説明

物品の製造装置及び物品の製造方法

【課題】物品の製造コスト及びランニングコストを低減することができる物品の製造装置を提供する。
【解決手段】物品の製造装置は、各ワーク11と対応した情報データに応じて該ワーク11を加工する。物品の製造装置は、各ワーク11を搬送するパレット1に設けられる不変の識別データを記憶したIDキャリア2から識別データを読み取るIDヘッド3と、各識別データに対応する情報データが随時記憶される記憶部5aと、IDヘッド3にて読み取られた識別データに対応した記憶部5a内の情報データに基づいてワーク11を加工するように加工アーム6を制御するPLC5とを備える。このようにすると、IDキャリア2には、不変の識別データが記憶されるのみであり、情報データを随時記憶させる必要がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物品の製造装置及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、物品の製造装置としては、ワークをパレット(搬送体)に乗せて搬送しながら加工したり組み立てるものがある(パレット搬送方式)。このような製造装置としては、自動化を図るために、前記パレットにワークの情報データが記憶されるIDキャリアを設けたものがある。このIDキャリアは、データを電気的に書き込み・読み出し可能な、例えばカード状のものであり、情報データは、例えばワークの品番(種類等)を示す品番情報データや、ワークの製造段階(次の製造段階等)を示す段階情報データや、ワークの良否(不良個所の有無等)を示すワーク情報データ等を含む。このIDキャリアには、随時、例えば、パレットにワークが搭載されたときや、パレットの移動中に複数段階行われる加工工程の1つが実施される毎に、前記情報データが記憶(書き込み)される。
【0003】又、この製造装置は、前記パレットの移動ルート近傍位置の前記加工工程毎に配置されるIDヘッド、及び該各IDヘッドに電気的に接続されたPLC(プログラムロジックコントローラ)を備える。そして、前記IDヘッドにて前記IDキャリアの情報データが読み取られ、PLCにて該情報データに基づいた加工が行われるように加工アーム等が制御される。
【0004】このような物品の製造装置では、各ワーク毎(パレット毎)の情報データが自動でPLCに入力されることにより自動運転が可能となり、該物品の製造コストを低減することができる。又、人的依存が小さくなるため、人的ミスが低減される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般的に前記IDキャリアには書き込み(書き換え)数制限がある。そして、上記製造装置では、前記IDキャリアに随時情報データが書き込まれることから、書き込み数制限を超える前に(例えば、半年毎に)該IDキャリアを交換する必要が生じる。このIDキャリアは、多数のパレットにそれぞれ設けられることから、上記のような物品の製造装置では、IDキャリアの購入費用や交換作業費等が高くなり、ひいてはランニングコストが高くなるという問題がある。
【0006】又、上記のような物品の製造装置以外の装置として、パレットを用いず、例えばフープ材等のワークを直接搬送しながら、加工したり組み立てるものがある(ダイレクト搬送方式)。しかしながら、このような製造装置では、ワークに前記IDキャリアを直接設ける(固定する)ことが困難であること等から、自動化(自動運転)が困難である。このことは、人的依存が大きくなり、人的ミスが発生し、ひいては物品の製造コストが増大する原因となる。又、ワークにIDキャリアを直接設けることが容易となっても、上記パレット搬送方式の物品の製造装置と同様に、ランニングコストが高くなるという問題がある。
【0007】本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、物品の製造コスト及びランニングコストを低減することができる物品の製造装置及び物品の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、各ワークと対応した情報データに応じて該ワークを加工又は組み立てる物品の製造装置において、前記各ワークと共に移動可能にそれぞれ設けられる不変の識別データを記憶した移動記憶手段から前記識別データを読み取る読み取り手段と、前記各識別データに対応する情報データが随時記憶される不動記憶手段と、前記読み取り手段にて読み取られた前記識別データに対応した前記不動記憶手段内の前記情報データに基づいて、前記ワークを加工又は組み立てるように制御する制御手段とを備えた。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の物品の製造装置において、前記移動記憶手段は、前記ワークを搬送する搬送体に固定されるIDキャリアであり、前記読み取り手段は、前記IDキャリアの前記識別データを読み出し可能なIDヘッドである。
