説明

片口金式照明器具

【課題】片口金放電灯をソケットへ比較的簡単に取り付けることができ、かつ、片口金放電灯の交換時には不要の落下が懸念されることのない片口金式照明器具を提供する。
【解決手段】片口金放電灯1とソケット2とを備え、片口金放電灯1は、二重螺旋構造の放電管11と、放電管11の端部が収容されるベース部12と、ベース部12の放電管11との対向側に設置された口金部13と、口金部13から突出された端子部14とを有し、放電管11のベース部12に対する巻回方向と、口金部13をソケット2に装着する場合の回転方向とが同じ方向になるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重螺旋構造の放電管を備えた片口金放電灯の口金部をソケットに嵌め込んで回転させることによりソケットに機械的、電気的に接続される構成を有する片口金式照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の片口金式照明器具として、片口金放電灯と、天井等に取り付けられたソケットとを備え、片口金放電灯の口金部をソケットに嵌め込んで僅かに回転させることにより、片口金放電灯がソケットに機械的に固定される同時に、電気的にも接続されるようにした構成ものがある(例えば、特許文献1参照)。以下、この種の構成のものをロック式と称する。
【0003】
この従来のロック式の片口金式照明器具は、通常の電球のように、螺旋ねじ状に形成された口金部をソケットにねじ込んで固定する、いわゆるねじ式のものに比べると、片口金放電灯のソケットへの取り付けを簡単に行えるという利点がある。
【特許文献1】特開2005−285508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のロック式の片口金式照明器具では、片口金放電灯をソケットに取り付ける際に相当のトルクが必要となって簡単な取り付ができない場合があった。また、逆に、片口金放電灯にわずかなトルクが加わっただけでソケットから外れてしまい、片口金放電灯の交換時に不要の落下が懸念される場合もあった。
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、片口金放電灯をソケットへ比較的簡単に取り付けることができ、かつ、片口金放電灯の交換時には不要の落下が懸念されることのない片口金式照明器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者は、放電管のベース部に対する巻回し方向と、口金部がソケットに装着する際の回転方向との関係について鋭意検討した結果、取り付け/取り外し時において、放電管の巻回方向とソケット装着時の回転方向とが同じ方向の場合には、比較的低いトルクで取り付が可能である一方、相反する場合には比較的高いトルクが必要となることを見出した。
【0007】
そこで、上記課題を解決するために、発明に係る片口金式照明器具は、片口金放電灯と、この片口金放電灯が装着されるソケットとを備え、前記片口金放電灯は、二重螺旋構造の放電管と、この放電管の端部が収容されるベース部と、このベース部の放電管との対向側に設置された口金部と、この口金部から突出されて前記ソケットと電気的に接続される端子部とを有し、前記放電管のベース部に対する巻回方向と、前記口金部をソケットに装着する場合の回転方向とが同じ方向になるように形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、放電管のベース部に対する巻回方向と、前記口金部をソケットに装着する場合の回転方向とが同じ方向になるように形成されているので、片口金放電灯を比較的低いトルクでソケットに取り付けることができ、取り付けが容易となる。一方、片口金放電灯を取り外する際には比較的高いトルクが必要となり、不意の接触等により容易に外れることがなくなり、不要の落下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。図1は本発明の実施の形態における片口金式照明器具の正面断面図、図2は同照明器具を構成する片口金放電灯とソケットを示す分解斜視図、図3は片口金放電灯を示す正面図、図4は片口金放電灯を口金部側から見た平面図、図5はソケットを底面側から見た平面図である。
【0010】
この実施の形態のロック式の片口金式照明器具は、天井埋込形のもので、片口金放電灯1と、この片口金放電灯1が接続されるソケット2と、片口金放電灯の周りを覆うフード3とを備える。そして、ソケット2とフード3とは、図示しない取り付け部材によって一体的に配置固定されるとともに、ソケット2には図示しない点灯回路が接続されている。
