説明

熱交換装置

【課題】流通抵抗が小さく、しかも熱交換効率が良い熱交換装置を提供する。
【解決手段】燃焼バーナ2の燃焼で発生する排ガスから潜熱回収して流水を加熱する補助熱交換器15と、前記補助熱交換器15を収容した下部に排ガスの流入口8を有し上部には流出口10を形成した熱交ケース9とを備えたもので、前記補助熱交換器15は、熱交ケース9の下部から上部に向かう排ガスの流れに対して直交するように、複数本の吸熱パイプ14を複数の山谷を形成する蛇行状とし、更に複数の山谷のR部16の下部近傍には熱交ケース9から該R部16に向かって突出した偏流板17を備えたことにより、流通抵抗は小さく排ガスの停滞時間は長くなり、しかも吸熱パイプとの接触面積も広くなって、熱交換効率が良くなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排ガスの潜熱を回収する潜熱回収型給湯機の補助熱交換器等の熱交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、吸熱パイプと排ガスの通路を共に蛇行路とし、省スペースでありながら効率の良い熱交換が行えるようにしたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平5−47957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、熱交換効率は良好となるが、排気抵抗が大きくなり能力の大きな排気ファンにする必要が生じ、コストアップや騒音の原因になるなどの新たな課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記課題を解決する為に、特にその構成を、請求項1では、燃焼バーナの燃焼で発生する排ガスから潜熱回収して流水を加熱する補助熱交換器と、前記補助熱交換器を収容した下部に排ガスの流入口を有し上部には流出口を形成した熱交ケースとを備えたものに於いて、前記補助熱交換器は、熱交ケースの下部から上部に向かう排ガスの流れに対して直交するように、複数本の吸熱パイプを複数の山谷を形成する蛇行状とし、更に複数の山谷のR部の下部近傍には熱交ケースから該R部に向かって突出した偏流板を備えたものである。
【0006】
又請求項2では、前記補助熱交換器の各山谷のR部近傍には、排ガスの下部から上部に向かう流れを抑制する多孔状の平板からなる邪魔板を備えたものである。
【0007】
又請求項3では、前記補助熱交換器の最下部で、流入口の反対側壁面から突出し、該流入口から流入する排ガスが、壁面に沿って上昇するのを防止する抑流板を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のようにこの発明によれば、蛇行状の吸熱パイプに直交する排ガスが、複数の山谷のR部の下部近傍に備えられた偏流板によって、その流れが吸熱パイプの蛇行状とは全く逆の蛇行形状を呈して中央部を流通するので、流通抵抗は小さく排ガスの停滞時間は長くなり、しかも吸熱パイプとの接触面積も広くなって、ファンの能力を上げることなくコストアップも抑えられ騒音の発生もなく、更に排ガスの潜熱も確実に回収して熱効率の良い熱交換装置を提供出来るものである。
【0009】
又請求項2によれば、補助熱交換器の各山谷のR部近傍で、偏流板の効果がなくなる熱交ケース中央部の排ガスの上昇速度を邪魔板で抑制するので、補助熱交換器の中央部分でも効率の良い熱交換が行われ、熱交換効率の向上に寄与されるものである。
【0010】
又請求項3によれば、補助熱交換器の最下部の流入口から流入する排ガスは、壁面に沿って上昇しようとするが、この排ガスを中央に案内するので、排ガスを無駄に流通させることなく熱交換に有効に使用出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の熱交換装置を潜熱回収型給湯機に使用した一実施形態の概略構成図。
【図2】同熱交ケースの概略断面図。
【図3】同熱交ケースの側面板を外した状態の斜視図。
【図4】同熱交ケースの分解斜視図。
【図5】同熱交ケースの正面視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次にこの発明の熱交換装置を潜熱回収型給湯機の補助熱交換器に使用した一実施形態の図面について説明する。
1は給湯機本体で、内方には上端に石油を燃料としたガンタイプ式の燃焼バーナ2と燃焼ファン3を下向きに取り付けた燃焼室4が備えられており、更にこの燃焼室4内には燃焼バーナ2の排ガスの顕熱回収用の主熱交換器5が備えられている。
【0013】
6は燃焼室4の底部を一端に連通する消音用のサイレンサで、他端には排気ダクト7を介して流入口8と連通したステンレス製の箱体で形成された熱交ケース9が備えられ、燃焼室4からの排ガスをサイレンサ6でUターンさせて熱交ケース9を介して上部側壁の流出口10から燃焼ファン3の送風力で排出するものである。
【0014】
前記熱交ケース9内には、上部で給水管11と接続した入口ヘッダ12から下部で主熱交換器5に接続する出口ヘッダ13の間を、複数本の吸熱パイプ14を複数の山谷を形成する蛇行状にして結んで構成した補助熱交換器15が収容され、給水が入口ヘッダ12から流入し複数本の吸熱パイプ14に分散して、下部の出口ヘッダ13へと上から下への流れに対し、排ガスは下部の流入口8から上部側壁の流出口10へと下から上への流れとなって、熱交換に最適な対交流となるものである。
【0015】
更に熱交ケース9内で補助熱交換器15に形成された複数の山谷の各R部16の下部近傍で、熱交ケース9内壁と各R部16との隙間を丁度塞ぐ長さで該R部16に向かって突出した偏流板17が設けられ、更に流入口8の上方には流入して来る排ガスを側方へ案内すると共に、前記補助熱交換器15から発生するドレン水を受けるドレン水受け皿18が備えられており、前記流入口8から熱交ケース9内に流入して来た排ガスの流れを、各偏流板17とドレン水受け皿18とで、吸熱パイプ14の蛇行状とは全く逆の蛇行形状を呈して熱交ケース9内の中央部を流通するように偏流させるので、流通抵抗は小さく排ガスの停滞時間は長くなり、しかも吸熱パイプ14との接触面積も広くなって、補助熱交換器15の熱交換効率が良くなるものである。
