説明

燈体、および、その製造方法

【課題】ドアミラーに組込まれるような燈体において、少ない電源を用いるものでありながら、視認性、意匠性の高い燈体を構成するにあたり、光源ユニットを簡単かつ作業性よく形成できるようにする。
【解決手段】光源ユニット7は、第一〜第五バスバー相当部8B、9B、10B、11B、12Bを、あいだにスリットを存して第一〜第六連結部J1、J2,J3,J4,J5,J6で連結した一枚状の板体Bとして打ち抜き、該板体Bに、折曲工程と、第一〜第三発光ダイオード13、14、15と基板16とを接合する接合工程と、板体Bの第一〜第六連結部J1、J2,J3,J4,J5,J6を打ち抜く打ち抜き工程とを施すことにより、折曲部を有した第一〜第五バスバー8、9、10、11、12を用いた給電回路が形成される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに取付けられるドアミラー等に設けられる燈体、および、その製造方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用の燈体のなかには、車両(車体)のドアに左右方向外方に向けて突出状に設けられるドアミラーのボディーにターンランプ(方向指示器)として組込まれ、車両の前後に単独で設けられるターンランプとともに点灯させることにより、車両の左右方向外方から前方に向けて光を放射して、周囲の人に対して一層強くアピールするようにしたものが知られている。
このようなターンランプのなかには、ドアミラーのボディーの突出側端部から前方に至る左右方向に長い部分に設けて点灯させるようにしたものがあり、このものでは、ボディーの突出端部となるターンランプの左右方向一端部において点灯し法定要件で要求される照度を満足するための光源と、ターンランプの左右方向他端部から中間部に至る部位において点灯し意匠性を満足する光源とが設けられている。この場合に、複数の光源を発光ダイオードとしたものでは、これら複数の発光ダイオードを、給電回路を構成する複数の薄板状の陽極用、薄板状のバスバーに接合して光源ユニットに形成し、該光源ユニットを、ターンランプを構成するハウジングとレンズとのあいだに介装する構成とすることが知られている。
このようなものとしては、陽極用、陰極用バスバーとなる部位を、あいだにスリットを存して複数の連結部により連結されて一枚状に打ち抜かれた板体を用い、該板体に複数の発光ダイオードを接合し、該接合作業の終了後に前記複数の連結部を切断することにより、板体が陽極用、陰極陽バスバーとなって各発光ダイオードが直列接続された給電回路を構成するようにしたものが提唱されている(特許文献1)。しかしながら、前記特許文献1のものは、接合作業を確実、かつ、簡略にすることはできるものの、バスバーが平板状であるが故に、各発光ダイオードの配置が二次元的なものになり、このような光源ユニットをドアミラーに組込まれる左右方向に長いターンランプに用いた場合では、発光ダイオードの放射方向が同方向となって、多くの発光ダイオードを必要とするうえ、点在的な放射状態となって意匠性に劣るという問題がある。
一方、光源ユニットを構成する複数のバスバーを適宜折曲してバスバーの板面の向きを変え、発光ダイオードの放射方向を三次元的に変化させる構成として、少ない光源を用いるものでありながら、左右方向に長く、かつ、前方に膨出するドアミラーのボディー形状に沿わせた放射状態となるようにして、意匠性の高いターンランプとなるようにしたものが提唱されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−149755号公報
【特許文献2】特開2009−99455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献2のものは、特許文献1のように予め一枚板状のバスバーに発光ダイオードを接合するのではなく、複数に分割された陽極用、陰極用バスバーをそれぞれ打ち抜き形成し、これを折曲し、これら分割された複数の陽極用、陰極用バスバーに対し、複数の発光ダイオードの接続端子やこれら発光ダイオードへの給電を制御する部品が搭載された基板を接合することにより一体化された光源ユニットを構成するようにしている。このため、ターンランプの放射状態を優れた意匠にすることはできるものの、光源ユニットの部品点数が多くなって作業が煩雑、かつ、難しいという問題がある。