説明

照明装置

【課題】照明光の色調を可変とすることに伴う照明装置の劣化を抑制することが可能な照明装置を提供する。
【解決手段】蛍光体を励起する光を発光する発光装置1と、該発光装置1から放射された光を調光して透過させる調光部2と、該調光部2が透過した光を吸収し異なる波長の可視光に変換する前記蛍光体を有する波長変換部3r,3g,3bを備えた光出射部3とを有し、調光部2は、発光装置1から放射された光の透過光量をそれぞれ異ならせる複数個の透光部2a,2b,2cを有するとともに、光出射部3は、複数個の透光部2a,2b,2cに対応して波長変換部3r,3g,3bを少なくとも一つ配置されてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光の色調を可変とする照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、赤色(R),緑色(G),青色(B)の光を高出力に発光可能な固体発光素子(たとえば、LEDチップ、LD(laser diode)素子や有機EL素子など)を用いた発光装置が開発されている。発光色の異なる複数種の発光装置を用いて、たとえば、赤色光、緑色光や青色光をそれぞれ発光させ、各発光色の光を混色させることにより白色光を得ることができる。
【0003】
また、別の発光装置として、固体発光素子たるLEDチップと、該LEDチップを被覆すると共に該LEDチップからの光の少なくとも一部を吸収し波長変換した蛍光を発する蛍光体が含有された透光性部材からなる波長変換部材とを備えた発光装置も開発されている。波長変換部材を備えた発光装置は、たとえば、LEDチップが発光した紫外光を波長変換部材で波長変換して赤色光、緑色光や青色光などとして放射させることができる。赤色光を発光する波長変換部材を備えた発光装置と、緑色光を発光する波長変換部材を備えた発光装置と、青色光を発光する波長変換部材を備えた発光装置とを組み合わせて白色光を放射させることができる。また、波長変換部材を備えた発光装置は、たとえば、LEDチップからの青色光と、波長変換部材からの黄色光とを混色させ白色光を放射することもできる。
【0004】
これらの発光装置は、固体発光素子の高出力化などにともない照明装置にまで利用されている。ここで、照明装置は、照明光の色調を所望の色温度の白色光などに変えることが望まれる場合がある。上述の発光装置を利用した照明装置では、発光色の異なる複数種の発光装置の光をそれぞれ調光させることで照明光の色調を可変とすることができる。
【0005】
たとえば、図8に示すように、青色光を放射する青色LEDチップのみを利用した発光装置110と、青色LEDチップおよび青色光を吸収し緑色光を放射する緑色蛍光体を有する発光装置111と、青色LEDチップおよび青色光を吸収し赤色光を放射する赤色蛍光体を有する発光装置112と、青色LEDチップおよび青色光を吸収し黄色光を放射する黄色蛍光体を有する発光装置113と、緑色LEDチップのみを利用した発光装置114と、各発光装置110〜114それぞれの光強度を制御する制御装置120とを備えた照明装置が知られている(たとえば、特許文献1を参照。)。
【0006】
上述の特許文献1の照明装置では、発光色の異なる各発光装置110〜114に供給する電流量を変え、各発光装置110〜114から放射される異なる発光色の光強度をそれぞれ制御して照明装置から放射される照明光の色調を可変とすることができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−122950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述の照明装置の各発光装置110〜114は、各発光装置110〜114に供給する電流量に応じて各発光装置110〜114がそれぞれ発光すると共に発熱も生じる。照明装置から照射される照明光の色調を変えるため各発光装置110〜114へ供給する電流量を変化させた場合、各発光装置110〜114それぞれに生じる発熱量も変化する。
【0009】
照明装置では、照明光の色調を変化させるたびに、各発光装置110〜114ごとにそれぞれ異なって温度の上昇や温度の下降が繰り返される。各発光装置110〜114ごとの温度変化は、照明装置を構成する各構成部材の熱膨張率の違いにより、各構成部材に熱応力を生じさせる。その結果、照明装置は、照明光の色調の可変に伴う熱応力の負担が大きく、照明装置の劣化が促進される要因となる。照明装置の劣化として、たとえば、LEDチップとLEDチップを被覆する透光性部材との界面剥離など、照明装置を構成する各構成部材の界面剥離、LEDチップや発光装置に給電させる電気接続部の接続不良の発生などが挙げられる。照明装置は、照明装置の劣化により、光強度の低下、経時的な色調の変化や不灯などが生ずる恐れがある。
【0010】
特に、照明装置は、光出力の向上のため、より光強度の高い光が発光可能な発光装置を使用することが求められており、各発光装置の発熱量も大きくなる傾向にある。照明装置は、各発光装置の光強度を大きくする程、照明光の色調を可変とすることに伴う照明装置の劣化が顕著になる恐れがあり、上述の照明装置の構成だけでは十分ではなく更なる改良が求められている。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、照明光の色調を可変とすることに伴う照明装置の劣化を抑制することが可能な照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の照明装置は、蛍光体を励起する光を発光する発光装置と、該発光装置から放射された光を調光して透過させる調光部と、該調光部が透過した光を吸収し異なる波長の可視光に変換する前記蛍光体を有する波長変換部を備えた光出射部とを有し、前記調光部は、前記発光装置から放射された光の透過光量をそれぞれ異ならせる複数個の透光部を有するとともに、前記光出射部は、複数個の前記透光部に対応して前記波長変換部を少なくとも一つ配置されてなることを特徴とする。
【0013】
この照明装置において、上記調光部は、複数個の上記透光部により該透光部を透過した光の光強度を場所によって異ならせるパネルと、該パネルの中心部に設けられ該中心部を中心に上記パネルを上記光出射部の上記波長変換部に対して相対的に回動可能とする回転軸とを有することが好ましい。
【0014】
この照明装置において、上記調光部は、同一形状の上記パネルを複数枚積層し、該パネルの少なくとも一つを上記中心部を中心に回動させることにより複数枚の上記パネルの上記透光部同士が重畳する割合を可変としてあることが好ましい。
【0015】
この照明装置において、上記調光部は、上記回転軸を回動させる駆動部を備え、該駆動部によって上記波長変換部と上記透光部との相対的な配置を位置決め可能としてあることが好ましい。
【0016】