【0010】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の物品の製造装置において、前記ワークは、直接搬送される直接搬送ワークであって、前記移動記憶手段は、印字装置にて前記識別データと対応した印字パターンが直接印字される前記直接搬送ワークの印字部であり、前記読み取り手段は、前記印字部の印字パターンを認識可能な撮像装置である。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の物品の製造装置において、前記印字部は、前記直接搬送ワークにおける最終完成品領域外の廃材部である。請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の物品の製造装置において、前記直接搬送ワークは、フープ材である。
【0012】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の物品の製造装置において、前記フープ材は、略有底筒形状のモータヨーク、及び該モータヨークの開口部を覆うエンドフレームが成形されるものである。
【0013】請求項7に記載の発明は、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の物品の製造装置において、前記印字装置は、インクジェット式のものである。請求項8に記載の発明は、請求項3乃至7のいずれか1項に記載の物品の製造装置において、前記印字パターンは、8ビットのドット表示である。
【0014】請求項9に記載の発明は、各ワークと対応した情報データに応じて該ワークを加工又は組み立てる物品の製造方法において、前記各ワークと共に移動可能にそれぞれ設けられる移動記憶手段に不変の識別データを記憶させ、読み取り手段にて前記移動記憶手段から前記識別データを読み取り、不動記憶手段に前記各識別データに対応する情報データを随時記憶させ、制御手段にて、前記読み取り手段にて読み取られた前記識別データに対応した前記不動記憶手段内の前記情報データに基づいて、前記ワークを加工又は組み立てるように制御する。
【0015】(作用)請求項1に記載の発明によれば、各ワークと共に移動可能にそれぞれ設けられる不変の識別データを記憶した移動記憶手段から読み取り手段にて前記識別データが読み取られる。又、不動記憶手段には、前記各識別データに対応する情報データが随時記憶される。そして、制御手段にて、前記読み取り手段にて読み取られた前記識別データに対応した前記不動記憶手段内の前記情報データに基づいて、前記ワークが加工又は組み立てられるように制御される。このようにすると、移動記憶手段には、不変の識別データが記憶されるのみであり、情報データを随時記憶させる必要がなくなる。
【0016】請求項2に記載の発明によれば、IDヘッドにてワークを搬送する搬送体に固定されるIDキャリアの前記識別データが読み出される。このようにすると、通常の作業では前記IDキャリア内のデータを書き換えることがないため、従来技術のように書き込み数がIDキャリアの書き込み数制限を超えるといったことがない。よって、書き込み数制限に基づくIDキャリアの交換がなくなる。
【0017】請求項3に記載の発明によれば、直接搬送される直接搬送ワークにおける印字部には、印字装置にて前記識別データと対応した印字パターンが直接印字される。そして、撮像装置にて前記印字部の印字パターンが認識される。
【0018】請求項4に記載の発明によれば、前記印字部は、前記直接搬送ワークにおける最終完成品領域外の廃材部であるため、最終完成品に印字パターンが残ることがなくなる。
【0019】請求項5に記載の発明によれば、直接搬送ワークは、フープ材であるため、IDキャリアを設けることができないフープ材において、製造の自動化が容易に可能となる。
【0020】請求項6に記載の発明によれば、フープ材は、略有底筒形状のモータヨーク、及び該モータヨークの開口部を覆うエンドフレームが成形されるものであるため、モータヨーク及びエンドフレームの成形の自動化が容易に可能となる。
【0021】請求項7に記載の発明によれば、前記印字装置は、インクジェット式のものであるため、印字パターンを容易に直接印字することができる。請求項8に記載の発明によれば、前記印字パターンは、8ビットのドット表示であるため、多種の識別データと対応可能としながら、その認識が容易となる。
