説明

燃料ホースの接続装置

【課題】接続手段の接続時に燃料が噴出してしまうのを防止することができる燃料ホースの接続装置を提供する。
【解決手段】燃料ホースの先端に形成された第1接続手段1と、第1シール手段3と、燃料導入口又は燃料導出口に形成された第2接続手段6と、第2シール手段8と、流通開口2a、7aとを具備し、第1接続手段1と第2接続手段6とを接続させて燃料を流通可能とされた燃料ホースの接続装置において、第1シール手段3又は第2シール手段8によるシールが維持された状態で、第1シール手段3又は第2シール手段8との間で流通開口2a、7aを含む空間をシールして密閉空間を形成する第3シール手段(4、5)を具備し、当該第3シール手段(4、5)によるシールがなされた後、第1シール手段3及び第2シール手段8のシールが解かれるよう構成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ホースの先端に形成された第1接続手段と燃料が供給される搭乗手段の駆動手段における燃料導入口又は燃料タンクの燃料導出口に形成された第2接続手段とを接続させて、燃料タンクの燃料を流通可能とされた燃料ホースの接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型船舶等に取り付けられた船外機には、通常、燃料を導入してエンジンに供給可能な燃料導入口が形成されており、燃料タンクから延設された燃料ホースの先端を燃料導入口に接続させることにより、当該燃料タンク内の燃料を船外機に供給可能とされている。一方、燃料タンクには燃料導出口が形成されており、燃料ホースの先端(燃料導入口側に接続される先端とは反対側の先端)には、当該燃料導出口に接続可能な接続手段が形成されている。
【0003】
そして、燃料ホースの先端及び燃料導入口又は燃料導出口のそれぞれには、シール手段を具備した接続手段が形成されており、それら接続手段を接続させることにより、燃料ホース先端を燃料導入口又は燃料導出口に接続可能とされている。しかして、このような接続手段により燃料ホースの接続装置が構成されている。なお、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の燃料ホースの接続装置においては、例えば船外機や燃料タンク内が高圧になっていると、燃料ホース先端に形成された接続手段を燃料導入口又は燃料導出口に接続させる際、或いは接続手段を燃料導入口又は燃料導出口から離脱させる際、燃料が噴出してしまう可能性があった。すなわち、接続手段の接続時においては、両接続手段のそれぞれに形成されたシール手段のシールが解かれることから、燃料に高い圧力がかかっていると、接続時又は離脱時に当該燃料が噴出してしまう虞があるのである。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、接続手段の接続時又は離脱時に燃料が噴出してしまうのを防止することができる燃料ホースの接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、燃料ホースの先端に形成された第1接続手段と、該第1接続手段に形成され、前記燃料ホースの先端を閉止してシールする第1シール手段と、燃料が供給される搭乗手段の駆動手段における燃料導入口又は燃料タンクにおける燃料導出口に形成され、前記第1接続手段と接続可能な第2接続手段と、該第2接続手段に形成され、前記燃料供給口を閉止してシールする第2シール手段と、前記第1接続手段と第2接続手段とが接続された状態で燃料を流通させ得る流通開口とを具備し、前記第1接続手段と第2接続手段とを接続させて、前記第1シール手段及び第2シール手段のシールを解き、燃料を流通可能とされた燃料ホースの接続装置において、前記第1接続手段と第2接続手段との接続過程であって前記第1シール手段又は第2シール手段によるシールが維持された状態で、前記第1シール手段又は第2シール手段との間で前記流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成する第3シール手段を具備し、当該第3シール手段によるシールがなされた後、前記第1シール手段及び第2シール手段のシールが解かれるよう構成されたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃料ホースの接続装置において、前記流通開口は、前記第1接続手段に形成された第1流通開口と、前記第2接続手段に形成された第2流通開口とから成るとともに、前記第3シール手段は、前記第1シール手段との間で前記第1流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成し得る燃料ホース側シール手段と、第2シール手段との間で前記第2流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成し得る非燃料ホース側シール手段とを有して成ることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の燃料ホースの接続装置において、前記燃料ホース側シール手段及び非燃料ホース側シール手段によるシールがなされた後、前記第1シール手段及び第2シール手段のシールが同時に解かれるよう構成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の燃料ホースの接続装置において、前記第1接続手段と第2接続手段との接続過程で長手方向に移動して前記第1シール手段及び第2シール手段のシールを解くことが可能な軸状の押圧部材を具備し、且つ、前記第3シール手段によるシールがなされた後、当該押圧部材が移動して前記第1シール手段又は第2シール手段のシールを解くよう構成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、燃料ホースの先端に形成された第1接続手段と、該第1接続手段に形成され、前記燃料ホースの先端を閉止してシールする第1シール手段と、燃料が供給される搭乗手段の駆動手段における燃料導入口又は燃料タンクにおける燃料導出口に形成され、前記第1接続手段と接続可能な第2接続手段と、該第2接続手段に形成され、前記燃料供給口を閉止してシールする第2シール手段と、前記第1接続手段と第2接続手段とが接続された状態で燃料を流通させ得る流通開口とを具備し、前記第1接続手段と第2接続手段とを接続させて、前記第1シール手段及び第2シール手段のシールを解き、燃料を流通可能とされた燃料ホースの接続装置において、前記第1接続手段と第2接続手段との離脱過程であって前記第1シール手段又は第2シール手段によるシールがなされた状態で、前記第1シール手段又は第2シール手段との間で前記流