そのうえ、複数のバスバーをそれぞれ個別に打ち抜き、折曲する工程を実施するため、それぞれの加工時に個別の寸法誤差を生じ、これらを接合して一体化することにより光源ユニットに捻れや歪みが生じることがあり、このようになると、発光ダイオードや基板との接合部に負荷が作用して導通不良や、接合部の剥離等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、複数の発光ダイオードと、これら発光ダイオードへの給電を制御する基板とを、複数の陽極用、陰極用バスバーにより構成される給電回路に接合してなる光源ユニットを備えた燈体を構成するにあたり、前記光源ユニットは、前記陽極用、陰極用バスバーとなる部位を、あいだにスリットを存して複数の連結部で連結した一枚状の板体として打ち抜き、該板体に、折曲工程と、複数の発光ダイオードと基板とを接合する接合工程と、板体の前記連結部を打ち抜く打ち抜き工程とを施すことにより、折曲部を有した複数の陽極用、陰極用バスバーに分割されて給電回路が構成されていることを特徴とする燈体である。
請求項2の発明は、複数の発光ダイオードと、これら発光ダイオードへの給電を制御する基板とを、複数の陽極用、陰極用バスバーにより構成される給電回路に接合してなる光源ユニットを備えた燈体において、前記光源ユニットを、前記陽極用、陰極用バスバーとなる部位を、あいだにスリットを存して複数の連結部で連結した一枚状の板体として打ち抜く工程と、板体に折曲部を形成する工程と、板体に複数の発光ダイオードと基板とを接合する工程とを実施した後、板体の連結部を打ち抜いて陽極用、陰極用バスバーに分割し、複数の発光ダイオードへの給電回路を形成する工程を実施して形成したことを特徴とする燈体の製造方法である。
請求項3の発明において、板体の連結部は、打ち抜き方向が同方向になるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の燈体の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、2の発明とすることにより、光源ユニットのバスバーに捩れや歪みが生じることを確実に防止できて、長期にわたり信頼性の高い光源ユニットを作業性よく製造することができる。
請求項3の発明とすることにより、光源ユニットの組込み作業の作業性を一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ドアミラーの斜視図である。
【図2】ターンランプの分解斜視図である。
【図3】図3(A)、(B)、(C)はそれぞれアウターレンズの正面図、背面図、斜視図である。
【図4】図4(A)、(B)はそれぞれインナーハウジングの斜視図、斜視図である。
【図5】図5(A)、(B)はそれぞれ光源ユニットの正面図、斜視図である。
【図6】図6(A)、(B)は第一、第二、第三発光ダイオードの放射状態を説明する断面図、図6(A)におけるX−X断面図である。
【図7】板体Bの正面図である。
【図8】図8(A)、(B)はそれぞれ光源ユニットの製造工程における側面図、平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は乗用車のドアに配設されるドアミラーであって、該ドアミラー1を構成するミラーボディー1aは後方(車両の進行方向後方)部位にミラー用の開口部が形成され、該ミラー用の開口部に、図示しないミラーが位置調整自在に嵌め込まれている。前記ミラーボディー1aの前方(車両の進行方向前方)部位は前方に向けて膨出状に形成されており、該膨出部の上下方向中間部には、前方部位から左右方向外方にわたって横長状に開口する開口部1bが形成され、該開口部1bに、本発明の燈体に相当するターンランプ2が一体的に組込まれている。
ここで、前記ドアミラー1は左右対称状のものが車両の左右のドア体に取付けられるが、本実施の形態では、図1に示すように、車両に乗車した運転手の視点を基準として左側に設けられたドアミラー1について説明をし、右側に設けられるドアミラー1についての説明は省略する。
【0009】
前記ターンランプ2は、ミラーボディー1aに一つの組立て部品として組込まれるように構成されており、ミラーボディー1aの開口部1bの内側(奥側、車両後方)に位置して組込まれるベースハウジング3と、車両前方に位置して設けられ、ベースハウジング3に突き当て状に一体化されるアウターレンズ4と、これらのあいだに設けられるインナー部材5とを備えて構成されている。