【0022】請求項9に記載の発明によれば、各ワークと共に移動可能にそれぞれ設けられる不変の識別データを記憶した移動記憶手段から読み取り手段にて前記識別データが読み取られる。又、不動記憶手段には、前記各識別データに対応する情報データが随時記憶される。そして、制御手段にて、前記読み取り手段にて読み取られた前記識別データに対応した前記不動記憶手段内の前記情報データに基づいて、前記ワークが加工又は組み立てられるように制御される。このようにすると、移動記憶手段には、不変の識別データが記憶されるのみであり、情報データを随時記憶させる必要がなくなる。
【0023】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発明をパレット搬送方式の物品の製造装置に具体化した第1の実施の形態を図1及び図2に従って説明する。
【0024】図1に示すように、物品の製造装置は、搬送体としてのパレット1と、移動記憶手段としてのIDキャリア2と、読み取り手段としてのIDヘッド3と、IDコントローラ4と、制御手段としてのPLC(プログラムロジックコントローラ)5と、加工アーム6とを備える。
【0025】パレット1は、多数(n固であって、図中、3つのみ図示する)並設され、図示しない移動ルートを連なって移動(巡回)するように設けられている。この各パレット1には、それぞれIDキャリア2が固定されている。
【0026】IDキャリア2は、データを電気的に書き込み・読み出し可能なもの(メモリ)であって、本実施の形態ではカード状のものである。この各IDキャリア2には、各パレット1をそれぞれ区別可能な不変の識別データが記憶(書き込み)されている。尚、本実施の形態の識別データは、「1」から「n」までの番号とされている(図2参照)。
【0027】IDヘッド3、IDコントローラ4、PLC5、及び加工アーム6は、パレット1の移動ルート移動中に行われる複数段階の加工工程の数と対応した数(図中、1つずつのみ示す)設けられ、それぞれ移動ルート近傍位置に配設されている。
【0028】IDヘッド3は、前記IDキャリア2内の識別データを読み取り(抽出)可能とされ、自身にパレット1が近接した際、該パレット1におけるIDキャリア2の識別データを読み取り、その識別データをIDコントローラ4を介してPLC5に出力する。尚、IDヘッド3は識別データを読み取ると記載したが、詳しくは、IDヘッド3は単に識別データに応じた信号を抽出し、該信号が入力されたIDコントローラ4が該信号に基づいた識別データをPLC5に出力している。
【0029】PLC5は、不動記憶手段としての記憶部5aを備えている。この記憶部5aには、前記識別データに対応する情報データが随時記憶される。詳しくは、各加工工程における各PLC5はそれぞれ図示しない信号線にて接続されている。そして、全てのPLC5における全ての記憶部5aには、例えば、パレット1にワーク11が搭載されたときや、加工工程の1つが実施される毎に、該パレット1のIDキャリア2の識別データ(番号)と対応した領域(図2参照)に情報データが記憶(書き込み)される。本実施の形態の情報データは、図2に示すように、ワーク11の品番(種類等)を示す品番情報データや、ワーク11の製造段階(次の製造段階等)を示す段階情報データや、ワーク11の良否(不良個所の有無等)を示すワーク情報データ等を含む。例えば、記憶部5aには、第3段階の加工工程が実施された後、「次の第4段階では所定部分をプレス加工する」といった段階情報データや、「第3段階まで正常に加工が完了している」といったワーク情報データ等が書き込まれる。
【0030】PLC5は、IDヘッド3からIDコントローラ4を介して入力される識別データに対応した記憶部5a内の情報データに基づいて、ワーク11を加工するように加工アーム6を制御する。尚、本実施の形態のPLC5は、ワーク11の加工後、記憶部5a(他のPLC5の記憶部5aを含む)に最新の情報データを書き込む(記憶部5aの情報データを書き換えて更新する)。
【0031】このように構成された物品の製造装置では、例えば、ある段階の加工工程に対応したIDヘッド3の近接位置にパレット1が移動されると、該IDヘッド3にて該IDキャリア2の識別データが読み取られ、その識別データがIDコントローラ4を介してPLC5に出力される。すると、PLC5にて、入力された識別データに対応した記憶部5a内の情報データに基づいてワーク11が加工されるように加工アーム6が制御される。よって、自動運転が可能となり、物品の製造コストを低減することができる。又、人的依存が少なくなるため、人的ミスが低減される。
