説明

熱源検知装置

【課題】作動試験を簡易に行なうことができると共に装置の小型化が可能な熱源検知装置を得る。
【解決手段】赤外線を検出する焦電素子3と、焦電素子3に入射する赤外線を断続させるチョッパ7と、チョッパ7及び焦電素子3を収納すると共に赤外線入射窓11を有する筐体13とを備えた熱源検知装置1において、筐体13内に熱源検知装置1の作動確認に使用する模擬熱源15を設けると共に、チョッパ7における焦電素子3に対向する面を赤外線が反射する反射面とし、模擬熱源15が発する赤外線が焦電素子3に断続的に入射するように構成されていることを特徴とする熱源検知装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を検出する焦電素子を有し、該焦電素子に入射する赤外線を断続させるチョッパを備えた熱源検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱源が発する赤外線を検知することで熱源の存在を検知する熱源検知装置の一態様として、火災時に発生する火源を検知する火源検知装置が知られている。
このような火源検知装置には、赤外線センサが使用され、監視領域から赤外線センサに入射される赤外線の光量に応じて、火源の発生の有無、火源の温度等を検出するようにしている。
【0003】
赤外線センサの一態様として、焦電素子を用いた焦電型赤外線センサ(以下、単に「焦電センサ」という)がある。焦電センサは、焦電素子の焦電効果により、入射した赤外線量に応じた温度変化が焦電素子に生じ、その信号を素子両面に配設された電極から取り出し、対象物の有無や温度等として検出している。この焦電センサは、微分型変化出力特性を有しており、入射する赤外線量が変化した時のみ出力を発生するので、検知対象物に瞬時の温度変化が無いような場合には、焦電センサ自身で入射赤外線の変化を生じさせるためのチョッピング機構が必要となる。
【0004】
チョッピング機構を有する焦電センサの一般的な構成を図8に示す。被測定物が発した赤外線は、赤外線レンズ63によって集光され焦電素子65に照射される。焦電素子65の手前にはチョッパ67が配設されており、チョッパ67はチョッパ駆動用のモータ69によって回転駆動され、焦電素子65に入射する赤外線を断続的に遮断する。焦電素子65は入射する赤外線の変化量の応じた信号を出力し、この信号が図示しない信号取り出し用リード線等を通じて信号増幅器や信号処理回路等に入力され、対象物の有無や温度等として検出している。
【0005】
このような焦電センサ61を用いた火源検知装置は建物などの監視領域に設置され、常時監視を行なうものであるが、定期的に正常に作動するかどうかを試験する必要がある。
試験方法の一般的なものとしては、図9(a)に示すように、模擬熱源71を作業者が焦電素子65の光軸上にかざして行なう方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、焦電センサ61が消火装置の一部品として消火装置内に組み込まれたようなものでは、図9(b)に示すように、消火装置全体を覆うボックス73内であって焦電センサ61の筐体の外側に模擬熱源71を設置して、焦電センサ61における赤外線入射窓が模擬熱源71に対向する位置まで回動等の動作を行なわせて検査する方法がある。
(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−28375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、作業者が模擬熱源71を焦電センサ61にかざすような態様では、特に試験回数が多い場合などは煩雑である。
また、模擬熱源71を消火装置のボックス73内に設置して行なう態様においても以下のような課題がある。
ボックス73内に設置される模擬熱源71としては、例えばハロゲンヒータやハロゲンランプが用いられるが、ボックス73内に設置するとしても、焦電素子65との間には所定の距離があるため、その距離に見合った強さの赤外線を発する模擬熱源が必要になる。
また、模擬熱源71と焦電素子65との間にある程度の距離があるため、焦電素子65の視野が広がり、その視野をカバーする大きさの熱源が必要になる。さらに、試験のために焦電センサ61を回動させるための仕組みが必要になる。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、作動試験を簡易に行なうことができると共に装置の小型化が可能な熱源検知装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る熱源検知装置は、赤外線を検出する焦電素子と、該焦電素子に入射する赤外線を断続させるチョッパと、該チョッパ及び前記焦電素子を収納すると共に赤外線入射窓を有する筐体とを備えたものにおいて、前記筐体内に熱源検知装置の作動確認に使用する模擬熱源を設けると共に、前記チョッパにおける前記焦電素子に対向する面を赤外線が反射する反射面とし、前記模擬熱源が発する赤外線が前記焦電素子に断続的に入射するように構成されていることを特徴とするものである。
