説明

熱可塑性樹脂用添加剤、その使用およびその製造方法、ならびにそうした添加剤を含有する熱可塑性樹脂の製造方法およびそうして製造された熱可塑性樹脂

分解制御を達成し、極淡色の熱可塑性樹脂の製造をさらに可能ならしめる、熱可塑性樹脂用添加剤の製造方法。熱可塑性樹脂は、フィルムブローイング成形、押出成形および射出成形などにより加工することができる。第二鉄(III)塩とC2〜C24脂肪酸またはその誘導体とを、適する酸化剤により最終製品中の全ての鉄をその第二鉄状態に確実に維持するプロセスで、脂溶性第二鉄(III)化合物を形成させながら反応させる。さらに、本発明は、添加剤それ自体、そうした添加剤を用いて改質熱可塑性樹脂を製造する方法、および最後に、このようにして改質された熱可塑性材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一の態様によると、極淡色の材料に制御可能な分解をもたらす熱可塑性材料(本明細書では、以後、一般に、熱可塑性樹脂と表記する)用添加剤の製造方法に関する。第二の態様によると、本発明は、第一の態様の方法により製造された添加剤に関する。さらに、第三の態様によると、本発明は、そうした添加剤の使用に関し、また第四の態様によると、本発明の第二の態様の添加剤を使用する極淡色の熱可塑性樹脂の製造方法に関する。最後に、本発明は、本発明の第四の態様に従って製造した熱可塑性材料に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック袋またはプラスチック包装などのプラスチック製品は、通常、熱可塑性材料で作られる。一旦、使用されてしまうと、そうしたプラスチック製品は、結局、自然の中か別様に外界に放置されがちである。高い比表面積および通常人目を引く色を有するこれらの製品は、目に見える、望ましくない環境汚染要因となる。同時に、これらのプラスチック製品は、一般に、分解に対して非常に耐性であり、そのため数年にわたって例えば森にあり続けることもある。従って、1つの目標は、使用期間の間は安定であるが、捨てられたら直ぐに分解するようにプラスチック袋および他のプラスチック包装を製造できることである。
【0003】
市販の生物分解性熱可塑性樹脂は、トウモロコシデンプンのポリマーまたはラクチド系ポリマーなどの加水分解性ポリマーに基づく。分解性ラクチド系ポリマーは、米国特許第5,908,918号に記載されている。ラクチド系ポリマーの利点および不利な点は、一般に、文献(例えば、R.LeaversuchによるPlastics Technology,2002年3月,50)に記載されている。ポリプロピレンのような合成ポリマーと比較されるラクチド系ポリマーの不利な点は、低い破断強度、高密度、高温特性不良、遮断特性不良および特に高価格である。このタイプのポリマーの利点は、透明な製品の製造が可能であること、および光が不在であっても容易に分解が起こりうることである。
【0004】
分解性が極めて増した熱可塑性樹脂を製造するための別戦略は、ポリプロピレンまたはポリエチレンのような商業用熱可塑性樹脂に分解促進剤を添加することを含む。この添加は、適便なマトリックス材料中の1つまたはそれ以上の添加剤の濃厚配合物の形態で、商業用熱可塑性樹脂に対して行われる。そうした濃縮配合物は、マスターバッチと呼ばれる。一般に、商業用熱可塑性樹脂の分解を促進するそのようなマスターバッチのタイプは、区別することができる。
【0005】
一方において、マスターバッチは、変性デンプンまたはエステル系材料などの加水分解性材料を含む(Plastic Technology,2002年10月,60;米国特許第5,461,093号および同第5,091,262号)。そうした加水分解性材料を伴うマスターバッチを商業用熱可塑性樹脂に配合する。これらの改質熱可塑性樹脂をある期間にわたって熱および湿気に曝すと、添加された加水分解性材料が加水分解し始め、その結果、その熱可塑性樹脂は機械的に不安定になり、これは、その熱可塑性材料の分解増進を意味する。
【0006】
例は、Polystarch N(米国、ウイロー・リッジ・プラスチック社(Willow Ridge Plastics Inc.,USA))およびMater−Bi AF05H(米国、ノバモント(Novamont))である。この方法の利点は、その分解が、光に依存しないこと、従って、その材料を乾燥条件下で長時間使用することができる一方で、例えば腐らせて堆肥にする場合、分解が比較的急速であることである。不利な点は、一般に、その熱可塑性樹脂中の加水分解性材料が低品質、例えば低い破断強度、高温特性不良および遮断特性不良を導くことである。
【0007】
他方において、光および/または熱の影響下で熱可塑性樹脂の酸化分解に触媒作用を及ぼす1つまたはそれ以上の添加剤を含むマスターバッチを、商業用熱可塑性樹脂に添加することができる。加水分解性材料のマスターバッチとは正反対に、一般に、そうした添加剤は、商業用熱可塑性樹脂に容易に溶解する。従って、改質された熱可塑性樹脂の特性は、未改質の熱可塑性樹脂の特性と極めて類似している。この方法での課題は、その熱可塑性樹脂の製造プロセス(フィルムブローイング成形、押出成形、射出成形)に適合する添加剤系を見つけることである。製品が望ましい特性を得るために、製造中に起こりうる分解は、排除または制御されなければならない。特に問題なのは、光(特に、UV部分を有する光)が存在する場合、暗所の場合よりその分解プロセスがとてもはやく発生することである。従って、添加剤または添加剤のブレンドは、その製品が保管および/または使用に適する期間中はその望ましい特性を維持するように、また、それにもかかわらずその製品が廃棄されてしまったときには分解が相当急速に経過するように、選択されなければならない。
【0008】
熱可塑性樹脂の分解促進を導く既知の添加剤は、金属がその酸化状態を変えることができる金属塩または金属錯体化合物である(I.I.Eyengaら,Macromol.Symp.,178,139−152(2002))。最も用いられているのは、コバルト、セリウムまたは鉄のような遷移金属の脂溶性化合物(米国特許第20010003797号、同第5,384,183号、同第5,854,304号、同第5,565,503号、ドイツ特許第2244801号B2、米国特許第5,212,219号)、または、種々のタイプのワックスと遷移金属塩との配合物(米国特許第5,155,155号)である。加水分解性材料と金属塩または金属錯体化合物との組み合わせを含む分解制御可能な熱可塑性樹脂の例は、米国特許第5,135,966号に記載されている。金属塩または金属錯体化合物、いわゆる光重合開始剤に加えて、光の影響下でラジカルを形成する材料も含むことができる(米国特許第4,517,318号、同第4,038,227号、同第3,941,759号)。
【0009】
そうしたステアリン酸鉄(第二鉄)などのステアリン酸塩の合成は、定期刊行物(H.B.Abrahamson,H.C.Lukaski,Journal of Inorganic Biochemistry,54,115−130(1994))および特許公報(米国特許第5,434,277号)に記載されている。分解制御可能な熱可塑性樹脂において他の遷移金属化合物ではなくステアリン酸鉄を利用すると、環境に有害でありうる材料の流出を招かない。食品と直接接触しない分解制御可能な熱可塑性樹脂の認可に関していえば、鉄化合物についての規定は、他の遷移金属化合物より要求が少ない。
【0010】
ステアリン酸鉄などの鉄化合物に基づく分解制御可能な熱可塑性樹脂の課題は、そのステアリン酸塩の色が、その分解制御可能な熱可塑性樹脂の色を左右するということである。従って、目的は、分解制御可能な熱可塑性樹脂が、対応する未改質の熱可塑性樹脂の色と極小程度しか異ならないほど淡色であるタイプのステアリン酸塩を製造できることである。市販のステアリン酸鉄などの既知鉄化合物は、改質された熱可塑性樹脂を黄褐色または暗褐色にする。従って、その改質熱可塑性樹脂は、白色または無色の製品が求められる用途では使用できない。加えて、黄褐色または暗褐色の熱可塑性樹脂は、染料または顔料の添加によって達成すべき色調が限定されている熱可塑性樹脂にはあまり適さない基材である。
【0011】
