーザ光源から出射されたレーザ光を光線合成して用いる方法がある。たとえば、以下の特許文献1では、複数のレーザ光源から出射されたレーザ光を、プリズムミラーを用いて光線合成することにより、照明光の高輝度化が図られている。
【特許文献1】特開2006−337923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、レーザ光源から出射されるレーザ光はある広がり角を持っているため、レーザ光のビームシェイプは、レーザ光が伝搬するにつれて大きくなる。このため、上記特許文献1のように、合成後の光線の進行方向に垂直な平面までの光路長がレーザ光源間で相違すると、当該平面上におけるビームシェイプが不均一となり、このため、フライアイレンズを用いて光を均一化させる光学系では、フライアイレンズに入射する際の各レーザ光のビームシェイプが不均一となって、フライアイレンズによる光の均一化効果が低下するとの問題が生じる。
【0006】
図11は、フライアイレンズに入射する際のレーザ光のビームシェイプの一例を模式的に示す図である。同図(b)のように、フライアイレンズに入射する際のビームシェイプがビーム間で相違すると、同図(a)のようにビームシェイプが均一である場合に比べて、フライアイレンズの有効面積に対するレーザ光入射領域の割合が低下する。このため、同図(b)の場合には、フライアイレンズによる光の均一化効果が、同図(a)の場合よりも低下してしまう。
【0007】
ここで、フライアイレンズの均一化効果を高めるには、照明装置とフライアイレンズ間の距離を調整して、同図(b)中の小さい方のビームシェイプを、たとえば9個のレンズセル全体に掛かるよう拡張させれば良い。しかし、こうすると、大きい方のビームシェイプも同様に拡張されるため、大きい方のビームシェイプがフライアイレンズの有効面積からはみ出してしまい、このはみ出し部分のレーザ光が液晶パネル等の光変調素子に導かれなくなってしまう。このため、この場合には、同図(b)の場合に比べて照明光の利用効率が低下し、その分、光変調素子上における照明光の輝度が低下する。その結果、スクリーン上における映像光の輝度が低下するとの問題が生じる。
【0008】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、照明光の均一化効果と照明光の利用効率を同時に高め得る照明装置およびこれを用いたプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る照明装置は、第1の方向に光を出射する第1の光源群と、第2の方向に光を出射する第2の光源群と、前記第1の光源群および前記第2の光源群から出射された光の進行方向を第3の方向に揃える反射手段とを備え、前記第1の光源群および前記第2の光源群から、前記第3の方向に進む前記光に垂直な平面までの各光の光路長が一定となるよう、前記第1の光源群および前記第2の光源群と前記反射手段を配置したことを特徴とする。
【0010】
この態様において、前記第1の光源群と前記第2の光源群を構成する各光源は、一つの半導体基板上に複数個のレーザ素子がアレイ状に配列された半導体レーザアレイにて構成することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様に係る照明装置において、前記第1の光源群が前記第1の方向に垂直な共通平面内に配置され、前記第2の光源群が前記第2の方向に垂直な共通平面内に配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の態様は、上記第1または第2の態様に係る照明装置において、前記第1の光源群と前記第2の光源群が、それぞれ、共通の冷却部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第4の態様に係る投写型映像表示装置は、上記第1ないし第3の態様の何れかに係る照明装置と、前記照明装置からの光が入射されるフライアイレンズと、前記フライアイレンズを経由した光を映像信号に基づいて変調する光変調素子と、前記光変調素子によって変調された前記光を投写する投写レンズとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記第1ないし第3の態様に係る照明装置によれば、第1の光源群および第2の光源群から、第3の方向に進む光に垂直な平面までの各光の光路長が一定となるため、この照明装置が上記フライアイレンズを用いた光学系に適用されると、フライアイレンズに入射する際の各光のビームシェイプが均一になり、よって、たとえば図11(a)に示すように、フライアイレンズの有効面積を余すことなく、各光をフライアイレンズに入射させることができる。したがって、この態様に係る照明装置によれば、照明光の利用効率を低下させることなく、フライアイレンズによる光の均一化効果を適正に発揮させることができる。
