説明

物体をコーティングするための装置およびシステム

物体にコーティングを塗布するための装置、方法およびシステム。このシステムは、少なくとも1つの支持部材(12)を備える連続したベルト(10)と、この連続したベルトと作動可能に係合された駆動部材と、この連続したベルトと連絡するコーティングユニットと、連続したベルトおよびコーティングユニットと連絡し、物体が、連続したベルトの上でコーティングされ、そして乾燥されるように並べられた、乾燥ユニットとを備え、ここで、支持部材(12)は、この支持部材の上に物体を保持するように位置決めされている。ベルトの支持部材は、複数の突起(21)を備える少なくとも1つのブレード部材(14)を備え得、この複数の突起の少なくとも1つは、物体と接触するように位置決めされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、物体をコーティングするための装置およびシステムに関し、より具体的には、物体をコーティングするための連続したベルトおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景および考察)
製品(例えば、工業部品および自動車部品、種々の小さなパーツ)の製造(例えば、スタンピング、キャスティング、弁座−クランプの組立て)においては、最終的な組立てにおいて主に機能的な役割を果たす、ボルト、クランプ、導管、パイプなどが使用される。最終的な組立てのためのこれらのパーツを調製するために、代表的には、コーティング物質がこれらのパーツの少なくとも一部分に蒸着される。多くの場合、パーツ全体がコーティングされて、パーツに洗練された外観を提供するか、そして/または、下にある物質に対し、使用、摩耗および/もしくは環境条件の結果としての有害な効果からの保護を提供する。
【0003】
製造業において使用される小さなパーツの数がかなり多いことから、これらのパーツに、物質を高速で蒸着させるために、種々のコーティング技術が使用されている。例えば、小さなパーツは、高速コーティングのために、平らな金属メッシュコンベヤベルト上に広げられ、大まかに置かれ得る。これらのパーツは、乾燥ユニットを通して処理される前に、1以上のさらなるベルトに移される。多くの場合、個々のパーツは、コーティング・乾燥システムを通過する間に、互いに近接するか、または、互いに係合し、その結果、コーティングがパーツ全体に塗布され、乾燥もしくは硬化されたときに、2以上のパーツが、係合点(「接触点(touch point)」として知られる)において互いに接着している可能性がある。これらのコーティングされたパーツは、次いで、代表的には、接触点もしくはその付近において、パーツの各々からコーティングの少なくとも一部を除去する、ある程度の力で、互いから引き離されなければならない。接触点はまた、パーツがコンベヤのサイドに接触するときにも形成され得る。さらに、パーツ間もしくはパーツとコンベヤのサイドとの間で接触が起こらなかった場合であっても、パーツとパーツが乗っているコンベヤベルトとの間では接触はなお存在し、そして、接触点は、ベルトと接触する点の各々に存在する。このことは、コーティング前もしくはコーティング時に必要な電荷を供給するために、コンベヤベルトがパーツと電気的に接触していることを必要とする、電気泳動コーティングのプロセスの場合に、特に当てはまる。
【0004】
最低限でも、接触点は、完成品に見た目を悪くする汚れ(unsightly blemish)を提供する。パーツが、腐食性の物質から形成される場合、接触点は、その外観を損ねるのに加え、組立て後に、早すぎる腐食の徴候を生じる機会を実質的に増加させる。パーツは、ベルト上にランダムに位置決めされるので、コーティング前に接触点の位置を推測することは困難である。
【0005】
上記のコーティングプロセスにおいては、例えば、小さなパーツが、コンベヤベルト上にランダムに置かれ、そして、パーツが、乾燥ユニットに入る前に、1以上のさらなるベルトに移されるので、接触点が発生することを最小限にすることは困難であった。従って、品質水準を満たすために、このコーティング技術を用いる業者は、必ず、不適合なパーツを選別し、廃棄するという時間も費用もかかる労力を強いられることが分かり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
機能および美観の品質要件を満たすか、または、これを上回るコーティングパーツを提供しながらも、上記の欠点を著しく減少もしくは回避し、そして/または、コーティングおよび製造の効率を改善し得る装置および/またはシステムが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、物体にコーティングを塗布するための連続したシステムを提供する。このシステムは、少なくとも1つの支持部材を備える連続したベルトと、この連続したベルトと作動可能に係合された駆動部材と、この連続したベルトと連絡するコーティングユニットと、連続したベルトおよびコーティングユニットと連絡し、物体が、連続したベルトの上でコーティングされ、そして乾燥されるように並べられた、乾燥ユニットとを備え、ここで、支持部材は、この支持部材の上に物体を保持するように位置決めされている。
【0008】
本発明はまた、連続したコーティングシステムを通して物体をコーティングするための連続したベルトを提供し、この連続したベルトは、少なくとも1つの支持部材を備え、この支持部材は、この支持部材の上に物体を保持するように位置決めされ、かつ、複数の突起を備える少なくとも1つのブレード部材を備え、この複数の突起の少なくとも1つは、物体と接触するように位置決めされている。
【0009】
本発明はまた、連続したコーティングシステムを通して物体をコーティングするための連続したベルトを提供する。この連続したベルトは、第1の連続した支持部材および第1の連続した支持部材から側方に間隔を空けられた第2の連続した支持部材であって、この第1の連続した支持部材および第2の連続した支持部材の各々は、物体を支持するように構成された複数の突起を備える、第1の連続した支持部材および第2の連続した支持部材と;間隔を空けた位置において、第1の連続した支持部材および第2の連続した支持部材に連結された複数の接地部材であって、複数の突起と電気的に連結されている、接地部材と;第1の連続した支持部材および第2の連続した支持部材に連結された一対のサイド部材であって、このサイド部材のうちの少なくとも一方は、複数の接地部材に電気的に連結されている、サイド部材とを備える。
【0010】
本発明はまた、物体をコーティングするためのプロセスにも関する。このプロセスは、連続したベルトの上に物体を位置決めする工程であって、この連続したベルトは、支持部材を備え、この支持部材は、この支持部材の上に物体を保持するように位置決めされている、工程;連続したベルトが、コーティングユニットおよび乾燥ユニットの両方を通過するように、駆動部材を用いて、この連続したベルトを運ぶ工程;連続したベルト上で、コーティング組成物を用いて物体をコーティングする工程;ならびに、連続したベルト上で、物体を乾燥させる工程を包含する。
【0011】
他の局面において、本発明は、連続したベルト上で、物体に、水性の電着可能なコーティング組成物を電気泳動的に塗布する(electrophoretic application)ためのプロセスを提供し、ここで、この連続したベルトは、支持部材を備え、この支持部材は、この支持部材の上に物体を保持するように位置決めされている。これらの方法は、連続したベルトの上に物体を供給する工程;連続したベルトの上に物体を位置決めする工程であって、支持部材が、物体と接触するように並べられた複数の鋸歯を備えるブレード部材を備える、工程;連続したベルトが、コーティングユニットおよび乾燥ユニットの両方を通過するように、駆動部材を用いて連続したベルトを運ぶ工程;この連続したベルト上で、水性の電着可能なコーティング組成物を用いて物体を電気泳動的にコーティングする工程;ならびに、この連続したベルト上で、物体を乾燥させる工程を包含する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、複数の物体および連続したベルトが槽の中でコーティングされ、その後、硬化される、連続した電着コーティングプロセスの間に、この連続したベルト上の複数の突起を、電極の第1の極に電気的に連結させるプロセスを提供する。このプロセスは、連続したベルトのサイド部材を係合して、この連続したベルトを進める工程;サイド部材から硬化したコーティングを取り除いて、電気接触部分を提供する工程;サイド部材が槽に再び入る前のある位置において、サイド部材の電気接触部分を、電極の第1の極に接触させる工程;および、サイド部材の電気接触部分を、複数の突起に連結させる工程を包含する。
【0013】
本発明は、この要旨に開示される実施形態には限定されず、本発明は、特許請求の範囲により規定されるような、本発明の精神および範囲内に入る改変を包含することが意図されることが理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明の図面および明細書は、本発明を明確に理解するための当該の要素を示す一方で、明確にするために、他の要素を排除するように単純化されていることが理解されるべきである。当業者は、他の要素が、本発明を実施するために望ましくあり得ることを認識する。しかし、このような要素は、当該分野で周知であり、本発明の良好な理解を促進しないので、このような要素についての考察は、本明細書中には提供されない。
【0015】
本発明の説明において、本発明は、特定の構成を有する、物体にコーティングを蒸着させるための装置の形態で説明および例示される。この構成が、物体に対してサイズおよび構造的な形状を与える程度まで、本発明は、このような形状の実施形態に制限はされず、そして、いかなるサイズ、形状、および構成の物体がコーティングされることが望ましい場合にも、用途を有し得ることが理解されるべきである。従って、本発明は、多くの異なる形状で実施可能であるが、この詳細な説明および添付の図面は、本発明の例として特定の形状のみを開示する。関連分野の当業者は、本明細書の記載に基づいて、本明細書中に具体的には提示されていない他の形状での用途に、本発明を適合させることができる。例えば、本発明の説明において、本発明は、例えば、ボルトのような物体をコーティングするためのシステムおよび/または装置として例示される。この形状における詳細な説明は、本発明を例示するのみであり、そして、本発明は、本明細書中に具体的には記載されていない他の形状および構成を有する物体にも使用され得ることが理解されるべきである。
【0016】
