説明

物品収納設備における物品搬送装置

【課題】 収納棚の走行体の走行方向での幅の小型化により、収納棚の製造コストの低下、及び、物品収納設備の設置スペースの小型化、並びに、搬送効率の上昇やランニングコストの低下を図ることが可能な物品収納設備における物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】 運転制御手段が、搬入用走行制御、収納用走行制御、及び、搬入用移載制御、収納用移載制御を実行するように構成され、物品の走行体の走行方向での位置を検出する物品位置検出手段が設けられ、運転制御手段が、物品位置検出手段の検出情報L1、L2に基づいて、搬入部から走行体側に移載された物品についての走行体の走行方向での設定適正位置からのズレ量Zを求めて、そのズレ量に基づいて、収納用走行制御における移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置PH1を補正するように構成されている物品収納設備における物品搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
入庫する物品の搬入部に対する物品移載位置と収納棚における複数の物品収納部の夫々に対する物品移載位置とに亘る走行経路に沿って走行自在で且つ物品移載装置を備えた物品搬送用の走行体と、前記走行体の前記走行経路上での位置を検出する位置検出手段と、前記走行体の走行作動及び前記物品移載装置の移載作動を制御する運転制御手段とが設けられ、前記運転制御手段が、前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記搬入部に対する物品移載位置に前記走行体を走行させる搬入用走行制御、及び、前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記複数の物品収納部のうちの移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に前記走行体を走行させる収納用走行制御、並びに、前記走行体が前記搬入部に対する物品移載位置に位置した状態において前記搬入部の物品を前記走行体側に移載するように前記物品移載装置を作動させる搬入用移載制御、及び、前記走行体が移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に位置した状態において前記走行体側に位置する物品を前記物品収納部に移載するように前記物品移載装置を作動させる収納用移載制御を実行するように構成されている物品収納設備における物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記物品収納設備における物品搬送装置として、物品搬送用の走行体として、物品移載装置としてのフォーク装置を装備したスタッカークレーンを備えて、搬入部としての物品受け台と収納棚の複数の物品収納部との間で物品を搬送するように構成したものがある。そして、運転制御手段が、物品受け台に向けてスタッカークレーンを走行させるときには、目標停止位置としての物品受け台に対する物品移載位置に、スタッカークレーンの走行経路上での位置を検出する位置検出手段の情報に基づいて、スタッカークレーンを走行させる搬入用走行制御を行い、及び、複数の物品収納部のうちの移載作業対象とする物品収納部に向けてスタッカークレーンを走行させるときには、目標停止位置としての物品収納部に対する物品移載位置に、スタッカークレーンの走行経路上での位置を検出する位置検出手段の情報に基づいて、スタッカークレーンを走行させる収納用走行制御を行うように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−157885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬入部としての物品受け台に載置される物品の位置は、フォークリフト等により外部から供給されるときの位置ズレにより、スタッカークレーンの走行方向にばらつきが存在するものであり、このため、スタッカークレーンが物品受け台に対する物品移載位置に位置した状態において、搬入用移載制御により物品受け台に位置する物品をスタッカークレーン側に移載すると、移載された物品のスタッカークレーンに対する位置も、スタッカークレーンの走行方向にばらつくことになる。
また、スタッカークレーンが搬入用走行制御により物品受け台についての物品移載位置に停止する位置が、物品受け台についての物品移載位置に対して、スタッカークレーンの走行方向にばらつくこともあるものであり、この場合も、搬入用移載制御により物品受け台に位置する物品をスタッカークレーン側に移載すると、移載された物品のスタッカークレーンに対する位置が、スタッカークレーンの走行方向にばらつくことになる。
【0005】
このように、スタッカークレーン側に移載された物品のスタッカークレーンに対する位置が、スタッカークレーンの走行方向にばらつくと、移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に精度良くスタッカークレーンを停止させたとしても、スタッカークレーンに保持されている物品の位置は、物品収納部に対する適正な位置、つまり、物品のスタッカークレーンの走行方向での中央部が物品収納部のスタッカークレーン走行方向での中央部と合致する状態となる位置に対して、スタッカークレーンの走行方向にばらつくことになり、このように物品収納部に対する適正な位置に対して、スタッカークレーンの走行方向にばらつくことになる物品を、収納用移載制御により物品収納部に収納するときに、物品と収納棚との接当等を回避して収納させるようにするには、複数の物品収納部におけるスタッカークレーンの走行方向に沿う幅を、上記物品の位置のばらつき、並びに、スタッカークレーンが移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に停止するときの位置のばらつきを考慮して、大きな余裕を持たせた大きな幅に形成する必要があり、このため、収納棚のスタッカークレーンの走行方向での幅が大型化して、収納棚の製造コストの増加、及び、物品収納設備の設置スペースが大型化する不利を招き、並びに、スタッカークレーンの走行距離の増加により、搬送効率の低下やランニングコストの増加を招く不利があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、物品を収納棚に良好に収納させることができながらも、収納棚の走行体の走行方向での幅の小型化により、収納棚の製造コストの低下、及び、物品収納設備の設置スペースの小型化、並びに、搬送効率の上昇やランニングコストの低下を図ることが可能な物品収納設備における物品搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物品収納設備における物品搬送装置の第1特徴は、