【0015】
本発明の第4の態様に係る投写型映像表示装置によれば、上記第1ないし第3の態様に係る照明装置が用いられるため、照明光の利用効率を低下させることなく、フライアイレンズによる光の均一化効果を適正に発揮させることができる。よって、スクリーン上に投写される映像光の高輝度化を実現することができる。
【0016】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0018】
まず、図1に、実施の形態に係る光源ユニットの構成を示す。図示の如く、光源ユニットは、半導体レーザアレイ11と、銅板12と、液冷ジャケット13を備えている。同図では、外部からレーザ素子11bが見えるよう、便宜上、半導体レーザアレイ11の前側上部を切り欠いた状態で、光源ユニットが図示されている。
【0019】
半導体レーザアレイ11は、半導体層中に複数個の半導体レーザ素子11bが形成されたものである。半導体層の天面には、陰極となる導電板(銅板等)11cが配されており、各半導体レーザ素子11bの陰極(天面)が、ワイヤーボンディングによって、導電板11cに接続されている。また、半導体層の底面は、各半導体レーザ素子11bの陽極となっており、導電性の基板11aに接面している。
【0020】
導電板11cには、基板11aへと至る孔が形成されており、この孔を通って導電性のネジ11dが基板11aに螺合している。よって、ネジ11dは、半導体レーザ素子11bの陽極に電気的に接続されている。ここで、ネジ11dと孔の間には、絶縁部材11eが介在している。各半導体レーザ素子11bには、ネジ11dを介して正の電位が供給され、また、導電板11cを介して負の電位が供給される。なお、基板11aまたはネジ11fから正の電位を供給するようにしても良い。
【0021】
基板11aは、液冷ジャケット13に対する熱伝導を高めるため、半導体層よりもサイズが大きくなっている。基板11aは、半導体層の配置領域の外側の領域を、ネジ11fを介して液冷ジャケット13にネジ止めされる。
【0022】
ここで、基板11aと液冷ジャケット13の間には、半導体レーザアレイ11の冷却効率を高めるために銅板12が介在している。液冷ジャケット13の流入口13aと流出口13bを介して冷却液が液冷ジャケット13内を循環し、これにより、銅板12を通じて半導体レーザアレイ11から液冷ジャケットに伝導された熱が取り除かれる。
【0023】
なお、ここでは、銅板12が熱拡散のために用いられているが、半導体レーザアレイ11の発熱面積や液冷ジャケット13の面積によっては銅板12を用いない方が冷却効率が良くなる可能性もある。このような場合には、銅板12を省略しても良い。また、半導体レーザアレイ11を室温以下に保つ必要がある場合等、冷却能力をさらに高める必要がある場合には、銅板12と液冷ジャケット13の間にペルチェ素子等の熱移動素子をさらに介在させても良く、あるいは、銅板12に替えてペルチャ素子を配し、ペルチャ素子上に直接、半導体レーザアレイ11を装着しても良い。
【0024】
なお、図1に示す半導体レーザアレイ11全体が、本発明の第1および第2の光源群を構成する一つの光源に相当する。すなわち、一つの半導体レーザアレイ11内に配列された複数個の半導体レーザ素子11bの固まりが、本発明の第1および第2の光源群を構成する一つの光源に相当する。つまり、本発明における一つの光源は、必ずしも一個独立の発光源である必要はなく、図1の半導体レーザアレイ11のように、複数の発光源が密集して配された発光源の集合体であっても良い。この場合、各発光源から出射される光の集合が、一つの光源から発せられる光となる。かかる光の集合のビームシェイプは、光が進むにつれて大きくなる。
【0025】