また、本発明、および本発明に関連し得るデバイスは、本明細書中に通常の作業位置で記載および/または例示され得、そして、上側、下側、前、後、水平、近位、遠位などの用語は、参照されるデバイスもしくは要素の通常の作業位置を参照して使用され得る。しかし、本発明の装置は、本明細書中に記載および/または例示される方向以外の方向で、製造、保管、運搬、使用および販売され得ることが理解される。
【0017】
作業例または他に示されている場合以外で、明細書および特許請求の範囲において使用される、成分の量、反応条件などを表すあらゆる数は、あらゆる場合に、用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。従って、そうでないと示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、本発明により得られると考えられる所望の特性に依存して変動し得る近似値である。最低限でも、そして、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限することは企図していないが、数値パラメータの各々は、少なくとも、報告される有効数字の数を考慮し、そして、通常の丸めの技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0018】
本発明の広い範囲を示す数値範囲および数値パラメータは、近似値であるが、あらゆる具体的な実施例において示される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、あらゆる数値が、本質的に、そのそれぞれの試験測定において見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含んでいる。
【0019】
また、本明細書中で列挙されるあらゆる数値範囲は、その中に包含される全ての部分範囲(sub−range)を含むことを意図されることが理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、列挙される最小値1と、列挙される最大値10との間、およびこれらを含む(すなわち、1以上の最小値と10以下の最大値を有する)全ての部分範囲を含むことを意図される。
【0020】
本明細書中に示されるあらゆる特許文献および刊行物は、本明細書中に参考として援用される。本明細書中に参考として援用されると言われるあらゆる特許文献、刊行物または他の開示資料は、全体的に、もしくは、部分的に、援用される内容が、その開示物の中に示される既存の定義、記述もしくは他の開示内容と矛盾しない程度にのみ、本明細書中に援用される。従って、必然的な程度まで、本明細書中に明示的に示される開示は、本明細書中に参考として援用される、あらゆる矛盾する内容よりも優先される。
【0021】
本発明は、例えば、電気泳動コーティング技術によって、物体の上に少なくとも1つのコーティングを蒸着させるための装置およびシステムに関する。本明細書中で使用される場合、物質「の上に蒸着される(deposited on)」などの句は、物質の表面の上もしくは表面を覆ってはいるが、必ずしも隣接してはいない状態で、蒸着もしくは提供されることを意味する。例えば、コーティングは、物質の上に直接蒸着されても、1以上の他のコーティングが、その間に塗布されてもよい。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「物体(object)」は、本明細書中に示される連続したベルトの上に適切に置かれ得るあらゆる物品、特に、その後の使用のためにコーティングされ得る物品を含むことを意図される。用語「物体」は、例えば、製品の最終的な組立て(例えば、スタンピング、キャスティング、弁座−クランプの組立て)に使用され得る、工業用、自動車用、および航空宇宙産業用の小さなパーツ(ボルト、クランプ、導管、パイプ、および、製造に使用されるあらゆる他の本体)を含むこと意図される。例示目的だけのために、そして、本発明の範囲を制限することは意図しないが、物体は、一体型の座金を備えるボルトとして例示される。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「保持する」および類似の用語は、維持もしくは支持することを意味する。
【0024】
本発明は、物体にコーティングを塗布するための連続したシステムを提供し、このシステムは、特定の非限定的な実施形態において、少なくとも1つの支持部材を備える連続したベルトと、この連続したベルトと作動可能に係合された駆動部材と、この連続したベルトと連絡するコーティングユニットと、連続したベルトおよびコーティングユニットと連絡し、物体が、連続したベルトの上でコーティングされ、そして乾燥されるように並べられた、乾燥ユニットとを備え、ここで、支持部材は、この支持部材の上に物体を保持するように位置決めされている。以下の考察において、コーティングシステムは、例えば、電気泳動コーティングシステムであり得る。この連続したシステムは、ベルトと共に動かすために、上に物体が置かれる、可動式のベルトを備え得る。図面は、ボルトのような物体を、出発地点から目的地点まで、コーティングシステムのコーティングユニットおよび/もしくは乾燥ユニットを通して運ぶために使用され得る、連続したベルト装置の一実施形態を例示するが、本発明は、このような形状の実施形態に制限されず、そして、いかなる設計、サイズ、形状および/もしくは構成の連続したベルトが使用されることが望ましい場合にも、用途を有し得ることが理解されるべきである。従って、本発明は、多くの異なる形状で実施可能であるが、この詳細な説明および添付の図面は、本発明の例として連続したベルトの特定の形状のみを開示する。関連分野の当業者は、本明細書の記載に基づいて、本明細書中に具体的には提示されていない他の形状での用途に、本発明を適合させることができる。例えば、以下の詳細に考察されるベルトの一実施形態において、ベルトは、連結デバイスによって互いに固定されて、所望の長さの連続したベルトを形成する、一連のベルトセグメントから形成され得る。このベルトセグメントは、任意の所望の長さであり得、そして、ベルトを形成するベルトセグメントは、均一の長さである必要はない。少なくとも1つの支持部材(例えば、ブレード部材)、および、いくつかの実施形態においては、複数のブレード部材が、ベルトに固定され、そして、物体を受け入れ、保持し、そして/または運ぶように機能し得る。支持部材は、例えば、鋸歯の断面プロフィールの形状をとる、物体の一部と接触する突起を備え得る。例えば、物体がボルトである実施形態において、ボルトの軸部を含む、ボルトの表面は、ボルトの長さに沿って、1以上の比較的細かい突起点において、ベルト装置と接することのみを必要とする。それゆえ、比較的小さく、おそらくは、実質的に目に見えないか、もしくは、認知できない点が、ベルト装置と接触する点において、物体の表面上に生成される。しかし、本明細書中に具体的には示されていない連続したベルトの他の形状が、本発明のシステムにおいて使用され得ることに注意すべきである。
【0025】
ここで図面を参照して、図1A〜1Cは、本発明のシステムにおいて使用される連続したベルト10の実施形態を示す。ベルト10は、以下に記載される、コーティングおよび/または乾燥のプロセスを通じてのその後の処理のために、1以上の物体20を支持および/または保持する。ベルト10は、連続していてもよい。すなわち、ベルト10は、駆動機構上に位置決めされたときに、永久ループを形成するように、端と端がつながっているか、または、つながっていてもよい。ベルト10は、一般に、物体の連続したコーティングに関連する温度および条件に耐えるために、当該分野で公知のあらゆる耐久性のある材料から形成され得る。本発明の実施形態において、ベルト10は、弾力性があり、耐久性があり、そして/または伝導性のある材料(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、または軟鋼)から形成され得る。ベルト10は、水平な構成で示されているが、例えば、角を成した構成のような他の構成が使用され得、そして、このような改変は、本発明の範囲内に包含されることが意図されることが理解される。ベルト10上には、少なくとも1つの支持部材12が取り付けられ得る。支持部材12は、物体20を保持し、そして/または、物体20と電気的に接触するために、例えば、少なくとも1つの、そして代表的には、複数のブレード部材14のような、種々の輸送用表面の形状であり得る。支持部材12は、その基部から外向きに延びる、突起21を備え得る。一実施形態において、支持部材12は、約0.06インチ(約0.15cm)の厚みを有する。ベルト10は、示されるように、例えば、以下に記載されるように、より高い程度のベルトの可撓性を提供し、コーティングされた物体を乾燥および冷却するのに役立ち、そして/または、ベルト10がコーティングシステム50を通って移動するときに、コーティング物質を保持することを回避するために、開いた底部分を有し得る。
【0026】
使用される場合、ブレード部材14は、ベルト上10に位置決めされ得、そして、複数の突起21を備え得(図1Bおよび1C)、この複数の突起21のうちの少なくとも1つは、比較的小さな表面積の点において、少なくとも部分的に物体20を支持するか、もしくは物体20と接触し、接触点を最小にするように機能する。コーティングシステム50
が、電気泳動コーティングシステムである場合、突起21はまた、物体20に電荷を渡すための、電気的な接触点としても機能し得る。さらに、突起21は、ベルト10が、コーティングシステム50の種々のセクションを通って動くときに、ベルト10に物体20をよりしっかりと保持するために、摩擦が付加された点を提供し得る。ブレード部材14は、物体20と接触するか、そして/または、ベルト10に物体20を保持するのに役立つための任意のサイズもしくは形状であり得る。例えば、ブレード部材14の接触点は、物体20が、ベルト10の上で適切な方向になっている場合に物体20と接触するように、複数の接触点がブレード部材14に沿って位置決めされた形状の、繰り返しの鋸歯断面プロフィールを有し得る。一実施形態において、図2および4に最も良く示されるように、ブレード14の接触点の断面プロフィールは、剪定刃の形状であり得る。種々の市販のブレード(例えば、商品名MILWAUKEE SAWZALL剪定刃,Model 48−00−1303の下、Milwaukee Electric Tool Corporation,Milwaukee,Wisconsinから製造されているもの)が使用され得る。ブレード部材14は、ベルト10の上に物体20を支持する、あらゆる弾力性のある材料から形成され得、そして、弾力性のある導電性材料から形成され得る。本発明の特定の実施形態において、ブレード部材14は、弾力性があり、耐久性があり、そして、伝導性がある材料(例えば、ステンレス鋼または軟鋼)から形成され得、これらの材料は、必要な場合、熱処理によってさらに硬化され得る。ブレード部材14は、当該分野で公知のあらゆる様式によって、ベルト10に固定され得る。例えば、そして、例示されるように、ベルト10は、ブレード部材14を通って通過する、細長ピン22のような1以上の連結デバイスを備え得、この細長ピン22は、例えば、このピン22から延びるタブ19によって、サイド部材16と係合している。例えば、鋲、ボルト、ねじなどのようなあらゆる適切な締め具が、細長ピン22をサイド部材16に固定するために使用され得る。