入庫する物品の搬入部に対する物品移載位置と収納棚における複数の物品収納部の夫々に対する物品移載位置とに亘る走行経路に沿って走行自在で且つ物品移載装置を備えた物品搬送用の走行体と、前記走行体の前記走行経路上での位置を検出する位置検出手段と、前記走行体の走行作動及び前記物品移載装置の移載作動を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記搬入部に対する物品移載位置に前記走行体を走行させる搬入用走行制御、及び、前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記複数の物品収納部のうちの移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に前記走行体を走行させる収納用走行制御、並びに、前記走行体が前記搬入部に対する物品移載位置に位置した状態において前記搬入部の物品を前記走行体側に移載するように前記物品移載装置を作動させる搬入用移載制御、及び、前記走行体が移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に位置した状態において前記走行体側に位置する物品を前記物品収納部に移載するように前記物品移載装置を作動させる収納用移載制御を実行するように構成されている物品収納設備における物品搬送装置において、
前記搬入部から前記走行体側に移載された物品の前記走行体の走行方向での位置を検出する物品位置検出手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記物品位置検出手段の検出情報に基づいて、前記搬入部から前記走行体側に移載された物品についての前記走行体の走行方向での設定適正位置からのズレ量を求めて、そのズレ量に基づいて、前記収納用走行制御における移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置を補正するように構成されている点にある。
【0008】
本発明の第1特徴によると、運転制御手段は、収納用走行制御により、走行体を、設定適正位置からのズレ量に基づいて補正された物品収納部に対する物品移載位置に走行させる。したがって、運転制御手段は、収納用移載制御により、走行体が物品収納部に対する補正された物品移載位置に位置した状態で、走行体側に位置する物品を物品収納部に移載する。これにより、搬入用移載制御において物品が走行体の走行方向での設定適正位置からずれた状態で走行体側に移載された場合に、収納用移載制御により、走行体側に位置する物品が物品収納部に移載される際の物品収納部に対する走行体の走行方向における物品の位置は、搬入用移載制御において物品が走行体の走行方向での設定適正位置からずれることなく走行体側に移載された場合に、収納用移載制御により、走行体側に位置する物品が物品収納部に移載される際の物品収納部に対する走行体の走行方向における物品の位置と同様の位置となる。
【0009】
つまり、搬入用移載制御において搬入部から走行体側に移載される物品が設定適正位置からずれた状態で走行体側に移載されると、運転制御手段は、収納用走行制御において、そのズレ量に基づいて補正された物品収納部に対する物品移載位置に走行体を走行させるので、搬入用移載制御において発生した走行体側に位置する物品の設定適正位置からのズレが、収納用移載制御において物品収納部に移載される物品の物品収納部に対する位置に与える影響が低減される。
【0010】
したがって、収納棚における複数の物品収納部における走行体の走行方向に沿う幅は、走行体が移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に停止するときの位置のばらつき等を考慮して余裕がある幅にする必要があるものの、走行体側に移載された物品の位置のばらつきに対しては大きな余裕を持たせない幅で良いため、極力余裕を少なくした小さな幅とすることができるのであり、このため、収納棚の走行体の走行方向での幅の小型化が可能になって、収納棚の製造コストの低廉化、及び、物品収納設備の設置スペースの小型化、並びに、搬送効率の上昇やランニングコストの低下を図ることが可能となる。
【0011】
このように、本発明の第1特徴によると、物品を収納棚に良好に収納させることができながらも、収納棚の走行体の走行方向での幅の小型化により、収納棚の製造コストの低下、物品収納設備の設置スペースの小型化、及び、走行体の走行距離が短縮化して、搬送効率の上昇やランニングコストの低下を図ることが可能な物品収納設備における物品搬送装置を得るに至った。
【0012】
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴において、
前記物品位置検出手段が、前記搬入部から前記走行体側に移載された物品についての前記走行体に対する走行方向での位置を検出するように構成され、
前記運転制御手段が、前記物品位置検出手段の検出情報に基づいて、前記ズレ量として、前記搬入部から前記走行体側に移載された物品についての前記走行体に対する走行方向での設定適正移載位置からのズレ量を求めるように構成されている点にある。
【0013】
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様の作用を備えており、これに加えて以下のような作用を備えている。
運転制御手段が、ズレ量として、搬入用移載制御により搬入部から前記走行体側に移載した物品についての走行体に対する走行方向での設定適正移載位置からのズレ量を求めて、このズレ量に基づいて、収納用走行制御における移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置を補正するので、収納用移載制御において走行体側に位置する物品を物品収納部に移載するにあたって、搬入用移載制御において発生する当該物品についての走行体に対する走行方向での設定適正移載位置からのズレに起因する影響が低減される。
【0014】
つまり、運転制御手段は、収納用走行制御を実行するにあたって、走行体側に位置する物品が走行体に対して走行方向での設定適正移載位置からずれた状態であると、収納用走行制御において、そのズレ量に基づいて補正された物品移載位置に走行体を走行させるので、収納用移載制御を実行する際の物品収納部に対する走行方向での物品の位置は、走行体に対する走行方向での設定適正移載位置からのズレの影響が低減された適正な位置となる。
【0015】
したがって、収納棚における複数の物品収納部における走行体の走行方向に沿う幅は、走行体が移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に停止するときの位置のばらつき等を考慮して余裕がある幅にする必要があるものの、走行体側に移載された物品の走行体に対する位置のばらつきに対しては大きな余裕を持たせない幅で良いため、極力余裕を少なくした小さな幅とすることができるのであり、このため、収納棚の走行体の走行方向での幅の小型化が可能になって、収納棚の製造コストの低廉化、及び、物品収納設備の設置スペースの小型化、並びに、搬送効率の上昇やランニングコストの低下を図ることが可能となる。