【0032】次に、上記第1の実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)パレット1に設けられるIDキャリア2には、不変の識別データ(「1」から「n」までの番号)が記憶されるのみであり、情報データを随時記憶させる必要がない。よって、IDキャリア2を簡単なもの(小記録容量や書き換え不能なものでも可能)とすることができる。そして、IDキャリア2のデータを書き換えることがないため、従来技術のように書き込み数制限を超えることで生じるIDキャリアの交換作業がなくなる。よって、従来技術に比べて、IDキャリアの購入費用や交換作業費等を低減することができ、ひいてはランニングコストを低減することができる。
【0033】(2)情報データがPLC5の記憶部5a内に記憶されるため、各情報(例えば、現在のパレット1の使用状況や、不良加工の発生回数等の情報)の管理が迅速かつ容易となる。よって、例えば、ワーク情報データの集計結果に基づいて加工アーム6の不良等を迅速に検知すること等が可能となる。
【0034】(第2の実施の形態)以下、本発明をダイレクト搬送方式の物品の製造装置に具体化した第2の実施の形態を図3〜図6に従って説明する。
【0035】本実施の形態の物品の製造装置は、パレットを用いず、ワーク及び直接搬送ワークとしてのフープ材21を直接搬送しながら、加工するものである。フープ材21は、金属製の帯状板材である。そして、フープ材21は、図4及び図5に示すように、最終的にモータ22を構成する略有底筒形状のモータヨーク23と、該モータヨーク23の開口部を覆うエンドフレーム24を成形するための材料である。尚、本実施の形態では、便宜上、完成したモータヨーク23及びエンドフレーム24とフープ材21に成形されたそれら(完全に完成していない物品)を同一の符号を付して説明する。又、このフープ材21には、モータヨーク23及びエンドフレーム24が極力無駄が無いように並べて成形されるが、モータヨーク23及びエンドフレーム24が形成されない個所(最終完成品領域外)として廃材部25が設定(設計)される。
【0036】図3に示すように、物品の製造装置は、読み取り手段及び撮像装置としてのCCDカメラ31と、コントローラ32と、制御手段としてのPLC(プログラムロジックコントローラ)33と、図示しない絞り加工用のプレス加工機とを備える。
【0037】CCDカメラ31、コントローラ32、PLC33、及びプレス加工機は、フープ材21の図示しない移動ルート移動中に行われる複数段階の加工工程の数と対応した数(図中、1つずつのみ示す)設けられ、それぞれ移動ルート近傍位置に配設されている。尚、各段階毎に設けられるプレス加工機は、モータヨーク23を多段(深)絞り加工にて成形すべく段階毎にその金型の深さ等が異なるものである。
【0038】又、物品の製造装置は、その最初の段階と対応した位置に、インクジェット式の印字装置34(図3R>3参照)を備えている。印字装置34は、識別データと対応した印字パターン35をフープ材21に直接印字する。詳しくは、印字装置34は、フープ材21の移動記憶手段及び印字部としての廃材部25に印字パターン35を印字する。又、印字装置34は、フープ材21の所定間隔毎(例えば、エンドフレーム24の5個毎)に印字パターン35を印字する。又、識別データは、前記第1の実施の形態の識別データと同様の「1」から「n」までの番号であり、前記「n」は、該物品の製造装置において2つ存在しないように順次設定される数である。又、識別データと対応した印字パターン35は、図6の具体例に示すように、8ビットのドット表示である。尚、図6では、印字パターン35を36個のみ図示する。又、この印字パターン35は、少なくとも2つのドット(黒塗りの部分)を有するように設定されている。
【0039】CCDカメラ31は、前記廃材部25の印字パターン35を読み取り(認識)可能とされ、所定範囲(撮影範囲)内の印字パターン35の識別データを読み取り、その識別データをコントローラ32を介してPLC33に出力する。尚、CCDカメラ31は識別データを読み取ると記載したが、詳しくは、CCDカメラ31は単に印字パターン35に応じた信号(画像データ)をコントローラ32に出力し、該コントローラ32が該信号に基づいた識別データをPLC33に出力している。又、本実施の形態のCCDカメラ31の近傍には、撮影範囲を照らす照明36が配設されている。
【0040】PLC33は、前記第1の実施の形態のPLC5と同様に、不動記憶手段としての記憶部33aを備えている。この記憶部33aには、前記識別データに対応する情報データが随時記憶される。詳しくは、各加工工程における各PLC33はそれぞれ図示しない信号線にて接続されている。そして、全てのPLC33における全ての記憶部33aには、例えば、加工工程の1つが実施される毎に、該識別データ(番号)と対応した領域に情報データが記憶(書き込み)される。本実施の形態の情報データは、前記第1の実施の形態と略同様に、フープ材21の品番(種類等)を示す品番情報データや、フープ材21の製造段階(次の製造段階等)を示す段階情報データや、フープ材21の良否(不良個所の有無等)を示すワーク情報データ等を含む。
