説明

物品挟持具

【課題】物品を摘んで移動させる作業とその物品に関する物品情報を情報読取装置で読み取る作業とを片手で迅速に行うことを可能にする物品挟持具を提供すること。
【解決手段】トング10は、互いの先端部113により食品40を挟むための一対の挟持部材101,102を備えている。一方の挟持部材101にはバーコードリーダ20が固定されており、このバーコードリーダ20によって食品40に関する情報である食品情報が読み取られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や薬品等の直接手で触れることが好ましくない物品を摘む作業に使用される物品挟持具に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーやコンビニエンスストアでは、商品を販売する毎にその販売情報を記録し、記録した販売情報を在庫管理やマーケティング材料として活用するためのシステムとして、いわゆるPOSシステム(Point Of Sales system)が導入されている。このPOSシステムでは、一般的に、商品の包装に表記されているバーコードを光学的に読み取るバーコードリーダが使用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のバーコードリーダには、複数個の同一商品の販売情報をPOSシステムに登録する際にPOSシステム側での操作を無くすために、同一商品の販売個数を示す情報をPOSシステムに送信するためのリピートキーが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−165993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ベーカリーショップ、スイーツショップ、ドーナツショップ等(以下「ショップ」という。)では、食品がショーケースに陳列され、それを摘むのにトングが使用されている。しかし、前記食品は、包装されていない状態で販売されており、食品であるがゆえ、バーコードを直接付けることが困難である。そこで、出願人は、ショーケースにおいて食品が陳列されている位置と近接する位置にその食品に関する情報(商品名、商品価格など)を示すバーコードを表示したプレートを設け、そのプレートのバーコードを店員がバーコードリーダで読み取るという方法を考え出した。
【0006】
この方法によれば、ショップにPOSシステムを導入することが可能となるが、店員が一方の手でトレーを持ち、他方の手に持ったトングを使って来店した客が選んだ食品を摘んでトレーに移し、その後、トングをバーコードリーダに持ち替えてバーコードを読み取る必要がある。すなわち、選ばれた食品を摘んでトレーに移す作業とバーコードを読み取る作業とを片手で行う必要がある。このため、たとえ特許文献1に記載のバーコードリーダを用いたとしても、異なる食品が選ばれる毎にトングとバーコードリーダとを持ち替えて一連の作業を行う必要があることには変わりがないため、店員が一連の作業を片手で迅速に行うのは困難であった。
【0007】
なお、このような問題は、薬品等の物品を例えばピンセットで摘む場合や、物品に関する物品情報を示す二次元コードをスキャナで読み取る場合、物品情報が記録されたRFタグからRFID(Radio Frequency IDentification)技術を用いた近距離無線通信により物品情報を読み取るような場合にも同様に生じ得る。
【0008】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、物品を摘んで移動させる作業とその物品に関する物品情報を情報読取装置で読み取る作業とを片手で迅速に行うことを可能にする物品挟持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の物品挟持具は、互いの先端部により物品を挟持する一対の挟持部材と、一対の挟持部材のいずれか一方の挟持部材に固定され、物品に関する情報である物品情報を読み取る情報読取装置とを備える。
【0010】
この構成によれば、一方の挟持部材に情報読取装置が固定されているので、物品挟持具で物品を摘んで例えばトレーに移す作業と情報読取装置でその物品の物品情報を読み取る作業とを行う場合に、物品挟持具を情報読取装置に持ち替える必要がない。したがって、物品を摘んで移動させる作業と物品情報を情報読取装置で読み取る作業とを片手で迅速に行うことが可能になる。
【0011】
ここで、物品としては、手で直接触れるべきではない例えば食品や薬品が例として挙げられる。また、物品情報としては、例えば物品名、物品価格、物品の在庫数量、物品の製造年月日が例として挙げられる。また、情報読取装置は、物品情報がバーコードとして記録されている場合にはバーコードリーダであり、物品情報が二次元コードとして記録されている場合には二次元コードを読み取り可能なスキャナであり、物品情報がRFタグに記録されている場合にはRFID技術を用いた近距離無線通信により物品情報を取得するリーダである。
【0012】
情報読取装置は、物品情報を示すバーコードに光を照射してその反射光を読み取ることによってその物品情報を取得するバーコードリーダであり、バーコードリーダは、光の照射方向が一方の挟持部材の基端部から先端部へ向かう方向と略一致するようにその一方の挟持部材に固定される。