【0016】
このように、本発明の第2特徴によると、物品を収納棚に良好に収納させることができながらも、収納棚の走行体の走行方向での幅の小型化により、収納棚の製造コストの低下、物品収納設備の設置スペースの小型化、及び、走行体の走行距離が短縮化して、搬送効率の上昇やランニングコストの低下を図ることが可能な物品収納設備における物品搬送装置を得ることができ、もって、請求項1を実施するのに好適な手段が得られる。
【0017】
本発明の第3特徴は、本発明の第1特徴において、
前記物品位置検出手段が、前記搬入部に対する物品移載位置に位置する前記走行体の前記走行経路上での位置を検出するように構成され、
前記運転制御手段が、前記物品位置検出手段の検出情報に基づいて、前記ズレ量として、前記走行体の前記搬入部に対する物品移載位置に対するズレ量を求めるように構成されている点にある。
【0018】
本発明の第3特徴によると、本発明の第1特徴と同様の作用を備えており、これに加えて以下のような作用を備えている。
運転制御手段が、ズレ量として走行体の搬入部に対する物品移載位置に対するズレ量を求めて、このズレ量に基づいて、収納用走行制御における移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置を補正するので、収納用移載制御において走行体側に位置する物品を物品収納部に移載するにあたって、搬入用走行制御において発生する走行体の搬入部に対する物品移載位置からのズレに起因する影響が低減される。
【0019】
説明を加えると、搬入用移載制御が実行される際に、走行体が搬入部に対する物品移載位置からずれた位置に位置している状態であると、搬入用移載制御により走行体側に移載される物品は、走行体が搬入部に対する物品移載位置に適正に位置している状態で搬入用移載制御が実行されたとした場合に位置する物品の走行体に対する位置(以下、適正移載位置という。)から走行方向についてずれた位置に位置することになる。
【0020】
つまり、収納用走行制御を実行する際には、走行体側に移載された物品は、上記適正移載位置から走行方向についてずれた位置に位置しており、運転制御手段が、収納用走行制御において、そのズレ量に基づいて補正された物品移載位置に走行体を走行させるので、収納用走行制御の実行が完了したときの、物品収納部に対する物品の位置は、適正移載位置から走行方向でのズレに起因する影響が低減された位置となる。
【0021】
したがって、収納棚における複数の物品収納部における走行体の走行方向に沿う幅は、走行体が移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に停止するときの位置のばらつき等を考慮して余裕がある幅にする必要があるものの、走行体側に移載された物品の位置のばらつきに対しては大きな余裕を持たせない幅で良いため、極力余裕を少なくした小さな幅とすることができるのであり、このため、収納棚の走行体の走行方向での幅の小型化が可能になって、収納棚の製造コストの低廉化、及び、物品収納設備の設置スペースの小型化、並びに、搬送効率の上昇やランニングコストの低下を図ることが可能となる。
【0022】
このように、本発明の第3特徴によると、物品を収納棚に良好に収納させることができながらも、収納棚の走行体の走行方向での幅の小型化により、収納棚の製造コストの低下、物品収納設備の設置スペースの小型化、及び、走行体の走行距離が短縮化して、搬送効率の上昇やランニングコストの低下を図ることが可能な物品収納設備における物品搬送装置を得ることができ、もって、請求項1を実施するのに好適な手段が得られる。
【0023】
本発明の第4特徴は、本発明の第1特徴において、
前記物品位置検出手段が、前記搬入部から前記走行体側に移載された物品についての前記走行体に対する走行方向での位置及び前記搬入部に対する物品移載位置に位置する前記走行体の前記走行経路上での位置を検出するように構成され、
前記運転制御手段が、前記物品位置検出手段の検出情報に基づいて、前記ズレ量として、前記搬入部から前記走行体側に移載された物品についての前記走行体の走行経路に対する走行方向での設定適正移載位置からのズレ量を求めるように構成されている点にある。
【0024】
本発明の第4特徴によると、本発明の第1特徴と同様の作用を備えており、これに加えて以下のような作用を備えている。
運転制御手段は、前記搬入部から前記走行体側に移載された物品についての前記走行体の走行経路に対する走行方向での設定適正移載位置からのズレ量を、前記搬入部から前記走行体側に移載された物品についての前記走行体に対する走行方向での位置及び前記搬入部に対する物品移載位置に位置する前記走行体の前記走行経路上での位置に基づいて求めて、そのズレ量に基づいて、収納用走行制御における移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置を補正する。
【0025】
つまり、収納用走行制御により、走行体が移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に走行すると、走行体側に位置する物品の走行体の走行方向での位置は、搬入用走行制御において走行体の搬入部に対する物品移載位置からのズレ、及び、搬入用移載制御において走行体に移載された物品の走行体に対する上記適正移載位置からのズレに起因する影響が低減された位置となる。
【0026】
したがって、収納用移載制御において走行体側に位置する物品を物品収納部に移載するにあたって、搬入用移載制御において発生する走行体に移載された物品の走行体に対する上記適正移載位置からのズレ、及び、搬入用走行制御において発生する走行体の搬入部に対する物品移載位置からのズレに起因する影響が低減されて、走行体側に位置する物品は、収納部に対して適正な位置により近い位置に位置する状態となる。これにより、搬入用移載制御において走行体側に移載された物品を、収納用移載制御において収納部に対する適正な位置により近い位置に移載することができる。
【0027】
したがって、収納棚における複数の物品収納部における走行体の走行方向に沿う幅は、走行体が移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に停止するときの位置のばらつき等を考慮して余裕がある幅にする必要があるものの、走行体側に移載された物品の位置のばらつきに対しては大きな余裕を持たせない幅で良いため、極力余裕を少なくした小さな幅とすることができるのであり、このため、収納棚の走行体の走行方向での幅の小型化が可能になって、収納棚の製造コストの低廉化、及び、物品収納設備の設置スペースの小型化、並びに、搬送効率の上昇やランニングコストの低下を図ることが可能となる。
【0028】
