説明

燃料ポンプ

【課題】小型燃料ポンプを提供し、小型燃料ポンプを組み付けた燃料タンクを可能にし、燃料タンクのデザインの自由度を増し、燃料ポンプ内の構成品の公差範囲を改善する。
【解決手段】燃料ポンプが、空洞と駆動軸を有するハウジングと、該駆動軸の周りに回転するように該空洞内に保持された、電気モータロータと環状インペラと、を有する。該インペラは、該駆動軸の周りに回転する該ロータにより駆動され、該ロータとは別に該空洞内に支持される。前記ロータは駆動部材を有し、前記インペラは該駆動部材と係合するように配置された被駆動部材を有して、前記ロータの回転に応じて前記インペラを回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には燃料系統に関し、より詳しくは燃料ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用又はリクレーション自動車用の車両燃料タンクは、周囲に車両用機器があるので、比較的狭い区域に大抵配置される。それ故、燃料タンクを車両の望ましい位置に、周りの機器に干渉せずに配置することは工夫を要する。その結果、燃料タンクの形状はしばしば影響を受けて複雑になり、利用可能なスペースに嵌め込まれる。そのスペースに嵌め込む様に燃料タンクを設計する時には、燃料タンク内の燃料ポンプの寸法と形状(包絡外形)を考慮する必要がある。燃料ポンプの包絡外形は燃料タンクのデザインと、利用可能なスペースに燃料タンクを嵌め込むことを複雑にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それ故、本発明の目的には、小型燃料ポンプを提供し、小型燃料ポンプを組み付けた燃料タンクを可能にし、燃料タンクのデザインの自由度を増し、燃料ポンプ内の構成品の公差範囲を改善することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
燃料ポンプが、空洞を有するハウジングと、駆動軸の周りに回転するようにその空洞内に収容されるロータと、そのロータと分離しその空洞内に支持された環状インペラと、を具え、そのインペラはその駆動軸の周りにそのロータにより回転駆動される。ある実施例では、そのロータとインペラは、比較的小型外形の燃料ポンプのデザインを可能にする。これは燃料タンク内に燃料ポンプを収容することを促進し、燃料タンクのデザイン自由度を促進する。それ故、燃料タンクは比較的小さいスペース内に収容でき、例えば、車両のシートの下等である。
【0005】
本発明の実施例の目的・特徴・利点に関連して、小型の燃料ポンプを提供し、そのポンプは、小型の燃料ポンプを組み付けた燃料タンクを可能にし、燃料タンクのデザインの自由度を増し、ブラシ型又はブラシ無しモータを有するような構造を可能にし、燃料ポンプ内構成品の公差範囲を改善し,部品数が少なくて済み、比較的簡明なデザインであり,経済的に製作・組立ができて、有効使用寿命が長い。
【0006】
この発明のこれら及び他の目的・特徴・利点は、以下の好適実施例及び最適様態、請求項の記載、添付図により明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
添付図面をより詳細に説明すると、図1は、高さの低い燃料ポンプ12を収容する燃料タンク10を図示し、そのタンクは燃料ポンプ12の入口14(図2)を通して液体燃料を受け入れ、加圧した液体燃料を燃料ポンプ12の出口16を通して、燃料ライン18を通じて、例えば、旅客自動車又はリクレーション自動車(非図示)の内燃エンジン19に供給する。本発明の現在好適な実施例に従って、燃料タンク10は比較的背が低く、車両の比較的狭い区域に配置するのに適していて、それは例えば、車両のシートの下等である。燃料ポンプ12と燃料タンク10の減寸した外形は、デザインにより柔軟性を提供し、車両の設計と組み立ての全体コストと設計量を減らす。更に、燃料ポンプ12の効率と信頼性を改善し、燃料ポンプ12の組立て効率を改善するために、燃料ポンプ12の構成部品の数が減らされる。燃料ポンプ12は色々な方法で、燃料タンク10内に組込まれ得て、図では燃料タンク10の底面に配置されているが、燃料モジュール(非図示)内に保持され、用途に応じて、燃料タンク10の他の面に保持又は搭載され得る。
【0008】