この照明装置において、上記発光装置は、該発光装置に給電する配線パターンを有する配線基板の一表面上に複数個備え該発光装置から放射された光を反射する反射部材で囲んで一つの光源としており、該光源から放射され上記パネルで反射された光を、上記配線基板の一表面側および上記反射部材によって上記パネル側の全体に反射させてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の照明装置では、照明光の色調を可変とすることに伴う照明装置の劣化を抑制することが可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1の照明装置を示し、(a)は要部説明断面図、(b)は説明斜視図である。
【図2】同上の照明装置の要部における原理説明図である。
【図3】同上の別の照明装置における説明図である。
【図4】同上の他の照明装置における要部斜視図である。
【図5】同上の更に別の照明装置における要部概略平面図である。
【図6】実施形態2の照明装置を示し、(a)は要部説明断面図、(b)は説明斜視図である。
【図7】実施形態3の照明装置の要部説明断面図である。
【図8】従来の照明装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、本実施形態の照明装置を図1ないし図5に基づいて説明する。なお、図1ないし図5において同じ部材に対しては、同じ番号を付して重複する説明を省略している。
【0020】
本実施形態の照明装置10は、蛍光体を励起する光を発光するLEDチップ11を備えた3個の発光装置1と、該発光装置1から放射された光を調光して透過させる調光部2と、該調光部2が透過した光を吸収し異なる波長の可視光に変換する上記蛍光体を有する波長変換部3r,3g,3bを3種類備えた光出射部3とを有している。
【0021】
特に、調光部2は、発光装置1から放射された光の透過光量をそれぞれ異ならせる複数個(ここでは、3個)の透光部2a,2b,2cを有するとともに、光出射部3は、透光部2a,2b,2cに対応して波長変換部3r,3g,3bを配置させてなる。
【0022】
ここで、調光部2は、複数個の透光部2a,2b,2cにより該透光部2a,2b,2cを透過した光の光強度を場所によって異ならせるパネル21を有している。また、調光部2は、図1(b)で示すパネル21の中心部に設けられ該中心部を中心にパネル21を発光装置1および光出射部3の波長変換部3r,3g,3bに対して相対的に回動(図1(b)の破線の矢印参照)可能とする回転軸23を有している。さらに、調光部2は、回転軸23を上述の如く回動させる駆動部24を備え、該駆動部24によって波長変換部3r,3g,3bと透光部2a,2b,2cとの相対的な配置を位置決め可能としてある。
【0023】
より具体的には、本実施形態の図1に示す照明装置10は、円形平板状の配線基板5の一表面5a上に3個の発光装置1を配置している。各発光装置1は、回転軸23が貫通する配線基板5の中央部から離間した仮想の円周(図示していない)上に配置している。各発光装置1は、たとえば、青紫色の光を放射するLEDチップ11と、該LEDチップ11を被覆する凸レンズ状の透光性部材12とをそれぞれ備えている。なお、各発光装置1のLEDチップ11は、同一仕様(発光層の半導体材料、発光波長や構造が略同じ)のものを用いている。また、各透光性部材12の材料としては、たとえば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂やガラスなどを用いればよい。
【0024】
本実施形態の照明装置10に用いられる円形平板状の配線基板5は、金属ベース基板を用いており、配線基板5の上記一表面5a上に、たとえば、Auでメッキされ各発光装置1に給電させるための配線パターン(図示していない)が形成されている。配線基板5の上記配線パターンには、各発光装置1の各外部電極(図示していない)が、それぞれ図示していない導電性部材(たとえば、AuSnやAgペーストなど)で別途に電気的に接続されている。
【0025】
また、本実施形態の照明装置10は、配線基板5の一表面5aに実装された各発光装置1から放出される光をパネル21側に反射する反射部材4を備えている。本実施形態の照明装置10に用いられる反射部材4は、外形が円柱形状に形成しており、回転軸23が回転可能に挿通される挿通孔40が中央部に設けられている。反射部材4は、回転軸23を中心に3つの貫通孔42が設けられており、各貫通孔42を配線基板5の一表面5aに実装された各発光装置1それぞれに合わせて配置している。反射部材4の各貫通孔42の側面は、各発光装置1から放出された光ごとに、パネル21側にそれぞれ反射する反射壁41として機能することになる。反射部材4を介して各発光装置1が配置された配線基板5の一表面5aと対向する面側には、回転軸23の先端部が固定されるパネル21が設けられている。
【0026】
本実施形態の照明装置10に用いられるパネル21は、円柱状の反射部材4の外形の大きさと略等しい円形平板状に形成されている。パネル21には、円形平板状のパネル21における回転軸23を中心に略均等に3等分された扇形状の場所ごとに径の異なる透光孔21a,21b,21cをそれぞれ同間隔で配置して透光部2a,2b,2cを形成している。そのため、円形平板状のパネル21は、回転軸23を中心に略均等に3等分された扇形状の場所それぞれで各発光装置1から同一の光強度で放射された光の透過光量が異なることになる。
【0027】
言い換えれば、調光部2のパネル21は、各発光装置1に供給する電流量を変化させることなく発光装置1が発光した光の光強度を円形平板状のパネル21を回転軸23を中心に略均等に3等分された扇形状の場所ごとに異ならせることができる。
【0028】
本実施形態の照明装置10は、調光部2のパネル21とは別にパネル21の外形の大きさと略等しい円形平板状の光出射部3を設けている。光出射部3は、パネル21を介して反射部材4の各貫通孔42にそれぞれ対応して配置される複数個(ここでは、3個)の波長変換部3r,3g,3bを備えている。本実施形態の照明装置10における光出射部3の波長変換部3r,3g,3bは、それぞれ円形状に形成されており、光出射部3の中心部の周りに略均等の間隔で配置されている。光出射部3の波長変換部3r,3g,3bは、それぞれ発光装置1からの青紫色の光で励起され赤色の蛍光を発光する波長変換部3r、発光装置1からの光で励起され緑色の蛍光を発光する波長変換部3gや発光装置1からの光で青色の蛍光を発光する波長変換部3bとして機能する。
【0029】
本実施形態の照明装置10に用いられる光出射部3の赤色の蛍光を発光する波長変換部3rは、LEDチップ11からの青紫光を吸収して赤色の蛍光が発光可能な赤色蛍光体(たとえば、Euで付活されたCaAlSiNなど)をバインダーとなるシリコーン樹脂中に均一に分散させて硬化させたものである。
【0030】
また、光出射部3の緑色の蛍光を発光する波長変換部3gは、LEDチップ11からの青紫光を吸収して緑色の蛍光が発光可能な緑色蛍光体(たとえば、Euで付活されたβ−SiAlONなど)をバインダーとなるシリコーン樹脂中に均一に分散させて硬化させている。
【0031】
さらに、光出射部3の青色の蛍光を発光する波長変換部3bは、LEDチップ11からの青紫光を吸収して青色の蛍光が発光可能な青色蛍光体(たとえば、Ceで付活されたLaSi11など)をバインダーとなるシリコーン樹脂中に均一に分散させて硬化させている。
