説明

燐光体プリカーサ原材料の蒸着方法

【課題】
蒸着工程による貯蔵燐光体プレートの製造方法において燐光体のスピードを最適化する。
【解決手段】
マトリックス成分及び活性化剤成分又はそのプリカーサ成分を燐光体プリカーサ原材料として加熱することによって及び/又はるつぼユニットから蒸着することによって支持体上に貯蔵燐光体層を作る方法であって、前記プリカーサ原材料をるつぼにおいて液体形態で加熱する工程が温度Tまで行なわれ、前記プリカーサ原材料を前記煙突において蒸発された形態で加熱する工程が温度Tまで行なわれる方法において、正の温度差[T−T]が維持されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸着工程によって貯蔵燐光体プレートを作る方法に関する。特に、本発明は前記燐光体プレートのスピードを最適化するために専用のるつぼユニットからの蒸着に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸着装置で実施される蒸着工程において、前記装置における以下の構成が従来技術から知られている。
【0003】
WO 90/12485に記載されているように、物理蒸着工程に使用するための装置は独立した温度で各蒸発器を維持するための手段を有する少なくとも二つの蒸発器、温度制御された収集器、蒸発器を包含する又は蒸発器と連通する容器(前記容器は蒸着支持体に面する放出開口を有する蒸気混合室をその中に規定する)、及びより熱い又は最も熱い蒸発器と少なくとも同じ温度で蒸気混合室を画成する部分において容器壁を維持するための手段を含み、それによって室壁上の蒸気の凝縮を抑制しながら各蒸気流の混合を増強する。蒸発器は蒸着支持体の位置に対して異なる高さに位置される。揮発性に劣る成分を含有する蒸発器は最も揮発する成分を有する他の蒸発器と蒸着支持体の間の高さにある。即ち、煙突壁と煙突スロット出口(3′)により近い。
【0004】
別の構成は揮発性に劣る成分を有するるつぼが中央に位置された構成としてWO 92/07103及びUS−A 5348703に記載されており、前記揮発性に劣る成分は蒸発されるために電子線照射され、前記中央に位置されたるつぼは揮発性に優れる成分で充填されたるつぼによって包囲され、放射加熱器によって加熱され、揮発性に優れる成分の蒸気流は支持体上に一緒に蒸着されるために電子線蒸発された揮発性に劣る成分の蒸気流中にノズルを通して導かれる。
【0005】
最近発行されたUS−A 6875990では放射線像貯蔵パネルの製造方法が記載され、前記方法は刺激性CsBr:Eu燐光体の燐光体フィルムと支持体を含み、前記方法はマザー成分を含む一つ以上の蒸発源及びユウロピウム元素を含む一つ以上の蒸発源を蒸発させることを含み、マザー成分源の蒸発はユウロピウム元素源の蒸発から独立して制御され、支持体上に貯蔵燐光体層を形成してコンピュータ放射線写真に使用するために好適な光刺激性燐光体スクリーン又はパネルを作る。
【0006】
かかる燐光体又はUS−A 2005/0000448に記載されたシンチレータ材料のオンライン蒸着のために特に開発された蒸着装置は原材料の混合物を含有するるつぼ、前記るつぼと通じる少なくとも一つの出口及び線状スロット出口を有する煙突、前記煙突内に含まれる一つ以上の線状加熱要素、前記るつぼを包囲するオーブンを含み、前記オーブンは加熱要素、遮蔽要素及び冷却要素を含む。
【0007】
さらに最近のUS出願2005/0160979では大きな面積の支持体上に多結晶フィルムを蒸着するためのフィルム蒸着システムが開示されている。そのシステムは一組の壁から形成された室を含み、その組の壁は室内に少なくとも三つの温度領域を規定する。壁の各々は室を形成する他の壁から断熱されている。そのシステムはさらに、真空源、一組の熱源、及びその組の壁内の壁の温度を検出するための複数の温度検出器を含む。温度制御モジュールは温度領域の各々において温度を監視し、制御する。温度制御モジュールは寄生損失によって失われたフィルム形成材料の全質量が大きな面積の支持体上に蒸着されたフィルム質量より小さいように壁において予め決定された温度を維持する。多結晶フィルムを蒸着するための方法も記載されている。この方法のさらに他の実施態様では、形成工程は第一、第二及び第三温度領域を形成することを含み、そこでは壁の温度はそれぞれ予め決められた温度T,T、及びTに維持され、第二温度領域はフィルム形成材料の蒸気の凝縮速度が材料の蒸発速度より大きい領域であり、準備及び位置決め工程はさらに、第一温度領域においてフィルム形成材料を位置決めし、そこではその温度は相変化が起こりかつ材料が蒸発されるように第一の予め決められた温度Tで制御され、第二温度領域において支持体を位置決めし、そこではその温度は第二の予め決められた温度Tで制御され、Tは凝縮速度がフィルム形成材料の蒸発速度を越える温度であり、第三温度領域は支持体とフィルム形成材料の間に位置され、第三の予め決められた温度Tは蒸発されたフィルム形成材料が実質的に室の他の部分に寄生蒸着することなく室を通って蒸着のための支持体に向かって移動するときに実質的に蒸気として維持されるように制御される。T,T及びTの間の関係はT≧T>T又はT>T及びT≦T>Tのいずれかであるようにすることができる。
【0008】