このように、本発明の第4特徴によると、物品を収納棚に良好に収納させることができながらも、収納棚の走行体の走行方向での幅の小型化により、収納棚の製造コストの低下、物品収納設備の設置スペースの小型化、及び、走行体の走行距離が短縮化して、搬送効率の上昇やランニングコストの低下を図ることが可能な物品収納設備における物品搬送装置を得ることができ、もって、請求項1を実施するのに好適な手段が得られる。
【0029】
本発明の第5特徴は、本発明の第1〜第4特徴のいずれか一つにおいて、前記運転制御手段が、前記物品位置検出手段の検出情報に基づいて求めた前記ズレ量が設定許容範囲を越える場合には、異常であると判別するように構成されている点にある。
【0030】
本発明の第5特徴によると、本発明の第1〜第4特徴のいずれか一つと同様の作用を備えており、これに加えて以下のような作用を備えている。
運転制御手段が搬入用走行制御を実行して、走行体を搬入部に対する物品移載位置に走行させる場合に、走行体が搬入部に対する物品移載位置から大きくずれた位置に位置してしまうといった搬入用走行制御に関する異常や、搬入部から走行体側に移載された物品についての走行体に対する走行方向での物品の位置が、走行体に対する設定適正移載位置から大きくずれるといった搬入用移載制御に関する異常等が発生して、物品検出手段の検出情報に基づいて求めたズレ量が設定許容範囲を超えると、運転制御手段が異常であると判別するので、物品搬送装置に発生した搬入用走行制御及び搬入用移載制御に関する異常を検出することができる。
【0031】
したがって、本発明の第5特徴によると、物品位置検出手段により、搬入用走行制御及び搬入用移載制御に関する異常が発生した場合に、その異常を検出することができる点で物品搬送装置の信頼性が向上する。
【0032】
本発明の第6特徴は、本発明の第1〜第5特徴のいずれか一つにおいて、
前記収納棚が、前記物品収納部を縦横に並べて備えるように構成され、
前記物品移載装置が、前記走行体に立設した昇降ポストに沿って昇降自在に設けられ、
前記運転制御手段が、前記物品移載装置の昇降位置を検出する昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、前記複数の物品収納部のうちの移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に前記物品移載装置を昇降させる昇降制御を実行するように構成され、
前記昇降ポストの揺れ幅を検出する揺れ検出手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記揺れ検出手段の検出情報に基づいて、前記昇降ポストの揺れ幅が設定許容揺れ幅内にあるときに前記収納用移載制御を実行するように構成されている点にある。
【0033】
本発明の第6特徴によると、本発明の第1〜第5特徴のいずれか一つと同様の作用を備えており、これに加えて以下のような作用を備えている。
運転制御手段は、搬入用走行制御を実行して、走行体を移載作業対象とする物品収納部に対する走行方向における物品移載位置に走行させ、昇降制御を実行して、物品移載装置を移載作業対象とする物品収納部に対する昇降方向における物品移載位置に昇降させた後に、収納用移載制御を実行する場合に、運転制御手段は、昇降ポストの揺れ幅が設定許容揺れ幅内にあるときに収納用移載制御を実行するので、走行体一体移動する昇降ポストが走行体の走行作動の影響により走行体の停止後も揺れている場合に、昇降ポストの揺れ幅が設定許容揺れ幅内に収まるまでは収納用移載制御が実行されない。
【0034】
したがって、設定許容揺れ幅を収納棚の物品収納部の幅に対して適切な値を設定することにより、物品移載装置の作動により物品が収納部に移載される際に、物品や物品移載装置の作動部分が収納部を構成する構造体に衝突、接触する等のトラブルの発生を防止することができる。このように、本発明の第6特徴によると、物品搬送装置の信頼性が向上する。
【0035】
また、昇降ポストの揺れ幅が設定許容揺れ幅内に収まれば収納用移載制御が実行されるので、昇降ポストの揺れが完全に収まった状態になるまで待機してから、収納用移載制御の実行を開始するものに比べて、搬入用走行制御の実行を開始してから搬入用移載制御の実行を開始するまでの時間を短くすることができる。このように、本発明の第6特徴によると、物品の搬送効率を向上させることができる物品収納設備における物品搬送装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の物品搬送装置の実施形態を図面に基づいて説明する。この物品搬送装置は物品収納設備SUに設けられている。物品収納設備SUは、図1に示すように、物品出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて設置した二つの収納棚1と、それらの収納棚1どうしの間に形成した走行経路2を自動走行する走行体としてのスタッカークレーン3とを設けて構成されている。各収納棚1は、多数の物品収納部4を縦横に複数並べて構成されている。
【0037】
前記走行経路2には、収納棚1の長手方向に沿って走行レール5と上レール6とが設置されている。走行経路2の一端側には、スタッカークレーン3の作動を制御する運転制御手段としての地上側コントローラ7と、走行レール5を挟んで搬入部としての一対の搬出入コンベヤ8とが設けられている。走行経路2の、搬出入コンベヤ8の収納棚1側の端部に対応して設定された物品移載位置としての原点位置P0おいて、スタッカークレーン3が停止し、搬出入コンベヤ8との間で物品の移載処理が行われる。
【0038】
搬出入コンベヤ8は、ローラーコンベヤ式の搬送装置であり、搬出入コンベヤ8の搬送経路において、原点位置P0に対応する位置には、物品QとしてのパレットPに載置された荷Wを下方からパレットPごと支持した状態で昇降させる昇降装置9が設けられている。この昇降装置9は、搬出入コンベヤ8の搬送方向に間隔を隔てて位置する一組の昇降式の物品支持板9aを設けて構成されたものであり、昇降作動に伴って物品支持板9aが搬出入コンベヤ8のローラーの間隙から突出或いは引退するように昇降作動することで、物品Qを昇降させることができるものである。各搬出入コンベヤ8のそれぞれに対して設けられた昇降装置9の作動は、スタッカークレーン3の作動や搬出入コンベヤ8の搬送作動と同様に地上側コントローラ7により制御される。
【0039】
前記スタッカークレーン3は、図2に示すように、走行レール5に沿って走行自在な走行台車10と、その走行台車10に対して昇降自在な昇降台12とを設けて構成されている。前記昇降台12には、搬出入コンベヤ8や物品収納部4と自己との間で、荷Wを載置したパレットPごと移載可能な物品移載装置11が設けられている。
【0040】
物品移載装置11は、荷Wを載置したパレットPごと載置支持しかつ昇降台12上の引退位置と昇降台12の外部に位置する突出位置とに出退自在なフォーク部23と、図2では示さないが、フォーク部23を出退作動させる駆動手段としてのフォーク用モータ24とを備えて構成されている。そして、物品移載装置11は、走行台車10の走行方向に対して直交する方向を物品移載方向として、フォーク部23を出退させるように構成されている。