【0032】
また、本実施形態の照明装置10における調光部2には、パネル21の中心部に固定された回転軸23を回動させる駆動部24(たとえば、ステッピングモータやサーボモータなど)を備えている。なお、図1(b)に示す照明装置10は、内部の構造が把握できるように便宜上、光出射部3、調光部2のパネル21、反射部材4および配線基板5の間をそれぞれ離間して図示している。
【0033】
本実施形態の照明装置10は、図示していない後述の制御部からの制御信号により、駆動部24を制御して回動させる。駆動部24は、一端部を駆動部24に固定した回転軸23を回動させることで、回転軸23の他端部に固定されたパネル21を回動させる。駆動部24は、パネル21の回動により、上記扇形状の場所を発光装置1からの光が放射される反射部材4の各貫通孔42ごとの位置に対応して配置させることができる。ここで、本実施形態の照明装置10における光出射部3は、パネル21の回動にかかわらず、光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bと、反射部材4の各貫通孔42とがそれぞれ一対一に対応して固定されている構造としている。
【0034】
照明装置10は、調光部2のパネル21を駆動部24により回動させて位置決めすることにより、各発光装置1それぞれが一定の光強度で発光した各光を透過光量の異なる透光部2a,2b,2cで、それぞれ調光させて出射させる。照明装置10の調光部2は、パネル21を透過し、光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bそれぞれへ照射される上記光強度を異なせることができる。
【0035】
すなわち、本実施形態の照明装置10は、発光装置1からの光を調光部2が異なる3種類の光強度の光に調光し、発光色の異なる三種類の光出射部3の波長変換部3r,3g,3bそれぞれに照射させることで、波長変換部3r,3g,3bから放射された光の加法混色の混色光により、所望の色調の照明光を得られる。
【0036】
本実施形態の照明装置10は、照明光の色調を可変とするために発光装置1へ供給する駆動電流を変化させる必要がない。そのため、本実施形態の照明装置10は、照明光の色調を変化させても照明装置10を構成する各構成部材の温度をそれぞれ一定に保つことができる。したがって、本実施形態の照明装置10は、照明光の色調を可変とすることに伴う照明装置10の劣化を抑制することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態の照明装置10の発光装置1は、同一の仕様のLEDチップ11を用いている。そのため、本実施形態の照明装置10は、発光装置1の各LEDチップ11に供給する駆動電流を全て略同一で一定としたまま調光部2によって異なる光にそれぞれ調光することができる。したがって、照明装置10は、各発光装置1の発熱量を実質的に全て同じで一定とすることができる。また、照明装置10は、発光色の異なる発光装置1それぞれの点灯回路を同様にして構成することが可能となる。
【0038】
以下、本実施形態の照明装置10に用いられる各構成について詳述する。
【0039】
本実施形態の照明装置10に用いられる発光装置1は、通電により光を発光可能な固体発光素子を備えたものである。固体発光素子としては、たとえば、LEDチップ、LD(laser diode)素子や有機EL素子などが挙げられる。発光装置1は、光出射部3に設けられた波長変換部3r,3g,3b(たとえば、蛍光体が含有された透光性樹脂)における蛍光体を励起する光が発光できればよい。したがって、発光装置1の固体発光素子は、青紫光を発光するものだけに限られず、たとえば、可視光を効率よく発光する波長変換部3r,3g,3bの蛍光体を励起可能な紫外線や青色光など他の波長を発光するものを用いてもよい。固体発光素子としてLEDチップ11を用いた場合、LEDチップは、たとえば、サファイア基板、スピネル基板、窒化ガリウム基板、酸化亜鉛基板や炭化シリコン基板などの結晶成長基板上にn型の窒化ガリウム系化合物半導体層、多重量子井戸構造や単一量子井戸構造の発光層となるインジウムが含有された窒化ガリウム系化合物体層、p型の窒化ガリウム系化合物半導体層を順に積層させたものを用いることができる。
【0040】
なお、結晶成長基板として絶縁性基板を用いたLEDチップは、上記p型の窒化ガリウム系半導体層側から上記n型の窒化ガリウム系化合物半導体層の一部を露出させることにより、同一平面側でアノード電極およびカソード電極をそれぞれ形成することができる。また、導電性基板を用いたLEDチップは、LEDチップの厚み方向の両面側にアノード電極やカソード電極を形成すればよい。
【0041】
また、発光装置1は、LEDチップ11などの固体発光素子と、固体発光素子からの光を吸収し異なる波長の可視光に変換する蛍光体とを備えた構成とすることもできる。このような構成の発光装置1としては、たとえば、7000Kの青白い光を発光することが可能なものを挙げることができる。
【0042】
本実施形態の照明装置10の発光装置1は、配線基板5の上記一表面5a上に、AlNなどの材料からなるサブマウント部材(図示していない)を介して、各LEDチップ11を実装させている。また、各発光装置1は、透光性部材12でLEDチップ11をそれぞれ封止して形成させている。透光性部材12は、LEDチップ11からの光の取り出し効率を高めることができる。また、LEDチップ11をワイヤ(図示していない)などで電気的に接続させて給電経路を形成する場合、透光性部材12は、上記ワイヤなどを保護することもできる。
【0043】
発光装置1は、上述の構成だけに限らず、たとえば、共通の外形を持ち、内部に窪んだ凹部と、該凹部の内底面上に一対の導体パターン(図示していない)とを備えたパッケージを用いてもよい。発光装置1は、上記パッケージにおける上記凹部の内底面に各LEDチップ11を実装させればよい。
【0044】
発光装置1は、上記パッケージにおける凹部の内底面上の上記一対の導体パターン(たとえば、最表面がAuでメッキされた導体パターン)を利用して、LEDチップ11の給電経路を構成することができる。また、発光装置1は、配線基板5の一表面5a上に形成させる上記配線パターンとAuSnなどで適宜に電気的に接続させて給電経路を形成すればよい。
【0045】
このような発光装置1のパッケージは、アルミナや窒化アルミニウムなどを用いたセラミック基板、Cu、AlやFeなどの金属材料を用いた金属ベース基板やエポキシ樹脂基板などを用いることができる。また、発光装置1のパッケージは、たとえば、アクリル樹脂やエポキシ樹脂などの樹脂材料で一対の金属導体を一体成形させたものを用いてもよい。この場合、発光装置1は、LEDチップ11と一対の金属導体とをそれぞれ電気的に接続させ、樹脂材料から露出する一対の金属導体を発光装置1の外部電極として機能させてもよい。
【0046】