EP−A 1460642及び対応US−A 2004/224084において、極めて大きいスクリーン、シート、プレート又はパネル表面領域にわたって燐光体又はシンチレータ材料の均一な蒸着を得るために表面をできるだけ多く被覆する方法の適用が利用可能になる。前記方法はそこに述べられた蒸着被覆装置において極めて多くの構成を可能とするだけでなく、さらにローラ形態で供給された移動する可撓性支持体を使用することによって燐光体層で蒸着された莫大な領域が利用可能である。これらの層から望むような正しいフォーマットを切断して硬い支持体に対して積層することができる。
【0009】
US−A 7070658では蒸着の均一性をさらに改良する目的を達成するために、蒸着ユニットの特定部分、特に加熱システムに対してさらなる情報が与えられている。煙突の壁上へのシンチレータ又は燐光体材料の凝縮を避けるためのレベルにるつぼ内の温度を維持するために既に述べられたものに加えて、蒸気を通過させるためのスリットを有する熱シールドは高い所望レベルで温度を維持する別の源として作用する。実施例では0.5mmの厚さを有する「タンタル」から構成された1mの長さ及び4mの幅を有する細長いボートの形のるつぼは三つの集積される部分:るつぼ容器、内部加熱煙突及び制御可能出口で説明されている。そこの煙突は煙突を加熱するために及び蒸発した材料の凝縮を克服するために11mmの直径を有する三つの線状IR石英ヒータを与えられている。さらに、煙突ヒータは支持体上への溶融又は蒸発された材料の制御されずかつ限定されない態様での飛び散りを克服するためにそらされた方法で位置される。制御可能な出口としての5mmのリップ開口が使用されている。スリット開口を有する熱シールドはさらに、制御された均一な方法で連続的に移動する支持体上への蒸気逃避及び付着を起こすために要求される熱の逃避及びエネルギーの損失を避けるために熱を遮蔽する。真空室(1)へのアルゴンガスの連続流入によって維持された真空圧力(2×10−3mbarに等しい2×10−1Paの圧力)下で、かつ煙突及び蒸気源(760℃)の十分に高い温度で、得られた蒸気は移動するシート支持体の方に向けられ、前記支持体が蒸気流に沿って移動している間、連続的にその上に蒸着される。蒸気源の前記温度は、前記るつぼの外側に存在しかつ前記るつぼの底の下で押されている熱電対及びるつぼ及び煙突に存在するタンタル保護された熱電対によって測定される。
【0010】
対流部材及び約120℃の蒸着が行なわれる支持体温度についての表示を有する特定のるつぼ構成を別として、US−A 2005/0103273にはるつぼ温度についての表示は全く見出すことができない。
【0011】
EP−A 1568751及び対応するUS−A 2005/186329においてもるつぼの温度に関する特別に詳細にした情報は、CsX:Eu燐光体を支持体上に蒸着することによって前記燐光体を与える工程によって結合剤のない燐光体スクリーン又はパネルを製造する方法を与えることを別として、さらに与えられていない。この方法では温度TはTmelt−100℃からTmelt+100℃であり、溶融温度Tmeltは所望の燐光体の溶融温度を表わし、るつぼ内の所望の温度変化の温度についての表示又は詳細は全く与えられていない。この文献では製造されたCsBr:Euスクリーン又はパネルの湿分に対する耐性の改良は蒸着工程を実施するための出発成分として選択された安定したCsEuX′x+αy錯体を使用することによって与えられる。
【0012】
しかしながら、これらの文献のいずれも、湿分感受性に対して燐光体の安定性をさらに改良し、従って貯蔵燐光体スクリーンスピードを少ない程度に減少する、即ちこれまで可能であったものより良好な方法で高スクリーンスピードを維持するための手段をさらに与えるるつぼ構成内の特に好適な温度又は温度差について言及していない。
【発明の開示】
【0013】
上述の有利な効果は請求項1に述べられた特別な特徴を有する方法によって実現される。
【0014】
本発明の好ましい実施態様に対する特別な特徴は従属請求項に述べられる。
【0015】
本発明のさらなる利点及び実施態様は以下の記載及び図面から明らかになるだろう。
【0016】
図面の簡単な記述
図1は煙突ヒータ(1)、内部加熱された煙突(2)、煙突入口(3)及び出口(3′)、及びるつぼ、トレー又はボート(4)を示し、構成Aでは一つだけのランプが縦方向の加熱要素として存在し、構成Bでは三つのランプがそらせ板として作用するために配置された縦方向の加熱要素として存在し、それによってるつぼユニットから燐光体層が蒸着されるべき支持体材料上への飛び跳ねを避ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
狭いスリットを通って逃げるときの蒸気の膨張は蒸気の冷却を起こすことが知られている。結果として、狭いスリット上への凝縮が起こり、飛び跳ねや不均一な蒸着が燐光体プレート上への不均一なスポットの生成及び感受性に劣り不安定なプレートに導く危険がある。
【0018】
マトリックス成分及び活性化剤成分又はそのプリカーサ成分を燐光体プリカーサ原材料として加熱することによって及び/又はるつぼユニットから蒸着することによって支持体上に貯蔵燐光体層を作る方法であって、前記るつぼユニットが液体形態で前記るつぼに存在する燐光体プリカーサ原材料のためのるつぼとして少なくとも底部及び周囲側壁を含み、前記るつぼユニットが少なくともるつぼユニットの一部としての煙突、及び燐光体プリカーサ原材料が前記るつぼユニットから蒸発された形態で逃避してそれを燐光体層として前記支持体上に蒸着することを可能にするスリットをさらに含み、前記プリカーサ原材料をるつぼにおいて液体形態で加熱する工程が温度Tまで行なわれ、前記プリカーサ原材料を前記煙突において蒸発された形態で加熱する工程が温度Tまで行なわれる方法において、正の温度差[T−T]が維持され、ほぼ変わらないことを特徴とする方法を適用することによって今や解決策が見出された。