【0041】
そして、スタッカークレーン3は、走行台車10の走行、昇降台12の昇降、および、物品移載装置11のフォーク部23の出退作動により、搬出入コンベヤ8と物品収納部4との間や物品収納部4どうしの間で荷WをパレットPごと搬送するように構成されている。
【0042】
走行台車10には、前記昇降台12を昇降操作自在に案内支持する前後一対の昇降ポスト13が設けられ、昇降台12が走行台車10に対して昇降自在に設けられている。前後一対の昇降ポスト13は、その上端部が、上レール6に沿って案内される上部フレーム15にて連結されている。
【0043】
前記走行台車10には、その水平方向に測距用のビーム光を投射する昇降用レーザ測距計26と、その昇降用レーザ測距計26にて投射されたビーム光の進路を鉛直上方に屈曲させて昇降台12の下面に設置された反射板27に照射するためのミラー28とが設けられている。
【0044】
そして、昇降用レーザ測距計26は、昇降台12の昇降方向において、走行台車10に設けられたミラー28の配設位置を基準位置として、その基準位置と昇降台12との距離を検出することにより、昇降経路上における昇降台12の昇降位置を検出するように構成されている。つまり、昇降用レーザ測距計26は、昇降位置検出手段として機能している。
【0045】
昇降ポスト13の上端付近には、スタッカークレーン3の走行作動に伴って発生する昇降ポスト13の走行方向での揺れ幅を検出する揺れ検出手段としての重垂式の角度センサ25が設けられている。角度センサ25の揺れ検出信号S1は、中立状態からの変位に応じて出力のレベルが基準レベルを中心に上下に変化するアナログ出力信号方式となっている。そして、昇降ポスト13に揺れが生じていない状態において角度センサ25が中立状態となるように調整されている。
【0046】
つまり、昇降ポスト13の揺れ幅がゼロで直立状態であれば、角度センサ25は中立状態を維持しているため揺れ検出信号S1は一定値Vとなり、昇降ポスト13が直立状態から傾斜した状態或いはひずみやたわみが生じた状態となった場合には、その傾斜或いはひずみやたわみにより発生する昇降ポスト13の揺れの揺れ幅Yに応じて一定値Vを中心に値が上下に振動するような揺れ検出信号S1が出力される。したがって、揺れ検出信号S1の振幅を計測すれば、昇降ポスト13の走行方向での揺れ幅Yを検出することができるようになっている。
【0047】
前記昇降台12は、その長手方向の両端部に構成された側壁12a及び12bに連結された2本の昇降用チェーン14にて吊下げ支持されている。そして、昇降用チェーン14は、上方側従動プーリ16、走行台車側従動プーリ17、昇降台側従動プーリ18、および、駆動プーリ19に巻き掛けられている。
【0048】
前記上方側従動プーリ16は、上部フレーム15の前端部及び後端部に設けられ、走行台車側従動従動プーリ17は、走行台車10の一端部及び中央部に設けられている。また、昇降台側従動プーリ18は、昇降台12の中央下面部に設けられ、駆動プーリ19は、走行台車10の一端部に設けられている。
【0049】
そして、駆動プーリ19を駆動回転させる昇降用モータ20が設けられ、その昇降用モータ20にて駆動プーリ19を正逆に駆動させることにより、昇降用チェーン14をその長手方向に移動操作して、昇降台12を昇降させるように構成されている。
【0050】
側壁12aには、物品移載装置11に載置支持されたパレットPまでの距離L1を検出する距離センサ31が取り付けられている。距離センサ31は、赤外線発光ダイオードと受光部に位置検出素子としてのPIN型フォトダイオードを用いて距離の検出を行う。距離の検出には光学測距方式を採用している。
【0051】
具体的には、昇降台12の側壁12aに面したパレットPの側面部に赤外線を照射し、その反射光がセンサへ入射した位置をもとに三角測量の原理で、距離センサ31からパレットPの側面部までの距離L1(図7参照)を計算する。距離センサ31からパレットPの側壁部までの距離L1の値により、スタッカークレーン3におけるパレットPの位置を検出することができるようになっている。
【0052】
つまり、距離センサ31は、搬出入コンベヤ8からスタッカークレーン3側に移載されたパレットPに載置された荷Wについてのスタッカークレーン3に対する走行方向での位置を検出する物品移載位置検出手段として機能している。
【0053】
また、走行台車10には、走行レール5上を走行自在な前後二つの走行輪21a、21bが設けられている。車体前後方向の一端側の車輪21aが、走行用モータ22にて駆動される駆動走行輪として構成され、車体前後方向の他端側の車輪21bが、遊転自在な従動走行輪として構成されている。そして、走行台車10は、走行用モータ22の作動により走行レール5に沿って走行するように構成されている。
【0054】
また、走行レール5の地上側コントローラ7側の端部には、水平方向に測距用のビーム光を投射する走行用レーザ測距計29が設けられ、走行台車10には、走行用レーザ測距計29からのビーム光を反射する反射板30が設けられている。そして、走行用レーザ測距計25は、走行台車10に設置されている反射板30に向けて投射して、走行レール5の端部からの走行台車10の距離L2(図7参照)を検出することにより、走行経路上における走行台車10の走行位置を検出するように構成されている。
【0055】
つまり、走行用レーザ測距計29は、スタッカークレーン3の前記走行経路2上での位置を検出する位置検出手段として機能している。
【0056】
図4に示すように、地上側コントローラ7に対して、赤外線通信装置32を介して走行用レーザ測距計29、昇降用レーザ測距計26、角度センサ25、及び、距離センサ31の検出情報が入力されるように構成されている。地上側コントローラ7は、走行台車10の走行を制御する走行制御部7a、昇降台12の昇降を制御する昇降制御部7b、物品移載装置11の作動を制御する移載制御部7cなどから構成されている。
【0057】
そして、地上側コントローラ7は、搬出入コンベヤ8により外部から搬入される物品Qを複数の物品収納部4のいずれかに入庫する入庫指令や、複数の物品収納部4のいずれかに収納されている物品Qを搬出入コンベヤ8に出庫する出庫指令などを上位の管理装置等から受けると、搬出入コンベヤ8の物品Qを指令された物品収納部4に入庫する入庫動作や、指令された物品収納部4に収納されている物品Qを搬出入コンベヤ8に出庫する出庫動作を行うべく、走行用モータ22、昇降用モータ20、及びフォーク用モータ24の駆動を制御してスタッカークレーン3の作動を制御するとともに、搬出入コンベヤ8や昇降装置9の作動を制御するように構成されている。
【0058】
地上側コントローラ7による入庫動作の制御内容について図5に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の説明では、スタッカークレーン3の走行位置がPH1であり物品移載装置11の昇降位置がPV1となる物品移載位置P1(図3参照)に対応する物品収納部4に対する入庫作業について説明する。なお、物品移載走行位置PH1及び物品移載昇降位置PV1は、複数の物品収納部4の夫々に対応して予め設定された走行台車10の走行位置及び物品移載装置11の昇降位置である。