【0027】
ブレード部材14は、例示されるように、物体20と電気的に接触し、そして/または、物体20を保持するために適切なあらゆる方向(例えば、互いに関して実質的に平行な方向)で並べられ得る。ブレード部材14は、あらゆる2つのブレード部材14間の距離が、ベルト10を通る物体20の通過を妨げるために、コーティングされる物体20の長さ、幅もしくは高さよりも小さくなるように、間隔を空けられ得る。ベルト10が、サイド部材16を備える場合、ブレード部材14は、あらゆる適切な配置(例えば、サイド部材16に対して、対角線上、平行、垂直、またはこれらの組み合わせ)でサイド部材16に関して方向付けられ得る。例えば、コーティングされる物体20のサイズ、形状および配置、または、コーティングシステム50を通るベルト10の動作に基づいて、種々の角度または方向が使用され得ることが企図される。ブレード部材14と同じ様式の形状かつ方向である、ガイド部材23もまた、使用され得る。使用される場合、ガイド部材23は、ベルト10上の物体20が、ベルト10がコーティングシステム50を通って動くときに、ベルト10にかかる力に起因して、ベルト10から滑らないように、ブレード部材14よりもわずかに大きくあり得る。
【0028】
図1A〜1Cおよび図4に最も良く示されるように、各ブレード部材14は、連続したシステム50を通してベルト10を作動的に動かすために、旋回可能な部分15およびスロット部分17を備え得る。旋回可能な部分15は、連結デバイス22を受け取るために、ブレード部材14を通過する開口部を備え得、この連結デバイス22は、例示されるように、細長ピン22である。この実施形態において、細長ピン22の断面の直径は、ベルト10が、その移動方向を、例えば、ほぼ水平な方向から、角を成した方向(例えば、水平方向から15°〜20°)へと変化させるときに(例えば、以下に記載するように、ベルト10が、コーティングユニット74に出たり入ったりする場合に)、旋回可能な部分15において、ブレード部材14がピン22の周りで自由に回転することを可能にするために、開口部の直径よりもわずかに小さいサイズであり得る。さらに、各ブレード部材14は、旋回可能な部分15の反対側の端部に、開いたノッチであっても閉じたノッチであってもよいスロット部分17を備え得る。スロット部分17は、細長ピン22を受け取るために適したあらゆる高さを有し得る。このノッチの高さは、細長ピン22の断面の直径よりもわずかに大きくあり得、そして、このノッチの長さは、旋回可能な部分15の反対側の端部における、ベルト10のブレード部材14の比較的な自由な旋回および/または側方への動きを可能にする、あらゆる長さであり得る。例えば、細長ピン22は、ベルト10がコーティングシステム50を通って屈曲部の周りを動く場合のように、ベルト10が方向を変えるときに、ブレード部材14が、スロット部分17において、自由に旋回するか、拡張するか、または接触することを可能にし得る。
【0029】
図1A〜1Cおよび図3に例示されるように、ベルト10は、連続したコーティングシステム50を通して作動的に動かすために、個別のベルトセグメントの形状の、複数のブレード部材14を有し得る。例示されるように、そして、一例として、ブレード部材14は、ブレード部材14の1つのセグメントの旋回可能な部分15が、ブレード部材14の隣接するセグメントのスロット部分17と同じ連結デバイス22と係合するように、少なくとも1つの重なり合うセクション18を有し得る。この配置は、例示されるように、ブレード部材14が、例えば、細長ピン22の形状の連結デバイス22によってその方向に保持されるように、ねじれ型のブレードの方向を提供する。ベルト10の1つのセグメントを取り外すことが望ましい場合、スロット部分17の開放端から、隣接する細長ピン22と係合するブレード部材14の反対側の端部をスライドさせることによって、サイド部材16から細長ピン22を取り外すことで、旋回可能な部分15が、取り外された細長ピン22と係合しているブレード部材14のセグメントが、ベルト10から離れることが可能となる。この様式において、ブレード部材14のねじれ型の重なり合った配置は、ベルト10の個別のセグメントが、コーティングシステム50を通って、比較的、そして、少なくとも部分的に独立して動くことを可能にする。
【0030】
ブレード部材14および細長ピン22のようなベルトの構成要素は、単一のベルト10が、例えば、異なる直径、長さなどを有する、一連の異なるサイズの物体をコーティングするために生産ライン上で使用され得るように、種々のサイズの物体を保持するように、調節可能、かつ、位置決め可能であり得ることが企図される。この形状において、ベルトの交換は、種々のサイズの物体(例えば、異なる直径もしくは長さのボルト)のラン、または、完全に異なる物体のラン(例えば、ボルトのラン(run)の直後のクランプのラン)との間に、減らされ得るか、または、実質的に排除され得る。
【0031】
物体20をコーティングするためのプロセスが、電気泳動コーティングプロセスである場合、本発明のベルト10は、少なくとも1つの電気的な接地部材28を備え得、そして代表的には、プロセスにおいて電気回路に良好な接地を保証するために、ベルト10に沿って位置決めされた複数の接地部材28を備える。使用される場合、電気的な接地部材28は、ブレード部材14の下で、ベルト10の底部分に位置決めされ得、そして、締め具の使用または溶接などの、当該分野で公知のあらゆる手段によって、底部分に電気的に接続され得る。本発明の特定の実施形態において、そして、図1A〜1Cに例示されるように、接地部材28は、各々が導電性のプレートもしくはバーであり得、そして、ブレード部材14のノッチ内に位置決めされ、そして、その下側に固定され得る。接地部材28は、例示されるように、接地部材28との適切な電気的接触を提供するあらゆる様式で(例えば、ブレード部材14に対して実質的に垂直な方向で)、ベルト10の上に方向付けられ得る。代表的には、接地部材28は、ブレード部材14を形成する材料と適合性の、導電性材料から形成され得る。本発明の特定の実施形態において、接地部材28は、弾力性があり、耐久性があり、そして/または導電性の材料(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼または軟鋼)から形成される。
【0032】
接地部材28は、当該分野で公知のあらゆる手段によって、ベルト10を通して電気的接触を提供し得る。例えば、接地部材28は、接地部材28を介して細長ピン22に、そして、サイド部材16を通して伝導性を提供する、接地ケーブルのような、接地コネクタ29によって、細長ピン22に電気的に接続され得る。適切な接地ケーブルは、McMaster−Carr Supply Company,Atlanta,Georgiaから市販されている、Model 69925K32として特定される、ラグからラグまでが可撓性の編目状になった接地ケーブル(lug−to−lug flexible braided grounding cable)であり得る。接地コネクタ29は、例えば、鋲、ボルト、ねじなどによって適所に保持されて、ベルト10を通して電気的な接触を提供し得る。接地コネクタ29はまた、軟鋼、ステンレス鋼またはアルミニウムのような伝導性材料から形成され得、その結果、ベルト10が回転、駆動機構などによって運ばれるときに、接地部材28は、コーティングシステム50の1以上の構成要素を、電気的に接地したベルト10に接触させ得る。
【0033】
ブレード部材14の代わりに、もしくはブレード部材14に加えて、輸送用表面のような種々の他の支持部材12が、本発明において使用され得ることが企図される。適切な支持部材12は、例えば、複数の突起を有する格子ストリップ(例えば、鋸歯状の歯を縁に有する菱形状の開口部を備える、McNichols Company,Tampa,Floridaから、商品名GRIP STRUTの下で市販されているもの)を含み得る。支持部材12はまた、間に小さな間隙を有した状態でベルト10と係合する一連のトレイを備え得る。この一連のトレイは、物体20が、1つのトレイから別のトレイへと橋渡ししないように載せられるように並べられ得る。これらの代替的な実施形態において、支持部材12は、種々の手段によって、例えば、本明細書中に記載したものと類似の様式で、ベルト10上に並べられ、そして、構成され得る。
【0034】
一実施形態において、支持部材12(例示的には、ブレード部材14)は、側方に間隔が空いている複数の連続した支持部材の中で並べられ、この複数の支持部材は、各々が、図3に例示的に示されるループ13Aおよび13Bのような、ベルト10の連続したループを形成する。例示される実施形態において、ブレード部材14の各列が、それぞれの連結デバイス22(例示的には、ピン22)に連結され、そして、それぞれの接地部材28に連結される。接地部材28は、コネクタ29を通して少なくとも1つの連結デバイス22に電気的に連結される。連結デバイス22は、サイド部材16の少なくとも1つに電気的に連結される。
【0035】
サイド部材16の少なくとも1つは、導体72に電気的に連結される。従って、ベルト10によって運ばれる物体20は、サイド部材16、ピン22、コネクタ29、接地部材28および支持部材12を通した物体20を支持する突起21への導体72の電気的な連結に起因して、導体72によって電気的に荷電されている。図7に示されるように、導体72は、サイド部材16がコーティングユニット74の電着槽に入る前に、サイド部材16に電気的に連結される。一実施形態において、導体72は、1以上のワイパー(図示せず)(例えば、銅製の板ばね)を介してサイド部材16に電気的に連結される。例示的なワイパーは、米国特許第3,669,870号および同第3,607,711号(これらの開示は、明示的に本明細書中に参考として援用される)に開示されている。一実施形態において、電極72は、ワイパーを介して、サイド部材16との電気的な連続性を維持する。
【0036】