【0019】
本発明の方法における好ましい実施態様では前記温度T及びTは赤外加熱及び/又は(電気)抵抗加熱によって達成される。るつぼ容器は通常、抵抗加熱によって加熱されるが、煙突温度は赤外加熱によって増強されることが有利である。但し、それに限定されない。
【0020】
追加のエネルギーを与えること、例えば煙突に一つ以上の赤外ヒータ(例えばランプの形)を設置又は装着し、その中の局所温度を操縦し、制御し、維持することによる解決策が提案されている。さらに、前記赤外ヒータをランプの形で位置決めし、それらを飛び跳ねを防止するためのそらせ板として有効に作用させることは大いに推奨され、それはるつぼユニットの一部を作る煙突の部分として狭いスリット全体にわたる均一な蒸発を確実にし、スクリーンプレート又はパネル上への望ましくないスポットの蒸着を避ける。
【0021】
飛び跳ねを避けるためには、かかる配置はUS−A 2005/0000411に記載されたような蒸着された燐光体材料を作るために原材料を蒸発するための組立体より好ましい。そこではるつぼは二つのプレート又はカバーを与えられ、その一つはせん孔パターンを与えられた最外プレート又はカバーであり、せん孔パターンは直列又は並列の一つ以上のスリット、及び前記カバーに不規則に又は規則的に分布される同じ又は異なる直径を有する開口からなる群から選択され、そのプレートは底部及び高さ「h」を有する周囲側壁を持つ前記るつぼをさらにカバーし、その第二プレートは前記最外カバープレートから側壁高さ「h」の2/3未満の距離でるつぼの内部に装着される。
【0022】
さらに、かかる配置はUS−A 2005/0217567に記載されるように蒸着された燐光体材料を作るために原材料を蒸発するための組立体より好ましいことが確認される。そこでは二つのプレート又はカバーを含む組立体が記載される:一つは最外プレート又はカバーであり、両方とも原材料を含有する底部及び周囲側壁を有するるつぼの開放側をカバーする表面領域にわたってせん孔パターンを少なくとも部分的に有し、前記最外カバーはるつぼの開放側をカバーする前記カバーより前記るつぼから遠い距離に装着され、両カバーはるつぼの底部に垂直な方向の軸を通して前記二つのプレート又はカバー間の距離の少なくとも10倍の前記最外カバーまでの距離から見たときにその内容物を観察できないように互いに対して装着される。
【0023】
底部及び周囲側壁を有するるつぼユニットに対して十分に良く分布された熱パターンを得る試みがUS−A 2005/0000447に記載されており、有利には本発明に詳細に記載された手段を考慮して本発明に適用されることができる。互いに対して対向して位置された側壁の外部部位に電極クランプを与えられており、前記部位は前記側壁においてリップとして延び、前記クランプは前記るつぼを加熱するための電極と接続可能であり、るつぼ壁とクランプの間の前記リップの各々の断面積がそこに記載されているように少なくとも5%減少されることにおいて改良されている。
【0024】
他の側において、るつぼユニットから逃避する蒸気に余分のエネルギーを加えることによって蒸気が付着される支持体が加熱されるという別の問題が起こる。
【0025】
その問題に対する解決策として冷却ユニットが与えられ、一実施態様では前記冷却ユニットは支持体温度が制御され、より好ましくは反結合機構に沿って操られるように、るつぼユニットの近くで、るつぼの外側、好ましくは狭い蒸発スリットの近くで装着される。
【0026】
別の実施態様では前記冷却ユニットは(例えばバッチ法の場合のように)蒸着が全く起こらない支持体の側に装着されるか又は支持体が装着されるローラが例えばUS−A 2004/0224084及びEP−A 1460642に記載されるように連続工程で内部冷却される。バッチ法の場合において前記支持体はバッチ蒸着装置に存在するるつぼユニットから逃避する蒸気流に対して良く規定された角度で傾斜されるか又はそれと平行な軸のまわりに回転する。あるいは、支持体は固定された位置であってもよいが、るつぼユニットは前記支持体に垂直な軸に対して良く規定された角度で傾斜されるか又はそれと平行な虚軸のまわりで回転されてもよい。バッチ蒸着法についてのさらなる詳細はUS−A 6802991に見出すことができる。
【0027】
さらに別の実施態様では両技術の組み合わせが適用され、両測定又は操縦回路は支持体温度を5℃を越えない、より好ましくは2℃以下、さらにより好ましくは1℃以下の変化又は差内で一定に保つために結合される。
【0028】
本発明によれば、支持体上に貯蔵燐光体層を作る方法が提供され、前記方法はるつぼユニットからの蒸着によって及び/又は燐光体プリカーサ原材料としてマトリックス成分及び活性化剤成分又はそのプリカーサ成分、例えばCsBr,EuBr,EuBr又はEuBr,EuBrと混合されたCsBr又はEuBrとEuBrの混合物を加熱することによって実施され、前記るつぼユニットは液体形態で前記るつぼに存在する燐光体プリカーサ原材料のためのるつぼとして少なくとも底部及び周囲側壁を含み、前記るつぼユニットはさらに、少なくともるつぼユニットの一部としての煙突及び燐光体プリカーサ原材料が蒸気の形態で前記るつぼユニットから逃避してそれを燐光体層として前記支持体上に蒸着させるためのスリットを含み、前記プリカーサ原材料をるつぼで液体形態で加熱する工程は温度Tまでで行なわれ、前記プリカーサ原材料を前記煙突で蒸気形態で加熱する工程は温度Tまでで行なわれ、正の温度差[T−T]が有効に維持されることを特徴とする。
