説明

物体分別装置

【課題】スペースを削減した物体分別装置を提供する。
【解決手段】キュウリCを搬送して分別する第1コンベア10と、その第1コンベア10上にその搬送方向に一定間隔に設けられ、キュウリCを所望の位置で第1コンベア10から直交方向に送り出す複数の送出ベルト13とを備える選果機1において、送出ベルト13から送り出されたキュウリCを受け取って送り出し方向にさらに搬送するための送出ローラ23を備え、送出ベルト13の幅lをその上に載置するキュウリCの長径Lの1/3よりも小さく構成するとともに、送出ベルト13がキュウリCを送り出すときにキュウリCを支持する突起15を送出ベルト13上に設ける。この装置では、キュウリCを載置する複数の送出ベルト13は、所望の位置に達すると順次、キュウリCを送り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を搬送して分別する第1搬送体と、第1搬送体上にその搬送方向に一定間隔に設けられ、物体を所望の位置で第1搬送体から略直交方向に送り出す複数の送出ベルトとを備える物体分別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物体分別装置に備える第1コンベア(第1搬送体)は、たとえば特許文献1に示すように、物体を載置する複数本の細長いスラットと、そのスラットに、その長手方向にスライド可能に嵌めつけられた押圧シュー(送出部)などを備える。この押圧シューは、物体を所望の位置で第1コンベアから略直交方向に送り出すためのものであり、物体を後側から押すための突起を備える。また、押圧シューから送り出される先には、送り出し方向に物体をさらに搬送する第2コンベア(第2搬送体)を備える。第2コンベアのさらに先には、物体を収納する収納棚を複数備える。この収納棚には別に備えるクレーンを用いて物体を収納する。
【0003】
この物体分別装置で複数列ある収納棚に物体を分別するときは、物体を第1コンベアに載置して搬送する。このとき、スラットは細長い構造なので、物体は複数のスラット上にまたがるように載置される。そして、物体が所望の位置に到達すると、押圧シューの突起が物体の背面から当接して物体をスラットから送り出す。送り出された物体は、第2コンベアに乗り移り、送り出し方向に搬送される。そして、物体は、第2コンベアの終点付近で、クレーンによって持ち上げられて収納棚の所望の位置に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−157640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように構成された物体分別装置では、物体が所望の位置で搬送方向に対して略直角方向に送り出される際、物体は押圧シューに背面より押されて、スラット上を滑りながら第2コンベアに平行に送りだされる。すなわち、たとえば、細長い物体(すなわち、縦横比が大きい物体)を第1コンベアで搬送するとき、物体の長径がコンベアの搬送方向となるように載置した場合、この細長い物体は、押圧シューによりその短径方向に押され、第1コンベアに送り出されることになる。第2コンベアは物体を送り出す方向、すなわち、第1コンベアと直交する方向に設けられている。したがって、第2コンベアの幅は、この物体の長径よりも大きく設定する必要があり、物体分別装置全体のスペースを大きく確保しなければならなかった。
そこで、この発明の目的は、スペースを削減した物体分別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため請求項1に記載の発明は、物体を搬送して分別する第1搬送体と、
該第1搬送体上にその搬送方向に一定間隔に設けられ、前記物体を所望の位置で前記第1搬送体から略直交方向に送り出す複数の送出ベルトとを備える物体分別装置において、
前記送出ベルトの幅をその上に載置する前記物体の長径の1/3よりも小さく構成するとともに、前記送出ベルトが前記物体を送り出すときに該物体を支持する突起を前記送出ベルト上に設け、
