説明

熱分解反応装置および方法

【解決手段】 有機材料と積層されたアルミニウムなどの金属を含む、金属/有機積層品を再生利用するための連続的方法が提供され、該方法は、第1回転攪拌器(4)を有する第1室(2)と、第2回転攪拌器(5)を有する第2室(3)とを備える反応装置(1)を用意する工程であって、各室(2,3)は微粒状マイクロ波吸収物質の床を含む工程と、積層品および追加の微粒状マイクロ波吸収物質を注入口(6)を経由して第1室(2)に投入する工程と、還元性または不活性の雰囲気中で、第1回転攪拌器(3)を用いて第1室(2)内の微粒状マイクロ波吸収物質と積層品の混合物を攪拌し、マイクロ波エネルギーを第1室(2)内で加えて、微粒状マイクロ波吸収物質を積層品中の有機材料を熱分解するのに十分な温度に加熱する工程と、第1室(2)内の混合物の一部を、第2室(3)へ移送する工程と、第2回転攪拌器(5)を用いて第2室(3)内の混合物を攪拌し、マイクロ波エネルギーを第2室(3)内で加えて、混合物中の微粒状マイクロ波吸収物質を、積層品中に残る有機材料を熱分解するのに十分な温度に加熱する工程であって、これによって積層品または剥離した金属は第2室(3)内の混合物の上面へ移動し、浮かび、前記第2回転攪拌器(5)は水平面で回転し、流動混合物の上面が流動混合物上に浮かぶ積層品または剥離した金属を半径方向外向きに移動させる放射状の輪郭を有するように、混合物を流動化するように構成される工程と、第2室(3)内の混合物の一部を反応装置(1)からの排出口(7)へ移送する工程と、金属を排出口(7)から回収する工程とを含む。また、有機材料と積層されたアルミニウムなどの金属を含む、金属/有機積層品を再生利用する反応装置(1)が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続工程における有機材料の熱分解によって、金属および有機材料の積層品を再生利用する反応装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1つ以上の層のアルミ箔および1つ以上の層の有機材料から成るアルミニウム/ポリマー積層品、例えばプラスチックまたは紙が、包装または容器の材料として、例えば、飲料、食料、および練り歯磨きなどの他の製品用の大型容器、缶、またはチューブとして、あるいは医薬用ブリスター包装としてよく使用される。この種類の積層品を再生利用するためのいくつかの努力にもかかわらず、通常大部分が結局最後には埋立処分地の廃棄物に成り果て、これらの種類の材料を再生利用する、より実用的かつ費用効果の高い大規模な方法に対する必要が依然としてある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明によって報告されるベンチスケール試験は、マイクロ波誘導熱分解が、アルミニウム/ポリマー積層品の再生利用に対する解決策として可能性があることを示唆している。この解決策によって、マイクロ波吸収物質としての炭素の床が反応室内でマイクロ波エネルギーを用いて加熱され、反応装置は不活性ガスで置換される。通常500〜600℃の温度で、積層品は炭素床の中に落下され、混合される。マイクロ波を炭素床に連続して照射することによって、積層品の有機分が伝導によって加熱され、非凝縮性気体留分とともに、油状またはろう状の炭化水素生成物を生成するために凝縮によって回収され得る気体留分に熱分解する。積層品から遊離したアルミニウムは粗いふるいによって炭素床から分離することが可能であり、従って固体として回収される。
【0004】
しかしながら、工業規模で動作可能であり、アルミニウム/ポリマーおよび他の金属/ポリマーの積層品を連続的に再生利用する、採算の合う方法および反応装置に対する必要が依然としてある。本発明は、これらの要求に適合する方法および反応装置に対する必要に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、第1の局面では、本発明は、有機材料と積層された金属を含む金属/有機積層品を再生利用するための連続的方法を提供し、該方法は、
微粒状マイクロ波吸収物質の第1床および第1回転攪拌器を含む第1室と、微粒状マイクロ波吸収物質の第2床および第2回転攪拌器を含む第2室とを備える反応装置を用意する工程であって、第2室は反応装置からの排出口を有する工程と、
積層品および追加の微粒状マイクロ波吸収物質を微粒状マイクロ波吸収物質の第1床を含む第1室に投入する工程と、
第1回転攪拌器を用いて第1室内の微粒状マイクロ波吸収物質および積層品を攪拌し、マイクロ波エネルギーを第1室内の微粒状マイクロ波吸収物質と積層品の混合物に加えて、