【0013】
この構成によれば、物品情報が物品に直接付けられていないものの物品と近接する位置に記録されている場合に、物品を摘む作業と物品情報を読み取る作業とを行う際に物品挟持具の向きを変える必要がない。このため、物品挟持具の持ち方を変えたりすることなく、物品を摘んで移動させる作業と物品情報をバーコードリーダで読み取る作業とを容易且つスムーズに行うことが可能になる。
【0014】
情報読取装置は、一方の挟持部材において他方の挟持部材と対向する面の反対側の面に固定されるのが好ましい。
【0015】
この構成によれば、情報読取装置が一方の挟持部材の外側の面に固定されるので、情報読取装置が一対の挟持部材が物品を挟持する動作の妨げになるのを防止することが可能になる。すなわち、情報読取装置が挟持部材の内側の面に固定されている場合、情報読取装置が一対の挟持部材に挟まって、一対の挟持部材の互いの先端部が近接する動作が妨げられるが、上記構成によれば、このような問題が生じるのを防止することが可能である。
【0016】
一方の挟持部材は、情報読取装置を着脱可能に固定する固定具を備えることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、情報読取装置の取り外しが可能であるため、挟持部材の洗浄により情報読取装置が故障するのを防止することが可能になる。また、情報読取装置を一方の挟持部材に固定するための構成を情報読取装置に設ける必要がないため、一般的な情報読取装置の構造を変更することなく、その情報読取装置を用いて本発明を実現することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、一方の挟持部材に情報読取装置が固定されているので、物品を摘んで移動させる作業と物品情報を情報読取装置で読み取る作業とを片手で迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係るトング10の使用環境を示す説明図
【図2】トング10の構成を示す平面図
【図3A】店員がトング10で食品40を摘む前の状態を示す説明図
【図3B】店員がトング10で食品40を摘んだ状態を示す説明図
【図3C】店員がトング10で摘んだ食品40を移動させる様子を示す説明図
【図3D】店員がトング10に固定されたバーコードリーダ20でバーコード30を読み取る様子を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の物品摘み具の一実施形態に係るトング10について説明する。
【0021】
[トング10の使用環境の説明]
まず、図1を参照しつつ、トング10の使用環境について説明する。ここで、図1は、トング10の使用環境を示す説明図である。本実施形態で例示するショップでは、ショップに来店した来店客に販売される複数種の食品を陳列するショーケース60(図1参照)が設けられている。図1には、ショーケース60の同じ段にショートケーキ、食品(パン)40、ドーナツが並べて陳列された状態が例示されている。なお、図には示されていないが、このショーケース60は、来店客が商品を直接手で触れられないように、その前面側(来店客側)がガラスで覆われている。
【0022】
来店客は、ショーケース60の幅方向に沿って横に移動しながら、ショーケース60を挟んで来店客と反対側にいる店員に対して注文を行う。これに対して、店員は、一方の手(例えば左手)でトレー70を持った状態で、来店客と一緒に移動しながら、来店客が選んだ食品をトング10(物品摘み具の一例)でショーケース60からトレー70に移し、注文が完了したら会計作業を行う。
【0023】
[POSシステムの説明]
トング10が使用されるショップには、いわゆるPOSシステムを構成するバーコードリーダ20及びPOSレジスタ50が設けられている。
【0024】
図1に示されるように、ショーケース60には、食品毎にバーコード30が取り付けられている。ショーケース60に陳列されている食品には包装が施されていないため、バーコード30は、対応する商品と近接する位置(本実施形態では、陳列されている食品の直ぐ手前の位置)に貼り付けられている。バーコード30は、縞模様状の線の太さによって数値や文字を表す識別子であり、食品40に関する食品情報(物品情報に相当)を記録したものである。
【0025】
バーコードリーダ20は、バーコード30に光を照射してその反射光を読み取ることによって食品情報を取得する情報読取装置である。バーコードリーダ20は、扁平形状の略六面体として構成されている。詳細には、高さ方向(図2の紙面に垂直な方向)に細く、幅方向(図2の上下方向)及び奥行き方向(図2の左右方向)が上記高さ方向よりも長い略直方体形状に形成されている。
【0026】
このバーコードリーダ20は、面積が最大である上面にボタン201及びディスプレイ203が設けられると共に、面積が最小である先端面に出射口202が設けられている。
【0027】