1つの物体を載置する複数の前記送出ベルトは、所望の位置に達すると順次、前記物体を送り出すことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の物体分別装置において、前記突起は、前記送出ベルト上に1つ設けられ、かつ、前記送出ベルトが前記物体を送り出すときに前記物体を後方より支持することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の物体分別装置において、前記突起は、前記送出ベルト上に複数設けられ、前記物体を下方から支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、物体を搬送して分別する第1搬送体と、第1搬送体上にその搬送方向に一定間隔に設けられ、物体を所望の位置で第1搬送体から略直交方向に送り出す複数の送出ベルトとを備える物体分別装置において、送出ベルトの幅をその上に載置する物体の長径の1/3よりも小さく構成するとともに、送出ベルトが物体を送り出すときに物体を支持する突起を送出ベルト上に設け、1つの物体を載置する複数の送出ベルトは、所望の位置に達すると順次、物体を送り出すので、複数の送出ベルト上にまたがって第1搬送体の搬送方向に沿って載置されている物体が、送出ベルトから送り出される際、物体の先頭部分を載置した送出ベルトが先に送り出しを開始し、その送出ベルトに隣接して設けられた後行する送出ベルトが、順次一定間隔で送り出しを開始するので、物体は複数の送出ベルトに載置された状態で送り出し方向に先頭部分を向けるように回転する。さらに、送出ローラが物体の先頭部分をさらに送り出し方向に搬送するので、物体は略90度搬送姿勢を変えて搬送される。このため、送り出された先に第1搬送体に直角方向に別の搬送体を設ける場合には、その幅を、物体の長径よりも小さく設定することができる。したがって、スペースを削減した物体分別装置を提供することができる。
【0010】
また、送出ベルト上に突起が設けられているので、送出ベルトが送り出し動作を開始したときに、万一、物体が慣性力によってその場に留まろうとした場合にも、突起が物体を支持するので、確実に物体が送出ベルトによって搬送されることができる。さらに、物体が送出ベルト上に載置されているので、物体を第1搬送体から送り出す際、物体を第1搬送体上で滑らせて送り出すことがなく、第1搬送体の上面と物体の底面との間に摩擦力が発生することがない。したがって、摩擦によって物体の底面の品質を損ねることがなく、品質を保持したままで物体を分別可能な物体分別装置を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、突起は、送出ベルト上に1つ設けられ、かつ、送出ベルトが物体を送り出すときに物体を後方より支持するので、送出ベルトが送り出し動作を開始したときに、万一、物体が慣性力によってその場に留まろうとした場合、突起が物体を後方より支持するので、確実に物体が送出ベルト上で搬送されることができる。また、突起が物体をその背面から押すので、確実に物体が送出ベルトから次工程に乗り移ることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、突起は、送出ベルト上に複数設けられ、物体を下方から支持するので、送出ベルトが送り出し動作を開始したときに、万一、物体が慣性力によってその場に留まろうとした場合にも、複数の突起が物体を下方から支持し、確実に物体を次工程に送り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の物体分別装置としての選果機の平面図である。
【図2】その一部拡大平面図である。
【図3】(a)は、図2のX矢視断面図、(b)は、(a)のZ矢視平面図である。
【図4】(a)は、第1搬送コンベアの内部の平面図であり、(b)は、そのY矢視断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、選果機でキュウリを分別する動作を説明するためのものである。