【0010】
前記ベースハウジング3は、非透明部材(非透光性樹脂材)により一体型成形されており、ミラーボディー1aの膨出部に形成される開口部1bの形状に対応して左右方向長尺状で、かつ、ドアミラー1の左右方向外方となる左端部位が後方に向けて折曲することにより前方に膨出する湾曲形状に形成されている。そして、ベースハウジング3は、底片部3aと、該底片部3aの外周縁部から前方に突出する側片部3bとにより、前方から左方に向けて開口する凹溝状に形成されたものとなっており、側片部3bの左側部位を除く前端縁部には、溝外方向に延出する突当て片3cが一体形成されている。また、前記底片部3aの左右方向内端部(右端部)には、外部電源を接続するための筒状のカプラ3dが左右方向内方(右方)に向けて突出状に一体形成されている。
【0011】
一方、前記アウターレンズ4は、透明樹脂材(透光性樹脂材)により一体型成形することにより、ベースハウジング3の凹溝を覆蓋するよう左右方向長尺状で、かつ、ミラーハウジング1aの膨出形状に沿うよう前方に膨出する湾曲形状に形成されている。そして、アウターレンズ4は、後方が開口し、左右方向外端側(左端側)ほど深溝となる凹溝形状に形成されており、湾曲状の底片部が前方に光を放射するレンズ部4aとなっている。前記レンズ部4aの外周縁部には後方に突出する側片部4bが一体形成されており、該側片部4bの左側部位を除く後端縁部には、溝外方向に延出し、ベースハウジング3の突当て片3cに突当てられて一体化される突当て片4cが一体形成されている。
そして、前記レンズ部4aの上下方向中間部の後面には、後方に突出することにより凸レンズ状となった左右方向に長い凸レンズ状部4dが、上下方向に三本並列する状態で一体形成されている。前記三本の凸レンズ状部4dの突出状の後面には、それぞれ集光手段として非平滑面を形成するべくしぼ加工が施されている。また、側片部4bのうち左右方向外端(左端)の側片部4bの内側面には、前記凸レンズ状部4dに続く状態で溝内側に突出する突出部4eが形成されており、該突出部4eには、それぞれ光拡散手段としての三次元的なカット面が形成されている。
【0012】
一方、ベースハウジング3とアウターレンズ4とのあいだに内装されるように設けられるインナー部材5は、非透明、透明の何れかの樹脂材を一体型成形することにより構成されるインナーハウジング6と、該インナーハウジング6の後方から組込まれる光源ユニット7とにより構成されている。
前記インナーハウジング6は、非透明部材(非透光性樹脂材)により一体型成形されており、ベースハウジング3、アウターレンズ4と同様に前方に膨出する湾曲形状の上下一対のベース片部6aと、該ベース片部6aの外周縁部から後方に突出する側片部6bと、上下のベース片部6aとのあいだに位置して後方に退避する凹溝部6cとを備えて構成されており、前記凹溝部6cは、アウターレンズ4の凸レンズ状部4dに対向しており、左端側ほど深溝となるように形成されている。そして、凹溝部6cを構成する底片部は、左右方向複数(本実施の形態では四つ)に分割されて前方を向く第一、第二、第三、第四の前向き片6d、6e、6f、6gにより構成され、これら第一〜第四前向き片6d、6e、6f、6gは左側のものほど深溝となるよう後方に偏寄して段差状に配設されており、これによって、凹溝部6cは、第一、第二、第三前向き片6d、6e、6fを溝底とし、左側が開放された都合三つの第一、第二、第三凹部R1、R2、R3に区画されている。そして、各前向き片6d、6e、6f、6g同士のあいだであって、各第一、第二、第三凹部R1、R2、R3を構成する右側の溝側片部位、即ち、第一、第二前向き片6d、6e同士のあいだの段差部、第二、第三前向き片6e、6f同士のあいだの段差部、第三、第四前向き片6f、6g同士のあいだの段差部に、それぞれ左右方向に貫通する第一、第二、第三空隙部S1、S2、S3が形成されている。
ここで、左右方向中間部に位置する第三前向き片6fは、他の前向き片6d、6e、6gよりも長く形成され、これによって、第一、第二空隙部S1、S2はインナーハウジング6の左端側に近接して形成され、第三空隙部S3は第一、第二空隙部S1、S2とは離れて右端側に近接して形成されている。