【0029】
本発明の方法によれば、前記温度は熱電対によって制御される。
【0030】
特に、本発明の方法によれば、前記温度は熱電対によって制御され操縦される。
【0031】
好ましくは、本発明の方法によれば、熱電対による前記温度の操縦は反結合機構(back−coupling mechanism)によって行なわれる。
【0032】
さらに、本発明の方法によれば、一組の結合された熱電対は前記るつぼの底部をカバーする原材料に存在する。
【0033】
本発明の方法によれば、温度Tを測定及び操縦するために一組の結合された熱電対を前記るつぼの底部と接触してるつぼの外側に存在させることが特に好ましい。
【0034】
さらに、本発明の方法によれば、温度Tを測定及び操縦するために一組の結合された熱電対を前記煙突における蒸発された原材料に存在させることが特に好ましい。
【0035】
本発明による方法の一実施態様ではCsXはマトリックス成分であり、EuX,EuX,EuOX又はそれらの混合物は活性化剤成分であり、XはCl,Br,I又はそれらの組み合わせである。
【0036】
本発明による方法の別の実施態様ではCsEuX′(x+αy)は活性化剤プリカーサ材料であり、x,y及びαは整数であり、x/yは0.25より大きく、αは少なくとも2であり、X′はCl,Br,I又はそれらの組み合わせを表わす。
【0037】
所望の結果として本発明による方法は貯蔵燐光体を与え、前記貯蔵燐光体はCsBr:Euである。
【0038】
本発明の方法によれば、温度Tは所望のCsBr:Eu燐光体を作るとき、640℃より高く、好ましくは少なくとも680℃である。
【0039】
本発明の方法によれば、温度Tは640℃より高い。
【0040】
かかるCsBr:Eu燐光体を作るための実際の蒸着では、Tは例えば少なくとも710℃であるべきであり、さらに好ましい実施態様では少なくとも720℃であるべきであり、750℃より高い温度は除外されない。従って、Tは少なくとも750℃より高くすべきであり、より好ましくは800℃〜850℃の範囲にすべきである。
【0041】
特別な実施態様では本発明による方法では少なくとも80℃の温度差[T−T]が維持される。130℃までの温度差、即ち50℃過剰の範囲であっても維持されるべきである。
【0042】
本発明による方法の一実施態様では、前記蒸着はバッチ法で行なわれる。
【0043】
本発明による方法の別の実施態様では、前記蒸着は連続法で行なわれる。
【0044】
本発明の有利な効果として、同じ被覆量の燐光体に対して本発明に従って変更された蒸発工程では増強した燐光体スピードが測定され、そこでは揮発性の高い及び低い原材料成分又はプリカーサは一つの同じるつぼユニットから蒸発されることが予期せぬことに発見された。
【0045】
本発明による方法を実施するために使用される蒸着装置はさらに、好ましい実施態様では三つの線状煙突加熱要素(煙突加熱器)を有し、それらは前記スロット出口(3′)に対して装着され、前記原材料から蒸発された粒子が前記スロット出口(3′)を通って逃避する直接的な通路が全くないように位置される。かかる配置は特に飛び散りを避けるために要求され、煙突加熱器はそらせ板として作用する。別の実施態様では耐火プレート、例えばタンタルプレートはそらせる煙突加熱器の下でるつぼの内部に装着される。前記るつぼ及び前記プレートは燐光体又はシンチレータ材料の均一な蒸着のために熱伝導性組立体全体にわたってさらなる均一な加熱を与えるために電極対間にさらに装着される。本発明による蒸着装置では前記(制御可能な)スロット出口(3′)は矩形スロット出口である。
【0046】
本発明による方法を実施するために好適な蒸着装置では、前記線状煙突加熱要素(1)が上方又は下方位置で可動であることが特別な利点である。
【0047】
連続法の場合には蒸着装置は一つの運搬ローラがその軸のまわりのモータによって制御された方法で回転する能力を与え、他のローラは前記一つのローラの動きによって回転し、回転中、ローラ上の可撓性支持体の位置は前記可撓性支持体の位置調整を与える圧力調整シリンダに結合された光学位置決めセンサーによって制御される。
【0048】
シンチレータ又は燐光体材料が本発明による方法を実施するために使用される蒸着装置において蒸着される支持体材料として、ガラス、セラミック材料、ポリマー材料又は金属、より好ましくはガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、炭素繊維補強プラスチックシート、アルミニウム、Pyrex(登録商標)、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、サファイア、セレン化亜鉛、Zerodur(登録商標)、セラミック層及びアルミニウム、鋼、真ちゅう、チタン及び銅から選択された金属又は合金を使用することができる。原則としてそれらに限定されるべきではなく、本発明の被覆工程で一般に適用されるような程度までエネルギーを付与した後に例えば溶融による不可逆性の変形に耐えるいかなる金属又は合成材料も使用のために好適である。本発明の方法において可撓性支持体として特に好ましいものは支持体全体にわたって完全に均一な温度を可能とする極めて良好な熱伝導性材料としてのアルミニウムである。特に有用なアルミニウム支持体として、限定されないが、増白された陽極酸化アルミニウム、アルミニウム鏡及び酸化物パッケージ及び所望によりパリレン層を有する陽極酸化アルミニウム、銀鏡及び酸化物パッケージ及び所望によりパリレン層を有する陽極酸化アルミニウム(ALANOD,ドイツから入手可能)が推奨される。好ましい可撓性支持体として保護箔でカバーされた陽極酸化アルミニウム支持体層が推奨される。かかる陽極酸化アルミニウム支持体層は50〜500μmの範囲、より好ましくは200〜300μmの範囲の厚さを有してもよい。かかる陽極酸化アルミニウム支持体は蒸着された燐光体又はシンチレータに関する接着特性に対して特に好ましいことが示され、500μm〜1000μmの厚さを有するシンチレータ層で被覆された可撓性アルミニウム支持体の曲げであってもシンチレータ又は燐光体「フレーク」の「クラック」又は変形を起こさない。本発明の蒸着装置で作られるとき望ましくないクラックの発生に関して問題に遭遇することは全くない。
