説明

燃料電池車輌の表示装置

【課題】燃料電池駆動の車輌においてその動力源の状態を表示するのに好適な表示装置を提供する。
【解決手段】燃料電池スタックを構成する各要素の出力をモニタして、その結果を運転席表示部に表示する。そのため、モータに対して燃料電池スタックと並列に接続されて充放電する補助出力源と、補助出力源の充放電状態を検出する第1の検出手段と、検出結果に基づいて、補助出力源からモータに対して放電状態であるか、又はモータから補助電源に対して充電状態であるかを切換えて表示する手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は燃料電池を用いた電動車輌用の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、エコロジーの観点から燃料電池を用いた電動車輌の開発が望まれている。かかる車輌では、フューエルエンジン駆動の車輌と駆動の方式が異なる。したがって、かかる旧来の車輌に慣れ親しんだユーザが燃料電池を用いた電動車輌を運転するとき、その動力源(燃料ガス、燃料電池スタック、バッテリ及びモータ等)がどのような状態になっているのか不安を覚えるおそれがあり、また運転者は状態を把握する義務がある。その他、これら動力源の状態は、不安とは別に、興味の対象にもなる。そこでこの発明は、燃料電池を用いた電動車輌においてその動力源の状態を表示するのに好適な表示装置を提供することを目的とする。
本件発明に関連する先行技術文献として特許文献1〜特許文献3を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−171842号公報
【特許文献2】特願平09−363672号(特開平11−178116号公報)
【特許文献3】特願平09−090269号(特開平10−271706号公報)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その第1の局面の構成は次のとおりである。燃料電池スタックの最大出力を保持する手段と、前記燃料電池スタックの現在の出力を検出する手段と、前記燃料電池スタックの最大出力と現在の出力とを比較する手段と、該最大出力と現在の出力との比較結果を表示する手段と、
を備えてなる燃料電池車輌用の表示装置。
このように構成された第1の局面の表示装置によれば、燃料電池スタックの最大出力に対する現在の出力の比率が例えばパーセント表示される。従って、燃料電池スタックの状態がユーザによって常に視覚的にモニタされることとなる。これにより、新規な方式に対する不安が解消される。それとともに、当該新規な構成の動作(燃料電池スタックの最大出力に対する現在出力の比率)をリアルタイムで表示することにより、ユーザの興味を満足させるアメニティの効果がある。
【0005】
この発明の第2の局面の構成は次のとおりである。燃料電池スタックに付設され充放電する補助出力源と、該補助出力源の充放電状態を検出する手段と、該検出結果に基づいて、前記充放電状態を表示する手段と、を備えてなる燃料電池車輌の表示装置。
【0006】
このように構成された第2の局面の表示装置によれば、燃料電池スタックのバックアップ電源としての補助出力源の充放電状態を常に視覚的にモニタできることとなり、ユーザに安心感を与える。それとともに、当該新規な構成の動作(充放電手段の充放電状態)をリアルタイムで表示することにより、ユーザの興味を満足させるアメニティの効果がある。
【0007】
この発明の第3の局面は次のとおり構成される。燃料電池スタックの現在の出力を検出する手段と、前記燃料電池スタックに付設された補助出力源の充放電状態を検出する手段と、前記燃料電池スタックの現在の出力と前記補助出力源の充放電状態とを同期して表示する手段と、を備えてなる燃料電池車輌の表示装置。
【0008】
このように構成された第3の局面の表示装置によれば、前記燃料電池スタックの現在の出力及び前記充放電手段の充放電状態が同期して表示されるので、車輌を駆動するモータに対する直接の電力供給源の状態を視覚的に把握でき、ユーザに安心感を与える。それとともに、当該新規な構成の動作(燃料電池スタックと補助出力源とが協働してモータに電力を供給)をリアルタイムで表示することにより、ユーザの興味を満足させるアメニティの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1はこの発明の一の実施例の燃料電池システムの構成を示す概念図である。