また、左右方向中間部に位置する第二、第三前向き片6e、6fの前面には、前方に突出する上下方向に長い突リブ6hが複数形成されている。さらに、インナー部材6は前方を向く面、即ち、ベース片6aの前面、さらには、第一〜第四前向き片6d、6e、6f、6gと凹溝部6cの上下の溝側片6i、6jで構成される凹溝部6cの溝内面全体に、金属を蒸着させる等の手段により金属膜からなる反射面が形成されている。
【0013】
前記光源ユニット7は、後述するように、五枚のプレート状の第一〜第五バスバー8、9、10、11、12と、これら第一〜第五バスバー8、9、10、11、12に接合され、光源ユニット7の左右方向三箇所において接合される光源としての第一、第二、第三発光ダイオード13、14、15と、第一、第二バスバー8、9に形成された基板接続端子部8a、9aを介して接続され、前記第一〜第三発光ダイオード13、14、15に必要な電源供給をするための電子制御部品が設けられた制御基板16とによりユニット化されたものに構成されている。そして、第一、第五バスバー8、12に一体形成された外部接続端子部8b、12aを外部電源に接続することで、第一〜第五バスバー8、9、10、11、12、および、第一、第二バスバー8、9に形成された基板接続端子部8a、9aに接続された基板16とが、第一〜第三発光ダイオード13、14、15への給電回路となって、第一〜第三発光ダイオード13、14、15を点灯するように構成されている。
前記光源ユニット7は、インナーハウジング6の後方から前方に向けて組込まれるが、このとき、第一〜第三発光ダイオード13、14、15は、それぞれ第一〜第三空隙部S1、S2、S3の右方から左方に向けて遊嵌するように組込まれる構成となっており、この組込み状態においてインナーハウジング6に一体化されたインナー部材5が構成されている。この一体化状態において、第一〜第三発光ダイオード13、14、15の各ランプ部13a、14a、15aの光は、各空隙部S1、S2、S3の左側に位置する前向き片6d、6e、6fを溝底片として区画され、反射面が形成された各第一、第二、第三凹部R1、R2、R3の溝内面に向けてそれぞれ照射するように構成されている。
【0014】
そして、このように組込まれたインナー部材5(インナーハウジング6、光源ユニット7)はベースハウジング3の溝内に内装されるが、このとき、インナー部材5(光源ユニット7)の外部接続端子部8b、12aは、ベースハウジング3のカプラ3d筒内の図示しない仕切り片に開設された挿通孔に挿し込まれ、外部接続端子部8b、12aの右端部がカプラ3dの筒内において外部に露出するように構成されている。そして、このものに対し、アウターレンズ4を前方から組込むことでインナー部材5がベースハウジング3とアウターレンズ4とのあいだに内装、支持され、この状態において、ベースハウジング3の突当て片3cをアウターレンズ4の突当て片4cに突当て、左側部位の側片部3b、4b同士を突当てて、これら突当て部同士を封止状に一体化することによりターンランプ2が形成されるように構成されている。
【0015】
そして、ターンランプ2の組込み状態において、第一〜第三発光ダイオード13、14、15が点灯した場合に、左端部に設けられる第一発光ダイオード13は、アウターレンズ4の左側の側片部4bのカット面が形成されて光を拡散して放射する突出部4eを含む部位を照射し、第一発光ダイオード13に近接する第二発光ダイオード14は、アウターレンズ4のしぼ加工が施されて集光した光を放射する凸レンズ状部4dの左側部位を含む部位を照射し、右側部位に設けられる第三発光ダイオード15は、アウターレンズ4のしぼ加工が施されて集光した光を放射する突レンズ状部4dの右側部位を含む部位を照射するように構成されている。このとき、各第一〜第三発光ダイオード13、14、15は、前述したように、反射面が設けられた凹溝部6c内において点灯しており、これによって、レンズ部4の前記各部位は、直接照射する光と、各反射面により多重反射した光とにより照射されることになって、レンズ部4aの左側部位からは広角でしかも多くの光が放射されて、車両の走行方向指示器として機能するための法定要件を満足して視認度の高い放射状態となり、レンズ部4aの左側部位を除く前方部位においては、ムラのない均一な放射状態になるとともに、上下三本の凸レンズ状部4dがレンズ部4aの他の部位よりも明るく際立つ放射状態となって意匠性の優れたターンランプ2となるように構成されている。
【0016】