なお、このように発光源の集合体を一つの光源とする場合、厳密には発光源毎に光路長が存在し得るが、本発明の定義上は、発光源の集合体の中央付近の発光源から発せられる光の光路長を当該光源の光路長とする。したがって、図1の構成の場合には、一列に配列された半導体レーザ素子11bのうち中央の半導体レーザ素子11bから出射されるレーザ光の光路長が半導体レーザアレイ11の光路長とされる。たとえば、半導体レーザアレイ11に24個の半導体レーザ素子11bが配列されている場合、端から12番目または13番目の半導体レーザ素子11bから出射されるレーザ光の光路長が半導体レーザアレイ11の光路長である。
【0026】
なお、以下では、一列に配列された半導体レーザ素子11bのうち中央の半導体レーザ素子11bから出射されるレーザ光の光軸を半導体レーザアレイ11の光軸として説明を行う。
【0027】
図2は、実施の形態に係る照明装置の光学系を示す図である。同図(a)は照明装置の上面図、同図(b)は照明装置の正面図である。
【0028】
図示の如く、照明装置の光学系は、4つの光源ユニット101〜104と、プリズムミラー201とを備えている。光源ユニット101〜104は、それぞれ、図1の構成を備えており、これら光源ユニット101〜104には、同じ光学特性(レーザ波長、広がり角、等)を有する半導体レーザアレイ11が配されている。
【0029】
このうち、光源ユニット101、102は、図中、X軸に平行な同一方向(第1の方向)にレーザ光を出射し、且つ、レーザ光の発光位置が当該第1の方向に垂直な共通平面上に位置するよう配置されている。また、光源ユニット103、104は、上記第1の方向とは正反対の第2の方向にレーザ光を出射し、且つ、レーザ光の発光位置が当該第2の方向に垂直な共通平面上に位置するよう配置されている。さらに、光源ユニット101、103は、レーザ光の発光位置が互いに正対するよう配置され、また、光源ユニット102、104は、レーザ光の発光位置が互いに正対するよう配置されている。
【0030】
プリズムミラー201は、断面が直角2等辺三角形となる形状を有し、直角な頂角を挟む2つの面がミラー面201a、201bとなっている。また、プリズムミラー201は、光源ユニット101〜104から出射されるレーザ光L01〜L04の光軸がそれぞれミラー面201a、201bに対して45°となるよう配置されている。つまり、同図Y−Z平面にてプリズムミラー201の頂角を2分した角度αは45°である。よって、これらレーザ光L01〜L04は、ミラー面201a、201bに反射されて、第3の方向(同図Z軸方向)に進む。
【0031】
さらに、光源ユニット101〜104とプリズムミラー201は、これら光源ユニット101〜104から、第3の方向に垂直な平面Pまでの光路長が同じになるよう配置されている。つまり、同図(a)に示す如く各部の寸法を設定すると、A1=A2、B1=B2、C1=C2、A1=B1+C1、A2=B2+C2となっている。ここで、A1、A2は、それぞれ光源ユニット101、103から反射面201a、201bまでの光路長、B1、B2は、それぞれ光源ユニット102、104から反射面201a、201bまでの光路長、C1は、光源ユニット101、102の発光点間の距離、C2は、光源ユニット103、104の発光点間の距離である。
【0032】
図3(a)は、光源ユニット101、102の配置状態と、レーザ光L01,L02の出射状態を模式的に示す図である。
【0033】
上記の如く、光源ユニット101、102からは、半導体レーザアレイ11内の各半導体レーザ素子11bからレーザ光が出射され、これらの集合がレーザ光L01、L02となっている。レーザ光L01,L02は、同じ広がり角を持っているため、これらレーザ光L01、L02のビームシェイプは、これらレーザ光L01、L02が伝搬するにつれて大きくなる。
【0034】
これら光源ユニット101、102は、各々個別に、保持機構301、302に保持されている。保持機構301、302は、光源ユニット101、102を支持する支持部の位置を図中X、Y、Z方向に調整可能なメカニズムを有している。このメカニズムを調整することにより、光源ユニット101、102の発光位置が図中X、Y、Z方向に調整される。
【0035】
なお、同図(a)では、光源ユニット101、102が、各々個別に、保持機構301、302に保持されているが、同図(b)に示すように、光源ユニット101、102を、共通の保持機構303によって保持する構成とすることもできる。この場合、保持機構301、302は、光源ユニット101、102の位置を図中X、Y方向に調整可能なメカニズムを有している。