【図2】図2は制御系を示すブロック図である。
【図3】図3は一の実施例の運転席表示部を示す正面図である。
【図4】図4は他の実施例の運転席表示部を示す正面図である。
【図5】図5は他の実施例の運転席表示部を示す正面図である。
【図6】図6は燃料電池出力表示部の他の例を示す正面図である。
【図7】図7は燃料電池の効率表示部を示す正面図である。
【図8】図8はオドメータを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0010】
次に、この発明の実施例を図面を参照しながら説明する。図1にこの発明の実施例の燃料電池システム1の構成を示す。図1に示すように、この燃料電池システム1は燃料電池スタック2、水素吸蔵合金11を含む燃料供給系10、空気供給系40、水供給系50及び負荷系70から大略構成される。
【0011】
燃料電池スタック2は燃料電池の単位ユニットを複数接続したものである。この単位ユニットは、空気極と燃料極とで固体高分子電解質を挟持した構成の燃料電池本体を、更にカーボンブラックのセパレータで挟持した構成である。この単位ユニットの形状は特に限定されないが、セパレータと空気極との間には空気を流通させる空気流路が上下方向に形成される。セパレータと燃料極との間には水素ガスを流通させる水素ガス流路が形成されている。
【0012】
燃料供給系10では、水素供給路20を介して水素吸蔵合金11から放出された水素を燃料スタック2の各単位ユニットの水素ガス流路へ送る。水素供給路20には、水素調圧弁21が配設され、水素吸蔵合金11から放出された水素ガスを調圧している。符号23は水素供給電磁弁23であって、水素供給路20の開閉を制御している。図中の符号12は外部の水素供給源から水素吸蔵合金11へ水素を充填するときに使用するコネクタである。このコネクタ12にはスイッチ13が付設されており、外部の水素源にコネクタ12を接続するとスイッチ13が作動して、制御装置151(図2参照)に信号を送る。制御装置151はこの信号に基づいてトリップメータ160(図8参照)をリセットする。これにより、1回の水素の充填量に対する走行距離を告知することができる。燃料電池スタック2へ供給される直前の水素ガス圧は水素元圧センサ25でモニタされている。また水素ガスの流量は水素ガス流量計27でモニタされている。これらの圧力計25及び流量計27には周知の構成のものを用いる。
【0013】
水素吸蔵合金11には、これに吸蔵されている水素の残量を検出する手段を備える。水素の残量を検出する手段は特に限定されないがこの実施例においては水素吸蔵合金ボンベの内圧を測定する圧力計29が付設されている。水素吸蔵合金11に最大量の水素を吸蔵させたときのボンベの内圧と現在の内圧との比較から水素吸蔵合金11に吸蔵されている水素の残量が検出される。
【0014】
燃料供給系10において、燃料電池スタック2から排出される水素ガスは水素排気路30を介して大気へ放出される。水素排気路30には逆止弁31と電磁弁33が設けられている。逆止弁31は水素排気路30を介して空気が燃料電池スタック2の燃料極に進入することを防止する。電磁弁33は間欠的に駆動されて残留した水(及び無害化されたガス)を積極的に排出する。また、この水素排気路30、逆止弁31及び電磁弁33を総称して燃料ガス排出系と呼ぶ。図示はしないが配管30内には、燃焼手段としての触媒燃焼器が配され、排出口より排出された水素と外部から導入される空気とを触媒燃焼させ水(及び無害化されたガス)の状態で、電磁弁33を介して排出する。
【0015】
空気供給系40は大気から空気を燃料電池スタック2の空気流路に供給し、燃料電池スタック2から排出された空気を水凝縮器51を通過させて排気する。空気供給路41にはファン43が備えられ、大気から空気を空気マニホールド45へ送る。空気はマニホールド45から燃料電池スタック2の空気流路へ流入して空気極へ酸素を供給する。燃料電池スタック2から排出された空気は水凝縮器51(水回収装置)で水分が凝縮・回収されて大気へ放出される。空気マニホールド45に供給される空気の流量が空気流量センサ46により検出されている。このセンサ46には汎用的な流量計を用いることができる。燃料電池スタック2から排出される空気の温度は排気温度センサ47によりモニタされている。