なお、模擬熱源が発する赤外線が焦電素子に入射する態様としては、チョッパの反射面で反射して入射する態様であってもよいし、チョッパに反射することなく焦電素子に入射するような態様であってもよい。
【0009】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、チョッパの回転軸を傾斜させることにより模擬熱源が発する赤外線が焦電素子に断続的に入射するように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
(3)また、上記(1)に記載のものにおいて、チョッパにおける反射面となる面側に傾斜面を形成することにより模擬熱源が発する赤外線が焦電素子に断続的に入射するように構成されていることを特徴とするものである。
なお、傾斜面を形成する方法としては、チョッパにおける傾斜面を形成する側に反射機能を有しかつ傾斜面となる別部材を貼り付けようにしてもよいし、あるいはチョッパ自体を湾曲させるようにしてもよい。
【0011】
(4)また、上記(1)〜(3)に記載のものにおいて、焦電素子を2個有し、チョッパの両面を赤外線が反射する反射面とし、模擬熱源が発する赤外線が前記焦電素子に断続的に入射するよう構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、筐体内に熱源検知装置の作動確認に使用する模擬熱源を設けると共に、チョッパにおける焦電素子に対向する面を赤外線が反射する反射面とし、模擬熱源が発する赤外線が焦電素子に断続的に入射するように構成したので、模擬熱源を別途準備して火源検知装置における赤外線入射窓にかざすといった煩雑な作業の必要がない。
また、模擬熱源をチョッパ等が収納される筐体内に配置するようにしたので、例えば消火装置の消火ボックス内に設置した場合のように、大型の模擬熱源を設置したり、作動試験に際して火源検知装置を模擬熱源側に回動したりすることが不用になる。
また、模擬熱源を筐体内で焦電素子に近接して配置できるので、焦電素子の視野が狭くなり、模擬熱源を小型化できる。さらに、模擬熱源が焦電素子に近接配置できるので熱源としての出力も小さくてよくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施の形態1]
図1は本発明の熱源検知装置の一実施の形態としての火源検知装置の説明図である。本実施の形態に係る火源検知装置1は、赤外線を検出する焦電素子3と、焦電素子3に入射する赤外線を集光する赤外線レンズ5と、焦電素子3に入射する赤外線を断続させるチョッパ7と、チョッパ7を回転させるモータ9と、焦電素子3、赤外線レンズ5、チョッパ7及びモータ9を収納すると共に赤外線入射窓11を有する筐体13と、筐体13内に設置された模擬熱源15とを有し、チョッパ7における焦電素子3に対向する面を赤外線が反射する反射面とし、模擬熱源15から発する赤外線がチョッパ7に反射して焦電素子3に断続的に入射するようにしたものである。
以下、各構成を詳細に説明する。
【0014】
<焦電素子>
焦電素子3は入射する赤外線の変化量に応じた信号を出力し、この信号が図示しない信号取り出し用リード線等を通じて信号増幅器や信号処理回路等に入力され、対象物の有無や温度等として検出する。
【0015】
<チョッパ>
チョッパ7はモータ9によって回転駆動されて焦電素子3に入射する赤外線を断続させる。
チョッパ7は、円形の板状体からなり、その半円部分で径が異なっている。つまり、半分は大径部7aで残りの半円部は小径部7bとなっている。
また、チョッパ7は、図1(a)に示すように、回転軸が傾斜しており、大径部7aが焦電素子3に対する赤外線の入射経路側にあるときは、模擬熱源15が発する赤外線を反射して焦電素子3に入射させる。
他方、図1(b)に示すように、チョッパ7の小径部7bが焦電素子3に対する赤外線の入射経路側にあるときは、模擬熱源15から発せられる赤外線はチョッパ7に反射されることなく、焦電素子3には入射しない。
このように、チョッパ7を回転させることによって模擬熱源15から発する赤外線が焦電素子3に断続的に入射する。
【0016】
<筐体>
筐体13は、焦電素子3、赤外線レンズ5、チョッパ7、モータ9を収容すると共に筐体外部の赤外線を筐体内に取り込むための赤外線入射窓11を有している。
火源検知装置1の作動検査を行なう際には、通常、筐体13は暗闇となるボックス内に収容される。例えば、後述する消火装置の消火ボックス内に収容される。