【0036】
加えて、同図(b)の構成では、光源ユニット101、102の冷却手段として、共通の銅板12と液冷ジャケット13が配されている。すなわち、光源ユニット101、102の両方が、一つの銅板12を介して、液冷ジャケット13に装着され、液冷ジャケット13が、保持機構303の支持部に装着されている。このように、銅板12、液冷ジャケット13および保持機構303を共通化することにより、構成の簡素化とコストの削減を図ることができ、また、光源ユニット101、102の位置調整作業を簡易化することができる。さらに、同図(a)の場合に比べて、レーザ光L1、L2の間の距離を適宜短縮することもできる。
【0037】
なお、図3には、光源ユニット101、102の配置とレーザ光L01,L02の出射状態を示したが、光源ユニット103、104の配置とレーザ光L03,L04の出射状態もこれと同様である。
【0038】
以上のように照明装置を構成することにより、図2(a)に示す平面Pの位置において、各光源ユニット101、102、103、104から出射されるレーザ光L01、L02、L03、L04のビームシェイプを均一化することができる。よって、第3の方向の後段側にフライアイレンズを配する場合には、図4に示すように、フライアイレンズの有効面積を余すことなく、それぞれのレーザ光L01、L02、L03、L04をフライアイレンズに入射させることができる。したがって、本実施の形態に係る照明装置によれば、照明光の利用効率を低下させることなく、フライアイレンズによる光の均一化効果を適正に発揮させることができる。
【0039】
<他の実施形態>
図5は、他の実施の形態に係る照明装置の光学系を示す図である。同図(a)は照明装置の上面図、同図(b)は照明装置の正面図である。
【0040】
図示の如く、本実施の形態に係る照明装置の光学系は、上記に比べ、照明装置内に配された光源ユニットの個数が増加している。すなわち、上記図2の実施形態では、プリズムミラー201の各ミラー面201a、201bに対向して光源ユニットが2個ずつ配されていたが、図5の実施形態では、プリズムミラー211の各ミラー面211a、211bに対向して光源ユニットが16個ずつマトリクス状に配置されている。同図(a)には、マトリクス状に配置された32個の光源ユニットのうち最上段の光源ユニット111〜118が図示され、同図(b)には、正面側から見える最前列の光源ユニット111、121、131、141および光源ユニット115、125、135、145が図示されている。
【0041】
図5において、各段の光源ユニットはZ軸方向に直線状に並び、また、各列の光源ユニットはY軸方向に直線状に並んでいる。これら32個の光源ユニットは、上記実施形態と同様、それぞれ、図1の構成を備えている。また、これら32個の光源ユニットには、同じ光学特性(レーザ波長、広がり角、等)を有する半導体レーザアレイ11が配されている。
【0042】
ミラー面211a側に配された16個の光源ユニットは、図中、X軸に平行な同一方向(第1の方向)にレーザ光を出射し、且つ、レーザ光の発光位置が当該第1の方向に垂直な共通平面上に位置するよう配置されている。また、ミラー面211b側に配された16個の光源ユニットは、第1の方向とは正反対の第2の方向にレーザ光を出射し、且つ、レーザ光の発光位置が当該第2の方向に垂直な共通平面上に位置するよう配置されている。さらに、ミラー面211a側に配された16個の光源ユニットとミラー面211b側に配された16個の光源ユニットは、個々に、レーザ光の発光位置が互いに正対するよう配置されている。
【0043】
プリズムミラー211は、断面が直角2等辺三角形となる形状を有し、直角な頂角を挟む2つの面がミラー面211a、211bとなっている。また、プリズムミラー211は、上記32個の光源ユニットから出射されるレーザ光(同図(a)には、最上段の光源ユニットから出射されるレーザ光L11〜L18が示されている)の光軸がそれぞれミラー面211a、211bに対して45°となるよう配置されている。つまり、同図Y−Z平面にてプリズムミラー201の頂角を2分した角度αは45°である。よって、これらレーザ光は、ミラー面211a、211bに反射されて、第3の方向(同図Z軸方向)に進む。