なお、本実施形態の照明装置10では、発光装置1が光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bに対応して、それぞれ一個のLEDチップ11を備えているが、各LEDチップ11の数は、一個だけに限らずそれぞれ複数個用いることができる。この場合、各LEDチップ11は、上記導体パターンを用いて、適宜に直列、並列や直並列に電気的に接続させればよい。また、LEDチップ11は、同種のものを用いてもよいし、異なる発光波長を発光する複数個のLEDチップを用いてもよい。
【0047】
本実施形態の照明装置10に用いられる調光部2は、発光装置1が放射した光を複数の異なる光強度の光として調光して外部に透過することが可能なものである。
【0048】
このような調光部2として、たとえば、発光装置1から放射された光の透過光量を異ならせる複数個の透光部2a,2b,2cを備えることにより光強度を場所によって異ならせるパネル21と、該パネル21の中心部に設けられ該中心部を中心にパネル21を光出射部3の波長変換部3r,3g,3bに対して相対的に回動可能とする回転軸23とを有する構成とすることができる。これにより、調光部2は、透過光量が場所によって異なるパネル21を回動させることで、発光装置1へ供給する駆動電流を一定としたまま、光出射部3の波長変換部3r,3g,3bへ照射させる上記光強度を可変とすることができる。
【0049】
また、調光部2は、発光装置1が放射した光の透過光量を制御する液晶装置(図示していない)を用いて調光してもよい。上記液晶装置は、たとえば、透明電極がそれぞれ対向してマトリックス状に設けられた一対のガラス間に光制御部材である液晶分子からなる液晶材を挟み合わせて構成することができる。液晶装置は、上記透明電極間への印加電圧を制御することで液晶分子の傾きを制御し、液晶装置を透過する透過光量を液晶装置の場所によって適宜に異ならせることが可能となる。これにより、調光部2は、透過光量が場所によって異なる上記液晶装置を駆動させることで、光出射部3の波長変換部3r,3g,3bへ照射させる上記光強度を可変とすることができる。
【0050】
本実施形態の図2(a)に例示する照明装置10では、たとえば、光出射部3の赤色光を発光する波長変換部3rに対向する調光部2のパネル21の場所に、大きさの異なる3種類の透光孔21a,21b,21cのうち最も小さい径の透光孔21cを複数個備えた透光部2cが配置されている(図2(a)中の左側を参照)。光出射部3の緑色光を発光する波長変換部3gに対向するパネル21の場所には、中程度の大きさとなる径の透光孔21bを複数個備えた透光部2bが配置されている(図2(a)中の中央を参照)。光出射部3の青色光を発光する波長変換部3bに対向するパネル21の場所には、最も大きい径の透光孔21aを複数個備えた透光部2aが配置されている(図2(a)中の右側を参照)。
【0051】
調光部2は、光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bに対向するパネル21の場所に設けられた各透光部2a,2b,2cの透過光量をそれぞれ、赤色(R)用:緑色(G)用:青色(B)用=1:2:3とすることができる。なお、図2中に破線で示した円の大きさによって、透過光量をそれぞれ例示している。これによって、図2(a)に示す照明装置10は、照明装置10の出射部3から出射される照明光を、各発光装置1それぞれの光強度を一定としたまま、色温度の高い寒色系の照明光として光出射部3から出射させることが可能となる。
【0052】
次に、図2(b)で示す照明装置10では、図2(a)と同じ照明装置10を用いている。図2(b)で示す照明装置10のパネル21は、図1(b)の破線の矢印で示す如く、パネル21の中心部を中心に複数個の発光装置1および光出射部3に対して相対的に回動させたのち固定している。照明装置10は、たとえば、光出射部3の赤色光を発光する波長変換部3rに対向するパネル21の場所に、最も大きい径の透光孔21aを複数個備えた透光部2aが配置されている(図2(b)中の左側を参照)。光出射部3の緑色光を発光する波長変換部3gに対向するパネル21の場所には、最も小さい径となる透光孔21cを複数個備えた透光部2cが配置されている(図2(b)中の中央を参照)。光出射部3の青色光を発光する波長変換部3bに対向するパネル21の場所には、中程度の大きさとなる径の透光孔21bを複数個備えた透光部2bが配置されている(図2(b)中の右側を参照)。調光部2は、光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bに対向するパネル21の場所に設けられた各透光部2a,2b,2cの透過光量をそれぞれ、赤色(R)用:緑色(G)用:青色(B)用=3:1:2とすることができる。これにより、図2(b)に示す照明装置10は、図2(a)における照明装置10の各発光装置1に供給する電流量を変えることなく、図2(a)における照明装置10と比較して色温度が低い暖色系の照明光を光出射部3から出射させることが可能となる。
【0053】
続いて、図2(c)で示す照明装置10も、図2(a)と同じ照明装置10を用いている。図2(c)で示す照明装置10のパネル21は、図1(b)の破線の矢印で示す如く、パネル21の中心部を中心に複数個の発光装置1および光出射部3に対して相対的に図2(b)の位置からさらに回動させたのち固定している。照明装置10は、たとえば、光出射部3の赤色光を発光する波長変換部3rに対向するパネル21の場所に、中程度の大きさとなる径の透光孔21bを複数個備えた透光部2bが配置されている(図2(c)中の左側を参照)。光出射部3の緑色光を発光する波長変換部3gに対向するパネル21の場所には、最も大きい径となる透光孔21aを複数個備えた透光部2aが配置されている(図2(c)中の中央を参照)。光出射部3の青色光を発光する波長変換部3bに対向するパネル21の場所には、最も小さい径の透光孔21cを複数個備えた透光部2cが配置されている(図2(c)中の右側を参照)。調光部2は、光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bに対向するパネル21の場所に設けられた各透光部2a,2b,2cの透過光量をそれぞれ赤色(R)用:緑色(G)用:青色(B)用=2:3:1とすることができる。これにより、図2(c)に示す照明装置10は、図2(b)における照明装置10の各発光装置1に供給する電流量を変えることなく、図2(b)に示す照明装置10の光出射部3から出射される照明光と比較して、より比視感度の高い混色光となる照明光を光出射部3から出射させることが可能となる。
【0054】
なお、照明装置10は、調光部2のパネル21を交換することにより、たとえば、発光色の異なる光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bに対向する調光部2のパネル21に設けられた各透光部2a,2b,2cの透過光量をそれぞれ赤色(R)用:緑色(G)用:青色(B)用=3:2:1に変えてもよい。この場合、照明装置10は、赤っぽく色温度が低い混色光となる照明光を照射させることが可能となる。照明装置10は、パネル23の中心部に設けた回転軸23を駆動部24で回動させ、発光色の異なる光出射部3の波長変換部3r,3g,3bに対してパネル21の位置を赤色(R)用:緑色(G)用:青色(B)用=1:3:2となる位置に移動させた場合、色温度が高い混色光となる照明光を光出射部3から出射させることもできる。