【0016】
この実施例では、空気マニホールド45の側壁にノズル55が配設されて、これより吸気中に水が液体の状態で供給される。この水の大部分は液体の状態を維持したまま水凝縮器51に到達し、そのままタンク53へ送られて回収される。供給された水の一部は蒸発し、水凝縮器51において凝縮されて回収される。なお、排出空気に含まれる水蒸気には燃料電池スタック2の発電反応に伴う反応水に起因するものもあると考えられる。この水凝縮器51は汎用的な熱交換器(図示せず)を備え、これをファンの風で冷却して排出空気中の水蒸気を凝縮させて回収する構成である。
【0017】
水供給系50はタンク53の水をノズル55から空気マニホールド45へ供給し、この水を水凝縮器51で回収してタンク53に戻すという閉じられた系である。タンク53の水位は常に水位センサ56でモニタされている。水位センサにはフロート式のものを用いた。冬季にタンク53中の水が凍結しないようにタンク53にはヒータ57と凍結防止電磁バルブ58が取り付けられている。水凝縮器51とタンク53を連結する配管には電磁バルブ60が取り付けられてタンク53内の水が蒸発するのを防止している。
【0018】
タンク53の水はポンプ61により空気マニホールド内に配設されたノズル55へ圧送され、ここから空気極の表面に対して連続的若しくは間欠的に噴出される。この水は燃料電池スタック2の空気極に供給され、ここにおいて優先的に空気から潜熱を奪うので、空気極側の電解質膜からの水分の蒸発が防止される。従って、電解質膜はその空気極側で乾燥することなく、常に均一な湿潤状態を維持する。また、空気極の表面に供給された水は空気極自体からも熱を奪いこれを冷却するので、これにより燃料電池スタック2の温度を制御できる。即ち、燃料電池スタック2へ冷却水供給系を付加しなくても当該燃料電池スタック2を充分に冷却することができる。なお、排気温度センサ47で検出された排出空気の温度に対応してポンプ61の出力を制御し、燃料電池スタック2の温度を所望の温度に維持する。
【0019】
負荷系70は燃料電池スタック2の出力を外部に取り出して、モータ77を駆動させる。この負荷系70にはスイッチのためのリレー71と補助出力源となるバッテリ75が設けられ、バッテリ75とリレー71との間に整流用のダイオード73が介在されている。なお、燃料電池スタック2自体の電圧は電圧センサ76で常にモニタされている。このモニタ結果に基づき、図示しない制御回路で水素排気電磁弁33の開閉が制御される。
【0020】
燃料電池スタック2、バッテリ75及びモータ77の電力パスの交差点には、電力の分配装置80が配設されている。この電力分配装置80は、モータ77に要求される出力、燃料電池スタック2の現在の出力、バッテリ75のチャージ状況等に基づいて、電力の流れを制御する。例えば、モータ77に大きな出力が要求されるときには、燃料電池スタック2とバッテリ75の両方から電力がモータに供給されるようにする。また、モータ77が回生しているときには、モータ77で発電された電力をバッテリ75に送りそこにチャージさせる。このような電力の流れは、燃料電池スタックからの電力を検出する第1の電力計81、バッテリ75からの電力を検出する第2の電力計82及びモータ77への電力を検出する第3の電力計83により検出される。第2及び第3の電力計82、83は負の電力も測定する。
【0021】
次に、この実施例の表示装置について説明する。図2は、図3に示した表示装置200の各表示部を制御する制御系150の構成する要素を示すブロック図である。図1に示した各種センサには同一の符号が付してある。制御装置151はCPU153とメモリ155を備える。CPU153は各要素と図示しないインターフェースを介して接続されており、メモリ155に予め保存されている制御プログラムに基づいて各要素を制御する。
【0022】
図3は燃料電池を用いた電動車輌の運転席表示部200の一例を示す。この運転席表示部200は、速度表示部201、電源出力表示部203、水素残量表示部205、警告ランプ群207、エネルギー流れ表示部210を備えてなる。勿論、ウインカー表示部等の一般的な車輌に要求される表示部を備えるものであるが、それらは省略してある。
【0023】