混合物中の微粒状マイクロ波吸収物質を、積層品中の有機材料を熱分解するのに十分な温度に加熱する工程と、
第1室内の混合物の一部を、微粒状マイクロ波吸収物質の第2床を含む第2室へ移送する工程と、
第2回転攪拌器を用いて第2室内の混合物を攪拌し、マイクロ波エネルギーを第2室内の混合物に加えて、混合物中の微粒状マイクロ波吸収物質を、積層品中に残る有機材料を熱分解するのに十分な温度に加熱する工程であって、これによって積層品または剥離した金属は第2室内の混合物の上面へ移動し、浮かび、前記第2回転攪拌器は水平面で回転し、流動混合物の上面が流動混合物上に浮かぶ積層品または剥離した金属を半径方向外向きに移動させる放射状の輪郭を有するように、混合物を流動化するように構成される工程と、
第2室内の混合物の一部を反応装置からの排出口へ移送する工程と、
金属を反応装置からの排出口から回収する工程と、
を含む。
【0006】
第2態様では、本発明は、有機材料と積層された金属を含む金属/有機積層品を再生利用する反応装置を提供し、該反応装置は、
微粒状マイクロ波吸収物質の第1床および第1回転攪拌器を含む第1室と、
微粒状マイクロ波吸収物質の第2床および第2回転攪拌器を含み、反応装置からの排出口を有する第2室と、
積層品および追加の微粒状マイクロ波吸収物質を微粒状マイクロ波吸収物質の第1床を含む第1室に投入する手段と、
第1室内の混合物の一部を、微粒状マイクロ波吸収物質の第2床を含む第2室へ移送する手段と、
マイクロ波エネルギーを第1および第2室内の微粒状マイクロ波吸収物質と積層品の混合物に加えて、混合物中の微粒状マイクロ波吸収物質を、積層品中の有機材料を熱分解するのに十分な温度に加熱する手段と、
第2室内の混合物の一部を反応装置からの排出口へ移送する手段と、
金属を反応装置からの排出口から回収する手段と、
を備え、前記第2回転攪拌器は水平面で回転し、流動混合物の上面が、流動混合物上に浮かぶ積層品または剥離した金属を半径方向外向きに移動させる放射状の輪郭を有するように、混合物を流動化するように構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書で述べる用語「金属/有機積層品」は、有機材料に全体的または部分的に積層された金属の層または膜を含む任意の積層品を意味する。金属は、反応装置で用いる熱分解温度よりも高い融点または沸点を有する任意の金属、例えばアルミニウムまたは鉄、好ましくはアルミニウムであってよい。有機材料は、反応装置で用いる温度より低い温度で熱分解可能である任意のポリマー材料、例えば合成ポリマー材料(例えば熱硬化性材料またはプラスチック材料)、紙またはボール紙、あるいは他の炭化水素をベースとするポリマー材料であってよい。積層品は、ガラス繊維または不活性充填剤などの、金属または熱分解可能な有機材料ではない構成要素をさらに含むことがあり、例えば、積層品はグラスファイバーなどのガラス繊維強化材料を含むことがある。従って、用語「金属/有機積層品」は本明細書で用いられて、食品、飲み物、および薬剤用、例えばテトラパック(Tetrapak)(登録商標)容器、飲料用缶、食品缶詰、または医薬用ブリスター包装用、あるいは練り歯磨きなどの他の消費者製品用の包装としてよく使用される積層品を含む。
【0008】
反応装置は2つだけの反応室を有することが好ましく、該反応室は、第1室内の混合物の一部が第1および第2室の回転攪拌器の作用によって第2室へ直接移送されるように、相互に連結される。しかしながら、所望なら、1つ以上の追加の相互に連結される室が反応装置に、第1室と第2室との間に含まれることがある。1つ以上の追加の反応室が含まれる場合は、各追加の室は回転攪拌器によって独立して攪拌される微粒状マイクロ波吸収物質の床を含む。従って、第1室内の混合物の一部は隣接した追加の室へ移送され、その追加の室内の混合物の一部は次の追加の室へ移送され、または次の室が第2室である場合は、第2室へ移送される。
【0009】
反応室は、好ましくは円筒形であり、垂直回転軸を中心として回転するそれらの対応する回転攪拌器と同軸であることが好ましい。正方形または長方形の反応装置構成から作られる場合は、各室の隅は、デッドゾーンを防止するために床の攪拌運動を助けるように成形した、マイクロ波透過物片を備えることが好ましい。
【0010】
積層品を第1反応室へ投入する供給口および第2反応室からの排出口が反応装置に設けられる。不活性または還元性雰囲気を与えるガス、および積層品の熱分解によって発生したガスの導入および除去用のガス注入口および排出管もまた反応装置に設けられる。供給管および排出管は、適切な遮断または弁手段によって、例えばロック・ホッパー装置またはダブル・フラップ弁を用いて、反応装置の内部状態から隔離され得ることが好ましい。