【0055】
ここで、照明装置10から所定の設定色温度の混色光を放射させるためには、パネル21の各透光部2a,2b,2cにおける透過光量の割合を、たとえば、表1の透過率のごとく設定すればよい。
【0056】
【表1】

【0057】
また、照明装置10は、図3に示すごとく、発光装置1が発光した光の透過光量を可変とする調光部2’が、光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bごとに対応して透過光量が異なる透光部2aa〜2ac,2ba〜2bc,2ca〜2ccを複数個づつ備えた構成としてもよい。調光部2’は、たとえば、光出射部3の波長変換部3rに対応して透光部2aaを配置させた場合、波長変換部3gに対応して透光部2ba、波長変換部3bに対応して透光部2caがそれぞれ配置される。この調光部2’を回動させて、たとえば、光出射部3の波長変換部3rに対応して透光部2abを配置させた場合、調光部2’は、波長変換部3gに対応して透光部2bb、波長変換部3bに対応して透光部2cbがそれぞれ配置される。同様に、調光部2’を回動させて、たとえば、光出射部3の波長変換部3rに対応して透光部2acを配置させた場合、調光部2’は、波長変換部3gに対応して透光部2bc、波長変換部3bに対応して透光部2ccがそれぞれ配置される。これにより、照明装置10は、光出射部3から出射される混色光をより細かく調色することができる。なお、図3の照明装置10に用いられる光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bの大きさは、調光部2’の各透光部2aa〜2ac,2ba〜2bc,2ca〜2ccに対応(図3中の調光部2’を例示した平面図における円状の破線を参照)して、図1に示す光出射部3の波長変換部3r,3g,3bより若干小さく形成している。
【0058】
また、本実施形態の照明装置10に用いられる調光部2のパネル21は、透光部2a,2b,2cにそれぞれ対応した複数個の扇形状部材(図示していない)を備え、回転軸23を中心に上記扇形状部材を均等に組み合わせた構成としてもよい。たとえば、パネル21の上記扇形状部材は、上記発光色の異なる光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bとそれぞれ一対一で対応して配置させればよい。すなわち、パネル21は、異なる透光部2a,2b,2cとなる上記扇形状部材をパネル21の中心部を中心に略均等に配置させて円形平板状に形成させることになる。
【0059】
上記扇形状部材を組み合わせたパネル21は、透過光量が異なる別の扇形状部材とそれぞれ取り替えることが可能なように着脱自在に構成することができる。これにより、照明装置10は、パネル21を構成する上記扇形状部材の交換により、照明装置10の光出射部3から出射する混色光の色調をより細かく変えることが可能となる。
【0060】
本実施形態の照明装置10に用いられるパネル21の材料としては、各種金属材料や樹脂材料などを適宜に用いることができる。パネル21の厚みは、発光装置1から放射される光が透光部2a,2b,2cの内部で閉じ込められ減衰することを抑制させるため、薄いほうが好ましい。また、パネル21の厚みは、最低限、パネル21の機械的強度を確保できる厚みとすればよい。
【0061】
パネル21は、パネル21の場所によって透光部2a,2b,2cの透過光量に差異を設けるため、径の異なる透光孔21a,21b,21cを同間隔で複数個配置するだけでなく、図4で示す全て同じ径の透光孔21dを異なる間隔で配置してもよい。
【0062】
すなわち、パネル21は、透光部2a,2b,2cの透過光量に差異を設けるため、透光孔21a,21b,21cの間隔や径の大きさなどを適宜に変化させることができる。また、本実施形態の照明装置10に用いられるパネル21の透光部2a,2b,2cを構成する透光孔21a,21b,21cの形状は、円形状に形成させているが、これに限られない。したがって、透光孔の形状は、三角形状や四角形状など多角形形状とさせてもよい。
【0063】
パネル21は、発光装置1側の一方面上に発光装置1が放射した光に対して、反射率が高い或いは、透過率が低い遮光層を設けてもよい。遮光層は、たとえば、各種金属材料や黒色酸化物を蒸着することで形成させてもよいし、黒色塗料を塗布することで形成させてもよい。パネル21は、遮光層により発光装置1からの光強度を制御性よく調整することが可能となる。これにより、本実施形態の照明装置10における調光部2のパネル21は、発光装置1からの光の一部を遮光し調光する役割を制御性よく行うことが可能となる。
【0064】
パネル21に備えられた透光部2a,2b,2cは、照明装置10の光出射部3から出射させる照明光の色調を考慮して、形状、大きさ、数や間隔などを適宜に設定した透光孔で形成することができる。透光部2a,2b,2cは、透過光量を可変とすることが可能なものであればよく、透光性のパネル21に光を透過させる部分を除いて遮光する遮光マスク(図示していない)を形成させて構成してもよい。
【0065】
さらに、透光部2a,2b,2cとして、発光装置1からの光を散乱する光拡散材(図示していない)や発光装置1からの光を吸収する吸収材(図示していない)を利用して構成することもできる。すなわち、パネル21は、光拡散材や吸収材の含有量をパネル21の場所によってそれぞれ調整して配置させることにより、発光装置1から放射された光の透過光量をそれぞれ制御する透光部2a,2b,2cを備えることもできる。光拡散材や吸収材の含有量をパネル21の場所によってそれぞれ調整させるパネル21は、光拡散材などの含有量の異なる樹脂材料を用いた多色成形法により成形することで形成することもできる。
【0066】
照明装置10の光出射部3から所望の色調の照明光を得るため、パネル21に備えられた透光部2a,2b,2cに必要な透過光量は、光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bから放射される発光スペクトルと、CIEのxy色度座標における所望の照明光の色度点から適宜に算出することができる。
【0067】
本実施形態の照明装置10に用いられる調光部2の回転軸23は、調光部2のパネル21を回動させるために設けられたものである。回転軸23は、パネル21の中心部に固定させている。パネル21への回転軸23の固定方法は、たとえば、接着剤による接着やネジにより固定するなど適宜の方法を用いて形成すればよい。また、パネル21と回転軸23とを一体成形により形成させておいてもよい。回転軸23の材質は、金属材料や樹脂材料など特に限定するものではない。
【0068】
