説明

物体方向検知システムおよびデータ構造

【課題】安価な構成で、物体の方向を検知することができる物体方向検知システムを提供する。
【解決手段】物体方向検知システム11は、互いに直交する3つの方向になるように物体に取り付けられたRFIDタグ15a、15b、15cと、互いに直交する2つの方向になるように設けられ、複数のRFIDタグ15a〜15cからの返送波の受信が可能なアンテナ16a、16bと、アンテナ16a、16bのそれぞれによって受信したRFIDタグ15a〜15cの返送波の強度、および返送波に含まれる取り付け位置のデータから、物体の方向を算出して検知する制御部18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物体方向検知システムおよびデータ構造に関するものであり、特に、物体の3次元の方向を検知可能な物体方向検知システムおよびこのような物体方向検知システムに利用されるデータ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物体の3次元の方向を検知する方法として、画像処理を用いるものがあった。これは、例えば、物体の画像を撮影するカメラ等によって被写体となる物体の画像を撮影し、この撮影画像に画像処理を施して、物体の方向を検知する方法である。このような画像処理に関する技術については、例えば、特開2000−148381号公報(特許文献1)に開示されている。また、物体の3次元の方向を検知するその他の方法として、方向を検知したい物体に加速度センサを取り付け、この加速度センサの出力から、物体の方向を算出し、検知する方法が知られている。
【特許文献1】特開2000−148381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
撮影した画像の画像処理を行って物体の方向を検知する場合、物体の画像をカメラによって撮影する必要がある。ここで、カメラと物体との間に障害物がある場合や物体が陰に隠れた状態にある場合、物体を撮影することができない。そうすると、撮影画像の画像処理を行うことができず、物体の方向を検知することができない。さらに、物体の形状等が複雑であると、画像処理が複雑になってしまう虞がある。
【0004】
また、加速度センサを利用する方法については、加速度センサ自体が非常に高価なものであることを考慮すると、経済的観点から妥当ではない。
【0005】
この発明の目的は、安価な構成で、物体の方向を検知することができる物体方向検知システムを提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、物体の方向を検知することができるデータ構造を提供することである。
【0007】
この発明のさらに他の目的は、方向を検知することができる物体を提供することである。
【0008】
この発明のさらに他の目的は、物体の方向を検知することができる受信装置を提供することである。
【0009】
この発明のさらに他の目的は、物体の方向を検知することができる物体方向検知プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る物体方向検知システムは、物体に設けられるRFIDタグと、RFIDタグからの返送波を受信する受信装置と、受信装置により受信した返送波を解析して物体の方向を検知する検知手段とを備える。
【0011】
このように構成することにより、物体に設けられたRFIDタグからの返送波を、受信装置によって受信し、返送波を解析して物体の方向を算出して検知することができる。この場合、返送波という電波を利用しているため、物体が陰に隠れた状態等であっても、検知することができる。また、物体の形状やその表面状態等による影響を受けることはない。さらに、個々のRFIDタグは安価であるため、多量の物体に取り付けてもシステム自体を安価に構成することができる。したがって、安価な構成で、物体の方向を検知することができる。
【0012】
好ましくは、RFIDタグは、物体に複数設けられる。このようなRFIDタグの返送波は、複数同時に読取ることができる。したがって、効率的に、物体の方向を検知することができる。
【0013】
さらに好ましくは、受信装置は、RFIDタグからの返送波を受信するアンテナを複数有する。このように構成することにより、精度よく、物体の方向を検知することができる。
【0014】
さらに好ましくは、アンテナは、直線偏波アンテナである。