【0011】
室内の床は、微粒状マイクロ波吸収物質、すなわちマイクロ波エネルギーを吸収でき、従って積層品が物質の床と混合されると積層品中に在る有機材料を熱分解するのに十分な温度にまで加熱される物質からなる。従って微粒状マイクロ波吸収物質の熱は、マイクロ波吸収物質の粒子または粉末との密着によって積層品へ伝えられる。適切なマイクロ波吸収物質は、カーボンブラック、活性炭、何か酸化鉄などのいくつかの金属酸化物、および炭化珪素などのいくつかの他の化合物を含む。マイクロ波吸収物質として好ましいのは、カーボンブラック粉末および活性炭粉末である。
【0012】
反応室内のマイクロ波吸収物質の床に照射するために、反応装置は対応する室の周りに配置した1つ以上のマイクロ波ガイドを有する。マイクロ波ガイドは反応装置の状態から、例えば反応装置の壁の石英窓によって公知の方法で隔離されることが好ましい。任意の適切なマイクロ波源およびガイドの配置が使用され得る。マイクロ波の床への印加は、確実に床が有機材料が熱分解される温度に達し、かつ維持するように制御されるのがよい。マイクロ波は、床中の微粒状マイクロ波吸収物質が250〜700℃の範囲、より好ましくは500〜600℃の範囲の温度に加熱されるように加えられることが好ましい。所望なら、温度はこれらの範囲内で時間とともに変化させてもよい。第1、第2、および追加の室内の各床は、これらの範囲内で同じまたは異なる温度に加熱され得る。
【0013】
所望なら、補助過熱手段が、積層品が反応装置に投入される前または後に、例えば反応装置内で燃料を燃やすことによって、または反応装置の壁の中の電気的加熱手段によって、微粒状マイクロ波吸収物質の床を予熱するために使用され得る。マイクロ波は床用の唯一の加熱手段であることが好ましい。
【0014】
床が熱分解温度に加熱される前に、反応装置は不活性または還元性ガスで置換され、その後に処理は、積層品中に在る有機化合物の燃焼を阻止または最小にするために、不活性または還元性雰囲気の下で熱分解状態で行われる。適切な不活性または還元性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、蒸気、または水素などである。反応装置内を置換し、不活性または還元性雰囲気を維持するために使用されるガスは、窒素ガスであることが好ましい。
【0015】
積層品は適切な送り手段によって第1室への注入口を通して第1室に送り込まれ、第1室内の回転攪拌器の作用によってマイクロ波吸収物質の床と攪拌され、混合する。マイクロ波吸収物質の粒子と積層品の密着は、熱の有機材料への全表面にわたる効率的な伝達を確かにする。望ましいか、または必要ならば、積層品は、反応装置に入る前に、例えば0.25〜25cmの面積を有する積層片にするために、装置のサイズに従って適切なサイズに切断または細断される。積層品の反応装置への送り込み速度は制御するのが好ましく、例えば、1:1〜50:1の範囲、好ましくは5:1〜10:1の範囲の各室内のマイクロ波吸収物質対積層品の重量比にすることが好ましい。
【0016】
本発明の連続工程では、追加の微粒状マイクロ波吸収物質は、次の隣接している室と比べて相対的に過剰の第1室内のマイクロ波吸収物質を与えるために、第1反応室に投入されることが好ましく、この過剰分は第2室から反応装置を出る同等の量のマイクロ波吸収物質を補給することになる。従って、攪拌期間後に、第1室内の積層品とマイクロ波吸収物質の混合物の一部は次の隣接している室に流入し、移送されることになる。積層品は追加の微粒状マイクロ波吸収物質とともに投入されることが好ましい。追加の微粒状マイクロ波吸収物質は、反応装置に入る前に積層品と混合されることがより好ましい。第1反応室に投入した追加の微粒状物質は、反応装置から排出された金属から分離された後に、反応装置からの排出口から再生利用されることが好ましい。追加の微粒状マイクロ波吸収物質または積層品、あるいは両方は、反応装置に入る前に、例えば熱風または他の適切な加熱手段を用いて予熱され得る。
【0017】
積層品がマイクロ波吸収物質の粒子からの熱伝導によって処理温度に達する場合に、熱分解反応が生じ、これによって積層品中に在るポリマーおよび他の有機化合物はガス状化合物に分解する。凝縮性および非凝縮性ガスを含むことがあるガス状化合物は、1つ以上のガス排出管を通って反応装置から出て、任意の凝縮性ガスは、再生利用のために油状またはろう状凝縮物に凝縮されるか、または所在の任意の非凝縮性ガスとともに燃やされて、熱または機械的作用を発生することがある。
【0018】