【0049】
蒸着が行なわれている間、前記可撓性支持体の温度は約200℃のターゲット温度を考えて、調節可能なヒータによって及び支持体に沿って設置されたアドレス可能冷却ユニットによって150℃〜300℃の範囲、より好ましくは150℃〜250℃、さらにより好ましくは180℃〜220℃の範囲で維持される。ヒータとして、赤外ヒータが有利に使用される。特に、反射スクリーンを背後に有する前記支持体に沿って水平に、例えば縦方向に配置された大きな石英ランプが使用される。
【0050】
本発明による方法を実施するために使用される蒸着装置では、冷却ユニットはさらに、後側を室温の水で冷却された黒体冷却要素、及び前記冷却要素の前又は支持体側に多数のスラットの形のルーバーのアドレス可能な(開かれた又は閉じられた)スクリーンから形成されてもよい。前記可撓性支持体の温度プロファイルの温度測定及び表示は支持体加熱及び/又は支持体冷却装置を操縦するための入力として使用されることが有利である。蒸着装置では温度は一組の高温計によって臨界点で測定されることが有利である。一つの実施態様では前記高温計は放物面反射鏡を上部に有するレンズに基づく高温計である。その好ましい実施態様では前記反射鏡は金蒸着鏡であり、前記放物面反射鏡の各焦点は対応する高温計レンズの各焦点と一致するように配置される。蒸着材料の層厚さを制御するための手段は所望の厚さが達成されるときに蒸着工程を停止するように設置されることが有利である。蒸着領域では制御部品としてキャパシタンス測定に基づいた厚さ測定システムが設置され、それによって前記シンチレータ又は燐光体層を蒸着しながら厚さを決定する。
【0051】
本発明による方法を実施するために使用される蒸着装置の容器(るつぼ)における原材料の組成が所望の最終組成又は被覆組成を与えるために選択され、前記組成が存在する原材料の比率によって決定されることは明らかである。原材料の比率は蒸発された原材料の蒸着後に所望の化学燐光体又はシンチレータ組成を与えるために選択される。固体粉末、粒子又は顆粒の形で、又は移動する支持体材料上に被覆された所望の燐光体を与えるために所望の比率の原材料に対応する組成を有するトローチ錠として、るつぼにおいて均一な原料混合物を得るために原材料を混合することが望ましい。微粉砕法が蒸発前の高度の均一性を与えるために好ましく、従って推奨される。異なる成分を既に前に提案したように直列又は並列又は組み合わされた配置で配置された異なるるつぼから蒸発させてもよい。但し、均一な蒸気雲が蒸気流を介して可撓性支持体に与えられ、前記支持体上への凝縮によって付着されることが条件である。同じ又は異なる原材料含有物又は原材料混合物を有する二つの細長いワンパートボートは例えばウェブの移動方向に直列に存在させてもよい。別の実施態様では、もし均一な被覆プロファイルを与えるなら、ボートは支持体の移動方向に垂直な一つの軸又はそれより多くの軸に並列に配置されてもよい。但し、重なり合う蒸気雲は再び、前記燐光体又はシンチレータの均一な厚さ、組成及び被覆量を有する燐光体又はシンチレータ層において支持体上に蒸着する蒸気流を与えることが条件である。一つより多いるつぼの存在は単位時間あたりに蒸着される燐光体又はシンチレータ材料のより多い量を供給する能力に有利であり、可撓性支持体が支持体の極めて高い温度増加を避けるために十分に高い速度で蒸気流を通過すべきであるときはより一層そうである。支持体が容器を通過する速度は十分な冷却手段が凝縮のために存在しない限り、蒸着を不可能にする支持体の望ましくない局所的な加熱に照らして遅すぎないようにすべきである。それゆえ自己支持又は被支持の支持体は所望の最適な特性を有する蒸着された燐光体又はシンチレータ層を得るために50℃〜300℃の温度を有することが好ましい。
【0052】
エネルギーはるつぼ、トレー又はボートとしても知られる一つ以上の容器に供給され、そこに存在する原材料の蒸気流を起こし、それを封止された真空領域で蒸発させるべきであることは明らかである。エネルギーは熱、電気、又は電磁エネルギー源によってそれに与えられる。電磁エネルギー源の一例としてダイオード、カソードアーク、レーザビーム、電子ビーム、イオンビーム、磁気放射線又は無線周波数を使用してもよく、それはパルス化されてもされなくてもよい。また、それらに限定されない。電気エネルギーは一般に抵抗加熱によって与えられ、それは熱エネルギーに変換するための構成で容器又はるつぼのまわりに巻かれた抵抗コイルを使用し、それによって蒸発されるべき原材料を充填された容器又はるつぼへの熱伝達を与える。容器又はるつぼを550℃〜900℃の範囲の温度まで加熱する程度のエネルギー供給が極めて望ましい。それらの温度では、容器は腐食抵抗性を有するべきであることは明らかであり、従って耐火容器が好ましい。好ましい容器又はるつぼ材料はタングステン、タンタル、モリブデン及び他の好適な耐火金属である。前述のようなエネルギー供給源はるつぼ中の原材料の混合物を450℃以上、好ましくは550℃以上、さらにより好ましくは550℃〜900℃、例えば約700℃に加熱する。
