説明

熱処理装置及び熱処理方法

【課題】ワークの投入状況に大きく影響されることなく安定した熱処理をワークに施すことができる熱処理装置又は熱処理方法を提供する。
【解決手段】この熱処理装置(方法)は、炉内の熱処理空間を通過させることによりワーク(ウェハ)に対して熱処理を施すものであって、熱処理空間内の互いに異なる位置で、かつ、ワークの有無によって検出温度が変化する位置に2つの温度センサを設け、制御装置10によって、温度センサが検出した温度t、tに、係数総和が1となる重み係数m、mをそれぞれ乗じて総和の仮想温度を演算し、当該仮想温度に基づいて温度制御を行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理装置及び熱処理方法に関し、例えば太陽電池用のウェハ等の板状ワークを焼成するコンベア炉に関する。
【背景技術】
【0002】
熱処理対象物としてのワークを焼成するコンベア炉では、通常、熱処理の1ゾーンで1つの温度センサからの出力に基づいてヒータが制御される。例えば、太陽電池用のウェハ等の板状ワークを焼成するコンベア炉の場合、ウェハ(板状ワーク)の上方及び下方にヒータが配置され、温度センサの出力に基づいて、両方のヒータが同じように制御される。
一方、コンベア炉に関する温度制御ではないが、加熱対象の金属ブロックをヒータにより加熱するに当たって、2つの温度センサを設け、それらの出力差を一定の割合で目標温度に上乗せして設定した温度に対して、2つの温度センサの出力の平均値が大のときヒータをオフ、小のときオンとするような温度制御も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−93028号公報(第2頁、右上欄〜左下欄の[問題点を解決する手段])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図5は、矢印方向に搬送され、熱処理装置に投入されるウェハWを上から見た図である。通常、2枚並べて搬送されるが、(a)に示すような単列搬送の場合と、(b)に示すような複数列の連続搬送の場合とがある。ここで、ウェハの上方及び下方にそれぞれ温度センサを設け(図示せず。)、ウェハ上方空間の温度である上温度、及び、ウェハ下方空間の温度である下温度を測定する。また、ピーク温度に達したと推定されるウェハWの温度を、温度センサTcにより測定する。
【0005】
図6は、単列搬送の場合に、上温度が一定になるようにヒータ制御した場合の各温度(上温度、下温度、ピーク温度)を示すグラフであり、横軸は時間(時:分:秒)である。上温度と下温度とでは、通常、この程度の差がある。単列搬送の場合、ウェハが熱処理空間に入ってきても温度変化は生じにくい。また、もし上温度が変動しようとすれば、上温度に基づくヒータ制御により変動は抑制され、ほぼ一定温度に維持される。下温度もほぼ一定である。ウェハのピーク温度としては、821.6℃という良好な結果が得られる。なお、ピーク温度は、下温度に近い温度となっている。
【0006】
図7は、連続搬送の場合に、上温度が一定になるようにヒータ制御した場合の各温度(上温度、下温度、ピーク温度)を示すグラフであり、横軸は時間(時:分:秒)である。連続搬送の場合、多くのウェハがゾーンに入って来ることによって、連続したウェハが熱処理空間を仕切る。そのために上温度が上昇しようとするが、上温度に基づくヒータ制御により上昇は抑制され、ほぼ一定温度に維持される。一方、下温度は、連続搬送のウェハが入って来たことにより下降する。ここで、上温度の上昇を抑制しようとするヒータ制御により、下温度は下降し続ける。従って、ピーク温度としては、781.6℃という、図6より40℃も低い不良な温度となっている。また、このピーク温度は、下温度の影響を強く受けていると考えられるので、ウェハの温度が約40℃も変化していると解される。このような温度の変動が大きい熱処理では、安定した品質のウェハが得られない。
【0007】