回転攪拌器の作用によって、床は流動化し、積層品または剥離した金属は、流動床材料の密度に比べて相対的に密度が小さいので、床の上面の方へ移動する。反応室は回転攪拌器の軌跡がある程度まで重なり合うように相互に連結される。対応する回転攪拌器のそれらの重なり合った軌跡を通した作用によって生じる、隣接している室内の流動床の重なり合った流れは、1つの室内の床の一部を次の室内の床へ、例えば2つの室の反応装置では第1室から第2室へ移送する。従って、時間とともに、第1室に投入した積層品は、第1室および第2室、ならびに任意の中間室を通って反応装置からの排出口へ移送される。同時に、少なくとも第2(すなわち最終)室内で積層品および剥離した金属は、床の上面の方へ移動し、床の上面に浮かぶことがある。従って剥離した金属は第2室内の床の上面に集中し、微粒状マイクロ波吸収物質に対して比較的高い濃度で反応装置から回収され得る。反応装置から出た後に、剥離した金属、好ましくはアルミニウムは、それと共に出た微粒状マイクロ波吸収物質から分離され、金属片または箔としてほぼ純粋な形で回収できる。金属は、適切な分離技術を用いて、好ましくはふるい分けによって、排出された微粒状マイクロ波吸収物質から分離され得る。金属から分離した微粒状マイクロ波吸収物質は、予熱されるか、または未処理の積層品と混合されるか、あるいは両方とも行われた後で任意に、第1反応室に再生利用されることが好ましい。
【0019】
第2室内の剥離した金属は床の上面に集中するので、反応装置からの排出口は第2室の側壁を貫通することが好ましく、金属、および任意に微粒状マイクロ波吸収物質の一部が、その高さが前記底面の高さを超えると排出されるように、排出口は前記室内の床の上面の高さと同じか、または近い高さに配置した底面を有する。
【0020】
反応室内の回転攪拌器は同じ回転方向に、かつ同じ回転周波数で回転することが好ましい。攪拌器は2〜60回転/分(rpm)の範囲、例えば5〜20rpmの速度で回転することが好ましい。
【0021】
各対応する室内の回転攪拌器は互いに異なる構成を有することがある。例えば、第1室内の攪拌器は、投入した積層品を第1床の粒子と十分に混合するように構成されることが好ましい。第2室の攪拌器は、剥離した金属が床の上面に向って上方へ移動するように、第2床を流動化させるように構成されることが好ましい。
【0022】
第1室内の回転攪拌器は、垂直軸を中心として回転する水平に延びる羽根として構成されることが好ましく、羽根の上縁または上面は、羽根の外周部分が軸部分と同じ高さにあるように水平であることが好ましい。羽根は単一アーム(すなわち羽根の一先端に軸部分を、羽根の他の先端に外周部分を有する)、または双アーム(すなわち羽根の中間点に軸部分を、羽根の先端に外周部分を有する)であってよく、双アームであることが好ましい。
【0023】
第2室内の回転攪拌器は、垂直軸を中心として回転する水平に延びる羽根として構成されることが好ましく、羽根の外周部分の上縁または上面が軸部分よりも低い高さであるように、羽根の上縁または上面は、羽根の軸部分(好ましくは羽根の中間点)から羽根の外周部分に向って下方へ傾斜する。例えば、第2室内の回転攪拌器は、その中間点を中心として回転する、台形または3角形の羽根、好ましくは台形の羽根として構成されてもよい。
【0024】
隣接する反応室の回転攪拌器は重なり合った軌跡を描くので、第1室の回転攪拌器の羽根によって第2(または中間)室の回転攪拌器の重なり合った軌跡に押し流された微粒状マイクロ波吸収物質および積層品は、第2(または中間)室の回転攪拌器の羽根の次の掃引によって重なり合った部分の中から外へ押し流されることになる。隣接する反応室の対応する羽根は、衝突を防止するために、整列させてはならないことが理解される。隣接する室の回転攪拌器の羽根は90度の角度だけずれることが好ましい。
【0025】
本発明は図面およびそれらの説明によってさらに例示される。
【0026】
図1〜図3において、反応装置1は、カーボンブラック粉末の第1床を含む第1円筒形室2と、カーボンブラック粉末の第2床を含む第2円筒形室3とを有する。室2および3は隣接し、相互に連結され、それぞれ回転攪拌器4および5を含む。攪拌器4および5は軌跡が重なり合って回転する。反応装置に対し窒素置換を行って、還元性雰囲気を維持する(窒素の注入管および排出管は図示せず)。マイクロ波エネルギーは室2および3に導入されて(ガイドは図示せず)、第1および第2床を熱分解温度に加熱する。ガス状の熱分解生成物は反応装置から排出される(管は図示せず)。積層品および追加のカーボンブラック粉末は注入口6によって室2に投入され、攪拌器4の作用によって第1床に混入される。混合物の一部は室3内の第2床の中に移る。剥離したアルミニウムは、いくらかのカーボンブラック粉末とともに室3から排出口7を介して反応装置1から排出され、排出されたカーボンブラック粉末から分離される。分離したカーボンブラック粉末は注入口6に再生使用される。