【0041】PLC33は、CCDカメラ31からコントローラ32を介して入力される識別データに対応した記憶部33a内の情報データに基づいて、フープ材21を加工するようにプレス加工機を制御する。尚、本実施の形態のPLC33は、フープ材21の加工後、記憶部33a(他のPLC33の記憶部33aを含む)に最新の情報データを書き込む(記憶部33aの情報データを書き換えて更新する)。
【0042】このように構成された物品の製造装置では、例えば、ある段階の加工工程に対応したCCDカメラ31の撮影範囲内にフープ材21の廃材部25が移動されると、該CCDカメラ31にて印字パターン35が読み取られ、該印字パターン35に応じた識別データがコントローラ32を介してPLC33に出力される。すると、PLC33にて、入力された識別データに対応した記憶部33a内の情報データに基づいてフープ材21が加工されるようにプレス加工機が制御される。よって、自動運転が可能となり、物品の製造コストを低減することができる。又、人的依存が少なくなるため、人的ミスが低減される。
【0043】次に、上記第2の実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)フープ材21の廃材部25には、印字装置34にて不変の識別データ(「1」から「n」までの番号)と対応した印字パターン35を印字させるのみであり、情報データを随時記憶させる必要がない。よって、上記第1の実施の形態のパレット1等を用いずIDキャリア2等を容易に設けることのできないフープ材21を材料とした製造の自動化が容易に可能となる。本実施の形態では、フープ材21を材料としたモータヨーク23及びエンドフレーム24の製造の自動化が容易に可能となる。
【0044】(2)印字装置34にてフープ材21に識別データと対応した印字パターン35を直接印字するようにしたため、簡単な構成でフープ材21に識別データを記憶させることができる。
【0045】(3)フープ材21の廃材部25に印字パターン35を印字するようにしたため、最終完成品(モータヨーク23及びエンドフレーム24)に印字パターン35が残ることがない。
【0046】(4)印字装置34をインクジェット式のものとしたため、印字パターン35を容易に直接印字することができる。
(5)印字パターン35を、8ビットのドット表示としたため、多種の識別データと対応可能としながら、その認識が容易となる。
【0047】(6)情報データがPLC33の記憶部33a内に記憶されるため、各情報(例えば、不良加工の発生回数等の情報)の管理が迅速かつ容易となる。よって、例えば、ワーク情報データの集計結果に基づいてプレス加工機の不良等を迅速に検知すること等が可能となる。
【0048】上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第1の実施の形態のIDキャリア2は、パレット1と共に移動可能に設けられ、識別データが記憶されたものであれば、他の移動記憶手段に変更してもよい。尚、この場合、IDヘッド3を移動記憶手段に応じて識別データを読み取り可能な読み取り手段に変更する必要がある。このようにしても、上記第1の実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0049】・上記各実施の形態では、PLC5,33に記憶部5a,33aを設けたが、PLCとは別に、識別データに対応する情報データが随時記憶される不動記憶手段を設けて実施してもよい。このようにしても、上記各実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0050】・上記各実施の形態では、複数段階の加工工程の数と対応した数のPLC5,33(記憶部5a,33a)が設けられるとしたが、各PLC5,33(記憶部5a,33a)と同様の処理が可能であれば、1つのPLCに変更して実施してもよい。このようにしても、上記各実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0051】・上記各実施の形態では、識別データは、「1」から「n」までの番号とされている(図2参照)としたが、区別可能であれば勿論、適宜その形式を変更してもよい。