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成する第3シール手段を具備し、前記第1シール手段及び第2シール手段によるシールがなされて当該第3シール手段との間で前記密閉空間が形成された後、前記第1接続手段と第2接続手段とが離脱されるよう構成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の燃料ホースの接続装置において、前記流通開口は、前記第1接続手段に形成された第1流通開口と、前記第2接続手段に形成された第2流通開口とから成るとともに、前記第3シール手段は、前記第1シール手段との間で前記第1流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成し得る燃料ホース側シール手段と、第2シール手段との間で前記第2流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成し得る非燃料ホース側シール手段とを有して成ることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の燃料ホースの接続装置において、前記第1シール手段及び第2シール手段のシールが同時になされて前記燃料ホース側シール手段及び非燃料ホース側シール手段との間で密閉空間が同時に形成された後、前記第1接続手段と第2接続手段とが離脱されるよう構成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項5記載の燃料ホースの接続装置において、前記第1接続手段と第2接続手段との離脱過程で長手方向に移動して前記第1シール手段及び第2シール手段のシールをなすことが可能な軸状の押圧部材を具備し、且つ、当該押圧部材が移動して前記第1シール手段又は第2シール手段のシールがなされて前記第3シール手段との間で密閉空間が形成された後、前記第1接続手段と第2接続手段とが離脱されるよう構成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8の何れか1つに記載の燃料ホースの接続装置において、前記第1接続手段と第2接続手段とが接続された状態をロックするロック手段を具備するとともに、当該ロック手段は、当該第1接続手段を第2接続手段に対して回転させることによりロック可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、第1接続手段と第2接続手段との接続過程であって第1シール手段又は第2シール手段によるシールが維持された状態で、第1シール手段又は第2シール手段との間で流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成する第3シール手段を具備し、当該第3シール手段によるシールがなされた後、第1シール手段及び第2シール手段のシールが解かれるので、接続手段の接続時に燃料が噴出してしまうのを防止することができる。
【0016】
請求項2、6の発明によれば、流通開口は、第1接続手段に形成された第1流通開口と、第2接続手段に形成された第2流通開口とから成るとともに、第3シール手段は、第1シール手段との間で第1流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成し得る燃料ホース側シール手段と、第2シール手段との間で第2流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成し得る非燃料ホース側シール手段とを有して成るので、流通開口が第1接続手段及び第2接続手段の双方に形成されたものに容易に適用できる。
【0017】
請求項3の発明によれば、燃料ホース側シール手段及び非燃料ホース側シール手段によるシールがなされた後、第1シール手段及び第2シール手段のシールが同時に解かれるので、流通開口が第1接続手段及び第2接続手段の双方に形成されたものに容易に適用できるとともに、接続手段の接続時に第1シール手段及び第2シール手段の何れか一方に過度な負荷が付与されてしまうのを回避することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、第1接続手段と第2接続手段との接続過程で長手方向に移動して第1シール手段及び第2シール手段のシールを解くことが可能な軸状の押圧部材を具備し、且つ、第3シール手段によるシールがなされた後、当該押圧部材が移動して第1シール手段又は第2シール手段のシールを解くよう構成されたので、押圧部材を有した既存の燃料ホースの接続装置に容易に適用することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、第1接続手段と第2接続手段との離脱過程であって第1シール手段又は第2シール手段によるシールがなされた状態で、第1シール手段又は第2シール手段との間で流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成する第3シール手段を具備し、第1シール手段及び第2シール手段によるシールがなされて当該第3シール手段との間で密閉空間が形成された後、第1接続手段と第2接続手段とが離脱されるので、接続手段の離脱時に燃料が噴出してしまうのを防止することができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、第1シール手段及び第2シール手段のシールが同時になされて燃料ホース側シール手段及び非燃料ホース側シール手段との間で密閉空間が同時に形成された後、第1接続手段と第2接続手段とが離脱されるので、流通開口が第1接続手段及び第2接続手段の双方に形成されたものに容易に適用できるとともに、接続手段の離脱時に第1シール手段及び第2シール手段の何れか一方に過度な負荷が付与されてしまうのを回避することができる。
【0021】
請求項8の発明によれば、第1接続手段と第2接続手段との離脱過程で長手方向に移動して第1シール手段及び第2シール手段のシールをなすことが可能な軸状の押圧部材を具備し、且つ、当該押圧部材が移動して第1シール手段又は第2シール手段のシールがなされて第3シール手段との間で密閉空間が形成された後、第1接続手段と第2接続手段とが離脱されるよう構成されたので、押圧部材を有した既存の燃料ホースの接続装置に容易に適用することができる。
【0022】
請求項9の発明によれば、第1接続手段と第2接続手段とが接続された状態をロックするロック手段を具備するとともに、当該ロック手段は、当該第1接続手段を第2接続手段に対して回転させることによりロック可能とされたので、ロック作業を容易且つ確実に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る燃料ホースの接続装置を含む全体構成を示す模式図