なお、火源検知装置1の筐体13を明るい場所に設置した状態で作動検査を行なうことも可能であるが、この場合には赤外線入射窓11にシャッターを設け、外光が筐体内に入らないようにするのが望ましい。
【0017】
<模擬熱源>
模擬熱源15とは、動作確認のための仮の熱源となるものである。模擬熱源15の例としては、ハロゲンランプ、シリコンラバーヒータなどがある。なお、赤外線を焦電素子3に確実に入射させるために、模擬熱源15の背面(焦電素子3から遠い側の面)に反射板を設けて模擬熱源15から発する赤外線に指向性を持たせるようにするのが望ましい。
【0018】
<その他の構成>
模擬熱源15、焦電素子3、モータ9は図示しない制御装置に電気的に接続されており、制御装置の制御信号により、それぞれの動作が制御される。
つまり、制御装置の試験開始信号によって、模擬熱源15としての例えばハロゲンランプが点灯し、モータ9が駆動してチョッパ7が回転する。そして、焦電素子3にはチョッパ7の回転に伴う断続的な赤外線の入射を受けて、検出信号を出力し、この検出信号が解析されることで焦電素子3の正常、異常が判断される。
【0019】
上記のように構成された本実施の形態の動作を説明する。
本実施の形態に係る火源検知装置1における作動試験は以下のように行なう。まず、赤外線が入射しない不作動状態において正常かどうかの確認を行なう。この不作動状態における作動確認は、赤外線入射窓11から光が入らないようにし、かつ模擬熱源15へ通電をしない状態において、焦電素子3の出力が所定の値以下であるか否かを確認する。この確認動作において、焦電素子3の出力が所定の値以下の場合には、この状態での確認においては正常と判断する。他方、焦電素子3の出力が所定の値を超えているときには異常と判断する。
【0020】
次に、作動状態での動作確認を行なう。作動状態での動作確認は、模擬熱源15に通電してハロゲンランプを点灯し、モータ9によってチョッパ7を回転しながら焦電素子3の出力を確認して、この出力が所定の値以上であるかどうかを判定する。所定の値以上であれば、正常であると判断し、所定の値よりも小さい場合には異常と判断する。
正常、異常の判断結果は図示しない監視盤等に出力される。
【0021】
次に、上記のように構成された火源検査装置を消火装置に搭載した場合の態様について説明する。
図2は火源検査装置を搭載した消火装置の平面図、図3は扉を開けた状態の正面図、図4は扉を閉めた状態の正面図、図5は消火装置の制御部の説明図である。
まず、図2〜図5に基づいて消火装置の基本構成について説明する。
消火装置17を構成する機器を収容する消火ボックス19は正面方形状に形成され、その前面には中央部が前方に突出する山形状の扉21が設置されている。
この扉21は開閉しない固定扉21aと、回転により開閉する回転扉21bとから構成されている。そして、図3に示すように、消火ボックス19における固定扉21aの内側には、小歯車23を有する旋回モータ25と、小歯車23に噛み合う歯車27を有する回転支持軸29と、回転支持軸29の回転角度を計測するエンコーダ31と、旋回モータ25などをコントロールする制御ユニット33と、制御ユニット33や旋回モータ25に電源を供給する電源ユニット35と、が収納されている。
【0022】
消火ボックス19における回転扉21bの内側には、可動式放水ヘッド37が設けられ、可動式放水ヘッド37は、図示しない回転管継手を介して給水フランジ39に接続されている。また、回転管継手の2次側のエルボには、回転支持軸29が回転管継手と同軸に立設されている。
可動式放水ヘッド37には、上述した本実施の形態に係る火源検知装置1と、炎特有のCO2共鳴放射と揺らぎを検出することにより炎判断を行う炎検知装置41が固定されている。
なお、火源検知装置1は、その筐体が断面方形状のケースからなり、大まかな火源方向を特定するために用いられる。
【0023】
制御ユニット33には、図5に示すように、消火装置17の動作を制御する制御部43が設けられており、この制御部43には、インターフェース45を介して火源検知装置1の信号及び炎検知装置41の信号が入力され、また、エンコーダ31に接続されたカウンタ47の信号及びモータを制御するモータドライバ49の信号が入力される。
制御部43は中央制御盤51に接続されており、制御部43で行なわれた作動試験結果などを中央制御盤51に送信できるようになっている。
【0024】
次に、上記のように構成された消火装置17の作動について説明する。
通常の監視状態においては、前述の火源検知装置1の動作説明で述べたような作動試験が行なわれる。すなわち、回転扉21bを閉じた状態で、制御部43からの制御信号により、不作動状態における焦電素子が正常かどうかの試験が行なわれる。正常、異常の信号は信号が中央制御盤51に送信される。