このようにしても、上記各実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0052】・上記各実施の形態では、情報データは、品番情報データや、段階情報データや、ワーク情報データ等を含むとしたが、ワーク11やフープ材21を加工したり組み立てるために用いられる他の情報を適宜追加したり、他の情報に適宜変更したりしてもよい。このようにしても、上記各実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0053】・上記第1の実施の形態の加工アーム6は、ワーク11を加工したり組み立てたりするために駆動される部材(機器)であれば、目的に応じた他の部材に変更して実施してもよい。このようにしても、上記第1の実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0054】・上記第1の実施の形態では、IDヘッド3、IDコントローラ4、PLC5、及び加工アーム6は、パレット1の移動ルート近傍位置に配設されているとしたが、少なくともIDヘッド3及び加工アーム6のみ移動ルート近傍位置に配置されていれば他の配置を変更してもよい。
【0055】・上記第2の実施の形態のフープ材21は、パレット等の搬送体が用いられず直接搬送されるフープ材以外の他の直接搬送ワークに変更して実施してもよい。このようにしても、直接搬送ワークを材料とした製造の自動化が容易に可能となる。
【0056】・上記第2の実施の形態のフープ材21は、モータヨーク23及びエンドフレーム24を成形するための材料としたが、他の物品を製造するためのものに変更して実施してもよい。尚、この場合、勿論PLC33が制御するプレス加工機を適宜変更する必要がある。このようにしても、フープ材を材料とした製造の自動化が容易に可能となる。
【0057】・上記第2の実施の形態では、フープ材21の廃材部25に印字パターン35を印字するようにしたが、特に廃材部25のスペースが極小さい場合等、廃材部25以外の部分に印字するようにしてもよい。このようにしても、上記第2の実施の形態の効果(1)、(2)、(4)〜(6)と同様の効果を得ることができる。
【0058】・上記第2の実施の形態では、印字装置34をインクジェット式のものとしたが、他の方式の印字装置に変更して実施してもよい。このようにしても、上記第2の実施の形態の効果(1)〜(3)、(5)、(6)と同様の効果を得ることができる。
【0059】・上記第2の実施の形態では、印字パターン35を、8ビットのドット表示としたが、ビット数を変更したり、他のパターンに変更してもよい。このようにしても、上記第2の実施の形態の効果(1)〜(4)、(6)と同様の効果を得ることができる。
【0060】・上記第2の実施の形態のCCDカメラ31は、前記印字パターン35を認識可能であれば他の撮像装置に変更してもよい。このようにしても、上記第2の実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0061】・上記第2の実施の形態のプレス加工機は、フープ材21(ワーク)を加工したり組み立てたりするために駆動される部材(機器)であれば、目的に応じた他の部材に変更して実施してもよい。このようにしても、上記第2の実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0062】上記実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項1乃至8のいずれかに記載の物品の製造装置において、前記情報データは、前記ワークの品番を示す品番情報データを含むことを特徴とする物品の製造装置。このようにすると、移動記憶手段に品番情報データを記憶させる必要がなくなる。
【0063】(ロ)請求項1乃至8及び上記(イ)のいずれかに記載の物品の製造装置において、前記情報データは、前記ワークの製造段階を示す段階情報データを含むことを特徴とする物品の製造装置。このようにすると、移動記憶手段に段階情報データを記憶させる必要がなくなる。
【0064】(ハ)請求項1乃至8及び上記(イ)、(ロ)のいずれかに記載の物品の製造装置において、前記情報データは、前記ワークの良否を示すワーク情報データを含むことを特徴とする物品の製造装置。このようにすると、移動記憶手段にワーク情報データを記憶させる必要がなくなる。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜8に記載の発明によれば、物品の製造コスト及びランニングコストを低減することができる物品の製造装置を提供することができる。
【0066】又、請求項9に記載の発明によれば、物品の製造コスト及びランニングコストを低減することができる物品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の物品の製造装置を説明するための説明図。