【図6】この発明の別の例の送出ベルトの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。図1はこの発明の物体分別装置の一例としての、キュウリ(物体)Cをサイズ(グレード)ごとに分別する選果機の平面図である。選果機1は、第1コンベア(第1搬送体)10と、このコンベアの搬送方向Jに直交する方向に第2コンベア(第2搬送体)14A,14B,14Cを備える。選果機1は、入側から出側に向かって、ゾーンP、ゾーンQ、ゾーンRの3つに区分される。ゾーンPは、作業者が農場より届いたキュウリCを第1コンベア10に載置するエリアである。ゾーンQは、第1コンベア10上における、キュウリCの位置情報(第1コンベア10のどの送出ベルト13上に載置されているか)と、キュウリCのサイズを測定するエリアである。そして、ゾーンRは、サイズの特定されたキュウリCを第1コンベア10から第2コンベア14A(大サイズ),14B(中サイズ),14C(小サイズ)に分別して送り出すエリアである。
【0015】
ゾーンQには、位置検出手段11とグレード測定手段12とを備える。位置検出手段11は、第1コンベア10上における、キュウリCの位置情報(第1コンベア10のどこに載置されているか)を後述する白色の目印Wとともに光学的に読み取るものである。また、グレード測定手段12は、キュウリCのサイズを光学的に測定するものである。なお、位置検出手段11には、第1コンベア10を上方から照らすライトと専用カメラなどを備える。また、グレード測定手段12には、第1コンベア10を上方から照らす別のライトと専用カメラなどを備える。グレード測定手段12によって得られた情報は、別に備える不図示の制御手段に送信され、この制御手段においてキュウリCのグレードを大・中・小に特定する、そして、位置検出手段11より得られたそのキュウリCの第1コンベア10上における位置情報と合成して1つのキュウリCのデータとする。そして、このデータに基づいて第1コンベア10に対してそのキュウリCを第2コンベア14A,14B,14Cのいずれに送り出すかの指示を発信する。
【0016】
ゾーンRでは、第1コンベア10上を搬送される複数のキュウリCを、上記制御手段からの指示に基づいて、第1コンベア10から第2コンベア14A,14B,14Cのいずれかに送り出す。
【0017】
次に、選果機1の構造について詳述する。選果機1は、キュウリCを搬送して分別する第1コンベア10と、搬送されるキュウリCの位置を検出する位置検出手段11と、キュウリCのサイズを測定するグレード測定手段12と、キュウリCを送り出す送出ベルト13、送出ベルト13から送り出されたキュウリCを受け取ってさらに搬送するための送出ローラユニット23、そして送出ローラユニット23のさらに先に、複数(この例では3つ)の第2コンベア(第2搬送体)14A,14B,14C、第1コンベア10を駆動する駆動部、ギアなどを備える。
【0018】
図2に示すように、送出ローラユニット23は、4列のローラよりなる。そして、送出ローラユニット23は金属製の支持軸23aに樹脂製の複数のローラ23bを回転自在に備えるなお、ローラ23bは、短く分割された複数のローラが支持軸23aに遊嵌されており、軸方向にも摺動自在である。支持軸23aの両端は、送出ローラユニット23のフレームに固設されている。そして、ローラ23bの下側には幅広ベルトが押圧ローラによってローラ23b全てに押し当てられている。この幅広ベルトは不図示の駆動ローラによって回転するように構成されている。すなわち、ローラ23bは下方より押し当てられたベルトによって回転するようになっている。また、支持軸23aの両端には磁石M1を固設する。そして、この磁石M1と同一磁極の磁石M2を、磁石M1に最も近いローラ23bの外側に取り付けることで、磁石M1と、磁石M2を取り付けたローラ23bとが反発し合い、常に一定の以上の距離を保つことができる。4列のローラ23bはすべてこの構成となっている。なお、磁石M1,M2は永久磁石を用いるものとする。
【0019】
また、ある力を受けて磁石M2を取り付けたローラ23bが磁石M1に近づいたとしても、両磁石の反発力がその力に抗して上記ローラ23bを離れる方向に追いやることができる。
【0020】