もう1つの課題は、その分解制御可能な熱可塑性樹脂の製造プロセス、例えばフィルムブローイング成形、押出成形または射出成形に適合する、淡色タイプのステアリン酸鉄系添加剤の製造である。このためには、減速剤として適切な酸化防止剤をステアリン酸鉄に添加する必要がある。そうした酸化防止剤は、一般に、全ての商業品質の熱可塑性樹脂に添加される。ステアリン酸鉄のような金属化合物を含有する熱可塑性樹脂が良好な加工性を獲得するために必要な酸化防止剤の量およびタイプは、そうした金属化合物を含有しない熱可塑性樹脂が必要とする量とは異なることがある。
【0012】
第三の課題は、ステアリン酸鉄を含有する分解制御可能な熱可塑性樹脂から製造された製品の特性を、保管および使用に適する期間内は維持し、それでいて、その製品が廃棄されるときには充分に速い分解を確保することである。ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂における分解プロセスは、主として、例えば、Hans Zweifel(編),「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastic additives handbook)」,Hanser,Munchen,2000,4頁および18頁により説明されているメカニズムに従って発生する。酸素の取り込みが、ヒドロペルオキシドの形成、およびそのヒドロペルオキシドの分解による熱可塑性樹脂のその後の酸化分解を導く。ステアリン酸鉄などの金属化合物の存在は、ヒドロペルオキシドの分解を促進する。
【0013】
コバルトおよび鉄系の金属化合物間の相互作用は、不飽和ポリエステル系の樹脂の硬化からもわかる。適する過酸化物の添加は、原則として、金属化合物が過酸化物の分解の影響を受け、その結果、フリーラジカルが形成され、それがポリエステル樹脂中の不飽和二重結合を重合させることによる硬化プロセスを開始させる。しかしながら、過酸化物添加の結果として起こる硬化プロセスの即時開始は、その硬化中に粘度などの重要な特性が絶えず変化し、その結果、その樹脂を表面に塗布することが困難になるので、望ましくない。従って、適切な期間の間は硬化を回避するように効果的に過酸化物と反応する酸化剤が、一般には添加される。この期間は、多くの場合、ゲル化時間または誘導時間と呼ばれる。この期間の後、酸化剤が消費されて、一般には相当急速にポリエステルの硬化が起こる。
【0014】
それに対応して、そうした酸化防止剤を使用して、ステアリン酸鉄などの金属化合物を伴う熱可塑性樹脂における分解プロセスを遅速させることができることが仮定される。米国特許5,212,219号は、熱可塑性樹脂の剛性が急速に低下する前に誘導時間を得るための熱可塑性樹脂における酸化防止剤と遷移金属化合物有機塩との併用に言及している。米国特許第5,212,219号には、分解時間を制御するための異なる酸化剤またはあるタイプの酸化剤の異なる濃度の使用は記載されていない。熱可塑性組成物の分解時間が多少異なる幾つかの例は、示されている。しかし、酸化防止剤が分解時間に影響を与えるかどうか、またはどのように影響を与えるかは、開示されていない。これらの実施例で言及されているタイプの酸化防止剤は、全ての商業用タイプの熱可塑性樹脂においてよく使用されている成分である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
(目的)
本発明の目的は、分解を制御することができる改質された極淡色の熱可塑性樹脂の生産を可能にする、熱可塑性樹脂への添加剤の製造方法を提供することである。
【0016】
さらなる目的は、そうした添加剤と併せて他の適する添加剤を含む商業用改質熱可塑性樹脂を製造して、このように一定の条件下で改質された熱可塑性樹脂に、通常の熱可塑性樹脂製造プロセスでの充分な加工性を維持しながら、非常によく制御された分解速度および極淡色をもたらす方法を提供することである。そうした熱可塑性樹脂は、淡色であるとともに分解を制御することもできる製品での使用に適する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(本発明)
第一の態様によると、本発明は、改質された極淡色で分解を制御可能な熱可塑性樹脂の生産を可能ならしめる熱可塑性樹脂用添加剤を製造するための方法に関するものであり、この製造方法は、請求項1の特徴記載部分によって定義される。
【0018】
第二の態様によると、本発明は、請求項12によって定義するとおりの、熱可塑性樹脂および油などの製品の分解を制御するための添加剤を含む。
【0019】
第三の態様によると、本発明は、請求項14によって定義するとおりの、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂のブレンド用の1つまたはそれ以上の他の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカルスカベンジャー、UV吸収剤、アミン、過酸化物および/または過酸化物形成物質との併用での、請求項1の特徴記載部分によって定義する特徴に従って製造した第一添加剤の利用を含む。第一添加剤のタイプおよび量、他の添加剤のタイプおよび量、ならびに熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂のブレンドのタイプは、一定の条件下で制御可能な分解速度を有する熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂のブレンドが得られるように選択される。
【0020】
上記で定義したような本発明における添加剤の適用に関しては、添加剤量の増加がさらに早い分解を導くことは、当業者には理解されよう。従って、分解の進行は、ある程度までは、一定の熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂のブレンドと組み合わせて添加剤の濃度を選択することにより調整することができる。
【0021】
上記で言及したような他の添加剤は、非常に長い耐久性を有する、すなわち、数年にわたって大きな分解がない熱可塑性樹脂を製造するために使用する。
【0022】
ヒンダードフェノールおよび芳香族アミンのような酸化防止剤は、水素供与体として作用することにより分解を抑制する(Hans Zweifel(編),「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastic additives handbook)」,Hanser,Munchen,2000,10〜18頁参照。)。ヒンダードアミンまたはヒドロキシルアミンおよびベンゾフラノン誘導体などのラジカルスカベンジャーは、酸化分解の原因となりうる酸化ラジカルと結合することにより、分解を抑制する。UV吸収剤は、太陽光線の最も高エネルギーを遮断し、その結果、最も破壊性部分を遮断する。過酸化物は、酸化剤として機能し、その結果、熱可塑性樹脂の分解を増進させることができる。しかし、製造中の過酸化物の使用は、熱可塑性樹脂の分解速度を低下させる、熱可塑性樹脂の架橋を導く。過酸化物形成物質は、材料への酸素の取り込みを増進させ、それが、より急速な分解を導く。顔料および染料は、可視太陽光線の一部を遮り、その結果、光による影響を受ける分解を減速させる。
【0023】
熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂のブレンドにおける本発明における添加剤と組み合わせられる上述の別の既知添加剤の利用は、その既知添加剤のタイプの選択および量の選択により大いに制御できる分解速度をもたらすことが証明された。以下には、幾つかの既知添加剤の組み合わせの使用も同時に含まれる。
【0024】
この関連で活用することができる特別な特徴は、太陽光線および/または熱に暴露されたときの酸化分解に対する既知添加剤各々のそれ自体知られている安定性である。
【0025】
一例として、酸化分解に対する種々のUV吸収剤の安定性は、Sanduvor PR−25<Chimasorb81 Cyasorb UV 5911<Tinuvin 326<Tinuvin 1577の順である。
【0026】
【化1】