一実施形態において、ベルト10は、連続したコーティングプロセスの構成要素であり、このプロセスにおいて、物体20およびベルト10が、コーティングユニット74を通して、その後、乾燥ユニット80を通して動かされる。本明細書中で述べたように、突起21を備えるベルト10の部分は、洗浄ユニット88で洗浄されて、あらゆるコーティングの盛り上がり(buildup)(例えば、乾燥したコーティングおよび/または硬化したコーティング)を除去し得、そして/または、さらなる物体20をコーティングのために受け入れる前に、ブレード部材14と物体20との間の電気的な接触を促進し得る。さらに、本明細書中で述べたように、さらなる洗浄ユニットおよび/または洗浄ユニット88(例えば、回転可能なブラシ)が、サイド部材16から、あらゆるコーティングの盛り上がり(例えば、乾燥したコーティングおよび/または硬化したコーティング)を除去し得、そして/または、サイド部材16が、コーティングユニット74を通過する前に、電極72とサイド部材16との間の電気的な接触を促進し得る。
【0037】
一実施形態において、乾燥したコーティングおよび/または硬化したコーティングは、地金のような電気接触部分を提供するために、サイド部材16から取り除かれる。サイド部材16の電気接触部分は、サイド部材16がコーティングユニット74の槽に再び入る前のある位置において、電極72の第1の極と接触する。本明細書中で説明するように、サイド部材16の電気接触部分は、電極72と電気的に連結されているので、複数の突起21、そして、従って、物体20は、電極72に電気的に連結されている。一実施形態において、サイド部材16と電極72との間の電気的な接触は、サイド部材16がコーティングユニット74の槽に再び入る直前の位置に近い。
【0038】
ここで、図7を参照して、本発明の連続したベルト10は、連続したコーティングシステム50において使用され得、この連続したコーティングシステム50は、任意の前処理ユニット70、コーティングユニット74、リンスユニット76および乾燥ユニット80を通る永久システムとして回転するために、ベルト10と作動的に係合した駆動機構またはシステム60、82を備え得る。本発明において使用されるコーティングシステム50は、当業者に公知の物体20をコーティングするためのあらゆるシステムであり得、そして、例えば、電気泳動コーティングまたは電着コーティングのシステムまたはプロセスを包含し得る。あらゆる連続したコーティングシステムが使用され得るが、例示のみの目的のために、そして、任意の特定の実施形態に制限されることは意図しないが、連続したシステム50は、金属製の物体20をコーティングするための電着コーティングシステムの形状で記載および例示される。
【0039】
物体20は、ベルト10上に手動で供給され得るが、連続したコーティングシステム50は、代表的には、コーティングされる物体を受け取り、操作し、そして/または供給するための、物体供給機構52を備える。供給機構52は、代表的には、大量の搭載量の物体20を受け取るためのホッパー54、および、ベルト10におけるピックアップ点まで流動的な列において、ホッパー54から物体を運ぶための1以上のコンベヤ56を備える。コンベヤ56は、あらゆる従来のタイプ(例えば、ベルトコンベヤ、チェーンコンベヤ、プラットフォームコンベヤ、重力コンベヤなどであるが、これらに限定されない)であり得る。供給機構52はまた、コンベヤ56からベルト10上へと物体20を操作または分配するための、従来の選別デバイス58を備え得る。供給機構52、より具体的には、コンベヤ56は、当業者に周知の方法によって(例えば、ベルト10上の物体20の毛羽立ちを避け得る、流動的でランダムな様式において)、複数の物体20をベルト10上に供給し得る。本発明において使用される供給機構52は、当該分野で周知のものであっても、種々の従来のホッパー、選別、および輸送の構成要素から組み立てられてもよい。例えば、コーティングされる物体20がねじ切り式のボルトである場合、適切なボルトホッパー、ボルト選別機、およびボルトコンベヤの機構は、Spectrum Automation Company,Livonia,Michiganから市販されている。種々の物体供給機構52が、本発明において使用され得ることが企図される。
【0040】
特に、コンベヤ56上の物体20の各々の経路は、ベルト10とほぼ整列し、そして、係合した経路に沿っており、その結果、物体20は、ブレード部材14の1以上の突起21の上に置かれ、そして、保持され得る。鋸歯の形状のような突起21は、ベルト10上に物体20を支持および/または保持し、そして、その長さに沿って1以上の細かい点においてこの物体との接触を提供するように機能する。物体20が、供給機構52からベルト10上へと供給されると、物体20は、回転機構60および/または82による回転などによって、運ばれるときに、ベルト10の経路に沿って動く。本発明において使用される駆動機構は、公知の連続したベルトコンベヤシステムを駆動させるための、あらゆる公知の機構であっても、図面に示されるタイプのものであってもよい。駆動機構60、82は、例えば、従来のスプロケット配置などによって、当業者に公知のあらゆる手段によりベルト10と作動的に回転するように係合し得、このスプロケット配置において、1以上の歯がついた駆動輪82は、実質的にベルト10の長さを延びるチェーン部材の形状のサイド部材16内のリンクと係合して、ベルト10の、従って、物体20の動きを提供する。駆動機構60、82により運ばれるときの、ベルト10の速度は、物体20がコンベヤ56から供給される速度と作動的に関連するあらゆる速度であり得る。コーティングシステム50を通るベルト10の移動速度は、あらゆる速度であり得るが、特定の非限定的な実施形態において、連続した流れ生産は、毎分5.0フィート(毎分1.5メートル)で行なわれ得る。
【0041】
上で考察したように、物体20をコーティングするためのプロセスが、電着コーティングプロセスのような電気泳動コーティングプロセスである場合、本発明のベルト10は、少なくとも1つの電気的な接地部材28を備え得、そして、代表的には、プロセスにおいて、電気回路に良好な接地を保証するために、ベルト10上に位置決めされた複数の接地部材28を備える。
【0042】
物体20の表面上にコーティングを蒸着させる前に、物体の表面を徹底的に洗浄および/または脱脂することによって、金属表面から外来物質を除去することが必要とされ得る。この点に関して、任意の前処理ユニット70が、物体20の表面をコーティングのために、洗浄システムを備え得る。物体20の表面は、当該分野で公知のあらゆる物理的もしくは化学的な手段によって、例えば、表面を機械的に薄く削るか、または、代表的には、当業者に周知の、市販されているアルカリ性もしくは酸性の洗浄剤(例えば、メタケイ酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム)を用いて洗浄/脱脂することによって洗浄され得る。適切な洗浄剤の非限定的な例としては、CHEMKLEEN 163リン酸塩洗浄剤およびCHEMKLEEN 177リン酸塩洗浄剤が挙げられ、これらは、共に、Pittsburgh,PennsylvaniaのPPG Industries,Inc.より市販されている。
【0043】
洗浄工程に続いて、または、洗浄工程の代わりに、物体20の表面は、あらゆる残留物を除去するために、水(代表的には、脱イオン水)でリンスされ得る。必要に応じて、金属の表面は、アルカリ性の洗浄剤で洗浄された後に、酸性の水溶液でリンスされ得る。リンス溶液の例としては、市販され、例えば、金属の前処理プロセスにおいて従来から使用されている、希硝酸溶液のような、中程度もしくは強い酸性の洗浄剤が挙げられる。物体20は、物体20を高温に短時間曝露して、水を飛ばすことによって、エアナイフを用いて風乾され得る。
【0044】
必要に応じて、リン酸塩ベースの前処理コーティングまたは変換コーティング(conversion coating)は、物体20が金属製の物質を含む場合に、物体20に塗布され得る。適切なリン酸変換コーティング組成物としては、ニッケル、鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウムもしくはコバルトで必要に応じて修飾された、リン酸亜鉛のような、当該分野で公知のものが挙げられる。有用なリン酸塩処理組成物は、米国特許第4,793,867号、ならびに同第5,588,989号;同第4,941,930号;同第5,238,506号および同第5,653,790号に記載される。
【0045】
乾燥/予熱機構は、コーティングユニット74内でコーティングするために荷電される前に、物体20が、前処理ユニット70を通過する際に、物体20を乾燥および/または予熱するために使用され得る。当業者に公知のあらゆる乾燥および/または予熱法(例えば、赤外線、電子ビーム、化学線、対流、誘導(induction)およびこれらの組み合わせ)が、前処理ユニット70において使用され得る。前処理ユニット70はまた、例示されるように、使用される洗浄溶液に依存して、フード付きでもあり得る。
【0046】
洗浄剤および/または変換コーティングで前処理される物体20は、とりわけ、任意のチェーン駆動式の従来のフラットワイヤまたはチェーンで連結された連続したベルト、バレルおよび/またはバスケットのような、当業者に公知の機構のいずれかによって、前処理ユニット70を通して運ばれ得る。特定の実施形態において、物体20は、Cambridge International,Inc.およびAshworth Brothers,Inc.により供給されるもののような、チェーン駆動式の平衡型ウィーブベルト(balance weave belt)(捲縮コネクタ(crimped connector)で接合された、交互性の左右方向のスパイラル(alternating left and right hand spiral)を有する)によって、前処理ユニット70を通して運ばれる。特定の実施形態において、平衡型のウィーブベルトは、支持部材が平衡型のウィーブを通過することを可能にする、細長のループを有する。
【0047】
任意の前処理段階の後、そして、コーティングユニット74に入る前もしくは入るときに、物体20は、導体72によって荷電され得る。電流が、1つの極において、導体72から電極の位置する浴へと適用され、そして、反対の極においては、導電性のベルト10へと適用され、そして、それによって、物体20に適用される。本発明のプロセスにおいて、物体20は、水性の電着可能なコーティング組成物中に浸漬されている電極と対電極とを備える電気回路において、電極(代表的には、カソード)として機能する。
【0048】
一般に、電着可能なコーティングを塗布するプロセスにおいて、電着可能な組成物の水性分散剤は、導電性のアノードおよびカソードと接触するように配置される。アノードとカソードとの間に電流が通過する際に、電着可能な組成物の接着フィルムが、物体20上に実質的に連続した様式で蒸着し、その組成物がアニオン性に電着可能であるのか、カチオン性に電着可能であるかに依存して、アノードもしくはカソードのいずれかとして機能する。あらゆる適切な電圧が、導電性ベルト10に荷電するために使用され得るが、使用される電圧は、コーティングされる物体20のサイズおよび形状、ならびに、塗布されるコーティング物質に依存し得る。電着は、通常、1ボルト〜7,000ボルトの範囲の定電圧において、そして、代表的には、50ボルトと500ボルトとの間で行われる。電流密度は、通常、1平方フィートあたり約1アンペアと15アンペアとの間(1立方メートルあたり10.8アンペア〜161.5アンペア)であり、使用されるコーティング物質がアニオン性である場合、ベルト10にはアニオン性の電荷が供給され、一方で、使用されるコーティング物質がカチオン性である場合、ベルト10にはカチオン性の電荷が供給される。