【0059】
地上側コントローラ7は、まず、搬入用走行制御及び搬入用昇降制御を実行し、走行用レーザ測距計29及び昇降用レーザ測距計26の検出情報に基づいて、搬出入コンベヤ8に対する物品移載位置である原点位置P0にスタッカークレーン3を走行させ、物品移載装置11を昇降させる(ステップ#1〜ステップ#2)。そして、搬入用移載制御を実行し、スタッカークレーン3及び物品移載装置11が原点位置P0に位置した状態において搬入コンベヤ8の物品Qをスタッカークレーン3側に移載するように、搬入コンベヤ8の昇降装置9及びスタッカークレーン3の物品移載装置11を作動させる(ステップ#3)。
【0060】
搬入用移載制御が完了すると、スタッカークレーン3側に物品Qが移載された状態となる。この状態で、地上側コントローラ7は、物品移載走行位置補正処理を実行する(ステップ#4)。詳しくは後述するが、物品移載走行位置補正処理により、移載作業対象とする物品収納部4について予め設定されている物品移載走行位置PH1が、スタッカークレーン3側に移載された状態における物品Qの地上側基準位置に対する走行方向での設定適正位置からのズレ量Zに応じて補正される。
【0061】
これにより、搬入用走行制御により原点位置P0に位置するように走行制御され搬入用走行制御が完了した時点でのスタッカークレーン3の位置、つまり、搬入用移載制御を実行するときのスタッカークレーン3の位置や、搬入用移載制御によりスタッカークレーン3に移載された物品Qのスタッカークレーン3に対する位置が入庫処理によって異なった位置となっても、後述する収納用移載制御が実行されるときの物品Qの物品収納部4に対する位置は略一定の位置となるようになっている。
【0062】
ステップ#4で、物品移載走行位置PH1の補正が完了すると、収納用走行制御及び収納用昇降制御が実行される。収納用走行制御では、走行用レーザ測距計29の検出情報に基づいて、補正された物品移載走行位置PH1であるPH1sにスタッカークレーン3を走行させ、収納用昇降制御では、昇降用レーザ測距計26の検出情報に基づいて、複数の物品収納部4のうちの移載作業対象とする物品収納部4に対する物品移載昇降位置PV1に物品移載装置11を昇降させる(ステップ#5〜ステップ#7)。
【0063】
スタッカークレーン3の物品移載走行補正位置PH1sへの走行作動及び物品移載装置11の物品移載昇降位置PV1への昇降作動が完了すると、地上側コントローラ7は、揺れ幅監視処理を実行する(ステップ#8)。揺れ幅監視処理では、角度センサ25の出力である揺れ検出信号S1の振幅に基づいて算出される昇降マスト13の走行方向での揺れ幅Yを監視しており、昇降マスト13の走行方向での揺れ幅Yが、設定許容揺れ幅C以下であれば、移載作業対象とする物品収納部4への移載処理を、隣接する物品収納部4に干渉する等の問題を生じることなく行えるとして、収納用移載制御の実行を開始する。
【0064】
ステップ#8で、昇降マスト13の走行方向での揺れ幅Yが、設定許容揺れ幅C以下であると判別されると、地上側コントローラ7は、ステップ#9で収納用移載制御を実行する。収納用移載制御では、スタッカークレーン3が移載作業対象とする物品収納部4に対する物品移載走行補正位置PH1sに位置し、物品移載装置11が移載作業対象とする物品収納部4に対する物品移載昇降位置PV1に位置した状態において、スタッカークレーン3側に位置する物品Qを物品収納部4に移載するように物品移載装置11を作動させる。収納用移載制御の実行が完了することにより、物品Qの物品収納部4への入庫処理が終了する。
【0065】
上述したように、入庫処理のステップ#1〜ステップ#2が実行されると、スタッカークレーン3は、搬入用走行制御により原点位置P0に位置することになるが、搬入用走行制御によりスタッカークレーン3が実際に停止する位置は、走行制御性能の影響により厳密には入庫処理の度に異なる位置となっている。また、スタッカークレーン3が実際に停止する位置は、走行制御性能の限界以外の何らかの異常原因で走行方向の前後にずれた位置となる場合もある。このような状態で搬入用移載制御が実行されると、スタッカークレーン3上に物品Qが移載される位置として本来予定されている適正な移載位置である設定適正移載位置に移載できず、スタッカークレーン3上の設定適正移載位置からずれた位置に移載されることになる。
【0066】
さらに、スタッカークレーン3が搬入用走行制御により原点位置P0に正確に位置したとしても、搬出入コンベヤ8における物品Qの位置が適正な位置でない限り、搬入用移載制御が実行されると、結果的に、スタッカークレーン3上の設定適正移載位置には物品Qは移載されず、設定適正移載位置からずれた位置に移載されることになる。
【0067】
このようにスタッカークレーン3上の設定適正移載位置に物品Qが移載されていない状態であると、収納用走行制御により物品移載走行位置PH1に適正に位置したとしても、収納用移載制御により物品収納部4に移載される物品Qは、物品収納部4の横幅方向についての適正な位置に移載されないことになる。
【0068】
もっとも、スタッカークレーン3の原点位置P0からのズレにより、搬出入コンベヤ8に位置する物品Qの搬出入コンベヤ8に対する適正な位置からのズレが相殺されて、結果的に物品Qがスタッカークレーン3上の設定適正移載位置に移載された状態となる場合があり得る。しかし、この場合であっても、スタッカークレーン3が原点位置P0からずれていることから、収納用走行制御によりスタッカークレーン3を移動させると、初期値のズレによる移動距離の過不足が生じ、スタッカークレーン3が物品移載走行位置PH1に位置せず、収納用移載制御を実行する際に、物品収納部4に対する適切な物品移載位置からずれた状態となる。したがって、この場合もやはり、物品Qは物品収納部4の横幅方向についての適正な位置に移載されないことになる。
【0069】
なお、本物品搬送装置では、物品移載装置11に載置されたパレットPの走行経路方向における中心位置と物品移載装置11が有するフォーク部23の走行経路方向における中心位置とが一致するようなパレットPの位置をスタッカークレーン3に対する走行方向での設定適正移載位置に設定している。また、物品収納部4の走行経路方向についての中央位置と物品移載装置11が有するフォーク部23の走行経路方向における中心位置とが一致するようなスタッカークレーン3の位置を物品収納部4に対する適切な物品移載位置に設定している。
【0070】
そこで、本物品搬送装置の地上側コントローラ7は、図5に示す入庫動作のステップ#3の搬入用移載制御が完了した後、つまり、原点位置P0に位置するスタッカークレーン3側に物品Qが移載された後、ステップ#4で物品移載走行位置補正処理を実行することにより、物品Qがスタッカークレーン3上の設定適正移載位置に移載されない場合や、物品Qがスタッカークレーン3上の設定適正移載位置に移載されていても、スタッカークレーン3の位置が原点位置P0からずれている場合に、収納用走行制御及び収納用移載制御により、物品収納部4の適切な位置に物品Qが移載されるようになっている。