図2に明瞭に示すように、ある実施例では、燃料ポンプ12の燃料ライン18が、好ましくは、上側壁22を有する上側キャップ20と、下側壁26を有する下側キャップ24とを具える。上側・下側壁22、26の周縁25、27を、外側ハウジング内にクランプ、又は溶接結合又は接着材等により結合すると、上側・下側壁22、26が互いに離間して、少なくとも部分的に空洞28を形成する。空洞28は、モータ30と、ディスク状ロータ32と、環状インペラ34とを収容する寸法である。ロータ32は、空洞28内でシャフト36により支持され、駆動軸37の周りに上側・下側キャップ20、24に対して、シャフト36と共に回転する。インペラ34は、空洞28内支持され、ロータ32から分離していて、ロータ32から径方向外側に延びて、ロータ32の回転に応じて、駆動軸37の周りに回転して、液体燃料を汲み上げて加圧してエンジン19に送る。
【0009】
空洞28は、インペラ34が内部で回転する周縁流体チャンバ38を有する。上側キャップ20の出口16は、好ましくは、下側キャップ24の入口14から、径方向及び周方向にずれていて、低圧または引圧が入口14に生じ、高圧が出口16に生じて、燃料ポンプを形成する。上側・下側キャップ20、24は、好ましくは、中央に位置するシャフトハウジング39、40をそれぞれ有し、互いに軸方向に心が合って、シャフト36を空洞28内で回転するように保持する。シャフトハウジング39、40は好ましくは、リセスのボアを有してブッシュ42を収容し、シャフト36を回転するように軸支する。
【0010】
燃料ポンプ12のモータ30が、直流ブラシ式モータとして、図2に図示されている。モータ30は少なくとも一対のブラシ44を有し、上側・下側壁22、26のどちらかにより支持され、ここでは、分離したブラシハウジング46を介して上側壁22により保持されている。各ブラシハウジング46は内部ポケット48を有し、そこに補完寸法のブラシを滑入させる。ブラシハウジング46は、好ましくは、上側壁22に、接着材、スナップばめ、又は他の結合方法により固定される。各ブラシ44は自動車用バッテリ(非図示)等の直流電力源に、各ブラシ44内に延びる導電ブレード又はピン56を介して電気的に接続されている。電線(非図示)がピン56をその電力源に接続する。ブラシ式直流モータに関して知られているように、各ブラシ44は整流子50と電気的に接続されている。ブラシ44は、整流子50から径方向外側に、整流子50に対して、例えばコイルスプリング又はリーフスプリング52により、付勢して偏倚される。スプリング52は、ブラシ44に力を及ぼして、ブラシ44を径方向内側に偏倚して整流子50と摩擦接触する。スプリング52の使用を促進するために、ブラシハウジング46は開口54を有して、スプリング52が、そこを通り、上側壁22の面とブラシ44との間に、径方向に配置される。
【0011】
整流子50は輪状であり貫通ボア58を有し、貫通ボア58はシャフト36をプレスばめする寸法であり、整流子50の外側面59は、ブラシ44と電気的に接続するように配置される。整流子50は、シャフト38により保持され、シャフト38と共に回転し、ブラシ44との電気的接続を維持する。ブラシ44との電気的接続に加えて、整流子50は、複数の電線61を介して、電気を印加した複数のコイル60と電気的に通じる。
【0012】
コイル60は、好ましくは、ロータ32に回転可能に支持され、好ましくは、駆動軸37の周りに離間して同心となるように配置される。各コイル60は、好ましくは、巻かれたコイル線であり、平らなディスクまたはパンケーキ形である。コイル60は、好ましくは、エポキシ材等の接着材を被覆してロータ32に取り付けられ、複数の永久磁石62から軸方向に所定距離離間して、磁気的に通じる。
【0013】
磁石62は、好ましくは、ディスク形でありコイル60の寸法と非常に近い寸法である。各磁石62の一方側64は、下側壁26に、接着材及び/又は非電導性リテーナ66を介して取付けられる。リテーナ66は、好ましくは、プラスチック製である。図2に示すように、リテーナ66は下側キャップ24と一体に形成されても良く、又は、そこに接着や溶着で取付けられ、又は、下側壁26にスナップばめされても良い。複数の磁石62は、好ましくは、駆動軸37の周りに同心に配置され、互いに周方向に離間して、コイル60と磁気的に通じる。
【0014】