【0015】
さらに好ましくは、受信装置を含むリーダライタを備える。
【0016】
さらに好ましくは、検出手段は、受信装置によって受信した返送波の強度、および返送波に含まれるRFIDタグのデータから、物体の方向を解析して検知する。
【0017】
さらに好ましくは、複数のRFIDタグは、互いに直交する3つの方向になるように物体に設けられる第一、第二および第三のRFIDタグを含み、アンテナは、互いに直交する2つの方向になるように設けられる第一および第二のアンテナを含む。
【0018】
さらに好ましくは、第一、第二および第三のRFIDタグは、物体のうち、近接した位置に設けられる。
【0019】
この発明の他の局面においては、データ構造は、複数のRFIDタグを用いて物体の方向を検知する物体方向検知システムに用いられるデータ構造であって、物体に設けられた複数のRFIDタグを特定するデータ、および物体に対する各RFIDタグの取り付け位置のデータを格納する。こうすることにより、RFIDタグを特定するデータおよび取り付け位置のデータから、効率的に返送波を解析して、物体の方向を検知することができる。
【0020】
この発明のさらに他の局面においては、物体は、複数のRFIDタグが設けられた物体であって、複数のRFIDタグは、物体に、相互に異なる方向で設けられている。このような物体は、異なる方向で設けられた複数のRFIDタグからの返送波を解析して、物体の方向を検知される。
【0021】
この発明のさらに他の局面においては、受信装置は、複数のRFIDタグを用いて物体の方向を検知する物体方向検知システムに用いられる。物体方向検知システムは、物体に設けられた複数のRFIDタグと、RFIDタグからの返送波を解析して物体の方向を検知する検知手段とを含む。ここで、受信装置は、物体から離れた位置に設けられており、RFIDタグからの返送波を受信するアンテナを有する。このような受信装置は、RFIDタグからの返送波を解析して物体の方向を検知する際に、RFIDタグからの返送波を受信することができる。
【0022】
この発明のさらに他の局面においては、物体方向検知プログラムは、物体に設けられたRFIDタグに送信波を送信するステップと、RFIDタグからの返送波を受信するステップと、返送波を解析して、物体の方向を検知するステップとを備える。このようなプログラムは、物体に設けられたRFIDタグの返送波を解析して、物体の方向を検知することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によると、物体に設けられたRFIDタグからの返送波を、受信装置によって受信し、返送波を解析して物体の方向を算出して検知することができる。この場合、返送波という電波を利用しているため、物体が陰に隠れた状態等であっても、検知することができる。また、物体の形状やその表面状態等による影響を受けることはない。さらに、個々のRFIDタグは安価であるため、多量の物体に取り付けてもシステム自体を安価に構成することができる。したがって、安価な構成で、物体の方向を検知することができる。
【0024】
また、このようなデータ構造によると、RFIDタグを特定するデータおよび取り付け位置のデータから、効率的に返送波を解析して、物体の方向を検知することができる。
【0025】
また、このような物体によると、異なる方向で設けられた複数のRFIDタグからの返送波を解析して、物体の方向を検知される。
【0026】
また、このような受信装置によると、RFIDタグからの返送波を解析して物体の方向を検知する際に、RFIDタグからの返送波を受信することができる。
【0027】
また、このような物体方向検知プログラムによると、このようなプログラムは、物体に設けられたRFIDタグの返送波を解析して、物体の方向を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る物体方向検知システムのブロック図である。図2は、この発明の一実施形態に係る物体方向検知システムのハードウェア構成を示す概略図である。図1および図2を参照して、この発明の一実施形態に係る物体方向検知システム11は、コンピュータ12と、所定の箇所に固定されており、電気線20を介してコンピュータ12に接続されたリーダライタ13と、方向を検知する対象物である物体14の表面に貼付されて設けられている3つのRFID(Radio Frequency Identification)タグ15a、15b、15cとを備える。