本実施形態におけるバーコードリーダ20は、レーザスキャン方式のバーコードスキャナである。図には示されていないが、バーコードリーダ20は、レーザ光を発する光源と、光源からのレーザ光を反射しながら回転する回転ミラーと、バーコードからの反射光を検知する光センサとを内蔵している。店員がバーコードリーダ20の出射口202をバーコード30に向けた状態でボタン201を押下すると、光源から発せられたレーザ光が回転ミラーで反射され、レーザ光が出射口202を介して出射されてバーコード30を構成する各線を横切るようにスキャンされる。これにより、バーコード30の白黒又は明暗によって反射光が変化するので、光センサがこの反射光の変化を電気信号に変換することで食品情報が取得される。
【0028】
ディスプレイ203は、例えば液晶表示装置であり、現在の読取状況や読み取った食品情報等を表示する。さらに、ディスプレイ203には、POSレジスタ50が食品情報入力時間と食品情報に含まれる製造年月日とを照合して設定時間を経過すると判断した場合に送信される食品の賞味期限に関する情報も表示される。
【0029】
また、バーコードリーダ20は、バーコード30から読み取った食品情報をWi−Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの通信規格による無線通信によってPOSレジスタ50と送受信する機能を備えている。すなわち、バーコードリーダ20は、ワイヤレスのバーコードスキャナである。このため、バーコードリーダ20は、蓄電池から供給される電源により動作する。これらにより、ショーケース60の幅方向における一方側の末端と他方側の末端との各々に陳列された食品を注文されたとしても、迅速に移動し応対することができる。また、バーコードリーダ20は、バーコード30から読み取った食品情報に加えて、自身の端末番号をPOSレジスタ50に送信する。これにより、POSレジスタ50では、受信した端末番号に基づいて、食品情報を送信したのはバーコードリーダ20であることを特定することができる。
【0030】
なお、バーコードリーダ20の読み取り方式はレーザスキャン方式に限定されるものではなく、例えばバーコード30を手動でスキャンするマニュアルスキャン方式等であってもよい。すなわち、バーコード30を読み取ることができれば、バーコードリーダ20の構造は特に限定されるものではない。
【0031】
POSレジスタ50は、食品名や売値などを蓄積するデータベース機能を備えるレジスタ本体、レジスタ本体からの命令に応じて金銭を保管する引き出しを飛び出させるキャッシュドロワ、レシート51や領収書を印刷するレシートプリンタ、釣銭を自動計算して排出する自動釣銭機、会計金額等を表示するディスプレイ等から構成されている。また、POSレジスタ50は、バーコードリーダ20と無線通信により食品情報を送受信するためのアンテナ501を備えている。
【0032】
ショップの店員は、来店客が選んだ全ての食品をトレー70に載せた後、POSレジスタ50に設けられている入力キーを用いてバーコードリーダ20の端末番号を入力する。これにより、バーコードリーダ20から受信した食品情報に基づいて合計金額が計算されて、会計が行われる。
【0033】
ここまで、本実施形態におけるPOSシステムの概要について説明したが、POSシステムは本実施形態で例示したものに限定されるものではない。すなわち、POSシステムは、POSレジスタ50及びバーコードリーダ20の他に、複数のPOSレジスタ50と通信回線を介して通信可能に接続され、各POSレジスタ50からのデータを集計して在庫や販売の管理を行うオフィスサーバ等を更に含んでいてもよい。
【0034】
[トング10の説明]
次に、図1及び図2を参照しつつ、トング10の構成について説明する。ここで、図2は、トング10の構成を示す平面図であり、図2Aはバーコードリーダ20が装着された状態を示し、図2Bはトング10からバーコードリーダ20が取り外された状態を示す。トング10は、大別して、一対の挟持部材101,102と、ホルダ104と、上述したバーコードリーダ20とを備える。
【0035】
挟持部材101及び挟持部材102は、それぞれの基端部103が回転軸によって互いに回動可能に連結されている。また、図には示されていないが、挟持部材101の基端部103と挟持部材102の基端部103との間には、弾性部材としてのコイルバネが設けられており、挟持部材101及び挟持部材102は、それぞれの先端部113が互いに離れる方向に付勢されている。また、挟持部材101,102の先端部113には、摘んだ食品が落下するのを防止するために、凹凸を有するプラスチックが固定されている。店員は、例えば挟持部材101が挟持部材102の上方に位置するように挟持部材101,102を例えば右手に持ち、挟持部材101,102を握る。これにより、挟持部材101,102の先端部113が近接して食品40に当接することでその食品40を挟持する。
【0036】
ホルダ104は、バーコードリーダ20を着脱可能に固定する固定具であり、例えばプラスチックで形成されている。このホルダ104の底板と挟持部材101には、2本のボルト107を挿通する2つの挿通孔(不図示)が形成されており、ホルダ104は、挟持部材101の外側の面(図2における紙面手前側の面)に当接された状態でボルト107と不図示のナットとの螺合により挟持部材101に固定されている(図2B参照)。このため、バーコードリーダ20は、挟持部材101において挟持部材102と対向する面の反対側の面に固定されることになる。
【0037】