【図2】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段を示す3面図
【図3】図2中III−III線断面図
【図4】同燃料ホースの接続装置における第2接続手段(船外機側)を示す3面図
【図5】図4中V−V線断面図
【図6】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続過程(接続前の状態)を示す断面図
【図7】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続過程(挿入状態)を示す断面図
【図8】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続過程(作動開始状態)を示す断面図
【図9】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続過程(作動後の状態)を示す断面図
【図10】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続状態を示す側面図
【図11】同燃料ホースの接続装置における第2接続手段(燃料タンク側)を示す3面図
【図12】図11中XII−XII線断面図
【図13】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続過程(接続前の状態)を示す断面図
【図14】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続過程(挿入状態)を示す断面図
【図15】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続過程(作動開始状態)を示す断面図
【図16】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続過程(作動後の状態)を示す断面図
【図17】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続状態を示す側面図
【図18】本発明の第2実施形態に係る燃料ホースの接続装置における第1接続手段を示す3面図
【図19】図18中XIX−XIX線断面図
【図20】同燃料ホースの接続装置における第2接続手段(船外機側)を示す3面図
【図21】図20中XXI−XXI線断面図
【図22】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続過程(挿入状態)を示す断面図
【図23】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続過程(作動開始状態)を示す断面図
【図24】同燃料ホースの接続装置における第1接続手段と第2接続手段との接続過程(作動後の状態)を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1実施形態に係る燃料ホースの接続装置は、図1に示すように、小型船舶に搭載された船外機Kと燃料タンクTとを連結する燃料ホースHの先端を当該船外機Kの燃料導入口Ka及び燃料タンクTの燃料導出口Taにそれぞれ接続させるためのもので、第1接続手段1と、船外機Kの燃料導入口Kaに取り付けられた第2接続手段6と、燃料タンクTの燃料導出口Taに取り付けられた第2接続手段9とを有して構成されている。なお、同図中符号Bは、燃料ホースHの途中に接続されたプライマリーバルブを示している。
【0025】
船外機Kは、本発明における搭乗手段(小型船舶)の駆動手段に相当するもので、供給された燃料により駆動するエンジンと、エンジンの駆動により回転して小型船舶の推進力を得るスクリュとが配設されている。燃料ホースHは、燃料を流通し得る可撓性のチューブ状部材から成り、小型船舶の所定位置に載置された燃料タンクTから船外機Kまで延設され得る寸法とされている。
【0026】
第1接続手段1は、燃料ホースHの一方の先端(図1中右端)に形成されたもので、図2、3に示すように、一対の係止部1aと、燃料ホースHが接続される接続部1bと、弁部材2と、第1シール手段3と、第3シール手段(非燃料ホース側シール手段4、燃料ホース側シール手段5)とから主に構成されている。このうち、係止部1aは、内側に向かって凸状に形成されたもので、後述する第2接続手段(6、9)に形成された溝(6a、9a)に嵌合し得るものである。
【0027】
弁部材2は、第1接続手段1内に収容されるとともに、軸方向(図3の左右方向)に摺動自在とされたもので、燃料ホースHの先端を閉止してシールする第1シール手段3を有して構成されている。かかる弁部材2は、スプリングS1によって第1シール手段3を壁面に押圧する方向(図3中左方向)に常時付勢されており、かかる押圧力によって第1シール手段3によるシールがなされ、燃料ホースHの先端側の流路を閉止してシールするようになっている。なお、第1シール手段3は、燃料の流路をシール可能なOリング等から成るものである。
【0028】
また、弁部材2は、その内側と外側とを連通させた第1流通開口2aが形成されており、第1シール手段3によるシールが解かれた状態(厳密には、第1接続手段1と第2接続手段6とが接続してシールが解かれた状態)において、当該第1流通開口2aを介して燃料が接続部1b側に流通し得るよう構成されている。さらに、弁部材2は、その外周面に第3シール手段(非燃料ホース側シール手段4、燃料ホース側シール手段5)が取り付けられている。これら第3シール手段としての非燃料ホース側シール手段4、燃料ホース側シール手段5は、第1シール手段と同様、燃料の流路をシール可能なOリング等から成るものである。
【0029】
燃料ホース側シール手段5は、第1接続手段1と第2接続手段6との接続過程であって第1シール手段3によるシールが維持された状態で、第1シール手段3との間で第1流通開口2aを含む空間をシールして密閉空間を形成するものである。また、非燃料ホース側シール手段4は、第1接続手段1と第2接続手段6との接続過程であって第2シール手段8(図5参照)によるシールが維持された状態で、第2シール手段8との間で第2流通開口7aを含む空間をシールして密閉空間を形成するものである(図8参照)。
【0030】
一方、第2接続手段6は、船外機Kの燃料導入口Kaに形成されるとともに第1接続手段1と接続可能なもので、図4、5に示すように、一対の溝6aと、船外機Kのエンジン(不図示)まで延びる燃料ホースMと接続される接続部6bと、第1接続手段1の弁部材2を挿入し得る挿入部6cと、弁部材7と、第2シール手段8とから主に構成されている。このうち、溝6aは、第1接続手段1と第2接続手段6とが接続された状態で係止部1aと係止して当該接続状態をロックし得るものである。