【0049】
コーティングユニット74は、例えば、ポンプのウェル、貯蔵ユニット(例えば、供給槽)から、このような材料を汲み出す、電着コーティング物質を含み得、そして、ベルト10上で、物体20の全てもしくは一部をコーティングするように位置決めされ得る。コーティングシステム50はまた、コーティングユニット74と貯蔵ユニットとを流体連絡させる、再循環システムを採用し得る。例えば、電着槽などのような、あらゆる電気泳動コーティングユニットが、本発明の連続したコーティングシステム50において使用され得る。例示されるように、コーティングユニット74は、電着槽を備える。さらに、特定の実施形態において、コーティングユニット74は、内部に貯蔵される電着コーティング物質を撹拌するための手段を備える電着槽を備え得る。例えば、撹拌は、コーティングユニット74の底部分に沿って位置決めされるエダクターへと、電着コーティング物質を供給することによって、電着槽の底もしくはその付近に提供され得る。さらに、撹拌は、コーティングベルト10の上部および底部に向けて電着コーティング物質を放出するように配置されたライザー(riser)を備えることによって、電着槽の頂部もしくはその付近において、コーティングベルト10の近くに向けられ得る。
【0050】
電着浴の組成物は、本発明のシステムにおける一実施形態として、槽において使用され得、これは、ポリマー性であり得、そして、水性媒体中に分散された樹脂相を含み得る。この樹脂相は、フィルムを形成する有機成分を含み、この有機成分は、アニオン性の電着可能なコーティング組成物、または、代表的には、カチオン性の電着可能なコーティング組成物を含有し得る。電着可能なコーティング組成物は、代表的には、活性水素含有イオン性樹脂と、このイオン性樹脂の活性水素と反応性の官能基を有する硬化剤とを含有する。
【0051】
本明細書中で使用される場合、用語「反応性」とは、適切な反応条件下において、別の官能基と共有結合を形成する官能基をいう。
【0052】
アニオン性の電着可能なコーティング組成物の非限定的な例としては、非ゲル状の、水中に分散可能で、かつ電着可能なアニオン性のフィルム形成樹脂を含有するものが挙げられる。アニオン性の電着コーティング組成物において使用するのに適したフィルム形成樹脂の例は、基剤を可溶化した、カルボン酸含有ポリマー(例えば、乾性油または半乾性脂肪酸エステルの、ジカルボン酸もしくは無水物との反応生成物もしくは付加物);および、脂肪酸エステル、不飽和酸もしくは無水物の反応生成物、ならびに、ポリオールとさらに反応する、任意のさらなる不飽和修飾物質が挙げられる。また、不飽和カルボン酸と、不飽和カルボン酸と少なくとも1つの他のエチレン性不飽和モノマーとのヒドロキシ−アルキルエステルの、少なくとも部分的に中和されたインターポリマーも適切である。なお別の適切な電着可能なイオン性樹脂は、アルキド−アミノプラストビヒクル(すなわち、アルキド樹脂と、アミン−アルデヒド樹脂とを含有するビヒクル)を含有する。なお別のアニオン性の電着可能な樹脂組成物は、樹脂性ポリオールの混合エステルを含有する。これらの組成物は、米国特許第3,749,657号の第9欄第1行〜第75行、および第10欄第1行〜第13行に詳細に記載される。リン酸塩化ポリエポキシドまたはリン酸塩化アクリル性ポリマーのような他の酸官能性ポリマーもまた、当業者に周知であるように、使用され得る。
【0053】
「非ゲル状(ungelled)」によって、ポリマーが、実質的に架橋を有さず、そして、適切な溶媒中に溶解されたときに測定され得る、固有の粘性を有することが意味される。このポリマーの固有の粘性は、その分子量の指標である。一方で、ゲル状のポリマーは、本質的には無限に高分子であるので、測定するには高すぎる固有の粘性を有する。
【0054】
カチオン性樹脂に関して、広範な種々のカチオン性ポリマーが公知であり、そして、これらのポリマーが、「水に分散可能」(すなわち、水中への可溶化、分散、もしくは乳化に適合される)限りは、本発明の組成物において使用され得る。水に分散可能な樹脂は、カチオン性の性質であり、すなわち、このポリマーは、正電荷を与えるための、カチオン性の官能基を含有する。代表的には、カチオン性樹脂はまた、活性水素を含有する。
【0055】
適切なカチオン性樹脂の例としては、第三級スルホニウム塩基含有樹脂、および第四級ホスホニウム塩基含有樹脂(例えば、それぞれ、米国特許第3,793,278号および同第3,984,922号に記載されるもの)のような、オニウム塩基含有樹脂が挙げられる。他の適切なオニウム塩基含有樹脂としては、第四級アンモニウム塩基含有樹脂(例えば、有機ポリエポキシドを、第三級アミン塩と反応させることから形成されるもの)が挙げられる。このような樹脂は、米国特許第3,962,165号;同第3,975,346号;および同第4,001,101号に記載される。また、アミン塩基含有樹脂(例えば、ポリエポキシドと、第一級アミンもしくは第二級アミンとの酸可溶化反応生成物(例えば、米国特許第3,663,389号;同第3,984,299号;同第3,947,338号;および同第3,947,339号に記載されるもの))も適切である。
【0056】
通常、上記の塩基含有樹脂は、ブロック化されたイソシアネート硬化剤と組み合せて使用される。イソシアネートは、米国特許第3,984,299号に記載されるように完全にブロック化され得るか、または、イソシアネートは、米国特許第3,947,338号に記載されるように、部分的にブロック化されて、樹脂骨格と反応され得る。
【0057】
また、米国特許第4,134,866号およびDE−OS第2,707,405号に記載されるような一成分の組成物も、カチオン性樹脂として使用され得る。エポキシ−アミン反応生成物に加えて、樹脂はまた、米国特許第3,455,806号および同第3,928,157号に記載されるようなカチオン性のアクリル性樹脂からも選択され得る。また、欧州特許出願第12463号に記載されるような、エステル交換を介して硬化するカチオン樹脂も使用され得る。さらに、米国特許第4,134,932号に記載されるような、Mannich塩基から調製されるカチオン性組成物が使用され得る。また、第一級アミン基および/または第二級アミン基を含有する、正に帯電した樹脂も、本発明の電着可能なコーティング組成物において有用である。このような樹脂は、米国特許第3,663,389号;同第3,947,339号;および同第4,115,900号に記載される。米国特許第3,947,339号は、過剰量のポリアミンを反応混合物から真空ストリップ(vacuum strip)した、ジエチレントリアミンもしくはトリエチレンテトラアミンのようなポリアミンのポリケチミン誘導体を記載する。このような生成物は、米国特許第3,663,389号および同第4,116,900号に記載される。
【0058】
本発明の一実施形態において、本発明において有用な電着可能なコーティング組成物中に包含するのに適したカチオン性樹脂は、オニウム塩基を含有するアクリル性樹脂である。
【0059】
上記のカチオン性樹脂は、代表的には、組成物の総重量に基づいて、1〜60重量%、好ましくは、5〜25重量%の量で、電着可能なコーティング組成物中に存在する。
【0060】
先に考察したように、本発明において有用な電着可能なコーティング組成物は、代表的には、さらに、イオン性樹脂の活性水素と反応性の官能基を含む硬化剤を、含有する。
【0061】
代表的には、アニオン性の電着のための硬化剤として使用されるアミノプラスト樹脂は、アミンもしくはアミドとアルデヒドとの縮合生成物である。適切なアミンもしくはアミドの例は、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素および類似の化合物である。一般に、使用されるアルデヒドは、ホルムアルデヒドであるが、生成物は、アセトアルデヒドおよびフルフラールのような他のアルデヒドからも作製され得る。縮合生成物は、使用される特定のアルデヒドに依存して、メチロール基または類似のアルキロール基を含有する。好ましくは、これらのメチロール基は、アルコールとの反応によってエーテル化される。使用される種々のアルコールとしては、1〜4個の炭素原子を含有する一価アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびn−ブタノール)が挙げられるが、メタノールが好ましい。アミノプラスト樹脂は、商品名CYMELの下で、American Cyanamid Co.から、そして、商品名RESIMENEの下で、Monsanto Chemical Co.から市販されている。
【0062】
アミノプラスト硬化剤は、代表的には、電着浴中の樹脂固形物の総重量に基づいて、約5重量%〜約60重量%、好ましくは、約20重量%〜約40重量%の範囲の量で、活性水素を含有するアニオン性の電着可能な樹脂と組み合せて利用される。
【0063】
カチオン性の電着可能なコーティング組成物のために使用され得る硬化剤としては、ブロック化された有機ポリイソシアネートが挙げられる。ポリイソシアネートは、米国特許第3,984,299号、第1欄、第1行〜第68行、第2欄および第3欄、第1行〜第15行に記載されるように、完全にブロック化されていても、米国特許第3,947,338号、第2欄、第65行〜第68行、第3欄および第4欄、第1行〜第30行に記載されるように部分的にブロック化されて、ポリマー骨格と反応させられてもよい。「ブロック化される」により、イソシアネート基が化合物と反応させられて、その結果として、得られるブロック化イソシアネート基が、周囲温度においては活性水素に対して安定であるが、上昇した温度(通常は、90℃と200℃との間)においては、フィルム形成ポリマー中の活性水素と反応性となることを意味する。
【0064】
適切なポリイソシアネートとしては、脂環式ポリイソシアネートを含めて、芳香族ポリイソシアネートおよび脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる;代表的な例としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、2,4−もしくは2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)(これらの混合物を含む)、p−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、
フェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとポリメチレンポリフェニルイソシアネートとの混合物が挙げられる。トリイソシアネートのようなより高次のポリイソシアネートが使用され得る。例としては、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネートが挙げられる。ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパンのようなポリオールとのイソシアネートプレポリマー、ならびに、ポリカプロラクトンジオールおよびポリカプロラクトントリオール(NCO/OH当量比は、1よりも大きい)のようなポリマー性ポリオールとのイソシアネートプレポリマーもまた使用され得る。
【0065】
ポリイソシアネート硬化剤は、代表的には、組成物中に存在する総樹脂固形物の重量に基づいて、1重量%〜65重量%(例えば、5重量%〜45重量%)の範囲の量で、カチオン性樹脂と組み合せて利用される。
【0066】
本発明の水性組成物は、水性分散剤の形状である。用語「分散剤」とは、樹脂が、分散相中にあり、そして、水が、連続相中にある、2相のトランスコーティング(transcoating)、半透明もしくは不透明な樹脂系であると考えられる。樹脂相の平均粒径は、一般に、1.0未満であり、通常は、0.5ミクロン未満であり、そして、0.15ミクロン未満でもあり得る。
【0067】
水性媒体中の樹脂相の濃度は、水性分散剤の総重量に基づいて、少なくとも1重量%であり、通常は、約2重量%〜約60重量%である。本発明の組成物が、樹脂濃縮物の形状である場合、これらは、一般に、水性分散剤の重量に基づいて、約20重量%〜約60重量%の樹脂固形物含量を有する。
【0068】
本発明において有用な電着浴は、代表的には、以下の2つの構成要素として提供される:(1)一般に、活性水素を含有するイオン性の電着可能な樹脂(すなわち、主要なフィルム形成ポリマー)と、硬化剤と、任意のさらなる水に分散可能な非色素性の成分とを含有する、透明な樹脂供給;および(2)一般に、1以上の色素と、主要なフィルム形成ポリマーと同じであっても異なっていてもよい、水に分散可能な粉砕された樹脂と、必要に応じて、湿潤補助物質もしくは分散補助物質のような添加物とを含有する、色素ペースト。電着浴の構成要素(1)および(2)は、水と、通常は、合体溶媒(coalescing solvent)とを含有する水性媒体中に分散される。
【0069】
本発明の電着浴は、電着浴の総重量に基づいて、通常は、約5重量%〜25重量%の範囲内の樹脂および色素固形物の含量を有する。
【0070】
水に加えて、水性媒体もまた、合体溶媒を含有し得る。有用な合体溶媒としては、炭化水素、アルコール、エステル、エーテルおよびケトンが挙げられる。好ましい合体溶媒としては、アルコール、ポリオールおよびケトンが挙げられる。特定の合体溶媒としては、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、イソフォロン、2−メトキシペンタノン、エチレングリコールおよびポリエチレングリコール、ならびに、エチレングリコールのモノエチルエーテル、モノブチルエーテルおよびモノヘキシルエーテルが挙げられる。合体溶媒の量は、水性媒体の総重量に基づいて、約0.01重量%〜25重量%(例えば、約0.05重量%〜約5重量%)であり得る。
【0071】
上述のように、色素組成物と、所望される場合、界面活性剤、湿潤剤もしくは触媒のような種々の添加物が、分散剤中に含められ得る。色素組成物は、色素(例えば、酸化鉄、クロム酸ストロンチウム、カーボンブラック、炭塵、二酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、ならびに、着色料(color pigment)(例えば、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローなど))を含有する、従来のタイプのものであり得る。
【0072】
分散剤の色素含量は、通常、色素対樹脂の比として表される。本発明の実施において、色素が使用される場合、色素対樹脂の比は、通常、約0.02〜1:1の範囲内である。上に述べられる他の添加物は、通常、樹脂固形物の重量に基づいて、約0.01重量%〜3重量%の量で、分散剤中にある。
【0073】
本発明はまた、非電気泳動コーティング組成物も使用し得る。適切な非電気泳動コーティング組成物は、当該分野で周知の、あらゆる種々のコーティング組成物であり得、利用される特定の組成物は、一般に、使用者により所望される、最終的な外観および性能の特性に依存する。例えば、非電気泳動コーティング組成物は、液状のコーティング組成物であっても、固体微粒子形状(例えば、粉末コーティング組成物)であってもよい。適切な非電気泳動コーティング組成物は、米国特許第6,676,820号(その全体が本明細書中に参考として援用される)に示されるものである。
【0074】
再度、図7を参照して、ベルト10が、物体20を、任意の前処理ユニット70からコーティングユニット74へと運ぶとき、ベルト10、そして特に、ブレード部材14は、例えば、水平な位置から、わずかに角を成した位置(例えば、水平から15〜20°の角度)へと旋回式に回転して、コーティングユニット74内に入る。図5に最もよく例示されるように、ブレード部材14の旋回可能な部分15およびスロット部分17は、ブレード部材14が、細長ピン22の周りで旋回して、ブレード部材14に比較的自由な角運動を提供することを可能にし、その結果、例示されるように、コーティングユニット74が、コーティング槽を用いる場合に、ベルト10は、コーティングユニット74に自由に出たり入ったりする。その結果、コーティングユニと74中のコーティング物質は、ベルト10上に位置決めされる各物体20に容易に塗布され得る。
【0075】
コーティングユニット74はまた、コーティングされた後にその廃棄を防止するために、コーティングされた物体20がベルト10によって運ばれるときに、物体20の外面から、過剰のコーティング物質を回収するためのレザバとしても機能し得る。この様式において、電気泳動コーティングは、ベルト10の速度、コーティング物質の組成、コーティングユニット74の温度などのような種々の要因に依存して所望の厚さまで、物体20の上に蒸着され得る。代表的に、コーティングユニット74およびコーティング物質の温度は、21℃〜38℃の範囲に維持される。コーティングユニット74を通るコーティングの時間は、かなり変動し得、そして、電圧、コーティング物質の温度および組成、所望のフィルムの厚みなどに依存し得る。代表的なコーティング時間は、2分であり、そして、30秒から5分までの範囲であり得る。
【0076】
過剰のコーティング物質は、コーティングユニット74から下流に位置決めされた1以上のリンスユニット76によって、コーティングされた物体からリンスされ得る。物体20から、過剰のリンス水を除去するために、エアナイフ(図示せず)が使用され得る。リンスユニット76は、再利用のために、母槽(mother tank)に過剰の物質を戻すためのリサイクルシステムを備え得る。脱イオン水、上水道水(municipal water)、および/または、超ろ過システム78からの透過水(permeate)が、物体20から過剰の物質をリンスするために使用され得る。このリンス水は、コーティングシステム50からろ過および放出され得るか、または、閉鎖系の無公害システムを提供するために、再利用のために再度システムを通ってリサイクルされ得る。
【0077】
ベルト10は、乾燥ユニット80を通して、コーティングされ、必要に応じてリンスされた物体20を運んで、物体20の上に蒸着されたコーティングを乾燥し得る。本明細書中で使用される場合、用語「乾燥する」、「乾燥された」、または「乾燥すること」とは、乾燥および硬化の両方を包含することが意図される。一実施形態において、電着されたコーティングは、周囲温度での蒸発、または、高温(例えば、150°F〜600°F(82℃〜316℃))での強制乾燥のいずれかによって、コーティングから実質的に全ての溶媒および/または水を駆出させることによって乾燥される。用語「乾燥された」はまた、電着された物体20を、共反応性(co−reactive)のフィルム成分と架橋させるのに十分な熱の条件に曝露することを包含することが意図される。
【0078】
また、本明細書中で使用される場合、組成物と組み合せて使用される用語「硬化」(例えば、「硬化された組成物」)は、組成物のあらゆる架橋可能もしくは共反応性の成分が、少なくとも部分的に架橋もしくは共反応していることを意味する。本発明の特定の実施形態において、架橋可能な成分の架橋密度(すなわち、架橋の程度)は、完全な架橋の5%〜100%の範囲である。他の実施形態において、架橋密度は、完全な架橋の35%〜85%の範囲である。他の実施形態において、架橋密度は、完全な架橋の50%〜85%の範囲である。当業者は、架橋の存在および架橋の程度(すなわち、架橋密度)が、窒素下で行われる、Polymer Laboratories MK III DMTA分析装置を用いる、動的機械的熱分析(DMTA)のような種々の方法によって決定され得ることを理解する。この方法は、コーティングまたはポリマーの遊離型の(free)フィルムのガラス転移温度および架橋密度を決定する。硬化された物質のこれらの物理的特性は、架橋ネットワークの構造に関連する。
【0079】
一般に、本発明において有用な電着可能なコーティング組成物は、0.3〜2.0ミル(7.6〜50.8マイクロメートル)の範囲、通常は、0.6〜1.0ミル(15.2〜25.4マイクロメートル)の範囲の乾燥されたフィルムの厚みを有する実質的に連続するコーティングが、物体20の表面上に形成されるような条件下で塗布される。
【0080】
例えば、赤外線、電子ビーム、化学線、対流、誘導およびこれらの組み合わせなどのような、塗布されたコーティングを乾燥する技術分野の当業者に公知のあらゆる方法が使用され得る。例えば、連続したシステム50の乾燥ユニット80は、赤外線照射および対流の組み合わせによって、コーティングに対する加熱処理を使用し得る。本発明の一実施形態において、コーティングが、電着により塗布された後、このコーティングは、通常、82℃〜316℃の範囲の高温にて、60秒〜2400秒の範囲の時間にわたり加熱することによって、硬化される。あるいは、コーティングは、代表的には、5秒〜300秒の範囲の時間にわたって、または、300°F〜550°F(149℃〜288℃)の範囲のピーク金属温度を得るのに十分な時間にわたって、当該分野で周知の赤外線硬化技術を用いて硬化され得る。非金属物質については、時間および温度は、調節され得、そして、少なくとも部分的に、使用される特定の物質に依存し得る。
【0081】