ホルダ104の底板の両端には、底板の長手方向(図2における左右方向)に延びる側壁105,106が立設されている。底板の長手方向における側壁105,106の長さは、バーコードリーダ20の奥行き方向(図2における左右方向)の長さと略等しく設定されている。また、側壁105,106の底板からの高さは、バーコードリーダ20の厚みよりも若干大きく設定されている。また、側壁105と側壁106との間隔は、バーコードリーダ20の幅方向の長さよりも若干小さく設定されている。このため、ホルダ104の底板と側壁105,106で構成される空間にバーコードリーダ20を配置することにより、バーコードリーダ20が側壁105と側壁106により挟持されてホルダ104に固定される(図2A参照)。また、ホルダ104は、その上面と長手方向における両側面が開放されている。このため、バーコードリーダ20をホルダ104の上方に引き上げるか、或いはホルダ104の長手方向にスライドさせることにより、バーコードリーダ20を挟持部材101から容易に取り外すことができる。このように、バーコードリーダ20は、ホルダ104によって挟持部材101に着脱可能に固定される。
【0038】
図2Aに示されるように、バーコードリーダ20は、その両側面が側壁105,106によって支持される。このため、バーコードリーダ20が固定された状態では、その先端面に設けられた出射口202が挟持部材101の先端部113側に位置することになる(図2A参照)。したがって、バーコードリーダ20がホルダ104に固定された状態では、バーコードリーダ20からのレーザ光の放射方向が、挟持部材101の基端部103から先端部113へ向かう方向(図2における右方向)と略一致することになる。
【0039】
なお、ここではバーコードリーダ20がホルダ104を介して挟持部材101に着脱可能に固定される場合について説明したが、バーコードリーダ20は、例えば面ファスナーにより挟持部材101に固定されてもよい。
【0040】
[トング10の使用方法]
以下、図3A〜図3Dを参照しつつ、トング10の使用方法について説明する。ここで、図3Aは、店員がトング10で食品40を摘む前の状態を示す説明図である。図3Bは、店員がトング10で食品40を摘んだ状態を示す説明図である。図3Cは、店員がトング10で摘んだ食品40を移動させる様子を示す説明図である。図3Dは、店員がトング10に固定されたバーコードリーダ20でバーコード30を読み取る様子を示す説明図である。
【0041】
来店客がショーケース60に陳列された食品40(ここではパン)を選ぶと、店員は、左手にトレー70(図1参照)を持つと共に右手でトング10を持ち、食品40を摘むべくトング10を食品40に近付ける(図3A参照)。そして、店員は、トング10を軽く握って挟持部材101,102の先端部113により食品40を摘み(図3B参照)、その食品40をショーケース60からトレー70に移動させる。その際、店員は、挟持部材101の先端部113が摘んでいる食品40に対応するバーコード30の正面に位置するように、トング10を手前に引いてから下に下げる(図3C及び図3D参照)。そして、店員は、トング10を握っている右手の親指によりバーコードリーダ20のボタン201を押下する。これにより、バーコードリーダ20がバーコード30を読み取って食品情報を取得し、その食品情報をPOSレジスタ50に無線通信により送信する処理が行われる。
【0042】
[本実施形態の作用効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、バーコードリーダ20が挟持部材101に固定されているので、トング10で食品40を摘んでトレー70に移す作業とその食品40の食品情報を読み取る作業とを行う場合に、トング10をバーコードリーダに持ち替える必要がない。したがって、食品40を摘んで移動させる作業と、食品40の食品情報をバーコードリーダ20で読み取る作業とを片手で迅速に行うことができる。
【0043】
また、本実施形態では、バーコードリーダ20のレーザ光の照射方向が挟持部材101の基端部103から先端部113へ向かう方向と略一致するようにバーコードリーダ20が挟持部材101に固定されている。このため、食品40を摘む作業と食品情報をバーコードリーダ20で読み取る作業とを行う際に、トング10の向きを変える必要がない。したがって、トング10の持ち方を変えたりすることなく、食品40を摘んで移動させる作業と、食品40の食品情報をバーコードリーダ20で読み取る作業とを容易且つスムーズに行うことができる。
【0044】
また、本実施形態では、バーコードリーダ20が挟持部材101の外側の面(挟持部材102との対向面の反対側の面)に固定される。このため、バーコードリーダ20が対向面に固定される場合のように、バーコードリーダ20が挟持部材101,102に挟まって、挟持部材101,102の互いの先端部113が近接する動作が妨げられるのを防止することができる。
【0045】
また、本実施形態では、ホルダ104によりバーコードリーダ20が着脱可能に固定される。すなわち、トング10は包装されていない状態での食品40を摘むため、衛生上定期的な洗浄が必要であるが、バーコードリーダ20の取り外しが可能であるため、前記洗浄によるバーコードリーダ20の故障するのを防止することができる。また、バーコードリーダ20を挟持部材101に固定するための構成をバーコードリーダ20に設ける必要がない。したがって、一般的なバーコードリーダの構造を変更することなく、そのバーコードリーダを用いて本発明を実現することができる。