【0027】
本発明を次の限定されない例によってさらに説明する。
実験的方法
【0028】
反応装置、例えば図1〜図3に示すような2室反応装置が次のように連続して動作する。
【0029】
反応装置において、所在の室(好ましくは2つ)の全てが、最後の室の排出口の高さまで微粒状マイクロ波吸収物質(好ましくはカーボン)で満たされる。いったん室がマイクロ波吸収剤で満たされると、全ての室の回転攪拌器を駆動するモーターのスイッチが入れられる。
【0030】
装置は検査され、確実に、全ての連結部は適切な状態にあり、かつ機器は密閉されているようにする。この段階で、反応室内から酸素を追い出すために少ない流量の窒素または他の不活性ガスを反応装置内に流す。
【0031】
マイクロ波源(マグネトロン)のスイッチが入れられる。マイクロ波吸収物質はマイクロ波の作用によって熱くなり始める。マイクロ波吸収剤の温度は、連続して監視され、反応装置内のマイクロ波吸収剤の加熱速度および温度を制御するためにマグネトロンに接続された制御プログラムを実行するコンピューターに入力されることが好ましい。
【0032】
いったん所望の反応温度に達すると、積層品は供給管を通して第1反応室へ供給する。あるいは、所望の反応温度を達成する前に、いくらかの積層材料を反応室へ供給することもあり得る。積層品は、例えば反応装置に入る積層品の断片のサイズが0.25〜25cmであるように、機器のサイズに従って適切なサイズの断片に前もって切断されることが好ましい。積層品は、反応室の内部を無酸素状態に保つために、ダブルゲート弁、ピストンとねじコンベヤーの組み合せ、またはその他の類似の手段を用いて供給される。各室内の積層品に対するマイクロ波吸収剤の比は重量比で1:1と50:1との間で変化し得るが、比は5:1〜10:1であることが好ましい。
【0033】
積層品は熱分解し始め、ガスは反応装置に連結した管を通って反応装置から排出される。ガスは後で利用するために凝縮され、および/または集められ得る。あるいはガスは適切な手段によって直ちに燃やされて、熱か、あるいは電気を発生することもあり得る。いったん積層品、または他の物質が入っていないアルミニウムの熱分解が達成されると、第1室から任意の次の室へ移動し、排出口へ進む。他の物質が入っていないアルミニウムは、ダブルゲート弁、ピストンとねじコンベヤーの組み合せ、または酸素が反応装置に入るのを防止するその他の類似の手段を経由して反応装置から排出される。他の物質が入っていないアルミニウムが最後の室から連続して排出されるとき、新たな積層品が、反応装置を「高さ上昇」させるために要する任意の追加のマイクロ波吸収剤とともに第1室に追加される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態による反応装置の内部の平面図を示す。
【図2】A側から見た、図1の反応装置の側面図を示す。
【図3】B側から見た、図1の反応装置の側面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機材料と積層された金属を含む金属/有機積層品を再生利用するための連続的方法であって、
微粒状マイクロ波吸収物質の第1床および第1回転攪拌器を含む第1室と、微粒状マイクロ波吸収物質の第2床および第2回転攪拌器を含む第2室とを備える反応装置を用意する工程であって、前記第2室は前記反応装置からの排出口を有する工程と、
積層品および追加の微粒状マイクロ波吸収物質を微粒状マイクロ波吸収物質の前記第1床を含む前記第1室に投入する工程と、
前記第1回転攪拌器を用いて前記第1室内の前記微粒状マイクロ波吸収物質および積層品を攪拌し、マイクロ波エネルギーを前記第1室内の微粒状マイクロ波吸収物質と積層品の混合物に加えて、前記混合物中の前記微粒状マイクロ波吸収物質を、前記積層品中の有機材料を熱分解するのに十分な温度に加熱する工程と、
前記第1室内の前記混合物の一部を、微粒状マイクロ波吸収物質の前記第2床を含む前記第2室へ移送する工程と、
前記第2回転攪拌器を用いて前記第2室内の前記混合物を攪拌し、マイクロ波エネルギーを前記第2室内の前記混合物に加えて、前記混合物中の前記微粒状マイクロ波吸収物質を、前記積層品中に残る有機材料を熱分解するのに十分な温度に加熱する工程であって、
これによって積層品または剥離した金属は前記第2室内の前記混合物の上面へ移動し、浮かび、前記第2回転攪拌器は水平面で回転し、前記流動混合物の上面が、前記流動混合物上に浮かぶ積層品または剥離した金属を半径方向外向きに移動させる放射状の輪郭を有するように、前記混合物を流動化するように構成される工程と、