速度表示部201は図示しない一般的な速度センサにより検出された現在の車輌の速度を表示する。電源出力表示部203は燃料電池スタック2とバッテリ75とで構成される電源の総出力を表示する。具体的には、FC電力計81とバッテリ電力計82でそれぞれ測定された電力(モータ77へ向かう電力を正とする)をCPU153で加算し、その結果を表示する。
【0024】
水素残量表示部205は水素吸蔵合金11に吸蔵されている水素の残量を表示する。メモリ155には水素吸蔵合金11に最大量の水素が吸蔵されたときの水素吸蔵合金タンクの内圧が保存されている。そして、CPUが圧力計(水素残量計)29で検出された現在の水素吸蔵合金タンクの内圧を当該保存されていた最大吸蔵量に対応する内圧と比較し、メモリ155に保存されている所定の規則に従い水素残量を演算する。
【0025】
警告ランプ群207は燃料電池システム1に異常が発生したとき、その異常の発生元を運転者に知らせる。ガスリークランプ2071は水素吸蔵合金11に充分な量の水素が吸蔵されているにも拘わらず、水素元圧センサ25で検出した水素供給路20の圧力が所定の値よりも小さくなったとき、点灯もしくは点滅される。水素供給系10から水素ガスがリークしたおそれがあるからである。
【0026】
電圧低下ランプ2072は、電圧センサ76で検出する燃料電池スタック2の出力電圧が所定の値より低くなったとき、点灯もしくは点滅される。電圧低下の原因として電解質膜の劣化等が考えられる。排気温度ランプ2073は、排気温度センサ47で検出する燃料電池スタック2の排出空気の温度が所定の温度より高くなったとき、点灯もしくは点滅される。排出空気の温度は燃料電池スタック2の反応温度を反映しているので、排出温度が高くなると、スタック2内において異常反応の発生しているおそれがある。
【0027】
電池加熱ランプ2074は、冷間時に燃料電池スタック2を起動すべく、水タンク53をあたためるためにヒータ57をONしている間点灯もしくは点滅される。冷間時は水タンク内の水が凍る可能性があるため、ヒータ57にて充分な温度まであたためて(燃料電池スタック2に水が供給可能な状態にして)いる間、燃料電池は起動されない。
【0028】
水素不足ランプ2075は水素残量計29により検出された水素吸蔵合金11中の水素の残量が所定の値(例えば、最大吸蔵量の10%)を下回ったとき、点灯もしくは点滅される。空気不足ランプ2076は空気流量センサ46により検出された空気の流量が所定の値を下回ったとき、点灯もしくは点滅される。空気流量の低下は、例えばファン43の図示しないエアフィルタの目づまり等に起因する。
【0029】
水不足ランプ2077は、水位センサ56により検出された水タンク53の水位が所定の範囲(最大許容量の50〜80%)を下回ったとき、点灯もしくは点滅される。水が不足すると、燃料電池スタック2の冷却及び保湿機能に支障を来たすおそれがある。とくに、始動時に水が不足すると、水素ガスを燃料電池スタック2へ供給する前に燃料電池の空気極を十分に湿潤できない場合があり、そこで異常反応が生じるおそれがある。水過剰ランプ2078は、水位センサ56により検出された水タンク53の水位が上記所定の範囲を超えたとき、点灯もしくは点滅される。水供給系50において水が過剰になるとこれからオーバーフローするおそれがあり、好ましくない。なお、発電反応により反応水が生成されるので、この反応水を水凝縮器51により高い効率で凝縮して水供給系50に取り込むと、水供給系50内の水量が増加することとなる。
【0030】
エネルギー流れ表示部210は、水素流量表示部2101、空気流量表示部2102、燃料電池出力表示部2103、バッテリ出力表示部2104及びモータ消費電力表示部2105を備えてなる。水素流量表示部2101は、水素流量計27により検出された水素流量を表示する。この水素流量は燃料電池スタック2に供給されるべく水素供給路20を流通する水素ガスの量を示す。図例では、100L/minの量の水素ガスが燃料電池スタック2に供給されている。空気流量表示部2102は、空気流量センサ46により検出された空気流量を表示する。この空気流量は燃料電池スタック2の空気マニホールド45に供給されるべくファン43から送られる空気の量を示す。図例では、1000L/minの量の空気が空気マニホールド45に供給されている。
【0031】