さて、前記光源ユニット7は、前述したように、五枚の第一〜第五バスバー8、9、10、11、12と、第一〜第三発光ダイオード13、14、15と、基板16とによりユニット化されたものに構成されているが、つぎのような手順で形成することにより、部品点数が多いものでありながら、簡単、かつ、精度よく組込むことができるうえ、各バスバー8、9、10、11、12の寸法誤差に基づく捩れや歪みがなくなって、導通不良等の不具合のない信頼性の高い光源ユニット7を提供できるように構成されている。
ここで、第一〜第五バスバー8、9、10、11、12は、光源ユニット7に電源供給されたときの電流経路順に番号が付与されている。
【0017】
まず、第一工程では、図7に示すように、五枚の第一〜第五バスバー8、9、10、11、12となるべく、互いに所定間隙(スリット)を存して配される第一〜第五バスバー相当部位8B、9B、10B、11B、12Bを備えた板体Bを打ち抜き形成するが、前記板体Bにおいて、第一、第二バスバー相当部8B、9B同士は第一連結部J1により連結され、第二、第三バスバー相当部9B、10B同士は第二連結部J2により連結され、第二、第四バスバー相当部9B、11B同士は第三連結部J3により連結され、第一、第四バスバー相当部8B、11B同士は第四連結部J4により連結され、第一、第五バスバー相当部8B、12B同士は左右二箇所の第五、第六連結部J5、J6により連結されており、これによって、板体Bは、六箇所の連結部J1、J2、J3、J4、J5、J6により連結された一続きの一枚状となっている。これによって、各バスバー毎に打ち抜くもののように、それぞれのものに寸法誤差が生じることがないように構成されている。
尚、8aB、9aBはそれぞれ第一、第二バスバー相当部8B、9Bに形成され、基板接続端子部8a、9aとなる基板接続端子部相当部であり、8bB、12aBは第一、第五バスバー相当部位8B、12Bに形成され、外部接続端子部8b、12aとなる外部接続端子部相当部である。
【0018】
続く第二工程は、板体Bを予め設定された折曲形状となるよう折曲加工する行程であり、図7の仮想線位置において折曲することにより、第二、第三バスバー相当部9B、10Bの左端部に、左側を向く第一取付け面相当部9bB、10aBを形成し、第三、第四バスバー相当部10B、11Bには、前記第一取付け面相当部9bB、10aBより右方に位置し、左側を向く第二取付け面相当部10bB、11aBを形成し、第四、第五バスバー相当部11B、12Bには、前記第二取付け面相当部10bB、11aBより右方に位置し、左側を向く第三取付け面相当部11bB、12bBを形成し、さらに、第一、第二バスバー相当部8B、9Bの基板接続端子部相当部8aB、9aBを後方に向けて折曲する。尚、前記折曲工程は、板体Bの板面に対して略直行する方向(前後方向)に向けて一回のプレス加工を実施することにより目的とする折曲形状となるように構成されており、これによって、各バスバー毎に折曲工程を施すもののように、個別の寸法誤差が生じることがないように構成されている。
【0019】
つぎに、第一、第二、第三発光ダイオード13、14、15、および、基板16を板体Bに接合する接合工程を実施する。この工程では、折曲した板体Bの第一取付け面相当部9bB、10aBに第一発光ダイオード13の一対の端子部13b、13cをそれぞれ接合し、第二取付け面相当部10bB、11aBに第二発光ダイオード14の一対の端子部14b、14cをそれぞれ接合し、第三取付け面相当部11bB、12bBに第三発光ダイオード15の一対の端子部15b、15cをそれぞれ接合する。さらに、後方に向けて折曲された基板接続端子部相当部8aB、9aBを基板16に接合する。これによって、板体Bの第一〜第五バスバー相当部8B、9B、10B、11B、12Bは、前記第一〜第六連結部J1、J2、J3、J4、J5、J6により一体化されるとともに、第一、第二、第三発光ダイオード13、14、15、および、基板16の接合部により一体的に連結された状態となるように構成されている。この場合に、第一〜第三発光ダイオード13、14、15、基板16の接合作業は、第一〜第六連結部J1、J2、J3、J4、J5、J6により一体化された板体Bに対して実施することになって、接合作業が容易、かつ、円滑に行なえるように構成されている。
【0020】