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、ワークの投入状況に大きく影響されることなく安定した熱処理をワークに施すことができる熱処理装置又は熱処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、炉内の熱処理空間を通過させることによりワークに対して熱処理を施す熱処理装置であって、熱処理空間内の互いに異なる複数の位置で、かつ、ワークの有無によって検出温度が変化し得る位置にそれぞれ設けられた複数の温度センサと、複数の温度センサが検出した温度に、係数総和が1となる重み係数をそれぞれ乗じて総和の仮想温度を演算し、当該仮想温度に基づいて温度制御を行う制御装置とを備えたものである。
【0009】
上記のように構成された熱処理装置では、重み係数の設定により、温度制御の原因となる温度を、複数の温度センサの検出した温度の範囲内から自在に仮想温度として創り出すことができる。従って、ワークの投入状況に大きく影響され易い温度センサの温度の重み係数を相対的に大きくして当該温度センサ重視の温度制御を行うことが可能である。
【0010】
(2)また、上記(1)の熱処理装置において、水平方向へ搬送される前記ワークに対して、上方に第1の温度センサ、下方に第2の温度センサをそれぞれ設けてもよい。
この場合、温度差が出易い上下の各温度センサの検出した温度に基づいて、仮想温度を適切に設定することができる。仮に、温度差が出にくい各温度センサであれば、仮想温度を設定する意義が乏しくなる。
【0011】
(3)また、上記(2)の熱処理装置において、第2の温度センサの重み係数を、第1の温度センサの重み係数より大きくすることが好ましい。
この場合、ワークが連続搬送されて来る場合にワーク温度に影響が出易いワーク下方の温度を重視した温度制御を行うことができる。
【0012】
(4)一方、本発明は、炉内の熱処理空間を通過させることによりワークに対して熱処理を施す熱処理方法であって、水平方向へ搬送される前記ワークに対して上方及び下方で、かつ、前記ワークの有無によって検出温度が変化し得る位置にそれぞれ設けられた第1の温度センサ及び第2の温度センサによって温度を検出し、前記第1,第2の温度センサが検出した温度に、係数総和が1となる重み係数をそれぞれ乗じて総和の仮想温度を演算し、前記仮想温度に基づいて温度制御を行うものである。
【0013】
上記のような熱処理方法では、重み係数の設定により、温度制御の原因となる温度を、第1,第2の温度センサの検出した温度の範囲内から自在に仮想温度として創り出すことができる。従って、ワークの投入状況に大きく影響され易い温度センサの温度の重み係数を相対的に大きくして当該温度センサ重視の温度制御を行うことが可能である。また、温度差が出易い上下の各温度センサの検出した温度に基づいて、仮想温度を適切に設定することができる。仮に、温度差が出にくい各温度センサであれば、仮想温度を設定する意義が乏しくなる。
【0014】
(5)また、上記(4)の熱処理方法において、予め、第1の温度センサの検出する温度に基づいて温度制御を行った場合と、第2の温度センサの検出する温度に基づいて温度制御を行った場合とで、ワークの温度についての所定の温度からのずれ量を求め、当該ずれ量に応じて前記第1,第2の温度センサの重み係数を設定するようにしてもよい。
この場合、簡易に重み係数を決定することができる。
【0015】
(6)また、上記(4)の熱処理方法において、予め、ワークが投入されていない熱処理空間の温度安定状態で仮想温度の目標値を求めるようにしてもよい。
この場合、ワーク投入後も、温度安定状態で求めた目標値になるような温度制御が行われることになるので、ワークの有無にかかわらず熱処理空間の仮想温度が安定して維持される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の熱処理装置又は熱処理方法によれば、ワークの投入状況に大きく影響されることなく安定した熱処理をワークに施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る熱処理装置の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る熱処理装置の温度制御に関するブロック回路図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る熱処理装置で単列搬送のウェハを熱処理する場合において、ウェハ投入前後の熱処理空間の温度変化の一例を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態に係る熱処理装置で連続搬送のウェハを熱処理する場合において、ウェハ投入前後の熱処理空間の温度変化の一例を示すグラフである。