本発明の一実施形態において、冷却ユニット(例えば、冷蔵ユニット、一連の送風機(図示せず)、水ミストノズル、および/または、水浴)が、乾燥ユニット80の後に位置決めされて、取り扱いおよび輸送のために、物体20の温度を低下させ得る。空気は、あらゆる適切な速度および温度において物体20の上で吹かれ得、そして、例えば、周囲において、150〜10,000フィート/分(0.8〜51m/秒)の範囲であり得る。代表的には、冷却ユニットは、物体20の表面温度を、120°F(49℃)より下まで低下させる。
【0082】
乾燥ユニット80を出て、任意の冷却ユニットを通過した後、物体20は、手動もしくは自動化された手段によって、ベルト10から放出され得る。適切な放出手段としては、機械による補助および/または重力により補助される手段が挙げられ、ここで、ベルト10が、駆動輪82の周りを運ばれるとき、ベルト10の駆動輪82の周りでの動きが、重力の助けを借りて、各物体20をベルト10から放出するように機能する。ベルト10が、駆動輪82の周りを運ばれるとき、ベルト10は、例えば、水平な位置から角を成す位置(例えば、90〜180°の角度)へと回転され得、そこで、ベルト10は、供給機構52へと戻るようになる。ベルト10は、駆動輪82の周りであらゆる角度で運ばれ得るが、本発明の一実施形態において、回転の角度は、135°であり得、その結果、物体20は、ベルト10が駆動輪82の周りを運ばれるときに、ベルト10から落ち得る。図6に例示されるように、ブレード部材14の旋回可能な部分15およびスロット部分17は、ブレード部材14が、ブレード部材14に対する相対的な動きを介して、細長ピン22の周りを実質的に自由に回転することを可能にし、例示されるように、ベルト10が駆動輪82および他の戻り輪(return wheel)の周りを自由に回転するときに、ベルト10を拡張および収縮させる手段を提供する。放出され、そしてコーティングされた物体20は、次いで、梱包のため、または、さらなる処理のために、容器84内に蓄積され得る。ベルト10の連続した回転は、コーティングおよび乾燥のために支持および保持するために、さらなる物体20の受け取りのために、ベルト10を、供給機構52へと戻す。
【0083】
コーティングシステム52は、例示されるように、ベルト10の表面を洗浄して、さらなる物体20をコーティングのために受け取る前に、ベルト表面上のコーティングの盛り上がりを減らし、そして/または、ブレード部材14と物体20との間の電気的な接触を促進する、洗浄ユニット88(例えば、回転可能なブラシ)を備え得る。例示されるような回転可能なブラシを使用する本発明の実施形態において、回転可能なブラシは、ベルト10の表面を効率的に洗浄するあらゆる適切な物質から形成され得、例えば、鋸歯の先端およびその間の効率的な洗浄を提供する、炭素鋼ワイヤの毛(bristle)のような、個々の弾力性のある毛を備え得る。1以上のさらなる洗浄ユニット(例えば、回転可能なブラシ)が、物体20を放出した後に使用され、例えば、サイドチェーン16上に盛り上がったコーティングを減らし、そして、ベルト10の導体72への接触を増強し得る。
【0084】
上に示されるコーティングシステム50は、物体20の上に単一のコーティングを塗布するものとして記載されてきたが、1以上の(more that one)コーティングが物体20の上に蒸着され得ることが企図される。例えば、上記のコーティングシステム50に、さらなるコーティングおよび乾燥ユニットを加えることによって、または、コーティングされる物体20を、コーティングシステム50に1回以上通すことによって、または、物体20を、コーティングシステム50の前もしくは後のいずれかに、1以上の非電気泳動コーティングシステムを組み合せたコーティングシステム50の組み合わせに通すことによって(コーティングシステム50が電気泳動コーティングシステムである場合)、2以上のコーティング層が、物体20の上に蒸着され得る。従って、上に示されるコーティングシステム50の説明は、単に、コーティングシステム50を使用する一つの方法を例示するものであり、本発明の範囲を制限することは意図されない。
【0085】
本発明は、物体の長さに沿って1以上の(いくつかの場合には、複数の)小さな接触点を有する支持部材を提供することによって、コーティングされた表面が損なわれるか、そうでなければ傷つけられる危険性を減少しつつ、種々のコーティングプロセスを通じて、物体が高速でコーティングされることを可能にする。この比較的小さい接触点は、物体上の接触点を最小にし得、繰り返しのコーティングサイクルの後の電気的な接地を容易にし得、そして/または、物体の表面上へのより滑らかなコーティングの塗布を容易にし得る。さらに、本発明は、ベルトを運ぶ必要なしに、コーティングおよび乾燥ユニットを通して、単一の連続したベルト上で物体をコーティングするためのシステムを提供する。結果として、物体の表面上に蒸着されるコーティングは、より均一であり得、そして、先行技術のコーティング技術よりも少ない欠点を含み得る。
【0086】
本発明の特定の実施形態が例示の目的のために上に記載されてきたが、本発明の細部の多数のバリエーションが、添付の特許請求の範囲において規定される本発明から逸脱することなくなされ得ることは、当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
上記の要旨、ならびに、好ましい実施形態の詳細な説明は、添付の図面と組み合せて読むと、より良く理解される。
【図1A】図1Aは、本発明の連続したベルトの一実施形態の斜視図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示される連続したベルトの一部分を拡大した斜視図である。
【図1C】図1Cは、図1Aに示される連続したベルトの一部分を拡大した斜視図である。
【図2】図2は、サイド部材およびガイド部材のない、図1Aに示される連続したベルトの側面図である。
【図3】図3は、図1Aに示される連続したベルトの上部平面図である。
【図4】図4は、図1Aに示される連続したベルトのブレード部材の一実施形態の側面図である。
【図5】図5は、サイド部材およびガイド部材のない、本発明のコーティングユニット(図示せず)に出入りする、図1Aの連続したベルトの動きを示す、側面図である。
【図6】図6は、サイド部材およびガイド部材のない、駆動輪の周りでの、図1Aの連続したベルトの動きを示す、側面図である。
【図7】図7は、本発明のコーティングシステムの概略的な側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体にコーティングを塗布するための連続したシステムであって、該システムは、以下:
少なくとも1つの支持部材を備える連続したベルトであって、該支持部材は、該支持部材の上に該物体を保持するように位置決めされている、ベルト;
該連続したベルトと作動可能に係合された、駆動部材;
該連続したベルトと連絡する、コーティングユニット;および
該連続したベルトおよび該コーティングユニットと連絡し、該物体が、該連続したベルトの上でコーティングされ、そして乾燥されるように並べられた、乾燥ユニット
を備える、システム。
【請求項2】
前記支持部材が、上に前記物体を支持するための複数の突起を備える少なくとも1つのブレード部材を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の突起が、複数の鋸歯である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記連続したベルトが、上に前記物体を保持するように並べられた複数のブレード部材を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数のブレード部材が、実質的に平行な方向に並べられている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記連続したベルトが、実質的に該ベルトの長さを延びるサイド部材を備え、前記ブレード部材の各々が、該サイド部材に対して実質的に平行になるように位置決めされる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記サイド部材が、前記駆動部材と作動可能に係合する、チェーン部材である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記支持部材が、複数のブレード部材を備え、該複数のブレード部材が、少なくとも1つの重なり合うセクションを備え、かつ、該ブレード部材の内部を通って延びる細長ピンによって連結されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記支持部材が、複数のブレード部材を備え、該ブレード部材の各々が、旋回可能な部分とスロット部分とを備え、該部分の各々が、前記連続したシステム全体にわたって、前記連続したベルトを作動可能に動かすために、細長ピンを受容するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記支持部材が、繰り返しの断面プロフィールを有する複数の鋸歯のブレード部材を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記繰り返しの断面プロフィールが、剪定刃の形状である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、前記連続したベルトが、さらに、該システムの少なくとも1つの構成要素と電気的に接触するように位置決めされた、少なくとも1つの電気的な接地部材を備える、システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの構成要素が、前記ベルト上で間隔を空けられた複数の接地部材と電気的に接触するように位置決めされた、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コーティングユニットが、電着槽を備え、該電着槽は、該槽の内部に貯蔵された電着コーティング物質を撹拌するための手段を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムであって、さらに、回転可能なブラシを備えた洗浄ユニットを備える、システム。
【請求項16】
連続したコーティングシステムを通して物体をコーティングするための連続したベルトであって、該ベルトは、少なくとも1つの支持部材を備え、該支持部材は、該支持部材の上に該物体を保持するように位置決めされており、そして、複数の突起を備える少なくとも1つのブレード部材を備え、該突起の少なくとも1つは、該物体と接触するように位置決めされている、ベルト。
【請求項17】
前記支持部材が、複数のブレード部材を備え、該ブレード部材は、該ブレード部材の上に前記物体を保持するように並べられている、請求項16に記載の連続したベルト。