【0029】
RFIDタグ15a〜15bは、薄板状であって、矩形状である。物体14の表面に貼付された3つのRFIDタグ15a、15b、15cは、互いに直交する3つの方向になるように貼付されている。ここでは、RFIDタグ15aが貼付されている方向をx軸方向、RFIDタグ15bが貼付されている方向をy軸方向、RFIDタグ15cが貼付されている方向をz軸方向と呼ぶことにする。すなわち、x軸、y軸、z軸は互いに直交する3つの方向となる。なお、本明細書中、この座標軸を、物体ローカル座標と呼ぶ。RFIDタグ15a、15b、15cは、物体14の表面において、互いに近接する位置に貼付されている。ここでは、RFIDタグ15a〜15cの一方端部が、それぞれ隣接するように貼付されている。なお、RFIDタグ15a〜15cは、パッシブRFIDタグである。
【0030】
リーダライタ13は、2つのアンテナ16a(アンテナX)、およびアンテナ16b(アンテナY)を含む。アンテナ16a、16bは、直線偏波アンテナである。アンテナ16a、16bは、リーダライタ13と電気線20で接続されている。リーダライタ13は、それぞれのアンテナ16a、16bを介して、複数のRFIDタグ15a〜15cに対して電波、すなわち、送信信号を含む送信波を送信し、RFIDタグ15a〜15cからの電波、すなわち、返信信号を含む返送波を受信する。リーダライタ13は、RFIDタグ15a〜15cおよび図示しないその他の複数のRFIDタグと、同時に交信することができる。
【0031】
アンテナ16a、16bは、互いに直交する2つの方向になるように設けられている。すなわち、アンテナ16a、16bを含む空間中の仮想平面内において、アンテナ16aとアンテナ16bとのなす角度は、90度となるように設けられている。ここでは、アンテナ16aに沿う方向をX軸方向、アンテナ16bに沿う方向をY軸方向と呼ぶことにする。すなわち、X軸、Y軸は互いに直交する2つの方向となる。なお、本明細書中、このアンテナ16a、16bが構成する座標軸を、グローバル座標と呼ぶ。
【0032】
コンピュータ12は、予め測定した所定のデータを格納するデータ構造としてのデータベース17と、データベース17に格納された所定のデータおよびアンテナ16a、16bによって受信した返送波の信号強度から物体14の方向を解析して検知する検知手段としての検知部19を含む制御部18とを備える。データベース17に格納されているデータについては、後述する。アンテナ16a、16bによって受信した返送波の信号強度のデータは、電気線20を介して、リーダライタ13からコンピュータ12の制御部18に送信される。なお、図1中の矢印は、制御信号またはデータの流れを示している。
【0033】
ここで、この発明の原理について、簡単に説明する。図3は、上記した物体方向検知システムに含まれるRFIDタグの基準位置からの角度を示す概略図であり、表1は、RFIDタグ21の点線で示す基準位置に対する角度θと返送波の信号強度の比率との関係を示す表である。なお、図3および表1中、角度θは、RFIDタグ21とアンテナによる返送波の受信方向との角度を意味している。
【0034】
【表1】

【0035】
図3および表1を参照して、まず、図3(a)に示すように、RFIDタグ21の角度θが0°であった場合には、X軸方向およびY軸方向の読取り率、すなわち、X軸方向の返送波の信号強度の比率は1となり、Y軸方向の返送波の信号強度の比率は、0となる。そして、図3(b)に示すようにθ=30°となると、X:Yの比率が0.85:0.5、図3(c)に示すようにθ=45°となると、X:Yの比率が0.7:0.7、図3(d)に示すようにθ=60°となると、X:Yの比率が0.5:0.85、図3(e)に示すようにθ=90°となると、X:Yの比率が0:1となる。この発明は、このようなRFIDタグ21の方向による読取り率、すなわち、返送波の信号強度の比率の変化から、物体の方向を算出して検知するものである。なお、表1に示す値は、あくまで理論値であり、実測値とは異なるものである。
【0036】