【0053】
ターゲット原材料から生じる蒸発された材料の雲は容器又はるつぼからの移動する支持体の方向の流れの形の雲として逃避し、被覆された層は凝縮によって形成される。上記から、考えられるような均一な被覆プロファイルを得るために、均一性が液化原材料に与えられるときに均一な雲が実現されうるにすぎないことは明らかである。結果として、容器に対して供給されたエネルギーの均一な分布は厳しい要求である。好ましい実施態様では、均一性のために、るつぼは前記るつぼ上を移動する可撓性支持体の幅に相当する最大寸法を有する単一の細長い「ボート」の形であり、従ってその表面領域の各点において瞬間的な速度の大きさは一定である。もし蒸着工程中又は後に必要なら、酸素を不活性(アルゴン)ガス入口を介して酸素ガスの形で真空蒸着室中に導入することができる。特に、二つの蒸着工程間又は燐光体蒸着の終わりのアニール工程は有用でありうる。
【0054】
本発明の蒸着装置において支持体上で得られる被覆プロファイルに関する重要な要因は容器と移動する支持体の間の距離である。その距離は可撓性支持体の位置の蒸気雲のプロファイルを決定するからである。るつぼと支持体の間の最小距離の平均値は5〜10cmの範囲であることが好ましい。距離が大きすぎると、材料の損失及び工程の収率の低下に導き、一方距離が小さすぎると、支持体の高すぎる温度に導くだろう。さらに、「スポットエラー」又は「ピット」を避けることに関して注意を払うべきであり、それらは加熱された容器に存在する液化原材料の飛び跳ねによる燐光体又はシンチレータの不均一な蒸着を生じる。それゆえ、図1、特に詳細には図1Bに示された手段、特にそらせ板として使用されるランプを有する手段、より好ましくはスロット出口(3′)に対して装着され、前記原材料から蒸発された粒子が前記スロット出口(3′)を通って逃避するための直接的な通路を持たないように位置された三つの線状煙突加熱要素を有する手段をとる。
【0055】
本発明による方法を実施するために使用される蒸着装置では前記燐光体又はシンチレータ組成物の蒸着は一つ以上のるつぼからの原材料の蒸気流によって開始され、前記蒸気流は熱、電気、又は電磁エネルギー又はそれらの組み合わせによって前記原材料及び前記容器にエネルギーを加えることによって発生される。前記燐光体又はシンチレータ組成物の蒸着は物理蒸着、化学蒸着又は物理蒸着と化学蒸着の組み合わせによって行なうことが有利である。
【0056】
本発明による方法を実施するために使用される蒸着装置において得られる被覆燐光体に関して、前記燐光体は一つの実施態様では光刺激性燐光体である。本発明の蒸着装置においてうまく蒸着される極めて重要な光刺激性(貯蔵)燐光体はCsBr:Eu燐光体である。CsBr:Eu貯蔵燐光体プレート又はパネルの製造に使用される原材料はPCT出願WO 01/03156に開示された製造方法に使用されているようにEuX′,EuX′及びEuOX′(但し、X′はF,Cl,Br及びIからなる群から選択されたハロゲン化物である)からなる群から選択された10−3〜5mol%のユウロピウム化合物及びCsBrである。CsBr及びEuOBr原材料から選択され、かつその特別な針状形態を特徴とするCsBr:Eu燐光体の結合剤のない被覆が一層好ましい。高い結晶化度はUS出願2001/0007352に示されたように特定のXRDスペクトルを与えるX線回折(XRD)技術によって容易に分析される。それゆえ、CsBrとEuOBrの混合物がるつぼにおける原材料混合物として与えられ、両原材料間の比率は通常、約90重量%の安価なCsBrと約10重量%の高価なEuOBrである。しかしながら、組成に変化を生じずに低い材料及び製造コストのために被覆(蒸発)温度の関数として比率を適応できることが示されている。従って、99.5重量%のCsBr及び0.5重量%のEuOBrの比率量の原材料混合物に対して高い蒸発温度は前述と同じ結果を与える。
【0057】
本発明による方法を実施するために使用される蒸着装置において針状燐光体として蒸着後に得られた好ましいCsBr:Eu燐光体は針状結晶間の間隙を特徴とする。それらの間隙を満たすためには、間隙がポリマー化合物で部分的に充填されるUS出願2003/0168611に記載のように、好ましいβ−Cu−フタロシアニンナノ結晶染料化合物のように蒸着された顔料が前記間隙を満たしているUS出願2003/0183777のように、又は間隙がシラザン及びシロキサザン型ポリマー化合物、それらの混合物及び前記シラザン又はシロキサザン型ポリマー化合物と適合しうるポリマー化合物の混合物からなる群から選択されるポリマー化合物で少なくとも部分的に満たされるUS出願2004/0228963のように手段をとることができる。特に、前記染料又は顔料に関して、その蒸着は本発明による方法の構成に使用される真空蒸着室で実施されることができる。
【0058】
好ましいCsBr:Eu燐光体を与えられたシート又はパネルを作るためには、本発明による方法を実施するために使用される蒸着装置はるつぼにおける混合された原材料を用いて開始し、それは燐光体プリカーサとして少なくともCsEuX′(x+αy)を含み、式中、x,y及びαは整数であり、x/yが0.25より大きく、αは少なくとも2であり、X′はCl,Br,I又はそれらの組み合わせである。