ディスク形ロータ32は、相対する上下側面68、69を有し、その貫通ボア70がシャフト36を収容する寸法である。ロータ32は、シャフト36にキーで止められ、又は、非円形ボア70がシャフト36の補完形部を係合して、シャフト36に回転駆動するように取付ける。ロータ32の一方側68は、そこに取付けられたコイル60を有し、ロータ32の他側69は、各ブラシハウジング46から軸方向に離間して、シャフト36と共にロータ32が自由に回転するのを許容する。図2、3に明瞭に示すように、ロータ32は、その外縁72に複数の駆動部材を有し、ここでは、非限定的に例として、そこから径方向外側に延びるフィンガ又はタブ74として図示している。タブ74は、好ましくは、互いに周方向に等間隔に離間し、所定の寸法と形状を有して、インペラ34と嵌合して、インペラ34に力を及ぼして、ロータ32の回転に応じてインペラ34を回転する。ロータ32は、好ましくは、堅い弾力性プラスチック等の固体の非導電性材から作られる。
【0015】
環状インペラ34は、所謂二重チャネルの一段リム式インペラとして、例示されている。しかし、単一チャネルのインペラ等、他形式のインペラが使用され得る。インペラ34は一対のチャネル79、81を有する。それらのチャネルは、互いに平行に軸方向に延設され、インペラ34の周りに環状方向に設けられ、インペラ34の外側縁82から径方向内側に離間している。各チャネル79、81は、複数の周方向に離間したブレードを内部に有する。インペラ34は最小摩擦量で、流体チャンバ38内で回転する寸法である。インペラ34の両側面76、77は、インペラ34の厚さ(t)を形成し、その厚さ(t)は、好ましくは、上側・下側壁22、26から約0.015〜0.030インチの所定軸方向間隙を形成する。そのように、インペラ34は流体チャンバ38内に軸方向に近接して収容され、流体チャンバ38内でインペラ34の軸方向の遊び量を最小にして、ポンプにより生じる騒音と燃料の漏れを減らす。
【0016】
インペラ34の内側縁78には、少なくとも一つの駆動部が設けられ、ここでは径方向に形成されたポケット80として図示されている。好ましくは、複数のポケット80が間隔をあけてインペラに設けられ、ロータ32のタブ74を収容して、インペラ34をロータ32が駆動するように嵌合させる。図2、3に示すように、ポケット80は、タブ74に近接し、しかし少し遊びをもって嵌合し、例えば、その間隔は、径方向・軸方向で約0.003〜0.007インチである。その結果、タブ74とポケット80との間の軸方向及び径方向の動きの適切な量により、インペラ34は、ロータ32がインペラ34を回転する時に、ロータ32により及ぼされる偏倚から独立に、流体チャンバ38内で自動的に中心が保たれる。タブ74とポケット80との間の軸方向及び径方向の間隙は、ロータ32とインペラ34の製作公差を増して、その製作コストを減少する。更に、インペラ34が自動的に流体チャンバ38内で心が維持されるので、インペラ34と上側壁22、26との間の磨耗を減少して、燃料ポンプ12の有効寿命を改良し、使用中に燃料ポンプ12により生じる騒音量を減らす。インペラ34と空洞壁の間の回転摩擦の可能性を更に減らすために、そして、インペラ34の駆動軸37に対する、径方向の動きを制限するために、インペラ34の外側縁82は、好ましくは、上側・下側壁22、26の少なくとも一つから所定距離離間した径方向外側に延設されたリブ84を有する。リブ84は、好ましくは、インペラ34の厚さ(t)と比較して減少した軸方向厚さを有し、インペラ34の全周回りに延設されても良く、又は、周方向に分離したリブでも良く、リブの間に径方向に凹んだポケットが形成される。ロータ32とインペラ34とは互いに分れていて、要すれば、異なった材料で容易に構成される。
【0017】