前記第2室内の前記混合物の一部を前記反応装置からの前記排出口へ移送する工程と、
金属を前記反応装置からの前記排出口から回収する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1室内の前記混合物の前記一部の前記第2室への移送が、回転攪拌器によって攪拌される微粒状マイクロ波吸収物質の床を各々含む、1つ以上の中間室を経由するものである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応装置が2つの反応室から成る請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反応装置から熱分解生成物を回収する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記有機材料がプラスチックまたは紙材料、あるいは両方を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記微粒状マイクロ波吸収物質が、500〜600℃の範囲の温度に加熱される請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記微粒状マイクロ波吸収物質が、カーボンブラック粉末である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応装置内に不活性または還元性雰囲気を設ける工程をさらに含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記雰囲気が窒素ガスである請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記追加の微粒状マイクロ波吸収物質が、前記反応装置に入る前に前記積層品と混合される請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記微粒状マイクロ波吸収物質または前記積層品、あるいは両方が、前記反応装置に入る前に予熱される請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
微粒状マイクロ波吸収物質が、前記積層品と混合する前に前記反応装置内で予熱される
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1室内の前記攪拌器の作用が、微粒状マイクロ波吸収物質を前記第1室から前記次の室へ移送する請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2室内の前記微粒状マイクロ波吸収物質の一部が、前記金属とともに前記反応装置から排出される請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記排出された金属から前記排出された微粒状マイクロ波吸収物質を分離し、前記分離した微粒状マイクロ波吸収物質を前記反応装置に再生使用する工程をさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記回転攪拌器が重なり合った軌跡を描き、これによって前記回転攪拌器の作用が、前記微粒状マイクロ波吸収物質の一部を前記第1室から前記次の室へ移送する請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記排出口が、前記第2室の側壁を貫通し、前記金属、および任意に前記微粒状マイクロ波吸収物質の一部が、その高さが前記底面の高さを超えると排出されるように、前記室内の前記床の上面の高さと同じか、または近い高さに配置した底面を有する請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも前記第2室内の前記回転攪拌器が、その中間点で垂直軸を中心として回転する水平に延びる羽根として構成され、前記羽根の上縁または上面が、前記中間点から前記羽根の先端に向って下方へ傾斜する請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも前記第2室内の前記回転攪拌器が、その中間点を中心として回転する台形の羽根として構成される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記金属/有機積層品が、有機材料と積層されたアルミニウムを含む請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
有機材料と積層された金属を含む金属/有機積層品を再生利用する反応装置であって、