【0044】
さらに、これら32個の光源ユニットとプリズムミラー211は、各光源ユニットから、第3の方向に垂直な平面Pまでの光路長が同じになるよう配置されている。つまり、同図(a)に示す如く各部の寸法を設定すると、D1=D2、E1=E2、F1=F2、G1=G2、J1=I1=H1=J2=I2=H2、D1=G1+J1+I1+H1=F1+I1+H1=E1+H1、D2=G2+J2+I2+H2=F2+I2+H2=E2+H2となっている。ここで、D1、D2、E1、E2、F1、F2、G1、G2は、それぞれ、各列の光源ユニットから反射面211a、211bまでの光路長であり、また、H1、I1、J1、H2、I2、J2は、それぞれ、隣り合う列にある光源ユニット1間の発光点間の距離である。
【0045】
図6は、ミラー面211a側にある16個の光源ユニットの配置状態と、レーザ光の出射状態を模式的に示す図である。
【0046】
これら16個の光源ユニット111〜114、121〜124、131〜134、141〜144から出射されるレーザ光(半導体レーザアレイ11内の各半導体レーザ素子11bから出射されるレーザ光の集合)は、同じ広がり角を持っているため、これらレーザ光のビームシェイプは、これらが伝搬するにつれて大きくなる。
【0047】
図6の構成例では、16個の光源ユニットが、各々個別に、保持機構311〜314、321〜324、331〜334、341〜344に保持されている。各保持機構311〜314、321〜324、331〜334、341〜344は、対応する光源ユニットを支持する支持部の位置を図中X、Y、Z方向に調整可能なメカニズムを有している。このメカニズムを調整することにより、光源ユニット111〜114、121〜124、131〜134、141〜144の発光位置が図中X、Y、Z方向に調整される。
【0048】
図7は、各段の光源ユニットを共通の保持機構310、320、330、340によって保持するよう構成したものである。この場合、保持機構310、320、330、340は、それぞれ、光源ユニット111〜114、121〜124、131〜134、141〜144の位置を図中X、Y方向に調整可能なメカニズムを有している。
【0049】
加えて、図7の構成では、上記図3(b)の場合と同様、各段の光源ユニットの冷却手段として、共通の銅板12と液冷ジャケット13が配されている。すなわち、各段の4つの光源ユニットは、一つの銅板12を介して、液冷ジャケット13に装着され、液冷ジャケット13が、対応する保持機構310、320、330、340の支持部に装着されている。このように、銅板12、液冷ジャケット13および保持機構310、320、330、340を共通化することにより、構成の簡素化とコストの削減を図ることができ、また、各段の光源ユニットの位置調整作業を簡易化することができる。さらに、図6の場合に比べて、各段の光源ユニットから出射されるレーザ光間の距離を適宜短縮することもできる。
【0050】
なお、図6および図7には、ミラー面211a側にある16個の光源ユニットの配置とレーザ光の出射状態を示したが、ミラー面211b側にある16個の光源ユニットの配置とレーザ光の出射状態もこれと同様である。
【0051】
以上のように照明装置を構成することにより、図5(a)に示す平面Pの位置において、これら32個の光源ユニットから出射されるレーザ光のビームシェイプを均一化することができる。よって、第3の方向の後段側にフライアイレンズを配する場合には、図8に示すように、フライアイレンズの有効面積を余すことなく、それぞれのレーザ光をフライアイレンズに入射させることができる。したがって、本実施の形態に係る照明装置によれば、照明光の利用効率を低下させることなく、フライアイレンズによる光の均一化効果を適正に発揮させることができる。また、発光源として32個の光源ユニットが用いられるため、照明光のさらなる高輝度化を実現することができる。
【0052】
図9は、他の実施の形態に係る照明装置の光学系を示す図である。同図(a)は照明装置の上面図、同図(b)(c)は照明装置の正面図である。同図(b)は、光源ユニット151、153から出射されるレーザ光がプリズムミラー221に入射する状態を示し、同図(c)は、光源ユニット152、154から出射されるレーザ光がプリズムミラー222に入射する状態を示ししている。