そして最後に、前記一体的に連結された板体Bの第一〜第六連結部J1、J2、J3、J4、J5、J6を打ち抜く打ち抜き工程を実施して、第一〜第五バスバー相当部8B、9B、10B、11B、12Bをそれぞれ切離し、第一〜第五バスバー8、9、10、11、12が第一〜第三発光ダイオード13、14、15および基板16により一体化された状態の光源ユニット7とする。この工程において、板体Bを架台17上に載置して打ち抜き加工をするが、前記架台17は、図8(A)に示すように、折曲加工、接合加工が施された板体Bの形状に沿うよう複数の段差部を形成することにより、上方を向く第一〜第三上面17a、17b、17cが形成されているとともに、第二上面17bには凹部17dが形成されている。これに対し、板体Bは、前記架台17に対して組込んだとき、図8(B)に示すように、基板16接合部が凹部17dに遊嵌状に配設されるとともに、第一〜第六結部J1、J2、J3、J4、J5、J6が形成される部位は、上方を向く第一〜第三上面17a、17b、17cにそれぞれ載置されるように構成されている。これによって、第一〜第六結部J1、J2、J3、J4、J5、J6の打ち抜き方向を同一方向とすることができ、一回の打ち抜き作業で打ち抜けるように構成されている。
尚、17eは、それぞれ板体Bの第一〜第六連結部J1、J2、J3、J4、J5、J6に対向して架台17の第一〜第三上面17a、17b、17c上に形成された打ち抜き凹部17eである。
【0021】
そして、架台17の上方から図示しない打ち抜き用ポンチを第一〜第六連結部J1、J2、J3、J4、J5、J6に対して打ち込むことにより、一度の打ち抜き作業により板体Bから第一〜第六連結部J1、J2、J3、J4、J5、J6を打ち抜くことができるように構成されており、これによって、第一〜第五バスバー相当部8B、9B、10B、11B、12Bがそれぞれ切離されて個別の第一〜第五バスバー8、9、10、11、12となり、これら各第一〜第五バスバー8、9、10、11、12が第一〜第三発光ダイオード13、14、15、および、基板16により連結されて一体化された光源ユニット7となるように構成されている。
このように、光源ユニット7は、予め一枚状の板体Bを打ち抜き、該板体Bに対して折曲工程、接合工程を順次実施し、その後、第一〜第五バスバー8、9、10、11、12を個別に分割する構成となっている。これによって、光源ユニット7の組立て時における部品点数が少なくなって接合作業の作業性の向上が図れるように構成されている。さらに、各バスバーを個別に形成して組立てる従来のもののように、それぞれのバスバーに寸法誤差が発生するようなことがなく、一枚状に打ち抜かれた板体Bに対して折曲工程を実施した後、板体Bを分割するため、分割された第一〜第五バスバー8、9、10、11、12に捻れや歪みが生じることがなく、各接合体(第一〜第三発光ダイオード13、14、15、基板16)の接合部に負荷が作用して導通不良を発生するような不具合を防止できるように構成されている。
【0022】
ここで、第一〜第五バスバー8、9、10、11、12が分割されることにより構成される光源ユニット7は、外部接続端子部8b、12aに外部電源が接続すると、第一バスバー8が陽極用バスバーとなり、該第一バスバー8が基板16を経由して第二バスバー9に接続することで第二バスバー9が陽極用バスバーとなり、前記陽極用バスバーとしての第二バスバー9と第三バスバー10とに、第一発光ダイオード13の一対の端子部13b、13cがそれぞれ接続されることで第三バスバー10が陰極用バスバーとなる。また、前記陰極陽バスバーとしての第三バスバー10と第四バスバー11とに、第二発光ダイオード14の一対の端子部14b、14cがそれぞれ接続されることで第四バスバー11が陽極用バスバーとしてなり、さらに、前記陽極用バスバーとしての第四バスバー11と第五バスバー12とに、第三発光ダイオード15の一対の端子部15b、15cがそれぞれ接続されることで第五バスバー12が陰極陽バスバーとなり、これによって、第一〜第五バスバー8、9、10、11、12は基板16とともに第一〜第三発光ダイオード13、14、15を直列接続する給電回路となるように構成されている。
【0023】