使用状態で、ブラシ44はピン56を介して直流電力源から電流を受けて、ブラシ44がコイル60と電気的に通じる。コイル60はロータ32に取付けられた分離したコイル60に電流を送る。所謂鉄でない直流モータで知られているように、コイル60は管理された方向に、下側キャップ24に取付けられた磁石62の方に、磁界を放出して、ロータ32を従ってシャフト36を駆動軸37の周りに回転する。ロータ32が回転すると、タブ74は、ポケット80内でインペラ34と係合し、接線力をインペラに与え、インペラ34をロータ32の回転に応じて回転する。インペラ34は、回転している時、流体チャンバ38内で浮かぶように自由である。このようにインペラ34は流体チャンバ38内で低摩擦路内で中心を維持でき、一方、好ましくは、流体チャンバ38の所定の形状により軸方向及び径方向の動きを制限する。流体チャンバ38は上側・下側壁22、26と円形端壁85により形成される。径方向の遊びは、更にインペラ34のリブ84により管理される。低摩擦は、更にインペラの両面76、77に隣接して形成される液体燃料の動的流体フィルムにより生じる。インペラ34が回転すると、液体燃料が低圧で、入口14を通ってチャネル79、81内にそれらのブレードの間に入り、比較的高圧で、出口16から排出される。この様に、液体燃料は比較的低圧で入口14を通って移動され、回転するインペラのブレードによりチャネル79、81と流体チャンバ38内で循環され、比較的高圧で出口16を通って、エンジン19に向けて排出される。
【0018】
図4おいて、本発明の別の実施例に従って構成された燃料ポンプ112を図示している。燃料ポンプ112は上側キャップ120を有し、そのキャップは環状壁122を有し、その壁は、径方向外側に延びるフランジ125と端壁123との間に延設されている。燃料ポンプ112は下側キャップ124を有し、そのキャップは平らな壁126を具え、その壁126はその外側縁に軸方向に延設された環状フランジ127を有する。空洞128と流体チャンバ138とは、上側・下側キャップ120、124との間に形成される。環状流体チャンバ138は、インペラ134を収容する寸法であり、インペラ134が、好ましくは、インペラ34と同じ形状を有して、ロータ132と作動的に連結する。上側キャップ120は出口116を有し、下側キャップ124は入口114を、前述の例のように有する。上側・下側キャップ120、124は、好ましくは、中央に位置するハウジング又はリセス139、140を有して、シャフト136を収容するように配置され、これは第一実施例と同様である。
【0019】
燃料ポンプ112のモータ130は、第一実施例で記載したモータ30と概して同様であるが、しかし、空洞128内のモータ構成品の少なくとも幾つかの配置は相違している。モータ130は少なくとも一つの一般的には一対のブラシ144を有し、好ましくは,前述のように、環状壁122からブラシハウジング146内に保持されている。環状壁122は、第一実施例のブラシハウジング46と同様であるが、環状に離間した面147を提供して、分離した永久磁石162を取付ける。磁石162は適切な接着材を使用して、面147に直接接着さてとも良く、ブラシハウジング146と一体に形成された分離した磁石ハウジング(非図示)に保持されても良く、又は、溶接、スナップばめ又は接着材で別々に取りつけられても良い。各ブラシ144は、前述のように、好ましくは、スプリング152により偏倚されて、整流子150と接触が維持される。整流子150はシャフト136により回転するように支持され、複数の電線161により複数のコイル160と電気的に接続する。
【0020】
コイル160は、好ましくは、ロータ132に取付けられ、シャフト136と共に回転するように保持される。コイル160は、ロータ132の上側169に取付けられる。コイル160は周方向に互いに等間隔に配置され、永久磁石162から軸方向に所定距離離間している。燃料ポンプ112の作動は第一実施例で記載したものと同様であるから、ここでは再度説明はしない。
【0021】
本発明の別の実施例に従って構成された燃料ポンプ212が、図5に図示されている。燃料ポンプ212は、上側壁222を有する上側キャップ220と、下側壁226を有する下側キャップ224とを具える。上側キャップ220と下側キャップ224を連結すると、上側・下側壁222、226は互いに離間して、少なくとも部分的に空洞228を形成し、その空洞は、インペラ234を回転させる寸法の周縁流体チャンバ238を含む。インペラ234は、好ましくは、前述のインペラ34、134と同じ構造を有する。空洞228は少なくとも部分的にブラシレスモータ230を収容する寸法であり、そのモータは、少なくとも一つの磁石262が取り付けられた環状ロータ232を有する。上側・下側キャップ220、224の少なくとも一つが、ここでは両方のキャップ220、224が、ロータ232を少なくとも部分的に密接して収容して、駆動軸237の周りに同心に延びるチャネル229内で案内・回転させる。キャップ220、224内のチャネル229は、好ましくは、軸方向に互いに鏡対称に設けられて、運転状態で、比較的低い摩擦でロータ232が回転するのを助長する。前述の実施例のように,概して平坦なインペラ234が、ロータ232から分離して流体チャンバ238内に支持され、ロータ232から径方向外側に延設され、ロータ232の回転に応じて駆動軸237の周りに回転する。