【0059】
別の実施態様では前記原材料の混合物は燐光体プリカーサとして少なくともCsBr及びCsEuX′(x+αy)を含み、式中、yに対するxの比率は0.25の値を越え、α≧2であり、X′はCl,Br及びI及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるハロゲン化物である。前述のプリカーサを使用する、所望のCsBr:Eu燐光体を製造し被覆する方法はUS出願2005/0184250及び2005/0186329のそれぞれに記載されている。
【0060】
蒸着のときに、本発明による方法を実施するために使用される蒸着装置で作られる好ましい刺激性燐光体又はシンチレータ層は結合剤のない層である。これは十分に理解することができる。なぜならばそれらの高い温度では、容器中の燐光体又はシンチレータ原材料に加えて追加の結合剤の存在は実際的でないからである。しかしながら、例えば支持体と燐光体又はシンチレータ層の間又は被覆層における好ましい燐光体又はシンチレータ針状結晶の間で結合剤材料として作用するために蒸発される能力を示すポリマーを使用することは除外されない。さらに、ポリマー層を蒸着された層上に積層するとき、ポリマー材料がそれらの針状結晶間の間隙を少なくとも部分的に満たすことは除外されない。さらに、燐光体又はシンチレータシート又はパネルに所望のフォーマットに切断する前又は切断した後に、耐湿性層を与え、湿分感受性の燐光体層を劣化から保護することは除外されない。特に好ましい層は例えばUS-A 6710356に記載されたようにパリレン(p−キシリレン)層であり、それはUS出願2004/0164251に記載されたようにシラザン又はシロキサザン型ポリマー化合物又はそれらの混合物の透明有機層で上塗りされてもされなくてもよい。保護パリレン層を燐光体又はシンチレータ被覆に「パリレン層」として適用する方法では、ハロゲン含有層が好ましい。より好ましくは前記「パリレン層」はパリレンD、パリレンC及びパリレンHT層からなる群から選択される。特別な場合において架橋ポリマー層は燐光体スクリーン材料上に形成されることが有利であり、前記ポリマー材料層は少なくとも一つの成分の反応によって形成され、それによって自己縮合ポリマーを形成する。反応性モノマーは支持体上に所望の縮合ポリマーを形成するために加熱された蒸気の形で与えられ、前記縮合ポリマーは燐光体スクリーン支持体上のp−キシリレン又は「パリレン」層の形である。これらの「パリレン」層の例はポリ−p−キシリレン(パリレン−N)、ポリモノクロロ−p−キシリレン(パリレン−C)及びポリジクロロ−p−キシリレン(パリレン−D)である。もし望むなら、顔料をJP−A 62−135520に記載されたようにポリ−p−キシリレンの薄膜に一体化されることができる。
【0061】
光刺激性燐光体層を別として、即発ルミネセント燐光体を本発明による方法を実施するために使用される蒸着装置において被覆することができる。かかるルミネセント燐光体は例えばスクリーン/フィルム放射線写真に使用される増感スクリーンに使用するために好適である。
【0062】
CR及びDRと関連した特定の用途に関して、画像品質、特にシャープネスに照らして、前述のような結合剤のない燐光体又はシンチレータ層が好ましいことは明らかである。それに関して、所望のシンチレータ又は燐光体層を形成するために、本発明による方法を実施するために使用される蒸着装置における原材料の蒸発が好ましい技術であることは明らかである。但し、本発明の方法によれば層は可撓性支持体上に蒸着されることが条件であり、そこでは特定のCR及びDR用途のために適した、すぐ使用できる平坦なシート又はパネルを得るために可撓性支持体を変形することが考えられる。本発明の方法に従って有利に製造される好ましいCsBr:Eu燐光体に加えて他の吸湿性燐光体又はシンチレータ層は例えば増感スクリーンに使用されるBaFCl:Eu,BaFBr:Eu及びGdOBr:Tm、例えばBaFBr:Eu,BaFI:Eu,(Ba,Sr)F(Br,I):Eu,RbBr:Tl,CsBr:Eu,CsCl:Eu及びRbBr:Euのようなコンピュータ放射線写真(CR)に使用するために好適なシンチレータパネル及び貯蔵燐光体に適用されるCsI:Na、又はUS出願2004/0262536及び2005/0002490のそれぞれに開示されるようなDRカセットに使用するために特に好適であるCsI:Tl,LuS:xM及びLuSi:xM(式中、MはEu,Pr及びSmからなる希土類元素からなる群から選択され、xは0.0001〜0.2である)である。
【実施例】
【0063】
本発明はその好ましい実施態様と関連して以下に記載されるが、本発明をそれらの実施態様に限定することを意図しないことが理解されるだろう。
【0064】
可撓性の陽極酸化されたアルミニウムを有するCsBr:Eu光刺激性燐光体スクリーンを、原材料としてCsBr及びEuOBrの混合物から出発して熱蒸着工程によって真空室で作った。前記可撓性の陽極酸化されたアルミニウム支持体上への前記蒸着工程は前記支持体が速度の瞬間的な大きさがその全面積にわたって一定であるように回転するような方法で実施された。電気加熱されたオーブン及び耐火トレー又はボートに5000〜6000gのCsBr及びEuOBrの混合物(99.5重量%/0.5重量%のCsBr/EuOBrの百分率割合)を原材料として存在させ、蒸発した。
【0065】