叙述の如く構成された本形態において、車両用のドアミラー1のミラーボディー1aに、組立て部品として組込まれるターンランプ2は、少ない三つの第一、第二、第三発光ダイオード13、14、15を用いるものでありながら、左右方向外端部において法定要件を満足する照度の光を放射するばかりでなく、前方を向く部位においても、ムラがなく、しかも、左右方向に長く際立つライン状の光りを放射することができて、意匠性に優れたターンランプ2とすることができる。そのうえ、前記ターンランプ2の光源ユニット7は、予め第一〜第五バスバー相当部8B、9B、10B、11B、12Bを、第一〜第六連結部J1、J2、J3、J4、J5、J6により連結した一枚状の板体Bとして打ち抜き、このものに対し、第一〜第五バスバー相当部8B、9B、10B、11B、12Bを折曲する折曲工程、第一〜第五バスバー相当部8B、9B、10B、11B、12Bに第一〜第三発光ダイオード13、14、15、基板16を接合する接合工程を実施する構成としたので、予め分割された複数のバスバーを打ち抜いて折曲したものを用いて光源ユニットを形成するもののように、部品点数が多くなって組込み作業が煩雑、かつ、難しくなったりする不具合を防止できて、組立て作業の簡略化を図れて作業性よく製造することができる。そのうえ、光源ユニット7は、第一〜第五バスバー相当部8B、9B、10B、11B、12Bが一体的に連結する板体Bに対して折曲工程を実施するようにしたので、切断時の寸法誤差や折曲時の寸法誤差が生じた各部材をユニット化して光源ユニットを形成するもののように捩れや歪みが生じるようなことを確実に防止できて、長期にわたり導通不良のない信頼性の高い光源ユニット7を提供することができる。
【0024】
そのうえ、本発明が実施された光源ユニット7は、一枚状の板体Bから第一〜第六連結部J1、J2、J3、J4、J5、J6を打ち抜く場合に、板体Bに形成される第一〜第六連結部J1、J2、J3、J4、J5、J6の位置を、打ち抜き方向が全て同一の方向となるように設定したので、一回の打ち抜き作業で第一〜第五バスバー8、9、10、11、12を全て切離すことができ、作業性のさらなる向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、乗用車等の車両に設けられるドアミラーに組込まれる燈体の光源ユニットとして利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 ドアミラー
1a ミラーボディー
1b 開口部
2 ターンランプ
3 ベースハウジング
4 アウターレンズ
4d 凸レンズ状部
4e 突出部
5 インナー部材
6 インナーハウジング
6e 第二前向き片
6h 突リブ
6i 上溝側片
7 光源ユニット
8 第一バスバー
13 第一発光ダイオード
B 板体
8B 第一バスバー相当部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ダイオードと、これら発光ダイオードへの給電を制御する基板とを、複数の陽極用、陰極用バスバーにより構成される給電回路に接合してなる光源ユニットを備えた燈体を構成するにあたり、前記光源ユニットは、前記陽極用、陰極用バスバーとなる部位を、あいだにスリットを存して複数の連結部で連結した一枚状の板体として打ち抜き、該板体に、折曲工程と、複数の発光ダイオードと基板とを接合する接合工程と、板体の前記連結部を打ち抜く打ち抜き工程とを施すことにより、折曲部を有した複数の陽極用、陰極用バスバーに分割されて給電回路が構成されていることを特徴とする燈体。
【請求項2】
複数の発光ダイオードと、これら発光ダイオードへの給電を制御する基板とを、複数の陽極用、陰極用バスバーにより構成される給電回路に接合してなる光源ユニットを備えた燈体において、前記光源ユニットを、前記陽極用、陰極用バスバーとなる部位を、あいだにスリットを存して複数の連結部で連結した一枚状の板体として打ち抜く工程と、板体に折曲部を形成する工程と、板体に複数の発光ダイオードと基板とを接合する工程とを実施した後、板体の連結部を打ち抜いて陽極用、陰極用バスバーに分割し、複数の発光ダイオードへの給電回路を形成する工程を実施して形成したことを特徴とする燈体の製造方法。
【請求項3】
板体の連結部は、打ち抜き方向が同方向になるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の燈体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−98653(P2011−98653A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254903(P2009−254903)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】