【0022】
上側・下側キャップ220、224は、好ましくは、中央に位置するシャフトハウジング239、240を有し、それらのボアは互いに軸方向に心が合って、シャフト236と摩擦ばめ又はプレスばめされる寸法である。従って、シャフト236は、好ましくは、上側・下側キャップ220、224に固定されて、それらの間は流体止めシールがなされる。
【0023】
ブラシレスモータ230は、駆動軸237の周りに固定された電気的に印加される固定子213を有し、ここで図示したものはシャフト236により支持されている。固定子213は固定子ハウジング215を有し、その貫通ボア217はシャフト236と摩擦ばめされて、固定子213は、モータ230とキャップ220、224に対して静止を維持する。固定子213は、シャフトと一体に形成されても、溶接、接着又は他の方法で取り付けられても良い。固定子ハウジング215は、好ましくは、径方向外側に延びる互いに周方向に等間隔延びる複数のアーム221を有する。アーム221は、好ましくは、弓形外面231を有するT形端223を有する。T形端223は、アーム221の周りに電気的に印加可能な固定子コイル260を巻き易くする。
【0024】
コイル260は、好ましくは、複数の巻線で構成され、又は、適切な金属材製の、分離した平坦な積層した導体パッドで構成されても良い。コイル260は、自動車のバッテリ等の電源と、ここでは下側キャップ224を貫通するコネクタ256を介して、電気的に接続するように配置される。各コイル260は、各コネクタ256と電気的に接続されても良く、又は、コイル260は互いに電気的に接続され、一つ又は複数の電線243を介して、単一コネクタ256により電気的に接続しても良い。
【0025】
図6に示すように、磁石262は、好ましくは、円形リング磁石262として形成され、円筒形内面263を有し、固定子ハウジング215の外面231(図5)から径方向外側に所定距離離間して保持される。それ故、磁石262は、コイル260と磁気的に通じる。磁石262の外側環状面265は、好ましくは、ロータ232内に止まりばめされる寸法であり、磁石262をロータ232に取付け易くする。
【0026】
ロータ232は,好ましくは、例えば鋼等の比較的堅い弾力性材料製の連続円筒バンドとして構成される。鉄金属部材で構成されているので、ロータ232は、フラックスチューブとして作用して、要すれば磁石262から放出される磁界を導くように作用する。図5に明瞭に示すように、ロータ232は横断面が矩形であり、その両側面は、上側エッジ233と下側エッジ235との間で、駆動軸237と平行に延設されている。図7に示すように、ロータは、好ましくは、少なくとも部分的にチャネル229内に収容され、駆動軸237の周りを回転する時に、ロータ232を案内し易くする。ロータ232は、好ましくは、ロータのエッジ233、235から上下方向に軸方向に延びる複数のフィンガ245を有する。フィンガ245は、上側・下側キャップ220、224のチャネル229(図5)に近接し、しかし間隙を持って収容される。図10に明瞭に示すように、好ましくは、フィンガ245の先導エッジは、面取り又は丸い面247を有して、ロータ232の回転(回転方向R)を促進して、フィンガ245と上側・下側キャップ220、224との間の摩擦を減らす。フィンガ245は、周方向に等間隔に互いに離間し、一方のエッジ233のフィンガ245は、他方のエッジ235のフィンガ245と軸方向心が合って、フィンガ245により一様に力が掛かり、磨耗も一様である。ロータ232は任意数のフィンガを有し得て、ロータ壁の上側・下側エッジ233、255が、チャネル229内に回転するように収容される。
【0027】
ロータ232は、少なくとも一つの駆動部材を有し、ここでは複数の径方向に延びるタブ241を使用していて、インペラ234の周縁の複数のポケット280内等に作動するように係合・配置されて、ロータ232の回転に応じてインペラ234を駆動する。図7に示すように、タブ241は、好ましくは、ロータ232と一体であり、ロータ壁の中央部から打ち出されて曲げられている。タブはロータ232から別に形成されて、その後、溶接結合などで取付けられても良い。