本実施形態の照明装置10の調光部2は、たとえば、パルス発振器からの信号に同期して回動するステッピングモータや位置検知センサなどからパネル21の位置情報に基づいて回転角を調整するサーボモータなどを用いた駆動部24により、パネル21の回転軸23を回動させてパネル21の配置を位置決めすることができる。照明装置10は、パネル21を回動させて位置決め制御することにより、照明光の色調を可変とすることができる。なお、照明装置10は、駆動部24を用いてパネル21を回動させるだけでなく、手動でパネル21を回動させて照明光の色調を可変とさせる構造としてもよい。
【0069】
次に、本実施形態の照明装置10の光出射部3は、調光部2の透光部2a,2b,2cそれぞれで調光して放射された光を波長変換して出射する役割を果たす。光出射部3は、異なる発光色の光を出射させるために、発光装置1から放射された光の少なくとも一部を波長変換する波長変換部3r,3g,3bを備えている。光出射部3の波長変換部3r,3g,3bは、それぞれの発光色となる光を出射できるように適宜に蛍光体を透光性材料(たとえば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂やガラスなど)に含有させて形成すればよい。
【0070】
照明装置10の光出射部3は、波長変換部3r,3g,3bを必ずしも円形に形成させる必要もなく、図5(a)の光出射部3の平面図で例示するように各波長変換部3r,3g,3bをそれぞれ扇形状に形成させてもよい。
【0071】
また、照明装置10は、光出射部3の波長変換部3r,3g,3bをパネル21の各透光部2a,2b,2cに対して1箇づつ設けるだけでなく、それぞれ複数個づつ設けてもよい。すなわち、照明装置10は、図5(b)の光出射部3の平面図で例示するように、赤色光を発光する波長変換部3r、緑色光を発光する波長変換部3gおよび青色光を発光する波長変換部3bをそれぞれ複数個(ここでは、それぞれ3個)づつ設けることができる。光出射部3の赤色光を発光する波長変換部は、赤色の蛍光が発光可能な蛍光体の透光性材料への含有量がそれぞれ異なる3種類の波長変換部3ra,3rb,3rcを備えればよい。同様に、光出射部3の緑色光を発光する波長変換部は、緑色の蛍光が発光可能な蛍光体の透光性部材への含有量がそれぞれ異なる3種類の波長変換部3ga,3gb,3gcを備えればよい。さらに、光出射部3の青色光を発光する波長変換部は、青色の蛍光が発光可能な蛍光体の透光性部材への含有量がそれぞれ異なる3種類の波長変換部3ba,3bb,3bcを備えればよい。これにより、照明装置10は、照明光の色調をより細かく制御することが可能となる。
【0072】
さらに、照明装置10の光出射部3は、同じ赤色光を発光する波長変換部3rと、同じ緑色光を発光する波長変換部3gと、同じ青色光を発光する波長変換部3bとをそれぞれ複数個づつ備えてもよい。この場合、照明装置10の光出射部3は、図5(c)の光出射部3の平面図で例示するように、光出射部3の中心側から外周に向かって各波長変換部3b,3g,3rごとに順次、同心円状に配置することができる。また、照明装置10は、図5(d)の光出射部3の平面図で例示するように、各波長変換部3r,3g,3bがそれぞれ複数個づつ設けられた光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bをランダム状に配置させてもよい。図5(d)の光出射部3を用いた照明装置10では、図5(c)の光出射部3を用いた照明装置10と比較して、照明装置10の光出射部3から出射される混色光の色むらをより少なくすることが可能となる。このような光出射部3の波長変換部3r,3g,3bの配置や形状は、調光部2の光を透過させる透光部2a,2b,2cと対応させて適宜に設定すればよい。
【0073】
また、照明装置10の光出射部3は、発光装置1が、たとえば、青色光などの可視光を放射する場合、青色光の一部を波長変換させずにそのまま用いることも可能である。したがって、照明装置10における光出射部3は、調光部2を透過した光を必ずしも全て波長変換部で波長変換させる必要もない。すなわち、照明装置10は、光出射部3が3種類の波長変換部3r,3g,3bを備える代わりに、光出射部3が赤色を発光する波長変換部3rと、緑色を発光する波長変換部3gと、発光装置1からの青色光を透過させることが可能な開口部(図示していない)とを備え、青色を発光する波長変換部3bを備えていない構成としてもよい。
【0074】
なお、照明装置10の光出射部3は、青色光を透過する上記開口部に青色光を拡散して透過させる拡散層を配置させてもよい。上記拡散層は、透光性材料(たとえば、シリコーン樹脂など)中に含有させる光拡散材の含有比率を調整することで、光出射部3の上記開口部から放射される光の放射角を調整することが可能となる。これによって、照明装置10の光出射部3は、他の波長変換部3r,3gから放射される光の放射角と、拡散層を備えた上記開口部から放射される光の放射角とを揃えることができ、照明装置10の光出射部3から出射される混色光の配光特性を揃えることで混色性をより向上させることができる。すなわち、光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bには、蛍光体だけでなく蛍光体と光拡散材とを適宜に含有させてもよい。
【0075】
なお、照明装置10から出射される照射光の色調を可変とさせる範囲を大きくするためには、光出射部3の波長変換部3r,3g,3bから放出させる光の色調は、CIEのxy色度座標におけるスペクトル軌跡にできるだけ近い発光色の波長変換部3r,3g,3bを用いればよい。また、照明装置10から出射される照明光の色調を、CIE標準光源D65の色調に対して可変とさせる場合、照明装置10の光出射部3は、波長変換部材を用いて赤色系の白色光、緑色系の白色光および青色系の白色光などを利用することもできる。したがって、照明装置10の光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bは、赤色光、緑色光や青色光を出射するものだけでなく、赤みの強い白色光、青みの強い白色光および緑みの強い白色光などを発光するものでもよい。
【0076】
また、照明装置10の光出射部3は、波長変換部3r,3g,3bを配置していない部分に、光を反射する金属材料などからなる反射層などを適宜に形成してもよい。光出射部3の反射層は、調光部2側の一表面の反射率を高くして照明装置10の色調を制御性よく可変とすることができる。
【0077】
次に、本実施形態の照明装置10の反射部材4は、各発光装置1それぞれから発せられた光を調光部2のパネル21側に反射する役割を果たす。反射部材4は、蒸着法やスパッタリング法などにより、反射率が高い金属材料のコーティングを反射壁41の表面に施せばよい。反射部材4の反射壁41の形状は、各発光装置1の配光分布を考慮して反射面を回転放物面状など適宜の形状に設計すればよい。
【0078】
本実施形態の照明装置10に用いられる配線基板5は、発光装置1を実装可能なものである。配線基板5には、発光装置1への給電を確保するための配線パターン(図示していない)が設けられている。配線基板5は、発光装置1からの熱を効率よく放熱するため、AlN、アルミナセラミックス、金属を母材とする金属基板などを用いることが好ましい。配線基板5に導電性の金属基板を用いる場合は、上記配線パターンと金属基板の間には絶縁性を確保するための絶縁層(図示していない)を適宜に設ければよい。