【0027】
【化2】

【0028】
本発明における添加剤と組み合わされるそうしたUV吸収剤の使用は、本発明における添加剤のみを使用することにより得られるものと比較して、変性された長期間の分解をもたらす。上述のような適便な併用により、本発明における添加剤のみによって生じる急速な分解を、添加する既知UV吸収剤のタイプおよび量により制御することができるので、一定の熱可塑性樹脂についての分解時間を、種々の要求に適応させることができる。単離された状態で一般に高い安定性を有するUV吸収剤は、安定性が低くいUV吸収剤より分解時間を増加させる。従って、本発明における添加剤とTinuvin 1577の併用は、本発明における添加剤とSanduvor PR 25の併用より極めて長い分解時間をもたらす。
【0029】
さらなる改質は、異なるタイプの既知添加剤の併用およびそれらの濃度を変化させることによって達成することができる。
【0030】
熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂のブレンドについての分解時間は、それらの組成にも依存する。ポリプロピレン(PP)が、ポリエチレン(PE)より速く分解することは公知である。本発明における添加剤は、PPとPEを組み合わせたものの分解速度を制御するために使用することもでき、また、PEの量を増やすことによりその分解速度を低下させることができる。
【0031】
第四の態様によると、本発明は、フィルムブローイング成形、押出成形もしくは射出成形するか別の方法で処理することができ、それでいて光の影響下で1年未満に分解させることができる極淡色の熱可塑性材料を製造する、請求項19によって定義される方法に関する。上述のように、商業用熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂の製造中にそれらの充分な安定性を確保するために、酸化防止剤を含む。多くのそうした酸化防止剤の1つの適用方法は、熱可塑性樹脂の製造中の酸化分解を防止する安定なラジカルの生成である。(Hans Zweifel(編),「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastic additives handbook)」,Hanser,Munchen,2000,13頁参照)。そうした酸化防止剤によって形成される酸化生成物は、製造された熱可塑性樹脂の変色を導くことがある(Hans Zweifel(編),「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastic additives handbook)」,Hanser,Munchen,2000,13頁参照)。従って、製造中の熱可塑性樹脂を安定させるために使用される酸化防止剤の量は、必要最小限まで減少させることが望ましい。
【0032】
本発明における添加剤の存在は、一定量の酸化防止剤が、そうした添加剤が存在しない同量の酸化防止剤より多くの量の安定なラジカルを短期間の間に生成させることを意味しうる。この短期間が、製造時間に匹敵すると仮定すると、製造中に熱可塑性樹脂を安定させるために使用される酸化防止剤の量は、本発明における添加剤と併用すれば、減少させることができる。従って、熱可塑性樹脂の製造中の充分な安定性を確保するために添加される酸化防止剤により生成される酸化生成物に起因する変色の危険性を減少させることができる。
【0033】
最後に、第五の態様によると、本発明は、請求項19によって定義される方法に従って製造された、請求項25によって定義される熱可塑性材料に関する。
【0034】
本発明の好ましい実施形態は、従属クレームによって開示する。
【0035】
第一の態様によると、本発明は、分解を制御することができる極淡色の熱可塑性樹脂の生産を可能ならしめる、熱可塑性材料への添加剤の製造方法に関する。一般に、そのプロセスは、一般には低脂溶性であり、好ましくは標準条件(25℃および湿度最大98%)で安定な最高酸化状態で存在する金属化合物と脂溶性カルボン酸またはカルボン酸誘導体の化学変換を含み、それにより、脂溶性金属化合物から成る生成物が生成される。この変換は、次の例によって説明することができ、金属として鉄(III)は、標準条件でその最高安定酸化状態で存在する:
Fe3+(X-3+CnmCOOR → Fe3+(CnmCOO)3+R−X
(式中、Xは、いずれかの適するアニオン、例えばCl-、CH3COO-、NO3-、アルコキシレートであり、Rは、アルキルとHの間で選択される小さな基であり、この場合、R−Xは、蒸留により反応組成から除去することができる。)。
【0036】
本発明の第一の態様の方法において利用するために好ましい脂肪酸は、ステアリン酸であり、このプロセスは、主としてステアリン酸によって例示される。上述した鉄塩の中では、塩化鉄第二(III)が好ましい。このプロセスは、例えば溶融したステアリン酸に塩化第二鉄(III)水溶液をゆっくりと添加することにより行われる。空気の継続的な追加、および/または少量の2〜5%過酸化水素水溶液のバッチ添加により、第二鉄(III)イオンの酸化状態(III)を維持することが確保される。これが、ステアリン酸鉄生成物の色の決め手となる。ステアリン酸鉄生成物中に存在する第一鉄(II)化合物が多いほど、色は暗くなる。変換後、ステアリン酸鉄生成物を過剰の1〜3%過酸化水素水溶液に注入する。結果として起こるガス発生がほぼ終了したら、そのステアリン酸鉄生成物を液相から濾過し、水で入念に洗浄して、一切の残留塩化第二鉄(III)を除去する。その後、そのステアリン酸鉄生成物を、拡散棒で促進しながら、45℃で2時間、0.5〜1%過酸化水素水溶液で分散させる。分散したステアリン酸鉄生成物を、その後、液相から濾過し、水で入念に洗浄して、コンベクションオーブンまたは他の適する方法で25〜50℃で乾燥させる。あるいは、その目的に適便なワックスをその変換の終了時に反応生成物に添加し、最終生成物を1〜2%過酸化水素溶液中で直接微粒状化する。通常、1つまたはそれ以上の反応体が水に溶解している。水の蒸留は、共沸蒸留を利用して簡素化される。このような共沸蒸留は、適する炭化水素または炭化水素のブレンド(「ホワイトスピリット」)を利用して達成することができる。
【0037】
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様を構成する、上で例示したプロセスによって製造された添加剤に関する。例えばマスターバッチのような、添加剤を含む組成物および配合物にも関する。そうしたマスターバッチにより、熱可塑性樹脂および油などに添加剤を添加するプロセスを簡素化できる。このようなマスターバッチは、添加剤と相互作用し、それによりそのマスターバッチが添加される熱可塑性樹脂および油などの分解時間に影響を与える物質も含有しうる。
【0038】
第三(第四)の態様によると、本発明は、本発明の第二の態様の添加剤を含む改質された商業用熱可塑性樹脂、例えばプロピレンまたはエチレンの製造に関する。この製造方法は、押出機での配合を含む。この改質熱可塑性樹脂は、特に光および熱に暴露されたとき、未変性熱可塑性樹脂より著しく容易に分解しうる。0.1%の濃度で既に、ステアリン酸鉄製品の形態の添加剤は、熱可塑性樹脂の急速な分解を達成することができる。そうした添加剤濃度は、本発明の第三の態様(請求項21参照)の好ましい実施形態の代表である。約0.03重量%より低い添加剤濃度は、分解特性に望ましい影響を与えないことが判明した。本発明の第二の態様の添加剤としてステアリン酸鉄を使用する場合、ポリ(1−デケン)(poly(1−deken))中の0.5重量%溶液の添加剤濃度は、4もしくはそれより低いASTM 1544に従うカードナー色数を導くことが、多数の試験により判明した。詳細には、これは、その添加剤が該当する濃度限度内では、例えば無着色のプラスチック袋等の熱可塑性樹脂が適した完全に淡色の製品であるときでさえ、その最終製品において観察しうる着色を導かないことを意味する。
【0039】
分解プロセスは、主として、例えば、Hans Zweifel(編),「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastic additives handbook)」,Hanser,Munchen,2000,4頁および18頁に記載されているメカニズムに従って起こる。製造(フィルムブローイング成形、押出成形、射出成形)中の熱可塑性樹脂の充分な安定性を確保するために、本添加剤は、適する酸化防止剤または適する酸化防止剤ブレンドと併用しなければならない。上述の改質熱可塑性樹脂から製造された製品が、所望の(材料)特性を有するために、製造プロセス中のあらゆる分解を回避または減少させるべきである。適した酸化防止剤は、主として、ホスフェート、チオ相乗剤、C−H酸ラジカルスカベンジャーおよびフェノール性酸化防止剤またはこれらの組み合わせなどのいわゆるプロセス安定剤である。さらに、いわゆるヒンダードアミン安定剤(HAS)およびUV吸収剤に基づくラジカルスカベンジャーを使用して、保管寿命および/または分解速度を調整することができる。光重合開始剤、過酸化物および芳香族置換炭化水素のようなラジカル形成物質を用いて、分解速度を調整することもできる。最後に、染料および顔料を積極的に使用して、分解速度を調整することもできる。
【0040】
ポリマー生成物中での本発明の第二の態様の添加剤と上述の添加剤の間の相互作用は、3つの段階に分けることができる:1)熱可塑性製品の製造(フィルムブローイング成形、押出成形および射出成形など)、2)製品の保管/使用、および3)そのプラスチック製品の分解制御。種々の段階において脂溶性第二鉄(III)化合物の形態の添加剤と相互作用する種々のタイプの添加剤を表1に示す。