【0028】
使用状態で、燃料ポンプ212はコネクタ256を介して電流を受けると、コイル260は励磁されて、回転する磁界を生じて磁石262を意図する方向に回転する。ロータ232は磁石262と共に回転し、タブ241はポケット280内でインペラ234と係合して、インペラ234がロータ232と共に回転する。従って、インペラ234とそのブレードの回転は、入口214で比較的低い圧力を生じて、液体燃料をポンプチャネルと流体チャンバ238に導き、比較的高い圧力で出口216を通って燃料を排出し、加圧した燃料をエンジンに送る。前述の実施例のように、インペラ234は浮動してロータ232から独立した回転中心なので、摩擦量が小さい状態で回転し、インペラ234が流体チャンバ238内で自己移動して中心が決まる。又、ロータ232は上側・下側キャップ220、224内のチャネル229内で自己移動して中心が決まるので、電気モータ内の摩擦を更に減らし、燃料ポンプ212とモータのアセンブリの全運転効率を改善する。
【0029】
本発明の更に別の実施例に従って構成された燃料ポンプ312が図8に図示されている。燃料ポンプ312は、環状の軸方向に延びる周縁フランジ325を有する平らな上側壁322を具えた上側キャップ320と、径方向外側に延びる周縁フランジ327を有する下側壁326を具えた下側キャップ324とを有する。上側キャップ320と下側キャップ324について、それらのフランジ325、327を連結すると、上側壁322、下側壁326は空洞328を形成し、その空洞はインペラ334を回転させる寸法の周縁流体チャンバ338を含む。インペラ334は、好ましくは、前述のインペラ34、134、234と同じ構造を有する。空洞328は少なくとも部分的にモータ330を収容する寸法であり、そのモータは、少なくとも一つの磁石362が取り付けられた円筒ロータ332を有する。磁石362は前述の磁石262と同様の構造である。上側・下側キャップ320、324の少なくとも一つが、ここでは両方のキャップ320、324が、ロータ332を少なくとも部分的に密接して収容して、駆動軸337の周りに同心に延びる環状チャネル329内で回転させる。環状チャネル329は前述の実施例チャネル229と同様であるので、更に説明はしない。前述の実施例のように,概して平坦なインペラ334が、ロータ332から分離して流体チャンバ338内に支持され、ロータ332から径方向外側に延設され、ロータ332の回転に応じて駆動軸337の周りに回転する。
【0030】
上側・下側キャップ320、324は、好ましくは、前述の実施例のポンプ燃料ポンプ212のように、シャフト336を静止して維持して、そこでは流体密シールが維持される。
【0031】
ブラシレスモータ330は駆動軸337の周りに固定された固定子313を有し、固定子コイル360がコネクタ356を介して電源と電気的に接続され、ここでの例ではコネクタ356は下側キャップ324を貫通するように図示されている。固定子313は他の形態に構成され得て、前述の実施例と同様に作用するようにしても良く、固定子313はこれ以上説明しない。
【0032】
ロータ332は前述の実施例のロータ232と同様に構成され、上側エッジ333と下側エッジ335は、好ましくは、そこから軸方向に延びるフィンガ345を有する。ロータ332は、少なくとも一つの駆動部材を有し、ここでは複数の径方向に延びるタブ341を使用していて、インペラ334の複数のポケット380内等に作動するように係合・配置されて、ロータ332の回転に応じてインペラ334を駆動する。図9に示すように、タブ341は、好ましくは、ロータ332と一体であり、ロータ壁の上側エッジ333から打ち出されて曲げられている。タブはロータ332から別に形成されて、その後、溶接結合などで取付けられても良い。ロータ332は、前述の実施例と同様に他の様態に構成されても良く、これについては、これ以上説明しない。
【0033】