不作動状態において正常であった場合には、作動状態での試験が行なわれる。つまり、模擬熱源に通電してハロゲンランプを点灯し、モータによってチョッパを回転しながら焦電素子の出力を確認して、この出力が所定の値以上であるかどうかを確認する。所定の値以上であれば、正常であると判断し、所定の値よりも小さい場合には異常と判断する。正常、異常の判断結果は中央制御盤51に出力される。
【0025】
このように、本実施の形態の火源検知装置1を消火装置17に搭載した場合には、消火ボックス19内に大型の模擬熱源を設ける必要がなく、また作動試験に際して、火源検知装置1を含む回転支持軸29を回動して模擬火源に向けるという動作が不要になる。
【0026】
次に火災発生時の動作について説明する。
図示しない自動火災報知設備の煙感知器が火災を検出し、中央制御盤51に火災信号を出力すると、該中央制御盤51は火災を感知した煙感知器に対応する監視領域にある消火装置17を選択し、その消火装置17の制御部43に起動命令を発する。
起動命令を受けた制御部43は炎検知装置41及び火源検知装置を始動させると共に、旋回モータ25を駆動させ、可動式放水ヘッド37を回転させ、火源検知装置1を火源探査開始位置に移動させる。
【0027】
次に、制御部43の指示により、火源検知装置による火源探査が開始される。そして、火源検知装置が熱源を検出すると、その検出位置はエンコーダ31により計測され、計測結果が制御部43に送信される。制御部43は熱源の位置となる回動角度を算出するとともに、記憶する。
【0028】
制御部43の指示により、可動式放水ヘッド37を再び旋回させ、検出した熱源に炎検知装置を指向させ、所定時間内に炎検知装置が炎検知したか否かが判断される。炎検知装置は所定時間炎検知し、炎特有のCO2共鳴放射と揺らぎを検出すると火源確定する。
火源が確定されると、制御部43は、可動式放水ヘッド37を所定角度旋回させ、火源確定させた熱源方向に指向させ、可動式放水ヘッド37から消火水が放出される。
【0029】
火源が消滅し人手により、中央制御盤51で復旧操作を行うと、制御部43に復旧信号が発せられる。制御部43がその復旧信号を受信すると、可動式放水ヘッド37からの放水は停止され、消火作業は終了する。
その後、制御部43の指示により可動式放水ヘッド37は旋回して、起動前の位置に戻り回転扉21bは閉じられ、格納状態に復帰する。
【0030】
以上のように、本実施の形態においては、筐体13内に模擬熱源15を配置し、チョッパ7のセンサ対向面を反射面としてこの反射面を利用してセンサの試験を行なうようにしたので、以下のような効果を奏する。
模擬熱源を別途準備して火源検知装置1における赤外線入射窓11にかざすといった煩雑な作業の必要がない。
また、模擬熱源を所定のボックス、例えば消火装置の消火ボックス内に設置した場合のように、大型の模擬熱源を設置したり、作動試験に際して火源検知装置を模擬熱源側に回動したりすることが不用になる。
また、本実施の形態においては、模擬熱源15を筐体13内で焦電素子3に近接して配置できるので、焦電素子3の視野が狭くでき、模擬熱源15を小型化できる。さらに、模擬熱源が焦電素子3に近接配置しているので熱源としての出力も小さくてよい。
【0031】
なお、上記の実施の形態においては、チョッパ7における焦電素子3に対向する面(但し、この場合は赤外線入射窓11と反対側の面)を反射面として模擬熱源15から発する赤外線がチョッパ7によって反射されて焦電素子3に断続的に入射するようにした例を示した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、図6に示すように、焦電素子3をチョッパ面に対して赤外線入射窓11と同じ側に配置し、チョッパ7における赤外線入射窓11側の面を、赤外線を反射できる反射面とし、赤外線入射窓11から入射する赤外線がチョッパ7によって反射されて焦電素子3に断続的に入射するようにしてもよい。
この場合には、模擬熱源15から発する赤外線はチョッパ7によって反射されることなく、直接焦電素子3に入射する。
【0032】
つまり、この場合には、図6(a)に示すように、大径部7aが焦電素子3に対する赤外線の入射経路側にあるときは、模擬熱源15が発する赤外線は、焦電素子3に入射されない。
他方、図6(b)に示すように、チョッパ7の小径部7bが焦電素子3に対する赤外線の入射経路側にあるときは、模擬熱源15から発せられる赤外線はチョッパ7に反射されることなく、焦電素子3に入射する。
このように、図6に示す例でも、模擬熱源15から発する赤外線がチョッパ7によって焦電素子3に断続的に入射する構成とできる。
なお、図6に示す例でも、チョッパ7における焦電素子3に対向する面を反射面としているという点においては、図1の場合と同じである。
【0033】
[実施の形態2]
図7は本発明の実施の形態2の説明図であり、実施の形態1と同一部分には同一の符号を付してある。本実施の形態においては、チョッパ7の両面を、赤外線を反射できる反射面にすると共に実施の形態1の図1と図6に示した2箇所に焦電素子3を配置したものである。