【0031】
弁部材7は、第2接続手段6内に収容されるとともに、軸方向(図5の左右方向)に摺動自在とされたもので、船外機Kの燃料導入口Kaを閉止してシールする第2シール手段8を有して構成されている。かかる弁部材7は、スプリングS2によって第2シール手段8を壁面に押圧する方向(図5中左方向)に常時付勢されており、かかる押圧力によって第2シール手段8によるシールがなされ、燃料導入口Ka側の流路を閉止してシールするようになっている。なお、第2シール手段8は、燃料の流路をシール可能なOリング等から成るものである。
【0032】
また、弁部材7は、その内側と外側とを連通させた第2流通開口7aが形成されており、第2シール手段8によるシールが解かれた状態(厳密には、第1接続手段1と第2接続手段6とが接続してシールが解かれた状態)において、当該第2流通開口7aを介して燃料が接続部6b側に流通し得るよう構成されている。なお、図5中符号Cは、第2接続手段6の挿入部6cを塞ぐキャップを示しており、当該キャップCを開状態として第1接続手段1との接続が図られるようになっている。
【0033】
次に、第1接続手段1と第2接続手段6との接続過程における作用について説明する。
燃料ホースHの先端を船外機Kまで延ばした後、図6に示すように、第1接続手段1を第2接続手段6に対向した状態として当該第2接続手段6に近接させる。そして、図7に示すように、第1接続手段1における弁部材2の先端部を第2接続手段6の挿入部6cに挿入させ、さらに近接動作を続けると、図8に示すように、当該弁部材2の先端が第2接続手段6における弁部材7の先端に当接することとなる。
【0034】
この状態においては、第1接続手段1の第1シール手段3は、シールが維持されているとともに、燃料ホース側シール手段5は、第1シール手段3との間で流通開口2aを含む空間をシールして密閉空間を形成している。同様に、第2接続手段6の第2シール手段8は、シールが維持されているとともに、非燃料ホース側シール手段4は、第2シール手段8との間で第2流通開口7aを含む空間をシールして密閉空間を形成している。
【0035】
その後、更に近接動作を続けると、図9に示すように、弁部材2がスプリングS1の付勢力に抗して移動し、第1シール手段3が壁面から離間することにより当該第1シール手段3によるシールが解かれるとともに、弁部材7がスプリングS2の付勢力に抗して移動し、第2シール手段8が壁面から離間することにより当該第2シール手段8によるシールが解かれる。しかして、第3シール手段(燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4)によるシールがなされた後、第1シール手段3及び第2シール手段8のシールが解かれるよう構成されている。
【0036】
すなわち、燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4によるシールがなされた後、第1シール手段3及び第2シール手段8のシールが同時に解かれるのである。これにより、燃料ホースHを流通した燃料は、第1接続手段1内の第1流通開口2a及び第2接続手段6内の第2流通開口7aを介して当該第2接続手段6の接続部6bに至り、燃料ホースMを介して船外機Kのエンジンに供給されることとなる。
【0037】
さらに、本実施形態においては、第1接続手段1と第2接続手段6との接続過程において、係止部1aが溝6aに嵌合しつつ当該溝6aに沿って摺動するものとされており、接続後において、当該第1接続手段1を第2接続手段6に対して回転させることによりロック可能とされている(図10参照)。すなわち、係止部1aと溝6aとは、第1接続手段1と第2接続手段6とが接続された状態をロックするロック手段を構成するとともに、第1接続手段1を第2接続手段6に対して回転させることによりロックが可能とされているのである。
【0038】
一方、第1接続手段1と第2接続手段6との接続を解いて離脱させるには、当該第1接続手段1を第2接続手段6に対してロック時とは反対方向に回転させ、係止部1a及び溝6a(ロック手段)によるロックを解除させる。そして、第1接続手段1を第2接続手段6に対して離間させることにより、第1シール手段3及び第2シール手段8によるシールがなされて第3シール手段(燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4)との間で密閉空間が形成された後、第1接続手段1と第2接続手段6とが離脱されるよう構成されている。
【0039】
具体的には、第1接続手段1と第2接続手段6との離脱過程において、弁部材2及び弁部材7が接続時と反対方向に移動し、第1シール手段3及び第2シール手段8が壁面に当接してシールがなされる。しかして、第1シール手段3及び第2シール手段8のシールが同時になされて燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4との間で密閉空間が同時に形成された後、第1接続手段1と第2接続手段6とが離脱されることとなる。
【0040】
ところで、本実施形態に係る燃料ホースHの他方の先端には、上記と同様の構成の第1接続手段1が形成されているとともに、燃料を収容した燃料タンクTには、当該第1接続手段1と接続可能な第2接続手段9が取り付けられている。かかる第2接続手段9は、燃料タンクTの燃料導出口Taに形成されたもので、図11、12に示すように、一対の溝9aと、燃料タンクTの燃料導出口Taにネジ止め可能なネジ部9bと、第1接続手段1の弁部材2を挿入し得る挿入部9cと、弁部材10と、第2シール手段11とから主に構成されている。このうち、溝9aは、第1接続手段1と第2接続手段9とが接続された状態で係止部1aと係止して当該接続状態をロックし得るものである。
【0041】
弁部材10は、第2接続手段9内に収容されるとともに、軸方向(図12の左右方向)に摺動自在とされたもので、燃料タンクTの燃料導出口Taを閉止してシールする第2シール手段11を有して構成されている。かかる弁部材10は、スプリングS3によって第2シール手段11を壁面に押圧する方向(図12中右方向)に常時付勢されており、かかる押圧力によって第2シール手段11によるシールがなされ、燃料導出口Ta側の流路を閉止してシールするようになっている。なお、第2シール手段11は、燃料の流路をシール可能なOリング等から成るものである。
【0042】