【0016】
19は補助熱交換器15の各山谷のR部16内に備えられた多孔状の平板からなる邪魔板で、偏流板17によって偏流されず、直接下部から上部へ向かう排ガスの流れを抑制して、補助熱交換器15の中央部分でも効率の良い熱交換が行われ、熱交換効率の向上に寄与するものである。
【0017】
20は熱交ケース9の下部に備えられた中和器で、中には炭酸カルシウムからなる中和剤(図示せず)が充填されており、熱交ケース9内の補助熱交換器15が排ガスから潜熱回収を行うことで発生する強酸性のドレン水を連通路21を介して収集し、PHを落として排水するようにしたものである。
22は補助熱交換器15で加熱された温水を更に主熱交換器5で加熱した温水を、適宜給湯栓(図示せず)まで供給する給湯管である。
23は補助熱交換器15の最下部で、流入口8の反対側壁面から突出し、流入口8から流入しドレン水受け皿18の底部にぶつかり壁面に向かう排ガスを、中央に案内する抑流板である。
【0018】
次にこの一実施形態の作動について説明する。
今適宜箇所の給湯栓が開栓されて給湯が開始されると、燃焼ファン3が駆動し燃焼バーナ2が燃焼を開始し、この燃焼で発生した排ガスが燃焼室4からサイレンサ6に入り消音された後、排気ダクト7を介して熱交ケース9に流入するものである。
【0019】
そしてこの熱交ケース9内では、流入口8から熱交ケース9内に流入した排ガスは、先ずドレン水受け皿18にぶつかって側壁方向に流れ、出口ヘッダ13を加熱しながら上昇し、ここで最初の偏流板17で反対側に偏流されながら稍上昇して吸熱パイプ14を加熱し、次に反対側の側壁の偏流板17によって、再び反対側に偏流されながら稍上昇し、そしてこれ順次繰り返すことによって、図2の矢印のように吸熱パイプ14の蛇行状とは逆の蛇行形状を呈して中央部を流通することで、流通抵抗は小さく排ガスの停滞時間は長くなり、しかも吸熱パイプ14との接触面積も広くなって、補助熱交換器15の熱交換効率が良くなるものである。
【0020】
又各偏流板17による偏流直後の排ガスでは、偏流されずにそのまま上昇しようとする排ガスもあるが、この排ガスは各R部16内に備えられた邪魔板19によって、その上昇速度が抑制され各R部16に停滞する時間が長くなり、その分各R部16での熱交換効率も上昇し、蛇行状の排ガスの流れから一部外れる排ガスがあっても、その熱量を無駄にすることなく確実に給水の加熱に利用することが出来、補助熱交換器15全体として極めて良好な熱交換効率を得ることが出来るものであり、しかも給水は上部の入口ヘッダ12から下部の出口ヘッダ13へと、排ガスの下から上への流とは逆に上から下への流れとなり対向流して、更に熱交換効率が高められるものである。
【0021】
一方上記した流入口8から熱交ケース9内に流入した排ガスで、ドレン水受け皿18にぶつかり側壁方向に流れた排ガスは、壁面に沿って上昇しようとするが、抑流板23によって中央に案内されるので、側壁を無駄に上昇することなく、中央の熱交換に良好に寄与して熱交換効率の上昇にも役立つものである。
【0022】
この補助熱交換器15で温度上昇した温水は、主熱交換器5に流入しここで燃焼バーナ2の燃焼で発生した排ガスとの熱交換で更に加熱されて、給湯として給湯管22から出湯されるものであり、この時の燃焼バーナ2の燃焼量(火力)は、主熱交換器5を出た給湯管22に備えられた給湯サーミスタ(図示せず)で温水温度を検知し、この温度が使用者自身が設定する給湯設定温度になるように調節されるものである。
【0023】
次に熱交ケース9内で、補助熱交換器15内を流通する給水と排ガスとの潜熱回収で発生するドレン水は、中和器20に集められ中和剤で中和されPHが低下されたドレン水は、排水路から排水されるものである。
【符号の説明】
【0024】
2 燃焼バーナ
3 燃焼ファン
5 主熱交換器
8 流入口
9 熱交ケース
10 流出口
14 吸熱パイプ
15 補助熱交換器
16 R部
17 偏流板
19 邪魔板
23 抑流板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏れ
燃焼バーナの燃焼で発生する排ガスから潜熱回収して流水を加熱する補助熱交換器と、前記補助熱交換器を収容した下部に排ガスの流入口を有し上部には流出口を形成した熱交ケースとを備えたものに於いて、前記補助熱交換器は、熱交ケースの下部から上部に向かう排ガスの流れに対して直交するように、複数本の吸熱パイプを複数の山谷を形成する蛇行状とし、更に複数の山谷のR部の下部近傍には熱交ケースから該R部に向かって突出した偏流板を備えた事を特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記補助熱交換器の各山谷のR部近傍には、排ガスの下部から上部に向かう流れを抑制する多孔状の平板からなる邪魔板を備えた事を特徴とする請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記補助熱交換器の最下部で、流入口の反対側壁面から突出し、該流入口から流入する排ガスが、壁面に沿って上昇するのを防止する抑流板を備えた事を特徴とする請求項1記載の熱交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−281508(P2010−281508A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135152(P2009−135152)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】