【0071】
以下、物品移載走行位置補正処理について図6に示すフローチャートに基づいて説明する。ステップ#1で、距離センサ31の出力に基づき、距離センサ31の取り付け位置(以下、クレーン側基準位置a1という。)からパレットPの側面までの距離L1(図7参照)を計測する。ステップ#2で、走行用レーザ測距計29の出力に基づき、走行用レーザ測距計29の取り付け位置(以下、地上側基準位置a2という。)からスタッカークレーン3に備えられた反射板30までの距離L2(図7参照)を計測する。
【0072】
ステップ#1及びステップ#2で計測した距離L1及び距離L2と設計上定まる反射板30と距離センサ31との距離L3とを合算することにより、地上側基準位置a2からパレット9の側面までの距離Lを算出する(ステップ#3)。図7からも分かるように、ステップ#3で算出される距離Lは、当該入庫処理における物品Qの地上側基準位置a2からの距離(以下、物品Qの絶対距離Lという。)を示していることになる。
【0073】
ステップ#4では、物品Qの絶対距離Lと、設定適正位置に物品Qが位置する場合の物品Qの絶対距離L0(以下、適正絶対距離L0という。)との差を、物品Qの設定適正位置からのズレ量Zとして算出する。ここで、設定適正位置は、本来予定された地上側基準位置a2に対する適正な物品Qの位置であり、具体的には、スタッカークレーン3が原点位置P0に適正に位置し、その状態のスタッカークレーン3の設定適正移載位置に位置する物品Qの地上側基準位置a2に対する位置である。
【0074】
したがって、ズレ量Zは、搬入用走行制御によりスタッカークレーン3が原点位置P0に適正に位置して、かつ、搬入用移載制御により物品Qがスタッカークレーン3に対する走行方向での設定適正移載位置に適正に位置する状態となった場合における物品Qの絶対距離L0とステップ#3で算出される絶対距離Lとの差「L0−L」により算出される。
【0075】
地上側コントローラ7は、ステップ#5において、ステップ#4で算出されたズレ量Zの値を検証する。そして、ズレ量Zの大きさ|Z|、つまりズレ幅が設定許容ズレ量Zmaxを超えている場合には、異常であると判別し、ステップ#7の異常信号出力処理を実行する。これにより、地上側コントローラ7はスタッカークレーン3や搬出入コンベヤ8の停止精度の自己診断を行うことができ、搬出用コンベヤ8の作動や搬入用走行制御によるスタッカークレーン3の作動に異常が発生して、ズレ幅が設定許容ズレ量Zmaxを超えている場合には、装置管理者等に異常の発生を通知する等することができる。
【0076】
ステップ#5において、ズレ量Zの大きさ|Z|が設定許容ズレ量Zmaxを超えていないと判別された場合には、物品移載走行位置PH1をズレ量Zに応じて補正する。具体的には、移載作業対象とする物品収納部4に対応して設定される物品移載走行位置PH1にズレ量Zを加算して、物品移載走行補正位置PH1sを算出する(ステップ#6)。
【0077】
例えば、物品Qの絶対距離Lが、適正絶対距離L0より短い場合(この場合Z>0となる。)には、搬入用移載制御により搬出入コンベヤ8からスタッカークレーン3に移載された物品Qは、移載作業対象とする物品収納部4に対する適正移載位置からズレ量Zの大きさ|Z|分だけ遠ざかった位置に位置している状態であるので、収納用走行制御においてスタッカークレーン3をズレが発生していない場合に比べてズレ量の大きさ|Z|分だけ長く移動させるべく、ズレ量の大きさ|Z|分だけ遠い位置が物品移載走行補正位置PH1sとして設定される。
【0078】
また、逆に、物品Qの絶対距離Lが、適正絶対距離L0より長い場合(この場合Z<0となる。)には、搬入用移載制御により搬出入コンベヤ8からスタッカークレーン3に移載された物品Qは、移載作業対象とする物品収納部4に対する適正移載位置からズレ量Zの大きさ|Z|分だけ近付いた位置に位置している状態であるので、収納用走行制御においてスタッカークレーン3をズレが発生していない場合に比べてズレ量の大きさ|Z|分だけ短く移動させるべく、ズレ量の大きさ|Z|分だけ近い位置が物品移載走行補正位置PH1sとして設定される。
【0079】
絶対距離Lと物品移載走行補正位置PH1sとの関係をグラフに表わすと図8に示すような直線となる。図8からも分かるように、絶対距離Lが適正絶対距離L0となっていれば、補正量が「0」であり、物品移載走行補正位置PH1sは補正前の物品移載走行位置PH1と同じ位置である。また、絶対距離Lが適正絶対値距離L0よりも短ければ短いほど物品移載走行補正位置PH1sは物品移載走行位置PH1から原点位置P0側により離れた位置に補正され、絶対距離Lが適正絶対値距離L0よりも長ければ長いほど物品移載走行補正位置PH1sは物品移載走行位置PH1から原点位置P0側により近い位置に補正される。
【0080】
このように物品移載走行補正位置PH1sを設定することにより、搬入用走行制御完了時点でのスタッカークレーン3の走行方向での位置のばらつきや、スタッカークレーン3に対する物品Qの走行方向での移載位置のばらつきが生じた場合でも、物品Qを収納棚1の収納部4に良好に収納させることができながらも、収納棚1のスタッカークレーン3の走行方向での幅の小型化により、収納棚1の製造コストの低下、物品収納設備SUの設置スペースの小型化、及び、スタッカークレーン3の走行距離が短縮化して、搬送効率の上昇やランニングコストの低下を図ることが可能となる。
【0081】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、地上側コントローラ7が、一定値の設定許容揺れ幅Cを参照するように構成されたものを例示したが、これに代えて、地上側コントローラ7が、移載作業対象とする物品収納部4に対する物品移載昇降位置PV1の高さに応じて異なる値を設定許容揺れ幅Cとして設定するように構成してもよい。例えば、低い位置の物品収納部4に対して移載作業を行う入庫処理を実行する場合は、設定許容揺れ幅Cを大きな値に設定して、逆に、高い位置の物品収納部4に対して移載作業を行う入庫処理を実行する場合は、設定許容揺れ幅Cを小さな値に設定するように構成してもよい。このように構成すると、低い位置の物品収納部4に対して物品Qを移載する場合には、当該物品収納部4の高さにおける昇降マスト13の振幅が移載作業が可能な大きさになっていれば、移載作業を行うことができるので、当該物品収納部4の高さにおける昇降マスト13の振幅がすでに移載作業が可能な大きさになっているにも拘らず上端部の揺れが収まるまで移載作業が開始されないという不都合を回避できる。
【0082】