また、弁部材10は、その内側と外側とを連通させた第2流通開口10aが形成されており、第2シール手段11によるシールが解かれた状態(厳密には、第1接続手段1と第2接続手段9とが接続してシールが解かれた状態)において、当該第2流通開口10aを介して燃料が燃料ホースH側に流通し得るよう構成されている。なお、本実施形態においては、第2シール手段9は、ネジ部9bにて燃料導出口Taに固定されているが、圧入等他の固定方法により燃料タンクTの燃料導出口Taに固定されるものであってもよい。
【0043】
次に、第1接続手段1と第2接続手段9との接続過程における作用について説明する。
燃料ホースHの先端(船外機Kに接続する先端とは反対側の先端)を燃料タンクTまで延ばした後、図13に示すように、第1接続手段1を第2接続手段9に対向した状態として当該第2接続手段9に近接させる。そして、図14に示すように、第1接続手段1における弁部材2の先端部を第2接続手段9の挿入部9cに挿入させ、さらに近接動作を続けると、図15に示すように、当該弁部材2の先端が第2接続手段9における弁部材10の先端に当接することとなる。
【0044】
この状態においては、第1接続手段1の第1シール手段3は、シールが維持されているとともに、燃料ホース側シール手段5は、第1シール手段3との間で流通開口2aを含む空間をシールして密閉空間を形成している。同様に、第2接続手段9の第2シール手段11は、シールが維持されているとともに、非燃料ホース側シール手段4は、第2シール手段11との間で第2流通開口10aを含む空間をシールして密閉空間を形成している。
【0045】
その後、更に近接動作を続けると、図16に示すように、弁部材2がスプリングS1の付勢力に抗して移動し、第1シール手段3が壁面から離間することにより当該第1シール手段3によるシールが解かれるとともに、弁部材10がスプリングS3の付勢力に抗して移動し、第2シール手段11が壁面から離間することにより当該第2シール手段11によるシールが解かれる。しかして、第3シール手段(燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4)によるシールがなされた後、第1シール手段3及び第2シール手段11のシールが解かれるよう構成されている。
【0046】
すなわち、燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4によるシールがなされた後、第1シール手段3及び第2シール手段11のシールが同時に解かれるのである。これにより、燃料タンクT内の燃料は、第1接続手段1内の第1流通開口2a及び第2接続手段9内の第2流通開口10aを介して燃料ホースHに至り、当該燃料ホースHを介して船外機K側に供給されることとなる。
【0047】
さらに、本実施形態においては、第1接続手段1と第2接続手段9との接続過程において、係止部1aが溝9aに嵌合しつつ当該溝9aに沿って摺動するものとされており、接続後において、当該第1接続手段1を第2接続手段9に対して回転させることによりロック可能とされている(図17参照)。すなわち、係止部1aと溝9aとは、第1接続手段1と第2接続手段9とが接続された状態をロックするロック手段を構成するとともに、第1接続手段1を第2接続手段9に対して回転させることによりロックが可能とされているのである。
【0048】
一方、第1接続手段1と第2接続手段9との接続を解いて離脱させるには、当該第1接続手段1を第2接続手段9に対してロック時とは反対方向に回転させ、係止部1a及び溝9a(ロック手段)によるロックを解除させる。そして、第1接続手段1を第2接続手段9に対して離間させることにより、第1シール手段3及び第2シール手段11によるシールがなされて第3シール手段(燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4)との間で密閉空間が形成された後、第1接続手段1と第2接続手段9とが離脱されるよう構成されている。
【0049】
具体的には、第1接続手段1と第2接続手段9との離脱過程において、弁部材2及び弁部材10が接続時と反対方向に移動し、第1シール手段3及び第2シール手段11が壁面に当接してシールがなされる。しかして、第1シール手段3及び第2シール手段11のシールが同時になされて燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4との間で密閉空間が同時に形成された後、第1接続手段1と第2接続手段9とが離脱されることとなる。
【0050】
上記第1実施形態によれば、第1接続手段1と第2接続手段(6、9)との接続過程であって第1シール手段3又は第2シール手段(8、11)(本実施形態においては、第1シール手段3及び第2シール手段(8、11))によるシールが維持された状態で、第1シール手段3又は第2シール手段(8、11)との間で流通開口(2a、7a、10a)を含む空間をシールして密閉空間を形成する第3シール手段(燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4)を具備し、当該第3シール手段によるシールがなされた後、第1シール手段3及び第2シール手段(8、11)のシールが解かれるので、接続手段の接続時に燃料が噴出してしまうのを防止することができる。
【0051】
特に、第1接続手段1に形成された第1流通開口2aと、第2接続手段(6、9)に形成された第2流通開口(7a、10a)とを有するとともに、第1シール手段3との間で第1流通開口2aを含む空間をシールして密閉空間を形成し得る燃料ホース側シール手段5と、第2シール手段(8、11)との間で第2流通開口(7a、10a)を含む空間をシールして密閉空間を形成し得る非燃料ホース側シール手段4とを有するので、流通開口が第1接続手段1及び第2接続手段(6、9)の双方に形成されたものに容易に適用できる。
【0052】
また、燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4によるシールがなされた後、第1シール手段3及び第2シール手段(8、11)のシールが同時に解かれるので、流通開口が第1接続手段1及び第2接続手段(6、9)の双方に形成されたものに容易に適用できるとともに、第1シール手段3及び第2シール手段(8、11)のシールを順次解くものに比べ、接続手段の接続時に第1シール手段3及び第2シール手段(8、11)の何れか一方に過度な負荷が付与されてしまうのを回避することができる。
【0053】
さらに、第1接続手段1と第2接続手段(6、9)との離脱過程であって第1シール手段3又は第2シール手段(8、11)によるシールがなされた状態で、第1シール手段3又は第2シール手段(8、11)との間で流通開口(2a、7a、10a)を含む空間をシールして密閉空間を形成する第3シール手段(燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4)を具備し、第1シール手段3及び第2シール手段(8、11)によるシールがなされて当該第3シール手段(燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4)との間で密閉空間が形成された後、第1接続手段1と第2接続手段(6、9)とが離脱されるので、接続手段の離脱時に燃料が噴出してしまうのを防止することができる。