【0046】
[変形例]
本発明は上述した形態に限定されるものではなく、例えば以下の形態であってもよい。
すなわち、上記実施形態では、トング10がベーカリーショップにおいて使用される場合について説明するが、トング10は、店員が直接手で触れるべきではない食品を扱う店舗であれば、食肉店や惣菜店等の他のショップで使用されてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、バーコードリーダ20によるバーコード30の読み取りを指示するスイッチがボタン201である場合について説明したが、このスイッチは、スライドスイッチであってもよい。これにより、店員の誤操作(バーコード30を誤って読み取ること)を防止することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、バーコードリーダ20のレーザ光の照射方向が挟持部材101の基端部103から先端部113へ向かう方向と略一致する場合について説明したが、これらの方向は必ずしも一致している必要はない。
【0049】
また、上記実施形態では、バーコードリーダ20が挟持部材101の外側の面に固定されている場合について説明したが、前記の外側の面と挟持部材101における挟持部材102との対向面との間の面にバーコードリーダ20を固定してもよい。バーコードリーダが非常に小型のものである場合には、前記の対向面にバーコードリーダ20を固定してもよい。ただし、この場合、トング10で摘んだ食品40がバーコード30の読み取りの妨げになる可能性があるので、バーコード30を読み取ってから食品40を摘むように作業の順序を変更することが好ましい。
【0050】
また、上記実施形態では、バーコードリーダ20が挟持部材101に対して着脱自在に固定される場合について説明したが、バーコードリーダ20が挟持部材101から取り外せない構成であってもよい。ただし、この場合、トング10の洗浄によりバーコードリーダ20が故障しないように、防水機能を備えるバーコードリーダ20を使用するのが好ましい。
【0051】
また、上記実施形態では、食品情報(物品情報)がバーコード30として記録されている場合を例に説明したが、物品情報は、他の手段により記録されていてもよい。例えば、物品情報は、QRコード(登録商標)等の二次元コードとして記録されていてもよい。この場合、二次元コードを読み取り可能なスキャナが本発明の情報読取装置として機能する。また、物品情報は、RFタグに記録されていてもよい。この場合、RFID技術を用いた近距離無線通信によりRFタグから物品情報を取得するリーダが本発明の情報読取装置として機能する。
【0052】
また、上記実施形態では、本発明の物品挟持具がトング10である場合について説明したが、物品挟持具は、例えば薬品を摘むピンセット等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、食品や薬品等の直接手で触れることが好ましくない物品を摘む作業に使用される物品挟持具等に適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 トング(物品挟持具の一例)
20 バーコードリーダ(情報読取装置の一例)
30 バーコード(物品情報の一例)
40 食品(物品の一例)
50 POSレジスタ
51 レシート
60 ショーケース
70 トレー
101 一方の挟持部材
102 他方の挟持部材
103 基端部
104 ホルダ(固定具の一例)
105,106 側壁
107 ボルト
113 先端部
201 ボタン
202 出射口
203 ディスプレイ
501 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの先端部により物品を挟持する一対の挟持部材と、
前記一対の挟持部材のいずれか一方の挟持部材に固定され、前記物品に関する情報である物品情報を読み取る情報読取装置とを備える、物品挟持具。
【請求項2】
前記情報読取装置は、前記物品情報を示すバーコードに光を照射してその反射光を読み取ることによって当該物品情報を取得するバーコードリーダであり、
前記バーコードリーダは、前記光の照射方向が前記一方の挟持部材の基端部から先端部へ向かう方向と略一致するように当該一方の挟持部材に固定される、請求項1に記載の物品挟持具。
【請求項3】
前記情報読取装置は、前記一方の挟持部材において他方の挟持部材と対向する面の反対側の面に固定される、請求項1又は2に記載の物品挟持具。
【請求項4】
前記一方の挟持部材は、前記情報読取装置を着脱可能に固定する固定具を備える、請求項1から3のいずれかに記載の物品挟持具。


【図1】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−247875(P2012−247875A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117499(P2011−117499)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(504420641)日本ポイントソフト株式会社 (2)
【Fターム(参考)】