【0053】
図示の如く、この実施形態に係る照明装置の光学系は、4つの光源ユニット151〜154と、2つのプリズムミラー221、222を備えている。光源ユニット151〜154は、それぞれ、図1の構成を備えており、これら光源ユニット151〜154には、同じ光学特性(レーザ波長、広がり角、等)を有する半導体レーザアレイ11が配されている。
【0054】
このうち、光源ユニット151、152は、図中、X軸に平行な同一方向(第1の方向)にレーザ光を出射し、且つ、レーザ光の発光位置が当該第1の方向にずれている。また、光源ユニット153、154は、上記第1の方向とは正反対の第2の方向にレーザ光を出射し、且つ、レーザ光の発光位置が当該第2の方向にずれている。さらに、光源ユニット151、153は、レーザ光の発光位置が互いに正対するよう配置され、また、光源ユニット152、154は、レーザ光の発光位置が互いに正対するよう配置されている。
【0055】
プリズムミラー221、222は、断面が直角2等辺三角形となる形状を有し、それぞれ、ミラー面221a、221bおよびミラー面222a、222bを有している。プリズムミラー221は、光源ユニット151、153から出射されるレーザ光L51、L53の光軸がそれぞれミラー面221a、221bに対して45°となるよう配置され、プリズムミラー222は、光源ユニット152、154から出射されるレーザ光L52、L54の光軸がそれぞれミラー面222a、222bに対して45°となるよう配置されている。つまり、同図Y−Z平面にてプリズムミラー221、222の頂角を2分した角度αは45°である。よって、これらレーザ光L51〜L54は、ミラー面221a、221bおよびミラー面222a、222bに反射されて、第3の方向(同図Z軸方向)に進む。
【0056】
さらに、光源ユニット151〜154とプリズムミラー221、222は、これら光源ユニット151〜154から、第3の方向に垂直な平面Pまでの光路長が同じになるよう配置されている。つまり、同図(a)に示す如く各部の寸法を設定すると、K1=K2、L1=L2、M1=M2、K1=L1+M1、K2=L2+M2となっている。ここで、K1、K2は、それぞれ光源ユニット151、153から反射面221a、221bまでの光路長、L1、L2は、それぞれ光源ユニット152、154から反射面222a、222bまでの光路長、M1は、光源ユニット151、152の発光点間の距離、M2は、光源ユニット153、154の発光点間の距離である。
【0057】
以上のように光源ユニット151〜154とプリズムミラー221、222を配置することにより、平面Pの位置において、各光源ユニット151、152、153、154から出射されるレーザ光L51、L52、L53、L54のビームシェイプを均一化することができる。よって、第3の方向の後段側にフライアイレンズを配する場合には、図4と同様、フライアイレンズの有効面積を余すことなく、それぞれのレーザ光L51、L52、L53、L54をフライアイレンズに入射させることができる。したがって、この実施形態に係る照明装置によれば、上記図2の場合と同様、照明光の利用効率を低下させることなく、フライアイレンズによる光の均一化効果を適正に発揮させることができる。
【0058】
<プロジェクタの構成例>
図10は、上記照明装置を用いたプロジェクタの光学系を示す図である。
【0059】
同図中、501、506、511が照明装置である。照明装置501、506、511は、それぞれ、赤色波長帯、緑色波長帯、青色波長帯の照明光を出射する。このうち、赤色光用の照明装置501として上記構成を有する照明装置を用いることができる。
【0060】
照明装置506、511に用いられる発光源(光源ユニット)は、図1に示す構成とは異なっている。現在のところ、緑色波長帯と青色波長帯のレーザ光は、他の波長帯のレーザ光を波長変換することにより生成されている。よって、緑色光および青色光を出射する光源ユニットは、他の波長帯のレーザ光を緑色波長帯および青色波長帯に波長変換する光学系を備える。緑色光および青色光を出射する光源ユニットは、この光学系と冷却部とを一体化した構成となっている。したがって、照明装置506、511においては、たとえば、図2、図5、図9における各光源ユニットが、上記波長変換用の光学系と冷却部が一体化された緑色光および青色光用の光源ユニットに置き換えられる。このように構成すると、上記と同様、各光源ユニットからフライアイレンズまでの光路長が一定となるため、フライアイレンズ入射時における各レーザ光のビームシェイプが均一化され、上記と同様の効果が奏される。