第1コンベア10には、複数の送出ベルト13を備える。送出ベルト13は、送り出し方向が第1コンベア10の搬送方向Jと直交するように設けられ、第1コンベア10全体にわたって一定間隔dで設けられる。そして2つの送出ベルト13を1組としてユニットベース25に取り付けられている。送出ベルト13は、一組のローラ20a,20bと、それらに緑色のベルト22を掛けまわして構成される。このベルト22は滑りにくい素材(表面のざらざらした、摩擦抵抗の高い素材)で構成されることが望ましい。ベルト22の表面には、直方体状の突起15を固設する。突起15の幅は、このベルト22の幅と同じ程度、また、突起15の高さは、キュウリCの断面の直径と同じ程度とすることが望ましい。また、ベルト22の表面には、突起15から一定の距離をもって両側にそれぞれ白色のライン(目印W)と黒色のライン(目印B)とを第1コンベア10の搬送方向に直線状に設ける。これらのラインは塗料などを塗布して形成される。一方、ローラ20a,20bは、それぞれ回転軸21a,21bに回転自在に支持され、回転軸21a,21bの両端はユニットベース25に固設される。なお、ローラ20a,20b、回転軸21a,21bはそれぞれのベルト22ごとに備えられる。したがって、それぞれの送出ベルト13は独立して動くことができる。
【0021】
ところで、送出ベルト13の幅lは、その上に載置するキュウリCの長径Lの1/3よりも小さく構成する。加えて、送出ベルト13がキュウリCを送り出すときに、そのキュウリCを支持する突起15を、送出ベルト13上に設ける。1つのキュウリCは、複数(この例では3つ)の送出ベルト13上に載置される。
【0022】
第2コンベア14A,14B,14Cは、サイズによって分別されたキュウリCを受け取って、出荷のために箱詰めするためのものである。なお、上流側の第2コンベアは連続運転、下流側の第2コンベアは、キュウリCが送り出されるときのみ作動する、間欠運転である。第2コンベア14A,14B,14Cは、広幅のゴム製のベルトを2つのローラに掛け回して構成される。2つのローラのうち一方は、駆動ローラ、他方は従動ローラである。間欠運転するタイミングは、制御手段より指示される。
【0023】
図3に示すように、送出ベルト13の裏面側には、樹脂製のガイド棒(丸棒)31を突設する。詳しくは、ベルト22の幅方向中央に丸孔を形成し、この丸孔にガイド棒31を貫通させる。ガイド棒31の終端部分は樹脂製の固定板32に固設されている。この固定板32をベルト22の裏面側に固定することで、ベルト22とガイド棒31が一体になって動くように構成する。このガイド棒31は、後述するガイドウェイ40A,40Bに到達する程度の長さとする。ユニットベース25の下板には、長孔25Aを形成する。この長孔25Aはベルト22の移動方向に沿って、かつ、ベルト22の中心線に沿って形成される。長孔25Aの長さは、送出ベルト13がキュウリCを送り出すときに突起15が移動する距離か、それ以上に設定される。そして、この長孔25Aには、ガイド棒31を遊嵌させる。
【0024】
第1コンベア10の搬送方向J両側には、それぞれ無端チェーン26を搬送方向Jに沿って備え、無端チェーン26上にユニットベース25を固設する。詳しくは、無端チェーン26に設けられたブラケット27にネジ孔を形成し、そこにボルト28を貫通させて、ユニットベース25の搬送方向Jの前後側面にそれぞれ取り付ける。
【0025】
無端チェーン26は、第1コンベア10の前後端の両側部にそれぞれ備えるギアに係合するように構成される。なお、第1コンベア10入側の一対のギアには駆動軸を取り付ける。これらのギア、駆動源、チェーンなどは、不図示のケースで覆われている。加えて、このケースの内側では、第1コンベア10の終端部で下側に折り返された複数のユニットベース25が第1コンベア10の入側に向けて上下逆向きで搬送されている。
【0026】
なお、この例では、2つの送出ベルト13が1つのユニットとしてユニットベース25に取り付けられているが、1つの送出ベルトユニットを構成する送出ベルト13の数は、第1コンベア10の前後端のギアの直径に依存する。すなわち、ギアの直径が大きければ、送出ベルトユニットが追随する曲率が大きくなるので、1ユニットあたりの送出ベルト13の数を多くすることができるし、ギアの直径が小さければ、送出ベルトユニットが追随する曲率が小さくなるので、1ユニットあたりの送出ベルト13の数は少なくなる。
【0027】