【図5】矢印方向に搬送され、熱処理装置に投入されるウェハを上から見た図である。
【図6】単列搬送の場合に、従来の熱処理方法により上温度が一定になるようにヒータ制御した場合の各温度(上温度、下温度、ピーク温度)を示すグラフである。
【図7】連続搬送の場合に、従来の熱処理方法により上温度が一定になるようにヒータ制御した場合の各温度(上温度、下温度、ピーク温度)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る熱処理装置の断面図である。この熱処理装置1は、太陽電池用のウェハをワークとして水平方向に搬送しながら焼成を行うコンベア炉である。図において、熱処理装置1は、断熱材2で囲まれた熱処理空間Sを構成している。ヒータ3は、熱処理空間Sの上下にあるように、断熱材2に架設されている。コンベア4は、熱処理空間S内を、紙面に垂直な方向に移動する。コンベア4には、左右対称一対の金具5と、それらの中央の金具6とが取り付けられている。2組のウェハWは、これらの金具5,6に載せられた状態で、図5に示す搬送形態により、搬送される。
【0019】
第1の温度センサ7は、断熱材2を通して鉛直に設けられており、その下端の熱電対からなるセンサ部は、熱処理空間S内にある。第2の温度センサ8は、断熱材2を通して水平に設けられており、その左端の熱電対からなるセンサ部は、熱処理空間S内にある。第1の温度センサ7は、ウェハWより上方の温度(以下、上温度という。)を検出し、第2の温度センサ8は、ウェハWより下方の温度(以下、下温度という。)を検出する。
【0020】
図2は、上記熱処理装置1の温度制御に関するブロック回路図である。例えばプログラマブルコントローラからなる制御装置10は、内部のソフトウェア又はハードウェアによる機能として、仮想温度演算部101、PID演算部102、及び、制御出力部103を備えている。仮想温度演算部101には、上温度t及び下温度tが入力される。仮想温度演算部101には予め、上温度tの重み係数としてm、下温度tの重み係数としてmが設定されている。ここで、m+m=1である。具体的には、m=0.3、m=0.7を設定する。
【0021】
上記の重み係数は、以下のようにして決定されたものである。
まず、単列搬送で、上制御すなわち上温度に基づく温度制御と、下制御すなわち下温度に基づく温度制御とを行って温度プロファイルを取り、互いに同じ温度プロファイルが取れる温度設定にしておく。その温度設定の状態で、連続搬送によりウェハを投入すると、上制御の場合は下温度に、下制御の場合は上温度に、それぞれ影響が出てくるが、一定時間が経過すると温度が一定になる。そこで、その状態で上制御と下制御とで温度プロファイルを取ると、単列搬送の場合と比べて、上制御では−13℃になり、下制御では+30℃になった。この温度の幅(43℃)を100%として割合を求めると、上制御で約30%(=13/43)、下制御で約70%(=30/43)となった。そこで、この配分を2つの温度センサ7,8の重み係数に適用する。すなわち、m=0.3、m=0.7は、単列搬送と、連続搬送とで同じ温度プロファイルとなると推定される配分である。
【0022】
図2に戻り、仮想温度演算部91は、以下の演算式により、仮想温度Tiを求める。
Ti=m・t+m・t ・・・(1)
すなわち、仮想温度Tiは、上温度t1と下温度t2とのミックス温度であり、重み係数の合計が1であるため、Tiは、t〜tの範囲内の温度となる。
【0023】
このような演算によって、温度制御の原因となる温度を、2つの温度センサ7,8の検出した温度の範囲内(t〜t)から自在に仮想温度Tiとして創り出すことができる。従って、ウェハの投入状況に大きく影響され易い温度センサの温度の重み係数を相対的に大きくして当該温度センサ重視の温度制御を行うようにすれば、ウェハの投入状況に大きく影響されることなく安定した熱処理をワークに施すことができると考えられる。
【0024】