ここでの開示に基づいて、燃料ポンプの技術の通常の技術者は、ここでの実施例以外のものが、請求項に記載の発明の範囲内で可能であることが分る。例えば、上側・下側キャップは、種々の構成を有して、空洞を形成して、モータ、ロータ、インペラを収容する。又、ロータ32、132、232、332の駆動部材は、別の構造でも良く、例えば、複数の駆動ラグ、駆動ドグ(掴み具)、駆動歯車であり、インペラ34、134、234、334の被駆動部材は、それら駆動部材が係合作動するような連結構成を有するようにしても良い。更に、インペラ34、134、234、334は、ロータ32、132、232、332から径方向外側に自由に浮動しているので、ロータとインペラの中心をずらして、ロータとインペラとの間にギア式駆動機構を設けて、インペラの回転の減速機構を提供できることが理解される。ここでの開示は例であり、発明を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】内燃エンジンの燃料系統図であり、燃料ポンプを内蔵する燃料タンクを含む。
【図2】本発明の実施例に従って構成された燃料ポンプ部分横断面の側面図である。
【図3】図2の線3−3に沿って見た拡大横断面図である。
【図4】本発明の他の実施例に従って構成された燃料ポンプ部分横断面の側面図である。
【図5】本発明の更に他の実施例に従って構成された燃料ポンプ部分横断面の側面図である。
【図6】図5の燃料ポンプのロータ・磁石アセンブリの平面図である。
【図7】図6のロータ・磁石アセンブリの部分斜視図である。
【図8】本発明の更に他の実施例に従って構成された燃料ポンプ部分横断面の側面図である。
【図9】図8の燃料ポンプのロータ・磁石アセンブリの部分斜視図である。
【図10】図9の円10の領域の拡大図である。
【符号の説明】
【0035】
10 燃料タンク
12、112、212、312 燃料ポンプ
14、114、214 入口
16、116、216 出口
18 燃料ライン
19 エンジン
20、120、220、320 上側キャップ
24、124、224、324 下側キャップ
28、128、228、328 空洞
30、130、230、330 モータ
32、132、232、332 ロータ
34、134、234、334 インペラ
36、136、236、336 シャフト
37、237、337 駆動軸
38、138、238、338 流体チャンバ
44、144 ブラシ
46、146 ブラシハウジング
50、150 整流子
52、152 スプリング
60、160、260、360 コイル
62、162、262、362 磁石
74 タブ
213、313 固定子
241、341 タブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ポンプであって、
空洞と駆動軸を有するハウジングと、
該駆動軸の周りに回転するように該空洞内に保持された、電気モータのロータと
環状インペラと、を具備し、
該インペラは、該駆動軸の周りに回転する該ロータにより駆動され、該ロータとは別に該空洞内に支持された、ことを特徴とする上記燃料ポンプ。
【請求項2】
前記ロータは駆動部材を有し、前記インペラは該駆動部材と係合するように配置された被駆動部材を有して、前記ロータの回転に応じて前記インペラを回転する、請求項1記載の燃料ポンプ。
【請求項3】
シャフトと、整流子と、ブラシとを具備し、
該シャフトは前記空洞内で回転するように前記ロータと該整流子を支持し、
該ブラシは、該整流子から径方向外側に位置して、該整流子と電気的に通じる、請求項1記載の燃料ポンプ。
【請求項4】
少なくとも一つの磁石と、
該磁石から軸方向に離間し該磁石と電気的に通じる励磁されるコイルと、を具備した請求項3記載の燃料ポンプ。
【請求項5】
前記ハウジングは上側壁と下側壁とを有し、
該上側壁と下側壁の一つが前記磁石を保持するように配置され、前記ロータは前記コイルを保持するように配置された、請求項3記載の燃料ポンプ。
【請求項6】
前記上側壁と下側壁の一つに保持されるブラシハウジングを具備し、該ブラシハウジングは、前記ブラシを収容する寸法であり、前記磁石を取付けるように配置された、請求項5記載の燃料ポンプ。
【請求項7】
前記ロータが前記駆動軸と略同心の延設された円筒壁を有する、請求項1記載の燃料ポンプ。
【請求項8】
前記インペラが、前記インペラの前記駆動軸に対する径方向の動きを制限するように、前記ハウジングから離間した、径方向外側に延設された周縁リブを有する、請求項1記載の燃料ポンプ。
【請求項9】
前記ハウジングが、前記インペラの軸方向及び径方向の動きを制限する寸法のチャンバを形成する、請求項8記載の燃料ポンプ。