【0041】
添加剤の殆どが、安定剤またはポリマー添加剤と表示される。脂溶性第二鉄(III)添加剤と相互作用する好適なタイプの添加剤を下に挙げる。
【0042】
ホスファイト:
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルホスホナイト [119345−01−6]
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト [31570−04−4]
リン酸モノエチル−ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル−エステル [145650−60−8]
チオ相乗剤:
ドデシル−3,3’−ジチオプロピオネート [123−28−4]
ヒンダードフェノール:
テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルペンタエリトライト(pentaerytrite) [6683−19−8]
1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル−2,4,6−トリメチルベンゼン [1709−70−2]
6,6’−ジ−tert−ブチル−2,2’−チオジ−p−クレゾール [90−66−4]
ヒドロキノン化合物:
2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン [88−558−4]
C−H酸ラジカルスカベンジャー:
3−キシリル−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラノン [181314−48−7]
ヒドロキシルアミン:
ジステアリルヒドロキシルアミン [143925−92−2]
ヒンダードアミン:
N,N’’’−[1,2−エタン−ジイル−ビス[[[4,6−ビス−[ブチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]イミノ]−3,1−プロパンジイル]]−ビス[N’,N’’−ジブチル−N’,N’’−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン [106990−43−6]
ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート [52829−07−9]
UV吸収剤:
2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)−ベンゾフェノン [1843−05−6]
2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール [3846−71−7]
アミン:
ステアリルアミン [124−30−1]
ドデシルアミン [124−22−1]
過酸化物:
過酸化ジクミル [80−43−3]
過酸化ジデカノイル [762−12−9]
過酸化物形成物質:
3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン [10192−93−5]
ジエチレングリコールジエチルエーテル [112−36−7]
光重合開始剤:
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1 [119313−12−1]
酸化ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィン [162881−26−7]
染料:
ローダミンB ベース [509−34−2]
顔料:
ピグメントレッド3 [2425−85−6]