第1コンベア10の内側(裏側)には、図4に示すような送り出し機構が設けられている。この送り出し機構は、送出ベルト13を作動させてキュウリCを送出ローラユニット23に向けて送り出すためのものである。送り出し機構は第1コンベア10内側で、かつ各送出ローラユニット23の直前に設けられる。送り出し機構は、駆動プーリ44、従動軸43、この両者の間に掛け回された補助ベルト42などからなる。駆動プーリ44は、不図示のモータにより回転する。従動軸43の近傍には、方向切替板41を鉛直方向に昇降自在に備える。そして、方向切替板41の前後方向には、ガイドウェイ40A,40Bを備える。このガイドウェイ40A,40B内は、ガイド棒31が移動する。これら、ガイドウェイ40A,40B、方向切替板41、従動軸43、駆動プーリ44は、第1コンベア10のケース内の指示板45上に設けられている。
【0028】
方向切替板41は、第1コンベア10の搬送方向Jに沿ってガイドウェイ40A内を移動してきたガイド棒31の方向をa方向、b方向に切り替えるためのものである。方向切替板41が所定の高さに上昇するとガイド棒31は方向切替板41に当接して矢印a方向にガイドされる。そして、回転する補助ベルト42によって付勢されながら、さらにa方向へ進む。第1コンベア10が搬送方向Jに作動しながらガイド棒31がこのような動作をすると、ベルト22は送出ローラユニット23に向けてキュウリCを送り出す方向に動く。一方、方向切替板41が下降している状態では、ガイド棒31は方向切替板41には当接せずに直進(矢印b方向)して、ガイドウェイ40Bへと進むので、ベルト22は送り出し方向には動かない。方向切替板41の昇降は不図示のソレノイドとコイルバネとの組み合わせによって行われる。
【0029】
次に、このように構成された選果機1でキュウリCを選別する動作を説明する(図1〜4参照)。まず、ゾーンPにて作業者がキュウリCを稼働中の第1コンベア10の送出ベルト13(緑色)上に置く。このとき、送出ベルト13の表面に表示された黒色の目印Bを載置目安として、キュウリCの長径が搬送方向Jとなるように載置する。送出ベルト13の幅は、キュウリCの長さの1/3よりも小さいので、この例ではキュウリCは3つの送出ベルト13上に載置されている。キュウリCは矢印J方向に搬送されて、位置検出手段11に到達する。ここでは、第1コンベア10の上方よりライトが照射される。そして、専用のカメラにてキュウリCの載置されている3つの送出ベルト13を特定する。この情報は不図示の制御手段に送信される。
【0030】
なお、緑色のベルト22上に塗布された目印Wは白色であるので、背景色の緑との明度の差が大きく、カメラは確実に目印Wを認識することができる。次に、キュウリCは、グレード測定手段12に備える専用のカメラにて、大きさが撮影されて、制御手段に送られる。制御手段では、キュウリCの大きさのグレード(大、中、小)を特定する。そして、位置情報と合成し、どの送出ベルト13にどの大きさのキュウリCが載置されているかというデータを作成する。このデータに基づいて、制御手段は第1コンベア10、第2コンベア14に対して動作の指示を送信する。
【0031】
次に、キュウリCが中サイズと判定され、そのキュウリCが搬送ベルト13A,13B,13Cに載置されている場合について、キュウリCの動きを説明する。この動作については、図1〜4に加えて、図5(a)〜(c)も用いて説明する。なお、キュウリCの前部をG1、中間部をG2、後部をG3と称する。
【0032】
キュウリCの前部G1を載置した送出ベルト13Aが第2コンベア14Bに近づくと、第2コンベア14B直前に設けられた、送り出し機構の方向切替板41が上昇する。送出ベルト13Aが送り出し機構に到達すると、送出ベルト13Aのガイド棒31が方向切替板41に当接して矢印a方向に導かれる。そして、補助ベルト42に側方より動力を伝達されながらさらにa方向へ進む。ガイド棒31がベルト22の下側を第2コンベア14Bから離れる方向に動かすことで、ベルト22の上側は第2コンベア14Bに向けて動くことになり、これによって、送出ベルト13Aが作動して、キュウリCの前部G1を送出ローラユニット23に送り出す(図5(a))。このとき、キュウリCの中間部G2と後部G3が載置されている送出ベルト13B,13Cは作動していないので、前部G1を中心としてキュウリCは図中で時計回りにやや回転する。