【0011】
ここに、片口金放電灯1は、二重螺旋式の放電管11と、この放電管11の端部が収容されるベース部12と、このベース部12の放電管11の一端を収容する側と反対側に設けられた口金部13と、この口金部13から突出された4つの端子部14とで構成されている。
【0012】
この場合、放電管11は、ベース部12との取り付け側と反対側の端部から見ると時計回りに巻回されている。なお、この放電管11自体の構成は、例えば特開2003−173760号公報に記載されているような公知のものである。
【0013】
また、ベース部12は、外観が略円柱状のPET樹脂の成形体であり、外部に露出する面全体にアルミニウムを蒸着した皮膜が設けられている。また、ベース部12の内部には放電管11の図示しない端部電極が収容されて固定され、この端部電極から引出される図示しないリード線がベース部12および口金部13を通して端子部14に電気的に接続されている。
【0014】
そして、図4に示すように、ベース部12の外周面の上端には平面視で略四角状をした一対の凸部12aが相対向して形成されている。これらの凸部12aは後述するフード3のつば部3cに設けられた凸部3dと位置合わせする際の目印として機能する。
【0015】
口金部13は、図4に示すように、ベース部12と一体成形されていて外観が略直方体状をしており、その左右前後の外形寸法はベース部12の外径寸法よりも小さな形状となっている。そして、この口金部13には、その中央にソケット2の給電端子17と電気的に接続される端子部14が突出されている。また、口金部13の外周部には、ソケット2への挿入位置を規制する一対の係合突起部13aと、ソケット2への挿入時に挿入位置をガイドする一対の切欠部13bとがそれぞれ形成されている。
【0016】
この場合、各係合突起部13aの形成位置は、ベース部12に形成されている目印としての凸部12aの形成位置に対応させて形成されている。すなわち、両係合突起部13aは、両凸部12a間を結ぶ同一線上に位置するように形成されている。
【0017】
一方、ソケット2は、図5に示すように、外観が略直方体状のPET樹脂の成形体であり、その内部には口金部13が嵌合される凹部2cが形成され、この凹部2c内には、その中央底部に各端子部14が挿入されて電気的に接続される給電端子17が設けられ、また、凹部2cの内周壁には口金部13の係合突起部13aが挿着される2つの切り溝2aと、口金部13の一対の切欠部13bに係合する2つの凸片部2bとがそれぞれ形成されている。この場合、上記の各切り溝2aは、凹部2cの開口端側から深さ方向に沿って延設された後、凹部2cの底面側において放電管11の巻回方向と同じ時計回り方向に僅かに周回される形状に形成されている。
【0018】
フード3は、外形が略鼓状に形成されるとともに、その軸心方向の両端が開口されたPBT樹脂製の薄肉の成形体として形成されている。したがって、このフード3は、両開口端3a,3bの途中の放電管11とベース部12との接続箇所に略対応する位置が最小径箇所となっている。
【0019】
そして、この最小径箇所の内周面には、径方向内方に向けて幅5mm程度に張り出したリング状のつば部3cが形成されており、このつば部3cにベース部12の凸部12aと位置合わせするための目印となる平面視で略三角状をした一対の凸部3dが径方向内方に向けて突出形成されている。
【0020】
この場合、各凸部3dの形成位置は、ソケット2に形成されている切り溝2aの形成位置に対応させて形成されている。すなわち、凸部3dはソケット2の切り溝2aの形成箇所と同一線上に位置するように形成されている。
【0021】
また、フード3の内周面の内、放電灯6に臨む内周面(つば部3cから室内側の開口端3bにわたる内周面)にはアルミ蒸着によって鏡面仕上げされた反射膜3eが形成されている。
【0022】
上記構成の片口金式照明器具において、片口金放電灯1をフード3内に挿入してソケット2に取り付ける際には、片口金放電灯1のベース部12の凸部12aとフード3の凸部3dとを目印として位置合わせをすれば、口金部13の係合突起部13aの位置とソケット2の切り溝2aの位置とが一致し、かつ、口金部13の切欠部13bの位置とソケット2の凸片部2bの位置とが一致することになる。
【0023】