本発明の第五の態様は、本発明の第三(四)の態様に従って製造した熱可塑性材料に関する。そうした熱可塑性材料は、例えば、プラスチック袋、共押出食品包装またはごみ袋のような分解制御可能な包装として使用するための、分解が制御されたプラスチック製品を造ることができる。そうした熱可塑性材料は、使い捨て注射器または使い捨て洋食器のような使い捨て製品の形態を有することもある。加えて、上述の分解制御可能な熱可塑性樹脂は、その製品の耐用年数中に制御分解が望まれる製品に使用することができる。例は、一定の期間にわたって草の成長を一時的に防止するために使用される農業用フォイル、または限られた期間の間、下にある層を保護するためのフィルム/熱可塑性コーティングである。第二鉄添加剤の液体混合物は、空気および太陽光線の影響下での油もれの分解に使用することができる。この関連で、nが8である反応式Iに従って製造し、過酸化物形成性水溶性または脂溶性溶媒、例えばモノまたはポリグリコールエーテルに溶解した第二鉄系添加剤は、特に興味深い。
【0043】
本発明と以前に記載された方法および製品との主な違いを下で一般的に解説する。本発明は、以前のステアリン酸鉄製品より極めて淡色の添加剤を提供する。商業用熱可塑性材料に添加すると、本発明における添加剤は、分解触媒として非常に有効である。0.1%の濃度で既に、熱可塑性樹脂の急速な分解が達成される。熱可塑性樹脂の製造中の分解(分解の回避)および保管寿命または分解時間の調整は、適合量の適切な酸化防止剤と他の添加剤の使用により達成される。酸化防止剤、他の任意の添加剤および本発明における添加剤の濃度の厳密な調節により、特に光の存在下で分解が発生する場合、目的に合った保管需要および分解時間を有する分解制御可能な熱可塑性樹脂を製造することができる。
【0044】
本発明者らが知る限り、分解触媒として非常に活性であり、極淡色でもあるステアリン酸鉄製品および鉄と脂肪酸の他の脂溶性製品を説明している出版物は、以前にはない。
【0045】
脂溶性第二鉄(III)化合物と酸化防止剤の間の厳密な相互作用によって目的に合った製造時間、保管寿命(保管期間)および分解時間が確保される文献を本発明者らは知らない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明の第一の態様の方法において利用される酸化剤は様々でありうるが、過酸化水素は、非常によく適する酸化剤であることが判明した。酸化剤の濃度は、使用面積、製品、他の添加剤の任意の使用および所望の最終特性に依存して広範に変化しうる。約0.1%より低い水溶液濃度は、所望の効果を一般にもたらさないが、約5%より高い濃度は、酸化剤の望ましくない大量消費を一般に導き、様々な制御できない反応過程リスクを伴う。
【0047】
他の好ましい酸化剤は、有機化酸化物およびヒドロペルオキシドならびに酸素富化空気である。
【0048】
本発明の第一の態様の方法では、金属塩と比較して多少化学量的に過剰、例えば20%過剰の有機脂肪酸またはその誘導体を添加することが、好ましい。それによって、第二鉄系添加剤の色に望ましくない影響を与える暗色の酸化鉄化合物の沈殿が、回避または制限される。更に、脂溶性金属化合物(その生成物)を過酸化水素水溶液で洗浄して、一切の未反応金属塩残留物を除去すること、および、その後、その生成物を35〜55℃で1〜3時間、過酸化水素の希釈溶液に分散させ、純水で洗浄し、最終的にコンベクションオーブンで乾燥させることが好ましい。
【0049】
何らかのワックスを添加して、固体塊に生成物を結合させ、それによってダストを立たせないことも、製造プロセスで有利であることが証明された。
【0050】
揮発性反応生成物および/または反応体は、好ましくは共沸蒸留によって除去する。
【0051】
鉄、マンガンおよびセリウムなどの種々の金属を金属塩に利用できるが、最も好ましい金属は、その安定な最高酸化状態が3であることから、鉄である。
【0052】
最も好ましい熱可塑性樹脂は、ポリエチレンおよびポリプロピレンならびにそれらの組み合わせである。
【0053】
それ自体知られている添加剤の中で特に好ましいものは、Sanduvor PR25(商標)、Chimassorb 81(商標)、Cyasorb UV 5911(商標)、Tinuvin 326(商標)およびTinuvin 1577(商標)である。
【実施例】
【0054】
1.脂溶性鉄含有添加剤の合成
a)合成は、2つの装入ホッパ、ガラス攪拌機、ガラスにジャケットをかぶせた温度計、蒸留冷却器、調節可能な吸気口およびボトムバルブを備えた加熱可能な5リットルガラス反応器で行う。2.180kg(7.66mol)のステアリン酸をその反応器内で溶融する。吸気速度は、1分あたり空気約200mLに調整し、反応器の温度は、120℃に調整する。600g(2.22mol)の塩化第二鉄(III)・六水和物を600mLの水に溶解して、約900mLの塩化第二鉄(III)水溶液を得る。装入ホッパの一方から溶融したステアリン酸を1分あたり20mLの速度でその塩化第二鉄(III)水溶液に添加する。塩化第二鉄(III)水溶液の添加は、蒸留水および塩化水素の量が、供給する塩化第二鉄(III)水溶液の量に相当するように調整される。空気の継続的供給および他方の装入ホッパから3%過酸化水素水溶液の1分あたり2mLの添加は、その第二鉄(III)イオンの酸化状態(III)の維持を確保する。塩化第二鉄(III)水溶液の添加が完了したら、そのブレンドを沸騰させ、塩化第二鉄(III)水溶液の明確な黄色がもはや観察できなくなるまで、空気を継続的に追加しながら、また3%過酸化水素水溶液を1分あたり5mLで添加しながら蒸留する。その後、そのステアリン酸鉄生成物をボトムバルブから10リットルの3%過酸化水素水溶液に吐き出させる。結果として起こるガスの発生がほぼ終了したら、そのステアリン酸鉄生成物を液相から濾過し、水で入念に洗浄して、一切の塩化第二鉄(III)残留物を除去する。その後、そのステアリン酸鉄生成物を、45℃、2時間で、1%過酸化水素水溶液に分散棒により促進しながら分散さる。分散されたステアリン酸鉄生成物を液相から濾過し、水で入念に洗浄して、50℃のコンベクションオーブンで乾燥させる。
【0055】
b)合成は、2つの装入ホッパ、テフロン(登録商標)被覆スチール攪拌機、ガラスにジャケットをかぶせた温度計、蒸留冷却器およびボトムバルブを備えた、オイルサーモスタット付き20L二重ガラス反応器で行う。3.282kg(11.38mol)のステアリン酸をその反応器内で溶融させる。オイルサーモスタット内の温度は、160℃に設定する。854g(3.16mol)の塩化第二鉄(III)・六水和物を1383mLの水に溶解して、約1800mLの塩化第二鉄(III)水溶液を得る。装入ホッパの一方から溶融したステアリン酸を1分あたり10〜15mLの速度でその塩化第二鉄(III)溶液に添加する。塩化第二鉄(III)水溶液の添加は、蒸留水および塩化水素の量が、供給する塩化第二鉄(III)水溶液の量に相当するように調整する。他方の装入ホッパから3%過酸化水素水溶液の1分あたり2mLの添加は、その第二鉄(III)イオンの酸化レベル(III)の維持を確保する。その塩化第二鉄(III)水溶液の添加が完了したら、そのブレンドを沸騰させ、塩化第二鉄(III)水溶液の明確な黄色がもはや観察できなくなるまで3%過酸化水素水溶液を1分あたり5mLで継続的に添加しながら蒸留する。その後、そのステアリン酸鉄生成物をボトムバルブから20リットルの1%過酸化水素水溶液に吐き出させる。結果として起こるガスの発生がほぼ終了したら、そのステアリン酸生成物を液相から濾過し、水で入念に洗浄して、一切の塩化第二鉄(III)残留物を除去する。その後、そのステアリン酸鉄生成物を、45℃で2時間、分散棒により促進しながら1%過酸化水素水溶液に分散させる。分散されたステアリン酸鉄生成物を液相から濾過し、水で入念に洗浄して、50℃のコンベクションオーブンで乾燥させる。
【0056】
c)合成は、2つの装入ホッパ、テフロン(登録商標)被覆スチール攪拌機、ガラスにジャケットをかぶせた温度計、蒸留冷却器およびボトムバルブを備えた、オイルサーモスタット付き20L二重ガラス反応器で行う。2.970kg(10.44mol)のステアリン酸を、504mLのホワイトスピリット(Statoil、C8〜C2留分、芳香族含有)および354mLの水の存在下で、その反応器内で溶融させる。オイルサーモスタットの温度は、160℃に設定する。784g(2.90mol)の塩化第二鉄(III)・六水和物を1269mLの水に溶解して、約1800mLの塩化第二鉄(III)水溶液を得る。水/ホワイトスピリット共沸混合物の蒸留が開始したら、その塩化第二鉄(III)水溶液を、装入ホッパの一方から1分あたり10〜15mLの速度で添加する。塩化第二鉄(III)水溶液の添加は、蒸留水および塩化水素の量が、添加する塩化第二鉄(III)水溶液の量に相当するように調整する。他方の装入ホッパから3%過酸化水素水溶液の1分あたり2mLの添加により、その第二鉄(III)イオンの酸化レベル(III)の維持を確保する。塩化第二鉄(III)水溶液の添加が完了したら、そのブレンドを沸騰させ、塩化第二鉄(III)水溶液の明確な黄色がもはや観察できなくなるまで、およびホワイトスピリットがほぼ完全に蒸留除去されるまで、3%過酸化水素水溶液を1分あたり5mLで継続的に添加しながら蒸留する。その反応組成物を102℃に冷却し、2000kgのポリエチレンワックスを添加する。3%過酸化水素水溶液の添加(1分あたり2mL)中、その反応組成物を加熱し、160℃のオイルサーモスタット温度で10分間蒸留する。その後、反応組成物を102℃に冷却する。20リットルの1%過酸化水素水溶液を激しく攪拌しながら、その中に生成物をボトムバルブから吐き出させる。生成物を水で入念に洗浄し、50℃のコンベクションオーブンで乾燥させる。
【0057】
d)テトラヒドロフラン中の無水FeCl3(8.60g、0.059mol)とNa−O−tert−ブチル(8.6g、0.178mol)の塩排除反応によりFe(O−tert−ブチル)3を合成した。その反応混合物を60℃に加熱し、乾燥窒素雰囲気中で数時間攪拌した。沈殿したNaClを濾過によって除去した。真空乾燥および80℃、0.01mbarでの生成物の昇華によって、6.7gの純粋な結晶質[Fe(μ−O−tert−ブチル(O−t−ブチル)22を生じさせた。その生成物を85℃に加熱しながら窒素雰囲気中でステアリン酸(52.6g、0.185mol)と反応させた。そのかすかに黄色い生成物を、空気を追加しながら85℃で10分間攪拌して、脂溶性で極淡色の純粋な鉄化合物を生成させた。
2.鉄以外の金属に基づく脂溶性添加剤の合成
a)蒸留冷却器および装入ホッパを備えた100mL油浴加熱式ガラスフラスコ内で、四水酸化セリウム(4.16g、0.02mol)を、2−エチルへキサン酸(13.84g、0.096mol)および水15.1gと塩酸(37%)0.2gと過酸化水素(2%)0.3mLの組み合わせとともに加熱した。湯浴の温度を160℃に調整し、その混合物を、1mL/分の速度で2%過酸化水素溶液を継続的に添加しながら蒸留した。水の総添加量の80%より多くが蒸留除去されたとき、8gのポリエチレンワックスを添加した。生成物を加熱し、10分間蒸留し、攪拌しながら200mLの1%過酸化水素溶液に注入した。その生成物を洗浄し、濾過して、水で洗浄し、50℃で乾燥させた。
【0058】
b)蒸留冷却器および装入ホッパを備えた100mL油浴加熱式ガラスフラスコ内で、過マンガン酸カリウム(3.16g、0.02mol)を、2−エチルへキサン酸(13.84g、0.096mol)および水15.1gと硫酸0.76gの組み合わせとともに加熱した。湯浴を160℃に調整し、その混合物を、約1mL/分の速度で1%過酸化水素溶液を注意深く継続的に添加しながら蒸留した。添加した水の総量の80%より多くが蒸留除去され、過マンガン酸カリウムに特有の濃いすみれ色が消えたとき、6gのポリエチレンワックスを添加した。生成物を加熱し、10分間蒸留し、攪拌しながら200mLの1%過酸化水素溶液に注入した。その生成物を洗浄し、濾過して、水で洗浄し、50℃で乾燥させた。
3.ガードナー色数(ASTM 1544)
種々の脂溶性鉄化合物(製品)を用いて、ポリ(1−デケン)中の溶液を製造した。全ての溶液のガードナー色数をASTM 1544に従って判定した。結果を表2に示す。