【0033】
送出ベルト13Aが動作を開始して間もなく、キュウリCの中間部G2を載置した送出ベルト13Bが送り出し機構に接近し、送出ベルト13Bのガイド棒31が方向切替板41に当接して矢印a方向に導かれる。これによって、送出ベルト13Bが作動して、キュウリCの中間部G2を送出ローラユニット23に送り出す。さらにその後まもなく、キュウリCの後部G3を載置した送出ベルト13Cが送り出し機構に接近し、送出ベルト13Cのガイド棒31が方向切替板41に当接して矢印a方向に導かれる。これによって、送出ベルト13Cが作動して、キュウリCの後部G3を送出ローラユニット23に送り出す(図5(b))。なお、送出ベルト13B,13Cが方向切替板41に当接して、キュウリCを送出ローラユニット23に送り出す動作は、送出ベルト13Aと同様であるので説明を省略する。
【0034】
このとき、キュウリCの前部G1は、送出ローラユニット23に到達し、第1コンベア10側にある2列のローラ23b上に乗り移っており、ローラ23bは、第2コンベア14Bに向けて(図中で下向き)キュウリCを搬送するように作動している。一方、キュウリCの中間部G2および後部G3は、それぞれ送出ベルト13B,13Cに載置されており、第1コンベア10の搬送方向(図中で右向き)に搬送されながら、かつ、送出ベルト13B,13Cが第2コンベア14Bに向けて(図中で下向きに)送り出すように作動している。
【0035】
したがって、キュウリCの前部G1と、中間部G2および後部G3とでは運動方向が異なっている。すなわち、キュウリCの前部G1は、第2コンベア14Bに向かう運動成分のみで、第1コンベア10の搬送方向への運動成分を有しない。一方、キュウリCの中間部G2および後部G3は、第2コンベア14Bに向かう運動成分に加えて、第1コンベア10の搬送方向への運動成分を有する。
【0036】
前部G1、中間部G2、後部G3は、同一のキュウリCの部分であり一体に構成されていることから、上記2つの異なる動作によってキュウリC全体に運動方向の歪みを生じる。ここで、前述したようにベルト22は摩擦抵抗の高い素材で構成されているので、キュウリCはベルト22上で滑りにくい。一方、ローラ23bの右端には、磁石M1と磁石M2との間の反発力によって一定の間隙が形成されているため動きやすく、キュウリCの前部G1が、この距離を縮める方向(右向き)にローラ23bを移動させることで上記運動方向の歪みを解消する。言い換えると、キュウリCの前部G1が載置されたローラ23bが第1コンベア10の搬送方向へ移動することでこの方向の運動成分を吸収する(打ち消す)ものである。これと同時に、キュウリCの前部G1はローラ23bの回転によって第2コンベア14Bに向けて搬送される。このようにして、キュウリCは、搬送方向Jの運動成分を送出ローラユニット23にて打ち消しながら図中で時計まわりに回動して、前部G1から送出ローラユニット23を経て第2コンベア14Bに乗り移る(図5(c))。
【0037】
なお、2つある第2コンベア14Bのうち、下流側は間欠運転されている。運転のタイミングは、前記制御手段からの指令によるものである。また、下流側の第2コンベア14Bの運転時間は、キュウリCの先部G1が乗り移ってからキュウリCの後部G3が乗り移るまでの間であり、その後は再び運転を停止する。
【0038】
このようにして、直交する2つのコンベア(第1コンベア10と第2コンベア14B)との間でキュウリCを乗り移らせる際に、キュウリCの長手方向を2つのコンベアの搬送方向に向けて搬送することができる。
【0039】
この際、送出コンベア13B,13Cにはそれぞれ突起15を備えるので、万一キュウリCが送り出し方向に逆らって動いたときにも、キュウリCを後方から押して、送出ローラユニット23に向けて確実にキュウリCを送り出すことができる。
【0040】
上述の例では、第1コンベア(第1搬送体)を直線状に構成したが、この発明はこれに限定されるものではなく、たとえば、U字状に構成されてもよいし、L字状に構成されてもよい。また、上述の例では、突起を送出ベルトの略中央に1つ設けたが、この発明はこれに限定されるものではなく、物体を載置する側とは反対側の側部に設けるようにしてもよい。さらに、突起15は1つではなく、2つ以上設けてもよい。