仮想温度演算部101は、予めウェハが投入されていない熱処理空間Sの温度安定状態で仮想温度Tiの目標値を求め、以後、その時点の仮想温度Tiに基づいて、PID演算部102によりPID制御を行う。制御出力部103は、PID演算部102の出力に基づいてヒータ駆動回路11を制御する信号を出力する。ヒータ駆動回路11は、半導体スイッチング素子を用いたスイッチであり、ヒータ3への供給電力を制御して、ヒータ3の発熱量を制御する。
【0025】
図3は、単列搬送のウェハを熱処理する場合において、ウェハ投入前後の熱処理空間Sの温度変化の一例を示すグラフであり、横軸はウェハ投入前の基準時刻を0とした経過時間、縦軸が温度又はヒータ出力(MV)を表わしている。また、グラフ中の3つの実線はそれぞれ、上温度、仮想温度及び下温度の変化を示す。ヒータ出力は、仮想温度の実線とほぼ、重なっている。また、パルス状波形は、ウェハのピーク温度を示している。
【0026】
この場合、例えば上温度は894℃、下温度は833℃である。仮想温度Tiは、上記式(1)より、約851度(=894×0.3+833×0.7)となり、これが、制御装置9によるヒータ制御の目標温度となる。なお、この状態でのヒータ出力は、最大出力の約50%となっている。単列搬送ではウェハ投入前後で上温度、下温度、仮想温度共に、ほとんど変わらない。従って、ヒータ出力も約50%に維持される。ピーク温度は828.9℃という良好な温度となっている。
【0027】
次に、図4は、連続搬送のウェハを熱処理する場合において、ウェハ投入前後の熱処理空間Sの温度変化の一例を示すグラフであり、横軸はウェハ投入前の基準時刻を0とした経過時間、縦軸が温度又はヒータ出力(MV)を表わしている。また、グラフ中の3つの実線はそれぞれ、上温度、仮想温度及び下温度の変化を示す。破線(仮想温度の実線と一部重なっている。)は、ヒータ出力の変化を示す。ウェハが熱処理空間S内に投入されている時間は、約15分(約900秒)である。また、1080秒付近でのパルス状波形は、ウェハのピーク温度を示している。
【0028】
ウェハ投入前の、空の状態(0〜120秒頃)において、上温度は894℃、下温度は833℃であり、仮想温度Tiは、上記式(1)より、約851度(=894×0.3+833×0.7)となり、これが、制御装置9によるヒータ制御の目標温度となる。なお、この状態でのヒータ出力は、最大出力の約50%となっている。
【0029】
次に、ウェハ投入前の基準時刻(0)から120秒を過ぎた頃に、ウェハ投入によって上温度は上昇し、下温度は下降する。この変化の初期において、式(1)の演算により、仮想温度Tiは上昇する。これにより、制御装置9は、ヒータ出力を低下させて仮想温度Tiの変化を抑制し、短時間で収束させる。以後、ウェハが出ていく1020秒頃まで、制御装置9は、仮想温度Tiが最初に設定された値で安定するように、破線で示すようにヒータ出力を制御する。
【0030】
このように、ヒータ制御は、上温度ではなく仮想温度を一定に維持するように行われる。従って、上温度は一定ではなく、ウェハ投入前(894℃)より30度以上、上昇した状態である。同様に、下温度も一定ではなく、ウェハ投入前(833℃)より下降した状態である。但し、下温度の重み係数m(=0.7)が上温度の重み係数m(=0.3)より大きいため、仮想温度に対して下温度の方が支配的である。そのため、ヒータ出力が大きく下がらず、下温度の低下は抑制される(この例では下温度の最低値は816℃である。)。
【0031】
一方、1020秒頃より後は、ウェハが出ていくことにより、上温度は下降し、下温度は上昇する。この変化の初期において、仮想温度Tiは下降する。これにより、制御装置9は、ヒータ出力を増大させて仮想温度Tiの変化を抑制し、短時間で収束させる。以後、制御装置9は、仮想温度Tiが最初に設定された値で安定するように、破線で示すようにヒータ出力を制御する。
【0032】
このような仮想温度Tiに基づく温度制御によって、ウェハのピーク温度としては、図3とほぼ同じの、828.6℃という極めて良好な結果が得られた。また、図4を図7と比較すれば明らかなように、下温度の変化が少なく、従って、ウェハの温度も変化が少ない。
【0033】
以上のようにして、ウェハの投入状況に大きく影響されることなく安定した熱処理を施すことができる。また特に、m=0.3、m=0.7を設定することによって、ウェハが連続搬送されて来る場合にウェハ温度に影響が出易いウェハ下方の温度を重視した温度制御を行うことができる。