燃料電池出力表示部2103は第1の電力計81で検出された電力を表示する。図例では、20kWの電力が燃料電池スタック2から供給されていることがわかる。また、燃料電池出力表示部2103のサブウインドウにおいて燃料電池スタック2の最大出力に対する現在出力の割合がパーセント表示されている。バッテリ出力表示部2104は第2の電力計82で検出された電力を表示する。図例では、−5kWの電力が出力されている。これは即ち、燃料電池スタック2の出力の内の5kWの電力がバッテリ75にチャージされていることを意味する。また、バッテリ出力表示部2104のサブウインドウにおいてバッテリ75の最大出力に対する現在出力の割合がパーセント表示されている。
【0032】
従って、モータ77に供給される電力は15kWとなり、この値の電力が第3の電力計83で検出されてモータ消費電力表示部2105に表示される。なお、モータ77が回生しているときは、モータ消費電力表示部2105の値は負となる。若しくは、表示部上の「モータ消費電力」の表示を「モータ回生電力」と変えて、回生電力を正の値で表示することも可能である。これらエネルギー流れ表示部210の各表示部2101〜2105の表示は同期してなされる。従って、燃料電池システムを備えた電動車輌におけるエネルギーの流れが目視により把握できる。
【0033】
図4に他の実施例の運転席表示部300を示す。この運転席表示部300は、速度表示部301、電源出力表示部303、エネルギー流れ表示部310及び空気汚れ表示部320を備えてなる。勿論、ウインカー表示部等の一般的な車輌に要求される表示部を備えるものであるが、それらは省略してある。
【0034】
速度表示部301は図示しない一般的な速度センサにより検出された現在の車輌の速度を表示する。電源出力表示部303は燃料電池スタック2の出力を表示する部分3031とバッテリ75の出力を表示する部分3032とから構成される。第3の電力計83で検出されたモータ77に供給される電力に占める燃料電池スタック2の出力(第1の電力計81で検出される)とバッテリ75の出力(第2の電力計で検出される)の割合を制御装置151で演算し、それぞれ燃料電池出力表示部3031とバッテリ出力表示部3032にパーセントの値で表示する。なお、バッテリ75へ充電しているときは、バッテリ出力表示部3032は0%の値を表示する。
【0035】
エネルギー流れ表示部310は水素吸蔵合金11のタンクを表示する水素タンク表示部3101、燃料電池表示部3103、バッテリ表示部3104、及びモータ回転表示部3106を備えてなる。各部はエネルギーパスで3110、3111で連結され、エネルギーの流れ方向を示すようにこのパス3110、3111は点滅する。即ち、水素吸蔵合金11から水素が燃料電池スタック2へ供給されているときには、エネルギーパス3110において水素タンク表示部3101から燃料電池表示部3103へ点灯したセグメントが移動する。燃料電池スタック2の出力とバッテリ75の出力がともにモータ77へ供給されているときには、エネルギーパス3111において燃料電池表示部3103とバッテリ表示部3104からモータ回転表示部3106へ点灯したセグメントが移動する。一方、回生時には、モータ回転表示部3106が逆回転の表示をするとともに、エネルギーパス3111においてモータ回転表示部3106からバッテリ表示部3104へ点灯したセグメントが移動する。上記において、エネルギーパス3110の表示は水素ガス流量計27の検出結果を制御装置151が処理することにより実行される。エネルギーパス3111の表示は第1〜3の電力計81〜83の検出結果を制御装置151が処理することにより実行される。
【0036】
水素タンク表示部3101は残量表示部31011、継続走行可能距離表示部31012及び警告表示部31013を備える。残量表示部31011の表示は水素残量計29の検出結果を制御装置151が処理することにより実行される。継続走行可能距離表示部31013の表示は、制御装置151においてモニタされている現在の走行パターン(単位距離を走行するに当たり消費される水素ガスの量)を参照して、水素の残量を制御装置151が処理することにより実行される(走行し得る距離を数値で表示する)。警告表示部31013は水素の残量が所定の閾値を下回ったとき、水素残量不足を表示する。この警告表示部31013の表示も、水素残量計29の検出結果を制御装置151が処理することにより実行される。
【0037】