微粒状マイクロ波吸収物質の第1床および第1回転攪拌器を含む第1室と、
微粒状マイクロ波吸収物質の第2床および第2回転攪拌器を含み、前記反応装置からの排出口を有する第2室と、
積層品および追加の微粒状マイクロ波吸収物質を微粒状マイクロ波吸収物質の前記第1床を含む前記第1室に投入する手段と、
前記第1室内の混合物の一部を、微粒状マイクロ波吸収物質の前記第2床を含む前記第2室へ移送する手段と、
マイクロ波エネルギーを前記第1および第2室内の微粒状マイクロ波吸収物質と積層品の混合物に加えて、前記混合物中の前記微粒状マイクロ波吸収物質を、前記積層品中の有機材料を熱分解するのに十分な温度に加熱する手段と、
前記第2室内の前記混合物の一部を前記反応装置からの前記排出口へ移送する手段と、
金属を前記反応装置からの前記排出口から回収する手段と、
を備え、前記第2回転攪拌器は水平面で回転し、流動混合物の上面が、前記流動混合物上に浮かぶ積層品または剥離した金属を半径方向外向きに移動させる放射状の輪郭を有するように、前記混合物を流動化するように構成される反応装置。
【請求項22】
前記第1室と前記第2室との間に1つ以上の室をさらに備え、各室は回転攪拌器によって攪拌される微粒状マイクロ波吸収物質の床を含む請求項21に記載の反応装置。
【請求項23】
2つの反応室から成る請求項21に記載の反応装置。
【請求項24】
前記微粒状マイクロ波吸収物質が、カーボンブラック粉末または活性炭粉末である請求項21〜23のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項25】
前記反応装置内に不活性または還元性雰囲気をさらに備える請求項21〜24のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項26】
前記雰囲気が窒素ガスである請求項25に記載の反応装置。
【請求項27】
前記第1室内の前記攪拌器が、前記第1室内の前記混合物の一部を前記次の室へ移送する請求項21〜26のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項28】
前記排出された金属から前記排出された微粒状マイクロ波吸収物質を分離し、前記分離した微粒状マイクロ波吸収物質を前記反応装置に再生使用する手段をさらに備える請求項21〜27のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項29】
前記回転攪拌器が重なり合った軌跡を描き、これによって前記回転攪拌器の作用が、前記微粒状マイクロ波吸収物質の一部を前記第1室から前記次の室へ移送する請求項21〜28のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項30】
前記排出口が、前記第2室の側壁を貫通し、前記金属、および任意に前記微粒状マイクロ波吸収物質の一部が、その高さが前記底面の高さを超えると排出されるように、前記室内の前記床の上面の高さと同じか、または近い高さに配置した底面を有する請求項21〜29のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項31】
少なくとも前記第2室内の前記回転攪拌器が、その中間点で垂直軸を中心として回転する水平に延びる羽根として構成され、前記羽根の上縁または上面が、前記中間点から前記羽根の先端に向って下方へ傾斜する請求項21〜29のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項32】
少なくとも前記第2室内の前記回転攪拌器が、その中間点を中心として回転する台形の羽根として構成される請求項31に記載の反応装置。
【請求項33】
前記金属/有機積層品が、有機材料と積層されたアルミニウムを含む請求項21〜32のいずれか一項に記載の反応装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−516075(P2007−516075A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544565(P2006−544565)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/GB2004/050043
【国際公開番号】WO2005/061098
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(501308812)ケンブリッジ ユニバーシティー テクニカル サービスィズ リミテッド (10)
【Fターム(参考)】