次に、物体の方向を検知する方法について説明する。図4は、上記した物体方向検知システムを用いて物体の方向を検知する場合における処理の流れを示すフローチャートである。図1〜図4を参照して、まず、コンピュータ12からの命令により、リーダライタ13に含まれるアンテナ16a、16bから物体14の表面に貼付されたRFIDタグ15a〜15cに対して、送信信号を含んだ送信波を送信する(図4において、ステップS11、以下、ステップを省略する)。送信波を受信した各RFIDタグ15a〜15cは、リーダライタ13に対し、タグID情報、すなわち、RFIDタグを特定するデータ等を含んだ電波、すなわち、返信信号を含む返送波を送信する。リーダライタ13は、アンテナ16a、16bによって、RFIDタグ15a〜15cから送信された返送波を受信する。このとき、返送波に含まれるRFIDタグ15a〜15cのタグID情報等を取得すると共に、各アンテナ16a、16bによって受信した各RFIDタグ15a〜15cからの返送波の信号強度を取得する(S12)。
【0037】
ここで、受信した返送波の返信信号に含まれるタグID情報であるRFIDタグ15a〜15cのIDナンバー、およびアンテナ16a、16bの返送波の信号強度の一例を、表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
そして、RFIDタグ15a〜15cのタグIDから、物体IDを導出する。この場合、データベース17に格納された物体IDと、各物体14に貼付されたRFIDタグのタグIDとを照合させることにより導出する。すなわち、どのRFIDタグが、どの物体のどの方向に貼付されたものかを導出する。ここで、物体IDと、貼付されたRFIDタグとの関係の一例を、表3に示す。このような表3の情報が、データベース17に格納されている。すなわち、データベース17は、物体14に取り付けられたRFIDタグ15a〜15cのタグID、すなわち、RFIDタグを特定するデータおよび物体14に対するRFIDタグ15a〜15cの取り付け位置のデータを格納する。
【0040】
【表3】

【0041】
次に、表2から取得したアンテナX、Yの返送波の信号強度、および表3から取得したタグID情報等を集約して、各アンテナX、Yにおけるx軸成分、y軸成分、z軸成分に分解する。すなわち、x軸方向、y軸方向、z軸方向のRFIDタグの信号強度を求める(S13)。分解した例を、表4に示す。
【0042】
【表4】

【0043】
次に、上記した値から物体の方向を算出して検知する。各RFIDタグ15a〜15cの位置が一定であれば、各RFIDタグ15a〜15cからアンテナX、Yへの返送波の信号強度は、RFIDタグ15a〜15cによって決定される。よって、物体ローカル座標のx、y、z軸方向に取り付けられたRFIDタグ15a〜15cからアンテナ16a、16bに送信された返送波の信号強度は、物体の方向によって決定される。すなわち、物体ローカル座標のx、y、z軸に平行な単位ベクトルのグローバル座標における成分によって決定される。ここで、物体ローカル座標の原点におけるグローバル座標の位置は、予め取得され、データベース17に格納されている。物体の3次元の方向は、返送波の信号強度を基に、物体ローカル座標のx、y、z軸に平行な単位ベクトルのグローバル座標におけるx、y、z成分を逆演算することにより算出される。
【0044】
ここで、物体Aの物体ローカル座標の原点付近に物体ローカル座標のx、y、z軸に平行に取り付けたRFIDタグを、それぞれタグX、タグY、タグZ、物体の物体ローカル座標におけるx、y、z軸方向の単位ベクトルのグローバル座標における値を、i、j、kとし、物体の物体ローカル座標のグローバル座標における位置ベクトルを、oとすると、返送波の信号強度は、以下の式で表される。なお、本明細書中、i、j等のベクトルの記号は省略している。
【0045】
すなわち、タグXからアンテナXへの返送波の信号強度は、PXXA=P(o,i)で表される。同様に、タグYからアンテナXへの返送波の信号強度は、PYXA=P(o,j)、タグZからアンテナXへの返送波の信号強度は、PZXA=P(o,k)、タグXからアンテナYへの返送波の信号強度は、PXYA=P(o,i)、タグYからアンテナYへの返送波の信号強度は、PYYA=P(o,j)、タグYからアンテナYへの返送波の信号強度は、PZYA=P(o,k)で表される。
【0046】
タグとアンテナの距離による信号強度の減衰およびアンテナXおよびアンテナYの出力の差を考慮し、返送波の信号強度を正規化する(S14)。正規化した値は、数1によって表される値となる。
【0047】
【数1】

【0048】