燃料電池表示部3103は警告表示部31031を備え、この警告表示部31031は燃料電池スタック2の温度が所定の温度を超えたときに当該異常加熱を表示する。この警告表示部31013の表示は排気温度センサ47の検出結果を制御装置151が処理することにより実行される。
【0038】
バッテリ表示部3104は充電状態表示部31041を備える。この充電状態表示部31041はバッテリ75の充電状態を表示する。この充電状態表示部31041の表示は、バッテリ75に付設された汎用的なバッテリ残量計の検出結果を制御装置151で処理することにより実行される。
【0039】
モータ表示部3106はモータ77の回転を表示し、駆動状態と回生状態とではその回転表示が逆転する。このモータ表示部3106の表示は、第3の電力計83の検出結果を制御装置151を処理することにより実行される。
【0040】
空気汚れ表示部320は車輌室内の空気の汚れ状態を表示するものである。この空気汚れ表示部320の表示は室内に配置されている空気汚れセンサ170の検出結果を制御装置151が処理することにより実行される。
【0041】
図5には他の実施例の運転席表示部400を示す。この運転席表示部400は、速度表示部401、電源出力表示部403、水素吸蔵合金の温度表示部405、水素残量表示部406、車間距離計408、警告表示部409、411及びナビゲーション用モニタ412を備えてなる。勿論、ウインカー表示部等の一般的な車輌に要求される表示部を備えるものであるが、それらは省略してある。
【0042】
速度表示部401、電源出力表示部403、水素残量表示部406の動作は既述の実施例のそれらと同じである。水素吸蔵合金11の温度表示部は405は、水素吸蔵合金11の温度を表示するものであり、その表示は温度計28の検出結果を制御装置151が処理することにより実行される。車間距離計408は図示しない車輌に備えつけられた車間距離検出手段により検出された前後の車輌に対する車間距離を表示する。また前記車間距離検出手段により検出した車間距離と車速に応じて相対距離及び相対速度の情報を算出し、この情報に基づき運転者に危険な状況か否かを図示しない告知手段により告知する。
【0043】
警告表示部409はバッテリ75の充電状態を信号表示に見たてた3段階(青、黄、赤)で表示する。この表示は、バッテリ75に付設された汎用的なバッテリ残量計の検出結果を制御装置151で処理することにより実行される。警告表示部410は燃料電池スタック2の出力状態を信号表示に見たてた3段階(赤、黄、青)で表示する。この表示は、燃料電池スタック2に付設された電圧計76の出力結果を制御装置151で処理することにより実行される。水素残量表示部406が水素残量計29により検出された水素吸蔵合金11中の残量が所定の値(例えば、最大吸蔵量の10%)を示した時、図示しないナビゲーション装置は車輌の現在位置周辺、もしくは所定範囲内にある水素充てんスタンドの場所をナビゲーション用モニタ412を通して表示、案内を行う。
【0044】
図6は他の形態の燃料電池出力表示部503を示す。この燃料電池出力表示部503では、最もよく使われる範囲の出力(0〜20kW)の幅が広く取られている。この表示部503の表示は、第1の電力計81の検出結果を制御装置151で処理することにより実行される。
【0045】
図7は燃料電池スタック2の効率を表示する効率表示部600の例を示す。この効率は燃料電池スタック2へ供給される水素ガスの流量(水素ガス流量計27にて検出)、燃料電池スタック2自体の電圧(電圧センサ76にて検出)及び燃料電池スタックが発生している電力(第1の電力計81)から演算して求められ、表示される。この水素ガス流量計27、電圧センサ76及び第1の電力計81によりエネルギー変換効率を検出する手段が構成され、またこの効率表示部600により、検出されたエネルギー変換効率を表示する手段が構成される。
【0046】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【0047】
(100) 前記表示手段は前記最大出力に対する前記現在の出力の比率を%表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
(101) 前記燃料電池装置の出力を検出する手段と、検出された前記燃料電池装置の出力を表示する手段と、を備えてなる燃料電池車輌用の表示装置。