【0061】
照明装置501から出射された赤色照明光は、一対のフライアイレンズ502に入射される。フライアイレンズ502を通過した赤色照明光は、コンデンサレンズ503、504を経由して液晶パネル505に入射される。また、照明装置506から出射された緑色照明光は、一対のフライアイレンズ507に入射される。フライアイレンズ507を通過した緑色照明光は、コンデンサレンズ508、509を経由して液晶パネル510に入射される。さらに、照明装置511から出射された青色照明光は、一対のフライアイレンズ512に入射される。フライアイレンズ512を通過した青色照明光は、コンデンサレンズ513、514を経由して液晶パネル515に入射される。
【0062】
液晶パネル505、510、515の光入射側と光出射側には、それぞれ、偏光板(図示せず)が配されている。入射側偏光板を介して液晶パネル505、510、515に入射された赤色照明光、緑色照明光および青色照明光は、それぞれ、液晶パネル505、510、515によって変調された後、出射側偏光板を介して、ダイクロイックプリズム516に入射される。
【0063】
しかる後、赤色照明光、緑色照明光および青色照明光は、ダイクロイックプリズム516にて合成され、映像光として投写レンズ517に入射される。投写レンズ517は、映像光を被投写面上に結像させるためのレンズ群と、これらレンズ群の一部を光軸方向に変位させて投写画像のズーム状態およびフォーカス状態を調整するためのアクチュエータを備えている。しかして、液晶パネル505、510、515上に表示された映像がスクリーン上に拡大投写される。
【0064】
図10の構成によれば、照明装置501、506、511に配された複数の光源ユニットからのレーザ光を、均一化されたビームシェイプにて、フライアイレンズ502、507、512に入射させる得るため、照明装置501、506、511とフライアイレンズ502、507、512の間の距離を適宜調整することにより、各レーザ光を、有効面積を余すことなくフライアイレンズ502、507、512に入射させることができる。したがって、図10の構成によれば、赤色、緑色および青色照明光の利用効率を低下させることなく、フライアイレンズ502、507、512による光の均一化効果を適正に発揮させることができる。よって、スクリーン上に投写される映像の高輝度化を実現することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、本発明の実施形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0066】
たとえば、上記実施の形態では、光源ユニットを4個および32個配する例を示したが、照明装置内に配される光源ユニットの個数はこれに限定されるものではなく、また、プリズムミラーの個数も、光源ユニットの個数に応じて適宜変更可能である。ただし、光源ユニットとプリズムミラーの個数を上記から変更する場合には、各光源ユニットからフライアイレンズまでの光路長が一定となるよう、光源ユニットとプリズムミラーの配置を調整する必要がある。
【0067】
なお、図1の光源ユニットを用いる場合には、レーザ光の広がり角が大きいため、フライアイレンズへ入射する際のレーザ光のビームシェイプがフライアイレンズに対して大きくなり過ぎる場合が想定されるが、この場合には、広がり角を抑制するためのレンズを光源ユニットの出射側に配置すれば良い。
【0068】
たとえば、図2および図3に示す構成では、光源ユニット101、102に対して、Y軸方向にレーザ光を収束させる共通のシリンドリカルレンズを配置すればよく、また、これと同じシリンドリカルレンズを、光源ニット103、104に対して配置すれば良い。この場合、光源ニット101、102とシリンドリカルレンズの位置関係と、光源ニット103、104とシリンドリカルレンズの位置関係は同じとされる。こうすると、図2(a)中の平面Pにおけるレーザ光L01,L02,L03,L04のビームシェイプは、シリンドリカルレンズを配さない場合に比べてY軸方向に小さくなる。また、レーザ光L01,L02,L03,L04に対してシリンドリカルレンズから付与されるY軸方向の収束作用は同じであるため、このようにシリンドリカルレンズを配置しても、これらレーザ光のビームシェイプは互いに等しくなる。