【0034】
また、水平方向へ搬送されるウェハに対して、上方及び下方にそれぞれ温度センサ7,8を設けることにより、温度差が出易い上下の各温度センサ7,8の検出した温度に基づいて、仮想温度を適切に設定することができる。仮に、温度差が出にくい各温度センサであれば、仮想温度を設定する意義が乏しくなる。
【0035】
なお、上記実施形態におけるウェハは一例であり、熱処理対象のワークがウェハに限定されるわけではないが、本発明は特に、板状ワークの熱処理に好適である。
また、各温度センサは、熱処理空間内の互いに異なる位置であって、かつ、ワークの有無によって検出温度が変化し得る位置にそれぞれ設けられるべきである。特に、ワークの投入によって検出する温度差が拡がるような状況が好ましい。言い換えれば、実質的に同じような位置に並べて設けても意味がないし、また、ワークの有無によって影響が出ない位置に設けても意味がない。
【0036】
なお、上記実施形態では、温度センサを2個設けたが、3以上の温度センサを設けてもよい。例えば3以上の自然数であるn個の温度センサを設け、各温度センサの検出する温度をt,t,・・・,tとし、重み係数をm,m,・・・,mとすると、m+m+・・・+m=1である。また、その場合の仮想温度Tiは、
Ti=m・t+m・t+・・・+m・t ・・・(2)
となる。このように重み係数を設定して仮想温度を求めることに基づく温度制御は、熱処理装置におけるヒータ等の熱源の設置場所を変える必要が無いので、特に既存の熱処理装置の温度プロファイル改善に好適である。
【符号の説明】
【0037】
1 熱処理装置
7,8 温度センサ
10 制御装置
S 熱処理空間
W ウェハ(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉内の熱処理空間を通過させることによりワークに対して熱処理を施す熱処理装置であって、
前記熱処理空間内の互いに異なる複数の位置で、かつ、前記ワークの有無によって検出温度が変化し得る位置にそれぞれ設けられた複数の温度センサと、
前記複数の温度センサが検出した温度に、係数総和が1となる重み係数をそれぞれ乗じて総和の仮想温度を演算し、当該仮想温度に基づいて温度制御を行う制御装置と
を備えたことを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
水平方向へ搬送される前記ワークに対して、上方に第1の温度センサ、下方に第2の温度センサをそれぞれ設けた請求項1記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記第2の温度センサの重み係数を、前記第1の温度センサの重み係数より大きくする請求項2記載の熱処理装置。
【請求項4】
炉内の熱処理空間を通過させることによりワークに対して熱処理を施す熱処理方法であって、
水平方向へ搬送される前記ワークに対して上方及び下方で、かつ、前記ワークの有無によって検出温度が変化し得る位置にそれぞれ設けられた第1の温度センサ及び第2の温度センサによって温度を検出し、
前記第1,第2の温度センサが検出した温度に、係数総和が1となる重み係数をそれぞれ乗じて総和の仮想温度を演算し、
前記仮想温度に基づいて温度制御を行う、
ことを特徴とする熱処理方法。
【請求項5】
予め、前記第1の温度センサの検出する温度に基づいて温度制御を行った場合と、前記第2の温度センサの検出する温度に基づいて温度制御を行った場合とで、前記ワークの温度についての所定の温度からのずれ量を求め、当該ずれ量に応じて前記第1,第2の温度センサの重み係数を設定する請求項4記載の熱処理方法。
【請求項6】
予め、前記ワークが投入されていない前記熱処理空間の温度安定状態で前記仮想温度の目標値を求める請求項4記載の熱処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−196574(P2011−196574A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60875(P2010−60875)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000167200)光洋サーモシステム株式会社 (180)
【Fターム(参考)】