【0059】
4.脂溶性鉄化合物中の鉄含量の分析
試薬溶液を調製した(この場合、その溶液の1000mLが、以下を含有する):
1,10−フェナントロリン 5.40g
硫酸ナトリウム 18.90g
リン酸二水素ナトリウム・一水和物 20.70g
エタノール 250mL
水を添加して1000mLにした。

実験1a)〜1c)からの脂溶性鉄製品約20mL、試薬溶液約25mLおよびキシレン約5mLを、10分間、還流させながら、および激しく攪拌しながら加熱した。その混合物は、濃い赤色に着色していた。その色の濃さは、鉄の濃度に依存する。その反応混合物の水相5mLを取り出し、遠心分離した。遠心分離後のこの水相の色の濃さを、ダイオードアレー検出器を備えたUV−VIS分光光度計(ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard) HP δ453)によって判定した。鉄含量は、硫酸第一鉄(II)、塩化第二鉄(III)およびステアリン酸第二鉄(II)(ABCR)の既知化合物を分析および比較することにより、重量パーセントで判定する。
【0060】
より良い比較のために、水相の一部または全部を濾過する。

【0061】
5.マスターバッチの製造:上記1.からの脂溶性鉄生成物およびエテン(eten)/オクテン(okten)コポリマー(LLDPE)の押出成形
1c)から得られる10%脂溶性鉄生成物を、二軸スクリュー押出機(クレキシトラル(Clextral))中、130℃、60〜70秒の滞留時間で、タイプ0230の90%LLDPE(エテン/オクテンコポリマー;エクソン(Exxon))と混ぜた。こうして製造されたマスターバッチは、むらのない淡褐色を有し、分解の徴候を示さない。
【0062】
同様に、商業用ポリマー添加剤およびLLDPEのマスターバッチを製造した。
【0063】
表3は、製造したマスターバッチの概要を示すものである。