【0069】
さらに、図2、図5、図9に示す構成例では、プリズムミラーの頂角の角度αを45度としたが、角度αは45度に限るものではなく、適宜、他の角度に変更可能である。ただし、プリズムミラーによって反射された後のレーザ光が同一方向に向くように、プリズムミラーの頂角の角度αに応じて、光源ユニットの配置(ミラー面に対するレーザ光軸の入射角)を適宜調整する必要がある。また、この場合も、各光源ユニットからフライアイレンズまでの光路長が一定となるよう、光源ユニットとプリズムミラーの配置を調整する必要がある。
【0070】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施の形態に係る光源ユニットの構成を示す図
【図2】実施の形態に係る照明装置の構成を示す図
【図3】実施の形態に係る光源ユニットの配置とレーザ光の状態を示す図
【図4】実施の形態に係る照明装置の効果を説明する図
【図5】他の実施の形態に係る照明装置の構成を示す図
【図6】他の実施の形態に係る光源ユニットの配置とレーザ光の状態を示す図
【図7】他の実施の形態に係る光源ユニットの配置とレーザ光の状態を示す図
【図8】実施の形態に係る照明装置の効果を説明する図
【図9】さらに他の実施の形態に係る照明装置の構成を示す図
【図10】実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す図
【図11】本発明の課題を説明する図
【符号の説明】
【0072】
11 … 半導体レーザアレイ
12 … 銅板
13 … 液冷ジャケット
101、102、103、104 … 光源ユニット
201 … プリズムミラー
111、112、113、114 … 光源ユニット
115、116、117、118 … 光源ユニット
121、122、123、124 … 光源ユニット
131、132、133、134 … 光源ユニット
141、142、143、144 … 光源ユニット
125、135、145 … 光源ユニット
211 … プリズムミラー
151、152、153、154 … 光源ユニット
221、222 … プリズムミラー
501、506、511 … 照明装置
502、507、512 … フライアイレンズ
505、510、515 … 液晶パネル
517 … 投写レンズ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に光を出射する第1の光源群と、
第2の方向に光を出射する第2の光源群と、
前記第1の光源群および前記第2の光源群から出射された光の進行方向を第3の方向に揃える反射手段とを備え、
前記第1の光源群および前記第2の光源群から、前記第3の方向に進む前記光に垂直な平面までの各光の光路長が一定となるよう、前記第1の光源群および前記第2の光源群と前記反射手段を配置した、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の光源群が、前記第1の方向に垂直な共通平面内に配置され、
前記第2の光源群が、前記第2の方向に垂直な共通平面内に配置されている、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1の光源群と前記第2の光源群が、それぞれ、共通の冷却部を備える、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の照明装置と、
前記照明装置からの光が入射されるフライアイレンズと、
前記フライアイレンズを経由した光を映像信号に基づいて変調する光変調素子と、
前記光変調素子によって変調された前記光を投写する投写レンズと、
を有することを特徴とする投写型映像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−204871(P2009−204871A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46943(P2008−46943)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】