【0054】
また更に、第1シール手段3及び第2シール手段(8、11)のシールが同時になされて燃料ホース側シール手段5及び非燃料ホース側シール手段4との間で密閉空間が同時に形成された後、第1接続手段1と第2接続手段(6、9)とが離脱されるので、流通開口(2a、7a、10a)が第1接続手段3及び第2接続手段(6、9)の双方に形成されたものに容易に適用できるとともに、接続手段の離脱時に第1シール手段3及び第2シール手段(8、11)の何れか一方に過度な負荷が付与されてしまうのを回避することができる。
【0055】
さらに、第1接続手段1と第2接続手段(6、9)とが接続された状態をロックするロック手段を具備するとともに、当該ロック手段は、当該第1接続手段1を第2接続手段(6、9)に対して回転させることによりロック可能とされたので、ロック作業を容易且つ確実に行わせることができる。なお、本実施形態においては、第1接続手段1に形成された係止部1aを第2接続手段(6、9)に形成された溝(6a、9a)に係止させているが、他の形態のロック手段としてもよく、例えば第1接続手段1に形成された溝に第2接続手段(6、9)に形成された係止部を係止させるようにしてもよい。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態に係る燃料ホースの接続装置は、第1実施形態と同様、小型船舶に搭載された船外機Kと燃料タンクTとを連結する燃料ホースHの先端を当該船外機Kの燃料導入口Ka及び燃料タンクTの燃料導出口Taにそれぞれ接続させるためのもので、図18〜21に示すように、第1接続手段12と、船外機Kの燃料導入口Kaに取り付けられた第2接続手段16と、燃料タンクTの燃料導出口Taに取り付けられた第2接続手段9とを有して構成されている。
【0057】
第1接続手段12は、燃料ホースHの一方の先端に形成されたもので、図18、19に示すように、挿通孔12aと、燃料ホースHが接続される接続部12bと、弁部材13と、第1シール手段14と、第3シール手段15と、第2接続手段16の突出部17(図21参照)を挿入させ得る挿入孔12cとから主に構成されている。このうち、挿通孔12aは、第2接続手段16の被ロック部材16a(図21参照)を挿通可能な孔から成るものであり、ロック手段R側に被ロック部材16aを挿通させ得るようになっている。かかるロック手段Rは、被ロック部材16aの係止溝16aaに係止可能なロック部材Raと、該ロック部材Raをロック位置に向かって付勢するバネRbとから構成されている。
【0058】
弁部材13は、第1接続手段12内に収容されるとともに、軸方向(図19の左右方向)に摺動自在とされたもので、燃料ホースHの先端を閉止してシールする第1シール手段14を有して構成されている。かかる弁部材13は、スプリングS4によって第1シール手段14を壁面に押圧する方向(図19中左方向)に常時付勢されており、かかる押圧力によって第1シール手段14によるシールがなされ、燃料ホースHの先端側の流路を閉止してシールするようになっている。なお、第1シール手段14は、燃料の流路をシール可能なOリング等から成るものである。
【0059】
第3シール手段15は、挿入孔12cの所定位置(挿入孔12cの開口から第1シール手段14の間の部位)に形成されたもので、当該挿入孔12cに挿入された突出部17の外周面と当接して当該外周面と挿入孔12cの内周面との間をシールし得るようになっている。しかるに、第3シール手段15は、第1接続手段12と第2接続手段16との接続過程であって第1シール手段14によるシールが維持された状態で、図23に示すように、第1シール手段14との間で流通開口17aを含む空間をシールして密閉空間を形成し得るものとされる。
【0060】
一方、第2接続手段16は、船外機Kの燃料導入口Kaに形成されるとともに第1接続手段12と接続可能なもので、図20、21に示すように、被ロック部材16aと、船外機Kのエンジン(不図示)まで延びる燃料ホースMと接続される接続部16bと、第1接続手段12の挿入孔12cに挿入可能な突出部17と、軸状の押圧部材18と、第2シール手段19とから主に構成されている。このうち、被ロック部材16aは、先端部に係止溝16aaが形成されるとともに、第1接続手段12の挿通孔12aに挿通された棒状部材から成る。
【0061】
突出部17は、その突端部において、第1接続手段12と第2接続手段16とが接続された状態で燃料を流通させ得る複数の流通開口17aが形成されるとともに、その内部に押圧部材18を収容させたものである。かかる押圧部材18は、第1接続手段12と第2接続手段16との接続過程で長手方向(図21中左右方向)に移動して第1シール手段14及び第2シール手段19のシールを解くことが可能なものである。
【0062】
より具体的には、押圧部材18は、船外機Kの燃料導入口Kaを閉止してシールする第2シール手段19を有して構成されている。かかる押圧部材18は、スプリングS5によって第2シール手段19を壁面に押圧する方向(図21中右方向)に常時付勢されており、かかる押圧力によって第2シール手段19によるシールがなされ、燃料導入口Ka側の流路を閉止してシールするようになっている。なお、第2シール手段19は、燃料の流路をシール可能なOリング等から成るものである。
【0063】
しかして、第1接続手段12と第2接続手段16との接続時、押圧部材18が弁部材13を同方向に押圧してスプリングS4の付勢力に抗して移動させると、第1シール手段14を壁面から離間させてシールを解くことが可能とされるとともに、押圧部材18がスプリングS5の抗力に抗して移動(図21中左方向への移動)すると、第2シール手段19を壁面から離間させてシールを解くことが可能とされている。
【0064】
次に、第1接続手段12と第2接続手段16との接続過程における作用について説明する。
燃料ホースHの先端を船外機Kまで延ばした後、図22に示すように、挿通孔12aに被ロック部材16aを挿通させるとともに、第1接続手段12の挿入孔12cに突出部17を挿入させ、押圧部材18の先端を弁部材13に当接させた状態とする。このとき、第1接続手段12の第1シール手段14及び第2接続手段16の第2シール手段19によるシールは維持されているとともに、第3シール手段15は、第1シール手段14との間で流通開口17aを含む空間をシールして密閉空間を形成している。
【0065】