これによって得られるPXXA’〜PZYA’は、i、j、kおよびoの関数となる。また、上記した測定により、PXXA’〜PZYA’の実際の値が求められる。oは、既知の値であるものとして、i、j、kおよびoから計算したPXXA’〜PZYA’の値と、データにより求めたPXXA’〜PZYA’の値の誤差を最小にするように、i、j、kを算出して求める(S15)。この場合、以下の数2に示す制約を具備するようにする。
【0049】
【数2】

【0050】
このようにして、i、j、kを求め、物体Aの3次元の方向を検知する。すなわち、グローバル座標に対する物体ローカル座標の各成分を検知する。
【0051】
このように構成することにより、物体に設けられたRFIDタグからの返送波を、受信装置によって受信し、返送波を解析して物体の方向を算出して検知することができる。この場合、返送波という電波を利用しているため、物体が陰に隠れた状態等であっても、検知することができる。また、物体の形状やその表面状態等による影響を受けることはない。さらに、個々のRFIDタグは安価であるため、多量の物体に取り付けてもシステム自体を安価に構成することができる。したがって、安価な構成で、物体の方向を検知することができる。
【0052】
ここでは、互いに直交する3つの方向になるように取り付けられたRFIDタグからの返送波を、互いに直交する2つの方向になるように設けられた第一および第二のアンテナによってそれぞれ受信し、それぞれのアンテナで受信した返送波の信号強度および取り付け位置のデータから、物体の方向を算出して検知することができる。したがって、物体の3次元の方向を正確に検知することができる。
【0053】
この場合、各RFIDタグは、物体のうち、近接した位置に取り付けられているため、各RFIDタグの取り付けられた個々の位置による影響を小さくすることができる。また、各RFIDタグは、物体の表面に取り付けられているため、返送波を正確に受信して、さらに正確に方向を検知することができる。
【0054】
ここで、この発明の一実施形態に係る物体方向検知プログラムは、物体に設けられたRFIDタグに送信波を送信するステップと、RFIDタグからの返送波を受信するステップと、返送波を解析して、物体の方向を検知するステップとを備える。
【0055】
なお、上記の実施の形態において、アンテナとして、直線偏波アンテナとすることにしたが、これに限らず、円偏波アンテナ等、他のアンテナを用いることにしてもよい。
【0056】
また、上記の実施の形態においては、RFIDタグとして、パッシブRFIDタグを用いることにしたが、これに限らず、他の形式のRFIDタグ、例えば、アクティブRFIDタグを用いることにしてもよい。
【0057】
なお、上記の実施の形態においては、物体の表面にRFIDタグを貼付することにしたが、これに限らず、物体の内部に埋め込むようにして物体に設けることにしてもよい。こうすることによっても、電波による信号の送受信が可能であり、物体の方向を検知することができる。
【0058】
また、上記の実施の形態において、リーダライタに含まれるアンテナによって、電波の送受信を行なうこととしたが、これに限らず、送信波を送信する送信装置と返送波を受信する送信装置とを別々に設け、上記構成とすることにしてもよい。
【0059】
なお、上記の実施の形態においては、物体方向検知システムは、3つのRFIDタグと、2つのアンテナを含むリーダライタから構成されることとしたが、1つのRFIDタグ及び1つのアンテナを有する受信装置から構成されるようにしてもよい。この場合、物体の2次元の方向を検知することができる。さらに、RFIDタグは、物体に複数設けることにしてもよいし、受信装置は、複数のアンテナを有することにしてもよい。
【0060】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
この発明に係る物体方向検知システムは、例えば、ベルトコンベア上に載せられた箱状の荷物の方向を整列させる場合に有効である。具体的には、互いに直交する3つの方向になるように箱の表面にRFIDタグを貼付する。そして、ベルトコンベア上に載せられ、所定の箇所まで運ばれてきた箱の方向を検知する。そして、箱が所望の方向に向くように、自動で動くロボットのアーム等によってコンピュータから指示を出し、方向を変える。このような方法によると、ガイドレールによる箱の整列ができない場合や、箱の形状が円筒状である等、特殊な形状の物体を整列させる場合に有効に利用される。
【0062】