【0064】
Irgafos XP 60は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(スイス、バーゼル)の製品であり、アリールベンゾフラノン安定剤[181314−48−7]33%およびホスファイト安定剤[26741−53−7]67%から成る。
【0065】
Irgafos HP 2215は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(スイス、バーゼル)の製品であり、ホスファイト安定剤[31570−04−4]57%、ヒンダードフェノール安定剤[6683−19−8]28%およびアリールベンゾフラノン安定剤[181314−48−7]15%を含む。
【0066】
Irganox B220は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(スイス、バーゼル)の製品であり、ホスファイト安定剤[31570−04−4]75%およびヒンダードフェノール安定剤[6683−19−8]25%から成る。
6.種々のポリマー品の製造
種々のポリマー品を、ポリエチレンホモポリマー品 HG−30MOおよびHC115MO(ノルウェー、Stathelleのボレアリス(Borealis))および表3のマスターバッチの押出成形によって製造した。このように製造したポリマー品(化合物)を表4に示す。

【0067】
加えて、実験1c)、2a)および2b)で製造した脂溶性金属化合物を基に、3つのポリマー化合物を製造した。製造したポリマー化合物は、表4bに示すとおり、脂溶性金属化合物1%およびPP−ホモポリマー(HE 125MO、ボレアリス社)99%から成る。

【0068】
7.引張強度試験のための試験プローブの製造
表4に挙げた種々の化合物を基に、ASTM D 3641に従って試験プローブを製造した。後に、この試験プローブを引張強度試験に使用した。
8.高温圧縮によるフィルムサンプルの製造
表4a中の幾つかの化合物を基に、高温圧縮によりフィルムサンプルをプレスした。これらのフィルムサンプルは、20〜40μm(マイクロメートル)の厚さを有した。加えて、表4bに挙げた全てのポリマー化合物を高温圧縮することにより、フィルムサンプルを製造した。これらのフィルムサンプルは、約100μmの厚さを有していた。
9.フォイルブロー成形によるフィルムサンプルの製造
a)(HE125MO中マスターバッチ10%として)PPホモポリマー(HE125MO、ボレアリス社)、LLDPE(FG5190、ボレアリス社)および実験1c)からの脂溶性鉄生成物の組み合わせを二軸押出機で配合し、造粒した。その粒質物を実験室用フィルムブローイング成形機でブロー成形してフィルムにした。酸化防止剤は、HE125MOおよびGF5190、それら自体に含まれているもの(フェノール/ホスファイトの組み合わせ少量)を除き、化合物に添加しなかった。二酸化チタンマスターバッチは、クンストッフテクニック・ノルジ社(Kunststoffteknikk Norge AS)から供給されたものであり、二酸化チタン(ルチル)60%およびPPホモポリマー40%を含むものであった。これらのフォイルは、30〜40μmの厚さを有した。表5は、製造したフィルム品を示すものである。

【0069】
b)同様に、HE125MO中の脂溶性鉄化合物(実験1c)からの10%鉄化合物)、PPホモポリマー(HE125MO)、LLDPE(FG5190)およびマスターバッチの他の添加剤をフィルムブローイング成形機に直接いれて乾燥処理することにより、30〜40μmの厚さを有するフォイルを造った。マスターバッチIrgafos XP 60−1からIrgafos XP 60−4は、FG5190中にそれぞれ8%、6%、4%および2%のIrgafos XP 60を含有していた。他の全てのマスターバッチは、5%の添加剤を含有した。Perkadox BC過酸化物を伴うマスターバッチでは、FG5190粒質物をPerkadox BCの溶液に含浸させた。このマスターバッチは、配合しなかった。

【0070】
特性付けおよび試験
a)引張サンプルおよびフォイルの促進老化
実施例7にあるとおり製造したプローブおよび実施例8に従って製造したフォイルをISO 4892−3に従って促進老化に付した。試験装置は、UVA 340蛍光電球を装備したAltas UVCONウェザオメータ(米国、アトラス社(Atlas Inc.))であった。試験サイクルは、60℃への乾燥加熱中の4時間のUV照射、10〜12℃で30分の水吹付けならびに40℃での3時間および30分の圧縮を含むものだった。
【0071】
b)UVCON暴露前および後の試験プローブについてのASTM D638に従う引張強度試験
「実施例7」にあるとおり調製し、「特性付けおよび試験a)」に記載したような促進老化に一部付した試験プローブを、ASTM D638の引張強度試験に付した。これらの試験の結果をE−モジュール[MPa]、最大引張強度[MPa]、および破断点伸び[%]として与える。表5aおよび表5bはその引張試験からの結果を示すものである。

【0072】

【0073】
表5aおよび5bに示した結果は、プラスチックの加工性およびポリマー材料の分解速度が、ポリマー組成、ポリマー添加剤(安定剤)のタイプおよび濃度、ならびに「実施例1」からの脂溶性添加剤の濃度の適便な選択により、充分に制御可能であることを示している。
【0074】
「実施例1a)」から得られる脂溶性鉄含有添加剤を含有する試験プローブについての破断点伸びは、26時間または48時間の促進老化後、既に極めて減少していることが、はっきりとわかる。「実施例1」からの脂溶性鉄含有添加剤を含有しない試験プローブは、同様の条件下での促進老化の前と後で破断点伸びの大きな差を示さない。上述の条件下での26時間または48時間の期間の促進老化は、極めて短い老化期間とみなされるはずである。従って、ステアリン酸鉄製品は、熱可塑性樹脂において非常に有効な分解触媒であると結論付けることができる。
【0075】
c)促進老化後および自然老化後の熱圧フィルムサンプル
20〜40μmの厚さの化合物#31の熱圧フィルムサンプルは、無着色、軟質であり、高い引張強度を有する。
【0076】
a)に記載したような促進老化の70時間後、そのフィルムサンプルは、淡黄色で脆性になってしまい、言及する価値のある引張強度を一切有さない。
【0077】
グルスケン、スンメーレ(ノルウェー)における太陽、空気および雨の影響下での5週間の自然老化後、そのフィルムサンプルは、脆性に変わり、分解し始めた。これは、a)に記載したような促進老化とノルウェーでのこの自然老化との間が12倍であることを意味し、それは共通促進係数とみなすことができる。
【0078】
加えて、表4bからの熱圧フィルムサンプルをa)に記載したような促進老化に付した。促進老化の27時間後、サンプルの延性および一般状態を、d)に記載するようなグレードで評定した。結果を表6に示す。