そして、第1接続手段12の第2接続手段16に対する近接動作を更に行うと、図23に示すように、押圧部材18は、弁部材13により押圧され、スプリングS5の付勢力に抗して同図中左方向に移動する。これにより、第2シール手段19が壁面から離間することにより当該第2シール手段19によるシールが解かれることとなる。すなわち、スプリングS4の付勢力は、スプリングS5の付勢力より大きく設定されており、押圧部材18は、先ずスプリングS5の付勢力に抗して移動するのである。なお、被ロック部材16aは更に前進し、ロック部材RaをバネRbの付勢力に抗して揺動させている。
【0066】
その後、更に近接動作を続けると、図24に示すように、押圧部材18は、弁部材13により押圧され、スプリングS4の付勢力に抗して同図中右方向に移動する。これにより、第1シール手段14が壁面から離間することにより当該第1シール手段14によるシールが解かれることとなる。しかして、第3シール手段15によるシールがなされた後、第1シール手段14のシールが解かれるよう構成されている。
【0067】
すなわち、第3シール手段15によるシールがなされた後、先ず第2シール手段19のシールが解かれ、次に第1シール手段14のシールが解かれるのである。これにより、燃料ホースHを流通した燃料は、第1接続手段12内、流通開口17a及び第2接続手段16内を介して燃料ホースMに至り、当該燃料ホースMを介して船外機Kのエンジンに供給されることとなる。
【0068】
なお、接続状態においては、ロック手段Rにおけるロック部材Raが被ロック部材16aの係止溝16aaに係止することとなるので、当該ロック手段Rにより、第1接続手段12と第2接続手段16とが接続された状態をロック可能とされている。このようなロック手段に代えて、第1実施形態の如く、第1接続手段12を第2接続手段16に対して回転させることによりロック可能とされたものとしてもよい。ところで、上記の第2接続手段16は、船外機Kの燃料導入口Kaに取り付けられたものとされているが、燃料タンクTの燃料導出口Taに取り付けられたものも同様の構成とされる。
【0069】
一方、第1接続手段12と第2接続手段16との接続を解いて離脱させるには、ロック部材Raを揺動させて被ロック部材16aの係止溝16aaとの係止を解くことによりロックを解除させる。そして、第1接続手段12を第2接続手段16に対して離間させることにより、第1シール手段14によるシールがなされて第3シール手段15との間で密閉空間が形成された後、第1接続手段12と第2接続手段16とが離脱されるよう構成されている。具体的には、第1接続手段12と第2接続手段16との離脱過程で押圧部材18が長手方向(図24中左方向)に移動して、図23に示すように、第1シール手段14のシールがなされて第3シール手段15との間で密閉空間が形成された後、第1接続手段12と第2接続手段16とが離脱されるよう構成されている。
【0070】
上記第2実施形態によれば、第1接続手段12と第2接続手段16との接続過程であって第1シール手段14又は第2シール手段19(本実施形態においては、第1シール手段14及び第2シール手段19)によるシールが維持された状態で、第1シール手段14との間で流通開口17aを含む空間をシールして密閉空間を形成する第3シール手段15を具備し、当該第3シール手段15によるシールがなされた後、第1シール手段14及び第2シール手段19のシールが解かれるので、接続手段の接続時に燃料が噴出してしまうのを防止することができる。
【0071】
特に、第1接続手段12と第2接続手段16との接続過程で長手方向に移動して第1シール手段14及び第2シール手段19のシールを解くことが可能な軸状の押圧部材18を具備し、且つ、第3シール手段15によるシールがなされた後、当該押圧部材18が移動して第1シール手段14のシールを解くよう構成されたので、押圧部材18を有した既存の燃料ホースの接続装置に容易に適用することができる。
【0072】
さらに、第1接続手段12と第2接続手段16との離脱過程であって第1シール手段14又は第2シール手段19によるシールがなされた状態で、第1シール手段14又は第2シール手段19との間で流通開口17aを含む空間をシールして密閉空間を形成する第3シール手段15を具備し、第1シール手段14及び第2シール手段19によるシールがなされて当該第3シール手段15との間で密閉空間が形成された後、第1接続手段12と第2接続手段16とが離脱されるので、接続手段の離脱時に燃料が噴出してしまうのを防止することができる。
【0073】
また更に、第1接続手段12と第2接続手段16との離脱過程で長手方向に移動して第1シール手段14及び第2シール手段19のシールをなすことが可能な軸状の押圧部材18を具備し、且つ、当該押圧部材18が移動して第1シール手段14又は第2シール手段19のシールがなされて第3シール手段15との間で密閉空間が形成された後、第1接続手段12と第2接続手段16とが離脱されるよう構成されたので、押圧部材18を有した既存の燃料ホースの接続装置に容易に適用することができる。
【0074】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば第1接続手段と第2接続手段の接続状態をロックするロック手段を他の形態のものとしてもよく、或いは第1接続手段の構造と第2接続手段の構造とを逆にした形態のものとしてもよい。また、本実施形態においては、燃料ホースHの一方の先端と他方の先端にそれぞれ第1接続手段が形成されているが、何れか一方のみ形成されたものとしてもよい。
【0075】
なお、本実施形態においては、燃料ホースを介して小型船舶の船外機と燃料タンクとを連通させるものに適用されているが、小型船舶に代えて他の搭乗手段(船舶の他、車両等であってもよい)の駆動手段に燃料を供給するもの、或いは搭乗手段以外の駆動手段(例えば発電機等)に燃料を供給するものに適用してもよい。また、使用される燃料は、液体の他、例えばLPG等のような気体から成るものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
第1接続手段と第2接続手段との接続又は離脱過程であって第1シール手段又は第2シール手段によるシールが維持された状態で、第1シール手段又は第2シール手段との間で流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成する第3シール手段を具備し、当該第3シール手段によるシールがなされた後、第1シール手段及び第2シール手段のシールが解かれるよう構成、又は第1シール手段及び第2シール手段によるシールがなされて当該第3シール手段との間で密閉空間が形成された後、第1接続手段と第2接続手段とが離脱されるよう構成された燃料ホースの接続装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 第1接続手段