【請求項18】
前記複数の突起が、複数の鋸歯である、請求項17に記載の連続したベルト。
【請求項19】
前記複数のブレード部材が、実質的に平行な方向に並べられている、請求項18に記載の連続したベルト。
【請求項20】
請求項19に記載の連続したベルトであって、さらに、実質的に該ベルトの長さを延びるサイド部材を備え、前記鋸歯のブレード部材の各々が、該サイド部材に対して実質的に平行になるように位置決めされている、ベルト。
【請求項21】
前記サイド部材が、チェーン部材である、請求項20に記載の連続したベルト。
【請求項22】
前記支持部材が、複数のブレード部材を備え、該複数のブレード部材は、少なくとも1つの重なり合うセクションを備え、かつ、該ブレード部材の内部を通って延びる細長ピンによって接続されている、請求項16に記載の連続したベルト。
【請求項23】
請求項16に記載の連続したベルトであって、前記支持部材が、複数のブレード部材を備え、該ブレード部材の各々が、旋回可能な部分とスロット部分とを備え、該部分の各々が、前記連続したコーティングシステム全体にわたって、該連続したベルトを作動可能に動かすために、細長ピンを受容するように構成されている、ベルト。
【請求項24】
前記支持部材が、繰り返しの断面プロフィールを有する複数の鋸歯のブレード部材を備える、請求項16に記載の連続したベルト。
【請求項25】
前記繰り返しの断面プロフィールが、剪定刃の形状である、請求項24に記載の連続したベルト。
【請求項26】
連続したコーティングシステムを通して物体をコーティングするための連続したベルトであって、該ベルトは、以下:
第1の連続した支持部材、および該第1の連続した支持部材から側方に間隔を空けられた第2の連続した支持部材であって、該第1の連続した支持部材および該第2の連続した支持部材の各々は、該物体を支持するように構成された複数の突起を備える、第1の連続した支持部材および第2の連続した支持部材;
間隔を空けた位置において、該第1の連続した支持部材および該第2の連続した支持部材に連結された、複数の接地部材であって、該複数の接地部材は、該複数の突起と電気的に連結されている、接地部材;ならびに
該第1の連続した支持部材および該第2の連続した支持部材に連結された一対のサイド部材であって、該サイド部材のうちの少なくとも一方は、該複数の接地部材に電気的に連結されている、サイド部材
を備える、ベルト。
【請求項27】
前記第1の連続した支持部材および前記第2の連続した支持部材が、各々、複数のブレード部材を備える、請求項26に記載の連続したベルト。
【請求項28】
前記複数のブレード部材の各々が、2つの隣接するブレード部材と重なり合った配置で並べられており、該ブレード部材の各々は、該隣接するブレード部材の一方の旋回可能な部分を受容するための、開放端のスロット部分を備える、請求項27に記載の連続したベルト。
【請求項29】
請求項28に記載の連続したベルトであって、前記ブレード部材の各々の旋回可能な部分が、該連続したベルトの移動方向に対して横に延びる、複数のピンのうちの1つに連結され、該複数のピンは、前記一対のサイド部材に連結されており、該ブレード部材の各々のそれぞれのピンは、それぞれの隣接するブレード部材の開放端のスロット内に受容される、ベルト。
【請求項30】
前記複数の接地部材が、前記複数の突起から間隔を空けて、前記第1の連続した支持部材および前記第2の連続した支持部材の下側部分に連結されている、請求項29に記載の連続したベルト。
【請求項31】
前記複数の接地部材が、コネクタを通して複数のピンに連結されている、請求項30に記載の連続したベルト。
【請求項32】
コーティング組成物を用いて物体をコーティングするためのプロセスであって、該プロセスは、以下:
連続したベルトの上に該物体を位置決めする工程であって、該連続したベルトは、支持部材を備え、該支持部材は、該支持部材の上に該物体を保持するように位置決めされている、工程;
該連続したベルトが、コーティングユニットおよび乾燥ユニットの両方を通過するように、駆動部材を用いて、該連続したベルトを運ぶ工程;
該連続したベルト上で、該コーティング組成物を用いて該物体をコーティングする工程;ならびに
該連続したベルト上で、該物体を乾燥させる工程
を包含する、プロセス。
【請求項33】
前記支持部材が、前記物体と接触するように並べられた複数の鋸歯を備える少なくとも1つのブレード部材を備える、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記支持部材が、複数のブレード部材を備え、該ブレード部材は、該ブレード部材の上に前記物体を保持するように並べられている、請求項32に記載のプロセス。
【請求項35】
前記ブレード部材が、実質的に平行な方向に並べられている、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記支持部材が、複数のブレード部材を備え、該ブレード部材の各々が、旋回可能な部分とスロット部分とを備え、該部分の各々が、前記連続したベルトを作動可能に動かすために、細長ピンを受容するように構成されている、請求項32に記載のプロセス。
【請求項37】
請求項32に記載のプロセスであって、前記コーティングする工程の前に、前記物体を前処理する工程をさらに包含する、プロセス。
【請求項38】
前記前処理する工程が、リン酸塩ベースの前処理コーティングを塗布する工程を包含する、請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記コーティング組成物が、活性水素含有イオン性樹脂と、該イオン性樹脂の活性水素と反応性の官能基を含む硬化剤とを含有する電着可能なコーティング組成物を含む、請求項32に記載のプロセス。
【請求項40】
前記イオン性樹脂が、カチオン性樹脂を含む、請求項39に記載のプロセス。
【請求項41】
請求項39に記載のプロセスであって、前記コーティング組成物が、以下:
(a)前記活性水素含有イオン性樹脂および前記硬化剤を含有する第1の成分と、
(b)色素を含有する第2の成分と
を含む、プロセス。
【請求項42】
請求項32に記載のプロセスであって、前記コーティングする工程の後に、前記物体上のコーティングを硬化させる工程をさらに包含する、プロセス。
【請求項43】
前記コーティングする工程が、電気泳動コーティングを包含する、請求項32に記載のプロセス。
【請求項44】
連続したベルト上で、物体に、水性の電着可能なコーティング組成物を電気泳動的に塗布するためのプロセスであって、該連続したベルトは、支持部材を備え、該支持部材は、該支持部材の上に該物体を保持するように位置決めされており、該プロセスは、以下:
該連続したベルトの上に該物体を供給する工程;
該連続したベルトの上に該物体を位置決めする工程であって、該支持部材が、該物体と接触するように並べられた複数の鋸歯を備えるブレード部材を備える、工程;
該連続したベルトが、コーティングユニットおよび乾燥ユニットの両方を通過するように、駆動部材を用いて該連続したベルトを運ぶ工程;
該連続したベルト上で、該水性の電着可能なコーティング組成物を用いて該物体を電気泳動的にコーティングする工程;ならびに
該連続したベルト上で、該物体を乾燥させる工程
を包含する、プロセス。
【請求項45】
前記ブレード部材が、実質的に平行な方向に並べられている、請求項44に記載のプロセス。
【請求項46】
請求項44に記載のプロセスであって、前記コーティングする工程の前に、前記物体を前処理する工程をさらに包含する、プロセス。
【請求項47】
前記前処理する工程が、リン酸塩ベースの前処理コーティングを塗布する工程を包含する、請求項46に記載のプロセス。
【請求項48】
前記電着可能なコーティング組成物が、活性水素含有イオン性樹脂と、該イオン性樹脂の活性水素と反応性の官能基を含む硬化剤とを含有する、請求項44に記載のプロセス。
【請求項49】
前記イオン性樹脂が、カチオン性樹脂を含む、請求項48に記載のプロセス。
【請求項50】
請求項48に記載のプロセスであって、前記コーティング組成物が、以下:
(a)前記活性水素含有イオン性樹脂および前記硬化剤を含有する第1の成分と、
(b)色素を含有する第2の成分と
を含む、プロセス。
【請求項51】
請求項44に記載のプロセスであって、前記コーティングする工程の後に、前記物体上のコーティングを硬化させる工程をさらに包含する、プロセス。
【請求項52】
複数の物体および連続したベルトが槽の中でコーティングされ、その後、硬化される、連続した電着コーティングプロセスの間に、該連続したベルト上の複数の突起を、電極の第1の極に電気的に連結させるプロセスであって、該プロセスは、以下:
該連続したベルトのサイド部材を係合して、該連続したベルトを進める工程;
該サイド部材から硬化したコーティングを取り除いて、電気接触部分を提供する工程;
該サイド部材が該槽に再び入る前のある位置において、該サイド部材の電気接触部分を、該電極の第1の極に接触させる工程;および
該サイド部材の電気接触部分を、該複数の突起に連結させる工程
を包含する、プロセス。
【請求項53】
前記サイド部材から硬化したコーティングを取り除いて、電気接触部分を提供する工程が、
該サイド部材の近くにブラシを位置決めする工程;および
該サイド部材にブラシをかけて、該硬化したコーティングを取り除き、電機接触部分を提供する工程
を包含する、請求項52に記載のプロセス。
【請求項54】
前記サイド部材の電気接触部分を、複数の突起に連結させる工程が、
前記連続したベルトの移動方向に対してほぼ横に並べられた複数の接地部材を提供する工程であって、該複数の接地部材が、複数のブレード部材に連結され、該ブレード部材の各々が、該複数の突起の一部分を備える、工程;および
該複数の接地部材を該サイド部材に連結させる工程
を包含する、請求項52に記載のプロセス。
【請求項55】
前記複数の接地部材が、前記複数の突起から間隔を空けて、前記複数のブレード部材の下側部分に連結されている、請求項54に記載のプロセス。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−509004(P2008−509004A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525824(P2007−525824)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/028721
【国際公開番号】WO2006/020857
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【出願人】(507044158)ジョージ コッホ サンズ, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】