【図2】記憶部を説明するための説明図。
【図3】第2の実施の形態の物品の製造装置を説明するための説明図。
【図4】第2の実施の形態のフープ材を示す斜視図。
【図5】モータ22を示す斜視図。
【図6】印字パターン35の具体例を説明するための説明図。
【符号の説明】
1…パレット(搬送体)、2…IDキャリア(移動記憶手段)、3…IDヘッド(読み取り手段)、5,33…PLC(制御手段)、11…ワーク、21…フープ材(ワーク及び直接搬送ワーク)、23…モータヨーク、24…エンドフレーム、25…廃材部(移動記憶手段及び印字部)、31…CCDカメラ(読み取り手段及び撮像装置)、34…印字装置、35…印字パターン、5a,33a…記憶部(不動記憶手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 各ワーク(11,21)と対応した情報データに応じて該ワーク(11,21)を加工又は組み立てる物品の製造装置において、前記各ワーク(11,21)と共に移動可能にそれぞれ設けられる不変の識別データを記憶した移動記憶手段(2,25)から前記識別データを読み取る読み取り手段(3,31)と、前記各識別データに対応する情報データが随時記憶される不動記憶手段(5a,33a)と、前記読み取り手段(3,31)にて読み取られた前記識別データに対応した前記不動記憶手段(5a,33a)内の前記情報データに基づいて、前記ワーク(11,21)を加工又は組み立てるように制御する制御手段(5,33)とを備えたことを特徴とする物品の製造装置。
【請求項2】 請求項1に記載の物品の製造装置において、前記移動記憶手段(2)は、前記ワークを搬送する搬送体(1)に固定されるIDキャリアであり、前記読み取り手段(3)は、前記IDキャリア(2)の前記識別データを読み出し可能なIDヘッドであることを特徴とする物品の製造装置。
【請求項3】 請求項1に記載の物品の製造装置において、前記ワーク(21)は、直接搬送される直接搬送ワーク(21)であって、前記移動記憶手段(25)は、印字装置(34)にて前記識別データと対応した印字パターン(35)が直接印字される前記直接搬送ワーク(21)の印字部であり、前記読み取り手段(31)は、前記印字部(25)の印字パターン(35)を認識可能な撮像装置であることを特徴とする物品の製造装置。
【請求項4】 請求項3に記載の物品の製造装置において、前記印字部(25)は、前記直接搬送ワーク(21)における最終完成品領域外の廃材部であることを特徴とする物品の製造装置。
【請求項5】 請求項3又は4に記載の物品の製造装置において、前記直接搬送ワーク(21)は、フープ材であることを特徴とする物品の製造装置。
【請求項6】 請求項5に記載の物品の製造装置において、前記フープ材(21)は、略有底筒形状のモータヨーク(23)、及び該モータヨーク(23)の開口部を覆うエンドフレーム(24)が成形されるものであることを特徴とする物品の製造装置。
【請求項7】 請求項3乃至6のいずれか1項に記載の物品の製造装置において、前記印字装置(34)は、インクジェット式のものであることを特徴とする物品の製造装置。
【請求項8】 請求項3乃至7のいずれか1項に記載の物品の製造装置において、前記印字パターン(35)は、8ビットのドット表示であることを特徴とする物品の製造装置。
【請求項9】 各ワーク(11,21)と対応した情報データに応じて該ワーク(11,21)を加工又は組み立てる物品の製造方法において、前記各ワーク(11,21)と共に移動可能にそれぞれ設けられる移動記憶手段(2,25)に不変の識別データを記憶させ、読み取り手段(3,31)にて前記移動記憶手段(2,25)から前記識別データを読み取り、不動記憶手段(5a,33a)に前記各識別データに対応する情報データを随時記憶させ、制御手段(5,33)にて、前記読み取り手段(3,31)にて読み取られた前記識別データに対応した前記不動記憶手段(5a,33a)内の前記情報データに基づいて、前記ワーク(11,21)を加工又は組み立てるように制御することを特徴とする物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2003−205430(P2003−205430A)
【公開日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−5556(P2002−5556)
【出願日】平成14年1月15日(2002.1.15)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】