2 弁部材
3 第1シール手段
4 非燃料ホース側シール手段(第3シール手段)
5 燃料ホース側シール手段(第3シール手段)
6 第2接続手段
7 弁部材
8 第2シール手段
9 第2接続手段
10 弁部材
11 第2シール手段
12 第1接続手段
13 弁部材
14 第1シール手段
15 第3シール手段
16 第2接続手段
17 突出部
18 押圧部材
19 第2シール手段
T 燃料タンク
Ta 燃料導出口
H 燃料ホース
K 船外機
Ka 燃料導入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ホースの先端に形成された第1接続手段と、
該第1接続手段に形成され、前記燃料ホースの先端を閉止してシールする第1シール手段と、
燃料が供給される搭乗手段の駆動手段における燃料導入口又は燃料タンクにおける燃料導出口に形成され、前記第1接続手段と接続可能な第2接続手段と、
該第2接続手段に形成され、前記燃料供給口を閉止してシールする第2シール手段と、
前記第1接続手段と第2接続手段とが接続された状態で燃料を流通させ得る流通開口と、
を具備し、前記第1接続手段と第2接続手段とを接続させて、前記第1シール手段及び第2シール手段のシールを解き、燃料を流通可能とされた燃料ホースの接続装置において、
前記第1接続手段と第2接続手段との接続過程であって前記第1シール手段又は第2シール手段によるシールが維持された状態で、前記第1シール手段又は第2シール手段との間で前記流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成する第3シール手段を具備し、当該第3シール手段によるシールがなされた後、前記第1シール手段及び第2シール手段のシールが解かれるよう構成されたことを特徴とする燃料ホースの接続装置。
【請求項2】
前記流通開口は、前記第1接続手段に形成された第1流通開口と、前記第2接続手段に形成された第2流通開口とから成るとともに、
前記第3シール手段は、前記第1シール手段との間で前記第1流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成し得る燃料ホース側シール手段と、第2シール手段との間で前記第2流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成し得る非燃料ホース側シール手段とを有して成ることを特徴とする請求項1記載の燃料ホースの接続装置。
【請求項3】
前記燃料ホース側シール手段及び非燃料ホース側シール手段によるシールがなされた後、前記第1シール手段及び第2シール手段のシールが同時に解かれるよう構成されたことを特徴とする請求項2記載の燃料ホースの接続装置。
【請求項4】
前記第1接続手段と第2接続手段との接続過程で長手方向に移動して前記第1シール手段及び第2シール手段のシールを解くことが可能な軸状の押圧部材を具備し、且つ、前記第3シール手段によるシールがなされた後、当該押圧部材が移動して前記第1シール手段又は第2シール手段のシールを解くよう構成されたことを特徴とする請求項1記載の燃料ホースの接続装置。
【請求項5】
燃料ホースの先端に形成された第1接続手段と、
該第1接続手段に形成され、前記燃料ホースの先端を閉止してシールする第1シール手段と、
燃料が供給される搭乗手段の駆動手段における燃料導入口又は燃料タンクにおける燃料導出口に形成され、前記第1接続手段と接続可能な第2接続手段と、
該第2接続手段に形成され、前記燃料供給口を閉止してシールする第2シール手段と、
前記第1接続手段と第2接続手段とが接続された状態で燃料を流通させ得る流通開口と、
を具備し、前記第1接続手段と第2接続手段とを接続させて、前記第1シール手段及び第2シール手段のシールを解き、燃料を流通可能とされた燃料ホースの接続装置において、
前記第1接続手段と第2接続手段との離脱過程であって前記第1シール手段又は第2シール手段によるシールがなされた状態で、前記第1シール手段又は第2シール手段との間で前記流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成する第3シール手段を具備し、前記第1シール手段及び第2シール手段によるシールがなされて当該第3シール手段との間で前記密閉空間が形成された後、前記第1接続手段と第2接続手段とが離脱されるよう構成されたことを特徴とする燃料ホースの接続装置。
【請求項6】
前記流通開口は、前記第1接続手段に形成された第1流通開口と、前記第2接続手段に形成された第2流通開口とから成るとともに、
前記第3シール手段は、前記第1シール手段との間で前記第1流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成し得る燃料ホース側シール手段と、第2シール手段との間で前記第2流通開口を含む空間をシールして密閉空間を形成し得る非燃料ホース側シール手段とを有して成ることを特徴とする請求項5記載の燃料ホースの接続装置。
【請求項7】
前記第1シール手段及び第2シール手段のシールが同時になされて前記燃料ホース側シール手段及び非燃料ホース側シール手段との間で密閉空間が同時に形成された後、前記第1接続手段と第2接続手段とが離脱されるよう構成されたことを特徴とする請求項6記載の燃料ホースの接続装置。
【請求項8】
前記第1接続手段と第2接続手段との離脱過程で長手方向に移動して前記第1シール手段及び第2シール手段のシールをなすことが可能な軸状の押圧部材を具備し、且つ、当該押圧部材が移動して前記第1シール手段又は第2シール手段のシールがなされて前記第3シール手段との間で密閉空間が形成された後、前記第1接続手段と第2接続手段とが離脱されるよう構成されたことを特徴とする請求項5記載の燃料ホースの接続装置。
【請求項9】
前記第1接続手段と第2接続手段とが接続された状態をロックするロック手段を具備するとともに、当該ロック手段は、当該第1接続手段を第2接続手段に対して回転させることによりロック可能とされたことを特徴とする請求項1〜8の何れか1つに記載の燃料ホースの接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−24144(P2013−24144A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160084(P2011−160084)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000213954)朝日電装株式会社 (184)
【Fターム(参考)】