【0079】
配線基板5は、発光装置1から放射させる光の光強度が小さく、発光装置1の発熱量が小さい場合、ガラスエポキシ基板、紙フェノール基板などを用いて構成してもよい。なお、本実施形態の照明装置10の配線基板5は、配線基板5の形状を円形平板状としているが、これに限られない。したがって、配線基板5の形状は、たとえば、楕円の板状や矩形板状などの多角形の板状に形成させてもよい。
【0080】
また、照明装置10は、配線基板5の上記一表面5a上に反射膜(図示していない)を設けてもよい。上記反射膜は、発光装置1から放射される光を効率よく反射可能なものであって、具体的には、Al、Al合金、Ag、Ag合金などの金属材料やBaSOなどの白色顔料となる無機材料が含有されたガラスを用いて構成すればよい。
【0081】
また、本実施形態の照明装置10は、各発光装置1から放射された光をそれぞれ調光して透過させる調光部2を制御するためマイクロコンピュータなどからなる制御部(図示していない)を備えることもできる。上記制御部は、たとえば、照明装置10から出射される照明光の色温度を調整する際の色温度と各波長変換部3r,3g,3bごとに異なる光強度の光を放射させるため、調光部2が透過する光の調光とを対応させたテーブルを記憶した記憶部を備えている。また、上記制御部は、調光部2が透過する光を所定の光強度に調光した光とするために、調光部2のパネル21を回動させる駆動部24を制御する。上記制御部は、色温度設定部(図示していない)の操作によって設定された色温度に対応する調色信号に基づいて、調光部2の回転軸23を介して駆動部24でパネル21を回動させて制御するように構成してもよい。
【0082】
また、照明装置10は、光出射部3から出射された光の配光を制御するために、反射板、拡散板やレンズなどの配光制御部(図示していない)を別途設けてもよい。
【0083】
本実施形態の照明装置10は、照明装置10から出射させる照射光の色調を可変とするために発光装置1へ供給する駆動電流を変化させる必要がない。本実施形態の照明装置10では、発光装置1の点灯に伴う発熱が、3個の各発光装置1とも共通に同様に生ずる。
【0084】
すなわち、照明装置10は、発光装置1へ供給する駆動電流を変化させる必要がなく、照明装置10を構成する各構成部材の温度を略一定に保つことができ、発光装置1の熱変化などに起因する応力発生を抑制できるという効果がある。また、本実施形態の照明装置10では、照明光の色調を可変とするために、各発光装置1へ供給する駆動電流を各発光装置1ごとに個別に制御する制御回路を不要とすることもできる。
【0085】
さらに、本実施形態の照明装置10では、照明光の色調を変えた場合でも発光装置1のLEDチップ11自体に温度変化が生ずることが実質的にない。そのため、照明装置10の各発光装置1から放射される光が照明光の色調を変化させた直後にLEDチップ11自体の温度変化によって波長シフトなどすることもなく安定した色調の照明光を照射させることができる。
【0086】
(実施形態2)
本実施形態は、図1で示した実施形態1の照明装置10におけるパネル21を一枚だけ用いて調光部2を構成する代わりに、図6に示すように略同一形状の2枚のパネル21,22を用いて調光部2を構成した点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0087】
図6に示す照明装置10は、蛍光体を励起する光を発光する発光装置1と、該発光装置1から放射された光を調光して透過させる調光部2と、該調光部2が透過した光を吸収し異なる波長の可視光(ここでは、赤色光、緑色光および青色光)に変換する上記蛍光体を有する3種類の波長変換部3r,3g,3bを備えた光出射部3とを有している。
【0088】
本実施形態の照明装置10における調光部2は、発光装置1から放射された光の透過光量をそれぞれ異ならせる複数個(ここでは、3個)の透光部2a,2b,2cを有するとともに、光出射部3は、透光部2a,2b,2cに対応して波長変換部3r,3g,3bを配置されてなる。
【0089】
ここで、調光部2は、各透光部2a,2b,2cにより、該透光部2a,2b,2cを透過した光の光強度を場所によって異ならせるパネル21,22と、該パネル21,22の中心部に設けられ該中心部を中心にパネル21,22を光出射部3の波長変換部3r,3g,3bに対して相対的に回動可能とする回転軸23を有している。
【0090】
特に、調光部2は、同一形状のパネル21,22を複数枚(ここでは、2枚)積層し、パネル21,22の少なくとも一つを、パネル21,22の中心部を中心に回動させることにより、2枚のパネル21,22の透光部2a,2b,2c同士が重畳する割合を可変としてある。
【0091】
より具体的には、本実施形態の照明装置10に用いられる調光部2は、複数個の透光部2a,2b,2cを備えた同一形状の一対のパネル21,22を備えている。各パネル21,22の透光部2a,2b,2cには、それぞれ透光部2a,2b,2cごとに大きさが異なる複数種類の透光孔21a〜21c,22a〜22cが設けられている。一対のパネル21,22は、パネル21,22の位置を合わせて重ねれば、重ね合わせた一対のパネル21,22の透過光量が、それぞれのパネル21,22における透過光量と略同等になるように形成している。
【0092】
また、一対のパネル21,22は、一方のパネル21の回動(図6(b)の破線の矢印を参照)とは別途に、他方のパネル22の中心部に備えられ一方のパネル21の回転軸(図示していない)と同軸上の回転軸23を回動(図6(b)の一点鎖線の矢印を参照)させることで他方のパネル22を回転可能に構成している。
【0093】
本実施形態の照明装置10の調光部2では、一対のパネル21,22の透光部2a,2b,2cの位置を揃えた状態から、一方のパネル21を他方のパネル22に対して回動させた結果、各パネル21,22の透光部2a,2b,2c同士が重畳する割合が変化して一対のパネル21,22の透光孔21a〜21c,22a〜22cそれぞれがずれることにより透過光量が変化する。
【0094】
照明装置10の調光部2は、透光部2a,2b,2cの重畳する割合の変化により、一対のパネル21,22を透過する発光装置1から光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bごとへの光の透過光量を変えことが可能となる。これにより、照明装置10は、光出射部3の発光色の異なる各波長変換部3r,3g,3bから放射された各発光色の光をそれぞれ調光することで照明光の色調を可変とすることができる。
【0095】
特に、本実施形態の照明装置10における調光部2は、一方のパネル21と他方のパネル22とをそれぞれ回動させることにより、実施形態1の照明装置10と比較して、光出射部3の各波長変換部3r,3g,3bから放射された各発光色ごとの光強度をより細かく変えることができる。
【0096】