(2)上記実施形態では、移載作業対象とする物品収納部4に対する物品移載走行位置PH1を、物品Qのスタッカークレーン3に対する位置及びスタッカークレーン3の搬出入コンベヤ8に対する位置に基づいて補正するものを例示したが、これに代えて、移載作業対象とする物品収納部4に対する物品移載走行位置PH1を、物品Qのスタッカークレーン3に対する位置、つまり距離L1に基づいて補正するものであってもよいし、移載作業対象とする物品収納部4に対する物品移載走行位置PH1を、スタッカークレーン3の搬出入コンベヤ8に対する位置、つまり距離L2に基づいて補正するものであってもよい。
【0083】
(3)上記実施形態では、収納棚1が、物品収納部4を縦横に並べて備えるように構成されたものを例示したが、これに限らず、物品収納部4を横方向にのみ並べて備えるように構成されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】物品収納設備の外観斜視図
【図2】スタッカークレーンの正面図
【図3】原点位置と物品収納部に対する物品移載位置との関係を示す図
【図4】物品搬送装置の制御ブロック図
【図5】入庫動作のフローチャート
【図6】物品移載走行位置補正処理のフローチャート
【図7】原点位置に停止した状態のスタッカークレーンの平面図
【図8】絶対距離と物品移載走行補正位置との関係を示すグラフ
【符号の説明】
【0085】
SU 物品収納設備
Q 物品
P0 物品移載位置
PH1 物品移載位置
PV1 物品移載位置
Y 揺れ幅
Z ズレ幅
Zmax 設定許容範囲
C 設定許容揺れ幅
1 収納棚
2 走行経路
3 走行体
4 物品収納部
7 運転制御手段
8 搬入部
11 物品移載装置
13 昇降ポスト
25 揺れ検出手段
26 昇降位置検出手段
29 位置検出手段
31 物品位置検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入庫する物品の搬入部に対する物品移載位置と収納棚における複数の物品収納部の夫々に対する物品移載位置とに亘る走行経路に沿って走行自在で且つ物品移載装置を備えた物品搬送用の走行体と、
前記走行体の前記走行経路上での位置を検出する位置検出手段と、
前記走行体の走行作動及び前記物品移載装置の移載作動を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記搬入部に対する物品移載位置に前記走行体を走行させる搬入用走行制御、及び、前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記複数の物品収納部のうちの移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に前記走行体を走行させる収納用走行制御、並びに、前記走行体が前記搬入部に対する物品移載位置に位置した状態において前記搬入部の物品を前記走行体側に移載するように前記物品移載装置を作動させる搬入用移載制御、及び、前記走行体が移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に位置した状態において前記走行体側に位置する物品を前記物品収納部に移載するように前記物品移載装置を作動させる収納用移載制御を実行するように構成されている物品収納設備における物品搬送装置であって、
前記搬入部から前記走行体側に移載された物品の前記走行体の走行方向での位置を検出する物品位置検出手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記物品位置検出手段の検出情報に基づいて、前記搬入部から前記走行体側に移載された物品についての前記走行体の走行方向での設定適正位置からのズレ量を求めて、そのズレ量に基づいて、前記収納用走行制御における移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置を補正するように構成されている物品収納設備における物品搬送装置。
【請求項2】
前記物品位置検出手段が、前記搬入部から前記走行体側に移載された物品についての前記走行体に対する走行方向での位置を検出するように構成され、
前記運転制御手段が、前記物品位置検出手段の検出情報に基づいて、前記ズレ量として、前記搬入部から前記走行体側に移載された物品についての前記走行体に対する走行方向での設定適正移載位置からのズレ量を求めるように構成されている請求項1に記載の物品収納設備における物品搬送装置。
【請求項3】
前記物品位置検出手段が、前記搬入部に対する物品移載位置に位置する前記走行体の前記走行経路上での位置を検出するように構成され、
前記運転制御手段が、前記物品位置検出手段の検出情報に基づいて、前記ズレ量として、前記走行体の前記搬入部に対する物品移載位置に対するズレ量を求めるように構成されている請求項1記載の物品収納設備における物品搬送装置。
【請求項4】
前記物品位置検出手段が、前記搬入部から前記走行体側に移載された物品についての前記走行体に対する走行方向での位置及び前記搬入部に対する物品移載位置に位置する前記走行体の前記走行経路上での位置を検出するように構成され、
前記運転制御手段が、前記物品位置検出手段の検出情報に基づいて、前記ズレ量として、前記搬入部から前記走行体側に移載された物品についての前記走行体の走行経路に対する走行方向での設定適正移載位置からのズレ量を求めるように構成されている請求項1に記載の物品収納設備における物品搬送装置。
【請求項5】
前記運転制御手段が、前記物品位置検出手段の検出情報に基づいて求めた前記ズレ量が設定許容範囲を越える場合には、異常であると判別するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の物品収納設備における物品搬送装置。
【請求項6】
前記収納棚が、前記物品収納部を縦横に並べて備えるように構成され、
前記物品移載装置が、前記走行体に立設した昇降ポストに沿って昇降自在に設けられ、
前記運転制御手段が、前記物品移載装置の昇降位置を検出する昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、前記複数の物品収納部のうちの移載作業対象とする物品収納部に対する物品移載位置に前記物品移載装置を昇降させる昇降制御を実行するように構成され、
前記昇降ポストの揺れ幅を検出する揺れ検出手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記揺れ検出手段の検出情報に基づいて、前記昇降ポストの揺れ幅が設定許容揺れ幅内にあるときに前記収納用移載制御を実行するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品収納設備における物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−70106(P2007−70106A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262401(P2005−262401)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】