【0079】
その結果は、脂溶性金属化合物のために選択された特定の金属も分解時間に影響を与えうることを示している。
【0080】
d)ISO 4892による実験9からのフィルムサンプルの促進老化
実験9からのフィルムサンプルをa)に記載したような促進老化に付した。分解の進行を、簡単な試験でのフォイルの延性および状態を評定することにより、特性付けした。Atlas UVCONウェザオメータ(米国、アトラス社)付属の順応標準サンプルホルダに取り付けたサンプルの10cm上から、87.0グラムの重量および幅6.5mm、深さ1mmの方形先端を有するねじ回しを落とした。順応は、フォイルがそのサンプルホルダの金属プレートにくっつかないことを確保する3mm厚のポリエチレンボードに存するものであった。試験の延性および状態は、次のグレードに従って評定した:
1.フィルムサンプルが、ばらばらに壊れ、破片紛失
2.フィルムサンプルが、落下試験前に目に見えるひび割れを示す
3.フィルムサンプルが、10回の落下試験中、3回を超えてひび割れを示す
4.フィルムサンプルが、10回の落下試験中、3回未満ひび割れを示す
5.フィルムサンプルが、10回の落下試験後、一切ひび割れを示さない
結果を表7、表8および表9に示す。

【0081】

【0082】

【0083】
ISO4893−2による促進老化に付された熱可塑性樹脂組成物の分解時間は、脂溶性鉄化合物の添加量、他の添加剤のタイプおよび量、ならびに熱可塑性樹脂それ自体の組成を変えることによって高度に制御できることが、はっきりとわかる。従って、自然老化を受ける熱可塑性樹脂組成物の分解時間も高度に制御できると予想される。
【0084】
e)空気循環型コンベクションオーブンでの実験9からのフィルムサンプルの促進老化
実験9からの幾つかのフィルムサンプルを120℃の空気循環型コンベクションオーブンでの促進老化に付した。分解の進行を、d)に記載した簡単な試験によるフォイルの延性および状態を評定することにより、特性付けした。結果を表10および表11に示す。

【0085】

【0086】
空気循環型コンベクションオーブンでの促進老化に付した熱可塑性樹脂組成物の分解時間は、脂溶性鉄化合物の添加量、他の添加剤のタイプおよび量、ならびに熱可塑性樹脂それ自体の組成を変えることによって高度に制御できることがはっきりと示されている。従って、自然老化を受ける熱可塑性樹脂組成物の分解時間も高度に制御できると予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最も安定した酸化状態の金属塩とC8〜C24の脂肪酸またはC8〜C24の脂肪酸誘導体とを、適便な酸化剤により最終生成物中の金属の全てがその最高の酸化状態のままであることが確保されるプロセスで、脂溶性金属化合物および少なくとも1つの揮発性反応生成物を生成させながら反応させることを特徴とする、フィルムブローイング成形、押出し成形および射出成形のような通常の加工法が可能でないほど速くは分解しない分解制御可能な極淡色の熱可塑性樹脂を提供する添加剤の製造方法。
【請求項2】
前記酸化剤が、過酸化水素を含み、例えば0.1〜5%過酸化水素水溶液から成ることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化剤が、有機過酸化物およびヒドロペルオキシドを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸化剤が、空気または酸素富化空気を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属塩が、塩化物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記C8〜C24の脂肪酸またはC8〜C24の脂肪酸誘導体を金属塩に対して化学量的に過剰、例えば20%過剰で添加することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記脂溶性金属化合物を過酸化水素の水溶液で洗浄して一切の未反応金属塩残留物を除去し、35〜55℃で1から3時間、過酸化水素の希釈水溶液に分散させ、水で洗浄し、コンベクションオーブンで乾燥させることを特徴とする、請求項1〜2または5〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記C8〜C24脂肪酸またはC8〜C24脂肪酸誘導体が、ステアリン酸であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
固体塊に前記生成物を結合させるために何らかのワックスの添加を含み、それによってダストを放出しないことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記揮発性反応生成物および/または反応体を共沸蒸留により除去することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記金属塩が、最高酸化状態が3である鉄塩であることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項により定義されるように調製された添加剤であることを特徴とする、熱可塑性樹脂および油などの製品の分解時間を制御するための添加剤。
【請求項13】
特定の用途に合わせて製造されたマスターバッチの幾つかの成分のうちの1つとして含まれることを特徴とする、請求項12に記載の添加剤。
【請求項14】
熱可塑性樹脂またはそれらのブレンド用の酸化防止剤、ラジカルスカベンジャー、UV吸収剤、アミン、過酸化物および/もしくは過酸化物形成物質の中から選択されるそれ自体知られている少なくとも1種の添加剤と熱可塑性樹脂との併用における請求項12または請求項13に記載の添加剤の使用。
【請求項15】
前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンとポリプロピレンとのあらゆる組み合わせである、請求項12に記載の使用。
【請求項16】
前記それ自体知られている添加剤(1つまたは複数)のタイプおよび量が、実際の熱可塑性材料または熱可塑性材料のブレンドにとって望ましい分解時間が達成されるようにそれぞれ選択および適応される、請求項14または15に記載の使用。
【請求項17】
前記それ自体知られている添加剤が、Sanduvor PR25、Chimassorb 81、Cyasorb UV 5911、Tinuvin 326およびTinuvin 1577の中から選択される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記それ自体知られている添加剤が、熱可塑性材料または熱可塑性材料のブレンドの0.03から10重量%、好ましくは0.05から0.5重量%の相対量で存在する、請求項14〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
請求項9に記載の添加剤を、熱可塑性材料に対して少なくとも0.03重量%の量で、それ自体知られている酸化防止剤と共に熱可塑性材料に添加することを特徴とする、フィルムブローイング成形、押出成形および/または射出成形することができ、しかも光の影響下で1年未満で分解しうる極淡色の熱可塑性材料の製造方法。
【請求項20】
光の影響下でのその分解時間に加えて、製造される熱可塑性樹脂の加工性制御するために、前記添加剤の量を、選択した酸化防止剤のタイプまたは量に適応させることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記添加剤が、ステアリン酸第二鉄(III)であること、およびそれを熱可塑性材料に対して少なくとも0.1重量%の量で添加することを特徴とする、請求項19〜20に記載の方法。
【請求項22】
脂肪族炭化水素、例えばポリ(1−デケン)中のステアリン酸第二鉄(III)の0.5重量%溶液が、4または4未満であるASTM 1544に従ったガードナー色数を有することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記酸化防止剤が、ホスファイト、チオ相乗剤、CH−酸ラジカルスカベンジャーおよびフェノール性酸化防止剤のような、いわゆるプロセス安定剤の中から選択されることを特徴とする、請求項19〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記製造が、押出機などでの配合を含むことを特徴とする、請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
請求項19〜21(請求項19〜24であるはず)のいずれか一項に従って製造されることを特徴とする、フィルムブローイング成形、押出成形および/または射出成形することができ、それにもかかわらず光の影響下で1年未満で分解する極淡色の熱可塑性材料。

【公表番号】特表2006−524284(P2006−524284A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507894(P2006−507894)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/NO2004/000114
【国際公開番号】WO2004/094516
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505396095)
【Fターム(参考)】