【0041】
また、上述の例では、ローラ23bの端部に永久磁石M2を設け、支持軸23aの端部に固設した永久磁石M1と対峙させて両者の間に一定の距離を設けたが、永久磁石に変えて、電磁石を用いて、電流を変化させることで、磁力を必要に応じて変更できるようにしてもよい。また、磁石M1,M2に変えて、コイルバネを用いてローラ23bの端部に一定の空間を形成するようにしてもよい。この場合、コイルバネの中心に支持軸23aを回転自在に挿入して構成する。また、第2コンベア14を第1コンベア10に対して略直角方向に設けたが、これに限定されるものではなく、斜め前方または、第1コンベア10に平行に設けてもよい。
【0042】
さらに、上述の例では、ベルト22の色彩を緑色、その上に形成する目印Wを白色とすることで、目印の視認性を高めたが、この発明はこの色の組み合わせに限定されるものではなく、目印の視認性を高めることができる色の組み合わせであれば、どのような組み合わせを用いてもよい。この際、明度差を大きくするように色を組み合わせると、いっそう視認性を高めることができる。
【0043】
なお、図6に示すように、送出ベルト113を構成してもよい。すなわち、ベルト112の表面に複数の小さな突起115を形成し、キュウリCを下方から支持するようにする。この小突起115は、ゴム製など柔軟性のある素材が好ましい。その他の部材は、図3の例と同様であるので説明を省略する。
【0044】
なお、上述の例では、物体の一例として長径と短径との差の大きいキュウリを用いたが、この発明はこれに限定されるものではなく、たとえば、トマトなどのような縦横比の小さな農作物であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
なお、この発明の物体分別装置は、キュウリやトマトなどの農作物(物体)の分別をすることに限定されるものではなく、たとえば、切り取って収穫した花卉を束ねて、その花の質や大きさなどで分別することに用いてもよいし、また、キャンドルなど工業製品を大きさや品質ごとに分別することに用いるなど、あらゆる物体を分別することに適用しうる。とくに、縦横比の大きな物体を搬送する際に有効である。
【符号の説明】
【0046】
1 選果機(物体分別装置)
10 第1コンベア(第1搬送体)
11 位置検出手段
12 グレード測定手段
13,113 送出ベルト
14A,14B,14C 第2コンベア(第2搬送体)
15 突起
20a,20b ローラ
21a,21b 回転軸
22,122 ベルト
23 送出ローラユニット
23a 回転軸
23b ローラ
25 ユニットベース
B,W 目印
C キュウリ(物体)
M1,M2 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を搬送して分別する第1搬送体と、
該第1搬送体上にその搬送方向に一定間隔に設けられ、前記物体を所望の位置で前記第1搬送体から略直交方向に送り出す複数の送出ベルトとを備える物体分別装置において、
前記送出ベルトの幅をその上に載置する前記物体の長径の1/3よりも小さく構成するとともに、前記送出ベルトが前記物体を送り出すときに該物体を支持する突起を前記送出ベルト上に設け、
1つの物体を載置する複数の前記送出ベルトは、所望の位置に達すると順次、前記物体を送り出すことを特徴とする、物体分別装置。
【請求項2】
前記突起は、前記送出ベルト上に1つ設けられ、かつ、前記送出ベルトが前記物体を送り出すときに前記物体を後方より支持することを特徴とする、請求項1に記載の物体分別装置。
【請求項3】
前記突起は、前記送出ベルト上に複数設けられ、前記物体を下方から支持することを特徴とする、請求項1に記載の物体分別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−25133(P2011−25133A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172183(P2009−172183)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】