るつぼ(4)は100cmの長さ、40mmの幅及び80mmの高さを有する細長いボートであり、それは0.5mmの厚さを有する「タンタル」から構成され、三つの集積部分:るつぼ容器(4)、内部加熱される煙突(2)及び煙突入口(3)及び制御可能なスロット出口(3′)から構成された。
【0066】
長手方向の部分は漏れを克服するために一つの連続的なタンタルベースプレートから折り曲げられ、ヘッド部分は溶接された。煙突は蒸発された材料の凝縮を克服するために煙突を加熱するための11mmの直径を有する三つの線状赤外ヒータ(石英ランプ)を与えた。さらに、煙突ヒータ(1)は制限されずかつ限定されない方法で溶融又は蒸発された材料の支持体上への飛び跳ねを克服するためにそらせ板の態様で位置された。制御可能な出口(3′)として5mmのリップ開口を使用した。スリット開口を有する熱シールドはさらに、制御されかつ均一な方法で連続的に移動する支持体上への蒸気の逃避及び付着を起こすために必要なエネルギーの損失及び熱の逃避を避けるために熱を遮蔽した。
【0067】
真空室へのアルゴンガスの連続入口によって維持された真空圧力(2×10−3mbarに等価な2×10−1Paの圧力)下で、そして蒸気源(760℃)及び煙突の十分に高い温度で、得られた蒸気を移動するシート支持体の方に向け、前記支持体が蒸気流上で回転している間に連続的にその上に付着した。蒸気源の前記温度は前記るつぼの底部の下で押されかつその外側に存在する熱電対及びるつぼ及び煙突に存在するタンタル保護された熱電対によって測定された。
【0068】
280μmの厚さ、60cmの幅及び250cmの長さを有する陽極酸化されたアルミニウム支持体を燐光体が蒸着される側に位置させた。
【0069】
表1には煙突温度、るつぼ温度及び実際の支持体温度、並びに蒸着された燐光体量及び相対スピード(SAL%)が掲載されている。相対スピードはAgfa−Gevaert,Mortsel、ベルギーによって製造されたMD10(登録商標)参照光刺激性燐光体スクリーンの参照スピードと比較したスクリーンの各々のスピードとして規定される。
【0070】

【0071】
表1の結果から明らかであるように、少なくとも80℃の増大した煙突温度は本発明の目的に対応した高いスピードをスクリーンに与える。
【0072】
本発明の好ましい実施態様を詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱せずに多数の変更をその中でなしうることは当業者に明らかであるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】煙突ヒータ(1)、内部加熱された煙突(2)、煙突入口(3)及び出口(3′)、及びるつぼ、トレー又はボート(4)を示し、構成Aでは一つだけのランプが縦方向の加熱要素として存在し、構成Bでは三つのランプがそらせ板として作用するために配置された縦方向の加熱要素として存在する。
【符号の説明】
【0074】
(1) 煙突ヒータ
(2) 内部加熱される煙突
(3) 煙突出口(3′)煙突スロット出口
(4) るつぼ、トレー又はボート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス成分及び活性化剤成分又はそのプリカーサ成分を燐光体プリカーサ原材料として加熱することによって及び/又はるつぼユニットから蒸着することによって支持体上に貯蔵燐光体層を作る方法であって、前記るつぼユニットが液体形態で前記るつぼに存在する燐光体プリカーサ原材料のためのるつぼとして少なくとも底部及び周囲側壁を含み、前記るつぼユニットが少なくともるつぼユニットの一部としての煙突、及び燐光体プリカーサ原材料が前記るつぼユニットから蒸発された形態で逃避してそれを燐光体層として前記支持体上に蒸着することを可能にするスリットをさらに含み、前記プリカーサ原材料をるつぼにおいて液体形態で加熱する工程が温度Tまで行なわれ、前記プリカーサ原材料を前記煙突において蒸発された形態で加熱する工程が温度Tまで行なわれる方法において、正の温度差[T−T]が維持されることを特徴とする方法。
【請求項2】
CsXがマトリックス成分であり、EuX,EuX,EuOX又はそれらの混合物が活性化剤成分であり、XがCl,Br,I又はそれらの組み合わせである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CsEuX′(x+αy)が活性化剤プリカーサ材料であり、x,y及びαが整数であり、x/yが0.25より大きく、αが少なくとも2であり、X′がCl,Br,I又はそれらの組み合わせを表わす請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記貯蔵燐光体がCsBr:Euである請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも80℃の温度差[T−T]が維持される請求項1〜4のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−119780(P2007−119780A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288766(P2006−288766)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(591023136)アグファ・ゲヴェルト・ナームロゼ・ベンノートチャップ (20)
【氏名又は名称原語表記】AGFA−GEVAERT NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】