この場合、フード3の内周面において、位置合わせ用の目印としての凸部3dが形成された近傍は鏡面仕上げされた反射膜3eが形成されているので、フード3の内周面から隆起して立体的に形成された凸部3dが反射膜3eで反射されて視認できるとともに、片口金放電灯1をフード3内に挿入した際に、ベース部12の外周面に形成された目印としての凸部12aも反射膜3eで反射されて視認することができる。このため、目視で口金部13とソケット2との位置関係を容易に把握することができる。
【0024】
そこで、口金部13とソケット2との位置関係を確認した上で、片口金放電灯1の口金部13をソケット2に押し付けると、口金部13の係合突起部13aがソケット2の切り溝2a内に挿入されるとともに、口金部13の切欠部13bにソケット2の凸片部2bが係合し、さらに、端子部14が給電端子17に挿入される。そして、口金部13がソケット2の凹部2cの最奥に位置した段階で片口金放電灯1を時計方向に回すことで、係合突起部13aが切り溝2aに沿って回動し、片口金放電灯1がソケット2に確実に固定される。
【0025】
この場合、前述のごとく、放電管11のベース部12に対する巻回方向と、口金部13をソケット2に装着する場合の回転方向とが同じ方向になるように形成されているので、図6(a),(b)に示すように、片口金放電灯1をソケット2に取り付ける際、口金部13がソケット2の凹部2cの最奥に当接した時点で、片口金放電灯1をソケット2に向けて押し付けながら放電管11の巻回方向に沿って力T1を加えると、相対的に放電管11の周方向に沿った力T1rによるトルクが小さくなり、係合突起部13aが切り溝2aに沿って容易に回動し、片口金放電灯1を比較的低いトルクでソケット2に簡単に取り付けることができる。
【0026】
一方、図7(a),(b)に示すように、片口金放電灯1の交換時には、放電管11の巻回方向と逆方向に沿って力T2を加えることになるが、この場合、通常、ソケット2をあまり引っ張らないように、片口金放電灯1をソケット2に向けて幾分押し付けながら回動するため、T1とT2とが同じ力であっても、T2r>T1rとなって、放電管11の周方向に沿った力T2rによるトルクが相対的に大きくなり、片口金放電灯1の不要の落下を防ぐことができる。
【0027】
なお、片口金放電灯1をソケット2に取り付ける場合と取り外す場合のトルクを実際に測定した結果を図8に示す。図8に示す結果からも分かるように、片口金放電灯1を比較的低いトルクでソケット2に簡単に取り付けることができ、また、片口金放電灯1をソケット2から取り外す際には高いトルクを要することが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態における片口金式照明器具の正面断面図である。
【図2】同照明器具を構成する片口金放電灯とソケットを示す分解斜視図である。
【図3】片口金放電灯を示す正面図である。
【図4】片口金放電灯を口金部側から見た平面図である。
【図5】ソケットを底面側から見た平面図である。
【図6】片口金放電灯をソケットに取り付ける場合の説明図である。
【図7】片口金放電灯をソケットから取り外す場合の説明図である。
【図8】片口金放電灯をソケットに取り付ける場合と、取り外す場合のトルクを実際に測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1…片口金放電灯
2…ソケット
2a…切り溝
2b…凸片部
2c…凹部
3…フード
3a,3b…開口端
3c…つば部
3d…凸部(目印)
3e…反射膜
11…放電管
12…ベース部
12a…凸部(目印)
13…口金部
13a…係合突起部
13b…切欠部
14…端子部
17…給電端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片口金放電灯と、この片口金放電灯が装着されるソケットとを備え、前記片口金放電灯は、二重螺旋構造の放電管と、この放電管の端部が収容されるベース部と、このベース部の放電管との対向側に設置された口金部と、この口金部から突出されて前記ソケットと電気的に接続される端子部とを有する片口金式照明器具であって、前記放電管のベース部に対する巻回方向と、前記口金部をソケットに装着する場合の回転方向とが同じ方向になるように形成されていることを特徴とする片口金式照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−140569(P2008−140569A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323016(P2006−323016)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】