なお、一方のパネル21と、他方のパネル22とは、必ずしも同一構成の透光部2a,2b,2cを備えた場合だけでなくともよい。したがって、一方のパネル21の透光部2a,2b,2cと、他方のパネル22の透光部2a,2b,2cとは、それぞれ大きさや形状の異なる透光孔21a〜21c,22a〜22cを備えて構成したものでもよい。また、一方のパネル21と他方のパネル22とは、必ずしも両方とも回動させる必要もなく、いずれか一方だけ回動させることもできる。さらに、本実施形態の照明装置10における調光部2は、2枚のパネル21,22を用いるものだけに限られず、3枚以上の複数毎にパネルを重ねて光出射部3の波長変換部3r,3g,3bから放射された各発光色の光をそれぞれ調光する構成としてもよい。
【0097】
(実施形態3)
本実施形態は、図6で示した実施形態2の照明装置10における反射壁41を備えた反射部材4を用いる代わりに、図7に示す複数個の発光装置1から放射された光を反射する外周壁43が備えられた反射部材4を用いた点が相違する。なお、実施形態1や実施形態2と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0098】
本実施形態の照明装置10は、LEDチップ11を有する発光装置1が配線基板5の一表面5a上に複数個(ここでは、3個)備えられ該発光装置1からの光を反射する反射部材4の外周壁43で囲んで一つの光源としており、該光源から放射されパネル21,22で反射された光を、配線基板5の一表面5a側および反射部材4の外周壁43によって、パネル21,22側の全面に反射させている。
【0099】
本実施形態の図7に示す照明装置10の反射部材4は、配線基板5の上記一表面5a側に配置された全ての発光装置1を囲む外周壁43を設けているものの、図6に示す実施形態2の照明装置10における反射部材4のごとく各発光装置1を個別に囲む反射壁41を設けていない。そのため、本実施形態の照明装置10は、図6に示す実施形態2の照明装置10のごとく各発光装置1が反射部材4の反射壁41によりお互いが隔離されていない。
【0100】
これにより、本実施形態の照明装置10の調光部2におけるパネル21,22で反射された発光装置1からの光は、配線基板5の一表面5a側や反射部材4の外周壁43によって、再び、パネル21,22側の全体に反射されパネル21,22のいずれかの透光部2a,2b,2cから光出射部3側に放射して取り出すことが可能となる。
【0101】
特に、照明装置10は、調光部2の透過率を低く設定させた場合、発光装置1から放射された光が調光部2側のパネル21,22で反射される割合が多くなる傾向にある。照明装置10は、調光部2側のパネル21,22で反射された光を、配線基板5の一表面5a側や反射部材4の外周壁43により、再び調光部2のパネル21,22側の全体に反射させる結果、照明装置10全体の発光効率の低下を抑制することが可能となる。
【0102】
なお、照明装置10は、各発光装置1から放射された光を有効に利用するため、配線基板5の一表面5a側、反射部材4を介して配線基板5の一表面5aと対向するパネル21,22の一方面側および反射部材4における外周壁43の表面の反射率を高くすることが好ましい。照明装置10は、上述の反射率を高めるため、配線基板5の一表面5a側、反射部材4の外周壁43および調光部2におけるパネル21,22の一方面側の表面に反射率が高い反射膜(図示していない)を適宜に形成すればよい。
【0103】
このような、反射膜の材料としては、たとえば、AgやAlなどの金属材料、硫酸バリウムなどの白色顔料が含有された樹脂材料などからなる白色のポリマー、10μm以下の微細な気泡を多数形成させたポリエチレンテレフタレートなどの発泡ポリマーや発光装置1から放射される発光波長の光を反射させる誘電体の多層膜などが挙げられる。なお、上記反射膜を金属材料で形成させる場合、配線基板5の上記配線パターンなどとの絶縁を図る目的で適宜に絶縁層を形成すればよい。
【0104】
これにより、照明装置10は、各発光装置1が放射した光を調光部2におけるパネル21,22の一方面側、反射部材4の外周壁43、配線基板5の一表面5aで囲まれた内部で吸収されることを抑制することが可能となる。すなわち、照明装置10は、発光装置1から放射された光が照明装置10の内部で損失となることを低減させ、照明装置10の発光効率の低下を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0105】
1 発光装置
2 調光部
2a,2b,2c 透光部
3 光出射部
3r,3g,3b 波長変換部
4 反射部材
5 配線基板
5a 一表面
10 照明装置
11 LEDチップ
21,22 パネル
23 回転軸
24 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体を励起する光を発光する発光装置と、該発光装置から放射された光を調光して透過させる調光部と、該調光部が透過した光を吸収し異なる波長の可視光に変換する前記蛍光体を有する波長変換部を備えた光出射部とを有し、前記調光部は、前記発光装置から放射された光の透過光量をそれぞれ異ならせる複数個の透光部を有するとともに、前記光出射部は、複数個の前記透光部に対応して前記波長変換部を少なくとも一つ配置されてなることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記調光部は、複数個の前記透光部により該透光部を透過した光の光強度を場所によって異ならせるパネルと、該パネルの中心部に設けられ該中心部を中心に前記パネルを前記光出射部の前記波長変換部に対して相対的に回動可能とする回転軸とを有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記調光部は、同一形状の前記パネルを複数枚積層し、該パネルの少なくとも一つを前記中心部を中心に回動させることにより複数枚の前記パネルの前記透光部同士が重畳する割合を可変としてあることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記調光部は、前記回転軸を回動させる駆動部を備え、該駆動部によって前記波長変換部と前記透光部との相対的な配置を位置決め可能としてあることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記発光装置は、該発光装置に給電する配線パターンを有する配線基板の一表面上に複数個備え該発光装置から放射された光を反射する反射部材で囲んで一つの光源としており、該光源から放射され前記パネルで反射された光を、前記配線基板の一表面側および前記反射部材によって前記パネル側の全体に反射させてなることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−233269(P2011−233269A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100271(P2010−100271)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】