また、人間の体に上記したようにRFIDタグを取り付け、RFIDタグから検知される方向から人間がどのような姿勢をとっているのかを検知することができる。この情報をジェスチャー解析のソフトウェアに取り入れ、機械に不慣れな者でも使える直感的なヒューマンインターフェースとして利用することもできる。さらに、ヘッドホン状のものに上記したようにRFIDタグを取り付け、これを頭部に装着することにより、頭の向きを取得し、これをコンピュータグラフィックスに連動させるようにして、体感型のゲームに応用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の一実施形態に係る物体方向検知システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る物体方向検知システムのハードウェア構成を示す概略図である。
【図3】RFIDタグの基準位置からの角度を示す概略図である。
【図4】物体の方向を検知する際の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
11 物体方向検知システム、12 コンピュータ、13 リーダライタ、14 物体、15a,15b,15c,21 RFIDタグ、16a,16b アンテナ、17 データベース、18 制御部、19 検知部、20 電気線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体に設けられるRFIDタグと、
前記RFIDタグからの返送波を受信する受信装置と、
前記受信装置により受信した返送波を解析して前記物体の方向を検知する検知手段とを備える、物体方向検知システム。
【請求項2】
前記RFIDタグは、前記物体に複数設けられる、請求項1に記載の物体方向検知システム。
【請求項3】
前記受信装置は、前記RFIDタグからの返送波を受信するアンテナを複数有する、請求項1または2に記載の物体方向検知システム。
【請求項4】
前記アンテナは、直線偏波アンテナである、請求項3に記載の物体方向検知システム。
【請求項5】
前記受信装置を含むリーダライタを備える、請求項1〜4のいずれかに記載の物体方向検知システム。
【請求項6】
前記検知手段は、前記受信装置によって受信した返送波の強度、および返送波に含まれる前記RFIDタグのデータから、前記物体の方向を解析して検知する、請求項1〜5のいずれかに記載の物体方向検知システム。
【請求項7】
前記複数のRFIDタグは、互いに直交する3つの方向になるように前記物体に設けられる第一、第二および第三のRFIDタグを含み、
前記アンテナは、互いに直交する2つの方向になるように設けられる第一および第二のアンテナを含む、請求項3〜6のいずれかに記載の物体方向検知システム。
【請求項8】
前記第一、第二および第三のRFIDタグは、前記物体のうち、近接した位置に設けられる、請求項7に記載の物体方向検知システム。
【請求項9】
複数のRFIDタグを用いて物体の方向を検知する物体方向検知システムに用いられるデータ構造であって、
前記物体に設けられた前記複数のRFIDタグを特定するデータ、および前記物体に対する各RFIDタグの取り付け位置のデータを格納する、データ構造。
【請求項10】
複数のRFIDタグが設けられた物体であって、
複数の前記RFIDタグは、前記物体に、相互に異なる方向で設けられている、物体。
【請求項11】
複数のRFIDタグを用いて物体の方向を検知する物体方向検知システムに用いられる受信装置であって、
前記物体方向検知システムは、物体に設けられた複数のRFIDタグと、前記RFIDタグからの返送波を解析して前記物体の方向を検知する検知手段とを含み、
前記受信装置は、前記物体から離れた位置に設けられており、前記RFIDタグからの返送波を受信するアンテナを有する、受信装置。
【請求項12】
物体に設けられたRFIDタグに送信波を送信するステップと、
前記RFIDタグからの返送波を受信するステップと、
返送波を解析して、前記物体の方向を検知するステップとを備える、物体方向検知プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−145296(P2009−145296A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325827(P2007−325827)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】