【請求項10】
前記ハウジングは前記駆動軸の周りに同心に延設された環状チャネルを有し、該環状チャネルは前記ロータを少なくとも部分的に前記ロータを収容する寸法であって、前記駆動軸の周りに前記ロータを案内するように構成された、請求項1記載の燃料ポンプ。
【請求項11】
前記駆動軸の周りに固定支持された電気的に印加される固定子と、該固定子から径方向外側に位置し前記ロータにより保持された少なくとも一つの磁石とを具備し、該固定子が励磁されるのに応じて前記ロータを回転をさせる、請求項10記載の燃料ポンプ。
【請求項12】
前記ロータは前記駆動軸と平行に延設された円筒壁を有し、該円筒壁の少なくとも一つのエッジが、前記駆動軸の周りに回転するように前記チャネルに収容される寸法である、請求項10記載の燃料ポンプ。
【請求項13】
前記ロータは、互いに離間し、前記エッジから軸方向に延設されたフィンガを有し、該フィンガは前記環状チャネルに収容される寸法である、請求項12記載の燃料ポンプ。
【請求項14】
前記フィンガは面取りした面を有して、前記ロータの回転中に前記フィンガの摩擦を減少する、請求項13記載の燃料ポンプ。
【請求項15】
前記ハウジングにより保持され、前記空洞内に延設された前記駆動軸を形成するシャフトと、
該シャフトに固定され、励磁状態と非励磁状態間で作動される、前記電気モータの電気的に励起可能な固定子と、を具備し、
前記ロータは、該固定子から径方向外側に離間した円筒壁を有し、該固定子が励磁されると、該円筒壁は該固定子に対して回転し、
前記環状インペラは前記ロータにより回転駆動される、請求項1記載の燃料ポンプ。
【請求項16】
前記ロータは駆動部材を有し、前記インペラは被駆動部材を有し、該駆動部材は該被駆動部材と係合するように配置されて、前記ロータの回転に応じて前記インペラに力を及ぼして前記インペラを回転する、請求項15記載の燃料ポンプ。
【請求項17】
前記ハウジングは環状チャネルを有し、該環状チャネルは前記ロータの少なくとも一部を収容する寸法であって、前記ロータが前記固定子に対して回転する時に前記駆動軸の周りに前記ロータを案内するように構成された、請求項15記載の燃料ポンプ。
【請求項18】
前記ハウジングは、互いに鏡対称の軸方向に離間した一対の環状チャネルを有し、該環状チャネルは前記ロータの少なくとも一部を収容し、前記ロータが前記固定子に対して回転する時に前記駆動軸の周りに前記ロータを案内するように構成された、請求項15記載の燃料ポンプ。
【請求項19】
前記ハウジングに作動的に支持され、前記駆動軸の周りに回転するように前記空洞内に延設されたシャフトと、
前記駆動軸の周りに回転するように該シャフトにより支持された環状整流子と、
前記ハウジングにより支持され、該整流子と電気的に通じる少なくとも一つのブラシと、
前記空洞内に作動的に支持された磁石と、
前記ロータは該シャフトにより駆動され、該シャフトと共に回転し、
前記ロータにより支持されたコイルと、を具備し、
該コイルは励磁状態と非励磁状態との間で作動するように該整流子と電気的に通じ、該コイルは、その励磁した状態で該マグネットに向けて磁界を放射して、前記駆動軸の周りに前記ロータと該シャフトを回転し、
前記インペラが前記ロータと作動的に係合して、前記ロータの回転に応じて前記駆動軸の周りに前記インペラを回転するように構成された、請求項1記載の燃料ポンプ。
【請求項20】
前記ロータは駆動部材を有し、前記インペラは被駆動部材を有し、該駆動部材は該被駆動部材と係合するように配置されて、前記ロータの回転に応じて前記インペラを回転する、請求項19記載の燃料ポンプ。
【請求項21】
前記磁石は前記ハウジングの壁に取りつけられた請求項19記載の燃料ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−336643(P2006−336643A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147761(P2006−147761)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(502429154)ティーアイ グループ オートモーティヴ システムズ リミテッド ライアビリティー カンパニー (39)
【Fターム(参考)】