【0048】
(201) 燃料電池スタックに供給される燃料ガスのガス圧を検出する手段と、検出された該燃料ガスのガス圧を表示する手段と、を備えてなる燃料電池車輌用の表示装置。
(202) 燃料電池スタックに供給される空気の流量を検出する手段と、検出された該空気の流量を表示する手段と、を備えてなる燃料電池車輌用の表示装置。
(203) 燃料電池スタックの温度を検出する手段と、検出された該燃料電池スタックの温度を表示する手段と、を備えてなる燃料電池車輌用の表示装置。
【0049】
(801) 室内の空気の汚れ状態を検出する手段と、該検出手段の検出結果に基づき、空気の汚れ状態を表示する手段が備えられている、ことを特徴とする燃料電池車輌用の表示装置。燃料電池自動車を運転してクリーンな排気ガスを出していること実感しているユーザにとって、車内空気の汚れ状態もまた関心のあることである。従って、このように燃料電池車輌において車内空気の汚れ状態を表示することは、ユーザに安心感を与える。また、アメニティの効果もある。
(1000) 請求項1〜11、並びに(101)、(201)〜(203)及び(801)から選ばれる少なくとも2つの要素を具備してなる、ことを特徴とする燃料電池車輌の表示装置。
(901) 請求項1〜11、並びに(101)、(201)〜(203)及び(801)のいずれかに記載の各検出手段により検出された結果が所定の範囲から外れるものであったとき、警告ランプを表示させること、を特徴とする請求項1〜11、並びに(101)、(201)〜(203)、(801)及び(1000)のいずれかに記載の燃料電池車輌の表示装置。
【符号の説明】
【0050】
1 燃料電池システム
2 燃料電池スタック
11 水素吸蔵合金
151 制御装置
200、300、400 運転席表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに対して燃料電池スタックと並列に接続されて充放電する補助出力源と、
該補助出力源の充放電状態を検出する第1の検出手段と、
該検出結果に基づいて、前記補助出力源から前記モータに対して放電状態であるか、又は前記モータから前記補助電源に対して充電状態であるかを切換えて表示する手段と、を備えてなる燃料電池車輌の表示装置。
【請求項2】
前記燃料電池スタックの電力を検出する第2の検出手段と、
前記第2の検出手段で検出された電力を表示する燃料電池電力表示部と、を更に備えてなることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車輌の表示装置。
【請求項3】
前記燃料電池スタック及び前記補助出力源に接続されたモータの消費電力を検出する第3の検出手段と、
該第3の検出手段で検出された消費電力を表示するモータ消費電力表示部、
を更に備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池車輌用の表示装置。
【請求項4】
前記第1の検出手段で検出された前記補助出力源からの電力と前記第2の検出手段で検出された前記燃料電池スタックからの電力を加算する手段と、
該加算された結果を表示する電源出力表示部と、を更に備えてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池車輌用の表示装置。
【請求項5】
前記燃料電池スタックへ供給される水素ガスの流量を検出する第4の検出手段と、
前記第4の検出手段の検出結果に基づいて、前記水素ガスの流量を表示する水素流量表示部と、を更に備えてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料電池車輌用の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−246388(P2010−246388A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107786(P2010−107786)
【出願日】平成22年5月8日(2010.5.8)
【分割の表示】特願2004−178911(P2004−178911)の分割
【原出願日】平成10年7月31日(1998.7.31)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】