異なる波長の赤外線を検出する2個の焦電素子3を一つの熱源検知装置に組み入れる場合もあるが、本実施の形態によれば、このような場合にも、単一の模擬熱源15によって2つの焦電素子3の作動試験を行なうことができる。
【0034】
なお、上記の実施の形態においては、筐体13内に配置した模擬熱源15の赤外線をチョッパ7によって断続的に焦電素子3に入射させるための態様として、チョッパ7の回転軸を傾斜させたものを示したが、本発明はこれに限られるものではなく、チョッパ7における反射面となる面側に傾斜面を形成することにより模擬熱源15が発する赤外線が焦電素子3に断続的に入射するようにしてもよい。傾斜面を形成する方法としては、チョッパ7における傾斜面を形成する側に反射機能を有しかつ傾斜面となる別部材を貼り付けようにしてもよいし、あるいはチョッパ自体を湾曲させるようにしてもよい。
【0035】
また、本発明の熱源検知装置は上記実施の形態1,2に示した火源検知装置に限られるものではなく、広く赤外線を発する熱源を検知する装置を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態に係る火源検知装置の説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る火源検知装置を搭載した消火装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る火源検知装置を搭載した消火装置の開扉状態の正面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る火源検知装置を搭載した消火装置の閉扉状態の正面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る火源検知装置を搭載した消火装置の制御装置の説明図である。
【図6】図1に示した熱源検知装置の他の態様の説明図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る火源検知装置の説明図である。
【図8】一般的な焦電センサの説明図である。
【図9】従来の作動試験方法の説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 火源検知装置
3 焦電素子
5 赤外線レンズ
7 チョッパ
9 モータ
11 赤外線入射窓
13 筐体
15 模擬熱源
17 消火装置
19 消火ボックス
21 扉
21a 固定扉
21b 回転扉
23 小歯車
25 旋回モータ
27 歯車
29 回転支持軸
31 エンコーダ
33 制御ユニット
35 電源ユニット
37 可動式放水ヘッド
39 給水フランジ
41 炎検知装置
43 制御部
45 インターフェース
47 カウンタ
49 モータドライバ
51 中央制御盤
61 焦電センサ
63 赤外線レンズ
65 焦電素子
67 チョッパ
69 モータ
71 模擬熱源
73 ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線を検出する焦電素子と、該焦電素子に入射する赤外線を断続させるチョッパと、該チョッパ及び前記焦電素子を収納すると共に赤外線入射窓を有する筐体とを備えた熱源検知装置において、
前記筐体内に熱源検知装置の作動確認に使用する模擬熱源を設けると共に、前記チョッパにおける前記焦電素子に対向する面を赤外線が反射する反射面とし、前記模擬熱源が発する赤外線が前記焦電素子に断続的に入射するように構成されていることを特徴とする熱源検知装置。
【請求項2】
チョッパの回転軸を傾斜させることにより模擬熱源が発する赤外線が焦電素子に断続的に入射するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の熱源検知装置。
【請求項3】
チョッパにおける反射面となる面側に傾斜面を形成することにより模擬熱源が発する赤外線が焦電素子に断続的に入射するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の熱源検知装置。
【請求項4】
焦電素子を2個有し、チョッパの両面を赤外線が反射する反射面とし、模擬熱源が発する赤外線が前記焦電素子に断続的に入射するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱源検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−79829(P2010−79829A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250351(P2008−250351)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】